後評 (2017・6)

後評 (2017・6)



6籐寝椅子老て食後の深眠り

「老て」に作者の日常を慮る。小生も今月句会に「老いたれば」の一句

を投じた。老いの句を作ることは弱音とも聞こえるが、又自然とも思える


8隙間なく簾の掛かる茶屋二階

茶屋らしさがキッチリと描かれている


35神の田を濁さず歩く井守かな

何と井守が神の田を濁さず歩くと唐突に持ち出した。

この持ち出し方が好い


40音もなく漕ぐ船頭の日焼顔

じっとりした暑さを感じる。辺りはダンマリ 風死すの状態か?


82揚羽蝶糸屋機屋と店並び

何故か揚羽蝶と糸屋機屋の結び付きが好ましい。理屈では解き明か

せない。又「店並び」も端然としていてよろしい。店並びは たなならび

と読ませるのだろう。

句意は揚羽蝶が糸屋と機屋と二軒を訪うように飛んで行くと言うことか?

背後に緩やかなリズム感が感じられる。


86頂へバトンタッチの立葵

既に咲き終わった我が家の白花合歓もこれから咲き出そうと

している宗旦木槿も下方の花から次から次へと天辺目がけて咲き出す。

ちょっとくだけたバトンタッチの片仮名表示もあたかも運動会のようで

軽快。


121オーボエの遥かなる声夕焼野

当句も片仮名表記。オーボエは大吠に通じる。確と意識はしてないが頭の

方は勝手にそう思い込んでいる節がある。俳句って、実はゴク単純なところ

に根ざしている場合もあろう。


147落暉追ふドクターイエロー麦の秋

当句も片仮名表記。二物を色で合わせた。また 麦の穂は一直線に飛ぶ弓矢の矢

の如し。疾走する新幹線も矢の如しである。


159数独に興じて一人梅雨に入る

数独が流行っている。バス、電車の車中でも良く見かける。

愚妻も喋らなくなったら、いつか数独にハマっている。


179温泉(ゆ)巡りの客の下駄音明早し

もう温泉場で出湯の梯子などやらなくてなったが、昔は率先して朝湯巡り

を敢行したものだ。草津等は10箇所ぐらい出湯がある。その裡、好みの出湯

が出来たものだ。草津在住の中澤文次郎さん(濱 古参同人。物故)の好みは、近場の千代ノ湯であった。



# by 575fudemakase | 2017-06-19 06:23 | ねずみのこまくら句会 | Trackback | Comments(0)

野蒜の花 の俳句

野蒜の花

花らしくなくて野蒜の花とかや 石井とし夫
君知るや野蒜の花の赤きをば 野村喜舟 小石川
出水に咲く野蒜の水輪昏れきりぬ 大熊輝一 土の香
道のべによろつきて咲く野蒜かな 村上鬼城
道のべによろめきて咲く野蒜かな 村上鬼城
野蒜咲き幾日を濁る小田の水 林蓬生
野蒜咲き蜆貌なるひと日かな 桑原三郎
野蒜咲く花の命のながきかな 山崎国子
野蒜咲く殆んど中途半端にて 高田風人子

# by 575fudemakase | 2017-06-18 16:46 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

米搗虫 の俳句

米搗虫

何の事米搗虫の空おどり 篠原弘脩
祈るとき米搗虫の気配あり 対馬康子
勤(いそ)しみし米搗虫が鳴き厭きし 相生垣瓜人
象潟や米搗虫の手より立つ 加藤治美
叩頭虫を毀していたる少女なり 大口元通
飛び跳ねて逆さばかりの米搗虫 廣瀬町子
鼻先に米搗虫や来て搗ける 石塚友二
米搗虫泣く児へ出でて跳ねにけり 小沼伸子
米搗虫倦まず米搗く夜の机 上村占魚
米搗虫死んだふりして死んでいる 苅部牧生
米搗虫弾み囲炉裏にころげ込む 小島火山
米搗虫米搗くを見ていて倦かず 守屋直樹
米搗虫夢の毀れし掌に搗かし 大木石子
鳴神も叩頭虫もほとめけり 相生垣瓜人 明治草抄

米搗虫 補遺

鳴神も叩頭虫もほとめけり 相生垣瓜人 明治草
勤しみし米搗虫が搗き厭きし 相生垣瓜人 明治草
阿れる叩頭虫を蔑みぬ 相生垣瓜人 明治草


# by 575fudemakase | 2017-06-18 16:44 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

紅鱒 の俳句

紅鱒

鍋洗ふ前紅鱒の列通る 野村泊月
地吹雪の果に池あり紅鱒あり 西東三鬼
水底に紅鱒の影秋めきぬ 中條睦子
紅鱒棲む急流にして谺せり 高澤良一 石鏡
紅鱒群粛々ときぬ秋日射す 浅原六朗 紅鱒群
紅鱒の斑をこぼさずに焼かれけり 渡辺恭子
紅鱒の川瀬のぼりて夏めきぬ 富田潮児
紅鱒の棲める流れと聞くばかり 稲畑汀子
紅鱒あまたみな交遊の身を曲げつつ 中村草田男

紅鱒 補遺

遊女の紅鱒のごとよそほへる 山口青邨
女来て紅鱒他愛なく釣られ 橋閒石 朱明
紅鱒提げて神父の孤影月に離る 中村草田男
紅鱒に石割るひびき金の蝿 飯田龍太


# by 575fudemakase | 2017-06-18 16:42 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)

夏蕨 の俳句

夏蕨

あく抜きて隣家に分ける夏蕨 松本サキ子
いしぶみは峠の名のみ夏蕨 大岳水一路
くるしくも雨こゆる野や夏わらび 白雄
せせらぎに親しみ行くや夏蕨 大沢起佐
とるほどは無くて山麓夏わらび 及川貞 夕焼
ほきと折れしまま胸中に夏蕨 石寒太 炎環
みよしのや荷ほどに採れて夏蕨 及川 貞
雨あとの眩しき日差夏蕨 茨木和生 遠つ川
遠囃子椀に沈みし夏蕨 野沢節子 鳳蝶
夏わらびここに眠りて日暮まで 田中裕明 花間一壺
夏わらび戸毎に干せる宇陀の里 つじ加代子
夏わらび手に殖やしゆく塩の道 和知喜八
夏わらび折ればはろかに父の声 澤野純子「未来図合同句集」
夏わらび尼の手籠に見えてをり 蓑口祈水
夏わらび谿に真深く雲しづむ 河野南畦
夏蕨いつぽん長けてねむい朝 小出しづ子
夏蕨おのづと山着なじみたる 佐々木とく子 『土恋』
夏蕨井に浸せしを忘れきし 鳴戸幸子
夏蕨一寸先の闇握る 田邊香代子「破綻の雲」
夏蕨遠山見ゆるころ夕餉 大野林火
夏蕨興亡のいま亡に帰し 上田五千石
夏蕨壮年の男に捲毛二三 香西照雄 素心
夏蕨摘むやをみなら手甲して 西尾秀東子
夏蕨摘む一束にならずとも 茨木和生 三輪崎
夏蕨天草島の山高し 中村汀女
夏蕨能登も奥なる坊泊り 大橋越央子
海鳴りの遠く近くに夏わらび 佐々木蓉子
灰汁抜きの灰の軽さよ夏蕨 佐藤東北夫
旧道は消ゆるほかなし夏蕨 西本一都 景色
欠け欠けて遊女の墓や夏蕨 柏 禎
戸隠の夕日に摘めり夏蕨 近藤喜代子
甲斐駒や牛の踏みゆく夏蕨 永沼弥生
高原の観光ホテル夏蕨 赤星水竹居
採るほどは無くて山麓夏わらび 及川貞
山火事のありたる地肌夏蕨 茨木和生
山住のこころ足らふや夏蕨 木村蕪城 一位
山荘にとどく大束夏わらび 米沢登秋
山荘の庭に長けけり夏蕨
首塚や人ものぼらぬ夏蕨 山店 芭蕉庵小文庫
終点のレール反り立ち夏蕨 中村すみを
焼きし野の拓かずもある夏蕨 比叡 野村泊月
上州を訪へば茶受けの夏蕨 吉居珪子
石負女の幸一握の夏蕨 西本一都 景色
川の合ふところで別れ夏蕨 中戸川朝人 尋声
痩畑の又野にかへる夏蕨 比叡 野村泊月
大皿に釘で彫りたる夏蕨 長谷川 櫂
鳥鳴いて谷静かなり夏蕨 夏蕨 正岡子規
鳥啼いて谷静なり夏蕨 正岡子規
天領のことば廃れし夏わらび 道山昭爾
踏み迷ふことも楽しや夏蕨 稲畑汀子
道のべにおきある籠に夏蕨 木村蕪城
入日の前の土の明るさ夏蕨 桂信子 黄 瀬
百人の人にもてなす夏蕨 都甲 君子
夫見ゆる距離たもち摘む夏蕨 塩野光子(麻苧)
蕗束のほか細束の夏蕨 茨木和生 丹生
碧空に消ゆる雲あり夏蕨 岡田日郎
墓の字につかふ長鋒夏わらび 宇佐美魚目
庖丁の切れ味返す夏わらび 福富みさ子
豊潤に照る日曇る日夏蕨 小林堪信
万葉の安騎野にたけし夏蕨 小竹よし生
目溢れのとびとびなれど夏わらび 大堀徳恵
落し来る筏の上の夏蕨 今村晩果
旅びとに古塔かたぶく夏わらび 稲垣きくの
旅びとに古塔かたむく夏わらび 稲垣きくの 黄 瀬
老い母よ祈り惚けし夏蕨 小檜山繁子
俎にあまりて丈の夏わらび 田村木国
甕伏せしあたりもつとも夏蕨 つじ加代子
茹でゝ喰ふ興安嶺の夏蕨 楠目橙黄子 橙圃
蹠から古道のしめり夏わらび 林和琴(草苑)


夏蕨 補遺

ありがたや山深く折りし夏蕨 山口青邨
とるほどは無くて山麓夏わらび 及川貞 夕焼
みちのくの山は深しや夏蕨 山口青邨
一籠の活けしが如く夏蕨 山口青邨
遠囃子椀に沈みし夏蕨 野澤節子 鳳蝶
仮初に摘みて摘み溜む夏蕨 右城暮石 句集外 昭和五十二年
夏わらび傷つき籠る千余人 水原秋櫻子 殉教
夏蕨雨の最中に届きけり 大野林火 潺潺集 昭和四十三年
夏蕨遠山見ゆるころ夕餉 大野林火 飛花集 昭和四十五年
夏蕨奥山の爺もてきたる 山口青邨
夏蕨戒壇院が忽とあり 岡井省二 前後
夏蕨海の起伏を丘にまで 上田五千石『琥珀』補遺
夏蕨興亡のいま亡に帰し 上田五千石『琥珀』補遺
夏蕨骨の中にも折れてをり 飯島晴子
夏蕨壮年の男に捲毛二三 香西照雄 素心
夏蕨大き身振をして捨てし 右城暮石 散歩圏
夏蕨摘みゆき吾を距てたる 上田五千石『琥珀』補遺
記紀の世の吉野にたけて夏蕨 松崎鉄之介
山住のこころ足らふや夏蕨 木村蕪城 一位
尺にたらぬささやき神に夏蕨 松崎鉄之介
朝市や峠越え来し夏蕨 水原秋櫻子 緑雲
鳥鳴いて谷静かなり夏蕨 正岡子規 夏蕨
道のべにおきある籠に夏蕨 木村蕪城 一位
日輪がころころ昇り夏わらび 橋閒石 微光以後
療園の屍室別棟夏蕨 右城暮石 句集外 昭和三十六年
林帯の湖に拳振る夏蕨 角川源義

# by 575fudemakase | 2017-06-18 16:40 | 夏の季語 | Trackback | Comments(0)


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

カテゴリ

全体
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
未分類

以前の記事

2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2011年 04月

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...

メモ帳

らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

検索

タグ

最新の記事

後評 (2017・6)
at 2017-06-19 06:23
野蒜の花 の俳句
at 2017-06-18 16:46
米搗虫 の俳句
at 2017-06-18 16:44
紅鱒 の俳句
at 2017-06-18 16:42
夏蕨 の俳句
at 2017-06-18 16:40

外部リンク

記事ランキング