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後評(2017・2)

後評(2017・2)


38林泉の浮島めぐる鴛鴦の沓
「林泉」「浮島」「鴛鴦」等と並べられると絵巻だとか
大和絵だとかを想像して仕舞う。雅な色合い、構図を思い浮かべるのである。

78春立ちぬ固き結び目解くやうに
凍てが解ける の内の 「解ける」を「紐の結び目が解ける」に換骨奪胎した。


86鷽替えて亀戸大根提げ帰る
作者が主婦ということを大っぴらに持ち出して詠ったところに
共感。市民感覚が横溢している。

128磐座に喰ひ入る寒の椎の幹
樹木とコンクリート、樹木と金属、樹木と岩石の相克するさまを折々目に
することがある。例えば、樹木の幹に針金を巻きつけて置くと数年後には
樹皮がそれを呑み込んで仕舞う。樹皮は軟体生物のようなもの。
樹木は逞しい。岩手の石割り桜を思い出した。

138松明の煙の匂ふ節分会
「煙の匂ふ」に鄙びた感じが宿る。野趣あふれる一句。
チマチマした節分会に終わっていない。

153雪垂る音のとり巻く浮御堂
「とり巻く」の措辞がうまい。それに「浮御堂」の「浮」の一漢字が効いている。
春先に向かうウキウキ感に繋がるのである。

165春障子ひとりとなりて久しけれ
句柄に余裕がある。確か小説に余裕派というのがあった。漱石だったか?
何事にも余裕のあるのが佳い。

177深海魚やたら出回り冴返る
皆さんは金目鯛が深海魚であることをご存知ですか?
あろうことか、水産資源が枯渇して深海魚の金目まで網に
掛けるようになった。もうジリ貧である。(金目漁は、金目が朝方、深海から浮上して
来る性質を狙って捕獲する漁だという)
中国では内陸部の人間までが魚を食うようになった。仲買で中国に競り負ける事態と
なっている。魚好きの私としては慨嘆の日々である。

197稜線を越え来る木霊春立てり
「稜線」「木霊」「春立つ」等変哲のない用語を三つ並べただけだが、それでも匂ってくる季感
がある。

200雛店のシアトル宛の発送荷
日本人も海外に頻繁に出向く時代となった。一時的にしろ、永住にしろ、海外は
もう身近だ。そでも古い人間には、海外は ヤレ一入の感がある。
# by 575fudemakase | 2017-02-20 18:08 | 句評など | Trackback | Comments(0)

後評 2017年一月ねずみのこまくら句会

後評 2017年一月ねずみのこまくら句会


●天水に篝燃えゐる除夜詣
この頃 足許不如意となったので近場の除夜詣ばかりやっている。
そんな親近感があって頂いた。

●初春の尾道水道碧豊か
かって良寛さんの里を詠もうと思って一人旅をやった。
そこから良寛さんが発心を起こして旅立ったのが尾道。
「初春の尾道水道」と先ず据えた。「碧豊か」とはよう享けたとおもう。

●仄明かり障子九枚に九体仏
これはおそらく浄瑠璃寺の作であろう。
一つの堂に九体の阿弥陀さまが祀られている。上品 中品 下品 の三体づつが一つの堂宇
に祀られている。何といっても、あの堂宇の開放的な空間が魅力である。
堂障子の向こうはお池。堂障子が明り取りである。以下は拙句。季は同じく冬。

うすらひをつつつつと鶸浄瑠璃 ねずみのこまくら 昭和五十八年

●東京の無垢の青空お元日
東京と言えば、女房方の会津の俳人 新城杏児 の次句を思い出す。
東京の悪に触れたる冬銀河 杏児
新城杏児は栄泉と並ぶ会津の造り酒屋 末廣の当主で、わが女房の父親はその新城家の
七男である。その縁もあって、過日 その新城家の墓地を訪れたことがあったが、その中に
出稼ぎ先のここ会津で亡くなった杜氏の墓を見い出して、その〝あわれ〟を想ったこと
があった。杏児句はたしか、平凡社の歳時記、冬銀河の部に例句として載っている筈である。
そんな訳があって掲句に関心が及ぶのである。

●屠蘇祝ふ喜寿も傘寿も夫は亡く
高齢者さん 淡々と境涯をお詠みになる。
俳句の行き着く先はかくなる所か?ブレずに行こう。

●元朝や定位置にある潜水艦
このところ、横須賀参りが続いている。
イオンにある映画館行とヴェルニー公園からみる軍艦の勇姿がハラショーである。
小生はそれを楽しむ極めて危ない老人である。
三が日から護衛艦 出雲を撮りたくてパチパチやって来たが、尖閣方面へでも行ったのか
お留守であった。帰路は、銭湯が好きなので、その近くの吉倉というところの新湯にザブン
と入って来た。今年の読み初めは「米中戦争 その時日本は(渡辺悦和)」「米中もし戦わば
戦争の地政学(ピーター・ナヴァロ)」と潜水艦の本 4、5冊である。(「潜水艦の戦う技術 現代の「海の忍者」-その実際に迫る」「潜水艦のメカニズム完全ガイド なぜ、日本の潜水艦は世界最高水準と言われるのか?」「知られざる潜水艦の秘密 海中に潜んで敵を待ち受ける海の一匹狼」等)
渡辺悦和氏は元東部方面総監、ピーター・ナヴァロ氏は教授で、対中強硬派で、ドナルド・トランプ政権の国家通商会議代表。
話変わって、掲句に係わる点については、かって貞雄さんの句集紹介をした折に指摘した
一部を以下抜粋する。下記一連につらなる句である。
あと正月に観た映画と言えば、「この世界の片隅に」である。横須賀と並ぶ軍港 呉の戦前 戦中 戦後を描いたアニメである。空襲のシーンだったか、忘れたが呉と言う地名の謂れが印象的であった。後でグーグルマップで地形を調べたら、たしかにここは天然の要塞。戦艦大和が建造されるのにふさわしい地である。
「灰ヶ峰」をはじめとする呉一帯をつつむ連峰を「九嶺(きゅうれい)」と呼びそれが訛って「 くれ」になったという説があります…

(抜粋)
季語別 田中貞雄句集を読んで(特徴を中心に)

俳誌のサロン 2015・5・10

貞雄さんとのおつき合いは、そもそも俳句初学の頃
俳句結社 濱の同人であった 下田稔氏の教えを共に
受けたというご縁であった。句会を共にするように
なって15年を経た。目下、作句力は爆発しているようだ。

▼ご自宅周辺
お住まいは横須賀 田浦 。軍港に近く港町に因んだ町名が
多い。因みに、田浦 長浦 船越 汀橋等々…
とりわけ〝潜水艦が街の顔〟の句は、自宅周辺を詠って秀逸
である。

ぼんやりと尾をひく汽笛年替はる
艦艇の舳先ずらりと年迎ふ
初明り潜水艦が街の顔
浅蜊汁分の浅蜊を採つて足る
きぶし咲く素掘隧道出入口
春眠を引きずるやうに油槽船
泣き言の代りに鳴らす海酸漿
軍艦碑竜舌蘭を供花とせむ
釣瓶落し艦旗降納見届けて
行く年の憂さの捨て場の転舵渦
釣瓶落し艦旗降納見届けて
潮溜りあれば覗きて秋うらら

●冬しんしん妻の塗絵の根気よき
高齢者が塗り絵をするシーンと言えば、デイケアでよく見かけるところ。
ちょっと切ない一句。わが妻と思えば…。

●年の市身を乗り出せる嗄れ声
かって浅草 浅草寺の年の市に出向いたことがあった。この年の市、元来、仲買人が相手で
小売は無かったのではなかろうか?冬の寒さの中、股火鉢でもしながらの商売であった。
こんな中で詠んだ拙句は

年の市海山の幸積み上げて さざなみやっこ
神棚の値切り落とさる年の市 HAIKU199812sono3

健脚であった当時を懐かしむばかり。

●冬牡丹眺め居る間の陽の翳り
わたしの感覚では、「眺め居る間の」では無く「眺め居る間を」である。
いろいろな日の翳りの句があろうが、冬牡丹への日の翳りは、微妙であり、格別である。
かっての上野 牡丹園での寒牡丹当日詠の興奮を思い出す。拙作(細見綾子特選)は以下。
寒牡丹こゑあたたかく讃へらる ねずみのこまくら 昭和五十八年

●七日粥泣くも笑ふも一人なり
泣くも笑ふも一人 とは切ない。
孤独に耐えるのが老人の仕事 と言ったのが佐藤愛子。
今 彼女の 「九十歳。何がめでたい」を読んでる最中。
キンドルのペーパーホワイトを買ったので、これからは全て電子書籍。
寝床の真っ暗闇でポーッとした明りの中で読んでるいる。
# by 575fudemakase | 2017-02-20 18:06 | 句評など | Trackback | Comments(0)

のつぺい汁 の俳句

のつぺい汁 の俳句
のつぺい汁

うろたへて嘘言ふ老母のつぺい汁 草間時彦
のっぺい汁妻の都会になじめざる 柴崎左田男
のっぺ汁伽藍にひびく夜の音 渡辺七三郎
のっぺ汁絶やさずあれば機嫌よき 相馬真砂子
のつぺい汁伽藍にひびく夜の音 渡辺七三郎
のつぺい汁妻の都会になじめざる 紫崎左田男
のつぺい汁昔ぜいたく憎みけり 宮田静江
のつぺい汁朝くらきよりニュース聞く 香取佳津見
のつぺ汁伽藍にひびく夜の音 渡辺七三郎
のつぺ汁昔ぜいたく憎みけり 宮田静江
のつぺ汁狐の化けしものがたり 町田しげき
もてなしの雨降る寺ののっぺい汁 吉村敏子
わかたれて湯気のつながるのつぺい汁 鷹羽狩行
ダイヤモンド婚振舞ののつぺ汁 津幡龍峰
初午やのつぺい汁に小豆飯 小杉余子 余子句選
夜は佐渡をかくしてしまふのつぺ汁 永方裕子
大祓ひ済ませし称宜にのっぺ汁 宇野犂子
婆依怙地爺臍曲がりのつぺ汁 川村紫陽
愚に生きて天下泰平のつぺ汁 松下みどり
散りし子ら集ひて夜ののつぺ汁 川端鶸子
病人の一と匙で足るのつぺ汁 前内木耳
百年の柱を前にのつぺ汁 水田光雄
節分やちろ~燃ゆるのつぺ汁 鬼城
萩料理のつぺい汁もその一つ 伊藤柏翠
貧山の故の気楽さのつぺ汁 中島不識洞
車座に宇宙の話のつぺ汁 赤尾恵以
飯冷えて氷のごとしのつぺ汁 山田土偶

のつぺい汁 補遺

のつぺいをうち啜るまに牛歩む 阿波野青畝
わかたれて湯気のつながるのつぺい汁 鷹羽狩行
闇汁がのつぺとなつて残りけり 阿波野青畝

以上

# by 575fudemakase | 2017-02-17 20:23 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

巻繊汁 の俳句

巻繊汁 の俳句

巻繊汁

あつあつのけんちん汁に風邪抜かん 高澤良一 鳩信
うから寄りけんちん汁の炉を囲む 高野彩里
けんちんの煮汁焦げ付く自在鉤 酒井 武
けんちんの熱きが今日のもてなしと 原千代子
けんちん汁とろ火の雪となりゐたり 影島智子
けんちん汁の湯気のむかふの月日寂ぶ 黒坂綾子 『黙契の虹』
けんちん汁二日の留守の詫びごころ 影島智子
けんちん汁伝はる寺の総枯木 高澤良一 暮津
けんちん汁椀大ぶりに母の里 田村恵子
けんちん汁母ありし日は貧しかりし 松崎鉄之介
けんちん汁母となる娘とぬくめ合ふ 浅見紀美子
けんちん汁温めなほして一人の餉 藤本スエ子
けんちん汁鍋すぐ煮立つ小家族 今泉式女
とっぷり暮れたつぷりけんちん汁盛らる 村越化石
北に行く旅の昼餉のけんちん汁 武田光子
妻留守の夜はぬくめてけんちん汁 加藤武夫
少し手をかけてけんちん汁となる 稲畑汀子
山の宿けんちん汁の香に明くる 設楽雅衛
故郷がけんちん汁に混み合へり 松浦敬親
本杓子の使ひ減りしてけんちん汁 斉藤葉子
藍茸のにほひかなしきけんちん汁 7土師清二
門前茶屋母好みけるけんちん汁 田中英子
飲食に休みのなくてけんちん汁 八牧美喜子


巻繊汁 補遺

けんちん汁母在りし日は貧しかりし 松崎鉄之介
鳥雲に巻繊汁に湯葉入れて 岡井省二 鹿野


以上

# by 575fudemakase | 2017-02-17 20:21 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)

塩汁鍋 の俳句

塩汁鍋 の俳句

塩汁鍋

これやこの男鹿のしよつつる賞味せむ 高澤良一 ももすずめ
しよつつる鍋煮えて飛び交ふ秋塩汁鍋田弁 高澤良一 ももすずめ
だらだらと塩汁鍋を食い終る 皆川盤水
マズルカを弾きこなし得ず塩汁鍋 赤尾恵以
上つぱり脱いでしよつつる招ばれけり 高澤良一 ももすずめ
塩汁の土鍋の鍔の錆びきたり 久須美良平
白魚に濃き塩汁といふなかれ(こと欠くをこのごろのならひにて) 『定本石橋秀野句文集』


塩汁 補遺

白魚に濃き塩汁といふなかれ 石橋秀野
箸楽ししよつつる鍋の貝ふらふら 阿波野青畝


以上

# by 575fudemakase | 2017-02-17 20:17 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)


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らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
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▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

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表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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