冬の日(その2)

冬の日(その2)

冬の日 冬日 冬日向 冬日影 の例句
(俳句例句DBより)




天の冬日烈風の富士に炎え熄まず 渡邊水巴 富士
天窓をこぼるる冬日猫の皿 細川加賀 『傷痕』
妻の命は冬日を胸に戴するなり 齋藤玄 『玄』
妻を見る冬日さらさら森澄雄 寺田京子 日の鷹
姉弟の遺稿冬日に重ねおく 宇多喜代子 象
子を褒むる言葉匂はす冬日の卓 林翔 和紙
子乞食に冬日あつめてドウムの扉 竹下しづの女 [はやて]
子供ゐて人形寺の冬日かな 細川加賀 生身魂
子育ての時間冬日の射す時間 中山純子 沙羅
孕みつつ枳殻の少しの冬日を惜むぞ 梅林句屑 喜谷六花
安兵衛の鎖じゆばんの冬日かな 小島千架子
家を去る柩のはやき冬日かな 飯田蛇笏
家族ゐぬとき冬日の忍び寄る 百合山羽公 故園
富士茜真紅の冬日しづみければ 篠原梵 雨
寝返れど半身いつも冬日享く 篠原梵 雨
寡黙な鉄材身の錆び冬日の黄より濃し 磯貝碧蹄館 握手
寸織つて冬日を逃がす結城機 石川桂郎
寺の畑冬日さらさらさらさらと 岸田稚魚
寺町や瓦に触れて冬日あり 殿村莵絲子 雨 月
封筒の中の冬日のただ遠く 山西雅子
屈葬の過去も冬日を母として 有馬朗人 母国
屋根石の一つを冬日ゐざりそむ 森田峠
山の端にころがる冬日忌を修す 岸田稚魚 筍流し
山取れて墓あらはなる冬日かな 青木重行
山坂や冬日は秀野亡き後も 清水基吉 寒蕭々
山川の冬日を流すところあり 北垣宵一
山登る常に眉間にある冬日 福田蓼汀 山火
山肌の濃紫なる冬日かな 『定本石橋秀野句文集』
山茶花の紅を逃げたる冬日かな 阿部みどり女
山藤の蔓はね上がる冬日かな 岸本尚毅 選集「氷」
山門をつき抜けてゐる冬日かな 高濱年尾 年尾句集
山頂の松一本に冬日あり 高木晴子 晴居
岩山に冬日的*れき友の婚 木村蕪城 寒泉
岬に来て芭蕉と同じ冬日の下 原田喬
峡移る冬日墓域を取り遺し 河野南畦 湖の森
川波や冬日あたれる家の下 佐野良太 樫
工場の塀の冬日に沿うて住む 石橋辰之助
左眼閉づれば右眼の冬日忽と消ゆ 安住敦
師よりの金妻よりの金冬日満つ 石田波郷
常盤木の葉のてらてらと冬日かな 飯田蛇笏 山廬集
帽子の中の冬日や人に逢ひ度くて 内藤吐天 鳴海抄
年輪と冬日を杣が会はせけり 都筑智子
幹太く冬日は左右にある如し 戸川稲村
広前は石も犇めく冬日かな 久米正雄 返り花
庭石に斑にさせば冬日かな 久保田万太郎 流寓抄
庵さびれゆくにつけても冬日艶 高木晴子
廟の扉を開けば冬日流れ入る 五十嵐播水 埠頭
弟つれ髪刈つてきて冬日の中 古沢太穂 古沢太穂句集
影よりも淡きわれ行く冬日かな 土橋たかを
影落して木精あそベる冬日かな 渡辺水巴 白日
彼の森の名はなに三輪の冬日落つ 高木晴子 花 季
御仏の蒲団は薄き冬日かな 阿部次郎
悔ゆる身を忘ぜんとする冬日かな 飯田蛇笏 雪峡
悲しめば我れに冬日のいと親し 高橋淡路女 梶の葉
愛銃を冬日あかるき木にもたせ 百合山羽公 故園
我が庭や冬日健康冬木健康 高浜虚子
我に大きく冬日の電車とまりけり 島村元句集
手のひらに載せる冬日や北の国 北光星
手品師の手の鉄の輪にさす冬日 皆吉司
手漉紙丹念に積む冬日溜め 柴田白葉女
打ち減りし魚板の腹や冬日さす 大谷句佛 我は我
投函へ冬日ぬくめる肩たぬし 原田種茅 径
抜きん出て冬日を峨々と荒削り 加藤耕子
抱き上げて冬日のにほふ子供かな 中島斌雄(たけお)(1908-88)
拍手の二つひゞきし冬日かな 高野素十
指先の冬日逃げゆく嵯峨野径 谷口桂子
教官を囲みて叉銃のみに輝やかな冬日 シヤツと雑草 栗林一石路
斑鳩の鴟尾に小さな冬日落つ 角川春樹 夢殿
方寸亭二階の冬日あたたかし 鈴木しげを
旅景色描くパレット冬日溜め 脇田絹子
旅果ての灘をけぶらす冬日あり 高瀬哲夫
旗のごとくなびく冬日をふと見たり 高浜虚子
日時計に針なく冬日移ろふや 下村ひろし 西陲集
昼過ぎてやや頼もしき冬日かな 岩田由美
智恵の輪にさしこんでをる冬日かな 京極杞陽
暖き冬日あり甘き空気あり 高浜虚子
暖流の魚族の階に冬日届く 中戸川朝人
暮天の冬日掴み来たれよかじかむ子 細谷源二 砂金帯
書庫の塵冬日親しくなりにけり 飯田蛇笏 椿花集
朝雀冬日はさやの出雲ぶり 清水基吉 寒蕭々
木に草に冬日の影を風あそぶ 加藤耕子
束の間に冬日逃がせし古机 小林康治 『虚實』
松のあひだに鎌倉はある冬日かな 長谷川かな女 雨 月
松の間の冬日に黒き松江城 高木晴子 花 季
松山に無人の冬日なまめきて 飯田龍太
枇杷の樹によき小禽来る冬日かな 江戸庵句集 籾山庭後
枝に透いて鳥かげ迅き冬日かな 室生犀星
枯葉払つて竹の高さの冬日かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
柏槇の岬の冬日賜ふ句碑 阿部みどり女
柚子冬日父の白眉開くかに 宇佐美魚目 秋収冬蔵
柱に透いて鳥かげ迅き冬日かな 室生犀星 魚眠洞發句集
校の冬日にうずくまる児よ腹へるか 赤城さかえ句集
校塔の冬日はうすれ青春失せ 岩田昌寿 地の塩
根方まで冬日が当り気さくな木 高澤良一 ももすずめ
桐の木にありし冬日の失せにけり 加倉井秋を
桐の木の冬日と睦みゐる上枝 高澤良一 燕音
桐畑の冬日に透けて死後の顔 宇佐美魚目 秋収冬蔵
桑も戦列冬日くわしき枝をあげて 赤城さかえ句集
梅林の冬日素通しなる明るさ 細見綾子 黄 瀬
棕櫚の辺の冬日の欄干港町 木村蕪城 寒泉
椅子に在り冬日は燃えて近づき来 松本たかし
椋鳥がかこめばくるふ冬日かな 加藤楸邨
楼門の中に冬日の山なだらか 遠藤梧逸
歳月に減りし漉桁冬日に干す 成瀬桜桃子 風色
死ぬ日までわが世終らず身の冬日 稲垣きくの 黄 瀬
死の寸前冬日の中まで見えるかも知れぬ 細谷源二
死や生や冬日のベルト止むときなし 加藤楸邨
母の忌のこの日の冬日なつかしむ 高野素十
母の背を蹴って冬日へ泣きあげる 川口重美
母の衣たたむ冬日に母を撫づるごと 野澤節子 黄 瀬
母よ母よ冬日に繭のごと眠り 橋本榮治 麦生
母恩恋ふ訃の一枝に冬日集め 岩田昌寿 地の塩
母老いしや冬日に浮ぶ峠あり 村越化石
水に泛く冬日掌にとるやうに死後 長谷川双魚 風形
水上は冬日たまりて暖かし 前田普羅 飛騨紬
水口の止板にある冬日かな 岡井省二
氷挽ききつていきれる冬日の鋸 古沢太穂 古沢太穂句集
汐木拾へば磯べに冬日したゝれり 原 石鼎
汐汲みの汐こぼしゆく冬日かな 鈴木真砂女 生簀籠
河原冬日子より眠しや子守歌 古沢太穂 古沢太穂句集
油垢しむ櫛筥に冬日かな 飯田蛇笏 山廬集
沼底にわれを居竦め青冬日 羽部洞然
沼底に沈みて小き冬日かな 比叡 野村泊月
波郷忌や安房の冬日をふところに 椎橋清翠
泣く眼と笑う眼ともに冬日をくちやくちやに 細谷源二
浜松の中の冬日に庵せる 高濱年尾 年尾句集
浪の背にのる舟冬日燦として 柴田白葉女 遠い橋
海へ人を送つてしまつた冬日の卓 シヤツと雑草 栗林一石路
消えたがる冬日掴んで仏手柑 町田しげき
涙腺をもたぬ木馬に冬日が射す 磯貝碧蹄館 握手
淡々と冬日は波を渡りけり 稲畑汀子
温室仕事冬日二つを戴きつ 羽部洞然
滑る冬日群集の中の声追いゆき 寺田京子 日の鷹
滴る冬日血を弾ませて濯ぐ妻に 磯貝碧蹄館 握手
火山灰散つてくるおほぞらの冬日かな 鷲谷七菜子 花寂び 以後
火舎纏く冬日へ火舎の天人笑みこぼす 磯貝碧蹄館 握手
煙突の煙にかげる冬日かな 松藤夏山 夏山句集
燈籠の笠の冬日がまづ消ゆる 阿部みどり女
燦然と大名竹に冬日かな 松藤夏山 夏山句集
父が正坐なしゐて冬日さびしくす 寺田京子
父の死顔そこを冬日の白レグホン 森澄雄 花眼
父を待つ杣の子に椎の冬日消ゆ 石島雉子郎
犬赤し冬日が洩れて馳け出す 岩田昌寿 地の塩
狼葬の草原にある冬日かな 島田 柊
猿のつら皆枯れてある冬日かな 野村喜舟
獄出でしや曇り日一点の冬日ほのか 古沢太穂 古沢太穂句集
獅子像を過ぎて城見ゆ冬日かな 宮武寒々 朱卓
玉階の高きところに冬日かな 遠藤梧逸
玲瓏たる冬日秘仏に焦がれ逢ふ 稲垣きくの 黄 瀬
玻璃を透く冬日の中にゐる懈さ 高澤良一 寒暑
珠のごと生まれ冬日の寵を受く 伊東宏晃
球根を埋めて冬日を均しけり 清水忠彦
環濠を屈曲したる冬日かな 島田一耕史
生徒騒がせ冬日の心燃えずをり 林翔 和紙
生涯を冬日のごとく幾つまづき 西本一都 景色
田のへりに藁ばかま洒れ冬日かな 原石鼎 花影以後
田鶴舞ふや眩し冬日を端山にし 森川暁水 淀
留守居して夕影になる冬日かな 小澤碧童 碧童句集
病得し身にあたたかき冬日あり 藤松遊子
瘤欅すんなり欅冬日浴ぶ 高澤良一 ぱらりとせ
癌きらふ如くに冬日すぐかげり 菖蒲あや 路 地
白といふさびしさ冬日の下着売 岡本眸
白墨の埃冬日の窓開くる 波多野爽波 鋪道の花
白焔の縁の緑や冬日燃ゆ 松本たかし
白粥の老人冬日たゆたひて 松村蒼石 雪
白銀の重き冬日が山にありぬ 岡田日郎
百合根煮て冬日のごとき妻たらむ 石田あき子 見舞籠
百花園冬日衰へゆきにけり 上野泰 春潮
目つむればまぶたにぬくき冬日かな 中村汀女
目を押へたるハンカチに冬日かな 細川加賀 生身魂
眠る岩立ちあがる岩冬日濃し 細川加賀
眼白頬白一つ籠なる冬日かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
石の相時にやさしく冬日濃し 星野瞳
石臼も父の匂ひよ冬日みち 古賀まり子 降誕歌
石階を踏みて冬日に近づきぬ 後藤夜半 底紅
砂雪隠螢光色に冬日溜め 殿村莵絲子 遠い橋
稲干のもも手はたらく冬日かな 立花北枝
空を航く冬日に顔の彫ふかめて 横山白虹
空港の青き冬日に人あゆむ 西東三鬼
空溝に冬日とゞまることしばし 石橋辰之助
竹むらに冬日こん~とさす一村 乙字俳句集 大須賀乙字
竹垣よごれたちから~な冬日の惜しぞ 小澤碧童 碧童句集
笹にさす冬日いみじき喪にありぬ 藤木清子
節穴の冬日玉なす酒母に射す 桂樟蹊子
簀の葭の一すぢ一すぢ冬日沁む 林翔 和紙
米俵金となりゆく冬日閑 瀧春一 菜園
糞る犬のすまなさうなる貌に冬日 高澤良一 宿好
純白な鶏に冬日がまはり来る 阿部みどり女
紙芝居冬日しばらくとどまれり 北見さとる
紙芝居抽斗に冬日蔵ひこむ 鈴木貞雄
編笠に須臾の冬日の燃えにけり 『定本石橋秀野句文集』
緻密な冬日刷毛が地にありのまゝに 磯貝碧蹄館 握手
縁はなし冬日珠なす晩年など 安住敦
繃帯とれば冬日に足のかたちかな 龍胆 長谷川かな女
翔けるものなく天城嶺の冬日かな 五所平之助
翔ぶものを許す冬日の大菩薩 飯田龍太
耳病めば冬日かゞやきわたるかな 右城暮石 声と声
職を追ふ呆け赤靴冬日沁む 小林康治 玄霜
腰下ろせよと冬日の石のひとつひとつ 上野さち子
臼立てゝ挽かでしまひし冬日かな 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
舵輪廻す一段高く冬日享け 津田清子
船よせて漁る岸の冬日かな 飯田蛇笏 山廬集
船腹に冬日とびつく朝の航 上田日差子
芝のやさしさは冬日が来てきめる 後藤比奈夫 花匂ひ
芝原の石の影ある冬日かな 野村喜舟 小石川
花のひらくごとく冬日の射しにけり 瀧春一
苦虫の遺影に冬日届きけり 嶋田麻紀
茶の花に煤来てかげる冬日かな 島村元句集
草に消ゆる囚屋の外の冬日かな 雑草 長谷川零餘子
荷をおろす漁婦の肩いま冬日乗る 中山純子 沙羅
落葉松に没る傷まみれなる冬日 福永耕二
著けたまふ淡き冬日の色のもの 相生垣瓜人 微茫集
葛城路まゆごもりせる冬日かな 伊藤敬子
葛根掘るうしろ冬日の沈む海 清川とみ子
葬の前の物争ひや冬日落つ 石島雉子郎
蕪村忌や山ふところの冬日濃し 中田余瓶
薄き冬日枯木の瘤に集中す 菖蒲あや 路 地
薬塗るやうに冬日を背に当つる 岡本眸
藍生きて冬日の布に染み憑きぬ 柴田白葉女 遠い橋
藪の端を染むる冬日の仄かにも 飯田蛇笏 椿花集
虎臥城をはづれんとする冬日かな 京極杞陽
虚子育てたる予の国の冬日かな 上崎暮潮
蛇百頭百舌冬日嘗めてをり 松山足羽
蜂死して机上の冬日おとろへず 内藤吐天 鳴海抄
蜘蛛歩く冬日の呉れし力だけ 中戸川朝人
街はろか冬日落ち込むところあり 小畑一天
裳の過ぎて瓦斯火片消ゆ冬日かな 宮武寒々 朱卓
襟白く坐して冬日を浄らにす 柴田白葉女
見下してゐる間に冬日移る街 波多野爽波 鋪道の花
角を磨ぐ牛木隠れに冬日かな 乙字俳句集 大須賀乙字
詣で去る維摩の像に冬日かな 雑草 長谷川零餘子
誇らかに牛を撫でをり冬日の中 永田耕一郎 氷紋
豚どもは言葉あるごと冬日押す 桜井博道 海上
象には象の冬日ことりとある寝部屋 栗林千津
貝掘りやほぐれ波くる潟冬日 冬葉第一句集 吉田冬葉
貴重な冬日雑役夫の手がクレーン撫でて 磯貝碧蹄館 握手
賞与の額冬日はいつも斜から 北野民夫
赤松に冬日押し照る豪徳寺 高澤良一 宿好
足柄古道よぎる蜥蜴の貌に冬日 高澤良一 ももすずめ
足湿る冬日の巨象昭和逝く 柴崎左田男
路地路地に冬日が低し海の街 金箱戈止夫
追分の冬日溜めゐる路傍の石 長谷川かな女 花寂び
逃げ足といふが冬日にありにけり 粟津松彩子
通天の庇に冬日ありや無しや 後藤夜半
造船所砦のごとし冬日西 五十嵐播水 埠頭
遅起きの冬日が逃げてゐる芽鉢 林原耒井 蜩
遊ぶごと冬日の今の在りどころ 殿村莵絲子
道の辺や冬日にぬくむ塚の膚 小林康治 玄霜
道元元(もと)元(もと)冬日親鸞も亦また 永田耕衣 人生
道曲りはたと冬日に包まれて 千原叡子
道草の子の背に冬日落ちにけり 谷口桂子
遠くより見守るごとく冬日あり 遠藤睦子
遠く斑ら牛はつきり見えるそれだけの景色冬日の村 安斎櫻[カイ]子
那須五峰冬日に黒さつらねけり 渡邊水巴 富士
都心やや離れ冬日の塀洗ふ 木村蕪城 寒泉
野の冬日恋ひて逃避のこころ湧く 瀧春一 菜園
野の冬日貞任橋の上に燃ゆ 田村了咲
野を貫く郵吏貨幣以上の冬日の円 磯貝碧蹄館 握手
野鳩来る冬日の磨く句碑の上 長谷川かな女 花 季
金色を冬日はぐくみゐたりけり 松崎鉄之介
金輪際牛の笑はぬ冬日かな 飯田蛇笏
金魚田に冬日みごもり海の音(芭蕉のやどりし佐屋の渡(愛知県)は桑名行の舟だまりなりしが蒼海すでに陸と変じぬ) 角川源義 『神々の宴』
鉄を下し冬日の馬に水やりいる 古沢太穂 古沢太穂句集
鉈の刃をむけて冬日の光りけり 百合山羽公 故園
銀献納冬日が凍るいとまなし 萩原麦草 麦嵐
銅版画冬日堕ちゆき混み合う鳥 中島斌雄
鋏研ぐ老の背にある冬日かな 今泉貞鳳
鍵かけるうしろに冬日来てゐたり 谷口桂子
鎌倉の谷戸の冬日を恋ひ歩く 星野立子
鏡かけ派手に冬日の燃えつづく 柴田白葉女 遠い橋
門に消え門前の欅に冬日かな 石島雉子郎
防毒マスク路次駆け冬日呆けたり 岸風三楼 往来
陸橋の風のむかうにある冬日 富澤赤黄男
隠れ岩冬日もつとも永かりき 齋藤玄 飛雪
雨戸引く顔にあたりし冬日かな 阿部みどり女
雨雲のどこかを渡りゐる冬日 塙告冬
雲にのる冬日をみたり仏山忌 飯田蛇笏 山廬集
雲を叱る神あらん冬日夕磨ぎに 河東碧梧桐
雲厚く大川ンに乗る冬日かな 松村蒼石 寒鶯抄
電車すぎ大き冬日が河に没る 柴田白葉女
青冬日めがけ火の山駈く砂塵 羽部洞然
靡かずに歪む冬日となりにけり 中田剛 珠樹以後
靴磨く街の冬日は肩に消ゆ 西島麥南
靴紐を結ぶ冬日を手ではじき 高橋沐石
顔に来る冬日に甘えつゝ歩く 嶋田摩耶子
飛騨の山冬日とわれが今日は越ゆ 岡田日郎
食器重く座せば冬日は分裂す 岩田昌寿 地の塩
飢餓の手の習作冬日蕊ながし 宇佐美魚目 秋収冬蔵
首まで掘り土工の冬日すでに落つ 古館曹人
骨屑のごとき冬日や黒怒濤 齋藤玄 『狩眼』
髭焦げし猫がをるなり冬日宿 冬葉第一句集 吉田冬葉
魂しづむ冬日の墓地を通るかな 飯田蛇笏 雪峡
鯛寄るや千尋の底にさす冬日 白水郎句集 大場白水郎
鯨肉揚ぐ影が鯨肉に冬日かな 小原菁々子
鳥唄ふ冬日に深き愁ひとは 阿部みどり女
鴈やふたかみ山に冬日落つ 角川春樹 夢殿
鴉行く沖の冬日の覚えかな 齋藤玄 飛雪
鵜の群の栖み枯らす松の冬日かな 大場白水郎 散木集
鵜は舟に鴉は山に冬日かな 飯田蛇笏 霊芝
鶴摶てば冬日カラカラ壊れけり 富澤赤黄男
鶸わたる冬日の下はひろかりき 高橋馬相 秋山越
鷹とんで冬日あまぬし竜ケ嶽 前田普羅 新訂普羅句集
鸚鵡飼ふめしひにぬくき冬日かな 石原舟月 山鵲
鹽買ふや紫がかる冬日暮 細見綾子
鹿の中鹿ひた急ぐ冬日かな 岸田稚魚(1918-88)
麦畑の起き伏し冬日わたるなり 瀧春一 菜園
黄檗の冬日しんかんたる石廊 加藤楸邨
すっぽりと湯町の入る冬日向 高澤良一 鳩信
つぶやきの子の英単語冬日向 島田高志
どんぐりを拾へば根あり冬日向 藺草慶子
ひとのことばかり知りをり冬日向 石原舟月
ランチ見本覗く老人冬日向 嶋田麻紀
一人子のおもちやで遊ぶ冬日向 山根きぬえ
冬日向なり崖の縞模様 中田剛 珠樹以後
冬日向ふるさとの山近づいて 藍原弘和
冬日向ガス検針夫よぎりけり 森重昭
冬日向力の抜けてゆく楽し 高木晴子 花 季
冬日向向きを替へては達磨干す 吉田鈴子
冬日向夫の庭師の高梯子 蕪木啓子
冬日向女やさしく牛を出す 瀧澤伊代次
冬日向待ち針といふ名もやさし 矢島房利
冬日向渡り歩いて病院へ 高澤良一 宿好
冬日向犬のおほきな耳を愛す 大野林火
冬日向足音いづこにもあらず 飯田龍太
冬日向跛あゆめり羽摶つごと 小林康治 玄霜
土は土に隠れて深し冬日向 三橋敏雄
子の後を烏が歩く冬日向 石川桂郎 含羞
影とんでまり飛んで来し冬日向 千原叡子
我と云ふ友もありけり冬日向 水島稔
時々は話にまじり冬日向 高木晴子 晴居
段取りをさらってをりぬ冬日向 高澤良一 素抱
海鳴りのもみくだきをり冬日向 平井照敏 天上大風
灌木の上なる顔が冬日向 鳥居おさむ
父を待つ銀座の角の冬日向 伊藤いと子
父母あらず到るところに冬日向 沼尻巳津子
痩身の冬日向恋ふことしきり 高木晴子 花 季
石段は水塚の高さ冬日向 落合水尾
穴あらば落ちて遊ばん冬日向 中尾寿美子
竹の葉や近くは黒し冬日向 滝井孝作 浮寝鳥
納め繭より蛾の生れゐて冬日向 伊藤いと子
谷の冬日向日向に墓据ゑて 鷲谷七菜子 花寂び
遺書父になし母になし冬日向 飯田龍太 忘音
金の事思ふてゐるや冬日向 籾山庭後
鶏犬われ眼つむるによき冬日向 村越化石 山國抄
からまつの散りて影なし冬日影 前田普羅 飛騨紬
さらばうて蟷螂めくよ冬日影 永井龍男
とがりたる肩診てあれば冬日影 横山白虹
むざ~と七百の墓冬日影 斎藤空華 空華句集
人の子を抱いて句作る冬日影 西島麦南 人音
冬日影うつろひ易き軒端かな 青峰集 島田青峰
冬日影人の生死にかかはらず 飯田蛇笏 椿花集
冬日影楮沈めし水おほふ 篠原梵 雨
冬日影耳にとまりて暖かし 前田普羅
大寺の柱を塗るや冬日影 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
大庫裏の砂や木の葉や冬日影 寒烟(かんえん)喜谷六花、内田易川編
天一物も与ふなきこの冬日影 飯田蛇笏 椿花集
玉砂利や塵ひとつなき冬日影 石川桂郎 高蘆
碧潭をうつせし水に冬日影 右城暮石
結ひかへて髪気に入らず冬日影 雑草 長谷川零餘子
絨毯のあしおと吸うて冬日影 飯田蛇笏 春蘭
風落つる枯藪高し冬日影 芥川龍之介 我鬼句抄
髭剃つて顔晏如たり冬日影 飯田蛇笏 霊芝
冬入日屯の炊煙透きとほし 永井龍男
冬入日松の根崖にとりすがり 林翔 和紙
冬朝日のてりこどものこゝろ一ぱいににはとり 中塚一碧樓
冬没日あかるき土は子を集め 大井雅人
冬没日まざと人ゐる地のくらさ 柴田白葉女 花寂び 以後
冬没日まぶしおのれのたかさなる 川島彷徨子 榛の木
冬没日玻璃の汚れにとどまりぬ 堤高嶺
冬没日瑪瑙の中に富士は凍て 永井龍男
炭田に赤馬彳てり冬没日 三谷昭 獣身
飛機墜ちる遙けきものに冬没日 対馬康子 吾亦紅



以上
by 575fudemakase | 2013-12-08 08:51 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

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