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三日 三ヶ日

三日 三ヶ日

例句を挙げる。

●三日
*さよりの子泳ぐ三日の船だまり 山内美津男
あたたかし三日の森の弱音鵙 星野麦丘人
お降の雪となりゐし三日かな 高浜年尾
じやんけんに勝負問はずよ子の三日 上田日差子
つけて消す口紅山形に三日 渋谷道
はや不和の三日の土を耕せる 鈴木六林男
ばら色に三日は暮れて不漁なり 柴田白葉女
ふだん着で通し三日も過ぎにけり 高澤良一 ももすずめ
よく晴れて三日の坐り机かな 黒田杏子
パンジーを跨ぎ三日の郵便夫 山尾玉藻
一月三日は霜のとけて乾いた道の鶴が岡 詣る 荻原井泉水
万屋が三尺開けて三日かな 伊東辰之丞
三日、強風、"金色夜叉"の夜に入れり 久保田万太郎 流寓抄以後
三日きざむ南の国の蕗の薹 小池文子 巴里蕭条
三日の客羽衣舞うて失せにけり 文挟夫佐恵 遠い橋
三日の灯入りて男宮の常夜燈 高澤良一 鳩信
三日の雪払ひて高山陣屋前 高澤良一 随笑
三日はやあつけらかんの鴉かな 花畑圭郎
三日はやもの書きといふ修羅あそび 鍵和田釉子
三日はやカレーの匂ふ白き家 西村倭文子
三日はや双手を垂れて疲れけり 石田あき子 見舞籠
三日はや四手かゝれり滑川 久保田万太郎 流寓抄
三日はや小童が足袋破れ初む 石塚友二 光塵
三日はや峡のこだまは炭曳くこゑ 加藤楸邨
三日はや新聞怒ること多し 岡部六弥太
三日はや暁闇洩るる杜氏の唄 小坂 灯村
三日はや木に書く文字の音すなり 飯田龍太
三日はや木綿のような風と居る 野木桃花
三日はや海女ほゝかむりして通る 谷口 三居
三日はや混みあつてゐる鬼籍かな 川崎陽子
三日はや礼深くして炭売りぬ 菖蒲あや 路 地
三日はや船つくりゐる潮青し 山田麗眺子
三日はや達治を偲ぶ煙霞癖 石原八束 高野谿
三日はや釘箱さがす月あかり 中山純子 沙 羅以後
三日はや雲おほき日となりにけり 久保田万太郎 流寓抄
三日はや鶏の蹴散らす晒し藁 平子公一
三日はや鷹匠の目に戻りけり 宮坂静生
三日はや麦踏む人のあるはあり 長谷川素逝 村
三日ひとりまむかひて蠅うつくしき 小池文子 巴里蕭条
三日晴れ日輪海の空をわたる 水原秋櫻子
三日酔ふ月日も越も遥かにて 小池文子 巴里蕭条
九年母や三日の座禅会終りたる 善積ひろし
二日より三日の客の多かりし 芦川 巣洲
二日三日四日病む鳥声のほかはなく 石川桂郎 高蘆
人を待つことも楽しき三日かな 田伏幸一
今生れて髪濡れゐたる三日かな 都筑智子
何となく三日もすぎし膝小僧 野本ナヲ子
元日二日ことに三日の日和かな 高橋淡路女 梶の葉
刀匠の火の彩美しき三日かな 石原子
十姉妹の籠を日向に三日かな 高澤良一 ぱらりとせ
又もとの二人となりて三日果つ 加藤あき江
和服着て炭を切りゐる三日かな 黒川白舟
哲二忌となりし一月三日かな 阿部みどり女
夕暮れて髭剃つてゐる三日かな 淵脇護
夕桜焚き継ぐ三日の火色美し 文挟夫佐恵 雨 月
太平の酔や覚めさる事三日 尾崎紅葉
季寄せ繕ふだけをいとまに三日かな 東洋城千句
寂寞の眉整ふる三日かな 向笠和子
寺の子に従妹来てゐる三日かな 安部和子
屋根屋根の残雪若き三日かな 林原耒井 蜩
山牛蒡鶲も二日三日かな 加藤楸邨
山茱萸の道も三日を経にけるや 田中裕明 花間一壺
川せみも山せみも来し三日かな 大峯あきら
川床の藻のたゆたひも三日経て 高澤良一 ぱらりとせ
思はざる雪の三日の墓詣 伊達大門
拝所に海を敬ふ三日かな 本多静江
故郷去る三日の暮雪ちらつく中 田中鬼骨
木の股に生まれし雪も三日かな 堀米秋良
枯草のもう赤い芽の一月二日一月三日 栗林一石路
橋に見る夕陽の比枝も三日かな 宮武寒々 朱卓
正月や三日過ぐれば人古し 高桑闌更 (らんこう)(1726-1798)
歯朶反りし神へ三日の灯を捧ぐ 須田蘇風
母のもの仰山干して三日かな 山尾 玉藻
洗ひ場に水走り込む三日かな 高澤良一 ぱらりとせ
流れ藻を拾ひ三日の浜遊び 太田土男
湯の町の明けて三日の川床鳴る 高澤良一 寒暑
濡れしもの焚いて三日の碑に集ふ 野見山ひふみ
炉がたりも気のおとろふる三日かな 飯田蛇笏 山廬集
焚火跡ありて三日の杣の道 中森皎月
父の許に三日はやくも暮れゆけり 渡辺千枝子
独り身や三日の朝の小買物 高橋淡路女 梶の葉
産声を男の子とききし三日かな 上田日差子
男また眠つてしまふ三日かな 夏井いつき
癌の妻深き息継ぎ三日越ゆ 斎藤玄
白少し透きし三日の鏡餅 森澄雄
石舞台めぐる三日の畦匂ふ 古賀まり子
神官の妻の眉濃き三日かな 寺井谷子
空港に流す琴の音三日かな 直野秀子
窯主がまけて三日の湯呑みの値 高澤良一 鳩信
筑波山三日の雲をぽんと置き 高澤良一 素抱
籠居や三日のうちに思ふ貌 石川桂郎 含羞
紅ささぬ母娘に三日過ぎにけり 館岡沙緻
腰あげて三日の鴨を見にゆくか 鈴木しげを
舞ふ雪のこの白さもて三日かな 鞠絵由布子
船厨に海たひらかな三日過ぐ 友岡子郷
花札の松に三日の刻狂ふ 嶋田麻紀
蓬莱に名刺きたなき三日かな 寺田寅彦
蕗味噌になじみて三日輪島箸 中西舗土
西行庵雪が浄めし三日なり 福永耕二
誰も来ぬ三日や墨を磨り遊ぶ 殿村菟絲子
貧しさよ三日の雪も暮れかかる 三谷昭
輸かざりやすでに三日の隙間風 久保田万太郎 流寓抄
遊び田のうすらひつつく三日かな 高澤良一 寒暑
遠州の風出遅れし三日かな 本多千恵子
酒少し剰し三日も過ぎてけり 石塚友二
針折れてふつとさみしき三日かな 川端豊子
鉦太鼓谺し三日の山部落 福田蓼汀 秋風挽歌
門の歯朶三日の土に落ちてあり 松浜
雪の寺正月三日の高野豆腐 中山純子 沙羅
雪空となりし三日の夫婦客 久保田万太郎 流寓抄以後
雪靴に常の勤めの三日かな 相馬遷子 山国
雪飛びて三日の酒の了りけり 齋藤玄 飛雪
雷鳴つて三日の松を晴らしたり 長谷川かな女 牡 丹
飲み飽きて三日せせらぎ眩しくて 本宮夏嶺男
飲食の強火弱火と三日かな 林佑子
高階の三日の松に水を遣る 寺井谷子
鵙が鳴く三日埓なく夕まけて 石塚友二 光塵
鶏小屋のことにかまけて三日かな 高浜虚子
鶏鳴のすこし嗄れたる三日かな 水谷静眉
黒猫の眼が畑にをる三日かな 村上鬼城

●三が日
こゝろよき炭火のさまや三ケ日 飯田蛇笏
なすとなくするともなしに三ケ日 井上井月
ふくよかな大根煮がよし三ケ日 五十崎 朗
ふるさとに在る三ケ日雪止まず 今村青魚
ふるさとの海の香にあり三ケ日 鈴木真砂女
ポストまで歩く時間や三ケ日 横山芦石
一人居や思ふことなき三ケ日 夏目漱石
三が日だるまになれば粉雪ふる 八木三日女 落葉期
三が日木の家に木の音しきり 宇多喜代子 象
三ケ日いたはりし手を又使ふ 山口波津女
三ケ日つかはぬ葱のにほひ来つ 能村登四郎
三ケ日も書斎派と決む本買ひ込み 鈴木栄子
三ケ日やはらかきみち竹山に 岡井省二
三ケ日伊豆の湯宿に干物噛み 今泉貞鳳
三ケ日孫の玩具につまづきぬ 青木よしを
三ケ日幕張りて石屋魂ふやす 加倉井秋を
三ケ日手のり文鳥とも遊び 中嶋郷鬼
三ケ日早や過ぎ四日遅々と過ぎ 星野立子
三ケ日昨日と過ぎて湯豆腐す 小澤碧童 碧童句集
三ケ日書斎は隠れ部屋めきて 山田弘子
三ケ日睡魔と遊ぶ閑を得し 伊藤莫乍
三ケ日袴の皺に過ごしけり 前川素泉
三ケ日過ぎたる鯖の味噌煮かな 草間時彦
三ケ日閃き過ぎぬ松も過ぎぬ 石塚友二 光塵
三ケ日雪の白さにつかれけり 倉田素商
三ケ日静かにあれば静かに過ぐ 松崎鉄之介
京風のしきたりもよし三ケ日 田中玉夫
別れ住む子を客として三ケ日 井上土筆
喪隠りの塵も払はず三ケ日 清水基吉
夜は夜の楽しみのあり三ケ日 青柳薫也
好い三ケ日であつた妻のつぎものしている今晩 荻原井泉水
子ら寝たり年どし迅き三ケ日 土田互平
客もなき山の教師の三ケ日 赤堀五百里
寝て過す田舎教師の三ケ日 山下しげ人
山の温泉(ゆ)に骨抜きとなる三ケ日 高澤良一 寒暑
山中の鯉に麩をやる三ケ日 森澄雄
幼子の靴を増やして三が日 篠原ノリ子
数決めて雑煮あはれや三ケ日 石塚友二 光塵
暖炉焚くのみの奢りや三ケ日 殿村莵絲子
机上メモまだ白きまま三ケ日 吉屋信子
根の国の電波をさがす三が日 山本千之
沸き早きひとりの風呂や三ケ日 鈴木真砂女 夕螢
真鯉つと人の気配の三ケ日 長谷川久々子
神棚に神います灯や三ケ日 柿巷
箕の中に多賀のお多福三ケ日 伊藤敬子
腫れものも湯に温もりて三ケ日 高澤良一 寒暑
茫洋として夫がゐる三ケ日 柴田白葉女 花寂び 以後
薄墨のにじむを華と三ケ日 鳥居美智子
虚しさに似て倖せや三ケ日 柴田白葉女
街空に星粒揃ふ三ケ日 三木蒼生
貰ひ食ひの三ケ日暮れ痰つゝむ 岩田昌寿 地の塩
酒少し楽屋に出たる三ケ日 田中午次郎
門さして寺町さみし三ケ日 村上鬼城
門を出でず朝風呂立てゝ三ケ日 伊藤とほる
門番に餅を賜ふや三ケ日 子規句集 虚子・碧梧桐選
雪虫のかくまで碧き三ケ日 道山昭爾
風邪の子につき合ひ過ぎし三ケ日 稲畑汀子
風邪の身に艶なく過ぎし三ケ日 下村ひろし
食紅がひろがつてゆく三ケ日 宇多喜代子
飼牛に山と餌を盛り三ケ日 山下美典



以上
by 575fudemakase | 2014-01-03 09:21 | 新年の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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