一月

一月

例句を挙げる。

*ろうかんや一月沼の横たはり 石田波郷(1913-69)
ままかりや一月京のあたたかく 石川桂郎 高蘆
もの映す前一月の田の光 鷲谷七菜子 花寂び
一月が真竹のごとく立ち上がる ほんだゆき
一月となりけり雪も降りにけり 正岡子規
一月のうす日さしくる障子かな 久保田万太郎 流寓抄
一月のきのふに過ぎし机なり 晏梛みや子
一月のさよりの銀を一包み 辻桃子
一月のなかの一ト日の暮れにけり 金田咲子 全身
一月のひとの往来に村古るぶ 長谷川双魚 風形
一月のパゴダを洗ふ潮かな 小形さとる
一月の中流青き社務所あり 大峯あきら 鳥道
一月の全き骨を撮られおり 森田智子
一月の土明りして人住めり 長谷川双魚 風形
一月の天秤棒を拝しけり 磯貝碧蹄館
一月の孤りごころの雲ぞ能き 高澤良一 素抱
一月の寝室に置く*かりんの実 小檜山繁子
一月の小学校の懸り凧 下田稔
一月の山の容を父とせり 斎藤梅子
一月の山青し困った男かな 橋石 和栲
一月の川の匂いが重い真昼 山内嵩弘
一月の川一月の谷の中 飯田龍太(1920-)
一月の弦楽一弦亡命せり 攝津幸彦
一月の扇びらきに寺の樹々 長谷川双魚 風形
一月の手術台にのび魚のごとく 浅原六朗 紅鱒群
一月の旅に親しき筑紫の温泉 稲畑汀子
一月の日差しに泛けり骨ぼこり 辻桃子
一月の星座きりりと尾根を統べ 雨宮抱星
一月の松ななめなり一休寺 山本洋子
一月の松や真白き真砂ふむ 鍵和田[ゆう]子
一月の樹の香を放つ父の斧 前田秀子
一月の樹間緊つて鵙通す 田川飛旅子
一月の橋かなたにも橋が見ゆ 戸川稲村
一月の正しき日数鴛鴦の水 神尾久美子 桐の木
一月の汐鳴りさすが鞆の浦 鈴鹿野風呂 浜木綿
一月の汚れやすくてかなしき手 黒田杏子 木の椅子
一月の河を放ちし嶺しづか 岡本まち子
一月の波が押しゆく渡舟かな 橋本 榮治
一月の海まつさをに陸に着く 原田喬
一月の滝いんいんと白馬飼ふ 飯田龍太 麓の人
一月の漆の厚き神の沓 山本千代子
一月の火事いきいきと風下へ 三橋敏雄
一月の甘納豆はやせてます 坪内稔典
一月の産湯や艪櫂横たわり 中島斌雄
一月の畳ひかりて鯉衰ふ 飯島晴子
一月の白帆とのぼる蜜柑山 中拓夫
一月の眩しかりけり箒の柄 中田剛 珠樹以後
一月の瞳にとほぞらの雲の彩 鷲谷七菜子
一月の砂洲の白張り尽したる 伊藤京子
一月の空が真青久女の忌 猪島蘇風
一月の空に静止の観覧車 本宮哲郎
一月の空見て椿油かな 岡井省二
一月の空路を飛んで友の賀ヘ 下村ひろし 西陲集
一月の翡翆とほる御寺かな 大峯あきら
一月の翳くれなゐに江戸切子 鳥居美智子
一月の翳をつぶさに人あるく 長谷川双魚 風形
一月の花開く顔海へ向く 原裕 葦牙
一月の茜色沁む芝畠 岸田稚魚 筍流し
一月の荒神箒須磨の海 宇佐美魚目 天地存問
一月の菊畑つづく当麻みち 南部憲吉
一月の落葉も掃て神迎 蝶 夢
一月の角袖の鳶通りけり 鈴木しげを
一月の講の来てゐる山明り 平松良子
一月の野路川あれば川に沿ひ 野見山ひふみ
一月の野面や低く糸を干す 殿村莵絲子 雨 月
一月の釘ぎつしりと罐の中 皆吉司
一月の陽あたる畑や風の音 大谷句仏
一月の雪や桐の実疱(いも)の神 岡井省二
一月の雪晴れ金魚売通る 高濱年尾 年尾句集
一月の雲と語れる古箒 中嶋秀子
一月の音にはたらく青箒 能村登四郎 民話
一月の音もしづかに宮噴井 橋本 対楠
一月の風に飛び散る雨の粒 高澤良一 ぱらりとせ
一月の風花呼びて樅の黒 村越化石 山國抄
一月は鐘を鳴らせよ老いたれば 後藤綾子
一月も八日の風の照り曇り 藤田あけ烏 赤松
一月も終りの墓を洗ひけり 嶋田麻紀
一月やはしらわさびも煮こゞりも 久保田万太郎 草の丈
一月やほとけの花のゆきやなぎ 久保田万太郎 草の丈
一月や仏を刻む木の匂ひ 大峯あきら
一月や去年の日記なほ机辺 高浜虚子
一月や夜の来るごとき沼の色 藤田湘子
一月や妻得て起居華やがむ 石川桂郎 高蘆
一月や山中をくる狐憑 矢島渚男 梟
一月や平らな林海へ張り 藤田あけ烏 赤松
一月や日のよくあたる家ばかり 久保田万太郎 草の丈
一月や枝川にやまべ遊びゐて 山口草堂
一月や枯れ木の肌の日のぬくみ 小島政二郎
一月や水櫛すれば白髪消ゆ 八木林之助
一月や波除こゆるなみしぶき 久保田万太郎 流寓抄
一月や泣きたくなれば茅舎の句 殿村菟絲子 『菟絲』
一月や火事いきいきと風下へ 三橋敏雄
一月や田にかがやきて烏たち 有働亨 汐路
一月や穴を一一見る勿れ 永田耕衣 殺祖
一月や老母の死苦の愛語なす 永田耕衣 驢鳴集
一月や蜆の水に刃もの刺す 篠田悌二郎 風雪前
一月や裸身に竹の匂ひして 和田耕三郎
一月や谷を渡せる勧請綱 藤田あけ烏 赤松
一月や鉄を*きりだす鉄の鋸 磯貝碧蹄館 握手
一月一日のわが焚火す胸のあたゝまり 中塚一碧樓
一月一日の御朱印貰ひけり 加藤三七子
一月一日或る花を覚えている 鳴戸奈菜
一月三日は霜のとけて乾いた道の鶴が岡 詣る 荻原井泉水
一月二日はうちのふきのとが出ている 荻原井泉水
一月二日葉蘭は雪を白うしぬ 萩原麦草 麦嵐
一月五日は佛の日である すいせん 荻原井泉水
一月十七日思ひても思ひても 後藤比奈夫
一月末日大晴天を祀るなり 阿部完市 春日朝歌
一月真言大鯉をぶつ切り居り 阿部完市 春日朝歌
一月虚空少年団とその他隼 阿部完市 春日朝歌
一月許可のほとけをのせて紙飛行機 攝津幸彦
一輪の花 一月一日の机とする 荻原井泉水
三月が一月を蹴り初暦 上野泰
伐折羅ばさらと一月の鴎ども 原田喬
何も残らぬ一月の筑波山 和知喜八 同齢
利根川一月見たるは緑色漁法なり 阿部完市 春日朝歌
哲二忌となりし一月三日かな 阿部みどり女
大川や一月場所の風強く 牧野寥々
天遠く一月の寺火を燃やし 大西淳二
宇宙さみし一月のコーヒー店 酒井 弘司
川風に一月場所の太鼓かな 島田五空
常磐木の香や一月の雪雫 村越化石 山國抄
手に提げし灯が一月の川照らす 長谷川双魚 風形
新しい年の感触がもうこんなに古びてしまった一月の末には 西村陽吉
月容れて一月の森ふかねむり 柴田白葉女 花寂び 以後
村じゅうにある一月の浪の音 岡田 耕治
松の間に一月の波上りけり 鈴木鷹夫
枇杷の葉の照り一月の防波堤 中拓夫
枯草のもう赤い芽の一月二日一月三日 栗林一石路
水にいろさす一月の半ばかな 藤本草四郎
沈丁のまだ匂はねど百余り花きざしきて一月は経つ 中村純一
深轍われの忌も過ぎ一月も 河原枇杷男 流灌頂
湯屋の湯にまだ一月とおもいけり 宇多喜代子 象
父林蔵二月*母りゆう一月に死す 永田耕衣 葱室
狼かんや一月沼の横たはり 石田波郷
砂踏めば一月ぬくし蟹の爪 秋元不死男
神官を待つ一月の造船所 宮本輝昭
締め直す蛇口の緩み一月盡 高澤良一 素抱
若き敗北一月一日の朝寝 中尾寿美子
荒縄解く一月空が広がりだす 河野多希女 月沙漠
萩を刈る今年一月刈るやうに 渡部伸一郎
赤き実を咥へ一月の鳥日和 阿部みどり女
通り抜けるだけ一月の百貨店 稲垣きくの 黄 瀬
郊外に出て一月の風の富士 高澤良一 寒暑
野歩きの果一月の星得たり 細見綾子
鋼びかりよ一月の櫟の葉 柳澤和子
鐵索が空をひつぱつていて一月一日 栗林一石路
陽も沖も一月朝のパン匂ふ 神尾久美子
風に鳴る一月場所の高のぼり 杉 良介
風鐸に一月の水かがよへり 落合水尾
鵜の海の一月の風豪華なり 原田喬



以上
by 575fudemakase | 2014-02-10 07:40 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
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