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水温む

水温む

例句を挙げる。

いきものゝ恋のしな~水温む 石井露月
うたたねの膝とろとろと水温む 秋元不死男
かはせみの瑠璃の一閃水温む 佐長芳子
これよりは恋や事業や水温む 高濱虚子
さうかとも思ふことあり水温む 星野立子
さざなみは神の微笑か 水温む 楠本憲吉
しなやかな子の蒙古痣水温む 鬼房
せせらぎのどのあたりより水温む 中坪一子
つながつてのぼり来る泡水温む 川崎展宏
べんけいにささるゝ鮒や水温む 野村喜舟 小石川
みどり児の指甘ければ水温む 原子公平
ゆつくりと色引き鯉の水温む 水見寿男
わが影の人がたに揺れ水温む 坂井三輪
ダンディーな鴨の襟首水温む 高澤良一 寒暑
一の堰二の堰越えて水温む 森高たかし
一の濠埋められ二の濠水温む 椎橋清翠
一日使ひし双の手の艶水温む 野沢節子
七面鳥くくるくるくる水温む 吉田鴻司
人影の映り去りたる水温む 高浜虚子
停年がもう目の前に水温む 高澤良一 宿好
八十の童心や水温む 本多栄次郎
出ては入る鳶の影あり水温む 小林凡石
十日ほど日記ためたり水温む 久保田万太郎 草の丈
厨より見ゆる家鴨の水温む 樋笠文
古道を沈めてダムの水温む 稲畑汀子 春光
吾とマリア映しルルドの水温む 景山筍吉
園丁に媚ぶるペリカン水温む 福田蓼汀 山火
坪取りも温む水縄の伸びよかに 廣江八重櫻
垣に干す靴とりどりに水温む 西村和子 夏帽子
夜は月の暈の大きく水温む 眸
天井へ鼠戻りて水温む 真山 尹
子を愛づる言葉ひたすら水温む 中村汀女
孤独無限あざらし温む水くぐり 稲垣きくの 牡 丹
小さくて全き六腑水温む 田中裕明 櫻姫譚
山椒魚の手足を置ける水温む 高澤良一 さざなみやっこ
山鳥の枯色をかし水温む 野村喜舟 小石川
川底に空びんの家水温む 上田日差子
師の門出づ葬ふたたび温む水 松村蒼石 寒鶯抄
底の穢のゆるぎそめけり水温む 西山泊雲 泊雲句集
店頭にパリの書あふれ水温む 本山卓日子
弁当に玉子焼あり水温む 池田秀水
怒る事知つてあれども水温む 東洋城千句
懐かしや二度逢ふ人に水温む 長谷川かな女 雨 月
新しき橋を映して水温む 後澤啼鳥
書きいそぐ魚偏の字や水温む 仙田洋子 雲は王冠
木橋のそり狂ふあり水温む 横光利一
杭の影太りては痩せ水温む 西村和子 窓
松伐つて石の凹みや水温む 会津八一
枯れ細る蘆の鏡の水温む たかし
枯渇して湖底の樹林水温む 古舘曹人 能登の蛙
機音のこゝまで響く水温む 高浜年尾
死といふ字いくたび書けば水温む 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
母ひとり子ひとりなりし水温む 老川敏彦
水温むアルルの橋の水に似て 右城暮石 上下
水温む一睡を経し明るさに 池田秀水
水温む一語一語に励まされ 毛塚静枝
水温む予備校生らの急ぎ足 宮川としを
水温む今宵の客を思ひ帰る 石原八束 秋風琴
水温む先づ子が映り何か映り 菖蒲あや あ や
水温む写真の隅に母見えて 藤田あけ烏 赤松
水温む動脈に似て下流の橋 大井雅人 龍岡村
水温む吾れにのみある楽しさに 高木晴子 晴居
水温む四方のひかりに林檎園 麦南
水温む墓山に墓一つ増え 幸治燕居
水温む夕べ樹膚のかがやきて 八束
水温む如くに我意得つゝあり 星野立子
水温む嫁ぐ日近くなりたれば 田中冬二 俳句拾遺
水温む子のとり囲むあたりかな 坂巻純子
水温む山国川や通院す 笈木 志津女
水温む川に沿ひたる寺の庫裡 田中冬二 麦ほこり
水温む曖昧なるはすべてよし 北登猛
水温む杭より影の揺らぎ出て 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
水温む枯れゐるものはさいなまれ 松村蒼石 雁
水温む母が少女のころの村 大岳水一路
水温む池に棒切れ浮いてをり 高澤良一 宿好
水温む沼辺に顔を持ってゆく 高澤良一 宿好
水温む泊るこころになりてをり 林火
水温む泥に茜や菖蒲の根 西山泊雲 泊雲句集
水温む洗濯石の二つかな 西山泊雲 泊雲句集
水温む洗車は早やも仕上りし 江木黒礁
水温む流るるものに歩を合はせ 平手むつ子
水温む濠の松影しづまれり 青峰集 島田青峰
水温む田川ながれて湖に入る 松村蒼石 雪
水温む私が私であるために 田中櫻子
水温む紺屋に届く布百反 小林千穂子
水温む老には老のつとめあり 大橋越央子
水温む赤子に話しかけられて 岸田稚魚
水温む身の紐ほどけゆく思ひ 渡辺恭子
水温む身辺りの冷えきはまるに 小林康治 『潺湲集』
水温む金魚の大和郡山 山根 真矢
水温む長堤いまだセピア色 長谷川昌子
水温む静かに思ふことのあり 立子
水温む鯨が海を選んだ日 土肥あき子
汝も處女の悲しき頃よ水温む 青愁 佐竹草迷宮
汽車着けばすぐ出る馬車や水温む 雑草 長谷川零餘子
泡影いくつ底に舞ひ居り水温む 西山泊雲 泊雲句集
温む水に長き髭出せり杭の蝦 鈴木花蓑句集
温む水に黒く全き朽葉かな 楠目橙黄子 橙圃
温む水の冥府の水に通ひなむ 齋藤玄 『無畔』
温む水を隔てゝ臥ねし人を思ふ 雑草 長谷川零餘子
漆椀はぢく雫や水温む 内田百間 新輯百鬼園俳句帖
漢字表壁に大きく水温む 西村和子 窓
瀬戸海に水温む川のそゝぎ鳧 内田百間
父の拳母のてのひら水温む 柴田佐知子
犬の舌赤く伸びたり水温む 高濱虚子
玉砂利の音に五十鈴の水温む 入江 量子
皮染むる木澁流れや水温む 南圃 未翁南圃句集 桂井未翁・太田南圃
籠の鳥に餌をやる頃や水温む 夏目漱石 明治四十一年
約束をもたぬ一ト日や水温む 的場秀恭
紙砧うつ戸毎水温む里 冬葉第一句集 吉田冬葉
縁側の少し高めや水温む 波多野爽波 『湯呑』
習字して抑ふるものや水温む 田川飛旅子
老鶴の天を忘れて水温む 飯田蛇笏
耶馬渓に陶匠一人水温む 小倉 草人
自転車の輪が廻るたび水温む 佐川広治
親のころよりのよしみの水温む 久保田万太郎 流寓抄以後
走り根も艶なす桜水温む 大岳水一路
辛うじて夜学修めし水温む 久米正雄 返り花
逆流をすこしこころみ水温む 上田五千石 琥珀
野に出づるひとりの昼や水温む 桂信子 黄 瀬
釣半日流るゝ煤や温む水 河東碧梧桐
鎌研ぐ母ふる郷にあり水温む 北 光星
雲帆の動くとも見えず水温む 高田蝶衣
馬祖百丈黄蘗と嗣ぎ水温む 尾崎迷堂 孤輪
鯉が身をのり出せし音水温む 岩城久治
鯉ゆけば岸は明るく水温む 青邨
ぬるむ水に棹張りしなふ濁りかな 杉田久女
ぬるむ水添水にいたり澄みにけり 下村槐太 天涯
一瞬に散る雑魚の群れ水ぬるむ 伊阪美祢子
六十歳と二歳の対話水ぬるむ 田川飛旅子
六郷川つねの煤降り水ぬるむ 有働亨 汐路
寂光院道なほ細く水ぬるむ 福田清人 水脈
山国の星をうつして水ぬるむ 吉野義子
日輪をとろりとのせて水ぬるむ 高井瑛子
月曜のルソーの絵より水ぬるむ 皆吉司
棹さして来る砂舟や水ぬるむ 芝不器男
水ぬるむコモ湖に来たり蝶生る 有働亨 汐路
水ぬるむ一人芝居のやうに生き 梶山千鶴子
水ぬるむ主婦のよろこび口に出て 山口波津女
水ぬるむ岸に大きな父の影 原裕 新治
水ぬるむ底ぬけ舟の内外かな 増田龍雨 龍雨句集
水ぬるむ心ほぐるゝ如くにも 深川正一郎
水ぬるむ日を恋うて浮く色の鯉 豊長秋郊
水ぬるむ杭を離るゝ芥かな 内田百間
水ぬるむ東夷に遊ぶ蜒と児と 淺賀穀象虫
水ぬるむ真間の継橋ひた~と 竹冷句鈔 角田竹冷
水ぬるむ蘇州の朝の市人出 佐土井智津子
水ぬるむ豆腐屋へ子がひと走り 細川加賀 生身魂
水ぬるむ頃や女のわたし守 蕪村
水ぬるむ鳥の浮寝や昆陽池 会津八一
水鳥の羽打ちの遠く水ぬるむ 高澤良一 随笑
石蕗の茎起きあがり水ぬるむ 室生犀星 魚眠洞發句集
群生ふる水草をひたし水ぬるむ 大場白水郎 散木集
羽をふくむ園生の小禽水ぬるむ 飯田蛇笏 春蘭
老人の杖を映して水ぬるむ 鷲谷七菜子 花寂び
耳たぶに岸辺の日差し水ぬるむ 高澤良一 寒暑
蛇の渡るや沼の水ぬるむ 正岡子規
蛙子の長蛇の陣や水ぬるむ 青嵐
裏溝やお玉杓子の水ぬるむ 子規
読みかけし八犬伝や水ぬるむ 小酒井不木 不木句集
賜暇の日々妻が妻めき水ぬるむ 林翔 和紙
雪残りつつ水ぬるむ城下町 杞陽
長沼といへる濁沼温むなり 大場白水郎 散木集


以上
by 575fudemakase | 2014-02-28 08:17 | 春の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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