3月の拙句
3月の拙句
ねずみのこまくら句会 14年間の3月投句の拙句をリストアップする。
2013年
花白しもう期すものもなき齢
夜桜の空に吸はれてゆくやうな
諸葛菜術後の経過まづまづで
文鎮を置くごと泊船花曇
どちらかが言い出し夜櫻行となる
桜狩言い出しっぺの妻先立て
つるつると徹頭徹尾スベタ貝
干潟より挙がる喚声悪ふざけ
粒選りの大き浅蜊は銭になる
肝心なところで馬刀に逃げられし
2012年
午祭たまへたまへと雨の中
じゃりじゃりの馬鹿貝波に呉れてやる
少年に戻れば浅蜊よく採れて
浅蜊掘ときたま大き波啖らひ
あの頃はみんな貧乏浅蜊飯
熱燗に偏屈哲学振り回し
貝掘に上げてくる潮まっしぐら
大粒の浅蜊を選りて炊きごはん
催花雨と耳あたらしき語を聴くも
午まつり白足袋すすと神楽舞
2011年
蠅生まる波止場食堂にて昼食
手渡さる河津桜の番付表
指さすは春濤一つ起つところ
春寒の寝床蹴破る勇気なし
古本の整理春までほったらかし
すらりとした容姿が全てのさより買ふ
おのづから細魚に目がゆく鮮魚店
星から星伝ひて春の星探す
太陽も時計回りや金盞花
もの忘れ夫婦の春の夜の会話
2010年
寒月に耳を削がれて佇つごとし
春寒のよれて糸引く蛇口の水
室内干し股引そこにある目覚め
大福の粉ふるふると雪催ひ
路地口に消え入りさうな雪だるま
実南天乏しきを禽嘆かへり
湯屋出でて頭寒きはへえっちゃら
春寒の水を鳴らせる水仕事
雪だるまもうこさえたか葉っぱの目
ふくよかでおっぱいもある雪だるま
2009年
土いじり日脚がうんと伸びにけり
長っ尻春がすみめく銭湯に
立春と言葉ばかりが先走り
菱餅のそのそもそもを説明す
関節を鳴らして河津桜見る
水仕事春の跫音聞くやうに
太陽に向かってあるく正に春
股引脱ぐ老人静電気におどろく
雛の日の客人(まろうど)駆け込み来たりけり
雛の日の抱き上げて乳臭き頬
2008年
三渓園春の木に鳥水に鳥
漂ひゆく梅日向より梅日向
白梅や風細々と水辺より
もやもやと蓮の巻き葉は飴いろに
日の永し鴨は赤子のこゑを出す
木炭のごとき枝を延べ臥龍梅
魁の紅梅の花片寄れる
白梅や初心といふを全うす
増上寺御忌の太文字掲げたる
よろけ履く股引春寒湯屋板間
2007年
じゅくじゅくと沈む足許芹を摘む
花見んと来しリハビリに気散じに
朝桜禽かい潜りかい潜り
夜ざくらに浮かれ出でたる夫婦もの
花の下ベルのよく鳴る三輪車
一湾に舞ひては降りる春鴎
沿線の花に急かされゆくごとし
先づこんなところ欅の芽吹きとは
郁李や早め早めとなる起居
一昨日出かけてよかった花の雨
2006年
春荒れの叩きつけてはひっぺがす
匙を持ち苺をつぶすこと一途
只横にひひな竝べて飾りけり
崎人に白群青(びゃくぐん)の空大根引く
鏡凪切干は痩せ細りけり
万作は微風を糧として漫ろ
接骨木の芽のもし囁くなら平語
ゾッとする板の間夜寒残尿感
山に入り雑木ばかりの春あやふや
梅林のはてこの道でよいのやら
2005年
裁ち物の音のぞりぞり春の昼
桃の花など見て多少寛いで
春近き日溜りにゐて土篩ふ
紅める枝をここだく春の山
草亀の一投足に日脚伸ぶ
春の水落ちし処の水皺む
辛夷の芽躍らす風のひっきりなし
シベリヤを食(お)せばいよいよ寒明くか
眼鏡のつる擦れし一処寒戻り
紙碑として一集編むや囀れり
2004年
母上に八十八度草萌えて(米寿)
地虫出づ土にたっぷりまみれ来て
百(もも)草に声掛け春の土いじり
薄氷ことし一、二度突っきしのみ
雨の日の玻璃の裡から花桃みる
宿木と古巣の宿り枝を異に
著ぶくれてこの一着に終始せり
春なれやショウビジネスは海越えて
ハリウッド春祝ぐレッドカーペット(オスカー賞授賞式)
着膨れて福神漬を零しけり
2003年
くいくいと友呼ぶ女ごゑ冬かもめ
お白州に立たさる思ひ初閻魔
梅の名は古代青軸ふむと見て
かいつぶり素潜り芸の荒削り
白樺の生(き)の色しかと雪中に
雪原においてけぼりのごと一戸
どぶろくに白川の夜を更かしけり
高砂の翁のごとく舞へる雪
除雪車のそこのけそこのけお通りだい
初閻魔堂を揺るがす大般若
2002年
決めた事決めた通りに諸葛菜
野毛山下春ともなれば大道芸
春はやにわにゆくこととするピカソ展
長閑な昼煙草はラッキーストライク
見てゐれば緋桃の花の桃太郎
お水取近づく空を風の行(ぎょう)
満開に近きはくれん風足らず
ゆめ違ふ勿れ馬醉木の花の刻
春空に通ず階段あるごとし
水取といふ営みのとこしなへ
2001年
枯木に意地蕪村の金地山水圖
春や春蕪村の武陵桃源圖
場当りのその日暮しの蝌蚪を見て
無為徒食送る日に馴れ桃の花
桃日に日にちから付けるや八百莟
聞き覚えあるこゑ通り桃の花
陽に囀るごとく山茱萸咲き出せり
群れ離れゆける鴨あり天が下
吾も穴出づるや蟻に遅れじと
蟻穴を出づると母の告げにくる
2000年
辛夷花芽陸続として天に入る
もう土に還る彩して落椿
北面に目を瞠ける寒椿
もめごとも一段落や桃の花
けふ一日如何に過さん花山茱萸
寒がりは内弁慶に似て家居
かたくりの花の貧乏揺すりして
優形(やさがた)の春の蠅来て机に止まる
春水のところどころに翳もてり
啓蟄の耳掻き出して耳掃除
以上
ねずみのこまくら句会 14年間の3月投句の拙句をリストアップする。
2013年
花白しもう期すものもなき齢
夜桜の空に吸はれてゆくやうな
諸葛菜術後の経過まづまづで
文鎮を置くごと泊船花曇
どちらかが言い出し夜櫻行となる
桜狩言い出しっぺの妻先立て
つるつると徹頭徹尾スベタ貝
干潟より挙がる喚声悪ふざけ
粒選りの大き浅蜊は銭になる
肝心なところで馬刀に逃げられし
2012年
午祭たまへたまへと雨の中
じゃりじゃりの馬鹿貝波に呉れてやる
少年に戻れば浅蜊よく採れて
浅蜊掘ときたま大き波啖らひ
あの頃はみんな貧乏浅蜊飯
熱燗に偏屈哲学振り回し
貝掘に上げてくる潮まっしぐら
大粒の浅蜊を選りて炊きごはん
催花雨と耳あたらしき語を聴くも
午まつり白足袋すすと神楽舞
2011年
蠅生まる波止場食堂にて昼食
手渡さる河津桜の番付表
指さすは春濤一つ起つところ
春寒の寝床蹴破る勇気なし
古本の整理春までほったらかし
すらりとした容姿が全てのさより買ふ
おのづから細魚に目がゆく鮮魚店
星から星伝ひて春の星探す
太陽も時計回りや金盞花
もの忘れ夫婦の春の夜の会話
2010年
寒月に耳を削がれて佇つごとし
春寒のよれて糸引く蛇口の水
室内干し股引そこにある目覚め
大福の粉ふるふると雪催ひ
路地口に消え入りさうな雪だるま
実南天乏しきを禽嘆かへり
湯屋出でて頭寒きはへえっちゃら
春寒の水を鳴らせる水仕事
雪だるまもうこさえたか葉っぱの目
ふくよかでおっぱいもある雪だるま
2009年
土いじり日脚がうんと伸びにけり
長っ尻春がすみめく銭湯に
立春と言葉ばかりが先走り
菱餅のそのそもそもを説明す
関節を鳴らして河津桜見る
水仕事春の跫音聞くやうに
太陽に向かってあるく正に春
股引脱ぐ老人静電気におどろく
雛の日の客人(まろうど)駆け込み来たりけり
雛の日の抱き上げて乳臭き頬
2008年
三渓園春の木に鳥水に鳥
漂ひゆく梅日向より梅日向
白梅や風細々と水辺より
もやもやと蓮の巻き葉は飴いろに
日の永し鴨は赤子のこゑを出す
木炭のごとき枝を延べ臥龍梅
魁の紅梅の花片寄れる
白梅や初心といふを全うす
増上寺御忌の太文字掲げたる
よろけ履く股引春寒湯屋板間
2007年
じゅくじゅくと沈む足許芹を摘む
花見んと来しリハビリに気散じに
朝桜禽かい潜りかい潜り
夜ざくらに浮かれ出でたる夫婦もの
花の下ベルのよく鳴る三輪車
一湾に舞ひては降りる春鴎
沿線の花に急かされゆくごとし
先づこんなところ欅の芽吹きとは
郁李や早め早めとなる起居
一昨日出かけてよかった花の雨
2006年
春荒れの叩きつけてはひっぺがす
匙を持ち苺をつぶすこと一途
只横にひひな竝べて飾りけり
崎人に白群青(びゃくぐん)の空大根引く
鏡凪切干は痩せ細りけり
万作は微風を糧として漫ろ
接骨木の芽のもし囁くなら平語
ゾッとする板の間夜寒残尿感
山に入り雑木ばかりの春あやふや
梅林のはてこの道でよいのやら
2005年
裁ち物の音のぞりぞり春の昼
桃の花など見て多少寛いで
春近き日溜りにゐて土篩ふ
紅める枝をここだく春の山
草亀の一投足に日脚伸ぶ
春の水落ちし処の水皺む
辛夷の芽躍らす風のひっきりなし
シベリヤを食(お)せばいよいよ寒明くか
眼鏡のつる擦れし一処寒戻り
紙碑として一集編むや囀れり
2004年
母上に八十八度草萌えて(米寿)
地虫出づ土にたっぷりまみれ来て
百(もも)草に声掛け春の土いじり
薄氷ことし一、二度突っきしのみ
雨の日の玻璃の裡から花桃みる
宿木と古巣の宿り枝を異に
著ぶくれてこの一着に終始せり
春なれやショウビジネスは海越えて
ハリウッド春祝ぐレッドカーペット(オスカー賞授賞式)
着膨れて福神漬を零しけり
2003年
くいくいと友呼ぶ女ごゑ冬かもめ
お白州に立たさる思ひ初閻魔
梅の名は古代青軸ふむと見て
かいつぶり素潜り芸の荒削り
白樺の生(き)の色しかと雪中に
雪原においてけぼりのごと一戸
どぶろくに白川の夜を更かしけり
高砂の翁のごとく舞へる雪
除雪車のそこのけそこのけお通りだい
初閻魔堂を揺るがす大般若
2002年
決めた事決めた通りに諸葛菜
野毛山下春ともなれば大道芸
春はやにわにゆくこととするピカソ展
長閑な昼煙草はラッキーストライク
見てゐれば緋桃の花の桃太郎
お水取近づく空を風の行(ぎょう)
満開に近きはくれん風足らず
ゆめ違ふ勿れ馬醉木の花の刻
春空に通ず階段あるごとし
水取といふ営みのとこしなへ
2001年
枯木に意地蕪村の金地山水圖
春や春蕪村の武陵桃源圖
場当りのその日暮しの蝌蚪を見て
無為徒食送る日に馴れ桃の花
桃日に日にちから付けるや八百莟
聞き覚えあるこゑ通り桃の花
陽に囀るごとく山茱萸咲き出せり
群れ離れゆける鴨あり天が下
吾も穴出づるや蟻に遅れじと
蟻穴を出づると母の告げにくる
2000年
辛夷花芽陸続として天に入る
もう土に還る彩して落椿
北面に目を瞠ける寒椿
もめごとも一段落や桃の花
けふ一日如何に過さん花山茱萸
寒がりは内弁慶に似て家居
かたくりの花の貧乏揺すりして
優形(やさがた)の春の蠅来て机に止まる
春水のところどころに翳もてり
啓蟄の耳掻き出して耳掃除
以上
by 575fudemakase
| 2014-03-07 09:09
| 春の季語
|
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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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▽ある季語の例句を調べる▽
《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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