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日永

日永

例句を挙げる。

いくらでも負けて日永のカメオ売 下村梅子
いづれのおほんときにや日永かな 久保田万太郎(1889-1963)
うちとけて日永の膝をくづしけり 鈴木真砂女 生簀籠
うづくまる病顔不意に日永なり 宇佐美魚目 秋収冬蔵
うら門のひとりでにあく日永かな 一茶
おてづなに二三人来て日永かな 岸田稚魚
かたわれの函を探せる日永かな 高澤良一 さざなみやっこ
こんなにも亀がゐるとは日永池 高澤良一 宿好
ご老體前はばからず日永の湯 高澤良一 寒暑
さざなみの日永近江に薬売 鷲谷七菜子 花寂び
せんべいの瘤のさびしき日永かな 大木あまり 雲の塔
そゞろ出て日永に顔をさらしけり(苦吟) 原石鼎
ぞろ~と樂隊通る日永かな 内田百間
つゝじ採る繩間の子等日永かな まそほ貝 武定巨口
どの窓も日永の能登の海見えて 稲畑汀子 春光
なで佛なでて日永の善男女 下村ひろし 西陲集
ぬかるほど水を撒きたる日永かな 久保田万太郎 流寓抄
のぞき見ては塀穴ふさぐ日永かな 杉田久女
はらのたつほど波たゝぬ日永かな 久保田万太郎 流寓抄
ひとつ鳥の啼きつづけたる日永かな 中勘助
びらう樹の下にかゞめば日永かな 銀漢 吉岡禅寺洞
ふきあがる鍋が幕切る日永かな 龍岡晋
ふくろふの日永に耐へる瞼かな 和田知子
ほこりして睫毛しるきや日永の婢 香西照雄 対話
まんぼうを揚げし波止場の日永かな 細川加賀 『玉虫』
をとめごの菜引き見てゐる日永かな 室生犀星 犀星發句集
マンボウに水槽狭き日永かな 渡辺玄舟
一休の髑髏と語る日永哉 寺田寅彦
一村はかたりともせぬ日永哉 一茶 ■文化六年己巳(四十七歳)
一觴一詠日永の主と申すべし 宇佐美魚目 天地存問
世に遠き心ひまある日永哉 夏目漱石 大正三年
並木座の故人ばかりを観て日永 土橋たかを
丹頂のさて水に入る日永かな 三好達治 路上百句
亀の子の盥這ひ出る日永哉 正岡子規
二重橋朋とし日永の警察官 高澤良一 素抱
人と居て林の中の日永かな 高橋さえ子
人の妻なぜか日永を半殺し 加藤郁乎
人形の独りと動く日永かな 夏目漱石 明治三十七年
人渠船出でて湯にゆく日永人 五十嵐播水 埠頭
傾城の疱瘡うゑる日永かな 寺田寅彦
入道の欠伸して居る日永かな 蘇山人俳句集 羅蘇山人
八幡の鳩の向き合ふ日永かな 野村喜舟 小石川
写真師の指先焦けて日永かな 久米正雄 返り花
出湯の壷底なめらかに日永かな 芥川龍之介
古玩具のばたばた日永の土産屋に 高澤良一 寒暑
古着市出盛りすぎの日永かな 青木月兎
吹て消えて石鹸の玉の日永哉 正岡子規
唇の分厚く日永の磨崖仏 高澤良一 宿好
唐の海淡路につゞく日永かな 内田百間
喧雀に日永の家居疲れたり 金尾梅の門 古志の歌
国つ神麦食ひ給ふ日永かな 桑原三郎 春亂
園児等に鼻振り上手日永象 高澤良一 ねずみのこまくら
地を踏まず立つ足多き日永かな 桑原三郎 花表
垂れし手の海向き日永観世音 上野泰 春潮
墓原の空に鳶舞ふ日永かな 久保田万太郎 流寓抄
売る仔牛梳きて永き日永くしぬ 西村 琢
大塵取日永の日影つくりけり 、 松藤夏山 夏山句集
子が演ず白雪姫の日永かな 今泉貞鳳
子のものの散らばり易き日永かな 佐藤美恵子
孵卵器を守れる学徒に日永くも 竹下しづの女句文集 昭和十年
寿限無寿限無子の名貰ひに日永寺 櫛原希伊子
小糠舂きたむる日永の水ぐるま 荒井正隆
居合抜長物抜かぬ日永かな 一琅
屋上去る孤島を日永にのこすごとく 宮津昭彦
山蔭の家や日永を鶏うたふ 至青
山道を行き行き永日かへりみる 村越化石
岩登りかけてその儘日永亀 高澤良一 随笑
川蜷の肢出してゐる日永かな 川崎陽子
巻きゆるく日永の遺伝子・滑り台 高澤良一 素抱
帰るさも日永の亀の甲羅干し 高澤良一 宿好
弁財天日永巳の日の銭洗ふ 高澤良一 寒暑
引き潮のまだ引いてゐる日永かな 井越芳子
意久地無う坐禅くづるゝ日永かな 幸田露伴 谷中集
折り鶴にひとり遊びの日永妻 高澤良一 素抱
招き猫すこし汚れて日永かな 細川加賀 『玉虫』
揚荷終へ積荷始めて船日永 山本嵐堂
握飯十もさげたる日永かな 尾崎紅葉
方丈の氷砂糖の日永かな 野村喜舟 小石川
旅の日永を唐獅子に見つめらる 成田 浩
旅はまだ続く日永の烏龍茶 高澤良一 宿好
日永きや柳見て居る黒格子 加舎白雄
日永さに春菊摘まんなど思ふ 原石鼎
日永さの山におぶさる山のあり 村越化石
日永さの息あて顔よせガラス拭く 岩田昌寿 地の塩
日永さの鳰の湖べり長辿り 宮津昭彦
日永さや庭におりたつ縫疲れ 龍胆 長谷川かな女
日永さをふと思い立ち秋山へ 高澤良一 燕音
日永し長尾鶏の尾磨滅せむ 津田清子 礼 拝
日永なる仙崖の猫いや虎圖 高澤良一 随笑
日永の土佐路面電車はリスボン製 高澤良一 寒暑
日永の孫鼻の造作パパ似にて 高澤良一 寒暑
日永の家蛇口をひねる音がして 高澤良一 素抱
日永の湯人足風の男ゐて 高澤良一 寒暑
日永の陽ダーウインレアの卵ほど 高澤良一 寒暑
日永亀干割れ危ぶむその甲羅 高澤良一 随笑
日永亀首伸ばす方何ぞある 高澤良一 宿好
日永畑金鶏草の蒔いてあり 銀漢 吉岡禅寺洞
日永船メリケン白くジヤマンは黒き 瀧春一 菜園
日永鰐夢む手足の置きどころ 高澤良一 さざなみやっこ
昇降機空で降り来し日永かな 吉屋信子
春の日や日永の宿の霞酒 秀吉
晩年もなほ日永にて摘む蓬 中村苑子
曲水や春の日永久に落つ勿れ 月舟俳句集 原月舟
朝寝子や永日つゞく寝ざまして 原石鼎 花影以後
木の洞に鴛鴦二つゐる日永かな 宇佐美魚目 天地存問
杉菜呆けて杉の木となる日永かな 高橋睦郎 金澤百句
楽しくもあるかな日永按摩鍼 尾崎紅葉
榎僧正切株僧正日永かな 龍岡晋
歩行よい程に風吹く日永哉 一茶 ■文政五年壬午(六十歳)
死ぬときがわかつてゐたる日永かな 龍岡晋
母屋より街道みえて日永かな 辻桃子
母恋し日永きころのさしもぐさ 白雄
水掻きがつかむ日永の水なりき 夏井いつき
永日のそもそも何でこの病ひ 高澤良一 鳩信
永日のはばかりもなく溲瓶かな 高澤良一 鳩信
永日のマイクにあうあうアシカショー 高澤良一 ぱらりとせ
永日の一机据えあり絵島の間 高澤良一 鳩信
永日の亀の正字に窮しけり 高澤良一 素抱
永日の刻み太鼓に道後の湯 高澤良一 寒暑
永日の勝手に置かれ樽と桶 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
永日の店の中なる大鏡 永井龍男
永日の掏摸も輪中に大道芸 高澤良一 寒暑
永日の欠伸百度して待たされ 高澤良一 鳩信
永日の河童に逢ひにカッパ淵 高澤良一 宿好
永日の袋イソメに逃げられし 高澤良一 素抱
永日の馬体に鞭を一の射手 高澤良一 鳩信
永日やいまだ泊らぬ鶏の声 炭 太祇 太祇句選後篇
永日や新生児室楽流れ 佐藤美恵子
沙川の沙に消え去る日永哉 内田百間
河馬日永ここに汝も戦犯か 三好達治 路上百句
波毎に洲角とれゆく日永かな 冬葉第一句集 吉田冬葉
浅草に蕎麦を食うべて日永かな 館岡沙緻
渡し守日永の舟の棹の数 柑子句集 籾山柑子
濃娘等の疲れ欠伸や絵座日永 岸川鼓虫子
濱に出てあそぶ石工の日永かな 田中裕明 花間一壺
焼鮠に梁山泊も日永かな 飴山實 『次の花』
牛に乗て飴買ひに行く日永哉 正岡子規
牛面やインドの香を焚く日永 仙田洋子 橋のあなたに
猫八のうぐひす声や寄席日永 遠藤喜久女
猫遊軒伯知先生髯日永 久保田万太郎 流寓抄以後
王宮の騎馬像跳ねしまま日永 白井恭郎
甲羅干す亀見て日永いや気長 高澤良一 随笑
白粥はおかか梅干日永かな 石川桂郎 四温
百人の人夫土掘る日永哉 正岡子規
皇居前手を振り歩く日永人 高澤良一 素抱
皇居前東西南北日永人 高澤良一 素抱
盲導チャイム日永の音のやはらかし 田中英子
砂浜に足投げ出して日永人 高澤良一 宿好
空缶の車走らす子の日永 上田日差子
米搗くに本読む仕掛日永かな(松陰舊居) 松根東洋城
絵の具とく僧と画伯の日永かな 雑草 長谷川零餘子
絶えず人を佇めて鸚鵡の日永かな 比叡 野村泊月
能なしの来ては邪魔する日永かな 梅操
脂下る朝鮮人の日永かな 寺田寅彦
良寛にまりをつかせん日永哉 夏目漱石 大正三年
芳しき墨すり流す日永かな 野村喜舟 小石川
茶摘唄永日こゝにありにけり 尾崎迷堂 孤輪
草鞋はいて出を待つてゐる日永かな 龍岡晋
葛の蔓大樹めがけて日永かな 櫻井土音
行き行けど日永の沙漠続くのみ 吉良比呂武
街日永太鼓たたきて婚輿来る 原田青児
見舞妻かへりしあとの日永かな 辻 文治
諏訪日永蜆じよれんの棄てられて 田口彌生
追々に日永の句などよかるべく 寺田寅彦
配膳の刻をたがへぬ日永かな 久保田万太郎 流寓抄以後
醍醐寺の五重の塔の日永かな 森 潮
野の果に山々まろき日永哉 寺田寅彦
金色の蜂蜜秤る日永かな 千手和子
鉛筆を削りためたる日永かな 久保田万太郎 流寓抄以後
鉦打の足踏代ふる日永かな 柚味噌(木母遺稿) 安田木母、秋田握月編
鎌掛けに鎌の掛けある日永かな 江本 如山
長生きをせよと言はれて日永臥す 村越化石
門下にも門下ありける日永かな 久保田万太郎 流寓抄以後
門衛に日永し盛葬の過ぐ シヤツと雑草 栗林一石路
限の皮の華厳にたるむ日永かな 幸田露伴 谷中集
鞭つて牛動かざる日永かな 夏目漱石 明治三十二年
音に鳴くを蒿雀とききぬ日永きに 稲垣きくの 黄 瀬
音もなく象が膝折る日永かな 角 和
顔に墨つけて洋々日永の子 宇佐美魚目 天地存問
顔のやせを鏡など見て日永かな 瓜燈籠 西村白雲郷
鶏の人の皃見る日永哉 一茶 ■文化四年丁卯(四十五歳)
鶏の仲間割れして日永哉 小林一茶 (1763-1827)
鶏の坐敷を歩く日永かな 小林一茶 (1763-1827)
鼈甲屋の叩く調子は日永かな 野村喜舟 小石川
鼬道日永の樟のうしろより 町田しげき
いたづらに富士見て永き日をたてな 立花北枝
がっくりと暇に成る日の永さかな 服部嵐雪
はたはた干し日の永さを知る 室生犀星 魚眠洞發句集
よしあしの折れつくし洲の日の永さ 瀧井孝作
りんご花ごろは日の永いさかりの蜜蜂で帰る 荻原井泉水
パン売の太鼓も鳴らず日の永き 正岡子規
乙女なり燃ゆる椿の永き日の 林原耒井 蜩
人形の頭に永き日がつまる 仁平勝 東京物語
働かぬ爪伸び易く日の永く 樋口津ぐ
売る仔牛梳きて永き日永くしぬ 西村 琢
大杉を倒して永き日の終る 三宅句生
好きな時好きな事して日の永し 高澤良一 素抱
子規と短かき日その後永き日も 高浜虚子
屏風絵の田楽舞も日の永し 辻桃子
山内英夫とは里見日の永き 皆川白陀
山陽道永き日西へ送りつぐ 宮津昭彦
懈慢界に生れて永き日なりけり 大谷句佛 我は我
懺法のあはれ過ぎたる日の永さ 許六 三 月 月別句集「韻塞」
扨永き日の行方や老の坂 炭 太祇 太祇句選
日の永くなりし摂津の国を瞰る 日野草城
日の永くなる横山にアブラチャン 高澤良一 寒暑
日の永くなる雪中の桐畑 岸田稚魚
日の永く一つ目妖怪囲碁打図 高澤良一 燕音
更衣老いまでの日の永きかな 橋本多佳子
村人に永き日のあり歓喜天 有馬朗人(1930-)
柄彫りの手元に永き日もくるゝ 伊藤観魚
柿の花掌に盛りたれど永き日や 香西照雄 対話
欄干に凭れて永き日なるかな 比叡 野村泊月
永き日ぞ勤めの母に待てる子に 林翔 和紙
永き日に富士のふくれる思ひあり 正岡子規
永き日のうしろへ道の伸びてをり 村越化石
永き日のお濠の端の水菓子屋 田中裕明 花間一壺
永き日のことに孤独を愛しけり 高橋淡路女 梶の葉
永き日のそうろそうろとねねの文 野見山ひふみ
永き日のだんだん冷えて最上川 細川加賀 生身魂
永き日のなほ永かれと希ひけり 相生垣瓜人 明治草抄
永き日のにはとリ柵を越えにけり 芝不器男
永き日のはさみで切れる写真かな 五島高資
永き日のまざと身近や生の涯 朱鳥
永き日のチンパンジーの懸垂す 鈴木貞雄
永き日の上枝の椿落ちにけり 草城句集(花氷) 日野草城
永き日の古人今人まぎらわし 和田悟朗 法隆寺伝承
永き日の名刺きらしてゐたりけり 池田秀水
永き日の埴輪片手を挙げしまま 大串章 百鳥
永き日の大空をうつ旗の音 中田剛 珠樹
永き日の大路小路を下ル入ル 上林レイ子
永き日の子規も好みしせんべい屋 高澤良一 寒暑
永き日の寺に石工の手弁当 高澤良一 素抱
永き日の山の端にある笑ひかな 柿本多映
永き日の島一つ沖へ行く如し 大串章 山童記
永き日の崖の皺または襞 中田剛 珠樹以後
永き日の師の墓高く在りにけり 池田秀水
永き日の悠久山に登りけり 会津八一
永き日の旅にこころを癒しけり 角川春樹
永き日の日のさす雨戸閉めて了ふ 殿村菟絲子 『樹下』
永き日の時計を直す隣かな 会津八一
永き日の暮れて燈下に坐りけり 温亭句集 篠原温亭
永き日の月山よぎる番鴨 堀口星眠
永き日の朝を責め行く馬の音 三橋敏雄 巡禮
永き日の木偶舌出して見せにけり(人形師大江巳之助居) 細川加賀 『玉虫』
永き日の末の夕日を浴び歩く 林火
永き日の柱を数へつつ死なむ 桑原三郎 春亂
永き日の槍を地に刺し居ずなりぬ 鈴木六林男 *か賊
永き日の樟がよく鳴る木の葉笛 斉藤美規
永き日の水滲みゐる壺の口 柿本多映
永き日の洛陽に入りて暮れにけり 古白遺稿 藤野古白
永き日の浪白かりし桂浜 古賀雁来紅
永き日の滋賀の山越湖見えて 正岡子規
永き日の狐が落ちし稿のあと 中拓夫
永き日の猫の欠伸をもらひけり 山岡麥舟
永き日の男が覗き銃の店 出口善子
永き日の病む娘の長き束ね髪 乾 澄江
永き日の睡魔にまさる朋ありや 糸大八
永き日の祇園抜けみち知り尽くす 波多野爽波 『一筆』以後
永き日の絵硝子の紺そして赤 日原傳
永き日の船底を塗りすすみゆく 五十嵐播水 埠頭
永き日の贋金づくりベレーぬぐ 有馬朗人 母国
永き日の赤松皮を落しけり 森 優子
永き日の郵便受に余るもの 高澤良一 さざなみやっこ
永き日の鐘と撞木の間かな 小笠原和男
永き日の雨雲きえぬ二軒茶屋 会津八一
永き日の雲遊ばせて寺の鯉 佐川広治
永き日の餓ゑさへも生いくさなすな 草田男
永き日の鵙とまる木を右左 宇佐美魚目 天地存問
永き日はゆらりと胸に立つ墓標 津沢マサ子 空の季節
永き日は旅も豊かや桜島 北野民夫
永き日も囀り足らぬひばり哉 芭蕉
永き日やいつ迄裏に子女の声 久米正雄 返り花
永き日やそのしだり尾の下り藤 正岡子規
永き日やつばたれ下る古帽子 荷風
永き日やなまけて写す壺ひとつ 水原秋桜子(1892-1981)
永き日やみな憂ひもつ患者の目 古賀まり子
永き日やみのむし庵のわらぢ塚 久保田万太郎 流寓抄
永き日ややゝ傾ける寺の門 五十嵐播水 播水句集
永き日や亀は揃ひて甲羅干す 樋口 芳枝
永き日や体温表の波三つ 中尾白雨 中尾白雨句集
永き日や何の奇もなき妻の顔 日野草城
永き日や何も置かれぬ違ひ棚 五十嵐播水 播水句集
永き日や土塀の中の蜜柑畑 楠目橙黄子 橙圃
永き日や地球自転に逆行し 澤田緑生
永き日や垣の上なる畑つゞき 銀漢 吉岡禅寺洞
永き日や多佳子師在りし草庵に 保坂知加子
永き日や夜網の魚の藻を吐いて 安斎櫻[カイ]子
永き日や大仏殿の普請声 李由 三 月 月別句集「韻塞」
永き日や太鼓のうらの虻の音 浪化 (1671-1703)
永き日や嬉し涙がほろほろと 一茶
永き日や寝てばかりゐる盲犬 鬼城
永き日や巳の刻よりの眠り猫 野村喜舟 小石川
永き日や庭より見ゆる襖の絵 誓子
永き日や手持無沙汰の千手仏 宇都木水晶花
永き日や放牛四肢を集めもし 香西照雄
永き日や時計の音は年とらず 今泉貞鳳
永き日や木灰にのこる雨の跡 宇佐美魚目 秋収冬蔵
永き日や梁より落つる松の脂 長谷川 櫂
永き日や機嫌のわるきたいこもち 久保田万太郎 流寓抄以後
永き日や欠伸うつして別れ行く 漱石(松山客中虚子に別れて)
永き日や水に蝕はるゝ橋柱 野村喜舟 小石川
永き日や油しめ木のよわる音 野水
永き日や波の中なる波のいろ 平之助
永き日や湛へ始めの琵琶の湖 東洋城千句
永き日や目に押しあつる蟲めがね 久保田万太郎 流寓抄以後
永き日や目のつかれたる海の上 太祇
永き日や相触れし手は触れしまゝ 日野草城
永き日や石像眠る羅馬城 会津八一
永き日や絵馬を見てゐる旅の人 不白
永き日や羽惜む鷹の嘴使ひ 河東碧梧桐
永き日や行基自作のなで佛 下村ひろし 西陲集
永き日や買つてかへりし灰ふるひ 久保田万太郎 流寓抄
永き日や門のぬかりへ砂はこぶ 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
永き日や雑報書きの耳に筆 正岡子規
永き日や離宮の庭の鳥威し 五十嵐播水 播水句集
永き日や霞に鳥を盗まれて 苑子
永き日や韋陀を講ずる博士あり 夏目漱石 明治二十九年
永き日や飛石苔に沈み居り 五十嵐播水 播水句集
永き日や驢馬を追ひ行く鞭の影 正岡子規
永き日や鳩も見てゐる居合抜 永井荷風
永き日や鶏はついばみ犬は寝る 加舎白雄
永き日や鷹の羽といで髭剃らん 幸田露伴 谷中集
永き日よ校庭の椅子うごき出せ 横山白虹
永き日をすんなり伸びし手足かな 久米正雄 返り花
永き日をたつぷりあそび嵯峨豆腐 細川加賀 生身魂
永き日をひかりっぱなし鼓笛隊 上野美智子
永き日を云はでくるゝや壬生念仏 与謝蕪村
永き日を云ハでくるゝや壬生念仏 蕪村遺稿 春
永き日を囀りたらぬひばりかな 芭蕉
永き日を太鼓打つ手のゆるむ也 夏目漱石 明治三十一年
永き日を洒落ばかり言ふ男かな 星野麦人
永き日を溺るるごとく読む一書 長山あや
永き日を片身にひとを待ちゐたる 佐藤美恵子
永き日を遊び暮れたり大津馬 鬼貫
永き日を鉛筆削り削り減らす 柴田白葉女
永き日を順礼渡る瀬田の橋 夏目漱石 明治二十九年
泳ぎ来る亀を亀見て日の永し 高澤良一 宿好
洛中の大寺にこそ永き日を 大屋 達治
煤負けの杉伐り倒す日の永き 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
父と子の同じことして日の永き 今井杏太郎
父の忌も永き日なりし牡丹散る 百合山羽公 寒雁
甲羅干す亀にかまけて永き日を 高澤良一 素抱
百度石千度石あり日の永く 鈴木光枝
石段をみ上げても日の永きかな 久保田万太郎 草の丈
空港に居りて永き日終りけり 宮津昭彦
老鶏のいつも睡りて日の永き 古賀まり子 緑の野以後
自画像をまじへて永き日の個展 鷹羽狩行 七草
花御堂永き日影のさめにけり 渡辺水巴
赤土山に竹のぞろりと日の永き 細見綾子
雲と子の散歩ふはふは日の永き 近藤 伸子
飛べそうな気がする永き日の岬 五島高資
鳥は鳥にまぎれて永き日なりけり 八田木枯
鶯や永き日を知る氷室守 広江八重桜


以上
by 575fudemakase | 2014-03-31 07:43 | 春の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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