4月の拙句
4月の拙句
ねずみのこまくら句会 14年間の4月投句の拙句をリストアップする。
2013年
春雨に顎を這はせてショベルカー
ぬるま湯でぶぐばぐ余寒の歯の掃除
塔婆裏いっぱい蒲公英咲いてをり
押し移る風の間に間に寺牡丹
近在の誰彼が来て牡丹寺
黒牡丹遠にとぐろを巻くホース
この後も俳句専一筍飯
囀に容のありとせば吊鐘
家苞に花種付の灌佛会
木の葉髪あまた連ねて王義之展
2012年
日は永くやぶらこうじのぶらこうじ
氷る沼冬青空を鑑(かがみ)とし
掌に椿歌劇といふは見たことなし
公園を統ぶる立木に古巣あり
眠るとき耐ゆときありて芽吹くとき
桃蕾みぱいぽぱいぽのしゅうりんがん
春一番逆らひあるくことが好き
その気配なけれどさりとて春の川
杳として出口が見えぬ蜷の道
胸を張るごとく誰しも梅に佇つ
2011年
舗道摶つ緑雨映画の日替日
蚕豆は乳母日傘の莢を被て
青あらし酒の肴を切らしたる
青光り権現さまの桜の實(東照宮)
どことなく太りし妻とけんちん汁
花の昼小さき急須を傾けて
湘南の風味と云へば生しらす
肌着脱ぐホックの音も春めきぬ
さくら散る僅かな隙をつけこまれ
大馬刀は古びし殻に身を窶し
2010年
難点は人の佳きこと花大根
白日下干潟淋しく現れにけり
花吹雪コンクリートの壁博ちて
諸葛菜投棄バイクの鉄腐る
阿亀桜もう散る雨にベソかいて
何処とっても柔らかさうな蠅の子よ
生あくび一つ噛み切る花の昼
花の昼ジャムパン割ればジャムの色
菜の花の集はしむもの乱舞して
竹の根の飴色に日の永くなる
2009年
進学子補助線を引き証明す
海峡に沿ひとぶ燕ではないか
古写真桜と共にある記憶
蚕豆の痩せて一つはみそっかす
満天を覆ひて花は巧まざる
桜咲くちっともいいことないけれど
シャッターががらがら開いて朝ざくら
林間に一韻残し花鳥去る
ぶらんこに女の子ゐて浅座り
鳥曇り小さき意地を張りづめに
2008年
追剥のやうにアネモネ散らす風
蚕豆や晩酌の肩冷えて来し
春は粋に三越の包装紙
湯上りは柿の若葉のやうに新(さら)
ひやびやと朝の訪れ人に花に
ふらここ漕ぐ口をへの字に一の字に
桜見にゆかん一切放り出し
石階に燃え移らんと炎のつつじ
素直になるほうれん草のおひたしに
鳥雲に映画はいつも完結す
2007年
飛花舞はす風の一変フォルティッシモ
花過ぎて花咲くまへと同じ空
花粉症マスクといふはとんがりて
空耳に盈ち盈つ花のせりふかな
風絶えて花の納まる容かな
日は闌けに闌けて悶々八重櫻
盛りの牡丹危惧する程の雨でなし
衝立の向うよりこゑつつじ寺
桜蘂降らせて雨の粗くなる
十薬に著莪に雨音身ぢかなる
2006年
了る花沈めて山のうすぼんやり
石組の石を押すなり花筏
蝌蚪容れて空缶朽葉臭き水
大石の昼行燈にさくらは似
鯉に伍し亀の泳げる仏生会
住職は頑固なお人紫荊
酔どれのそれそれそれと散る花を
夜桜の雪洞高くここ低く
ある時は吹雪くが如く春鴎
とびっきり遠くにとべる飛花一つ
2005年
花冷えの疊の上の佛ごと
真ん中を川ながれをり昼霞
山鳥の呂律に合はせ花の散る
平日の桜の中を通りけり
花闌くと山の鴉の胴間声
田蛙のけくけく啼くは先がけ組
田の底の朽葉に蝌蚪の身を寄せて
こどもごゑ生々木五倍子生ふ山に
花見酒過ぎ志ん生の語り口
蝿生る家にぶらぶらしてゐては
2004年
止まり易き樹木見つけて囀れり
越して来て一年になるチューリップ(ご近所)
鯛釣草待ちに待ちたる入園式
花の昼人を焼く間を腹ごしらえ
花御堂いらかの上の空真青
話こもり易し彼岸の診察室
入園児の大きあいさつ喉ちんこ
夕花菜棺は家に据え置かれ
初ざくら脇から道を訊かれけり
花筏日を経し彩を泛かべけり
2003年
花くわりん宙を伝ひて日のあゆむ
空鳴って風吹く日なりくわりん咲く
鉄(くろがね)の朝礼台を落花馳せ
飛花の風辺りが透けて見えにけり
紫荊戦はアラーの思し召し
鳥よりも人よく遊ぶ花の山
うす光りして春草のこんもりと
精米所横よりのぼる花の山
何事かまくし立てたり花の鳥
花の蜜くすねに来たる大き鳥
2002年
花御堂ぽつりぽつりと人の訪ふ
照り栄えて伽藍のごとき八重桜
当山の風のうまさよ松の芯
閑にして寂たり牡丹の間の土
葉の上が居心地よくて春の蠅
ひとり人より遠ざかりゐて青葉の日々
めかり時映画はシルバー料金にて
薫風に洗ひ栄えして茶の作務衣
白桃は陶然緋桃は豁然と
少年に交じりて干潟ウオッチング
2001年
夕雀花屑蹴って発ちにけり
千鳥ケ淵渡りて飛花の第一波
ご本尊どぜう髭もて仏生会
雪柳三千世界此処にあり
ヒヤシンス女としての思ひ切り
小粋とは物は云ひやうぺんぺん草
二輪草毫も雑草交えずに
鈍器もて物を割る音花曇り
日に栄えてべんがら色のさくらの枝
おのづから脚の弾める花の山
2000年
日月の赤赤椿白椿
クロッカスぐらり地表を吹ける風
夜気幽気淡墨桜つつみけり
夜桜もぼんぼりの灯もほたほたと
夜桜の雪洞尽きるところまで
花満てる日表にして風表
帰るさも日永の亀の甲羅干し
山道に六方踏めるやぶれ傘
夕桜すっと色調落としけり
たんぽぽに屈むも年の功の順
以上
ねずみのこまくら句会 14年間の4月投句の拙句をリストアップする。
2013年
春雨に顎を這はせてショベルカー
ぬるま湯でぶぐばぐ余寒の歯の掃除
塔婆裏いっぱい蒲公英咲いてをり
押し移る風の間に間に寺牡丹
近在の誰彼が来て牡丹寺
黒牡丹遠にとぐろを巻くホース
この後も俳句専一筍飯
囀に容のありとせば吊鐘
家苞に花種付の灌佛会
木の葉髪あまた連ねて王義之展
2012年
日は永くやぶらこうじのぶらこうじ
氷る沼冬青空を鑑(かがみ)とし
掌に椿歌劇といふは見たことなし
公園を統ぶる立木に古巣あり
眠るとき耐ゆときありて芽吹くとき
桃蕾みぱいぽぱいぽのしゅうりんがん
春一番逆らひあるくことが好き
その気配なけれどさりとて春の川
杳として出口が見えぬ蜷の道
胸を張るごとく誰しも梅に佇つ
2011年
舗道摶つ緑雨映画の日替日
蚕豆は乳母日傘の莢を被て
青あらし酒の肴を切らしたる
青光り権現さまの桜の實(東照宮)
どことなく太りし妻とけんちん汁
花の昼小さき急須を傾けて
湘南の風味と云へば生しらす
肌着脱ぐホックの音も春めきぬ
さくら散る僅かな隙をつけこまれ
大馬刀は古びし殻に身を窶し
2010年
難点は人の佳きこと花大根
白日下干潟淋しく現れにけり
花吹雪コンクリートの壁博ちて
諸葛菜投棄バイクの鉄腐る
阿亀桜もう散る雨にベソかいて
何処とっても柔らかさうな蠅の子よ
生あくび一つ噛み切る花の昼
花の昼ジャムパン割ればジャムの色
菜の花の集はしむもの乱舞して
竹の根の飴色に日の永くなる
2009年
進学子補助線を引き証明す
海峡に沿ひとぶ燕ではないか
古写真桜と共にある記憶
蚕豆の痩せて一つはみそっかす
満天を覆ひて花は巧まざる
桜咲くちっともいいことないけれど
シャッターががらがら開いて朝ざくら
林間に一韻残し花鳥去る
ぶらんこに女の子ゐて浅座り
鳥曇り小さき意地を張りづめに
2008年
追剥のやうにアネモネ散らす風
蚕豆や晩酌の肩冷えて来し
春は粋に三越の包装紙
湯上りは柿の若葉のやうに新(さら)
ひやびやと朝の訪れ人に花に
ふらここ漕ぐ口をへの字に一の字に
桜見にゆかん一切放り出し
石階に燃え移らんと炎のつつじ
素直になるほうれん草のおひたしに
鳥雲に映画はいつも完結す
2007年
飛花舞はす風の一変フォルティッシモ
花過ぎて花咲くまへと同じ空
花粉症マスクといふはとんがりて
空耳に盈ち盈つ花のせりふかな
風絶えて花の納まる容かな
日は闌けに闌けて悶々八重櫻
盛りの牡丹危惧する程の雨でなし
衝立の向うよりこゑつつじ寺
桜蘂降らせて雨の粗くなる
十薬に著莪に雨音身ぢかなる
2006年
了る花沈めて山のうすぼんやり
石組の石を押すなり花筏
蝌蚪容れて空缶朽葉臭き水
大石の昼行燈にさくらは似
鯉に伍し亀の泳げる仏生会
住職は頑固なお人紫荊
酔どれのそれそれそれと散る花を
夜桜の雪洞高くここ低く
ある時は吹雪くが如く春鴎
とびっきり遠くにとべる飛花一つ
2005年
花冷えの疊の上の佛ごと
真ん中を川ながれをり昼霞
山鳥の呂律に合はせ花の散る
平日の桜の中を通りけり
花闌くと山の鴉の胴間声
田蛙のけくけく啼くは先がけ組
田の底の朽葉に蝌蚪の身を寄せて
こどもごゑ生々木五倍子生ふ山に
花見酒過ぎ志ん生の語り口
蝿生る家にぶらぶらしてゐては
2004年
止まり易き樹木見つけて囀れり
越して来て一年になるチューリップ(ご近所)
鯛釣草待ちに待ちたる入園式
花の昼人を焼く間を腹ごしらえ
花御堂いらかの上の空真青
話こもり易し彼岸の診察室
入園児の大きあいさつ喉ちんこ
夕花菜棺は家に据え置かれ
初ざくら脇から道を訊かれけり
花筏日を経し彩を泛かべけり
2003年
花くわりん宙を伝ひて日のあゆむ
空鳴って風吹く日なりくわりん咲く
鉄(くろがね)の朝礼台を落花馳せ
飛花の風辺りが透けて見えにけり
紫荊戦はアラーの思し召し
鳥よりも人よく遊ぶ花の山
うす光りして春草のこんもりと
精米所横よりのぼる花の山
何事かまくし立てたり花の鳥
花の蜜くすねに来たる大き鳥
2002年
花御堂ぽつりぽつりと人の訪ふ
照り栄えて伽藍のごとき八重桜
当山の風のうまさよ松の芯
閑にして寂たり牡丹の間の土
葉の上が居心地よくて春の蠅
ひとり人より遠ざかりゐて青葉の日々
めかり時映画はシルバー料金にて
薫風に洗ひ栄えして茶の作務衣
白桃は陶然緋桃は豁然と
少年に交じりて干潟ウオッチング
2001年
夕雀花屑蹴って発ちにけり
千鳥ケ淵渡りて飛花の第一波
ご本尊どぜう髭もて仏生会
雪柳三千世界此処にあり
ヒヤシンス女としての思ひ切り
小粋とは物は云ひやうぺんぺん草
二輪草毫も雑草交えずに
鈍器もて物を割る音花曇り
日に栄えてべんがら色のさくらの枝
おのづから脚の弾める花の山
2000年
日月の赤赤椿白椿
クロッカスぐらり地表を吹ける風
夜気幽気淡墨桜つつみけり
夜桜もぼんぼりの灯もほたほたと
夜桜の雪洞尽きるところまで
花満てる日表にして風表
帰るさも日永の亀の甲羅干し
山道に六方踏めるやぶれ傘
夕桜すっと色調落としけり
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以上
by 575fudemakase
| 2014-04-06 07:15
| 春の季語
|
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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など
by 575fudemakase
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。
尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。
《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)
例1 残暑 の例句を調べる
検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語
以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
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[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語
例2 盆唄 の例句を調べる
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以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。
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