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芽吹き 木の芽(1)

芽吹き 木の芽(1)

例句を挙げる。

*たら芽吹く坂より父の生家見え 西島教子
*たら芽吹く鬼の栖を尋ねんか 原 裕
「太陽の言葉」芽吹きの北半球 吉原文音
あらためて天をまろしと榛芽吹く 千代田葛彦 旅人木
いくらでも雨吸ふ芽吹く前の山 今瀬剛一
いで発つや鳴る空車木の芽吹く 成田千空 地霊
うつくしき窪みをもちて椰子芽吹く 中村和宏
うなかぜに芽吹きを拒み崖疼く 赤城さかえ句集
お礼所のいろは楓の芽吹きおり 近石 ひろ子
からまつ芽吹き夕焼長き火山帯 八牧美喜子
がうがうと欅芽吹けり風の中 石田波郷
がう~と欅芽吹けり風の中 石田波郷
げんまんの思はぬ力冬芽立つ 大見川久代
この谷間たえず風あり樹々芽吹く 岡田日郎
ごつごつのどこから芽吹く百日紅 庄中健吉
じゃがいもが芽吹くや炭坑夫の娘 対馬康子 吾亦紅
ずん抜けて杜の欅の片芽吹き 高澤良一 随笑
たくましき萩の芽立ちの頼らるゝ 稲畑汀子
つんつんとわけても楓芽吹くばかり 石川桂郎 四温
なほざりにして芽吹くものたくましく 稲畑汀子
なほざりの庭とて芽吹く心あり 稲畑汀子
はきはきと物言ふごとし山毛欅芽吹き 高澤良一 燕音
はしばみの芽吹は花をともなへり 松村蒼石 雪
はつはつに芽吹くもありてしろがねに光る枝枝暁の空指す 三國玲子
はや芽吹く樹で啼いてゐる 種田山頭火 草木塔
ひとまはり大きく欅芽吹き初む 嶋田麻紀
ぴつしりと光る芽立ちを怖るなり 柴田白葉女 花寂び 以後
ふりかむる大槻芽立つ月夜かな 小林康治 四季貧窮
ぶな・いたや芽吹くべかりき炉に燃ゆる 林原耒井 蜩
へそ曲り柿の古木も芽吹かんと 高澤良一 随笑
もしかして芽吹くか箸も端々も 中尾寿美子(1914-89)
ものの芽に触れをり指も芽吹かむと 林翔
やがては来る歓喜の人声即芽吹く雑木山 橋本夢道 良妻愚母
やはらかにわが死者もまた芽吹くなり 笹本千賀子
ややさむし早稲のひつぢの角芽立 野童 俳諧撰集「有磯海」
やゝ寒し早稲のひつぢの角芽立 野童
アカシヤの芽立ちわづかに湖荒るる 古沢太穂 古沢太穂句集
ケロイドを抱く青桐芽吹きどき 千曲山人
トランペットの一音#して芽吹く 浦川 聡子
マロニエの旬日の芽吹き暗鬱に 小池文子 巴里蕭条
マロニエの芽吹きしパリにこんにちは 山本歩禅
ヤクルトの殻の白傷木々芽吹く 大石雄鬼
一ッ葉の芽吹くや奥に鵜の羽音 石川桂郎 高蘆
一徹の枝ぶりに柿芽吹きけり 茂里正治
一旦は赤になる気で芽吹きをり 後藤比奈夫 花匂ひ
一本の芽吹きに遅速なかりけり 岡安仁義
一途なる芽吹き産めざる身の周囲 鷲谷七菜子 雨 月
万葉のむらさき芽吹き人丸忌 藤 小葩
久慈川にほとりし桑も芽吹くかに 高木晴子 花 季
二人の目に芽吹きそめたる大柳 阿部みどり女
二師団の垣長々と木の芽吹く 阿部みどり女
二荒山淵青ざめて芽吹き急 館岡沙緻
二階より座蒲団はたく木の芽立 岸風三楼 往来
五平餅人語も芽吹く峠茶屋 渡辺恭子
亜浪林火愛培の萩太芽立つ 関森勝夫
人の血を授かり生きて芽立前 朝倉和江
人は影鳥はひかりの芽吹山 佐藤光夫
仏蘭西船白きが泊り蔦芽吹く 堀口星眠
付け足しにそこらの小木も芽吹山 高澤良一 ぱらりとせ
似通った彩して芽吹くみな雑木 高澤良一 随笑
何か鳥飛ぶ嵐雑木芽立に 北原白秋
倒れ木の骨となりゆきつつ芽吹く 鷲谷七菜子 雨 月
傷癒ゆるごとしあぢさゐ芽吹けるは 亀割 潔
全山の芽吹きうながし辛夷咲く 伊東宏晃
全山の芽立ちの中に坑出づる 戸沢寒子房
全山や一宗興るごと芽吹き 村松紅花
冬の夜の母木ひそかに芽吹きをり 原裕 葦牙
凡庸な芽吹きの色でありにけり 高澤良一 燕音
初凪の芥に芽吹く玉葱よ 高麗銀糸尾
刻々と待つ御誕生柳芽吹く 長谷川かな女 花 季
厨にて芽吹く玉葱母の忌来る 朔多 恭
古桑の拳の芽吹き裏妙義 奈良文夫
句碑にある巌のぬくもり冬芽立つ 野中 亮介
吊されて玉葱芽吹く受難週 中尾杏子
向日の性に芽吹きぬ欅楢 石塚友二 方寸虚実
君らには君らの未来バラ芽立つ 所 山花
吾も衆愚雑木山芽吹く炎に心革る 橋本夢道 良妻愚母
四囲芽吹く中や一樹の押し黙り 青柳志解樹
坪内の沙羅の芽吹の雨に濡れ 高木晴子 花 季
塊を擡げて萱の総芽立ち 西山泊雲 泊雲句集
墓参むしりし茅の芽立ちゐる 松藤夏山
墓詣むしりし萱の芽立ちゐる 松藤夏山 夏山句集
夕日差し芽吹き浮きたつ別れかな 高橋良子
夜々芽吹く過去帳夫のあと真白 久保 羯鼓
大けやき芽吹きさかんや吾子壮年 柴田白葉女 『月の笛』
大柿の倒れて芽吹く天気かな 大峯あきら 鳥道
大樹いま芽吹きあそべる雲の縁 野澤節子 黄 炎
大樹程芽吹き遅しと仰ぎけり 高木晴子 花 季
大欅芽吹かむ気配夜空より 相馬遷子
大銀杏芽吹いて空を点綴す 山西雅子
大銀杏芽吹かんとして実朝忌 大気 十潮
天磐を支へし枠木芽吹きたる 戸澤寒子房
太郎柿芽吹くや次郎柿芽吹く 辻桃子 童子
奥砥部の古窯の跡に枸杞芽吹く 池内けい吾
妻のみが働く如し善薇芽立つ 石田波郷
学生に降る雨太く桑芽立つ 大井雅人 龍岡村
學生寮チャペル點在芽立ち満つ 及川貞 夕焼
家中の柱が芽吹く朧かな 齋藤愼爾
宿の灯や切々闇に芽吹くもの 清水哲男
密集を遂げし町より木の芽吹く 百合山羽公 故園
富士山の湧水芽吹き促すよ 高澤良一 随笑
寒肥に芽吹く言葉を踏んでくる 原子公平
寺ゆたかぐみの芽立ちが日を散らし 河野南畦 湖の森
山桐の芽立ちに明日の透きゐたり 原裕 青垣
山毛欅林芽吹く二の沢三の沢 松本圭二
山深くなり芽立ちまばらなる 室生犀星 魚眠洞發句集
山門の欄に触れ芽吹きをり 植木南汀
己が天占めむと朴の芽吹くなり 藤原 如水
幻聴か芽吹きの音か森の中 手島靖一
広前に欅芽吹きの金色相 高澤良一 素抱
庭木芽吹く頃となりをり下女詰所 高澤良一 鳩信
影を地に樹々芽吹かんと力溜む 川村紫陽
後嗣なきやもめ法師や韮芽吹く 河野静雲 閻魔
快々と籠る日々なり木の芽立つ 田川飛旅子 『山法師』
悠といふわが名欅の芽吹くかな 正木ゆう子
戦争を知る樹も芽吹き初めにけり 湊 キミ
括りぐせ残りしままに桑芽吹く 高橋没法子
捨畳蘭の芽吹き出て敗戦日 中村草田男
接骨木の節々太き芽立ちかな 数川 三枝子
故郷へ骨さげくれば芽吹くなり 小坂順子
新道は行かず芽吹きの丘に出づ 金箱戈止夫
日に一と芽風に一と芽と芽吹きたる 後藤比奈夫 花匂ひ
日の遠き撓めしばられて梨芽吹く 西東三鬼
日南にはそのひなたほど木の芽立 広瀬惟然
明るさに径うすれゆく芽吹山 能村登四郎 幻山水
晩婚や風禍の欅秋芽吹き 松崎鉄之介
朝のかぜ平林禅寺の茶も芽立つ 及川貞 榧の實
木々の静か芽吹く勢いのありながら 岡安仁義
木々芽吹かせし神よ子に知恵賜び給ヘ 成瀬桜桃子
木々芽吹きまた荒廃の紛るゝか 殿村菟絲子 『繪硝子』
木々芽吹きトビケラも羽化忙しき 高澤良一 随笑
木々芽吹き地震を呼びたる朝のこと 高木晴子 花 季
木々芽吹き将士しづかに還り来る 藤木清子
木々芽吹き索道やすみなく天に 加倉井秋を 午後の窓
木々芽吹くくれなゐすこし痛からむ 辻美奈子
木々芽吹くけはひ眠りの中なれど 加倉井秋を 『風祝』
木々芽吹く中にも柿の枝踊り 石川桂郎 含羞
木々芽吹く富士の大氷壁の前 羽部洞然
木の芽吹く園に夕暮とどまりぬ 阿部みどり女
木の芽吹く垣根伝ひの禿や誰 尾崎紅葉
木の芽吹く展望台を押し上げて 朝岡和佳江
木の芽立つ夢持つものはみな眩し 関森勝夫
木の芽立つ池には池の彩うまれ(東都六義園) 上村占魚 『玄妙』
木石や石も芽吹かむ春の雨 石塚友二 光塵
木芽吹いて禽もろ~が口を張る 石井露月
木芽立つ金堂跡の月夜哉 中川宋淵 詩龕
木馬館木馬汚れて芽立ちけり 永井龍男
朴芽吹き谷川の水段(きだ)為して 高澤良一 燕音
朴芽吹くまぼろしの相すでにもち 相葉有流
朴芽立ち雲の法話を聞くならむ 村越化石 山國抄
杭の頭に芽吹くものあり残り鴨 五十嵐みち
松や芽立ち明けたるまゝの汐曇 斎藤空華 空華句集
松を巻く蔦の芽立のこの蒼き 加藤楸邨
枇杷の芽立白々と春の夕なる 碧雲居句集 大谷碧雲居
枯れし木に雪崩るゝ如く木の芽吹く 杉山岳陽 晩婚
枯真菰漂うてゐて芽吹きけり 岸朗
柳の枝芽吹くや風に靡きしまま 相馬遷子 雪嶺
柿芽吹き蟹の鋏のやうな芽を 高澤良一 ぱらりとせ
柿芽吹く貧相の木を改めず 百合山羽公 寒雁
栗くぬぎ芽立ち霞めり背山垣 及川貞 榧の實
桑の木の拳こぶしの芽吹きかな 岸田 桂子
桑の瘤芽吹くきざしの雨水かな 芋川幸子
桑芽吹き上州の景始まりし 不先
桜芽吹く空へ千人針刺して 渡辺恭子
楢山の芽吹はけむる笹小笹 斎藤夏風
楢櫟芽吹きつ飢う日続きけり 石川桂郎 含羞
楢芽吹き欅芽ぶきて広廂 柴田白葉女 花寂び 以後
楢芽吹くあかるさは水遠からぬ 鷲谷七菜子 花寂び 以後
楷芽吹く文庫に残る青磁壺 田中英子
榛の木の芽吹きまだまだ天塩川 高澤良一 素抱
榛芽吹き神居古潭(かむいこたん)の川景色 高澤良一 素抱
榛芽吹く湖北と聞けば烏大 赤松[けい]子 白毫
槻芽吹く子等にひゞかぬ氏素姓 米沢吾亦紅 童顔
槻芽立ち月夜明くるを急ぎをり 小林康治
樫芽吹き雀古葉のごとこぼる 高井北杜
樹々芽吹く気配の濡れし闇に触れ 福田蓼汀 秋風挽歌
樺芽吹く空うすぎらふ摩周越え 石原八束 空の渚
橇納ひ遠い音のせ芽吹く空 新谷ひろし
武蔵野の芽吹の中やだるま市 笹本 敏
母の日を落葉松芽吹く町に来つ 堀口星眠 火山灰の道
水中に芽吹く種ある台所 対馬康子 純情
水楢の芽吹く青空農具市 伊藤京子
水楢の芽立ちはおそし峠茶屋 高木晴子
水音淙々芽吹きうながす山の雨 福田蓼汀 秋風挽歌
水飼ひの赤蕪芽吹き小鉢皿 石川桂郎 高蘆
没日ののち芽立ちの大樹揺れにけり 松村蒼石 雪
洞欅ぽやっぽやっと芽吹きけり 高澤良一 随笑
流れ木の芽立ちしままに砂洲光る 横光利一
浅香光代来るからまつの芽吹くころ(嬬恋村) 岸田稚魚 『花盗人』
浜木綿の芽立ち赤らむ朝より雨 河野南畦 湖の森
浮草の芽吹のみどり畳なす 大場白水郎 散木集
浮雲をしばしとどめて芽吹山 宮武章之
海照ると芽吹きたらずや雑木山 篠田悌二郎(1899-1986)
湖照ればひしめき芽吹く楢林 那須 乙郎
満山の総毛だつかに木々芽吹く 福田蓼汀 秋風挽歌
漫然と欅は芽吹き初めにけり 高澤良一 宿好
激流へ倒木水漬きたるまま芽吹き 福田蓼汀
濛々と糺の森の芽吹くなり 加藤三七子
濠柳芽吹き毎日新聞社 高澤良一 随笑
烈風に古葉をののく芽立ちつつ 林翔 和紙
無花果芽吹くコールタールの香の中に 加倉井秋を 午後の窓
牡丹の寒の芽立ちを虔める 岸田稚魚 筍流し
玉葱や遺品の中に芽吹きゐて 立木青葉郎
理に合はぬ事一身に薔薇芽吹く 高橋良子
畦草の芽立つにあはす歩なりけり 石川桂郎 高蘆
疾風めく羽音一陣芽吹き山 鷲谷七菜子 花寂び 以後
病むといふ便りは書かず芽立ち鋭く 永井龍男
発心の芽吹きとなりぬ塔の四囲 加藤耕子
白樺の芽吹き朝日に呟くごと 高澤良一 燕音
白雲や芽吹く力に大樹揺れ 川村紫陽
目を細め来る百姓や桑芽吹く 橋本鶏二 年輪
目覚めけり芽吹くけはひのひしひしと 林原耒井 蜩
真夜芽吹くかも買ひたての木の机 折原あきの
真青に菖蒲芽立ちて移公子来ぬ 石田あき子 見舞籠
眼の底に一本楢の芽吹くなり 岸田稚魚 筍流し
矢窓より覗けば芽吹く姫路かな 長谷川かな女 雨 月
矢車の金の真下に茶の芽立つ 百合山羽公 寒雁
石垣の隙にひよろひよろ木の芽吹く 阿部みどり女
祝の日も喪の日もありし萩芽吹く 五十嵐哲也
神の御名おほむね長し木の芽吹く 八幡里洋
神在す山に芽吹きの順序あり 武藤あい子
祠の辺教師の通ひ路*たら芽吹く 木村蕪城 寒泉
禅天魔叫ぶ像あり木々芽吹く 花輪芳子
穂は枯て接木の台の芽立けり 炭 太祇 太祇句選
空かけて公暁が銀杏芽吹きたり 石塚友二 光塵
空の色濡るると仰ぎ木の芽吹く 吉年虹二
空は青木の芽吹く風薄みどり 目黒白水
空濠の底にも農夫*たら芽吹く 林翔 和紙
立ち上る天地と思ふ芽吹きかな 平井照敏
籾を出る卵半身芽立つ町 辻田克巳
納屋の天井玉葱芽吹き豆ひく香 田川飛旅子 花文字
紫香楽や芽吹く山肌須恵の肌 加倉井秋を
美術館眼に見えざれど木々芽吹く 橋本美代子
羽ばたいて桜の芽立ち促せる 高澤良一 鳩信
老いたるも不死身の藤の芽吹くなり 阿波野青畝
老桑の瑞の芽立や春祭 水原秋櫻子
耳敏く人の住むなり芽吹山 本宮哲郎
色合ひも野暮な櫟の芽吹きかな 高澤良一 ぱらりとせ
芽吹かむと雁ヶ腹摺山くもる 落合伊津夫
芽吹かんとするものへわが影を折る 孫柳
芽吹かんと北の大地に犇めく樹々 大郷石秋
芽吹かんと大樹身を揺り輝くも 内藤吐天 鳴海抄
芽吹かんと樹皮を寄る辺の洞(うろ)欅 高澤良一 ぱらりとせ
芽吹きそむ山毛欅の樹相の相似たる 高澤良一 燕音
芽吹きそむ山毛欅の英気にあやかれと 高澤良一 燕音
芽吹きたる一樹に小鳥籠吊す 樋笠文
芽吹きつつ一夜に雪の賤ヶ岳 渡会昌広
芽吹きつつ靡ける如き大樹かな 原石鼎
芽吹きつゝ林中水のにほひ満つ 黒木 野雨
芽吹きつゝ枯木のまゝの月夜かな 渡辺水巴 白日
芽吹きつゝ靡ける如き大樹かな 原石鼎 花影以後
芽吹きては樹木のかたち毀すまで 正木ゆう子
芽吹き山二重にこだま返しけり 二村典子
芽吹き競ふさまに苗木や畑打つ 碧雲居句集 大谷碧雲居
芽吹くからポプラ狙撃の標的に 星永文夫
芽吹くなら欅パパッとパパッとな 高澤良一 宿好
芽吹くものビルの谷間に遅れけり 山田一男
芽吹くもの散るもの忙し気が愛し 及川貞
芽吹くもの眼摶つ終生火の虜 吉田未灰
芽吹くもの芽吹き茫然と髭を剃る 山口草堂
芽吹く中黄なるは咲きて連翹に 林翔 和紙
芽吹く前の谷は肉色友の家 大井雅人 龍岡村
芽吹く夜の眠りおりおり感光す 田辺香代子
芽吹く山知らぬ路なり行くよりなし 加藤知世子 黄 炎
芽吹く山見てゐて画法朦朧体 高澤良一 宿好
芽吹く庭胸に打たれし五寸釘(多美子の病名を癌と聞かされて) 阿部みどり女 『雪嶺』
芽吹く木々なほ枯れてゐし木を包む 杉山岳陽 晩婚
芽吹く木々暮れて枯木と異ならず 山口誓子
芽吹く木々獄舎と病舎半ばなす 岩田昌寿 地の塩
芽吹く木がわめく者にぞ比せらるる 相生垣瓜人 明治草抄
芽吹く木に芽吹かざる木に雪降れり 朝倉和江
芽吹く木の瘤より接木農夫の婚 佐川広治
芽吹く木の紫紺の影を踏みゆくも 内藤吐天 鳴海抄
芽吹く木へつぎつぎ心遊ばせる 高橋信之
芽吹く木も鉄屑のなかダンス習う 古沢太穂 古沢太穂句集
芽吹く枝さし交しゐて昃るさま 橋本鶏二
芽吹く枝に吊つて念珠の落しもの 大木あまり 火球
芽吹く森遠き森子を肩ぐるま 千代田葛彦
芽吹く樹々空が楽しくなりにけり 伊藤洋子
芽吹く樹のはざまの空の如来像 畠 友子
芽吹く樹へつぎつぎ心遊ばせる 高橋信之
芽吹く街路樹子に木琴を購ひ帰る 伊東宏晃
芽吹く路少年闇にまぎれずゆく 大井雅人 龍岡村
芽吹く辺や褪せてさびたの去年の花 金箱戈止夫
芽立ちたる朴の話に及びけり 後藤夜半 底紅
芽立つじやがたら積みあげ肉體というもの 金子兜太
芽立つもの欅楢などたくましき 高濱年尾 年尾句集
芽立つ中渦いそぐなり阿賀野川 水原秋櫻子
芽立つ樹に柄長ゐ群れて声あふる 山谷 春潮
芽立前手紙断つとき愛ふかし 朝倉和江
芽立樫しきりに古葉落しけり 西山泊雲 泊雲句集
芽立華やぐ僧結界の杉木立 河野南畦 湖の森
苗木市売れ残るもの芽吹きけり 伊藤伊那男
苗札に遠くかたまり芽立つあり 米沢吾亦紅
荒れざまの邸址明暗みな芽吹く 桂樟蹊子
落葉松の芽吹く林も夕づきし 高木晴子 花 季
虎杖の芽吹きや三里番屋趾 今井杏太郎
虚子館に今日根付くもの芽吹くもの 湯川雅
街路樹の芽吹く蘇州を手秤に 荒井まり子
街騒のとどきし畑の桑芽吹く 浅見さよ
裏山は芽吹きはげしや達磨市 石田あき子 見舞籠
西行の墳山の樹々芽吹きけり 佐川広治
西行堂うすももいろの芽立ちかな 中山純子 沙 羅以後
見頃なる花とは別に芽吹く木々 高澤良一 鳩信
触るるものみな芽吹きたる怖れかな 折井眞琴
警策音飛んで瑞鹿山芽吹き 高澤良一 ももすずめ
谷地柳芽吹く一帯の雪解水 内藤吐天 鳴海抄
貴婦人といふ白樺の芽立かな 青木重行
買ひ手待つ絵を芽吹く木に架けにけり 下村梅子
資生堂前の焼跡芽吹き急 加藤耕子
赤松の芽立の雨に駒は臥す 石橋辰之助 山暦
起請文累々芽吹く杜にて 高澤良一 ぱらりとせ
足袋底に滲む残雪橡芽吹く 松村蒼石 雁
重厚な山毛欅の樹相も芽吹き前 高澤良一 燕音
野犬の目赤し芽立ちの垣に啖ふ 『定本石橋秀野句文集』
金色に芽吹く欅を敬へり 山田みづえ 木語
金賞の札傍らに薔薇芽立つ 斉藤葉子
金銀の輪郭満ちて木々芽吹く 対馬康子 愛国
鉄壁と思ひし崖の芽吹きをり 林翔
雑木芽吹くは叱咤に似たり歩き疲る 吉田未灰
雨止むや芽立かすめる向ひ山 及川貞 夕焼
雪とべり蔦あかあかと芽吹けるに 有働亨 汐路
雪はねて茅萱の芽立つ二月かな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
雪よりも肌やはらかに芽吹山 上田五千石 琥珀
雪国のわつと芽吹ける雑木山 坂本山秀朗
雪嶺を讃へ落葉松芽吹くなり 長倉いさを
雪嶺芽吹く嶺朝湧く力校歌創る 加藤知世子 花寂び
雲のさま遠く見つめしもの芽吹く 猪俣千代子 秘 色
雲早し古城の濠に蓮芽吹く 高井北杜
霜と雹たくらむ天に茶の芽立つ 百合山羽公 寒雁
霞む街しんしんとして枇杷芽立つ 右城暮石 声と声
青山河胡桃芽立ちに溺れをり(平泉) 河野南畦 『広場』
静かなる忙しさにあり木々芽吹く 富安風生
音ありと幹に掌を置く芽吹前 藤田湘子 雲の流域
頬白の移りゆく枝みな芽吹く 中村四峰
頬白や芽吹きこぞりし裏至仏 甲賀 山村
頭折れの樅の樹雨のち晴の色の芽吹き 磯貝碧蹄館 握手
風の壁破る日光*たら芽立つ 百合山羽公 寒雁
風は少女芽吹くまで木をあやしおり 井上純郎
館といふ立方体や蔦芽吹く 山田弘子
鬼くるみぼっつり芽吹く千曲川 高澤良一 燕音
鬼胡桃ごつんごつんと芽吹きたり 茨木和生
鵲の巣に櫨の群枝の芽立ちたり 米沢吾亦紅 童顔
鷹の巣のひとり高しや芽立前 石田波郷
鷹の巣のまぎるる樺の芽吹きけり 斎藤 道子
*かりんより柘榴に飛びし木の芽かな 古舘曹人
「前年比」に追わるる夫木の芽季 小高沙羅
あけぼのの白き雨ふる木の芽かな 草城
あけぼのゝ白き雨ふる木の芽かな 日野草城
あたたかや木の芽観音槻菩薩 橋本榮治 越在
いそがしや木の芽草の芽天下 阿波野青畝


以上
by 575fudemakase | 2014-04-21 09:30 | 春の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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