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春の月

春の月

例句を挙げる。

いつ暮れて水田のうへの春の月 蒼*きゅう
うち霧ふ芋の二葉や春の月 金尾梅の門 古志の歌
きこゆるは井水の流れ春の月 金尾梅の門 古志の歌
こちら日本戦火に弱し春の月 三橋敏雄
この匂藪木の花か春の月(七年) 芥川龍之介 我鬼句抄
しばらくは濤の音して春の月 北崎武
せゝらぎの三段ばかり春の月 西山泊雲 泊雲句集
たはれ男の口笛過ぎぬ春の月 芝不器男
とめどなき迷いに父母呼ぶ春の月 原 尚子
どんよりと曇りし春の月明り 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
のしのしと音して山に春の月 和田耕三郎
ひとが見てゐたるところに春の月 細川加賀 『玉虫』
ひとむらの石菖ぬれて春の月 金尾梅の門 古志の歌
ふるさとや石垣歯朶に春の月 芝不器男(1903-30)
まどかなり銀座まつりの春の月 久保田万太郎 流寓抄
みやらびの歯の波いまは春の月 細見綾子
み返ればすなはちやさし春の月 久保田万太郎 流寓抄
もの忘れせし手つめたく春の月 松村蒼石 春霰
やはらかに陶土練りこむ春の月 新庄八重
やわらかく板踏んでいる春の月 永末恵子 発色
ゆく春の月に鵜の鳴く宿りかな 飯田蛇笏 霊芝
ゆく春の月や近江の湖の上 麦南 (八重女を葬りて帰京車中)
よべ春の月の細きを語る窓 稲畑汀子 春光
よべ春の月を宿してゐし湖に 稲畑汀子
わが干支のうさぎや春の月まろき 中山純子 沙羅
ドビユッシイろろんろろんの春の月 文挟夫佐恵 雨 月
パラボラの皿より大き春の月 遠藤梧逸
ベートーヴェン自筆のソナタ春の月 仙田洋子 雲は王冠
ペンギンの一羽おくれし春の月 有馬朗人 天為
ポーランド側に上れり春の月 森田智子
マネキンの小鼻に触るる春の月 松本恭子 二つのレモン
三年坂登り切つたる春の月 上原恒子
三熊野の山のいでゆに春の月 楠目橙黄子 橙圃
丸窓に春の月あり立てば無し 大橋櫻坡子 雨月
五六騎のゆたりと乗りぬ春の月 河東碧梧桐
人に会うごとくに上る春の月 黒川花鳩
人の妻を盗む狐や春の月 妻木 松瀬青々
伊賀よりも甲賀は寒し春の月 大峯あきら 鳥道
出駕籠まつ軒の低さや春の月 井上井月
切株の円盤ひかる春の月 橋本榮治 麦生
別れたくなき故無口春の月 遠藤忠昭
別れ路やまぎれなかりし春の月 相馬遷子 山国
国原や桑のしもとに春の月 阿波野青畝(1899-1992)
土屋より暮春の月の上りけり 飯田蛇笏
土曜日はたのし出てゐる春の月 大島三平
大いなる春の月あり山の肩 杉田久女
大御空仰くや春の月の色 尾崎紅葉
大江の黒く流るゝや春の月 内田百間
大阪弁洩れ来る路地に春の月 茂里正治
女倶して内裡拝まん春の月 蕪村
女出で鳥籠を吊る春の月 有馬朗人 耳順
妻の肩へのりたるやうに春の月 今井杏太郎
子の言葉こころにおきて春の月 松村蒼石 露
子を負へる影に昔を春の月 阿部みどり女 笹鳴
屋根屋根に乳の香流れ春の月 原裕 青垣
山脈の空みどりなす春の月 相馬遷子 山國
幾十の切株の上の春の月 大野林火
影もまたひとり酔へるか春の月 田中裕明 花間一壺
我宿は巴里外れの春の月 高濱虚子
我此處にあり春の月みそなはせ 星野立子
我法学士妻文学士春の月 小川軽舟
手袋の手にはや春の月明り 中村汀女
据風呂に行春の月緑なり 会津八一
摩利支天の露店の上や春の月 長谷川かな女 雨 月
教会の塔の上なり春の月 寺田寅彦
新陵のいく夜を経たる春の月 井澤小枝子
明日会ふ人の電話や春の月 小川軽舟
春の月あそことここの間かな 五島高資
春の月ありしところに梅雨の月 高野素十(1893-1976)
春の月およその時を戻りけり 碧雲居句集 大谷碧雲居
春の月きらきらと木をのぼる水 原裕 新治
春の月けふも枯木のうしろより 渡邊水巴 富士
春の月さしこむ家に宿とりて 前田普羅 春寒浅間山
春の月さして墓原ねむりけり 成瀬桜桃子 風色
春の月さし入る門をひらきけり 久保田万太郎 草の丈
春の月さすがに障子一重かな 松岡青蘿
春の月さはらば雫たりぬべし 小林一茶
春の月と僕の間をヘリが飛ぶ 五島高資
春の月ながなきどりのうしろより 原裕 新治
春の月なまなか照りてかなしきよ 久保田万太郎 草の丈
春の月ゆらゆらと木をのぼる水 原 裕
春の月バレエ群舞の中にあり 対馬康子 吾亦紅
春の月上りて暗き波間かな 後藤夜半
春の月仰ぎて踏みて尼寺へ 植村通草
春の月仰ぎ丸ビル最後の日 稲畑廣太郎
春の月土蔵の尽くるところまで 大沢せい
春の月大きい星は出てゐるよ 滝井孝作 浮寝鳥
春の月大輪にして一重なる 長谷川 櫂
春の月小路小路のほと暗く 福田蓼汀 山火
春の月岸にかゞみて水を見る 阿部みどり女 笹鳴
春の月常磐木に水際仄なる 芥川龍之介 我鬼窟句抄
春の月思ひ余りし如く出し 上田五千石 琥珀
春の月本籍はまだふるさとに 大串章 百鳥 以後
春の月村はづれより上りたる 石井とし夫
春の月杖もちて来て誘わるる 長谷川かな女 牡 丹
春の月枯木がくれに黄にけぶる 渡邊水巴 富士
春の月水の音して上りけり 正木ゆう子
春の月沼の上にてうすれつつ 藤井冨美子
春の月海ある方へ犬走る 山口誓子
春の月海離れむとして撓む 藤木倶子
春の月疲れたる黄をかかげけり 木下夕爾
春の月眠らぬ花に人も醒め 長谷川かな女 牡 丹
春の月石階さぐり上るなり 岡本松浜 白菊
春の月砂丘越ゆればなかりけり 森田峠 避暑散歩
春の月砂絵の童らにさしそめぬ 芝不器男
春の月米磨ぐ音の中に出る 大野林火
春の月羽音ばかりの鴨たてり 米沢吾亦紅 童顔
春の月腰籠に玉子忍ばせて 松村蒼石 春霰
春の月舞妓も眠る別れなり 渡邊水巴 富士
春の月芝居の木戸に湧く女 正岡子規
春の月花卉園の玻璃濡れにけり 宮武寒々 朱卓
春の月薄雲に入り雲を染む 柴田白葉女 花寂び 以後
春の月軒端に見えず庭に照り 阿部みどり女
春の月返すに早き波もなし 井月の句集 井上井月、下鳥勲編
春の月酒の泉にうかびけり 尾崎紅葉
春の月階段に掛けあるは鞍 中田剛 珠樹以後
春の月隠れてをりし摩天楼 嶋田言一
春の月雁々松のみゆるかな 久保田万太郎 草の丈
春の月風船ながくただよへる 中田剛 珠樹以後
春の月騒人楼に上りけり 乙字俳句集 大須賀乙字
春の月鶏さけば曇りけり 素郷
春の月鶏裂けば曇けり 南部 素郷 五車反古
晴天に暮て間もなし春の月 成文
暮れて越す草山一つ春の月 志田素琴
村芝居林の中や春の月 癖三酔句集 岡本癖三酔
東山近く宿とり春の月 衛藤 きく女
松ふぐり見えてかゝりぬ春の月 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
松原や夕ベの過ぎて春の月 尾崎迷堂 孤輪
枯れさやぐ芒の茎に春の月 角川春樹 夢殿
森の中に川の瀬見ゆる春の月 大須賀乙字
森を出て妙にも白し春の月 原石鼎
椎の木の中金塊の春の月 上野泰 春潮
欄干を越えてきさうな春の月 寿 芳江
殉教の丘また丘や春の月 森田峠 避暑散歩
毛物らの頭はかたし春の月 桑原三郎 春亂
水の地球すこし離れて春の月 正木ゆう子
沖までの途中に春の月懸る 山口誓子(1901-94)
波音を離れて春の月となる 星野椿
洗ひをる雨手に受けし春の月 林さわ子
流木に宿りし貝や春の月 森本節子
浅川の末ありやなし春の月 松岡青蘿
浜の子の凧あげしあと春の月 大串章 百鳥
清水の上から出たり春の月 許六
湯浴み後の眼鏡をかけず春の月 池田秀水
濃くうすく櫂を持ちたる春の月 栗林千津
灯のともるやうに出るなり春の月 古白遺稿 藤野古白
灯を消して待つ自動車や春の月 楠目橙黄子 橙圃
点滴は命のしづく春の月 藤巻昭二
燈濃き玻璃多き長屋ぞ春の月 香西照雄 対話
片側は雪積む屋根や春の月 鳴雪句集 内藤鳴雪
田のくまにうすらひ光る春の月 金尾梅の門 古志の歌
田の上に春の月ある御社 高野素十
百年は生きよみどりご春の月 仙田洋子 雲は王冠以後
目と鼻の先の駅より春の月 永末恵子 留守
眠る子に王様の世の春の月 遠藤梧逸
砂の上に波ひろがりぬ春の月 橋本鶏二
移住地へ著きしその夜の春の月 相場しげを
稚子ふたり寺にかへるや春の月 四明句集 中川四明
笛吹いて古ェめかせ春の月 尾崎迷堂 孤輪
紅紐の絵馬うちならぶ春の月 津森延世
聖母子のうつむきかげん春の月 仙田洋子 雲は王冠
聟がねに誰がなるらん春の月 正岡子規
膵病めば梔子色に春の月 土岐錬太郎
良性の雲のはらわた春の月 高澤良一 ぱらりとせ
芝居出て舞台に似たり春の月 松根東洋城
草の戸に我八十の春の月 遠藤梧逸
草入れて馬の顔撫づ春の月 名和三幹竹
菜畑の風にうるめり春の月 上村占魚 鮎
落柿舎の藪はかたむく春の月 米沢吾亦紅 童顔
藪を出るかごめかごめの春の月 原田喬
蘭一花買ひ初七日の春の月 和田耕三郎
蛤を買うて重たや春の月 松本たかし
蟻出でて葉をふみあるく春の月 宇佐美魚目 秋収冬蔵
街道に家なし松に春の月 福田蓼汀 山火
裏山に金粉散らし春の月 原和子
裏川の主なし船や春の月 蘇山人俳句集 羅蘇山人
裏川の水鳴り止まず春の月 内田百間
西行の嘆きに満つる春の月 原裕 出雲
講はての也阿弥左阿弥や春の月 四明句集 中川四明
貴船路や出てゐるらしき春の月 松尾いはほ
赤ん坊が泣き竹藪に春の月 細川加賀 生身魂
起居なれし疎開夫人に春の月 飯田蛇笏 春蘭
蹴あげたる鞠のごとくに春の月 富安風生(1885-1979)
身より出づ春の月こそ抱えなば 各務麗至
身一ッは浪も寐よげに春の月 松岡青蘿
農の出の二人土湯に春の月 原裕 青垣
近き星を明るう照らし春の月 原石鼎
連立ちてつく~一人春の月 今井千鶴子
配所には干網多し春の月 夏目漱石 明治二十九年
野生馬を見ての泊りの春の月 小坂蛍泉
金剛を出れば四条や春の月 四明句集 中川四明
鉾杉にかかれば古鏡春の月 小原菁々子
鎌倉に産屋囲へる春の月 清水基吉 寒蕭々
門内にかゝる小橋や春の月 金尾梅の門 古志の歌
門限にいまだ間のあり春の月 吉田ひで女
陸橋を渡るひとりに春の月 村田 脩
階段の下に声かけ春の月 長谷川かな女
障子外に田水の音や春の月 冬葉第一句集 吉田冬葉
隣村までの用足し春の月 小林景峰
離れ家に落合ふ客や春の月 井月の句集 井上井月
面作る翁に春の月ありや 田村了咲
高楼に鼓打つなり春の月 寺田寅彦
鰈の目とれさうにあり春の月 大石雄鬼
鰯煮く煙りならびぬ春の月 金尾梅の門 古志の歌
鶯のねぐら探さん春の月 古白遺稿 藤野古白
いまいでし春月に沿ひ浜の子等 永田耕一郎 海絣
おもひきや春月のぼる藪のひま 水原秋櫻子
のみ干す酒いま春月は一円燈 桂信子 黄 瀬
ひえびえと春月のある行手かな 岸本尚毅 舜
ひと睡りして春月の出が沖に 猪俣千代子 堆 朱
まつさらの闇春月の上りしな 齋藤愼爾
まどかなる春月をしも母は背に 石川桂郎 含羞
オートバイ内股で締め春満月 正木ゆう子
ミサのコーラス春月は星連れて 庄中健吉
上陸の春月大いなるを見き 稲垣きくの 黄 瀬
世を離れをれば春月大いなる 手塚美佐 昔の香
二月堂出で春月に影もらふ 吉原文音
初恋のあとの永生き春満月 池田澄子
吹き晴れて春月探しあてにけり 高木晴子 花 季
吾子の窓灯る春月と同じ色に 茂里正治
囁津幸彦春月の番してをらむ 大木あまり 火球
大いなる春月母子寄る方に 高澤良一 ねずみのこまくら
大和葺春月雲の隙間ぬふ 西村公鳳
天平の春月出づる二月堂 佐藤浩子
奇跡乞ふ春月次第にかすみゆく 阿部みどり女
子をとろに春月弾み出でにけり 中島月笠
学帽はかぶらず出でて春月に 波多野爽波 鋪道の花
宿直して迎へはべりぬ君が春 月居
山の端に春月ひらく車井戸 柴田白葉女 花寂び 以後
山の端の逃げて春月ただよへる 川崎展宏
幹照らす春月チャンチンモドキの木 高澤良一 ぱらりとせ
弾き疲れの子と春月と何ささやく 林翔 和紙
揺れあがりすわる春月松の上 大橋櫻坡子 雨月
新宿や春月嘘つぽくありて 山元文弥
春月があふれて昇る枝若し 林翔 和紙
春月といふまどかなるものを見し 東洋城千句
春月としみじみ刺して骨となる 攝津幸彦
春月となるべく榛の木にかゝり 岸風三楼 往来
春月にかの山頂の荒御魂 大峯あきら 鳥道
春月にふところひろき名所山 飯田蛇笏 雪峡
春月にみどり児丸き手を開く 林薫子
春月に原爆欠除部分透く 原裕 葦牙
春月に地壇の宴を惜しみけり 荒井正隆
春月に妻一生の盥置く 平畑静塔
春月に手を照らされて逢ひにけり 榎本冬一郎 眼光
春月に放射状なす都市計画 波多野爽波 鋪道の花
春月に瑪瑙色あり大伽藍 森澄雄
春月に田ごとの水輪小歇みなし 木津柳芽 白鷺抄
春月に鍋宥めつつ豆を煮る 橋本と志
春月のいきなり欅がかりかな 斉藤夏風
春月のいつかルオーの聖女かな 平井照敏 天上大風
春月のごと来世はみずみずし 篠塚佐郷
春月のさす古本を漁りけり 長谷川かな女 雨 月
春月のしたにて村の火事やみし 百合山羽公 故園
春月のしづくしてゐる雪の国 永田耕一郎 海絣
春月のひと夜の白さ干鰈 文挾夫佐恵
春月のぽん太落籍(ひ)かるる別れかな 筑紫磐井 婆伽梵
春月のまだ色なしや潦 楠目橙黄子 橙圃
春月のまろきを寒み箒置く 金尾梅の門 古志の歌
春月のまろくはなくてうるみたる 上村占魚 鮎
春月の一と夜は暗き丘とのみ 中村汀女
春月の三日のひかりに医にかよふ 森川暁水 淀
春月の下に夜桜下に町 京極杞陽 くくたち上巻
春月の丘校舎成り艦艇沈み果てぬ 藤後左右
春月の出にいとまある浜明り 上田五千石 森林
春月の出に梅神の騒ぐなる 鷹羽狩行 五行
春月の坂ゆるやかにしたがへる 中村汀女
春月の売りに出されしごとくあり 大木あまり 雲の塔
春月の大なり吾子をかざし過ぐ 永田耕一郎 氷紋
春月の彼方惑星直列す 山本歩禅
春月の暈の下なる京都かな 五十嵐播水 播水句集
春月の暈も円かに聖受胎 上田五千石 田園
春月の暗きところを海といふ 行方克巳
春月の暗き庭より匂ふもの 山口素杏
春月の望夜もかなし医にかよふ 森川暁水 淀
春月の木椅子きしますわがししむら 桂信子 黄 炎
春月の海ある方へ犬走る 山口誓子
春月の海に出てまだ海の上 倉田紘文
春月の湖の全貌となりにけり 米沢吾亦紅 童顔
春月の狸小路にまぎれゆく 角川源義 『神々の宴』
春月の病む半分を伴なふも 伊藤白潮
春月の病めるがごとく黄なるかな 松本たかし
春月の秋月と澄み北の果 福田蓼汀 山火
春月の翳にゆらるゝおもひにて 加藤信女
春月の自刃の廣場濤を聴く 古舘曹人 砂の音
春月の蝕極まりて星満てり 下村梅子
春月の貨車にゆつくり抜かれけり 田川飛旅子 花文字
春月の鏡のごとき今宵かな 河野静雲 閻魔
春月は御所かも加茂の水ながれ 渡邊水巴 富士
春月へ野獣のごときホルンかな 吉原文音
春月も貯炭の底も倦みしかな 小林康治 玄霜
春月も酔ひしいろして紅殻搗 八牧美喜子
春月やいつとき子宮借りたると 柚木紀子
春月やしづかに湖をひきはなし 下村梅子
春月やせまればくもる湯の鏡 赤松[ケイ]子
春月やものの隅まで淡き影 東洋城千句
春月やわが名きざみし鬼瓦 井上雪
春月や上加茂川の橋一つ 河東碧梧桐
春月や切ればわが家にレモンの香 中島斌雄
春月や印金堂の木間より 蕪村 春之部 ■ 几董とわきのはまにあそびし時
春月や塔下の草にありく人 東洋城千句
春月や大学の門人出で来 波多野爽波 鋪道の花
春月や天道説のすてがたき 佐藤 健
春月や子をなすたびに眉うすれ 大岳水一路
春月や室戸は沖のかぐろさよ 上村占魚 球磨
春月や室生寺の僧ふところ手 高野素十
春月や宮居の前の波がしら 吉武月二郎句集
春月や家々くらきでゆの谷 楠目橙黄子 橙圃
春月や家の中なる妻を見て 岸本尚毅 舜
春月や家へもどれば鴨の声 佐野良太 樫
春月や家鴨も寝ては白鳥めく 樋笠文
春月や宿とるまでの小買物 芝不器男(1903-30)
春月や寝鳥がたちし雑木原 水原秋櫻子
春月や川洲の砂の宵光り 内田百間
春月や幕とり残す山遊び 大須賀乙字
春月や幕取り残す山遊び 乙字俳句集 大須賀乙字
春月や招かれゆけば柩ある 岸本尚毅(1961-)
春月や摩耶山*とう利天上寺 泉鏡花
春月や木魚いさめる庵の空 河野静雲 閻魔
春月や檜山杉山隣り合ひ 藤本輝紫
春月や水に相呼ぶ渡しの灯 柑子句集 籾山柑子
春月や犬も用ある如く行く 波多野爽波 鋪道の花
春月や犬吠えめぐる藪の家 橋本鶏二 年輪
春月や生活をかけし花鋏 古賀まり子 降誕歌
春月や畑の蕪盗まれし 高野素十
春月や背に思索の水尾曳き往く 藤後左右
春月や萱負ふ馬に径ほそ~ 島村元句集
春月や行く気になりて後を追ふ 下村梅子
春月や衣桁に金を散らす帯 橋本榮治 麦生
春月や見れば虎魚と皮剥と 岸本尚毅 舜
春月や謡をうたふ僧と僧 前田普羅
春月や鞦韆に凭る宿直の師 芝不器男
春月を三日と告げたる母を愛す 金田咲子 全身 以後
春月を埋め柔かき山の雲 岡田日郎
春月を得て前こゞむ比叡かな 岸風三楼 往来
春月を得て雪嶺のやさしさよ 岸風三楼 往来
春月を浴び来し衣を衣桁かな 野村喜舟 小石川
春月を濡らす怒涛や室戸岬 松本たかし
春月下医家へかよひの杖ほそく 森川暁水 淀
春月下旅人の影われを抜く 原裕 葦牙
春月大きふるさとに母帰り給ふ 大串章
春満月うちうみに波あまりけり 松本美簾
春満月ざしきわらしも外に出でよ 菖蒲あや
春満月ぬつと土龍の鼻先へ 清水正彦
春満月もう誰からも叱られぬ 松山足羽
春満月わが死化粧は誰かせむ 鈴木栄子
春満月仲麻呂如何杜甫如何 山田みづえ
春満月映す漆を重ねけり 野中亮介
春満月森にけものの息づかひ 石田あき子
春満月水子も夢を見る頃ぞ 保坂敏子(1948-)
春満月海へ行進する鉄管 寺井谷子
春満月甘酒の酔かすかなり 石田あき子 見舞籠
春満月産湯に母を過てり 齋藤愼爾
春満月袋の中に二人いる 鳴戸奈菜
春満月道がながれてゆくやうな 雨宮きぬよ
春満月野に生れ母の骨ひろふ 早崎明
柱のみとなりたるわが家春月燃え 桜井博道 海上
母とゐる春月重し田の上に 石川桂郎 含羞
母なる伊豆春月の乳を噎ぶほど 文挟夫佐恵 黄 瀬
母の魂春満月となりぬべし 上田操
津軽じよんがら春月ずいと揺すり上ぐ 奈良文夫
浄土とは春月ほどの明るさか 井上哲王
熱田津にのぼり春月大いなり 有馬朗人
犀川に瑞の春月誕生日 西本一都 景色
猫跳んで春月のこる鬼瓦 河合凱夫 飛礫
琴を弾く春満月を二日すぎ 阿部みどり女 『雪嶺』
石蹴りに飽けば春月昇りをり 藤沢周平
童女の死春満月へ魚翔んで 栗林千津
紺絣春月重く出でしかな 飯田龍太(1920-)
繊きあり春月として育つべく 山本歩禅
羽音なき鳥春月をよぎり飛ぶ 福田蓼汀 秋風挽歌
艪すでに春満月下よく乾き 中田剛 珠樹
花鳥忌の雲に春月おちにけり 萩原麦草 麦嵐
薄雲や春月出でて白妙に 大橋櫻坡子 雨月
見上ぐれば春満月をよぎる貨車 岡田治子
覗く春月尿れば昔が顔出すよ 磯貝碧蹄館 握手
誰か手をたたく春月出てをりぬ 川崎展宏
雪吊の撓みのうへの春満月 松村武雄
靄晴るる身に春月の首飾 原裕 葦牙
魚跳ねて春月みだる李白の夜 浅野岳詩
鴉片窟春月ひくくとどまれり 飯田蛇笏 春蘭
鹿苑に春月われに水の音 下村槐太 天涯



以上
by 575fudemakase | 2014-04-25 07:09 | 春の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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