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薔薇(2)

薔薇(2)

例句を挙げる。

薔薇たちは人間学を学んだり 高澤晶子 純愛
薔薇ちるやいちごくひたき八ツ下り 正岡子規
薔薇ちるや天似孫(テニソン)の詩見厭(あき)たり 夏目漱石 明治三十六年
薔薇つけし葉のきわやかに甕の水 飯田蛇笏
薔薇といふ森の勲位を草の上 古舘曹人 能登の蛙
薔薇と城塞彷徨かにかく瞶めをり 河野多希女 納め髪
薔薇どきの噴霧器門に置き忘れ 高澤良一 素抱
薔薇どこに挿しても主張ありにけり 原田嶺子
薔薇どれも香りて日の香まじりあふ 野澤節子 黄 瀬
薔薇に付け還暦の鼻うごめかす 西東三鬼
薔薇に佇つ足裏きよき鳥と子と 対馬康子 愛国
薔薇に倦み薔薇を売りをり渋谷駅 奥坂まや
薔薇に噎せ棺を蹴破つて出てこぬか 松岡耕作
薔薇に対き己れ偽ることもなし 津田清子 二人称
薔薇に架けられ吹きなびかせてゐる髯よ 高柳重信
薔薇に置き人の名刺の角は鋭し 古舘曹人 能登の蛙
薔薇に背を廻せば風の櫻島 古舘曹人 砂の音
薔薇に蟲父亡きことの慥かなり 下村ひろし 西陲集
薔薇に読む船に始まる物語 橋本風車
薔薇に逢ひ旧師旧友白髪に 秦羚羊子
薔薇に雷ややありて虚を衝かれけり 下村槐太 天涯
薔薇に風厘き封書が子に来しよ 細川加賀 生身魂
薔薇に風琴柱にふれしままにあり 野澤節子 黄 瀬
薔薇のため水の岐れるしずかさよ 出口善子
薔薇のとげぬき地蔵前四人下車 仁平勝 花盗人
薔薇のみにても人のみにても美しき 京極杞陽
薔薇のアーチの窄き門神父館 上田五千石 田園
薔薇の上誰か訪ひくる意にしつとり 野澤節子 『花季』
薔薇の冠つけて土星を思ひゐる 仙田洋子 雲は王冠以後
薔薇の前如何なる笑顔つくれとや 津田清子 二人称
薔薇の午下汗して愉し花圃つくり 中尾白雨 中尾白雨句集
薔薇の午後子に絵が描けて昼餉とす 殿村莵絲子 花 季
薔薇の卓午餐のフランスパンちぎる 石川文子
薔薇の句碑囲ふに薔薇を以てせり 下村ひろし 西陲集
薔薇の咲きつづけて崩れ急に来る 嶋田一歩
薔薇の園引返さねば出口なし 津田清子 礼 拝
薔薇の土舐めしごとくに盛られけり 西本一都 景色
薔薇の土誰か訪ひくる意にしつとり 野澤節子 花 季
薔薇の季影殖やしいる昼の島 和知喜八 同齢
薔薇の家に心へだたる父と子と 三谷昭 獣身
薔薇の息きく胎動をきくごとく 西島麦南
薔薇の情われ三十をすでに過ぎ 下村槐太 光背
薔薇の接穂の白いきれのにじむ字 梅林句屑 喜谷六花
薔薇の暗部の/父てふ/母てふ/開脚よ 林桂
薔薇の木の一株といふ重さかな 大木あまり 雲の塔
薔薇の果はみのりてをれど聖ヨハネの祝日ちかく草臥れてをり 斎藤正二
薔薇の根に蟻の群る日向哉 寺田寅彦
薔薇の瓶倒れぬ遠き母いかに 大島民郎
薔薇の花母へなぞなぞ掛けくる子 佐藤美恵子
薔薇の葉の蝕を見る薄暑かな 長谷川かな女 雨 月
薔薇の虫刺すべくありぬ蜂の針 西島麦南 人音
薔薇の虫神の手の如我潰す 上野泰 春潮
薔薇の蜂一花に溺ることはなし 山本歩禅
薔薇の赤き棘も美観の一つにて 高澤良一 鳩信
薔薇の辺に明治の時計いまも鳴る 三谷いちろ
薔薇の辺の瞼ひととき睡りをり 猪俣千代子 堆 朱
薔薇の門に子が立つ傘を折り畳む 斉藤夏風
薔薇の門屑屋の礼は帽脱るだけ 香西照雄 対話
薔薇の雨本門寺裏へ坂をなす 藤田湘子
薔薇の風夫婦にもあるお三時どき 石川文子
薔薇の首擡げて鋏入れにけり 西村和子 夏帽子
薔薇の香か今ゆき過ぎし人の香か 星野立子
薔薇の香に伏してたよりを書く夜かな 池内友次郎
薔薇の香のただなか仰臥浮くごとし 鷲谷七菜子 花寂び
薔薇の香の一花一花を同じうせず 下村梅子
薔薇の香の咲き崩れんとして強し 今橋眞理子
薔薇の香の紛々として眠られず 正岡子規
薔薇の香を神代の風に零しつつ 稲畑廣太郎
薔薇は灯にカーテン暗き風包む 大島美代子
薔薇は炎に樺美智子の忌なりけり 七田谷まりうす
薔薇は白砂に散り緑蔭に猿の檻 田川飛旅子 花文字
薔薇は血のいろ飴の紙掃く地に謝しつゝ 磯貝碧蹄館 握手
薔薇ひらききつてをりけり校了す 岩崎照子
薔薇ひらききつて芯まで風およぶ 矢部栄子
薔薇ひらく夜風病後は耳聡し 古賀まり子 緑の野
薔薇へ水川舟ゆきし水尾を汲み 大岳水一路
薔薇ほどける 錆朱 内からうちから湧き 伊丹三樹彦 樹冠
薔薇まぶしその一つ生の始まりは 対馬康子 愛国
薔薇もみぢみづ霜垣をながれそむ 石原舟月 山鵲
薔薇よりも淋しき色にマッチの焔 金子兜太
薔薇よりも濡れつつ薔薇を剪りにけり 原田青児
薔薇よりも青年匂ふ聖金曜日 楠本憲吉
薔薇をつむ手頸にかけし袋かな 雑草 長谷川零餘子
薔薇をもて栄えの玄義唱へけり 稲畑廣太郎
薔薇を前くやし涙は拭かざるよ 橋本美代子
薔薇を剪ること狼藉に似たるかな 原田青児
薔薇を去りうしろどこかがうらがなし 加藤楸邨
薔薇を咲かせて隣人の声透る 椎橋清翠
薔薇を嗅ぎ火中を去りてゆくごとし 小檜山繁子
薔薇を抱き込み上げて来るものを抱き 蔦三郎
薔薇を持ち倒立したり暗函に 田川飛旅子 『使徒の眼』
薔薇を描きあげしパレット絵のごとし 橋本美代子
薔薇を画く花は易く葉は難かりき 正岡子規
薔薇を詠むことを白紙にして戻る 古舘曹人 能登の蛙
薔薇を転がる露一滴の告白なり 原子公平
薔薇を銜へていま絶頂のフラメンコ 椎橋清翠
薔薇を食ふ虫に毒盛る巴里祭 櫛原希伊子
薔薇を食む毛虫の系譜連綿と 津田清子
薔薇アーチ出入りに揺るゝ蕾あり 及川貞 榧の實
薔薇一枝挿しぬ忘られてはゐずや 藤田湘子(1926-)
薔薇一花血を流さずに海へ投ぐ 磯貝碧蹄館
薔薇一輪の教壇は荒れ易し 対馬康子 純情
薔薇一輪一輪ゆゑに重信忌 攝津幸彦 鹿々集
薔薇一輪心の奥にかすり傷 和田幸司
薔薇一輪鏡に在りし美き朝 中尾白雨 中尾白雨句集
薔薇一輪鯨のどこに挿しましよう 藤岡筑邨
薔薇並ぶうしろの湯屋の暖簾哉 増田龍雨 龍雨句集
薔薇五月午前の海と午後の海 原田青児
薔薇切って薔薇より赤き血の滲む 長山順子
薔薇剪って庭下駄重き病上り 蘇山人俳句集 羅蘇山人、村山古郷編
薔薇剪つて庭下駄重き病上り 蘇山人俳句集 羅蘇山人
薔薇剪つて手づから活けし書斎哉 正岡子規
薔薇剪つて短き詩をぞ作りける 高浜虚子
薔薇剪りに朝のエプロン濡らしけり 永井龍男
薔薇剪るや深きところに鋏入れ 島谷征良
薔薇匂う戴冠の式遥かに今 長谷川かな女 牡 丹
薔薇匂ふならずや東西の壁外せ 稲垣きくの 黄 瀬
薔薇匂ふはじめての夜のしらみつゝ 日野草城
薔薇呉れて聖書かしたる女かな 高浜虚子
薔薇咲いて公園の朝始まりし 成宮紫水
薔薇咲いて白壁フェリス女学院 稲野博明
薔薇咲いて起居いささか華やげり 高澤良一 素抱
薔薇咲かせ園芸家をわが夢見し日 伊東宏晃
薔薇咲かせ訪はるるほかは人に逢はぬ 八牧美喜子
薔薇咲くと輓馬の痛み空にあり 津沢マサ子
薔薇咲くやたのしかるべきをとめの日 岸風三楼 往来
薔薇咲くや一小節に音譜満ち 野中亮介
薔薇咲くや天主堂見に長崎へ 大島民郎
薔薇咲くや相次ぎとどくエアメイル 大島民郎
薔薇咲くや郵便受に小鳥の絵 大島民郎
薔薇咲けり目薬二滴またこぼれ 河野多希女 両手は湖
薔薇嗅ぎて去る黒髭の郵便夫 辻田克巳
薔薇図鑑黴び従妹死後千一夜 馬場駿吉
薔薇園あり真中に老婆たち 寺田京子 日の鷹
薔薇園にてすれ違ふとき人若し 原田青児
薔薇園に小鳥来る日の海の紺 原田青児
薔薇園に来てシナリオの読合せ 大島民郎
薔薇園に点す一燈聖夜餐 原田青児
薔薇園に異国のモデルポーズとる 高見孝子
薔薇園に落ちたる生死定まらず 和田悟朗
薔薇園のまんなか誰も知らない樹 山崎愛子
薔薇園の全景海へ傾けり 山崎ひさを
薔薇園の咲き殻だまり初時雨 原田青児
薔薇園の小屋の中なる電話鳴り 深見けん二
薔薇園の時雨の松を愛づるかな 大木あまり 火球
薔薇園の渦より男抜けていく 森 玲子
薔薇園の瘤白鳥に木蔭なし 大島民郎
薔薇園の美しすぎる寒さかな 大木あまり 火球
薔薇園の色失なえる白夜かな 寺澤慶信
薔薇園の薔薇に縋りし空蝉よ 原田青児
薔薇園の薔薇よりも濃き夕茜 深見けん二
薔薇園の鉄柵に手をふれてゆく 桂信子 遠い橋
薔薇園やアーチの下の小休止 和久津フミヱ
薔薇園を出でて市井の浅蜊買ふ 岸風三樓
薔薇園一夫多妻の場を思ふ 飯田蛇笏(1885-1962)
薔薇園正しき路のめぐりたる 楠目橙黄子 橙圃
薔薇垣にわが脱ぎ置きし蛇の衣 阿部誠文
薔薇垣や更けゆく夜空うるほへり 塚原麦生
薔薇垣をへだてなじまぬ犬同志 大島民郎
薔薇垣を飛び立つ虫に日の光り 島村元句集
薔薇培り時をつくりみな若きひとよ 中尾白雨 中尾白雨句集
薔薇売に黄昏ながき五番街 市ヶ谷洋子
薔薇大輪稚(わか)ければ神召されしや 角川源義
薔薇好む典雅好むということぞ 京極杞陽
薔薇小さければ宿せる雨粒も 千原叡子
薔薇崩るるとき嚠喨と夕焼雲 千代田葛彦 旅人木
薔薇崩る曲もその名のタンゴにて 水谷 晴光
薔薇崩る激しきことの起る如 橋本多佳子
薔薇抱いてバレンタインといふ日かな 友田美代
薔薇挿してかの日の嘆きよみがへる 稲垣きくの 黄 瀬
薔薇挿して夜の凍魚のはなやぎぬ 石原舟月 山鵲
薔薇挿して鉛筆の香を愛すなり 田川飛旅子
薔薇挿すや床臥す母の白づくめ 橋本榮治 麦生
薔薇挿すや紅すでに凍ててあり 椎橋清翠
薔薇挿せども空瓶になほ洋酒の香 桂信子 花寂び 以後
薔薇接ぐやわが百姓の血を思ひ 堀口星眠 営巣期
薔薇揺りて即ち風の薫りけり 西本一都 景色
薔薇揺れる先に炎のゆれいたり 高澤昌子
薔薇散つて水のおもてに反りしまま 鈴木しげを
薔薇散らす夜の風雨にとざし寝る 中尾白雨 中尾白雨句集
薔薇散らす真夜の巨人の荒駆くる 中尾白雨 中尾白雨句集
薔薇散るは始めともまた終りとも 八牧美喜子
薔薇散るや拾ふ子*もぐ子かゞやかに 渡辺水巴 白日
薔薇日増しに五角六角詩の業 中村草田男
薔薇明り屑屋の新人胸あゆます 磯貝碧蹄館 握手
薔薇枕つくる横顔見せゐたり 加藤三七子
薔薇枸橘棘持ち孤児の成長期 八木三日女 紅 茸
薔薇洪水井筒花店喪が明けて 塚本邦雄 甘露
薔薇活けて外料病室に花鋏 品川鈴子
薔薇浸けし葉のきはやかに甕の水 飯田蛇笏
薔薇満ちて見上ぐる軒も黄ばらなり 及川貞 夕焼
薔薇生けて食卓のアンソール展 仁平勝 花盗人
薔薇画きてプチブルの檻と思はずや 小池文子 巴里蕭条
薔薇白き夜の獣医たち酔ひしれぬ 下村槐太 光背
薔薇白し処女の倫理の昨日(きぞ)の栄 竹下しづの女句文集 昭和二十五年
薔薇白し暮色といふに染りつつ 後藤夜半 底紅
薔薇百の息に縛られゐたりけり 仲村美智子
薔薇真っ赤売り込み一切おことわり 高澤良一 素抱
薔薇真赤ひたすらサキソホンを吹き 森田ていじ
薔薇移す霜にいたみし花を剪り 川島彷徨子 榛の木
薔薇窓や時雨あかりを慈しむ 小池文子 巴里蕭条
薔薇紅き嘆きは人に頒たれず 稲垣きくの 黄 瀬
薔薇腐ちわが道はわが選びしに 後藤綾子
薔薇萎えてとげに吐息をゆずるかな 澁谷道
薔薇酒すこし飲みたるわれに大運河小運河の脈絡暗し 葛原妙子
薔薇開き今宵の団扇新しき 中村汀女
薔薇青し夜は子の言葉実るなり 松澤昭 神立
薔薇館浴後黄昏ながきかな 原田青児
薔薇館海見ゆるまで階を置く 原田青児
薔薇館言葉気取りし鸚鵡ゐて 原田青児
藪跡や筍生える薔薇の側 子規句集 虚子・碧梧桐選
蘂深く薔薇のゆるせる雲の影 木下夕爾
虹の輪をくぐる黒薔薇かざしつつ 三谷昭 獣身
蛇没りてくろずむ薔薇と炎ゆる薔薇 八木三日女 赤い地図
蜘蛛の囲に風が吹くなり薔薇の垣 寺田寅彦
蝿ひとつ夜深き薔薇に逡巡す 草城
蠅殺す毒皿置きて薔薇を挿す 百合山羽公 寒雁
血と薔薇とばらばらの父とばちと 江里昭彦 ラディカル・マザー・コンプレックス
行きまじる軽羅の街は薔薇粧ふ 中村汀女
袂にはあをきバットよ薔薇のみち 下村槐太 天涯
袂には青きバツトよ薔薇のみち 下村槐太 光背
裸婦ねむく薔薇一弁を解きにけリ 岸風三樓
西域の古き傅へや薔薇水 松瀬青々
見えてゐる野薔薇のあたりいつ行けむ 野澤節子 黄 瀬
見るうちに薔薇たわ~と散り積る 高浜虚子
親王の御輦の薔薇白妙に富士 飯田蛇笏 霊芝
言葉にて受けし傷膿む薔薇の苑 寺井谷子
詩の湧きつぐことが詩十一月の薔薇 中村草田男
誕生日この一日の薔薇を買ふ(五月二日) 河野南畦 『風の岬』
誘惑に耐えたる悔や夜の薔薇 岨静児
誰がために戯曲は書かれ薔薇の昼 伊藤敬子
豪華なる薔薇盛り沼を見はるかす 林翔 和紙
貧乏寺蜂はぬくぬく薔薇の中 中山純子 沙羅
貧相な薔薇の咲きたる土用かな 鈴木真砂女 生簀籠
贅沢に寡黙に薔薇に降る雨は 原田青児
赤も黄も太陽の色薔薇盛り 和田西方
赤ん坊に指握られて薔薇とゐる 栗林千津
赤城君真紅の薔薇だよ「さようなら」 橋本夢道 無類の妻
起き抜けの水を一杯薔薇曇 橋本榮治 越在
踊り子へやんやと放つ薔薇真紅 嶋田麻紀
身に希ふあくがれありて薔薇を挿す 中尾白雨 中尾白雨句集
車椅子の母のり出して薔薇をかぐ 藤田郁子
辺福は青天と薔薇書買ふのみ 香西照雄 素心
迎春やわが薔薇園に海を容れ 原田青児
迎春や薔薇百株と文学と 原田青児
返す書にひとひらはさむ薔薇が欲し 小檜山繁子
通ひ路の春光ふかき薔薇垣 麦南
逝く母へ薔薇あり妻のいまだ来ず 斉藤夏風
造花になき薔薇の冷肌妻は生きて 香西照雄 対話
逢魔時色褪せし薔薇に雨灑ぐ 内藤吐天 鳴海抄
酒に遠き幾日ぞ薔薇の咲き代り 石川桂郎 含羞
重荷負うごとき花びら薔薇匂う 和知喜八 同齢
野薔薇咲き万葉よりの鮎どころ 大島民郎
金網に吹付けらるる雨の薔薇 京極杞陽 くくたち下巻
金網の向うが広し薔薇の園 森田智子
金魚葬る吾子に薔薇も枝伸べて 林翔 和紙
鉄打つ音薔薇を芯まで開かしむ 津田清子 礼 拝
鋏の音遠くよりして薔薇騒然 高澤良一 寒暑
鋤ける海薔薇(はまなす)の仮説とはまなす 加藤郁乎
錠剤を噛み砕き服む薔薇の前 相生垣瓜人 微茫集
鏡あり挿花の薔薇の裏うつる 田川飛旅子 花文字
鐙摺(あぶずり)のヨット馳すなり薔薇の窓 高澤良一 素抱
長兄の手品はいつも薔薇が出る 仁平勝 東京物語
閉ぢし書の沈み緊まるや薔薇の卓 橋本鶏二
開く薔薇内に多くのもの包む 津田清子 礼 拝
陽が射して薔薇の一日始まりぬ 加藤瑠璃子
隊伍来て野が総毛だつ黄色い薔薇よ 高柳重信
階上はオペラはじまれり薔薇むしる 長谷川かな女 雨 月
障子あけて病間あり薔薇を見る 子規句集 虚子・碧梧桐選
隠れぬよ薔薇盗人のくろかみは 平畑静塔
雉子飼ふ黄咲万朶の薔薇がくり 飯田蛇笏 椿花集
雨に佇ち薔薇の愁ひを盗みをり 中村明子
雨に剪る薔薇の色のこぼれつゝ 稲畑汀子
雨のあと薔薇壊す風ありにけり 高澤良一 素抱
雨の薔薇濡れても切りぬ誕生日 及川貞 夕焼
雨の薔薇騒ぐは死者の通るらし 徳弘純 非望
雪眼して薔薇の国より戻りたる 高野ムツオ
雷すぎしことばしづかに薔薇を撰る 石田波郷
霜月や夜に抗ふ薔薇の白 石塚友二 光塵
青い薔薇あげましょ絶望はご自由に 池田澄子
青い薔薇わたくし恋のペシミスト 高澤晶子 純愛
青嵐や向きかはりたる瓶の薔薇 島村元句集
青年の外科医の腕に薔薇の束 和田耕三郎
青草をふく風ぬくく薔薇さけり 飯田蛇笏 春蘭
青蛙薔薇の煙雨に鳴きぬれぬ 西島麦南 人音
鞭かざす馬上の友や薔薇真紅 角田 泰子
風きよし薔薇咲くとよりほぐれそめ 久保田万太郎 流寓抄
風きれい赤き薔薇にふるゝとき 稲畑汀子
風の薔薇妻に少女期了るなり 有働亨 汐路
風を押し黄の薔薇擦つて出で入りす 伊藤敬子
風邪なりや薔薇を離れて薔薇の線 加藤楸邨
風雪のさいなむ薔薇の棘太る 栗生純夫 科野路
颱風の夜の爪色の薔薇の棘 富澤赤黄男
馬小屋を薔薇もて飾る聖夜劇 下村ひろし 西陲集
騎士像に遠き軍歌の薔薇の街 河野南畦 湖の森
高枝の薔薇一と息つぎに呱々の声 成田千空 地霊
魔女裁判かの日も薔薇に風吹けり 皆吉司
鳩翔けて彫塑の薔薇に石の蝶 田川飛旅子 花文字
麻酔より覚め薔薇の香のよく匂ふ 品川鈴子
黄の似合ふ薔薇の名札はオクラホマ 高澤良一 鳩信
黒猫の花噛む眠り かぎろへるは薔薇と金星 筑紫磐井 未定稿Σ
黒薔薇はもつとも皮肉なる笑ひ 熊谷愛子
黒鳥はいづこの王子薔薇匂ふ 堀口星眠 樹の雫
さうび咲く壺に元日しづかなり 長谷川かな女 雨 月
天鵞縅の畳まれてゐる花さうび 坂井建
己れ刺あること知りて花さうび 高浜虚子
庭めぐりさうびを摘んで手にしつゝ 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
波の穂はさうびの闇に来て光る 岸風三楼 往来
遣羽子や海原かくすさうび垣 山口誓子
雨玉とおつるさうびにもの言はめ 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
ことごとく刺を切られて花舗のバラ 佐藤信子
ばらの花活けバラ苗の販売所 溝口みさを
ガラス器にバラを浮かべて客迎ふ 寺田順子
バラに立ち花圃の主の帰り待つ 高濱年尾 年尾句集
バラの雨散り敷くまゝに昨日より 高濱年尾 年尾句集
バラ園のホースの水を天に放つ 栗田やすし
バラ園は派手ハーブ園地味なりし 古谷多賀子
バラ散るや宴席順を知らす卓 久米正雄 返り花
バラ散るや己がくづれし音の中 中村汀女(1900-88)
バラ星雲渦巻く胸の翳りなし 高澤晶子
バラ真紅天の濃淡うばひけり 河野南畦 『硝子の船』
バラ芽ぶき太陽いつも沼の芯 高井北杜
中傷がいつか嫉妬に燃えるバラ 後藤和郎
人恋ふや胸に灯せるバラは黄に 石橋未どり
十字星指せばバラ垣夜も匂ふ 大津希水
君らには君らの未来バラ芽立つ 所 山花
壕に住む人に一輪のバラを剪る 山口青邨
大いなる春をバラの芽赤く咲く 上野 百人
子の家の末枯れしバラ見つ別れ 高木晴子 花 季
恋猫のいぎたなく寝て昼のバラ 久米正雄 返り花
惜しみなく剪り来てバラの香の新た 中村汀女
母の日の八十路の母にバラ溢る 赤城さかえ
波激し三等船室のバラ造花 杉本寛
激怒する体温の渦バラの季節 佐藤鬼房
緑陰の白バラ緑ならんとす 山口青邨
蟻よバラを登りつめても陽が遠い 篠原鳳作(1905-36)

以上
by 575fudemakase | 2014-05-02 08:57 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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