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麦刈

麦刈

例句を挙げる。

あやまちて天上の麦刈りつくす 宗田安正
けふ照らない笠をほいと投げ麦刈始め 安斎櫻[カイ]子
さくさくと麦を刈るなり運ぶなり 上村占魚 鮎
ざわざわと青海かぶり麦を刈る 石原舟月
だまりこくつて風折れの麦刈り減らす 大熊輝一 土の香
なにもかも遅れがちなり麦刈も 上村占魚 球磨
ひとの夫欲しと青麦刈られおり 寺田京子 日の鷹
メタフィジカ麦刈るひがし日を落とし 加藤郁乎
一斉に雪加舌打ち麦刈らる 堀口星眠 営巣期
一燈が招く暮情よ麦刈れば 細谷源二 砂金帯
七月の暑さとなりぬ麦を刈る 三谷 美子
優しき手伸べては麦を刈り倒す 堀口星眠 営巣期
刈らるまで麦の火照りに道の神 宮津昭彦
刈りどきのすぎたる麦や忌を修す 小原寿々美
刈りのこる麦は孤島に似てさびし 福田甲子雄
刈りふせしところ沈金麦の秋 井沢正江 以後
刈りゐるも刈らるる麦も雨淋漓 栗生純夫 科野路
刈り残す麦の断面過労に鋭し 香西照雄 対話
刈麦に昼顔のりて咲きにけり 松藤夏山 夏山句集
刈麦のみづける雨や鯰突き 橋本鶏二 年輪
前の世のつづきの麦を刈りにけり 菊川末廣
前山の麦刈る音を咳のあと 中戸川朝人 残心
地下足袋の紺の匂ひて麦を刈る 門岩明子
変りなき貧家や麦を刈り束ね 百合山羽公 故園
夕日肩に手応へつよき麦を刈る 皆川盤水
天上に映りて麦を刈り尽す 永田耕衣 驢鳴集
妻が居て嫁が居て麦刈楽し 門岡 一笑
小百姓埃の如き麦を刈る 高浜虚子
市なかの梅雨に追はれて麦を刈る 米沢吾亦紅 童顔
復原家に赤児寝かせて麦を刈る 宮坂静生 青胡桃
愛人の麦のひがしを刈りのこす 摂津幸彦
戸じまりへもどる麦刈づかれかな 長谷川素逝 村
日輪や身も黄に透きて麦を刈る 久保田月鈴子
星殖ゆる麦刈りし跡耕せば 茨木和生 遠つ川
昨夜よりの雨やみ麦を刈るばかり 田中冬二 行人
昼顔の咲きからむ麦刈られけり 野村喜舟
朝がけに麦刈るや麦砦なす 小林康治 四季貧窮
未だ眼が見えて月の麦刈りしていたり 西川徹郎 天女と修羅
森に木莵夕闇の麦なほ刈れば 大熊輝一 土の香
母の腰最も太し麦を刈る 西東三鬼
海ばかり光る痩麦刈り束ね 中島斌男
海近く麦を刈り伏せ~て 月舟俳句集 原月舟
渡船場や刈麦背負ひ両三度 滝井孝作 浮寝鳥
渺々と麦刈つて沖ふくらみぬ 松本旭
焦げ麦となり刈られたる寂けさよ 小林康治 玄霜
燕麦の刈り跡風がさびしがる 耕二
片丘の麦刈り伏せて夕日赤し 内藤吐天 鳴海抄
病む麦も刈りいづこへか運び去る 野澤節子 黄 瀬
眼うらの天日の暝さ麦を刈る 中拓夫 愛鷹
罌麦や秣刈りにし跡の塵 尾崎紅葉
老妻も身のほどに麦刈りなれぬ 松村蒼石 寒鶯抄
背のひかりも消え麦刈りは夜となる 金子兜太
茶摘あと麦刈までの夜の河鹿 中拓夫 愛鷹
葭切や麦刈時の印旛沼 野村喜舟 小石川
血のうすき爪 遠景の麦刈られ 塚越美子
裾とほくライ麦刈れり浅間山 石田 波郷
貰はうよ玉江の麦の刈り仕まひ 広瀬惟然
走り梅雨刈られていまだ麦青き 相馬遷子 雪嶺
軒下に刈麦積みて梅雨に入る 田中冬二 俳句拾遺
農夫息太し麦刈る地の明るさ 西島麥南
逢びきの見るかぎり麦刈り去らる 寺山修司 未刊行初期作品
遅麦を刈つてゐるなり古戦場 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
道瑞の汚れし麦も刈られけり 村田 脩
金の麦刈られてゆくは胸の幅 寺田京子 日の鷹
雉の巣のまわりの麦を刈らでおく 甲斐 謙次郎
雨の麦刈るや十歩に川激す 栗生純夫 科野路
雲の上の陽は昼麦の刈られゆく 桜井博道 海上
雲湧きて能勢は麦刈る猪跡に 米沢吾亦紅 童顔
雷の来るの来ぬのと麦を刈る 原裕 投影
電柱はねむし麦刈る野の中に 大井雅人 龍岡村
青きままライ麦刈らる霧五月 堀口星眠 営巣期
青空に山羊つれ来り麦を刈る 高岡伊津子
風の老婆抱きすくめては麦を刈る 河合凱夫 飛礫
風折れ麦子を起すごと跼み刈る 大熊輝一 土の香
髪立ちて嵐の男麦刈れり 平畑静塔
麦の刈跡蘗しげき葉 梅林句屑 喜谷六花
麦は刈るべし最上の川のおしゆくひかり 和田光利
麦を刈りし鎌よみがえる夕日の丘 大井雅人 龍岡村
麦を刈るあとを頻りに燕かな 夏目漱石 明治三十年
麦を刈るほとりに坐り伊勢の山 田中裕明 花間一壺
麦を刈るみな亜麻色の髪を持ち 小林榮子
麦を刈る曇天重く夕づくも 大熊輝一 土の香
麦を刈る空間に亡母麦刈れり 磯貝碧蹄館 握手
麦を刈る老人に父かさなりて 大井雅人 龍岡村
麦を刈る跫音せずにいつ死ぬる 永田耕衣 驢鳴集
麦刈が短き言葉洩らしたり 有働亨 汐路
麦刈が立ちて遠山恋ひにけり 橋本多佳子
麦刈って鶏と老人見えてくる 吉田さかえ
麦刈つておのれ溶けゆく黄の中 横田裕恵
麦刈つて明日香の日ざし地に展ぐ 玉置かよ子
麦刈つて晩夏さとき身黄昏へ 藤田湘子
麦刈つて没日のときが明るき家 中拓夫 愛鷹
麦刈つて燈台の根を地に残す 中嶋秀子
麦刈て近江の湖の碧きかな 露月句集 石井露月
麦刈て遠山見せよ窓の前 蕪村
麦刈にくたびれてゐて月が出し 細見綾子
麦刈にふつてわいたる用事かな 橋本鶏二 年輪
麦刈のあるとて昼の不入かな 中村芝鶴
麦刈のさなかの繭もはづさねば 長谷川素逝 村
麦刈の乾ききつたる音すなり 安田蚊杖
麦刈の入りて磯山にうたふなり 佐野まもる 海郷
麦刈の束の間みちの草も刈る 及川貞 榧の實
麦刈の汗たる胸に夜は妻を 西島麥南
麦刈の終んぬる野をみそなはせ 中村汀女
麦刈の若きは汽車にそむき立てり 原田種茅 径
麦刈の鎌の切れ味心地よし 高濱年尾
麦刈の餉としらるるも遥かかな 飯田龍太
麦刈やうつかりしたる鶏の顔 中拓夫
麦刈やほつれ葉鎌でかき揚げて 西山泊雲 泊雲句集
麦刈や娘二人の女わざ 村上鬼城
麦刈や西日が強き中のこと 野村喜舟 小石川
麦刈や踏めば砕くる土煙 西山泊雲 泊雲句集
麦刈られかくればのなき蚊に刺さる 大熊輝一 土の香
麦刈られ地が生き生きと星の下 青柳志解樹
麦刈られ墓地いくばくか高み保つ 栗生純夫 科野路
麦刈られ夜の道暗さ増しにけり 伊東宏晃
麦刈られ山羊のはにかむ野が残る 鍵和田[ゆう]子 浮標
麦刈られ濡れししづけき地を見する 西垣脩
麦刈られ風は遠くを通りけり 土生耕石
麦刈りし夜は猶うすし夏の月 山柴 俳諧撰集「有磯海」
麦刈りし妻の寝顔の照りかなし 大熊輝一 土の香
麦刈りし妻睡るとき麦の香す 笹本達夫
麦刈りし畑かさなりて島となる 篠原梵 雨
麦刈りし跡も蝶とぶ常のごと 下村槐太 天涯
麦刈りし髪汗ふくみ重きかな 大熊輝一 土の香
麦刈りて墓の五六基あらはるる 細見綾子
麦刈りて森見通しに夕づくよ 大熊輝一 土の香
麦刈りて百姓の墓またうかぶ 森澄雄 雪櫟
麦刈りて風の道筋消されたり 広瀬直人
麦刈りのうつむきづめに声重し 大熊輝一 土の香
麦刈りの背に翅はなし黄金虫 大井雅人 龍岡村
麦刈りの餉としらるるも遥かかな 飯田龍太
麦刈りへ一本の道食運ぶ 沢木欣一
麦刈り終ふ天の白毫一つ星 池上樵人
麦刈ると無人の島へ舟わたす 佐野まもる 海郷
麦刈ると父の言載せ母の文 大串章 朝の舟
麦刈るに廠舎は廠舎と鎮まりぬ 太田鴻村 穂国
麦刈るやくるぶしかたき五十年 榎本冬一郎 眼光
麦刈るや麦に沈める五六人 長谷川櫂 天球
麦刈れば湿りが逃ぐる枯れまかせ 宮坂静生 雹
麦刈れば間植ゑの甘藷の畑かはり 大谷句佛 我は我
麦刈れり生死をこゝに島人や 石塚友二 光塵
麦刈れり高み高みへ追ふごとく 宮津昭彦
麦刈を了へたる鎌の痩せゐたり 矢野 聖峰
麦刈を眺めて山の童女たち 飯田龍太
麦刈女誰よぶこともなく白し 飯田龍太 麓の人
麦刈村うつかりしたる鶏の顔 中拓夫 愛鷹
麦秋といふに足らざる麦を刈る 羽公
黒穂一本まづ抜き麦を刈り始む 嶋田麻紀
二人寄ればふたりの影の麦車 藤田湘子 途上
子は額で押しゆく母の麦車 成田千空 地霊
美しく悪路乾きて麦車 百合山羽公 寒雁
胸厚く光る麦束かつぎゆく 細見綾子
路ゆづれば麦車押すは子の二人 原田種茅 径
馬の胴押して通しぬ麦車 野村泊月
麦束が花圃の蝶々散らし通る 香西照雄 対話
麦束をかつぐ時乳をどりたり 細見綾子 黄 炎
麦束をよべの処女のごとく抱く 橋本多佳子
麦束を作る埃に日は高く 阿部みどり女
麦車はゞかりもなき夜道かな 軽部烏頭子
麦車曳きなし遂げし牛の顔 西東三鬼
麦車置かれて熱くなりにけり 萩原麦草 麦嵐
麦車馬におくれて動き出づ 芝不器男
たふれたる麦の車の輪が廻る 橋本鶏二 年輪
みごもりて麦の車のかげにつく 百合山羽公
身重にて麦の車のかげにつく 百合山羽公 故園

以上
by 575fudemakase | 2014-05-19 06:12 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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