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南風

南風

例句を挙げる。

いや白きは南風つよき帆ならむ 林火
うつ伏して浮巣ごこちや大南風 大木あまり 山の夢
かたつむり南風茱萸につよかりき 飯田蛇笏 霊芝
こみあげて南風のぶつかり合ふ渚 伊藤敬子
しづかなる胸に南風おしもどす 野澤節子 黄 瀬
その僧の巡錫の島大南風 大峯あきら 鳥道
そびらより南風つよく出勤す 鈴木しづ子
たはむれにモンローウォーク南風のなか 高澤良一 素抱
どんじりはまんばうの糶大南風 北見さとる
のけぞれば吾が見えたる吾子に南風 草田男
ひび割れし木の横たはる南風 広瀬直人
ぴらぴらと蟹の口許南風吹く 高澤良一 ももすずめ
みんなみに海ありて大南風吹く 澤 ゑい
ややこしくなる前の蔓白南風に 高澤良一 ぱらりとせ
やりとりの国旗を運ぶ南風 二村典子
ゆきずりの洋傘もて叩く南風の狸舎 宮武寒々 朱卓
オホツクは遠浅の海南風濁り 右城暮石 上下
クラリネット光のごとく南風にきこゆ 川島彷徨子
サーファーの臀部凛々しく南風吹く中 高澤良一 宿好
タカノハ鯛大きく息す南風の中 高澤良一 燕音
チューリップツリー並木を南風馳せ 高澤良一 さざなみやっこ
ドアとともに閉ざす心よ南吹く 木下夕爾
ペーロンは南風の浦波切って跳ぶ 下村ひろし 西陲集
ポラリス来るな南風波無限に湾祖国 赤城さかえ句集
レーダーの円黒南風の操舵室 河原芦月
一八のはじけて白き南風かな 小松崎爽青
一帆の沖さし航ける南風つよし 岸風三樓
一行詩白南風に立つ燈台は 福永耕二
人恋へば白き帆となる南風の坂 橋本義憲
入学試験最中南風吹きにけり 増田龍雨 龍雨句集
全集に背文字の金や大南風 宇多喜代子 象
凍解や庭石乾き薄埃 南風 水原秋櫻子
前栽に南風吹き上ぐる缺け木椅子 下村ひろし 西陲集
午後の白南風ガラスのこころを硝子屋拭く 磯貝碧蹄館 握手
南吹いて灯に虫飛べる春浅き 木歩句集 富田木歩
南風が生む星一つ二つ海女部落 杉本寛
南風が繰りたがる我が懺悔録 楠本憲吉
南風つよく少年*たもをかつぎ来る 岸風三楼 往来
南風と子らの牡蠣打つ音と来る 篠原梵 雨
南風に乗り沖からの浪頭 鈴木六林男
南風に向きて南風を聞くなり礁の鵜 岩間民子
南風に奏づは弁天様にまします歟 高澤良一 随笑
南風に球場鳩を放つところ 大橋櫻坡子 雨月
南風に目をひらきぬる檻の飯匙蛇 軽部烏帽子 [しどみ]の花
南風に逢ふまでくらき螺旋階 福永耕二
南風に龍馬舶来ものの靴を履き 高澤良一 寒暑
南風のおもてをあげてうたふかな 木下夕爾
南風のたびたび反す草を見る 下村槐太 天涯
南風のみち昆虫とりもしらぬとて 銀漢 吉岡禅寺洞
南風のみよや一枝もためらはず 木下夕爾
南風の一日白富む岬の町 櫛原希伊子
南風の中ゆつくり浜へ能登老婆 桂 信子
南風の岩にカンバス据ゑて描く 篠原鳳作
南風の帆桁頭上をうなり過ぐ 篠原梵
南風の径はるけくも萱を縫ふ 石橋辰之助 山暦
南風の後畳拭かしめ気落ちをり 篠田悌二郎 風雪前
南風の月光り来しポプラかな 佐野青陽人 天の川
南風の波立ち上るより駈け出しぬ 西村和子 夏帽子
南風の浪へ浪へむなしき礁ばかり 山口草堂
南風の浪桐咲く梢を走りつぐ 山口誓子
南風の濤煌々と崖の風化はげし 内藤吐天 鳴海抄
南風の町かたまり歩く漁師かな 岡田耿陽
南風の舗豆腐の水に濤ひびき 大岳水一路
南風の航逃ぐる水平線を追ひ 大橋敦子 手 鞠
南風の艇庫の裏にシャワー覗く 石川桂郎 含羞
南風の蟻吹きこぼす畳かな 芝不器男
南風の麦みな鎌にあらがへり 木下夕爾
南風は水面を吹けり水底も 鷹女
南風は鏡の中に魚となる 高篤三
南風ふく波止場に雲のたゞよへり 上村占魚 鮎
南風やささくれ噛めば血を噴きぬ 永井龍男
南風やするする上がる長官旗 大久保橙青
南風やつんつるてんの貸浴衣 鈴木真砂女 生簀籠
南風やのみあましたるソーダ水 鈴木真砂女 生簀籠
南風やのりこぼれ出る海女小舟 鈴鹿野風呂 浜木綿
南風やゆく人まれに萱さわぐ 石橋辰之助 山暦
南風やゝつよし天皇誕生日 久保田万太郎 流寓抄以後
南風や僕が嗣ぎし大遺産 宮武寒々 朱卓
南風や処女来てわが病室に 石田波郷
南風や勾玉蔵す美術館 坂間晴子
南風や化粧に洩れし耳の下 日野草城(1901-56)
南風や子供ひとりもをらぬ島 上崎暮潮
南風や屋上に出て海は見ゆる 高屋窓秋
南風や帽の中なる眉うごく 藤田湘子
南風や徹夜のあとの睡の白く 中島斌男
南風や扉よりも重く象の耳 有馬朗人 知命
南風や植田濁りにとぶ雀 銀漢 吉岡禅寺洞
南風や段平さげて甥少尉 河野静雲 閻魔
南風や洗ひさらしの岩の列 杉山岳陽
南風や漁師だまりの駄菓子店 五十嵐播水 埠頭
南風や漁師ら午後のラヂオきく 五十嵐播水 埠頭
南風や潮待ち並ぶ四ツ手小屋 楠目橙黄子 橙圃
南風や生れつ失せつ蟻の城 芝不器男
南風や白のまぶしき定年後 工藤義夫
南風や白帆ならむとわが身体 山根真矢
南風や石垣高き浜の家 鈴鹿野風呂 浜木綿
南風や破船の月日影もなし 野見山朱鳥
南風や繭煮く匂ひ暮るゝまで 村山葵郷
南風や蓬髪の火夫舷梯に 大橋櫻坡子 雨月
南風や農婦は畦に子を抱き 石川檳榔子
南風や隣の鯉を吹いて来る 子規句集 虚子・碧梧桐選
南風吹き入れこの喧騒もまた若き 香西照雄 対話
南風吹くカレーライスに海と陸 櫂未知子 蒙古斑以後
南風吹く真珠値踏みの市立てり 見学 玄
南風吹く砂丘は生きてをりにけり 井桁蒼水
南風吹く部屋吹き抜けに壁を塗る 平間彌生
南風吹けば海壊れると海女歎く 橋本多佳子
南風吹けば神饌に洩れたる水母浮く 田中水桜
南風強く竹林に鷺匂ふなり 稲葉松影女
南風強し烏帽子灯台絶壁に 大久保橙青
南風暮るる燈台事務所障子に灯 亀井糸游
南風波のつまづき止まず珊瑚礁 湯浅桃邑
南風自転車錆びて家陰に 大井雅人 龍岡村
南風落ちて力を抜きし大砂丘 岸田稚魚 筍流し
双眼に牧をあまさず南風吹けり 相馬遷子 山國
向日葵の葉にとぶ蝿や南風 飯田蛇笏
和歌の浦あら南風鳶を雲にせり 飯田蛇笏 春蘭
唐人船の通ひし海や南風吹く 上村占魚 鮎
土曜日の白南風白い影は誰 諸角せつ子
坑口の扉に蝶を止む大南風 宮武寒々 朱卓
墓地よりの南風をまともの村に住む 亀井糸游
声活きて青竹真竹南風の中 裕
夏は来ぬ相模の海の南風にわが瞳燃ゆわがこころ燃ゆ 吉井勇
夜の南風臥せば蹠が脂噴く 河合凱夫 飛礫
夜の南風高窓洋傘の影うつす 宮武寒々 朱卓
夜叉五倍子の青実南風にごっつんこ 高澤良一 燕音
大南風かぢめ焼く火の夜に入りぬ 内藤吐天
大南風にひともとすすき研がれをり 星野恒彦
大南風に星はもうごき夜もすがら 原石鼎 花影以後
大南風の田の面いづことなくひかる 川島彷徨子 榛の木
大南風をくらつて尾根の鴉かな 飯田蛇笏 霊芝
大南風ジェフと似てゐて嫌はれし 筑紫磐井 花鳥諷詠
大南風出て昼の月消されたり 大森桐明
大南風勇名(いさな)の息をつくやうに 高澤良一 ぱらりとせ
大南風国の黎明この塔より 河野静雲
大南風孵りしひよこより柔らか 高澤良一 ぱらりとせ
大南風岬端はもの思ふところ 小野恵美子
大南風潮にもまるゝ岬かな 上村占魚 鮎
大南風途絶えてへなへなヨットの帆 高澤良一 素抱
大南風釣人に囁けるもの 高澤良一 素抱
大南風鴉翔たむとして止みぬ 右城暮石 上下
大南風黒羊羹を吹きわたる 川崎展宏
天心に風船のゆく南風かな 八木林之介 青霞集
妻の鐵びん沸き立ち南風に走り出すか 細谷源二
嫁ぐ婢が老の脣紅大南風 宮武寒々 朱卓
家揺る南風触れても妻は燃えたゝず 小林康治 玄霜
尼も乗る松前船の南風かな 飯田蛇笏 霊芝
山焼く火桑の真闇に衰へぬ 南風 水原秋櫻子
岩におく手提の刺繍南風 安永典生
岬の家南風にふくらむ黒幔幕 品川鈴子
岬端へなだるる蘇鉄大南風 野上 水穂
帆索持つ南風のびむびむこもれる 篠原梵
干蛸ぷうらり ぷらり 島だな 南風だな 伊丹三樹彦 覊旅句集三部作 島嶼派
干鮎の蠅を吹くなり南風 廣江八重櫻
張る帆綱南風の角度を昇りつめ 櫛原希伊子
彼の赤は何色南風に油塔の火 右城暮石 上下
想思樹の南風ゆくひとぞひるがへり 桂樟蹊子
新薯に葭簀立てたり南風 青峰集 島田青峰
施肥の香になれて村住み南風吹く 亀井糸游
旅日記ここに果てたる大南風 下村ひろし 西陲集
日々南風棕梠の葉先と髪乱る 野澤節子 黄 瀬
日もすがら日輪くらし大南風 高浜虚子
春暮るる日またぎにこの大南風 木津柳芽 白鷺抄
春鴎に柑園の南風勁からず 西島麦南 人音
晒布人磧に這へる南風かな 楠目橙黄子 橙圃
暗い海溝 何需(もと)めんと南風航く船 楠本憲吉
朝南風に立山近き田打かな 金尾梅の門 古志の歌
朝市の跡に蟹這ひ南風吹く 江藤暁舟
木洩日が南風ちりばめて乳児そだつ 赤城さかえ句集
村の地図古きほどよし大南風 長谷川双魚 風形
校庭に南風きそひ祈念式終ふ 松村蒼石 雁
梅が香や南吹く夜の肘枕 詰洲
梨棚や初夏の繭雲うかひたる 南風 水原秋櫻子
槻の南風飛燕の十字かたむけり 飯田蛇笏 春蘭
樹々も黙解かむと南風の爆心地 橋本榮治 麦生
沖霞焼けて南風吹き出でぬ 乙字俳句集 大須賀乙字
河豚供養して南風泊魚市場 轡田 進
波の上に流れ藻長き南風かな 楠目橙黄子 橙圃
波音に亡き声のあり送南風 川合憲子
浪がおしあぐ白南風の石油基地 横山白虹
海の南風入れて夕餉の卓大き 岡本差知子
海を揺り山を揺り立て大南風 高澤良一 随笑
海南風尾をまきあげて紀州犬 杉本寛
海南風時給八百六拾円 桐木榮子
海南風死に到るまで茶色の瞳 橋本多佳子
海南風犬の前脚駆けとどまり 榎本冬一郎 眼光
海女去りしあとの巌うつ南風の波 榎本 桂泉
海女葬る砂丘の南風夕なぎぬ 麦南
海彦を悼めば南風の青岬 橋本榮治 麦生
海打つて艀下ろされぬ大南風 大橋櫻坡子 雨月
海王丸南風孕む帆を披露せり 高澤良一 素抱
潮満てり南風となりゆく朝の風 及川貞 榧の實
潮追ひの航跡太し南風ぐもり 能村研三 鷹の木
潮錆びて南風の沖指す捕鯨砲 伊藤孝一
瀬戸大橋南風の雀を止めにけり 浦野芳南
灘の音は、湖の口押し入る潮の南吹く 荻原井泉水
煙草火を海南風の中に乞ふ 誓子
燈台もわれも孤と立つ南風の中 橋本榮治 麦生
燕飛ぶや雨をもたらす南風強し 雑草 長谷川零餘子
犬吠の南風の水天旋るなり 井沢正江 晩蝉
王宮を南風吹きとほる旅人蕉 桂樟蹊子
琵琶の撥畳におかれ南吹く 旭
病癒え来て黒南風の黒に堪ふ 三好潤子
白南風にかざしてまろし少女の掌 楠本憲吉
白南風にエンゼル遊ばせている海辺 八木三日女 石柱の賦
白南風に播磨の米屋匂ひをり 大峯あきら 鳥道
白南風に月よりうすく日おちゆく 川島彷徨子 榛の木
白南風に来し白浜の女泊る 萩原麦草 麦嵐
白南風のからまつやまへ馬の耳 鷲谷七菜子 花寂び
白南風のしきりにふかむ蠅のこゑ 川島彷徨子 榛の木
白南風の光の中の丸の内 坂井建
白南風の吹き抜けてゆく岬の茶屋 宇佐美文香
白南風の夕波高うなりにけり 芥川龍之介
白南風の帆柱を打つ帆綱かな 西村和子 窓
白南風の庭に置かれて白き椅子 稲畑汀子 汀子第三句集
白南風の浜あるきゐる夕鴉 長谷川双魚 風形
白南風の牛はさびしき眼せる 加藤楸邨
白南風の牧のミルクは立つて飲む 有働 亨
白南風の異人墓地発港行 橋本榮治 麦生
白南風の相合傘は淋しいよ 郡山やゑ子
白南風の稿手でおさえ急かれおり 赤城さかえ
白南風の竹の穂蝶をはなさざる 皆吉爽雨
白南風の野の放牛のけふ多し 笹原 耕春
白南風の雲の切れゆく迅さ見し 稲畑汀子
白南風も鳴く海猫も日もすがら 清崎敏郎
白南風やかさねて藍の皿小鉢 松村蒼石 雪
白南風やきりきり鴎落ちゆけり 角川源義
白南風やしぶきにくもる船の窓 檜紀代
白南風やスローカーブを素手で受く 浦川聡子
白南風やハングル文字のミサ告知 田口風子
白南風や仏眼閉ぢしまま千年 小澤克己
白南風や仔雉子にちらと藍の羽根 羽部洞然
白南風や化粧にもれし耳の蔭 日野草城
白南風や午前にちよっとキスをして 坪内稔典
白南風や古きジャズ弾くピアノ・バー 角川春樹
白南風や大河の海豚啼き渡る 芥川龍之介
白南風や指呼の孤島も流人島 池上樵人
白南風や樫にいちにち雀鳴き 宮岡計次
白南風や水底に星溢れたり 水野真由美
白南風や永病めば土掴みたし 香取哲郎
白南風や汽車尾を振つて海に沿ふ 若林芳樹
白南風や浮きそこねゐる牡蠣筏 八木林之介 青霞集
白南風や海の青さの河口まで 三村純也
白南風や海一望の観覧車 倉田静子
白南風や漁婦寄りあひの磯休み 松田洋星
白南風や皿にこぼれし鱚の塩 田中冬二 麦ほこり
白南風や真水に洗ふ麦烏賊を 田中冬二 麦ほこり
白南風や磯の匂ひの刃物市 小林幸子
白南風や耳かすむるは詩ばかり 仙田洋子 橋のあなたに
白南風や背戸を出づれば杏村 室生犀星 犀星發句集
白南風や蝶はらひてもはらひても 仙田洋子 雲は王冠
白南風や豪華客船接岸す 河合 順
白南風や足裏こたへに防風の実 皆吉爽雨 泉声
白南風や錆に太りて捨錨 三田きえ子
白南風や革に打ちつけ刃物とぐ 林翔 和紙
白南風や靴より吐かす星の砂 長谷川閑乙
白南風や飯場の竿に女物 島田芳恵
白南風や鳩も雀もひとに馴れ 稲垣きくの 黄 瀬
白南風を探しさがして海へ来つ 藤原たかを
白南風埠頭帆船フアンで賑はへり 高澤良一 素抱
立てて売る鮪の頭大南風 高尾方子
老婆ひとりに林中の大南風 長谷川双魚 風形
耳もとに波のわきたつ南風かな 久保田万太郎 流寓抄
肩甲骨に羽根の記憶や大南風 栃窪浩
肩組んでシャツはばたくよ大南風 西村和子 夏帽子
船の波南風波とあひ高まり去る 篠原梵 雨
船客に法衣紛るる南風 廣瀬直人
船長の案内くまなし大南風 杉田久女
花さかぬ枝々しげし大南風 増田龍雨 龍雨句集
茫洋と女体ぞ厚き大南風 林翔 和紙
荒南風や一線尽す故国の灯 桂樟蹊子
荒南風や人工なぎさの砂煙 宮田俊子
荒南風や揺るがぬ青き島一つ 野澤節子
荒南風や枕草子といふ弁当 小林ふく子
荒南風や疊のうへの大聖武 高橋睦郎 荒童鈔
蒼茫たる対馬の渡り正南風なり 田中英子
蔓草の蔓のたたかふ大南風 長谷川 櫂
蜂蜜の乾くころには南風 櫂未知子 蒙古斑
裁断の布ひるがへし南風吹く 藤垣 とみ江
記憶のみ焼けず瓦礫をわたる南風 文挟夫佐恵 黄 瀬
詩集余白多し南風たかぶれる 田中英子
誰がための権力政治黒南風す 相馬遷子 雪嶺
護謨菓子を噛みつつ南風の埠頭去る 宮武寒々 朱卓
足跡の乱れ渚や大南風 松藤夏山 夏山句集
逆立ちの髪の芯まで櫻南風 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
逢ひたきか逢ひたし白南風応へけり 山田みづえ
遺書封ず南風の雲のしかかり 加藤楸邨
遺髪ありえずこぼれた卵殻めくる南風 竹中宏 句集未収録
釣人に南風の逆浪つのり来る 遠藤芳郎
鎧太刀見に黒南風の海わたる 高木良多
間拓者胸像もろに海南風 大橋敦子 勾 玉以後
陽炎や砂より萌ゆる月見草 南風 水原秋櫻子
雑木山白きは天へ南風の道 羽部洞然
雛も苞にして便船す南風 久米正雄 返り花
雨はこぶ南風の山吹ちりやまず 西島麦南 人音
雨男・ぼうふら・窓の白南風なぞ 筑紫磐井 花鳥諷詠
雨降りて南吹くなり港町 高浜虚子
雪ざれの萱うつくしき春南風(日光湯元) 内藤吐天
青蛾ゐて甘菜の花に南吹く 飯田蛇笏 霊芝
頁と頁くつついてゐる大南風 如月真菜
風紋の上を走れる南風の風 深川正一郎
髪おさえ見送る埠頭南風吹く きよみ
鯨(いさな)とる伊勢よりおこる大南風 筑紫磐井 野干
鰹舟南風の黒潮漕げり見ゆ 西島麦南 人音
鵜の飛翔つねに沖指す大南風 内藤吐天 鳴海抄
黒南風にのりてぞひとの還りける 加藤楸邨
黒南風に吹かるる人体解剖図 河合由二
黒南風に嫌人癖の亢ずる日 相馬遷子 山国
黒南風に白南風ありて稿進む 池内友次郎
黒南風に草打つてゆく板ながし 横山白虹
黒南風に跼み通しの沙蚕掘り 下村ひろし 西陲集
黒南風のまゆみが砦死後の園 殿村莵絲子 牡 丹
黒南風のやがて白南風長命寺 大峯あきら 鳥道
黒南風のやんだる没日ころがりぬ 八木林之介 青霞集
黒南風の切傷に沁む運河べり 秋元不死男
黒南風の叢打つて人来る 棚橋影草
黒南風の埠頭淋しき倉庫群 酒井みゆき
黒南風の山じわじわと家に入る 六角文夫
黒南風の岬に立ちて呼ぶ名なし 西東三鬼
黒南風の林泉山へつづきをり 大峯あきら 鳥道
黒南風の枝条架遠くなる島に 宮津昭彦
黒南風の海揺りすわる夜明けかな 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
黒南風の湾処に爽波知る人と 島田たみ子
黒南風の漁家あけすけの声笑ふ 山口草堂
黒南風の蘆原雲のごとくなり 松村蒼石 雪
黒南風の裏磐梯は荒々し 猿渡青雨
黒南風の辻いづくにも魚匂ひ 能村登四郎
黒南風の雀は細身閣は古り 下村槐太 天涯
黒南風は伏屋のものを染めつくす 相生垣瓜人 微茫集
黒南風は洲の葦原を束ね吹く 松村蒼石 雁
黒南風やふいに駱駝の微笑せる 殿村莵絲子 雨 月
黒南風やニーチエの狂気伝はり来 堤 保徳
黒南風や人なき家の蔓の薔薇 田中冬二 俳句拾遺
黒南風や傘煽らるる歩道橋 肥後秋晴子
黒南風や回転木馬修理中 一ノ木文子
黒南風や城の守護霊鎧抜け 生駒清三
黒南風や屠所への羊紙食べつつ 中村草田男
黒南風や岬のはなの照り曇り 岩佐東一郎
黒南風や島山かけてうち暗み 高浜虚子
黒南風や巌削りたる舟著場 早坂萩居
黒南風や帯の銀にも涙落つ 赤松[けい]子 白毫
黒南風や廻船問屋に隠し部屋 早川利浩
黒南風や昼なほ糶の羅臼港 村上喜代子
黒南風や栗の花紐垂りしづる 臼田亞浪 定本亜浪句集
黒南風や校倉ならぶ間に松 下村槐太 天涯
黒南風や水夫もみあげの汗微塵 塚本邦雄 甘露
黒南風や河童百図の動き出す 北見さとる
黒南風や波は怒りを肩に見せ 鈴木真砂女 夕螢
黒南風や浪音からむ榕樹林 下村ひろし 西陲集
黒南風や火の爪あげて蟹はしる 赤松[けい]子 白毫
黒南風や燭盡きたれば鐵の針 竹中宏
黒南風や病む母をただ傍観し 相馬遷子 雪嶺
黒南風や目高が鉢のそとに死し 篠田悌二郎
黒南風や紺青の波蹴立て行く 堤俳一佳
黒南風や群牛の波だちて来る 田口満代子
黒南風や虚ろに開く魚拓の眼 小山徳夫
黒南風や西瓜のつるの裏返る 藤井 乃婦
黒南風や覆刻本の文字かすれ 石川桂郎 四温
黒南風や買つてすぐ嘸む陀羅尼助 鈴木真砂女
黒南風や轆轤の首のすぐ太り 杉本 渚
黒南風や鉄塔に鳴く群れ烏 下間ノリ
黒南風や階段にある息づかい 二村典子
黒南風や鞭つ如く描く顔 相生垣瓜人 微茫集
黒南風を呂宋にはこぶ八幡船(ばはんせん) 筑紫磐井 婆伽梵
黒南風を航く丸の字は浪の下 中村鈍石
黒南風日々怒りは希望つちかわん 赤城さかえ句集
黒潮も端はみどりぞ大南風 伊藤通明
海光に送りまぜ吹く林檎園 石原舟月 山鵲
黒栄に水汲み入るゝ戸口かな 原 石鼎
黒栄や浪に打たれて天の在り 野村喜舟


以上
by 575fudemakase | 2014-06-03 01:47 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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