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更衣

更衣

例句を挙げる。

あさ顔のはやおもひあり更衣 松岡青蘿
あらためた手は膝に在り更衣 可重
あら美しうの花は誰が更衣 園女 俳諧撰集玉藻集
あら美し卯の花は誰が衣更 斯波園女
いつまでも予後には非ず更衣 冨田みのる
いとほしい痩子の裾や更衣 炭 太祇 太祇句選
うき人もをさな寂びたり衣更ヘ 芥川龍之介
えり垢の春をたゝむや更衣 洞池 古句を観る(柴田宵曲)
おしやれとは少し早めの更衣 奥野とみ
おもしろい夜は昔也更衣 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
おもたさの目にあつまるや更衣 千代尼
かたみわけきのふに過ぎて更衣 大場白水郎 散木集
かなしみをもたぬひとなし衣更 山口波津女 良人
かはほりや四十島田も更衣 一茶 ■文政元年戊寅(五十六歳)
きぬきせぬ家中ゆゆしき衣更 蕪村
きのふのまま丸寝や夢を更衣 調泉 選集「板東太郎」
くらがりに富士の図白し更衣 山口青邨
くりくりと坊主になりぬ更衣 安藤橡面坊
けふこそは父のもの着ん更衣 士朗
けふの日を告ぐる人なき更衣 大柄輝久江
けふよりは俳諧の徒や更衣 深川正一郎
この国を捨てばやとおもふ更衣 安東次男
この月の雨多き衣更へにけり 鈴木真砂女 生簀籠
この服を着て泣きしこと更衣 石田 克子
これよりを華と信じて更衣 星野椿
さきんだち更衣せんと舞楽人 長谷川かな女 雨 月
さめざめと能登の海あり更衣 大峯あきら
しだれ枝の青さくらんぼ更衣 皆吉爽雨
しばらくは樹々囁けり更衣 金久美智子
しばらくは職なき衣更へにけり 鈴木真砂女
しみじみと大樹ありけり更衣 廣瀬直人
すがたみにうつる月日や更衣 横井也有 蘿葉集
すと立ちて眉目美しや更衣 高浜年尾
すゞかけも空もすがしき更衣 石田波郷
その後の小さき暮しや更衣 長谷川ふみ子
そむきたる子の行末や更衣 鈴木真砂女 生簀籠
ちちははのたちゐけぶらふ更衣 石田阿畏子
ちんどん屋通るが見えて更衣 藤田あけ烏
つくづくと痩せたる病躯更衣 松本圭二
としとへば片手出す子や更衣 小林一茶 (1763-1827)
ともしびの明石の宿で更衣 川崎展宏(1927-)
とりとめし玉の命や更衣 長谷川櫂 虚空
なんとなく生きてゐたいの更衣 攝津幸彦(1947-96)
はや膝に酒こぼしけり更衣 園女 俳諧撰集玉藻集
はや酒の膝にかかりし更衣 斯波園女
ひつそりと朝きて後の更衣 伊藤通明
ひとまはりちがふ夫婦や更衣 鈴木真砂女 生簀籠
ひるまへに空酒をちと更衣 茨木和生 丹生
ふさはしき印籠持ぬ更衣 丸山作楽
ふたかみを二階に見たり更衣 徳弘純 麦のほとり
ふるさとへ更衣して身もこゝろ 河野静雲
まだ少し為すことのあり更衣 藤崎久を
めぐり来るものに虔しみ更衣 村越化石
もう母のうつらぬ鏡更衣 八染藍子
ものなくて軽き袂や更衣 高浜虚子
やはらかき山をいくつや更衣 関戸靖子
やはらかき手足還りぬ更衣 野澤節子 『駿河蘭』
われのみと思ふ不幸や更衣 鈴木真砂女 生簀籠
カムランの島浅黄なる衣更 横光利一
クリートの雪見て変へん衣更 横光利一
スカートの裾たよりなき衣更え 飯沼衣代
パールよりオパール合ひぬ更衣 及川 貞
マネキンに力瘤なし更衣 西村草生
一つ脱いで後に負ひぬ更衣 芭蕉
一トまはり小さくなりて更衣 松村英子
一句一恨とはわがすさび更衣 中嶋秀子
一周忌それも早や過ぎ衣更 森田峠 避暑散歩
一日や仕様事なしの更衣 一茶 ■文政五年壬午(六十歳)
一病の離れぬ衣更へにけり 伊東宏晃
一芸に老い詩酒に生き更衣 高木青巾
丈撓ふ竹のあをしや更衣 荒井正隆
世に倦た皃をしつゝも更衣 小林一茶
世をののしる先生いまだ衣更えず 栗林一石路
丹沢の雲晴れてくる更衣 藤田弥生
久米の子ら更衣の野を焼ける見ゆ 後藤夜半 翠黛
乙女子や先づ人形を更衣 蘇山人俳句集 羅蘇山人
亀を飼ふ衣更へたる一家族 野澤節子 黄 炎
二の腕の白さかくさず更衣 鳥沢まさ江
二の腕をぴしやぴしや叩き更衣 川村紫陽
五斗俵の地をはなるゝや更衣 高井几董
人にやゝおくれて衣更へにけり 高橋淡路女 梶の葉
人に後る衣更ふことのみならず 清水基吉 寒蕭々
人はみな淋しさ持てり更衣 冨田みのる
人間の渦文様あり更衣 落合冬至
今年また生きねばならぬ更衣 三好潤子
似もつかぬ白装束の更衣 飯田蛇笏 山廬集
何となく生きてゐたいの更衣 攝津幸彦
何をして腹をへらさん更衣 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
余生にはあまるを捨てて更衣 小松弘枝
俳諧の軽みの教へ更衣 成瀬正とし 星月夜
先生の更衣して漢意あり 池上浩山人
公園の掃除女の更衣 鈴鹿野風呂 浜木綿
六十漢早寝早起更衣 黒田杏子 花下草上
冬からの皺をぬがばや更衣 千代尼
冬よりの持ち越し咳きや更衣 楠目橙黄子 橙圃
冬青(もち)の花こぼるゝ日なり更衣 高野素十
冷々と雲に根は無し更衣 渡邊水巴
冷めたき茶すゝりて居るや更衣 癖三酔句集 岡本癖三酔
分身の魔女もろともに更衣 馬場駿吉
分限者の己が絵像や更衣 河東碧梧桐
割り切つてものをいへばや更衣 久保田万太郎 流寓抄以後
去るものは日日に疎しや更衣 福田蓼汀 山火
友の死をなげきつゞけつ更衣 高橋淡路女 梶の葉
古池にいまを浮く亀更衣 宇佐美魚目 秋収冬蔵
古里の便りは無事と衣更 横光利一
同級生夫婦古りたり更衣 山田弘子 螢川
咲き残る四季山吹や更衣 会津八一
坊主頭の子が何人も更衣 田中裕明 櫻姫譚
塩うをの裏ほす日なり更衣 服部嵐雪
変りゆく吾が家の暮し更衣 山内山彦
夕潮と切りむすぶ鳥更衣 友岡子郷 春隣
大兵(たいひよう)の廿(はた)チあまりや更衣 與謝蕪村
大原女の大矢絣に更衣 高野素十
天の端につねに噴く山更衣 大岳水一路
好奇心いまも健在更衣 高橋笛美
妹が腹すこし身にふり更衣 飯田蛇笏 春蘭
姥捨へ旅する衣更へにけり 小泉良子
娘とは嫁して他人よ更衣 星野立子(1903-85)
子にかかる思ひを捨てぬ更衣 中村汀女
子の苦労絶えまなき衣更へにけり 鈴木真砂女 生簀籠
宋硯の青やむらさき更衣 加藤知世子 花 季
客ひとり迎ふる衣更へにけり 綾部仁喜 樸簡
宮殿炉なり女御更衣も猫の声 山口素堂
小ヂキール即小ハイド衣更へて 中村草田男
小短き旅して見ばや更衣 一茶 ■年次不詳
少女らは小鳥のごとし更衣 大井戸辿
山上に淡海ふたつ更衣 宮坂静生 春の鹿
山吹の淡き一重や更衣 橋本鶏二
山国のつばめ見てきし更衣 千代田葛彦
己が手でひらきし運や更衣 鈴木真砂女
帯古しいまだ旅なる衣更 伊勢-一有 元禄百人一句
干飯籠を屋根に見る日や更衣 内田百間
年よれば疲もをかし更衣 炭 太祇 太祇句選後篇
年毎に母に似てきし更衣 角田サチ
幼な顔残りて耳順更衣 本田豊子
床ずれのはつかに在りぬ更衣 高澤良一 鳩信
引裙(ひきすそ)にもの忘れけり更衣 斯波園女
弥右衛門やさらに今朝しる更衣 露泊 選集「板東太郎」
彼よりも高き彼女や更衣 高田風人子
後宮に四千の妃嬪更衣 寺田寅彦
御手討の夫婦なりしを更衣 蕪村 夏之部 ■ 眺望
必ずしも順境ならず更衣 下村梅子
忘れゐしはらから一人更衣 河野静雲
懐に白紙一帖更衣 岩木躑躅
我が一家我にしたがひ更衣 上野泰
我が生計(みすぎ)かゝはりなしや更衣 河野南畦 『黒い夏』
我はまだ浮世を脱がで更衣 上島鬼貫
我肌にほのと生死や更衣 原石鼎
手に手首足に足首更衣 福田新樹
方丈といふには若し更衣 阿部みどり女 笹鳴
日ざし来てはがす暦や更衣 中島月笠 月笠句集
日本橋京橋銀座更衣 坂井建
昔スフのズボンの折目更衣 川崎展宏 冬
春と夏と手さへ行きかふ更衣 上島鬼貫
春を惜む心の外に更衣 樗良
晩年の跫音さらさら更衣 古賀まり子 緑の野
更衣あはれ雀のきげんかな 久保田万太郎 流寓抄以後
更衣いやしからざるはした錢 蕪村 夏之部 ■ しれるおうなのもとより、ふるきゝぬのワたぬきたるに、ふみ添てをくりければ
更衣いわけなき身の田むし哉 蕪村遺稿 夏
更衣うしと見し世をわすれ顔 蕪村遺稿 夏
更衣うすき命を祝ひけり 松岡青蘿
更衣おのれ家長のおひめあり 瀧春一 菜園
更衣かくて古りゆく月日かな 岡安仁義
更衣こんな身軽になれしこと 稲畑汀子
更衣さびしさうつるときのまに 石原八束 空の渚
更衣してただ妻と居る日かな 新明紫明
更衣しても好みの色変へず 吉年虹二
更衣してより陽気定まらず 山田閏子
更衣してハキハキと口をきく 成瀬正とし 星月夜
更衣して一片の鰭となるごとし 松本恭子 世紀末の竟宴 テーマによる競詠集
更衣して乾坤に立ちにけり 高田風人子
更衣して坐す一つ机かな 新明紫明
更衣して忘れものせし思ひ 柴田多鶴子
更衣して浮草の花二三 篠崎圭介
更衣して白き帆のごとくゐる 松山足羽
更衣しばししらみを忘れたり 一茶 ■寛政五年癸丑(三十一歳)
更衣しんかんと筍をむく 原裕 青垣
更衣せし身軽さはすぐ馴染む 汀子
更衣せめて真白な手袋も 高木晴子 花 季
更衣て見たが家から出て見たが 夏目漱石 明治三十六年
更衣どこの水面も平らかに 森田智子
更衣ひとの煙草の香の来るも 中村汀女
更衣ひとを疑ふこと知らず 山口波津女 良人
更衣へて遠からねども橋ひとつ 中村汀女
更衣へ晩年の計ほどほどに 角川源義
更衣まだし給はず看取る母 冨田みのる
更衣みづから織らぬ罪深し 園女 俳諧撰集玉藻集
更衣みな着古していさぎよし 河合未光
更衣もつとゆたかな胸が欲し 広川康子
更衣よき木よき葉をひろげけり 田中裕明 先生から手紙
更衣ポケットにある皺のメモ 武藤あい子
更衣世に逆はず虔ましく 福田蓼汀 山火
更衣二間つづきの母の部屋 波多野爽波 鋪道の花
更衣人におくるることばかり 朝倉和江
更衣人恋ふ心あてもなく 竹田小時
更衣仏間はものゝなつかしき 増田龍雨 龍雨句集
更衣即ち着古るし作務衣かな 高澤良一 素抱
更衣回心衆の十手かな 夏目漱石 明治三十六年
更衣園はやさしき女かな 尾崎紅葉
更衣夕方かけて都心へと 深川正一郎
更衣多情と知りてなほ待てり 横山房子
更衣布子の恩のおもさかな 蕪村遺稿 夏
更衣帆船に綱夥し 友岡子郷 春隣
更衣常の日暮となりをりて 中村祐子
更衣昨日と今日と違ふ風 桧林ひろ子
更衣木の根の上を水流れ 上田操
更衣朱鳥やさしき眼をもてる 河野静雲
更衣栄えある女すがたかな 信徳
更衣棘のある木のあるばかり 田中裕明 櫻姫譚
更衣母子に同じ肘ゑくぼ 檜紀代
更衣水にうつりていそぎつつ 多佳子
更衣水脈を曳きたるごとく出て 松山足羽
更衣爪はするどき山の鳥 大峯あきら
更衣爬虫のいろに蜂腰(すがるごし) 蛇笏
更衣父の忌に会ひ皆老いき 田中英子
更衣父の著丈を其まゝに 温亭句集 篠原温亭
更衣狂女の眉毛いはけなき 蕪村遺稿 夏
更衣癌病む母を奈良に訪ふ 宮武寒々 朱卓
更衣癒ゆるに捨てしもののかず 中戸川朝人
更衣百歳の腕通したる 大串 章
更衣目の高さにて*えりの海 岡井省二
更衣簾のほつれそれもよし 加舎白雄
更衣米借りに母音もなし 沢木欣一
更衣紺を好みし齢過ぐ 馬場移公子
更衣老いまでの日の永きかな 橋本多佳子
更衣胸の創痕うち裹む 石田波郷
更衣若葉の風に吹せけり 尾崎紅葉
更衣草庵藤の花ざかり 岡本松浜 白菊
更衣貝殻骨をひらくかな 大島雄作
更衣通りがゝりに生洲見る 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
更衣遺影の母はいつも縞 林翔
更衣野路の人はつかに白し 蕪村 夏之部 ■ 眺望
更衣雀の羽音あざやかに 橋本多佳子
更衣青空に袖通すなり 梓沢あづさ
更衣食のほそりはいはずけり 久保田万太郎 流寓抄
更衣駅白波となりにけり 綾部仁喜 樸簡
有終の勤めへ衣更へにけり 福島眸
朝の膳の海苔吹く風や更衣 碧雲居句集 大谷碧雲居
本復といふにあらねど更衣 遠藤為春
朴に花もたらす月日更衣 大岳水一路
板の間の心地よき日や更衣 長谷川翠
柏葉に風あり衣更ふるかな 小杉余子 余子句選
柚の花の一丘しめつ更衣 妻木 松瀬青々
柳桜都ぞ手織の更衣 椎本才麿
柿の葉のまぶしき縁に更衣 田中冬二 麦ほこり
桐の木の二本の見ゆる更衣 藤田あけ烏 赤松
梅匂う衣ほしたり更衣室 仁平勝 花盗人
植木屋は今日も木の上更衣 八牧美喜子
次の世は誰と逢ふべき更衣 石嶌岳
母の瞳の中なる五十路衣更 野澤節子
水のごと空はありけり更衣 宮崎すみ
水中に亀の眼のあり更衣 瀬戸 悠
水引で髪ゆふ姫や更衣 李由 四 月 月別句集「韻塞」
水盤の鷺草飛ばん更衣 渡辺水巴 白日
汐風の強きをいとへ更衣 鈴木真砂女 生簀籠
江戸じまぬきのふしたはし更衣 一茶 ■文化四年丁卯(四十五歳)
洗ひたる石の如くに更衣 京極杞陽 くくたち上巻
浪の音にも馴れ過ぎた衣更へてる 北原白秋
浮世絵の女房顔に更衣 京極杞陽
海の家混み合ふ女子の更衣室 山田節子
海へゆく日であり後の更衣 増成栗人
海よりの日のこそばゆし更衣 増田 富子
海を見て青空を見て更衣 嶋田一歩
海日々にまぶしさ増すや更衣 鈴木真砂女 生簀籠
深海のいろを選びぬ更衣 柴田白葉女 雨 月
深海へ山河走りぬ更衣 鈴木湖愁
清貧は教師の誇り更衣 浅野右橘
湖わたる風はなにいろ更衣 黒田杏子
火の山の気息みちくる更衣 白澤良子
灰汁桶の輪も入かへて更衣 魚赤
煎豆(いりまめ)をかぞへかみつつ更衣 加藤秋邨 野哭
父あらば今語らはむ更衣 村越化石
片意地に魚反りたり更衣 相川玖美子
物かたき老の化粧や更衣 太祇
現し世を日々大切に更衣 星野立子
生き耐へて派手ならねども更衣 柴田白葉女 遠い橋
生涯の一転機なり更衣 深川正一郎
生涯を青春として更衣 梶山千鶴子
男の子一人女子一人や更衣 阿部みどり女 笹鳴
男ぶり将門公の更衣 川崎展宏
畳踏む足のしっとり更衣 高澤良一 素抱
病み居れば婢妬さや更衣 阿部みどり女 笹鳴
病む人に明日の明るさ更衣 赤松[けい]子 白毫
病める子の癒ゆとも見えず更衣 雑草 長谷川零餘子
病ム人のうらやみ顔や更衣 高井几董
痩脛の毛に微風あり更衣 與謝蕪村
登四郎に槍の句があり更衣 増成栗人
白寿の嶺はるかに望む更衣 細見しゆこう
百官の衣更へにし奈良の朝 高浜虚子
相逢て人慇懃や更衣 四明句集 中川四明
眉毛剃り落して後の更衣 茨木和生 往馬
看護婦にころがされつゝ更衣 小山耕一路
真鯉など見たくてふいに更衣 鳥居美智子
眷恋の妻にはありや更衣 齋藤玄 飛雪
眼前に楠の高さや更衣 森澄雄 四遠
神佛もなくて庵や更衣 原石鼎
神官の白から白へ更衣 板谷芳浄
種痘痕薄れつつあり更衣 坂野宜枝
空豆の花に追れて更衣 一茶 ■文化七年庚午(四十八歳)
窓の花に折々蝶や更衣 阿部みどり女 笹鳴
立むかふ広間代りや更衣 炭 太祇 太祇句選後篇
箒目は土の装ひ更衣 大岳水一路
紀の路まで花の旅して更衣 百池 五車反古
絹着せぬ家中ゆゝしき更衣 蕪村 夏之部
緋の袈裟のずしりと後の更衣 川澄祐勝
緩きもの肌が覚えて更衣 高澤良一 素抱
縁先に待ち居る杖や更衣 緒方句狂
繩節の鎌切れ目見る目更衣 内田百間
職人の衣更へたる一座かな 露月句集 石井露月
背反の子をぞ持ちけり更衣 杉山岳陽
脱ぎ捨ての山につもるや更衣 千代尼
脱ぎ捨てゝ冥途姿へ更衣 沢木欣一 遍歴
膝ついて湖水が見ゆる更衣 神尾久美子 桐の木
船見ゆる店にはたらき更衣 宮武寒々 朱卓
艦上の句会とききし更衣 北見さとる
花の香にうしろ見せてや更衣 千代尼
若人等衣更して老を訪ふ 成瀬正とし 星月夜
茶柱をある日は信じ更衣 中尾寿美子
莢青く結ぶ草あり更衣 大岳水一路
藍褪せし衣更へても母亡かり 石川桂郎 高蘆
衣更えて軽い羽音の女かな 武田和郎
衣更こころ宥せぬ一事なほ 河野南畦 『元禄の夢』
衣更しても薬臭厭はるる 下村ひろし 西陲集
衣更して横浜に来てをりぬ 今井杏太郎
衣更て座つてみてもひとりかな 一茶
衣更て本を売りけり庵の主 内田百間
衣更はるかに椰子の傾ける 横光利一
衣更へせし今日少女等は鴎 木村 ふく
衣更へてあかるき縁の籐椅子に 田中冬二 麦ほこり
衣更へてきけばきこゆる滝の音 村越化石 山國抄
衣更へてこののちとてもこのくらし 鈴木真砂女 夕螢
衣更へてすぐに身に添ふ新刊書 山田弘子 こぶし坂
衣更へてすぐ包丁を手にしたり 山口波津女
衣更へてすぐ庖丁を研ぎにゆく 加倉井秋を 午後の窓
衣更へてひとりは寧し所在なし 稲垣きくの 牡 丹
衣更へてまつたく別な髪かたち 中島喜久代
衣更へてまづ文机に親しむも 山田弘子 こぶし坂
衣更へても女教師のどこか野暮 樋笠文
衣更へてよき扇こそもたりけれ 尾崎紅葉
衣更へてヴェートーベンの墓の前 山田弘子 懐
衣更へて一見しけり東山 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
衣更へて京より嫁を貰ひけり 夏目漱石 明治二十九年
衣更へて傘干す土手を歩みけり 内田百間
衣更へて去年より老いぬ筈はなし 鈴木真砂女 夕螢
衣更へて吹かるる伊豆の嵐かな 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
衣更へて命涼しく老いにけり 前田 白露
衣更へて唐三彩に対しけり 山田弘子 こぶし坂
衣更へて女将たりまた家長たり 鈴木真砂女 夕螢
衣更へて封書一通ふところへ 富田晴彦
衣更へて小店一つをきりまはし 鈴木真砂女 夕螢
衣更へて平均余命生くるべし 轡田進
衣更へて庭に机にある日かな 銀漢 吉岡禅寺洞
衣更へて心は旅の空にあり 古田種子
衣更へて手足すうすう一閑日 高澤良一 寒暑
衣更へて新樹に対す心かな 青峰集 島田青峰
衣更へて新酒樽に屋號かく 内田百間
衣更へて有明拝むたうとさよ 尾崎紅葉
衣更へて来し林中の雨しづく 青木重行
衣更へて浮世の風に吹かれをり 桜庭しづか
衣更へて潮の匂ひの濃くなりぬ 柴崎七重
衣更へて無職の手足さびしめり 西村 博子
衣更へて白帆を沖の花と見る 神尾久美子 桐の木
衣更へて確かと坐し見ぬ病後の身 佐藤漾人
衣更へて祇園に賽す白拍子 菰堂子
衣更へて肘のさびしき二三日 耕二
衣更へて腕の裏側やはらかし 林翔 和紙
衣更へて身辺の句のほか詠まず 安住敦
衣更へて遠からねども橋一つ 汀女
衣更へて遠くの汽笛まで聞ゆ 加倉井秋を 午後の窓
衣更へて銀杏返の女房哉 谷活東
衣更へて鏡中ひとり遊びをり 佐山文子
衣更へて長江の星鳴りいづる 黒田杏子 花下草上
衣更へて鼓とりたる肩まろし 龍胆 長谷川かな女
衣更へひとり住む釘打ちにけり 殿村菟絲子 『旅雁』
衣更へることの余生に入るごとし 長谷春潮
衣更へ塾教師にも慣れにけり 冨田みのる
衣更へ晩年の計ほどほどに 源義
衣更みづから織らぬつみふかし 斯波園女
衣更わざと隣の子をだきに 斯波園女
衣更嬰にもありし力瘤 田中芙美
衣更心解くればもとの友 石島雉子郎
衣更着ときき袖無しを着ることも 手塚美佐 昔の香
衣更着のかさねや寒き蝶の羽 広瀬惟然
衣更着や御招きゆへに参る日ぞ 尾崎紅葉
衣更肋抱へて待つ間かな 島村元句集
衣更野人鏡を持てりけり 村上鬼城
衣更露坐仏のごと秘仏のごと 平井照敏 天上大風
衣更鼻たれ餓鬼のよく育つ(病中子を省みず自嘲) 『定本石橋秀野句文集』
補聴器がピーピー衣更ふるときも 阿波野青畝
裸にはまだ衣更着の嵐哉 芭蕉
褻晴(けはれ)なし妹が手爪まの更衣 調和 選集「板東太郎」
西安を発つ印花布に更衣 毛塚静枝
越後屋にきぬさく音や更衣 宝井(榎本)其角 (1661-1707)
足袋かへぬ人卑しさよ更衣 島村元句集
身の細るほどの苦労や更衣 鈴木真砂女 生簀籠
身ひとつを大阪に置く更衣 長谷川 櫂
身ほとりに風湧くおもひ更衣 鷹羽狩行 第九
身一つに反古を増やして更衣 野見山ひふみ
身辺に生死相つぐ更衣 吉井莫生
逡巡と病後の衣更へずあり 五十嵐播水 埠頭
進級の嬉しかりける更衣 青峰集 島田青峰
遅々として進まぬ妻の更衣 木魚
過去遠くなるばかりなる更衣 岡安仁義
遠き樹にひと日風立つ更衣 岡本眸
遥かなる杉の秀そよぐ更衣 阿部みどり女
酒のみの膝昼過ぎぬ更衣 暁台
野の果をずいと見渡す更衣 桂信子(1914-)
野猿見し旅しらじらと衣更へ 松村蒼石 雪
鈴懸の斑のきはやかに更衣 片山由美子 風待月
鋭きものを恐るる病ひ更衣 田中裕明 花間一壺
鎧着る世ならばいかに更衣 松岡青蘿
鏡には今が映れり更衣 喜岡圭子
長持に春ぞくれ行衣更 西鶴
長旅を了へしをしほに更衣 澤田緑生
隧道の口のつよしや更衣 宮坂静生 春の鹿
雲はみな動きめぐるや更衣 加藤楸邨
青空を燃えわたる日よ更衣 会津八一
青鷺のこゑ落しゆく更衣 堀口星眠 営巣期
頼もしき母の二の腕更衣 香西照雄 素心
願ふらくは軽羅とならん更衣 寺田寅彦
風踏んであそぶこころや更衣 中条明
髪染めて風に誘はる更衣 佐々木早月
鳥不意に人語を発す更衣 有馬朗人 耳順
鶏のこゑ引き絞る更衣 佐々木六戈
鹿島立つ人も送らず更衣 長谷川かな女 雨 月
麥丘人夫妻は京へ更衣 鈴木しげを


以上
by 575fudemakase | 2014-06-08 01:15 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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