人気ブログランキング | 話題のタグを見る

蛍 4の3

蛍 4の3

例句を挙げる

蛍火に魚彷彿としてゐたり 瀧澤和治
蛍火のあはれちさきも御祓川 岸風三楼 往来
蛍火のあやつる糸のふつと切れ 福田蓼汀
蛍火のあるとき力みなぎらせ 原田一郎
蛍火のつめたくひとをめぐりけり 松村蒼石 露
蛍火のひとつ一つに心あり 渡辺暁巳
蛍火のふいに二手に分かれけり 夏井いつき
蛍火のほかはへびの目ねずみの目 三橋敏雄 長濤
蛍火の一つは月に向ひたる 柳澤和子
蛍火の一つ高きは航く如し 行方克巳
蛍火の一夜二夜を妻と経し 河野南畦 『花と流氷』
蛍火の動けば動く夜の闇 五十島典子
蛍火の寺にあらたな闇育つ 石 寒太
蛍火の明滅滅の深かりき 綾子
蛍火の昼は消えつつ柱かな 松尾芭蕉
蛍火の毬のごとくにはずみけり 稲荷島人
蛍火の流れ落ちゆく荒瀬見ゆ 山口誓子
蛍火の消えしあたりに妻の墓 深川正一郎
蛍火の渦中に嵌まり去り難し 太田嗟
蛍火の点滅杉の脚千本 横山白虹
蛍火の闇を抜けきし身の湿り 木下ふみ子
蛍火の降るが如しや夜船出る 田中蛇湖
蛍火の鞠の如しやはね上り 高濱虚子
蛍火の風に消え又風に燃え 深見けん二
蛍火の風一筋の湿りかな 岸田稚魚
蛍火の高みて孤つ未知の青 駒 志津子
蛍火は蛍火を呼ぶことも無し 京極杞陽
蛍火は闇に仏を彫るごとし 大串章
蛍火へいつも水音さしはさむ 横山白虹
蛍火も女人高野の名もやさし 水谷 晴光
蛍火やここ恐ろしき八鬼尾谷 田上尼 俳諧撰集玉藻集
蛍火やこぼりと音す水の渦 青邨
蛍火やこぽりと音す水の渦 山口青邨
蛍火やまだ水底の見ゆる水 福永耕二
蛍火やをんなの匂ひ水よりす 占魚
蛍火やブラジル移住われには是 佐藤念腹
蛍火や一水闇に音もなく 新村寒花
蛍火や信濃に下る藪の中 古舘曹人 樹下石上
蛍火や僻地住ひの教師我 田中静竜
蛍火や吹とばされて鳰のやみ 向井去来
蛍火や夜も廻れる水車 近藤蘆月
蛍火や夫子のほかに吾遺す 山口都茂女
蛍火や山のやうなる百姓家 富安風生(1885-1979)
蛍火や岸にしづまる夜の水 炭 太祇 太祇句選後篇
蛍火や息吸へば燃え吐けば消ゆ 井手 直
蛍火や手首ほそしと掴まれし 正木ゆう子
蛍火や疾風のごとき母の脈 石田波郷(1913-69)
蛍火や眠れぬひかりとも思ふ 藤井彰二
蛍火や箸さらさらと女の刻 龍太
蛍火や胸に計らふ明日の結 影島智子
蛍火や語らひあふといへど僧 鷹女
蛍火や飛鳥にいまも土の橋 大森三保子
蛍火や黒津の梢児が嶋 向井去来
蛍火を昼はいづくに池の水 伊勢-みつ 俳諧撰集玉藻集
蛍火を横切る香水はばからず 行方克巳
蛍火を追うて蛍の心地かな 早乙女 翠
蛍火を鏤め降らす夜の樹々 吉村ひさ志
蛍火を頒つ宝石を頒つごと 福田蓼汀
蛍狩して魂を置いて来ぬ 関戸靖子
蛍狩せしは昔や蛍茶屋 下村ひろし
蛍狩せし水音に旅名残り 稲畑汀子
蛍狩そのころのひとみな逝きて 菊池麻風
蛍狩つなぎゆく子の手のあつき 金尾梅の門
蛍狩まなじり濡れてもどりけり ほんだゆき
蛍狩われを小川に落しけり 夏目漱石(1867-1916)
蛍狩二の腕冷えて戻りけり 千手和子
蛍狩水のにほひの濃きところ 朝倉和江
蛍狩眞つ黒き山かぶさり来 上野 泰
蛍狩真つ黒き山かぶさり来 上野泰
蛍狩知り合ひのゐて声かはす 高澤良一 ぱらりとせ
蛍狩身うごきならぬ真の闇 滝 春一
蛍獲(え)て少年の指みどりなり 山口誓子 青女
蛍獲て少年の指みどりなり 山口誓子
蛍籠かざし合ひては行き合へる 豊田長子
蛍籠ともり初むれば見ゆるなり 後藤夜半
蛍籠よべ吊り今宵芝に置く 清水忠彦
蛍籠よりもさびしく夜明けたり 行方克巳
蛍籠わが寝しあとは誰も見ず 山口波津女
蛍籠われに安心あらしめよ 石田波郷(1913-69)
蛍籠光点つねにすれ違ひ 野沢節子 飛泉
蛍籠吊りてみどりの夜のうつる 石原舟月
蛍籠吊りて亡き母偲びけり 永井靖晁
蛍籠吊るす踵を見られけり 西村和子 夏帽子
蛍籠小児病棟消灯す 中沢三省
蛍籠届きぬ子の忌明日にして 大久保白村
蛍籠微風の枝にかゝりけり 紅葉
蛍籠明日を近づけ遠ざけて 鷹羽狩行
蛍籠昏ければ揺り炎えたたす 橋本多佳子
蛍籠昏らければ揺り炎えたたす 橋本多佳子
蛍籠暗き処に移しけり 田中寒楼
蛍籠極星北に懸りたり 山口誓子
蛍籠網戸のごとく灯りたる 行方克巳
蛍籠蛍の死後も闇に置く 岡本 眸
蛍籠離別なくとも死別来む 安住敦
蛍籠霧吹くことを愛として 山口波津女
蛍籠飛ぶ火落つる火にぎやかに たかし
蛍臭き掌をおし広げ見せにけり 高澤良一 随笑
蛍舞ふ闇の調べに乱れなし 辻口静夫
蛍葛たぐりて余る師恩縷々 能村登四郎 天上華
蛍見てきて蛍を酒の精という 原子公平
蛍見や声かけ過ぐる沢の家 高浜虚子
蛍見や松に蚊屋つる昆陽(こや)の池 上島鬼貫
蛍見や此宵闇に舟はやし 峨眉
蛍見や田楽さめぬ七つ鉢 水田正秀
蛍見や聲かけ過ぐる澤の家 高浜虚子
蛍見や船頭酔うておぼつかな 松尾芭蕉
蛍見や茶屋の旅籠の泊客 浜田酒堂
蛍追うわたしのなかの蛍かな 五島高資
蛍追ふその手黄泉路の冥さあり 橋本榮治 麦生
蛍追ふ心中に火を育てつつ 橋本榮治 麦生
蛍逃げ熊野の闇を鷲掴み 後藤綾子
蛍飛びそめしに野良着まだ脱がず 石井とし夫
蛍飛ぶまで小説を読む女 深見けん二
蛍飛ぶ静寂を破りたる二人 稲畑廣太郎
螢いくつ屋根を越えゆく納涼哉 会津八一
螢かごラジオのそばに灯りけり 瀧井孝作
螢かごラヂオのそばに灯りけり 滝井孝作 浮寝鳥
螢かご入日を移し哀れがる 室生犀星 犀星発句集
螢かご月なき山河横たはる 柴田白葉女 遠い橋
螢きぬ月かたぶくに間のありて 林原耒井 蜩
螢くさき人の手をかぐ夕明り 室生犀星 魚眠洞發句集
螢くれし子に何がなと思へども 富安風生
螢くれし誰ともわかず別れけり 阿部みどり女
螢す虫に肆螫のことが許さるる 相生垣瓜人 微茫集
螢でせせらぎを踏む闇の中 中田剛 珠樹以後
螢とびわが眼の中に甘き水 磯貝碧蹄館
螢とび夫婦おろかに老いしかな 久保田万太郎 流寓抄以後
螢とび疑ひぶかき親の箸 飯島晴子
螢とぶこのあたりみな古戦場 清水 青瓢
螢とぶとちいさきお字のなつかしや 京極杞陽
螢とぶやしげくもならぬ夜の雨 尾崎迷堂 孤輪
螢とぶや泉石ひろき庭の面 高橋淡路女 梶の葉
螢とぶや青しと思ふ夜ルの蘆 尾崎迷堂 孤輪
螢とぶ下には硬き鋪道かな 波多野爽波 鋪道の花
螢とぶ闇に起伏のある如し 今瀬剛一
螢とぶ闇縫ひ合はせ縫ひ合はせ 正木ゆう子
螢とめて胸の灯虚飾ならざるや 小林康治 玄霜
螢ともして行きぬ心の富まぬまゝに 細谷源二 砂金帯
螢ともる旅泊のはせをさよふけぬ 飯田蛇笏 春蘭
螢なぐれて風変り来し川面かな 青峰集 島田青峰
螢にも嫉妬す君に会へぬ夜は 内海倫子
螢に和みつ国分寺に泊つる 高木晴子 花 季
螢に暮れねばならぬ空のあり 稲畑汀子 汀子第二句集
螢のせて冥き秤は傾かず 多田智満子
螢のやがて葉裏に廻りたる 篠原鳳作
螢の世界をひたすらに行く大きな目 今瀬剛一
螢の喪ありてしづもる暁の川 手塚美佐 昔の香
螢の喪月を隠してしまひけり 手塚美佐
螢の国よりありし夜の電話 星野立子
螢の夜ふけて楕円に似たりけり 橋間石
螢の夜何処も濡るることに慣れ 鎌倉佐弓 潤
螢の夜先生のこゑ耳もとに(東門居先生を額田郡丸嶋に案内す) 岸田稚魚 『花盗人』
螢の夜老い放題に老いんとする 飯島晴子(1921-2000)
螢の夜襖へだててひととゐる 上田操
螢の夫につき来てただならず 佐藤麻績
螢の子脱皮待つ夜の青炎 丸山海道
螢の息聴かむと闇に耳澄ます 糸山由起子
螢の数問い合はせれば昨夜三頭 高澤良一 素抱
螢の歌が竜巻となる別れかな 五島エミ
螢の火なにか一途に近づき来 細谷源二 砂金帯
螢の火ほのめく宵となりにけり 高橋淡路女 梶の葉
螢の火吾がかつて在りし世を 齋藤愼爾
螢の香ありて夢よりさめしかな 松瀬青々
螢はなるる夜の睡蓮の花もつや 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
螢ひんやり泛びけり眼もなき闇に 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
螢めく奥羽りんごの明りかな 室生犀星 犀星発句集
螢ゆく浜の焚火をよそにして 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
螢ゆらりと殺しの科白おもい出す 寺井谷子
螢よどうすればいい 病む汝を取り戻すべくわれは点らむ 池田はるみ
螢よぶ別の声もつ漢あり 大橋敦子
螢よぶ昔も今も同じ唄 星野立子
螢を揺らして見する人来るたび 細見綾子 黄 瀬
螢を火種のごとく母がりへ 岩月通子
螢を見てねむる夜の一つの枕 中塚一碧樓
螢・蝶・空蝉この世に遅れ着く 齋藤愼爾
螢三夜息づき光りぬ吾子の部屋 奈良文夫
螢使ひのやうに螢の中にゐて 石田郷子
螢光燈田園明かし行く螢 瀧井孝作
螢出ず梅雨こほろぎを聞くばかり 下村ひろし 西陲集
螢出づ時分そろそろ足下暮れ 高澤良一 随笑
螢出て麦の月夜もすぎにけり 百合山羽公 故園
螢出る迄の四方山話かな 高澤良一 随笑
螢売の来てゐる銀座七丁目 今井杏太郎
螢売大圓柱の下にかな 久保田万太郎 流寓抄以後
螢売観音堂を離れけり 野村喜舟 小石川
螢夜の男なき旅いびつなり 河野多希女 納め髪
螢待つ藪穂は髪のごとく垂れ 福田蓼汀 山火
螢待つ闇を大きく闇つつむ 倉田絋文
螢恋ひ運転点滅尾燈黄なり 香西照雄 素心
螢放生女人高野の橋の上 加藤三七子
螢放生容貌(かほ)よかりしは不幸(ふしあはせ) 筑紫磐井 婆伽梵
螢放生貌よかりしは不幸 筑紫 磐井
螢来ず白装束の蛾と逢ヘり 殿村莵絲子 花寂び 以後
螢来てともす手相の迷路かな 寺山修司(1935-83)
螢来て時間を廻す水車 小泉八重子
螢来て灯れば手捕る旅ごろも 水原秋櫻子
螢来て畳にひかりともしけり 山口波津女 良人
螢来る闇に澪のあるごとく 田中良一
螢死しあさひはたかくのぼりけり 山口波津女 良人
螢死してより一週はすぐめぐる 古舘曹人 能登の蛙
螢死すこの世のひかり出し尽し 鷹羽狩行
螢沢うるむ片割月上げて 高井北杜
螢沢一部始終を見て帰る 西村我尼吾
螢沢抜けて半身湯に浸す 鳥居美智子
螢滅し国道一号線轟く 木村蕪城 寒泉
螢火が玻璃戸にすがるあはれさよ 山口波津女 良人
螢火が震へるほどの霧をやる 橋本美代子
螢火きれいな人魂きれいな祖母ありき 阪口涯子
螢火で読みしは戸籍抄本のみ 寺山修司 花粉航海
螢火となり鉄門を洩れ出でし 平畑静塔
螢火とひとつ家の灯といづれ濃き 文挟夫佐恵
螢火と知りて寝落ちし旅泊かな 臼田亞浪 定本亜浪句集
螢火と遊び呆けて唇乾く 吉野義子
螢火にすり抜けらるる身の薄さ 飯島晴子
螢火にまみれし髪膚しめりをり 北見さとる
螢火に亡きは老いずよ戦火杳し 文挟夫佐恵 雨 月
螢火に多摩の横山眉引ける 川端茅舎
螢火に天上界の暗き水 原裕 青垣
螢火に旅のてのひら寄せ合いて 北原志満子
螢火に月に透く藺の繊さかな 久米正雄 返り花
螢火に月光という鉄格子 斎藤愼爾 冬の智慧
螢火に泛かみゐて身の湿りかな 乾広子
螢火に火傷 朱唇の仏たち 松本恭子
螢火に縄文の闇いかばかり 有働亨
螢火に赤き煙草火ひとつくる 百合山羽公 寒雁
螢火に足元のゆれやすくして 金田咲子 全身 以後
螢火に蹤き来て渡る月の橋 吉野義子
螢火に農夫粗髭照らさるる 内藤吐天 鳴海抄
螢火のあはれは指をもれにけり 太田鴻村 穂国
螢火のかうもりがさをぬけいでし 京極杞陽
螢火のさせばらうたしひとづまも 林原耒井 蜩
螢火のすいすいとまたふんはりと 岸田稚魚
螢火のついと離れし葉末哉 篠原鳳作
螢火のつめたくひとをめぐりけり 松村蒼石 寒鶯抄
螢火のとり巻くままに我はあり 京極杞陽
螢火のなかにまじりて明滅せり 平井照敏 天上大風
螢火ののろしの如く上りもし 京極杞陽
螢火のひとすぢに冷え嗽ぐ 石川桂郎 高蘆
螢火のひとつは父と思ひけり 平井照敏 天上大風
螢火のふはりと胸へ水害忌 朝倉和江
螢火のほかはあまたの虫の目か 田口紅子
螢火のもつとも強きとき放つ 永島靖子
螢火のよぎる大うそつきの貌 仙田洋子 橋のあなたに
螢火のーつにならぬ二つかな 京極杞陽
螢火の一つが籠の内のぼる 横山房子
螢火の一つは胸にしまひ置く 渡辺恭子
螢火の一つは鬼火高舞へる 手塚美佐 昔の香
螢火の一つ二つといふ情 下村梅子
螢火の一つ~ひゞきあふがごと 廣江八重櫻
螢火の一直線に吾へ来る 右城暮石 上下
螢火の乾ける道へ来ては返し 佐野良太 樫
螢火の今ぬばたまといへる闇 竹下陶子
螢火の低ければ吾もかがみけり 山口波津女 良人
螢火の冷たくなつて歸去来兮 筑紫磐井 未定稿Σ
螢火の動きにつれて闇動く 原裕 葦牙
螢火の垂るるものににほひけり 宇佐美魚目 天地存問
螢火の明滅宙にひとつきり 山口波津女 良人
螢火の明滅滅の深かりき 細見綾子 黄 瀬
螢火の昼は消えつつ柱かな 松尾芭蕉
螢火の曲線をまたつなぎけり 猪俣千代子 秘 色
螢火の水に在りともいひつべし 後藤夜半 翠黛
螢火の水口の石照らしたる 宇佐美魚目 天地存問
螢火の消えてわりなき箒かな 比叡 野村泊月
螢火の消えて走れる恋ごころ 和知喜八 同齢
螢火の点りて男消えて女 津田清子
螢火の燃えつゝ越えぬ稲架並木 石塚友二 光塵
螢火の狂ひつくして寧からず 小林康治 玄霜
螢火の眼に迫り来て争えり 和田悟朗
螢火の縫ひ来るたびに松の幹 篠田悌二郎 風雪前
螢火の縺れてよがりびかりかな 林翔
螢火の胸乳ゆたかをよぎりけり 茂里正治
螢火の舞ふ松籟となりにけり 山田弘子
螢火の葉表となりきたりけり 軽部烏帽子 [しどみ]の花
螢火の道に落ちある雨夜かな 比叡 野村泊月
螢火の闇に切目を入れて飛ぶ 山岡 季郷
螢火の闇に無用の耳ふたつ 川口慎三
螢火の闇に素顔を見せぬ川 堀口星眠 営巣期
螢火の静かに消ゆる愁ひかな 高橋淡路女 梶の葉
螢火の風一筋の湿りかな 岸田稚魚 筍流し
螢火はしづかに闇に置く言葉 長塚京子
螢火やいだかれてゐる息づかひ 北さとり
螢火やこぽりと音す水の渦 山口青邨
螢火やまざと逢ひ来し手を垂れて 小林康治 玄霜
螢火やゆかりといふもみんなゆめ 上田五千石(1933-97)
螢火や吹きとばされて鳰のやみ 向井去来(1651-1704)
螢火や夜目にも渦の雲出川 鷲谷七菜子
螢火や夫婦に乱れ籠一つ 市川恵子
螢火や夫子のほかに吾遺す 山口都茂女
螢火や小字をむすぶ橋かゝり 甲賀 山村
螢火や山のやうなる百姓家 富安風生
螢火や岸にしづまる夜の水 炭太 (たんたいぎ)(1709-1771)
螢火や御苑の松の高きより 岸風三楼 往来
螢火や怯みて怯す言の端 小林康治 玄霜
螢火や手首ほそしと掴まれし 正木ゆう子(1952-)
螢火や明治の夜は暗かりき 渋沢渋亭
螢火や曼陀羅闇の山の音 石原八束 『風霜記』
螢火や焦がれて長き帯を捲く 稲垣きくの 黄 瀬
螢火や狂ひ足らざる土不踏 木村孝子
螢火や玲瓏たる歩一人得し 都筑智子
螢火や生国いまだ見尽くさず 坂野源治
螢火や田に夜の雨気ひろがりぬ 中拓夫 愛鷹
螢火や疾風のごとき母の脈 石田波郷
螢火や砂丘に闇のつばさ垂れ 有働亨 汐路
螢火や祈りは十指もて足らふ 小野恵美子
螢火や老狂人の浮び出づ 原裕 葦牙
螢火や茫と城ある河向う 野村喜舟 小石川
螢火や針箱をかたづけもせず 中山純子 沙 羅以後
螢火や闇に山坂あるごとく 檜紀代
螢火や雨さんさんと野に満てる 臼田亜浪 旅人
螢火や飯盛女飯を盛る 山口青邨
螢火や首里王城は滅びたる 沢木欣一
螢火をとり落したる青さかな 高橋淡路女 梶の葉
螢火をふところに男廿かな 澤木欣一
螢火を団扇に受けて粋な女(ひと) 高澤良一 寒暑
螢火を少年くれる少女くれず 橋本美代子
螢火を愛して口を開く人 永田耕衣 吹毛集
螢火を爪にかざせば生きやすし 鎌倉佐弓
螢火を茶屋の女が出て追ひぬ 松藤夏山 夏山句集
螢火を見て来て鍋を磨くなり 佐藤美恵子
螢火を追ひつゝ腕失へり 攝津幸彦
螢火揺れ死者の霊呼ぶ水の闇 河野南畦 湖の森
螢照らす手にも胸にも宝石無し 橋本美代子
螢燃えつきせぬひとを子に帰す 稲垣きくの 黄 瀬
螢狩うしろの闇へ寄りかかり 正木ゆう子
螢狩してきし足を抱いて寝る 大石雄鬼
螢狩して魂を置いてきぬ 関戸靖子
螢狩せしは昔や螢茶屋 下村ひろし 西陲集
螢狩つなぎゆく子の手のあつき 金尾梅の門 古志の歌
螢狩とは知らず人声かくる 高木晴子 花 季
螢狩まなじり濡れてもどりけり ほんだゆき
螢狩りするに五勺の酒の酔 中山純子 沙 羅以後
螢狩り闇に歪な舌を出し 宇多喜代子
螢狩二の腕冷えて戻りけり 千手和子
螢狩大きな闇を見て帰る 大串章 百鳥 以後
螢狩峡の漢の匂いけり 寺井谷子
螢狩戻りがてらの街明り 高澤良一 寒暑
螢狩白歯のちからおもふべし 飯島晴子
螢狩真黒き山かぶさり来 上野泰 佐介
螢狩素顔でゆくは危ふかり 正木ゆう子
螢狩茨の花のそこらまで 銀漢 吉岡禅寺洞
螢獲(え)て少年の指みどりなり 山口誓子(1901-94)
螢獲て少年の指みどりなり 山口誓子
螢籠いづこに置かば安からむ 関戸靖子
螢籠かゝげて道にあがりけり 比叡 野村泊月
螢籠さげて入りけり露路の奥 吉屋信子
螢籠さげて母子の道を行く 壷井 さえ子
螢籠つるや蓬のかくし妻 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
螢籠ともりそむれば見ゆるなり 後藤夜半 翠黛
螢籠よりもさびしく夜明けたり 行方克巳
螢籠よるひる音のなきままに 山口波津女 良人
螢籠わが寝しあとは誰も見ず 山口波津女 良人
螢籠二日三日と過ぎにけり 星野麦丘人
螢籠五銭で買ひてうれしけれ 細見綾子 花寂び
螢籠今宵もともりそむるなり 後藤夜半 翠黛
螢籠光点つねにすれ違ひ 野澤節子 遠い橋
螢籠口をきかぬはきけぬなり 久保田万太郎 流寓抄
螢籠吊す踵を見られけり 西村和子
螢籠吊りぬ初むる連歌かな 尾崎迷堂 孤輪
螢籠吊るす踵を見られけり 西村和子
螢籠昏ければ揺り炎えたたす 橋本多佳子(1899-1963)
螢籠病めるベッドに昼灯す 石川文子
螢籠臨海学校寝しずまる 田川飛旅子 花文字
螢籠螢の死後も闇に置く 岡本眸(1928-)
螢籠螺鈿の卓の光りけり 中戸川朝人
螢籠行燈に遠くつるしけり 子規句集 虚子・碧梧桐選
螢籠霧吹くことを愛として 山口波津女 良人
螢縋る闇より暗きわが髪に 鍵和田[のり]子
螢臭き手をほうたるの水に浸く 加古宗也
螢舞ふ幾光年の星の中 三嶋隆英
螢見しあとのちらちらまなこかな 岸田稚魚 『萩供養』
螢見し胸に手を置き眠るなり 藤木倶子
螢見て入る部屋に娘の熱たかし 宮武寒々 朱卓
螢見て帰りて母に燭点す 数馬あさじ
螢見に行かばやとおもふ薄月夜 京極杞陽 くくたち下巻
螢見に行かんと軽く腹拵え 高澤良一 随笑
螢見るみにくき顔を闇にして 古舘曹人 能登の蛙
螢見んと女患者について行く 岩田昌寿 地の塩
螢谷日矢さして亀孵りけり 堀口星眠 営巣期
螢谿足音の無き人が来る 山口誓子
螢貰ひ昼暗き場所探しけり 細見綾子 黄 瀬
螢追うわたしのなかの螢かな 五島高資
螢追ひゐて人間は尾を忘れ 今瀬剛一
螢追ふ劇務のころの顔をして 大木あまり 火のいろに
螢追ふ子を放つより暗くなる 石川桂郎 含羞
螢追ふ子供の中の子守かな 成瀬正とし 星月夜
螢追ふ月の童子となつてゐし 根岸善雄
螢追ふ螢と呼吸同じくして 青柳志解樹
螢這へる葉裏に水の迅さかな 雑草 長谷川零餘子
螢飛び交ふ山の闇水の闇 山田弘子
螢飛び過ぎ去る童を怖る 梅林句屑 喜谷六花
螢飛ふや山裾を行く水暗し 孤村句集 柳下孤村
螢飛ぶいつより母は火となりし 石原八束 『風信帖』
螢飛ぶいまを百年流れけり 小檜山繁子
螢飛ぶころの夜空ぞふるさとは 石塚友二 光塵
螢飛ぶまえの向日葵山のいろ 和知喜八 同齢
螢飛ぶ入江の御所の雨戸かな 柑子句集 籾山柑子
螢飛ぶ故郷の夜道鞄提げ 福田蓼汀 山火
螢飛ぶ水おもしろき嵐かな 柑子句集 籾山柑子
螢飛んで淋しくなれば唄ふ子よ 長谷川零余子
螢高し吾があこがれもあのあたり 今瀬剛一

以上
by 575fudemakase | 2014-06-23 07:44 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
ブログ
自作j
自作y
未分類

以前の記事

2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...
魚屋三代目日記
My style

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

外山滋彦著「俳句的」の指摘し..
at 2024-03-28 07:13
山本覚馬
at 2024-03-28 05:53
【桜餅】といえばどっち派?全..
at 2024-03-27 05:17
あまおう」と「とちお...
at 2024-03-24 03:42
一茶 生きもの句帖 小学館文..
at 2024-03-18 13:28
シュリンクフレーションという..
at 2024-03-13 05:15
ザッピングzapping?き..
at 2024-03-11 01:51
書道 書・筆・墨・硯の俳句
at 2024-03-08 10:04
しょどう
at 2024-03-08 09:38
すずり
at 2024-03-08 09:35
筆の俳句
at 2024-03-08 09:26
墨の俳句
at 2024-03-08 09:04
書の俳句
at 2024-03-07 18:12
佐々木敏光句集 富士山麓・秋..
at 2024-03-07 05:49
山口昭男著 波多野爽波の百句..
at 2024-02-26 02:57
ザッピングzapping?
at 2024-02-24 00:32
私の俳句入門 大野林火編 有..
at 2024-02-21 01:39
茨木和生著 右城暮石の百句 ..
at 2024-02-20 03:20
季寄せを兼ねた 俳句手帖「春..
at 2024-02-11 18:17
我が家の梅 2024/02/..
at 2024-02-06 13:51

外部リンク

記事ランキング