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例句を挙げる。

「三太郎の日記」も黴の書となれり 湯沢遥子
あらあら黴下駄箱の靴掻い出して 高澤良一 素抱
いささかは賞むべき目鼻黴びにけり 小林康治 『潺湲集』
いづれの御時にかあらむパンの黴 如月真菜
うかうかと黴にとられし夫の靴 和田祥子
おりてゆく夜の斜坑の黴にほふ 戸澤寒子房
お身稚くおはせる仏陀黴の中 松村蒼石 雁
かびの香に昼寝してをり山の坊 高浜虚子
かびるもの黴び吾子の瞳の澄みにけり 深見けん二
かび美しき闇やわが身も光りだす 桂信子
きらり~時計玉振る黴の宿 河野静雲 閻魔
ことの外遺品の中の靴に黴 藤浦昭代
この宿をのぞく日輪さへも黴 高浜虚子
この黴の書をふところに学びたる 市川虚空
これも黴底なし梅雨の朱肉壺 石塚友二 光塵
ころ柿を甘しとのみや黴ごめに 林原耒井 蜩
こゝろざし折れたる筆の黴びてをり 礒目峰
ごろ寝して襟かびの匂ひ親しき夜 太田鴻村 穂国
さかだちをやめれば黴の花の中 夏石番矢
さつき咲く庭や岩根の黴ながら 太 祇
すべて黴びわが悪霊も花咲くか 能村登四郎
たらちねの母の御手なる黴のもの 中村汀女
つくづくと黴面白し墨の尻 高橋睦郎 稽古飲食
としよりの咀嚼つゞくや黴の家 山口誓子
どの黴も忍びの術に長けてゐし 野原春醪
なにもかも黴びて痩せたる筆を持つ 石川桂郎 含羞
のけぞりて笑ふ羅漢や黴の花 河本修子
はきなれしヴェニスの靴に黴すこし 皆吉司
ひさぐものあぶな絵その他黴の宿 星野石雀
ひそやかに静かに黴に対しをり 後藤夜半
ひやひやと万多奈の丘の土の黴 阿部みどり女
まもり古る大仏壇や黴の宿 河野静雲 閻魔
よく剪るる鋏失せけり黴の宿 神野三巴女
クローバに黴の香を曳き倉庫番 木下夕爾
ゼンマイは椅子のはらわた黴の宿 山口青邨(1892-1988)
パン黴びて朝の欠食いさぎよし 金子潮
モディリアニ生まれし日なりパンに黴 皆吉司
モンローの写真を壁に黴の家 里見信子
ラヂオ今ワインガルトナー黴の宿 星野立子
ワルツ止み瓢箪光る黴の家 西東三鬼
一人かな鬼ともならず黴に棲む 河原枇杷男 定本烏宙論
一冊の江戸絵帖あり黴の宿 銀漢 吉岡禅寺洞
一夜病み髪膚たちまち黴にけり 小林康治 玄霜
一巻の系図を置きて黴畳 串上 青蓑
一括りして蹴り込みぬ黴手帖 石塚友二
一日やたとへば黴の花拭ふ 手塚美佐 昔の香
一書抜けば一書の弛み黴匂ふ 河府雪於
一通の茅舎の葉書黴を拭く 小原菁々子
串人形よよと泣かせて黴畳 佐野美智
二児あればある煩ひや黴衾 石塚友二 光塵
五十年前の師の著書黴拭ふ 岩木躑躅
交響楽運命の黴拭きにけり 野見山朱鳥
仏壇の十字架崩し紋の黴 小原菁々子
仮借なく黴ゆくものの多かりき 徳永山冬子
使はねば言葉も黴びてしまひさう 藤崎久を
信心の懈怠の黴の念珠かな 景山筍吉
借傘の黴の臭ひを開きけり 岡田史乃
像の黴ぬぐひまゐらす忌日かな 大橋櫻坡子 雨月
先頭を行くことにして黴の花 飯島晴子(1921-2000)
光るもの優勝盃や黴の宿 久米正雄 返り花
光る針縫いただよえり黴の家 西東三鬼
八方に殖やす出水の恩と黴 近藤一鴻
公達武将あはれや黴の合戦圖 下村ひろし 西陲集
切に拭く黴の茅屋明日去るを 相馬遷子 雪嶺
初蝉やうす黴出でし旅鞄 島村元句集
動かざる木偶怖ろしや黴の香も 手島 靖一
勤めせし頃の鞄の黴払ふ 星川青鷹
勤行や折目いたみの黴ごろも 山口笙堂
十二神将背中合はせに黴び給ふ 松野自得
厚板の帯の黴より過去けぶる 橋本多佳子
厨子深くおはし何れも黴仏 大橋敦子 手 鞠
友の忌の黴ほのかなる紺絣 古沢太穂 古沢太穂句集
取出せし亡き子の辞書の黴払ふ 喜多村慶女
古文書に滅びしことを黴の村 戸塚時不知
向拝の燭澄み黴の持仏堂 小原菁々子
周辺の黴や手病みし妻の髪 皆川白陀
地下茎はひとつならずか黴の花 中原道夫
墨の黴拭ひぬ秋の風とかな 石川桂郎 四温
夏蜜柑つぎつぎ黴びて空光る 福田甲子雄
外づしたる黴の襖の其処にある 京極杞陽 くくたち上巻
夜々遅くもどり戸棚の黴ふやす 樋笠文
夢盛りし育児日訪の黴払ふ 長谷川 翠
大勢で黄泉戸喫(よもつへぐひ)を黴の宿 佐々木六戈 百韻反故 初學
大寺の一隅絢爛と黴びぬ 小林康治
大廣間黴の精霊静かなる 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
天井の高くて四角黴の寺 高木晴子 花 季
天邪鬼の口の中まで黴びたまふ 佐藤浩子
夫の顔また黴噴きさう選句地獄 加藤知世子 花寂び
夫も母を恋ふらし黴を拭ひゐる 岩瀬 典子
夫恋ひの百首屏風の黴寄せず 八牧美喜子
夫留守の黴の書斎をまづ灯す 石田あき子 見舞籠
妻子寝てなほ倖や黴光る 小林康治 玄霜
妻歎く黴ふゆるなりうつくしく 杉山岳陽 晩婚
妻病みてにはかに黴のもの殖えし 菅田寒山
娶る子に尽し終りの黴払ふ 岡田和子
学問につまづき医書も黴びるまゝ 佐藤悟朗
学生として恥かしき辞書の黴 大楠木南
客帰るやこぞのすだれに黴見たり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
家居ひと日黴に仕ふる如くなり 塚本 久子
家系累々黴茫々と嫁迎ふ 八木三日女 紅 茸
少年に黴降る首夏の光堂 増田まさみ
山廬出て心の黴を払はんか 下村非文
帰らねど磨くよ夫の黴の靴 品川鈴子
幅広のわが足形りに黴の靴 杉本寛
干柿の黴びてしまひし雨つゞく 志賀青研
弥陀祀り納戸に黴の耶蘇祀り 小原菁々子
徐ろに黴がはびこるけはひあり 松本たかし
得られざりしこの静かさよ黴の灯よ 京極杞陽 くくたち下巻
御柱御用蔓綱黴びてあり 八木林之介 青霞集
微禄して尚ほ焚く伽羅や黴の宿 吉津まるめ
悪神に黴の五彩を奉る 林 翔
愛着すうす黴みえし聖書かな 飯田蛇笏 山廬集
懺悔室懺悔つもりて黴びにけり 堀口星眠 営巣期
戻り来しわが家も黴のにほふなり 相馬遷子 山国
掛香を柱に掛けて黴美し 後藤夜半 底紅
攻め上がつたる饅頭の黴童子 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
故人より借りつぱなしの黴句集 草間時彦 櫻山
文語こそよけれ黴びにし聖書なれど 山本歩禅
新しき帽子かけたり黴の宿 高浜虚子
旬日を妻見舞はねば靴黴たり 小林康治 玄霜
昔踏まれし木版マリア黴てけり 糸山由紀子
春暁のはるけくねむる黴のかず 飯田龍太
月の斑の黴のごとしや春愁 櫛原希伊子
未定稿ばかり筆さへ黴さすや 清水基吉
末の子が黴と言葉を使ふほど 中村汀女
本尊にひれ伏す黴の畳かな 滝口 芳史
机上に二日花を置かねば黴に噴かる 加藤知世子 花寂び
梅雨寒の黴を育てて鶴のごと 高橋睦郎 稽古飲食
此宿はのぞく日輪さへも黴 高浜虚子
武器捨てし頽廃あをく黴咲けり 小松崎爽青
死の灰や黴いつせいに寝息の中 桜井博道 海上
死は安息黴厚きもの日に叩き 稲垣きくの 牡 丹
毒の本はびこり良書黴びにけり 那須ゆう子
浮浪児のいる塔は石黴の匂い片面講和発効す 橋本夢道 無禮なる妻抄
消防車を日向に出して黴退治 田川飛旅子 『使徒の眼』
清貧に居て拭ふべき黴もなし 岩木躑躅
灯を消せば黴の匂ひの中なりし 安積叡子
無惨やな人葬り来し黴の靴 小林康治 『虚實』
無花果の葉の面の黴や秋の風 西山泊雲 泊雲句集
煙草にがし寄りあひ食らふ黴家族 小林康治
爼に熱湯注ぐ黴十日 石川桂郎 高蘆
牡丹のくづるゝ音や黴の中 萩原麦草 麦嵐
狩野派の襖絵四方に黴にほふ 鷹羽狩行
独り居やもの拭へるに黴煙 石川桂郎 四温
生涯のいまは急かざり黴払ふ 岡田 和子
甲冑の中のまぼろし黴深し 野見山朱鳥
病人の足に黴浮く二月かな 龍岡晋
白芥子に秘密の扉開く黴匂ふ 筑紫磐井 婆伽梵
百年の移民史遺品黴びさせず 恩智景子
盲われ身ぐるみ黴びる思ひかな 三島牟礼矢
瞽女の宿黴びし畳に置竈 西本一都 景色
石竹や唐筆干せる紙の黴 島村元句集
磨崖仏どこか黴びたるところかな 高浜年尾
神将の忿怒千年黴び給ふ 石野冬青
神将の踏まへし邪鬼の黴の貌 竹下陶子
秘湯てふ客一組の黴の宿 立野もと子
索然と黴だらけなる墨を磨る 内藤吐天 鳴海抄
経蔵や黴臭し紺紙金泥一切経 橋本夢道 無類の妻
美しき黴や月さしゐたりけり 加藤秋邨 雪後の天
美しく黴をレンズの拡大す 秦洋子
羨道の白虎青竜黴びてゐる 品川鈴子
老後こそ余生こそ待ちし家黴びぬ 殿村菟絲子 『旅雁』
老猫のうす眼してゐる黴の宿 柴田白葉女 花寂び 以後
職危し髪膚しづかに黴てけり 小林康治
能衣裳黴びてわが祖は猿楽師 後藤綾子
腸も黴たるや酔ひ諍へり 石塚友二 光塵
臙脂つきしバイブルにして秋の黴 飯田蛇笏 春蘭
芥川より川端へ黴走る 佐々木六戈 百韻反故 初學
花のごと花火ひらくや黴の中 楸邨 (子が嫁ぎ)
花の如くに黴ひろがりし玻璃戸かな 雑草 長谷川零餘子
荒壁に黴の華殖ゆ十三夜 近藤一鴻
莢割れば藤の実黴びて三つほど 四ツ谷龍
蕉門十哲指折り唱ふ黴の中 小澤實
薔薇図鑑黴び従妹死後千一夜 馬場駿吉
蛇よりも恐しき黴擡頭す 百合山羽公 寒雁
蛇除の護符を柱に黴の宿 伊藤柏翠
見えぬ黴坐してほとりへ漂はす 石川桂郎 高蘆
観音の涙の黴を払ひけり 斎藤秋声
訪へば黴の納戸に居られけり 田中冬二 俳句拾遺
貧しさに妻子寝て黴尽しけり 小林康治 四季貧窮
赤きもの着て黴の家のおしら様 佐山文子
赤黴の自治領蟻が通りけり 高澤良一 ぱらりとせ
踊りたる夜のあり黴のハイヒール 北見さとる
踏み応へなき宿坊の黴畳 松尾緑富
蹠汚れおろ~病めり黴の妻 小林康治 四季貧窮
辞書黴びて手澤のくもる夜の疲れ 石原八束 『秋風琴』
迦陵頻伽と黴の胞子と*みえざるも 小澤實
道ばたに障子開けたる黴の宿 阿波野青畝
適塾の黴の蘭學始かな 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
金もらふ黴より古き友を持ち 斎藤空華 空華句集
金色の黴をまとへる魚板かな 中本一九三
金輪際黴の結界寝くたれて 小林康治 玄霜
鉄路まつすぐもの見ない眼に黴が生える 磯貝碧蹄館 握手
銀の黴引く子供達が散ってゆく 松本恭子 二つのレモン 以後
閻王の眼力の黴び給ひけり 竹下陶子
陶工の書架に黴びつつ名陶譜 大島民郎
陶然と黴びゆく如く見ゆるなり 相生垣瓜人 微茫集
隠棲の雨漏多少黴多少 上田 花勢
青黴のはげしき一隅のあるなり 谷野予志
面妖なり石頭が黴びもして 浜崎敬治
靴の黴ぬぐひ遠くへ遊びたし 細見綾子
靴の黴拭ひ俄かに逢ひたくなる 横山白虹
靴底に黴ふかしめて立ち去らんこの雨期にしてひとつの転位 岸上大作
風神雷神筋肉の裂けて黴 大石雄鬼
饅頭や足の黴たる童子ども 永田耕衣 闌位
髑髏の眼われを見詰めて黴びてをり 野見山朱鳥
高原に黴てふものを忘れ住む 木村蕪城 寒泉
麺麭に黴来て世をすこし信じをり 辻美奈子
黴あをし財吝しむもの愛をさへ 飯田蛇笏 雪峡
黴くさき長靴よりも長き貌 赤尾兜子
黴くさや金色五月去りて遠し 石塚友二 光塵
黴げむりあげて日輪すすむなり 中杉隆也
黴さうな声が電話の向うより 岡田順子
黴させてならぬ遺品のあることを 稲畑汀子 春光
黴させぬ仕掛けくさぐさ梅雨食品 高澤良一 寒暑
黴しあふことのたのしき燕かも 中田剛 珠樹以後
黴しもの母の影ひく蔵座敷 茂木いづみ
黴といふ字の鬱々と字劃かな 富安風生
黴どきのバイキンマンをやっつけろ 高澤良一 素抱
黴どきの無精が無精産む寝床 高澤良一 鳩信
黴にむせ半日蔵の探しもの 白岩世子
黴に堪へぬすみ昼寝の一間かな 河野静雲 閻魔
黴に寝て女の意地をたて通す 鈴木真砂女 夕螢
黴に湛へぬすみ昼寝の一間かな 河野静雲
黴に臥す人妻を見て恋ふ夜なり 萩原麦草 麦嵐
黴のごと病み寝たりし日過去とせり 村越化石
黴のものしづかにうつやなつかしく 深川正一郎
黴のもの埃のものの中にあり 石田勝彦 秋興
黴のアルバム母の若さの恐ろしや 中尾寿美子
黴の世の形見一つに母の紋 野見山ひふみ
黴の世の黴びざるものに仁王の眼 高橋悦男
黴の世の黴も生きとし生けるもの 鷹羽狩行
黴の世や言葉もつとも黴びやすく 片山由美子
黴の中きらりきらりと一と日過ぐ 野見山朱鳥
黴の中わがつく息もかびて行く 高浜虚子
黴の中一本の径通りをり 加藤楸邨
黴の中業の如くに筆擲たれ 小林康治 玄霜
黴の中業の筆執るあぐら組む 清水基吉(1918-)
黴の中筆は業なす結跏なす 清水基吉 寒蕭々
黴の中言葉となればもう古りし 加藤楸邨
黴の夜の眼をみひらき睡るかな 石原八束
黴の夜の鉄を打ちたる火花かな 萩原麦草 麦嵐
黴の家もつとも赤子のこゑ透る 岸田稚魚
黴の家女二人の試さるる 伊丹さち子
黴の家磨く遺影にうしろ見せ 殿村莵絲子 雨 月
黴の家長身はたと起ちにけり 藤田湘子 黒
黴の宿いくとせ恋の宿として 鈴木真砂女(1906-)
黴の宿仏燈のみぞ新しき 福田蓼汀 山火
黴の宿寝すごすくせのつきにけり 久保田万太郎 草の丈
黴の宿頭上に橋の音すなり 久米正雄 返り花
黴の宿黄楊櫛みがく木賊干し 小川斉東語
黴の帽頭にのせていま自由業 田川飛旅子 『山法師』
黴の戸の栄枯高きに釘隠 古舘曹人 能登の蛙
黴の書に占魚不換酒の印存す 上村占魚 球磨
黴の書に文字の命のひそみける 福田蓼汀 秋風挽歌
黴の書の書架よりぬきし罪と罰 藤井寿江子
黴の書を一つ叩けば一と昔 高橋健文
黴の書を売らむ遣らむと積みわくる 亀井糸游
黴の書を夜店に買うやチエホフ忌 古沢太穂 古沢太穂句集
黴の書を開き古人に糺すこと 三村純也
黴の書架ねむけ覚しに読むはなく 石川桂郎 高蘆
黴の書架読むこともなきもの積めり 下村梅子
黴の本うづ高く積み欺かれ 萩原麦草 麦嵐
黴の秀の靡きに二百十日来る 高橋睦郎 稽古飲食
黴の花イスラエルからひとがくる 富澤赤黄男
黴の花不嫁(ゆかず)の姉のチリ文學 塚本邦雄 甘露
黴の花咲かせ国宝如来像 滝 佳杖
黴の華つまらなき世となりにけり 辻田克巳
黴の間に置ける火の無き莨盆 京極杞陽 くくたち下巻
黴の香にやうやく慣れし坊泊り 稲畑汀子
黴の香に坐しをり往時茫々と 清原枴童
黴の香に家ぬちの飼馬おとなしき 石原舟月 山鵲
黴の香のしていたゞきぬ御紋菓子 河野静雲 閻魔
黴の香のそこはかとなくある日かな 銀漢 吉岡禅寺洞
黴の香の中にいきいきナイフとぐ 加藤楸邨
黴の香の帯因習を巻く如く 馬場移公子
黴の香の救命胴衣恃まれず 福永耕二
黴の香の書架よりぬきし「罪と罰」 藤井寿江子
黴の香の漂ふ御堂開きけり 村山 三郎
黴の香やこの安住のいつまでか 上田五千石 森林
黴の香や今も開かずの隠れ部屋 能村登四郎
黴の香や女にいまも家あらず 八牧美喜子
黴の香や懶惰の手足もてあまし 石塚友二 光塵
黴びし物錆びたる物と寂かなり 相生垣瓜人 明治草抄
黴びて持つ今をときめく人の文 後藤綾子
黴まじくパイプオルガントッカータ 高澤良一 さざなみやっこ
黴まじく仁王どんぐり眼かな 高澤良一 ねずみのこまくら
黴を干す古白靴をいたみけり 西島麦南 人音
黴処々にひとつの色にとどまらず 宮津昭彦
黴匂ふ旅の鞄の捨てきれず 曽我部多美子
黴厨匙きらきらと密集す 目迫秩父
黴咲かせ孤独地獄と現じけり 小林康治 玄霜
黴大事大事に地下のワイン樽 藤田輝枝
黴拭いて片腹痛きリアリスト 石塚友二
黴拭きて古き瓢をいつくしむ 大橋櫻坡子 雨月
黴拭けばひとつぶの米躍り出づ 橋本鶏二
黴歩りく追はるるごとく追ふ如く 渡辺桂子
黴煙人さし指を洗ひをり 小林喜一郎
黴燃えて病者のみ見るけむりかな 斎藤空華 空華句集
黴生えてゐるやも知れず静けさに 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
黴生えて家にひとつの蝶番 高澤晶子 復活
黴畳わたる草履のありにけり 河野静雲 閻魔
黴畳踏み立ち得ねばまろびけり 小林康治 四季貧窮
黴美し記憶の母の疎まれて 杉山岳陽 晩婚
黴臭き納戸今なき帰省かな 佐藤綺峰
黴蔵の調度一生に何度使ふ 福田蓼汀 秋風挽歌
黴衣日南に出すや日南臭さ 楠目橙黄子 橙圃
黴鞄妻子羽がひに病めばかな 小林康治 玄霜
鼠木戸潜り黴の香かすかなる 水原 春郎

以上
by 575fudemakase | 2014-06-30 10:43 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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