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炎昼

炎昼

例句を挙げる。

いちにんの愚者炎晝の木をよじて 細谷源二
つよき火を焚きて炎昼の道なほす 桂 信子
みじろぎもせず炎昼の深ねむり 野見山朱鳥
ハドソンも炎昼くらむ疲れ濃し 稲垣きくの 黄 瀬
レール無音にして炎昼悲痛に似る 榎本冬一郎 眼光
一瞥をくれ炎昼の銃器店 奥坂まや
侮りて出て炎昼の火刑かな 出井一雨
口あけている炎昼のドラム缶 河合凱夫
女の身炎昼に影なくし立つ 野澤節子 黄 瀬
家中に玩具踏み場もなき炎昼 高澤良一 素抱
布施がらを焚けば炎昼まほらあり 赤松[ケイ]子
影と同速出前の青年炎昼馳す 磯貝碧蹄館 握手
待つはかなし炎昼へ出て鮮明に 河野多希女 納め髪
忽然来て炎昼のさみしさよ 北光星
押入に炎昼古き花鋏 殿村莵絲子 牡 丹
杖に石ふれ炎昼の百歳婆 辻田克巳
氷切る炎昼の背は鷲となり 大井雅人 龍岡村
注射し守る炎昼石廊に臥しいるを 古沢太穂 古沢太穂句集
漫陀羅図掛けて炎昼忘れをり 河野南畦
炎昼いま東京中の一時打つ 加藤楸邨
炎昼に軋む二本の樹のごとし 大西泰世 『こいびとになつてくださいますか』
炎昼に黒羽丈なす尾長鶏 桂樟蹊子
炎昼のおのれの影に子をかくす 日下部宵三
炎昼のきはみの櫛を洗ひけり 岡本眸(1928-)
炎昼のきはみ女の尻うちてぞ 岸田稚魚 筍流し
炎昼のくらさ御堂の大太鼓 本宮哲郎
炎昼のここに岬つき友は亡し 古沢太穂 古沢太穂句集
炎昼のこつんと己が奥歯なる 鎌倉佐弓 水の十字架
炎昼のしづかに巨き牛*たおる 今井杏太郎
炎昼のすらりと越前竹人形 つじ加代子
炎昼のつぶやく如き蝶とゐて 行方克巳
炎昼のなか大股にモデル来し 水田光雄
炎昼のはるかに雨戸くられをり 飴山實
炎昼のふくらみすぎし旅鞄 飯田蛇笏 雪峡
炎昼のゆけどとどかぬ天涯見ゆ 細谷源二
炎昼のエンジン音は父の挽歌 奥坂まや
炎昼のチェスはさびしき遊びかな 大木あまり 雲の塔
炎昼の一点を見る測量士 関口美子
炎昼の二児守ることに明け暮れし 伊藤敬子
炎昼の人声絶えし魚市場 辻田菊子
炎昼の公園動くもののなし 清野よし子
炎昼の刻まもりしは吾のみか 相馬遷子 山河
炎昼の城に無数の弓狭間 石崎多寿子
炎昼の多感な駅夫レールに出て 桜井博道 海上
炎昼の女体のふかさはかられず 加藤楸邨(1905-93)
炎昼の屋久島俄かなる山雨 桑田青虎
炎昼の山見て部屋の中歩く 池田澄子
炎昼の岩場垂直徹しをり 河野南畦 湖の森
炎昼の干鱈の茶漬かっ込めり 高澤良一 寒暑
炎昼の影を縮めし祈りかな 赤井淳子
炎昼の径いつぱいに牛がくる 摂津よしこ
炎昼の時間の檻に入るごとし 高澤良一 ぱらりとせ
炎昼の杉生ふ山の匂ひかな 日下部宵三
炎昼の松風棕梠と吹き通う 三谷昭 獣身
炎昼の梁怖ろしき蔵二階 冨田みのる
炎昼の海がくぼみぬ造船音 加藤知世子 花寂び
炎昼の海しんかんと母の視野 柴田白葉女 遠い橋
炎昼の無縁仏みな声を持つ 谷口桂子
炎昼の玩具転がしある一間 高澤良一 素抱
炎昼の病ひふかみに落ちにけり 斎藤空華 空華句集
炎昼の眼窩をくらく逢ひにゆく 岸田稚魚 筍流し
炎昼の石みなゆらぐ渡船場址 桂樟蹊子
炎昼の石担ぐ息ふれあへる 大橋敦子 手 鞠
炎昼の砂利ふみて来し遺影かな 原田青児
炎昼の空気をぬすむ一角獣 柿本多映
炎昼の窪に発光せる土工等 榎本冬一郎 眼光
炎昼の絶壁虫の鳴きにけり 大串 章
炎昼の胎児ゆすりつ友来る 野澤節子(1920-95)
炎昼の胸もと暗く茄子炒め 菖蒲あや あ や
炎昼の葬ねむたかりかなしかり 鳥居おさむ
炎昼の軒塞ぎたる乳房かな 永田耕衣 物質
炎昼の追ひかけてくるムンクの目 野見山ひふみ
炎昼の運河の筏動かざる 阿部寿雄
炎昼の雲きそひたつ青胡桃 飯田蛇笏 雪峡
炎昼の電車重たく橋渡る 杉山青風
炎昼の頭に負担なき戦記物 高澤良一 寒暑
炎昼の馬に向いて梳る 澁谷道
炎昼の黒牛舌を見せず食む 桜井博道 海上
炎昼へたましひ一人歩きせり 堀川草芳
炎昼へ製氷の角をどり出る 秋元不死男
炎昼やするめのごとく部屋にゐる 山田真砂年
炎昼やてのひらほどの島浮ぶ 田川江道
炎昼やとぼしけれども蔵書あり 山口誓子
炎昼やまんがの中は音ばかり 小島千架子
炎昼やわが文字の上を馬蹄音 磯貝碧蹄館
炎昼やタールが見えぬ火に煮ゆる 塩川星嵐
炎昼や乏しけれども蔵書あり 山口誓子
炎昼や力尽して松が立ち ながさく清江
炎昼や妻へのたより懐に 角川源義
炎昼や少しジュラ紀の匂う窓 塩見 恵介
炎昼や庄司の甕に梅醸す 殿村莵絲子 牡 丹
炎昼や廃墟に文字のいのちあり 桂樟蹊子
炎昼や忌のすだれ垂れ犬通る 館岡沙緻
炎昼や手掴みで売る油揚 北野民夫
炎昼や法師に父母をゆだねたり 角川源義
炎昼や海の太陽茄であがる 吉原文音
炎昼や猫も自愛の四肢伸ばす 北原志満子
炎昼や白髪歳に先んずる 赤松[けい]子 白毫
炎昼や硝子の束の運ばるる 安保冬二
炎昼や腰たよりなき有馬筆 土生重次
炎昼や虚に耐ふるべく黒髪あり 野澤節子 黄 瀬
炎昼や蛸壺暗き口開いて 高井北杜
炎昼や身ほとりの木はむらさきに 下村槐太 天涯
炎昼や逢ひてこころに友失ふ 野澤節子 黄 瀬
炎昼や食べ残したる犬の餌 初川トミ子
炎昼や黒眼もたざる石膏像 川口重美
炎昼ゆく身の内側を起しつつ 磯貝碧蹄館 握手
炎昼よ炎えよ炎昼草田男亡し 原田青児
炎昼をこもり賜ひし朱筆かな 草間時彦 櫻山
炎昼をどこまで鎖引き摺つて 中村苑子
炎昼をへたばりをると誰が云ひし 高澤良一 鳩信
炎昼をゆくや拳のなか暗く 北光星
炎昼を国引に似て雲ちぎれ 都筑智子
炎昼を来てくらくらと喪の花輪 森松まさる
炎昼を睡りて勁し雑木山 永島千代
炎昼を睡りて息の濁りけり 草間時彦 櫻山
炎昼を縞シャツの縞歪め来る 山田弘子
炎昼を郷ひろみ風刑事来る 櫂未知子 貴族
炎昼を静止しているなにもかも 高桑弘夫
炎昼ヘバスよりぞ吐き出されたる 木下夕爾
炎晝のゆけどとどかぬ天涯見ゆ 細谷源二
炎晝の函に口あり薄紙かむ 竹中宏 句集未収録
炎晝の木橋波うつボタ地帯 下村ひろし 西陲集
炎晝の火傷の街をペンキ屋が青に 細谷源二
牢獄の裡炎昼のこゑを絶ゆ 石原舟月
白猫に炎昼の光古びたり 西矢籟史
鉄抛る炎昼の耳底痺れ 榎本冬一郎 眼光
電線の影炎昼の盲壁 北野民夫
髪に蜂触れし炎昼の憤り 野澤節子 黄 瀬
鹿跳ねて炎昼くらき影生まる 原裕 葦牙
まんじゆうに何も起こらぬ夏の昼 柿本多映
夏の昼しばらく口を開けてゐる 柿本多映
夏の昼のマンドリン弾きは理髪師よ 長谷川かな女 雨 月
夏の昼酒呑み地蔵頭に手 和知喜八 同齢
夏真昼回り舞台の静止せる 柿本多映
夏真昼死は半眼に人を見る 飯田蛇笏
夏真昼死者も縁者も化粧して 柿本多映
空腹のまま伏見まで夏の晝 田中裕明 櫻姫譚
窓をうしろにして膝長い夏の昼 梅林句屑 喜谷六花

以上
by 575fudemakase | 2014-07-04 00:58 | 夏の季語 | Trackback


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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