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例句を挙げる。

あたたかく山へのぼるや去歳の萱 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
えぞ萱草遠見に過ぎる島の墓 文挟夫佐恵 遠い橋
おのづから急流に触れ萱育つ 廣瀬直人
かなかな木魂山萱の葉のふれ合へる 臼田亜浪 旅人
さゝ鳴や雪にひとたまりもなき萱に 篠田悌二郎
すいと虫はなてば萱を泳ぎける 田島 秩父
すぐろなる遠賀の萱路をただひとり 杉田久女
やおろちのうみの初東風萱鳴らし 高澤良一 ももすずめ
ゆく雲の遠きは萱にかくれつゝ 石橋辰之助 山暦
ゆふだちのすだれしづくを萱庇 荒井正隆
わたくしは*しんにゅうに首萱野を分け 澁谷道
われを吹き萱過ぐ風のうしろ見ゆ 森澄雄
サイダーや萱山颯と吹き白み 董糸
スケートの影を走らす萱黄なり 岡田 貞峰
ピリカ雲火の匂うまで萱野原 川田由美子
一樹なき萱山燦と二月果つ 村上 光子
七夕の雨しとどなり萱草 堀口星眠 営巣期
七月や萱は切先豊かにて 上野 燎
三月や茜さしたる萱の山 芥川龍之介 蕩々帖〔その二〕
下萌にたれたる萱の日ざしあり 銀漢 吉岡禅寺洞
亀岩までとびしま萱草立ち騒ぐ 田口一穂
人声は灘より起る萱の絮 木村蕪城 寒泉
余寒惜む独りかも風の萱に来たり 渡辺水巴 白日
兵(つわもの)の幾人かくす萱一本 宇多喜代子
初日いま阿蘇の萱原さゞめかす 原三猿子
初茸のあかときいろに萱の苞 古舘曹人 樹下石上
十年ののちのわが子と萱の丈 飯田龍太
南風の径はるけくも萱を縫ふ 石橋辰之助 山暦
南風やゆく人まれに萱さわぐ 石橋辰之助 山暦
去歳の芽は骨萱よこの芽も長けぬ 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
口ぼその萱の穂影にあつまりぬ 斉藤夏風
古萱の丈おそろしき柳絮かな 石田勝彦 秋興
古萱を黄に伏せ山のぬくもるよ 村越化石
合掌の一集落の萱を干す 杉浦 東雲
吊橋は低くはあらず萱負うて 下村梅子
吹くからに秋といふ字や萱の原 清水径子
塊を擡げて萱の総芽立ち 西山泊雲 泊雲句集
墓詣むしりし萱の芽立ちゐる 松藤夏山 夏山句集
夕月の山をうしろに萱負うて 橋本鶏二 年輪
夜を籠めて萱の葺面(つら)もがり笛 高澤良一 随笑
大寒の牛鳴いてゐる萱の中 飯田龍太 山の木
寒き日がわたり萱鳴り萱鳴れり 加藤楸邨
寒晴の谷戸は萱山開きかな 皆川白陀
寒晴れの萱生に下ろし鳥鳴ける 金尾梅の門 古志の歌
屈託の萱あをあをと手摺に手 稲垣きくの 牡 丹
島ははやきち~ばつた萱にとび 清崎敏郎
崖しづくしたたる萱や紅葉しぬ 飯田蛇笏 山廬集
年神の来て萱葺の軒雫 山本洋子
径どれも萱原へ外れけもの径 千田一路
心飛ぶ萱の新穂の波に乗り 細見綾子
怖ろしき夢みてをらむ萱の穂も 河原枇杷男 定本烏宙論
慈光院萱葺きかへて野にたかし 山田孝子
手折らんとすれば萱吊ぬけて来し 杉田久女
抜け易き櫛にもあるか萱かつぎ 松藤夏山 夏山句集
捨て萱焼く 未明湖北の大事な火 伊丹公子
日と風と大石橋を萱車 成田千空 地霊
日の萱に逃避の我や笹鳴ける 相馬遷子 雪嶺
明けはずむ穂萱を馬の扱きゐたり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
本堂の床下くゞり萱運ぶ 高浜虚子
次郎も出征みくに萱屋のぺんぺん草 中村加津彦
水鳥のたちぬ提灯萱に照る 清原枴童 枴童句集
河音の未だにこもる萱焚火 栗生純夫 科野路
泳ぎ子の萱草手折りゆきにけり 鈴木貞雄
湯治場や黄なる萱草得て帰る 正岡子規
湯煙に人現るゝ時萱草も 高浜虚子
濤音の萱にはずみて明治節 齋藤玄 飛雪
火となりし萱のたふるゝ野火の中 佐藤寥々子
焼山の白き道ゆく萱負女 丸山海道
煙しみるなじみの小みち萱車 成田千空 地霊
生涯の淋しき醜女萱を負ふ 橋本鶏二
田舟干すほとり高萱紅葉かな 乙字俳句集 大須賀乙字
白樺やのこる古雪萱の中 誓子
白露や家こぼちたる萱のうへ 蕪村遺稿 秋
秋の日や萱に道ある山畑 尾崎迷堂 孤輪
秋風や道の辺の萱震ひ立ち 松藤夏山 夏山句集
笹鳴に逢ふさびしさも萱の原 加藤楸邨
笹鳴や海女が入る温泉の萱がくれ 宮下翠舟
老いぼれて菊より萱の枕よし 後藤綾子
老鶯や萱の中なる薪の棚 大橋櫻坡子 雨月
耶蘇祀り摘草峠野萱草 小原菁々子
肩胛骨双つあらわに萱を抱く 渋谷道
背負はれし萱が歩いてゆけるなり 石井とし夫
脚長の足早に蹤き野萱草(石川桂郎氏宅) 野澤節子 『存身』
荒壁に萱の束をば立てかけし 大石暁座
萱かつぎ閉せる家に戻りけり 松藤夏山 夏山句集
萱かつぎ風に追はれて帰るなり 松藤夏山 夏山句集
萱に臥て躬を秋雲にまみれしむ 中島斌男
萱に雪鳴る米山村は亡びけむ 安斎櫻[カイ]子
萱の傷つめたくゆびをはしりけり 高井北杜
萱の原近くにあれば寝覚めがち 清水径子
萱の日や薄煙上げし馬糞茸 島村元句集
萱の朱一すぢ走る炭俵 丸山しげる
萱の根に沁む邯鄲のきかれたり 村越化石 山國抄
萱の秀に蜻蛉とまらんとする耀きなる 北原白秋
萱の穂に夕日ふれては燃えにける 和田朴人
萱の穂に荒霊ひとつ憑きゐたる 河原枇杷男 定本烏宙論
萱の穂のあちこち向いて日和かな 皿井旭川
萱の穂の稚き月を眉の上 加藤楸邨
萱の穂を訪ひゆくも旅の袖 齋藤玄 飛雪
萱の空たちまち晴るる時雨かな 橋本鶏二 年輪
萱の芽を見たり地獄の鳴るほとり 楸邨
萱の葉の縺れほどけて蝸牛かな 島村元句集
萱の離々これのみ雪の暮の景 篠田悌二郎
萱ふかく雪照る雲雀きこえくる 金尾梅の門 古志の歌
萱わけて眼は寒波にひかれをり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
萱わけて馬の来てをる泉かな 秋櫻子
萱を積む馬とゆくえを同じうす 渋谷道
萱を負ひ雀色時おし黙る 山口誓子
萱一駄負ひ大風を負うて来る 米田一穂
萱作務のはじまつてゐる水平寺 山口水士英
萱傷に少し旅情のごときもの 岩岡中正
萱厚く氷室を葺きて白蛾湧く 吉田紫乃
萱原にいまはあまねき初日かな 清原枴童 枴童句集
萱原にちん~ちろり風がふく 寺田寅彦
萱原のしら~明けて馬の市 長谷川素逝
萱原の中直通の電話線 茨木和生
萱原の日に埋もれて薬掘る 木村蕪城
萱原の笹原続き二月かな 尾崎迷堂 孤輪
萱原やぬるでの紅葉風に照る 高田蝶衣
萱原や贅さす百舌の声せわし 寺野守水老
萱垣の千の筋目の日に産屋 成田千空 地霊
萱堂に雨声鐘声秋の蝉 百合山羽公 寒雁
萱塚に心もとなくなる日射し 佐藤冨士男
萱奔る野火や煙の追ひつけず 羽部洞然
萱屑のかゝりし髪を梳きにけり 松藤夏山 夏山句集
萱山に凧あげて友なかりけり 大須賀乙字
萱山に濃き影落し薬掘る 皆川盤水
萱山に雨降り足りし長夜かな 内藤吐天
萱山の巌に鷹の舞ひ下りぬ 橋本鶏二 年輪
萱山の巌を鷹の栖とす 橋本鶏二 年輪
萱山を僧侶山とふ気に入りし 後藤綾子
萱干してある鐘楼のまはりかな 山本洋子
萱廂いつまで雫る夕とんぼ 林原耒井 蜩
萱束にもたれ葺替ひと休み 石田勝彦 秋興
萱編めり離村を前の墓囲 三嶋隆英
萱背負ひ礁づたひに老の腰 岸風三樓
萱芒生き死にの世の揺れてをり 櫛原希伊子
萱茸の厚さの涼や囲炉裏酒 石川桂郎 高蘆
萱草に立つ浪音や桂浜 高木晴子
萱草に雷遠き日かげかな 子規句集 虚子・碧梧桐選
萱草の影澄む水を田に灌ぐ 西島麦南
萱草の捧げたる朱に帰り来し 細見綾子 黄 炎
萱草の芽に雨しみる田経かな 飯田蛇笏
萱草やこゝに芽をふく忘草 子規句集 虚子・碧梧桐選
萱草や林はづれに牧師館 友岡子郷
萱草や浅間をかくすちぎれ雲 寺田寅彦
萱萌えし伊豆の峠の雪を踏む 石橋辰之助 山暦
萱襖くぐりなやみぬささ鳴けり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
萱負うて束ね髪濃き山処女 星野麦丘人
萱負うて灯りし町をつゞきゆく 石井とし夫
萱負せ牧より帰す牧の牛 原 柯城
萱負ふて束ね髪濃き山処女 星野麦丘人
萱負ふて萱の中より現はれし 大橋もと女
萱負へば音の変りし夕あられ 藤原 如水
萱馬のたてがみ涼し波が越す 伊藤いと子
萱鳰があり粟鳰も稗鳰も 橋本鶏二
萱鳴らす山風霧を晴らしけり 金尾梅の門 古志の歌
蝶々や日中滲める萱の茎 中島月笠 月笠句集
蝶さきに真野の萱原吹かれゆく 角川源義 『西行の日』
蝶漸く風の萱葉をのがれ出し 島村元句集
親茎につく萱の芽のひらきけり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
負ひ被る萱におされつ落葉風 大須賀乙字
踏みこみし萱のほとりの雪深く 木村蕪城 一位
遠雷や萱わけて人出できたる 木下夕爾
邯鄲の縷々と翳抱く萱ばかり 山口草堂
野火移りゆくに遅速の萱の丈 稲畑汀子
野萱草もつてのほかの恋をして 大石悦子
野蒜野萱草大荷物山家に入る 金子皆子
金色に萱立てかけし馬の墓 村越化石 山國抄
鎌鼬萱負ふ人の倒れけり 水原秋桜子
鐘見えぬまで萱積みし鬼女の寺 西本一都 景色
雉子啼くや茶屋より見ゆる萱の中 蓑立 俳諧撰集「藤の実」
雪原につんと彳ちたる萱いっぽん 高澤良一 随笑
雪霞野の萱骨のとげとげし 臼田亞浪 定本亜浪句集
霙るるや猟夫踏み来る水辺萱 金子 潮
霧にふれ萱の白緑暁けきりぬ 下村槐太 天涯
霧籠めの一夜を厚き萱の簷 栗生純夫 科野路
風さそふ遠賀の萱むら焔鳴りつゝ 杉田久女
風除けの萱にはりつく浜の砂 宮下邦夫
馬繋げ新茶かをらす萱が軒 蝶夢
高原涼し靄の刻すぎ朝日の萱 古沢太穂 古沢太穂句集
鳴きやみし囮や萱にあまねき日 水原秋櫻子
鶯や礁へ落とす萱の径 富安風生
鼠穴天には荒れる萱ばかり 安井浩司 汝と我

以上


by 575fudemakase | 2014-10-31 00:13 | 秋の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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