12月の拙句

12月の拙句

ねずみのこまくら句会 14年間の12月投句の拙句をリストアップする。


2013年
じゃんけんをしたがる蜆蝶二つ  
挨拶のこゑまで縮む寒さかな  
餅を切ること無くなりぬちゃんちゃんこ  
初鵙のなかなかだうして意地っぱり  
冬雨としての謙虚さ具へをり  
尖裂ける焔見つめて十二月  
踏切にて極月の風啖ひけり  
東京湾ひたすら青きまゝ冬へ  
野を吹きて何がなんでも枯らす風  
一切を一ッの色につつむ霜

2012年
強霜の天に敵対するごとし  
手に移る鉄棒の香や冬青空  
新聞の両端持って文化の日  
大霜の道はりはりと哭(な)けるなり  
公園の落葉踏み踏み鳩寄り来  
しろしろと八つ手の花の塔を組む  
師走来と連呼す踏切警報音  
湯ぼてりの老人ちんたら下着を着る  
肺奥に達す鋭き咳をして  
片づかぬ机を前にして師走

2011年
もの積み上げ立て掛け寝かせ年の市  
栗を剥く刃物は澁に盲ひけり  
ピアノ下手でヨウシュゴボウののたうつ家  
伸びし手に蟷螂あれッといふ目つき  
鱸揚げ小坪は逗子の台所  
清貧は斯くのごときと葱の白  
拙宅に転がり込んで鳴くこおろぎ  
敗荷を自暴の果とみるもよし  
座を起つに足がポキンと鳴る秋夜  
かりがねや人は末路を医師に投げ

2010年
朝刊がくる駆け足で冬がくる  
極月の湯に透き打ち身の絆創膏  
冬の雨おのづと点る外燈に  
なんだこれ皇帝ダリアの札下げて  
神の留守妻より鍵を渡されて  
古本を売れと云ふ妻漱石忌  
あきらめが先づさきに立つ風邪心地  
年の瀬の力仕事をかって出る  
いちどきに種採れざればちょくちょく採る  
七五三押せば撮れると云はれ押す

2009年
往き交へるもの一つなき寒林に  
寒木の背後にあるもの唯青空  
寒木を唯映すのみ水たまり  
そっけなき寒木に行き當たる朝  
寒雀しきり振る尾の一文字  
寒林のいつも何處かに擦過音  
寒木のささくれながらなほ彳てる  
金海鼠(きんこ)など提げ来て妻の手わずらはす  
寒木の佇つといふ行徹しけり  
寒木の念ずるものが総てなり

2008年
同色のべべとぽっくり七五三  
貧交や八ッ手は淡き光投げ  
肩書きを云々するとは海鼠以下  
鷲の眼の凝然たるをはぐらかす  
懸崖菊は一艘二艘と数ふべし  
寒鯉の総身真水絞りけり  
市の立つ如し白鳥屯すは  
末枯れて日を経しものを火に投ず  
冬蜂の脚折り曲げて塵の中  
寒鯉の揚げられ放つ真水の香

2007年
暮早し常に酒あり肴あり  
空箱を溜め込む妻や小六月  
寒鯉の去りたれば水淋しめり  
吾が生活日向ぼこりと大差なし  
寒潮の海月に芯のごときもの  
着脹れに麻痺して仕舞はないやうに  
同窓会深酔せよと海鼠出づ  
気心は菊のかほるが如くなり  
この渋さ見かけ倒しの柿なりき  
極月の鴉漁るを咎め立て

2006年
水仙は起立国語の授業中  
抱えくる五郎八といふ濁酒  
日本晴れ咳の一つもしたくなり  
電気毛布妻に勧めて受け入れられ  
冬の洗面真水を顔に打ちつけて  
隣室てふ一語に冬の響きあり  
東京湾数え日の日を敷き詰めぬ  
湯屋を出づ縁のつめたき金盥  
冬が来る睫毛のいっぽんいっぽんに  
腋の下締めて降り立つ冬鴎

2005年
一筆箋付の自然薯届きけり  
居心地のよくてかうなる自然生  
水の上に返り咲くもの日曜日  
草の絮やたらに飛んでかえりゃんせ  
死ぬまでの我が持時間日向ぼこ  
この路地の日照時間花八つ手  
純白にして冬菊のたたずまひ  
落葉の香つつめるフリーマーケット  
かく窶れ見向きもされぬねこじゃらし  
隼人瓜ポパイのつくる力瘤

2004年
軍港を暮れしむ鴨の一旅団  
掛大根富士見ゆる日も見えざる日も  
霜旦の大地跫音返すなり  
じっと見て蕪に目鼻のあるやうな  
下仁田葱そのふやふやに沁むる味  
飯茶碗こんなにぬくくと或る朝  
錦木の錦を蔵ふ季来たり  
氷川丸老骨飾りクリスマス  
公園の掻き出し落葉だう使ふ  
泛く原理鴨と同じや軍艦は

2003年
ぐんと冷え今日着るものに大わらわ  
三世代みんなめかして七五三  
小考も大考もなく年逝かす  
心電図厚着を脱いで楽にして  
あのやうに鵙は山茱萸の実を盗む  
患者皆着膨れ病院狭くする  
ばうとして昼の焚火にあたりゐる  
短日のすこし狂ひて眼鏡の度  
横濱は縣廳前の落葉の景  
落葉逃ぐ箒で足で押さえても

2002年
鴨の陣崩してしまふさあ知らぬ  
おこうこと酒あれば佳し桂郎忌  
火桶せし家の間取りの思はる夜  
河豚鍋にあやかる程のさそい無し  
小説の中の火燵に虚子と子規  
自然薯の包み方からして律義  
花八つ手にはか曇りとなりにけり  
吸はる牡蠣舌同類と思ひけり  
散り始め銀杏精彩欠きにけり  
湯豆腐の上の電球揺れて地震

2001年
海あかり帯びて小さな蜜柑かな  
大根台地葉っぱが眩し眩しとも  
岩窟の上の磯菊日を蒐む  
水仙の道尽きここより岩畳  
もりもりと大根の肩磯畑に  
島の鳶こゑ逆落とし篠枯らす  
流木に冬麗の砂零しみぬ  
夜叉倍子の実に流れくる鳶の笛  
磯鵯の襟首瑠璃に礁空  
まんばうの話などして磯日向

2000年
卓上に蜜柑のぼれる頃となりぬ  
このいっぽん散るを待ちゐる他の冬木  
月の面のあばたさむざむ家に入る  
洞も瘤もつつみ隠さず見す冬木  
包まれて陽のほとぼりの干蒲団  
皆散るは文無しに似て大いてふ  
大銀杏黄葉輪舞に瞬きづめ  
強いられて欅葉落とすにはあらず  
丸腰の裸木なれば寄り易し  
瘤隆と立寄り易き一冬木


以上



by 575fudemakase | 2014-12-01 00:52 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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