虎落笛

虎落笛

例句を挙げる。

けふのすぐきのふとなりて虎落笛 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
この齢で何をおそるゝ虎落笛 及川貞
さいはての時化の港の虎落笛 平野竜風
ふとさめし夜の深さに虎落笛 清崎敏郎
ふるさとに父の独酌虎落笛 大串章
ほてりたる炉辺の湯呑や虎落笛 松藤夏山 夏山句集
またたくはわが知れる星虎落笛 村越化石 山國抄
みちのくや厠もつとも虎落笛 草間時彦
めぐる日や釈迦三尊に虎落笛 和田悟朗 法隆寺伝承
やはらかき児の蹠拭く虎落笛 中田幸子
わが月日妻にはさむし虎落笛 加藤楸邨
オペラ果て魔力を得たり虎落笛 吉原文音
オリオンの出に先んじて虎落笛 上田五千石 田園
シベリアの星は幾重か虎落笛 最東峰
シベリヤの使者のつぶやき虎落笛 山下美典
一汁一菜垣根が奏づ虎落笛 中村草田男
亡き人の声還るとも虎落笛 大橋敦子
人の黙こはし岬の虎落笛 大木あまり
仰臥して死後や朝の虎落笛 古舘曹人 能登の蛙
体温を越えし念珠や虎落笛 鳥居美智子
叡山は虎落笛さへ仏陀めく 堀 無沙詩
吊り皮にしがみつきゐて虎落笛 仙田洋子 橋のあなたに
堤防の長々と暮れ虎落笛 荒金 久平
売りに来し潮濡章魚や虎落笛 石塚友二 光塵
夕づつの光りぬ呆きぬ虎落笛 阿波野青畝(1899-1992)
夜は村に霊還り来る虎落笛 笹川正明
夜更けて吹き手の替る虎落笛 棚山 波朗
夢で師の子は師と瓜二つ虎落笛 磯貝碧蹄館 握手
太梁は夜に艶増す虎落笛 能村研三 騎士
奥能登の百日止まぬ虎落笛 松本伸一
子の病気いつも突然虎落笛 下田青女
寝まるほか用なきひとり虎落笛 菖蒲あや あ や
寝る前の錠剤一つ虎落笛 錦織畔燼
寝返れば耳吹く風や虎落笛 石塚友二
山の雲海へ移りぬ虎落笛 稲畑汀子
山車倉に昔の闇や虎落笛 中村風信子
川音と同じ夜空の虎落笛 廣瀬直人
帰り来し故郷の山河虎落笛 星野立子
座礁船北の挽歌や虎落笛 林 青峰
忌日なき遊女の墓や虎落笛 正岡照世
愛憎や卓上に吹く虎落笛 塚本邦雄(1922-)
折鶴蘭鏡にうつり虎落笛 阿部みどり女 月下美人
抹殺の線を真直に虎落笛 殿村菟絲子 『樹下』
掘れば出る籠城の米虎落笛 久保田雅代
新しき枕眠れず虎落笛 星野椿
旗を灯に変える刻来る虎落笛 鈴木六林男 第三突堤
日の匂して水上の虎落笛 斎藤玄 雁道
日輪の月より白し虎落笛 川端茅舎
昼暗き笹叢ばかり虎落笛 加藤知世子 花 季
月光の棕梠つつぬけに虎落笛 町田しげき
月磨き星を磨きぬ虎落笛 津村典見
朽舟の嗚咽の如し虎落笛 三上美津女
来ずなりしは去りゆく友か虎落笛 大野林火
柝鶴蘭鏡にうつり虎落笛 阿部みどり女
樹には樹の哀しみのあり虎落笛 木下夕爾
樹に宿る神のこゑとも虎落笛 伊藤いと子
檣頭にあつまるロープ虎落笛 中村房子
歌碑の辺がぬくしと寄るや虎落笛 加藤知世子 黄 炎
歩一歩闇ひきしまる虎落笛 相馬遷子 雪嶺
母看とり夫看とる夜の虎落笛 仲澤 昭
母親の影より生まれ虎落笛 高澤晶子 純愛
河越えてほういほういと虎落笛 内原陽子
泣き寝入るは遺族のみかは虎落笛 香西照雄 素心
海鳴りか虎落笛かや暮れ落ちぬ 高木晴子
海鳴りの天駆け虎落笛となる 桑田青虎
港の灯瞬きもせず虎落笛 水原春郎
湖暮れて一戸一戸の虎落笛 山田みづえ
湯が沸いてしだいしだいに虎落笛 長谷川双魚 風形
湯に聞けば泣きをんなめき虎落笛 井沢正江 以後
漁具小屋の影うずくまる虎落笛 石川博司
漂とちち渺とはは飛ぶ虎落笛 飯田綾子
灯を消せば階下の納屋の虎落笛 羽部洞然
燈火の揺れとどまらず虎落笛 松本たかし
牛が仔を生みしゆふべの虎落笛 百合山羽公 故園
琴糸を縒る灯も消えて虎落笛 細井みち
生きて聞く夫亡き夜の虎落笛 柳生千枝子
白日の天地悲しむ虎落笛 相馬遷子 雪嶺
真ん丸な月あり真夜の虎落笛 柘植梅芳女
神々の空ゆく哄ひ虎落笛 渡邊千枝子
立枯れて芙蓉も鳴るや虎落笛 石川桂郎
紫の氷かなしや虎落笛 川端茅舎
終バスのひたすら走る虎落笛 山田節子
繋がれ合ふ囚人・電柱虎落笛 香西照雄 素心
肉親の顔が遠のく虎落笛 柴田白葉女 遠い橋
胸廓の裡を思へば虎落笛 日野草城
葬送の堂を包みて虎落笛 稲畑汀子
藁小屋に湯の花ねむる虎落笛 大島民郎
虎落笛「烏の塒山」は眠らぬ山 佐野美智
虎落笛あかりが消えし添乳どき 百合山羽公 故園
虎落笛いつの世よりの太き梁 広瀬町子
虎落笛この一管は父の国 松山足羽
虎落笛こぼるるばかり星乾き 鷹羽狩行 誕生
虎落笛ねむれぬ病我にあり 上村占魚 鮎
虎落笛のゆくさき見ゆる夕の川 柴田白葉女 花寂び 以後
虎落笛ひしめくものに乳房あり 岸本マチ子
虎落笛ふるへやまざる壺の花 阿部みどり女
虎落笛また父母の墓にきぬ 三宅句生
虎落笛めつむりをればひと昔 櫛原希伊子
虎落笛わが片肺の半世紀 神原健
虎落笛わが詩に欲しき塩の艶 磯貝碧蹄館 握手
虎落笛ゐつく曲馬の天幕に 西川雅文
虎落笛人の不運に隙間なし 内藤吐天 鳴海抄
虎落笛今宵修道院泊り 津田清子
虎落笛叫びて海に出で去れり 山口誓子
虎落笛叫ぶ少年と銃の隙 原裕 葦牙
虎落笛吉祥天女離れざる 橋本多佳子
虎落笛塵取に塵はなかりけり 五十崎古郷句集
虎落笛夜に甦る怒りあり 伊丹さち子
虎落笛夜は鯨を連れてくる 澤本三乗
虎落笛夢魔にどんぐりまなこあり 仙田洋子 橋のあなたに
虎落笛天の肋も折れにけり 熊谷愛子
虎落笛嫁が泣く場は詩の中 加藤知世子
虎落笛子にも遺らぬ稿を継ぐ 石田 波郷
虎落笛子は散りやすく寄りやすく 山本洋子
虎落笛子をとられたる獣のこゑ 山口波津女
虎落笛子供遊べる声消えて 高浜虚子
虎落笛山より姥が子を盗りに 小川一路
虎落笛帯織る家を迂回せり 磯貝碧蹄館 握手
虎落笛帰らんとする家の形 岡田耕治
虎落笛引掻き傷めくアラブ文字 奈良文夫
虎落笛怪談いよいよ面白く 嶋田摩耶子
虎落笛手をとられゐて影あをし 仙田洋子 橋のあなたに
虎落笛抱かれて夜は何を生む 高澤晶子
虎落笛星の吹けるは竪笛に 井沢正江 以後
虎落笛枯菩提樹のひとり聴く 百合山羽公 寒雁
虎落笛残しただけの留守電話 櫂未知子 貴族
虎落笛母大切に籠りけり 野村喜舟 小石川
虎落笛毛糸編む妻いも寝ずに 五十崎古郷句集
虎落笛水子かへせと繰りかへす 保坂敏子
虎落笛沖荒れやまぬ佐渡泊り 松尾緑富
虎落笛海にすりへる澪つくし 百合山羽公 寒雁
虎落笛涙にじみてゐたりけり 相馬遷子 山国
虎落笛爐に酔ふ耳にかなでけり 西島麥南
虎落笛痛飲のこと我になし 相生垣瓜人
虎落笛百鬼夜行を旨とせり 柴田奈美
虎落笛眠に落ちる子供かな 高浜虚子
虎落笛知恵熱の子とひとつ闇 辻美奈子
虎落笛絨毯に曳く折鶴蘭 阿部みどり女 月下美人
虎落笛絶え入る音の尾ありけり 小杉余子 余子句選
虎落笛美しすぎる音を聞かす 橋本美代子
虎落笛聞きつゝ言葉探しをり 赤木 範子
虎落笛胎児は耳の形して 森田智子
虎落笛胡笳の聲にも似たらむか 相生垣瓜人
虎落笛色とりどりの風をつれ 吉田茂子
虎落笛色紙一枚約果す 石川桂郎 高蘆
虎落笛裁かるゝ身を横たへず 松岡ひでたか
虎落笛道を曲ればひとりなり 佐野良太 樫
虎落笛風樹の嘆のごときもの 長谷川双魚 風形
訪ひ来しは待つ人ならず虎落笛 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
過ぎ去りし日の遠くなる虎落笛 阿部寿雄
野の町の銀座も寝たり虎落笛 三橋敏雄 長濤
金色堂奏づる月の虎落笛 沼澤石次
鉄塔の峰々つなぐ虎落笛 道川虹洋
鉄橋を一塊として虎落笛 鷹羽狩行 誕生
長城に匈奴の叫び虎落笛 品川鈴子
閻王に更けし灯や虎落笛 小原菁々子
電工の働く虎落笛の上 馬越冬芝
風神の韋駄天走り虎落笛 不破幸夫
餓ゑきるまで食べぬが償ひ虎落笛 香西照雄 対話
鰻田に闇うづくまる虎落笛 児玉 寛幸
鳴沙とも目覚めて居りぬ虎落笛 田中英子
いつの世も挽歌は秀でもがり笛 井沢正江 以後
もがり笛いく夜もがらせ花ニ逢はん 檀一雄
もがり笛とまれ寝るべくなれりけり 木下夕爾 遠雷
もがり笛ひめごとめいて布を裁つ 原 尚子
もがり笛よがりのこゑもまぎれけり 加藤郁乎
もがり笛一つ目小僧呼んでをり 上村占魚 『自門』
もがり笛伝言板の文字とがる 林田 江美
もがり笛前山の闇なだれ来る 米沢吾亦紅 童顔
もがり笛夕焼けてゐし耳ふたつ 角川春樹
もがり笛明日醒めざれば寂光土 植村通草
もがり笛星の吹けるは竪笛に 井沢正江
もがり笛洗ひたてなる星ばかり 上田五千石(1933-97)
もがり笛熄めば岬のまた淋し 高嶋遊々子
もがり笛荷風文学うらがなし 石原八束 『秋風琴』
もがり笛風の又三郎やあ一い 上田五千石
三千年先人の声もがり笛 百合山羽公 寒雁
夜を籠めて萱の葺面(つら)もがり笛 高澤良一 随笑 
夫征きしままの生活もがり笛 石原舟月
纜の太く短しもがり笛 田中峡一
モガリ笛いく夜もがらせ花ニ逢はん 檀 一雄

以上
by 575fudemakase | 2014-12-17 00:25 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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