足袋

足袋

例句を挙げる。

あちら向き古足袋さして居る妻よ 正岡子規
あぶるとすぐに屍臭をはなつ坑夫の足袋 細谷源二
あら玉の年立つて足袋大きかり 川崎展宏
いたづらに足袋のみ白く寒の墓地 阿部みどり女
いつの世も足袋の白さは手で洗ふ 朝倉和江
いつも留守足袋を一つか二つ干し 波多野爽波 『骰子』
いづくへも行くにはあらず足袋穿き替ふ 山口波津女 良人
うしろむき足袋はく妻に謝しにけり 榎本冬一郎 眼光
うらゝかや足袋ぬいで足袋洗ふ日の 四明句集 中川四明
お下がりの福助足袋を呼びつける 仁平勝 東京物語
かくも小さき白足袋ありし七五三 林 翔
かたくなに定めて白襟白足袋と きくちつねこ
かなかなにマタギ皮足袋雪恋ふや 石川桂郎 高蘆
かなかなに履く足袋ほそき思ひかな(埋骨) 石川桂郎
きつき足袋過去より響きくるものあり 川口重美
こころみに足袋ぬぎし日や花あしび 林翔 和紙
この頃の買ひ置き足袋や暮し向 尾崎迷堂 孤輪
しぐるるや旅の日数の足袋の数 影島智子
しばし待て今足袋をはくところなり 寺田寅彦
すべったか革足袋はいた初とがめ 斯波園女
だぶ~の足袋を好みてはきにけり 高浜虚子
ちちを埋めはは埋め乾く福助足袋 穴井太 天籟雑唱
はく日からはや白足袋でなかりけり 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
はしたなく水薬にぬれし紺足袋よ 青愁 佐竹草迷宮
ほぎごとの白足袋も入れ旅鞄 柴田只管
ほととぎす足袋ぬぎ捨てし青畳 鈴木真砂女 夕螢
みちのくの子の赤足袋の鞐見え 阿波野青畝
もとほると言へるこころの足袋白し 後藤夜半 底紅
よこがほがさびしく足袋をはいてゐる 安住 敦
わが足袋の重ねてあるがやるせなき 佐野青陽人 天の川
をみな若きは足袋の白きを匂はしめ 太田鴻村 穂国
をんなは女外出気負うて白足袋に 河野多希女 琴 恋
一と竿に干しも干したり足袋ばかり 高橋淡路女 梶の葉
一欲を捨てたる尼の足袋白し 磯野充伯
一重足袋日の頂上を履きにけり 増田龍雨 龍雨句集
七文半の吾子の白い足袋にあした正月がくる 橋本夢道 無禮なる妻抄
七月の足袋白く穿き夜毎の雨 長谷川かな女 花寂び
万両に賽ころひらふ足袋はだし 河野静雲 閻魔
万灯引く衆の白足袋白法被 高澤良一 随笑 
三日はや小童が足袋破れ初む 石塚友二 光塵
上向く芽洗濯の足袋みな破れ 西東三鬼
下帯も白足袋も濡れ出初式 宮田 勝
下駄に足袋の混血児連れ日本の祖母 田川飛旅子 花文字
両脇に足袋屋の弟子の寒さかな 毛* 極 月 月別句集「韻塞」
中啓の舞破れ足袋をかくすなし 西本一都 景色
九文の白足袋はかす死出の母 品川鈴子
乞食の足袋に入れたる小銭哉 会津八一
乳児寝たり歩く形に足袋ぬいで 加藤知世子 黄 炎
二つ三つ足袋干す音を枯園に 井上雪
二趾(ゆび)の邪鬼足袋はける吾もまた 品川鈴子
亡き師恋し片足立ちて足袋履けば 肥田埜勝美
人の賀の足袋の白きを保ち了ふ 渡邊千枝子
今日もはく娑婆苦の足袋の白かりき 飯田蛇笏
今日足袋をはき替へにけり寒ければ 原石鼎 花影以後
今朝より冬黒ビロードのかがやく足袋 古沢太穂 古沢太穂句集
保線夫の足袋裏厚しすべりひゆ 小林幸子
俵重ね足袋清浄と白きかな 増田龍雨 龍雨句集
僧に尾いて足袋冷え渡る廊下かな 楠目橙黄子 橙圃
僧の足袋菜の花あかりしてみどり 河野静雲 閻魔
元旦や前山颪す足袋のさき 飯田蛇笏 山廬集
六月や能の亡霊足袋真つ白 北野民夫
冬の日 日雇女のじか足袋から 街は暮れる 吉岡禅寺洞
冬夜の静けさたてよこに足袋をつづくる 人間を彫る 大橋裸木
冬蝶を翔たす庭師の紺の足袋 石川文子
冷まじき滝川白き足袋に添ふ 野澤節子 黄 炎
冷まじき面や足袋や薪能 石川桂郎 四温
冷水のつややかをもて足袋濯ぐ 鳥居美智子
凍る足袋いづれが夫のものなりや 井上雪
初夢の夢の叶はぬ足袋をはく 径子
初夢もなく穿く足袋の裏白し 渡邊水巴
初大師なり紺足袋の男など 神尾久美子 桐の木以後
初蝶に会ふ白足袋に退け目なし 神尾久美子 桐の木
初蝶を追ふと数歩の足袋はだし 上田五千石 田園
初飛行柿の木に子の足袋赤し 渡邊水巴 富士
別るると教授夫人ら足袋しろく 柴田白葉女 遠い橋
勁き拇指蝸牛のごとく覗く足袋 中村草田男
十三夜真白くきつき足袋をはく 菖蒲あや 路 地
卯の花や愚かにかばふ雨の足袋 馬場移公子
厄年や足袋の温みを愛ではじむ 竪阿彌放心
厨子像の近松翁の足袋白し 山田弘子 螢川
受験勉強父より大き足袋穿きて 田中灯京
古足袋の四十に足をふみ込みぬ 服部嵐雪
古足袋の四十もむかし古机 永井荷風
古足袋の妻一病を捨てきれず 荒川邪鬼
古足袋もそのまま履くや去年今年 龍男(毎日新聞連載小説の題名を決め、歳晩より仕事部屋に籠る)
古足袋をさがしあつめて奉謝かな 森川暁水 黴
句一念わが白足袋の指太き 岡本圭岳
名優の余技足袋しろく笛吹けり 宮武寒々 朱卓
向日葵や足首細きとびの足袋 高井北杜
喀血す足形足袋を置きて臥す 石川桂郎 含羞
堅き足袋はきて初日ををろがめり 鈴木白路子
夕蝉に足袋脱ぐ膝を立てにけり ほんだゆき
外套の下は僧衣の足袋白し 青峰集 島田青峰
夜は孔雀拡がるごとし足袋はくとき 中嶋秀子
大寒や足袋に吸ひつく夜の舞台 佐野青陽人 天の川
大川を越え浅草へ足袋買ひに 館岡沙緻
大晦日蓬髪足袋をはきながら 赤尾兜子
大足の使徒となるかな足袋を脱ぐ 平畑静塔
天つ日は聖戦のひかり足袋をつぐ 渡邊水巴 富士
天国ヘルイス茨木足袋はいて 林翔
夫の忌の白足袋濡るる傘の中 日野晏子
奉仕すんで足袋はきかゆる巫女幼な 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
女老ゆ風呂場の隅で足袋洗ひ 菖蒲あや 路 地
女足袋をぬいで悲しい顔をする 関口比良男
女足袋紫野行くゆかりなり 椎本才麿
女面打つ黒足袋を穿きにけり 山口都茂女
妄想の足袋百間を歩きけり 永田耕衣(1900-97)
妻にて候死後の証しの白足袋は 栗林千津
妻の足袋すでに汚れぬ死までの距離 小林康治 玄霜
妻まろく足袋の鞐をかけてをり 椎橋清翠
妻今も紅足袋ちさし仕事多し 香西照雄 対話
妻死後を覚えし足袋のしまひ場所 能村登四郎(1911-2002)
姥捨の闇に足袋売る燈影かな 尾崎紅葉
子の縁にうすくて石に足袋を干す 長谷川双魚 風形
家護りて妻はもひとり足袋つゞる 岸風三楼 往来
寐るのみの明るさ足袋を脱ぎにけり 碧雲居句集 大谷碧雲居
寒燈に揃へておかな母の足袋 萩原麦草 麦嵐
小兎や真白の足袋に父とゐて 中山純子 茜
小夜時雨ほとけに履かす足袋買ひに 梶山千鶴子
就中首里城衛士の足袋真白 北見さとる
尼御前の白足袋濡らす著莪の雨 井口 秀二
尼法師足袋ねむごろに綴りけり 野村喜舟 小石川
川渉りてすぐはく足袋や日の枯野 阿部みどり女 笹鳴
干し足袋も鴨の形す湖辺宿 右城暮石 上下
干足袋にかもめのこゑのくれさそふ 金尾梅の門 古志の歌
干足袋に日の古びゆく風の音 三橋迪子
干足袋に湿りのもどる晝の月 松村蒼石 雪
干足袋のこはぜの光り草枯るゝ 金尾梅の門 古志の歌
干足袋の乾くまもなく盗られけり 森川暁水 黴
干足袋の夜のまゝ月のまゝとなり 河東碧梧桐
干足袋の天駆けらんとしてゐたり 上野泰(1918-73)
干足袋の日南(ひなた)に氷る寒さかな 大須賀乙字(1881-1920)
干足袋の裏返されて突つ張りて 高浜虚子
干足袋や糸に吊して梅の枝 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
干足袋を逃げし日松に当り居る 雑草 長谷川零餘子
干足袋を飛ばせし湖の深さかな 前田普羅
平凡な妻の倖はせ色足袋はき 柴田白葉女 牡 丹
年新たな凍み足袋裏を堅くせり 節子
年明くとベツドに凭りて足袋はけり 石田波郷
年暮るる干足袋の白空跳んで 殿村莵絲子 花寂び 以後
幾日も乾かぬ北國の足袋かなしからずや 細谷源二
店先に足袋干す籠や木曾の宿 会津八一
座を掃けば干足袋高く暮れにけり 金尾梅の門 古志の歌
弥生とは洗ひ縮みし足袋のことか 米沢吾亦紅 童顔
律僧の紺足袋穿つ掃除かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
悪役となる足袋きつき控室 北光星
悴みて手袋ぎらひ足袋ぎらひ 太田育子
扇収めて辞し去る客の足袋白し 青峰集 島田青峰
手づくりの足袋寛闊にはきよくて 高浜虚子
手と目のわざ色足袋えんじに糸を繰る 古沢太穂 古沢太穂句集
打連れて足袋の白さや御坊達 村上鬼城
抽出しの白足袋の波母老いぬ 小檜山繁子
拇指反らす妻の新足袋子のスキー 香西照雄 対話
拝殿へ足袋穢れなく七五三 佐藤美恵子
探梅のどろんこの足袋提げてをり 米澤吾亦紅
数へ日や足袋幾足の生乾き 永井龍男
文芸無頼枕頭の書へ足袋重ね 北野民夫
断崖へ松茸採りの足袋脚絆 岡田日郎
新年のくるぶし緊むるかたき足袋 能村登四郎
旅しらぬ幾とせ妻に足袋白し 軽部烏頭子
旅嚢より足袋いだし履き山国ヘ 古沢太穂 古沢太穂句集
日々の足袋の穢しるし書庫を守る 竹下しづの女 [はやて]
日だまりに足袋屋の築く足袋の山 本庄登志彦
日の出でて東さみしき足袋を干す 寺田京子
日脚伸ぶ足袋干してある竿の先 高濱年尾 年尾句集
早乙女の足袋脱いでゐる寺の縁 田中冬二 麦ほこり
昼寝覚素通る猫が足袋履いて 高澤良一 寒暑 
暑に抗すとりわけ足袋の白きもて 鈴木真砂女 夕螢
月下美人足袋はきかへてより講師 影島智子
月祀るための白足袋替へにけり 青木まさ子
望の夜の色足袋召して尼ぜかな 桑田青虎
朝の雨昨日の足袋をはきにけり 細見綾子 花寂び
朝日は軒ふかくさしいり日曜日の足袋を穿く 橋本夢道 無禮なる妻抄
朝曇白足袋はいて出でにけり 増田龍雨 龍雨句集
木屋町の宿から足袋を買はせけり 野村喜舟
未婚一生洗ひし足袋が合掌す 寺田京子
松の内すでに足袋裏よごれけり 吉屋信子
松納めし日向あり足袋下しにけり 中島月笠 月笠句集
枕頭に波と紺足袋漁夫眠る 鈴木六林男 第三突堤
梳き初めや足袋ほのしろき立鏡 上川井梨葉
楠の冷八十八夜足袋をはく 森 澄雄
業病に背中を向けて足袋を穿く 三好潤子
樒咲く尼寺に干す足袋二足 猿橋統流子
横光忌齢の足袋も幾重ね 石塚友二
横坐りの足袋の鼻緒の跡しるし 原田種茅 径
欝然と富めり葬列の足袋しろく 藤木清子
次の間に足袋ぬぎに立つ女かな 柴浅茅
正月の足袋白うして母在はす 大谷碧雲居
此日巡遊興のなかりし足袋払ふ 河東碧梧桐
歯朶の葉の塵清らなり足袋の先 紅葉
死出の足袋足にあまるや法師蝉 角川源義
母の足袋汚れきつたり父死なす 小林康治 四季貧窮
母枯れゆく跳べるかたちに足袋ぬいで 中嶋秀子
母訪はむ足袋のこはぜのはめ難し 永田耕衣 奪鈔
水仙に湯をいでて穿く毛足袋かな 飯田蛇笏 山廬集
水兵と行くは妹か足袋もはかず 佐野青陽人 天の川
水無月やあしたゆふべに足袋替へて 鈴木真砂女 夕螢
沓足袋や鐙にのこる初ざくら 榎本其角
法善寺横丁をゆく足袋白く 後藤比奈夫 初心
法善寺色足袋の紅かなしけれ 大石悦子 群萌
法衣にも足袋にも継の當りたる 後藤夜半
津山足袋やぐらに足をかけてはきし 廣江八重櫻
海士の子の足袋はく姿見る世哉 井原西鶴
海市(かいやぐら)あまたの足袋の干されゐる 柿本多映
海市あまたの足袋の干されゐる 柿本多映
温みある足袋を重ねて花疲れ 三好潤子
湯上りの指やはらかし足袋のなか 桂信子 黄 炎
滝一気死後の出合ひは足袋はだし 鳥居美智子
濡れ足袋のまゝに失火の調べ受く 矢倉信子
火燵出る足袋の白さや蓍衣始 中村烏堂
烈風の青空白足袋だけを干す 川島千枝
烈風踏みしめて来る足袋白し 林原耒井 蜩
烏賊のごと足袋つるされし近松忌 寺井谷子
無精さや蒲団の中で足袋を脱ぐ 正岡子規
焼杭に干す足袋赤く年つまる 古賀まり子 洗 禮
煤逃げや赤別珍の足袋買うて 市橋千翔
片方の足袋のありしは障子ぎは 細見綾子 花 季
狂言の足袋黄色なる虚子忌かな 岸本 尚毅
猿蓑塚山深ければ足袋汚る 殿村莵絲子 牡 丹
玄関で足袋はき替へし礼者かな 大場白水郎 散木集
甘酒や木影添ひ来る足袋の白 島村元句集
生き耐へし女どうしの小さき足袋 柴田白葉女 『夕浪』
生れし日を忘じ干足袋風の中 寺田京子
生活の確かさ白足袋乾き切る固さ 中村明子
生涯を足袋干す暮らし仏生会 井上雪
病みがちの足袋を離せず四月尽 猪俣千代子 堆 朱
病む人の足袋白々とはきにけり 前田普羅 新訂普羅句集
病よし医師の白足袋目にしるく 島村元句集
病上り白足袋ゆるく人と逢ふ 野澤節子 黄 瀬
癇性のすぐ雪晴に足袋干して 及川貞 榧の實
白妙の足袋踏み出しぬ飛鳥展 都筑智子
白足袋にいと薄き紺のゆかりかな 河東碧梧桐
白足袋に狭目の下駄も好みかな 野村喜舟
白足袋に皺殖え老母花見得たり 香西照雄 素心
白足袋のいちにん深山朝櫻 黒田杏子 花下草上
白足袋のじよんがら弾のづかと来る 田中英子
白足袋のつるつる縁やつく手毬 野村喜舟
白足袋のどこまでゆけば弥陀に会ふ 神尾久美子 桐の木
白足袋のひたひたと来る破芭蕉 川崎展宏
白足袋のよごれもつかずぬがれけり 富安風生
白足袋のよごれ尽せし師走哉 正岡子規
白足袋のチラチラとして線路越ゆ 中村草田男(1901-83)
白足袋の位置の磐石弓始 岩田千恵
白足袋の僧より落ちし名刺かな 桂信子 樹影
白足袋の暑中稽古や鞍馬寺 小中 勿思
白足袋の汚れざりしがさびしき日 鷲谷七菜子 黄 炎
白足袋の汚れもあはれ鹿踊 田村了咲
白足袋の熔岩原を踏み行けるかな 草間時彦 櫻山
白足袋の爪先そろへて御仏がくらい 人間を彫る 大橋裸木
白足袋の父にしたがふ墓参かな 五十嵐播水 播水句集
白足袋の若き和尚や花あせび 田中冬二 麦ほこり
白足袋の足の先まで几帳面 竹崎玉子
白足袋の踏んでゆきける瓦礫かな ふけとしこ 鎌の刃
白足袋も五つこはぜの針供養 今泉貞鳳
白足袋も鼻緒もきつめなのが好き 榊原 弘子
白足袋や大僧正の袈裟の下 野村喜舟 小石川
白足袋や帯の固さにこゞみ穿く 阿部みどり女 笹鳴
白足袋や母の天寿をわれ知らねど 平井さち子 完流
白足袋や箱階段の黒き艶 今泉貞鳳
白足袋や継もなか~清浄に 野村喜舟 小石川
白足袋をぬぐや流るる天の川 野澤節子 『駿河蘭』
白足袋を一歩も退かず怒濤見る 神尾久美子 桐の木
白足袋を穿きて心を立つるなり 岡野美代子
白足袋を穿けば歩幅の改る 小林一鳥
白足袋を脱ぐに流れて天の川 野沢節子 八朶集以後
白足袋を脱ぐや流るる天の川 野澤節子
白足袋裾ずれこの用もあの用も 河東碧梧桐
白足袋遺し泣くほか寝るほかなかりしか 中村草田男
白鹿と足袋にも銘すはきにけり 赤松[ケイ]子
短日の足袋を湯殿に脱ぎにけり 汀女せん 吉屋信子
石の上花のごとくに足袋を干す 柏禎
破れ足袋やはたと夜の階のぼりゆく 『定本石橋秀野句文集』
硝子戸の中の幸福足袋の裏 細見綾子 花 季
祖母の足袋もつとも白し野遊びへ 福島延子
祝ぎ事の済みし白足袋干されけり 高橋利雄
神官の足袋はかぬ日は麦を踏む 後藤智子
神楽舞ひ砂利踏む足袋の白きこと 城間芙美子
禰宜達の足袋だぶ~とはきにけり 村上鬼城
秩父颪看板に鳴る足袋屋かな 冬葉第一句集 吉田冬葉
穿き寝せし足袋の裏いつか汚れけり 月舟俳句集 原月舟
立像は足袋穿きたまひ右近の忌 森田峠 三角屋根
竹馬やひたと竹吸ふ足袋の股 林 翔
紐足袋の昔おもへば雲がゆく 臼田亞浪 定本亜浪句集
細梯子足袋裏白くはづみけり 小島千架子
細見と足袋を懐に歩きけり 野村喜舟
紺足袋の女も冬の初めかな 大谷句佛 我は我
紺足袋の底の真白し初仕事 武田克美
紺足袋の強げに見ゆる女かな 会津八一
紺足袋の紺に好みのありしこと 後藤夜半 底紅
縁あればをみなは白き足袋を穿く 萩原麦草 麦嵐
繕ひし足袋抽斗に母逝けり 石垣 弘子
老い老いて足袋潔白に冴えにけり 小寺正三
老足(ろうそく)に足袋美しや二日灸 後藤夜半
老足に足袋美しや二日灸 後藤夜半 底紅
肩借りて足袋ぬげるあり若菜摘む 皆吉爽雨 泉声
脱ぎし足袋冷えてよごれの目立つかな 野澤節子 黄 瀬
脱ぎすてし足袋の白きに雪降り出す 内藤吐天 鳴海抄
腰ひもに足袋つつぱさみ石蓴掻く 上村占魚 『霧積』
色足袋で来て拝みけり竹生島 山本洋子
色足袋に替へて自分に戻りけり 江頭けい子
色足袋に迎へてくれし雪の宿 茂里正治
色足袋に馴れて女房らしくあり 上野泰 佐介
色足袋のまゝの遠出となりしかな 島崎きよみ
色足袋のまゝよ遠くへ行き居らじ 宮城きよなみ
色足袋や尼ともならず寺暮し 中山純子 沙羅
色足袋や律儀に老いて路地ぐらし 菖蒲あや
色足袋や湯女に老婆のかかりうど 西本一都
色足袋を買初めに町ぬかるみて 綾子
花の雨延年舞の白足袋に 沢木欣一 地聲
花冷えの旅鞄足袋加へけり 近藤一鴻
花疲れ灯にちらばつて足袋と足 今瀬剛一
花衣足袋をよごしてかへりけり 山口波津女 良人
花足袋の南枝はしめて幼稚園 尾崎紅葉
草の雨一歩踏み出す足袋白し 阿部みどり女 月下美人
草市に足袋を濡らして女老ゆ 菖蒲あや 路 地
荒梅雨の足袋に蝋塗る野外能 田川飛旅子
萩のトンネル白足袋の母に蹤きゆきぬ 杉本寛
蓑虫や足袋穿けば子もはきたがり 渡邊水巴
蛇穴を出づる喪の足袋脱ぎ了へて 橋本榮治 越在
行きはわが足袋の真白く下萌ゆる 中村汀女
行く年の水美しく足袋洗ふ 有馬籌子
行年の干足袋一つ吹かれけり 中島月笠 月笠句集
表より裏にねんごろ足袋洗ふ 池田のぶ女
裏白や新しき足袋さがしあて 石川桂郎 四温
見るたびに干足袋うごく霙なか 谷野予志
貧乏の足袋のこはぜが光りけり 長谷川双魚 風形
買ひ戻る足袋のつつぱる袂かな 森川暁水 黴
赤い足袋買つて欲しいと粥を炊く 中山純子 茜
赤き足袋はき家中を明るくす 中山純子 茜
赤足袋にゐのこづち着け子が生れず 中山純子 沙羅
赤足袋のふくらんだまま脱がれある 上野泰 佐介
赤足袋を手におつぱめる子ども哉 一茶
足るといふ事知る暮し足袋つゞる 楠井光子
足袋あぶる能登の七尾の駅火鉢 細見綾子 雉子
足袋かがる一身の悔背にこめて 小林康治
足袋かさね穿いて死神よせつけず 富田潮児
足袋かたしかたかた風が鳴らしけり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
足袋かへぬ人卑しさよ更衣 島村元句集
足袋かゞる一身の悔背にこめて 小林康治 四季貧窮
足袋かゞる灯かげに遠く艦うかぶ 金尾梅の門 古志の歌
足袋きつく父の気質を吾が受けし 上野さち子
足袋きよく光は励む妻が負ふ 山田 文男
足袋きよく成人の日の父たらむ 能村登四郎
足袋こはぜかたく女の意地とほす 上村占魚 『橡の木』
足袋しろくなにか哀しき急ぎあし 相馬 黄枝
足袋すこしよごれ元日昏れにけり 文挟夫佐恵 黄 瀬
足袋つがんと日々思ふのみ思ふのみ 山口波津女 良人
足袋つくろふ雪嶺の朝から晴れて 内藤吐天 鳴海抄
足袋つぐごと心つくろひつつ生くも 吉野義子
足袋つぐやノラともならず教師妻 杉田久女(1890-1946)
足袋つづるくらくて低き灯の畳 長谷川素逝 村
足袋つゆにぬれつゝ仰ぐ天高し 及川貞 夕焼
足袋つゞる小指の当りていねいに 田中政夫
足袋と干菜とうつる障子かな 室生犀星 魚眠洞發句集
足袋と見えて時々触はる火燵哉 会津八一
足袋にあり男の白といふ色も 山崎みのる
足袋にふれし手をすゝぎ燈明奉る 高田蝶衣
足袋にアイロンあな憎き顔足袋になれ 稲垣きくの 牡 丹
足袋に指きつちり家庭内別居 稲井優樹
足袋ぬいであかがり見るや夜半の鐘 正岡子規
足袋ぬいでうららけき足の裏かな 冬の土宮林菫哉
足袋ぬいでからびはてたる肉刺を剥く 川島彷徨子 榛の木
足袋ぬいでそろへて明日をたのみとす 細見綾子 花 季
足袋ぬいでつかれ覚えぬ花衣 山口波津女 良人
足袋ぬいで卯の花腐しゆく娘かな 麻田椎花
足袋ぬいで耳より眠むる積木の城 浜 芳女
足袋ぬがぬ臥所や夜半の乳つくり(乳なければ) 『定本石橋秀野句文集』
足袋ぬぐに聖痕を見るごときかな 平井照敏 天上大風
足袋ぬれて寄る火の灰揚れり 安斎櫻[カイ]子
足袋のせて明日の外出に着る着物 木暮英子
足袋の値に驚くことも現世かな 尾崎迷堂 孤輪
足袋の先火燵にあつくお元日 廣江八重櫻
足袋の型おろかし逢ひにゆくときも 寺田京子
足袋の持つ演劇的な要素かな 京極杞陽
足袋の紐の解けたるを知らす行く人よ 尾崎紅葉
足袋の紺匂ふを知りつ階上る 久米正雄 返り花
足袋の裏汚れずにゐることは死か 安東次男 裏山
足袋はいて夜着ふみ通る夜ぞ更けし 飯田蛇笏 山廬集
足袋はいて宿の浴衣のなじまざる 高濱年尾 年尾句集
足袋はいて寝る夜ものうき夢見哉 蕪村 冬之部 ■ 御火焚といふ題にて
足袋はいて心を謙となしにけり 小杉余子 余子句選
足袋はきていよいよ仕事はかどりて 黒田杏子 花下草上
足袋はきて寝る夜隔(へだて)そ女房共 服部嵐雪
足袋はくやうしろ姿を見られつつ 大野林火
足袋はくやはじめを強く喪の太鼓 長谷川双魚 『ひとつとや』
足袋はくや心つまづくばかりなり 清水基吉 寒蕭々
足袋はくや故園の霜のくまなくて 百合山羽公 故園
足袋はくや装ひなりし帯固く 高橋淡路女 梶の葉
足袋ぼこり買ひあぐねつつ外足に 香西照雄 対話
足袋ゆるく穿く旅十万億土とやら 榎本嵯裕好
足袋をつぐより小説が読みたけれ 山口波津女 良人
足袋をつぐ絲長々とさしにけり 高橋淡路女 梶の葉
足袋をはくとき虫更けてゐたりけり 道芝 久保田万太郎
足袋を穿くだけの十万億土かな 橋間石
足袋を継ぐ母の背ゆすり金せがむ 宮坂静生 青胡桃
足袋を脱ぐ足のほてりや花疲れ 鈴木真砂女 生簀籠
足袋先の冷えしんしんと父の通夜 鈴木愛子
足袋堅く爪先へ気や初点前 牧野寥々
足袋売の声うち曇師走哉 高井几董
足袋外套脱ぎ散らさでや孤独慣れ 石塚友二 方寸虚実
足袋嫌ひとことん齢を喰つてみむ 後藤綾子
足袋少し汚し枯野を越え来たり 鈴木真砂女 夕螢
足袋履いて夜は昼の足と別にある 松原地蔵尊
足袋履くと上布の翅の身を離る 殿村菟絲子 『牡丹』
足袋干して星が消えさう蜜柑村 中拓夫 愛鷹
足袋干すに薄き山の日ななかまど 稲垣きくの 牡 丹
足袋干すや山ふところは梅早し 青峰集 島田青峰
足袋干すや影を馴れゐる小鳥共 野村喜舟 小石川
足袋幾つ衣の隙に干されけり 柑子句集 籾山柑子
足袋底に滲む残雪橡芽吹く 松村蒼石 雁
足袋底のうすき汚れや松の内 三橋鷹女
足袋替へしこころにひらく茶道口 小澤満佐子
足袋替へる母の足首細りけり 吉宇田敬子
足袋替へる青木の花のくらがりに 平沢美佐子
足袋洗ひそれで和みて一日を 細見綾子 花寂び
足袋洗ひ訃報を待ちてゐたらずや 白岩 三郎
足袋清く凱旋の友来りけり 森川暁水 淀
足袋甲の縫目鼻筋通す貴女 香西照雄 素心




足袋白き人の裏側まで知らず 林 翔
足袋白くくらしに甘え宥されず 鈴木真砂女 夕螢
足袋白くわれをいざなふ天高し 阿部みどり女
足袋白く人の愁にまじりけり 西島麦南 人音
足袋白く埃をさけつ大暑かな 室生犀星 犀星発句集
足袋白く衣食の道を求めけり 楠目橙黄子 橙圃
足袋白く踊りはじめし阿波踊 上崎暮潮
足袋白く霞の中をなほいでず 橋本多佳子
足袋穿くを見下し妻を葬に遣る 山口誓子
足袋綴りしもの赤う塵と片寄せつ 安斎櫻[カイ]子
足袋脱いて居るといふ也夜着の中 尾崎紅葉
足袋脱いで旅寝の衾短かり 萩原麦草 麦嵐
足袋脱いで眠りは森に入るごとし 神尾久美子 桐の木
足袋脱いで素足となりぬ花疲れ 田中冬二 俳句拾遺
足袋脱ぐやわが痩せし身を念ひいづ 石田波郷
足袋脱ぐや汝が肩埋めしかの雑踏 香西照雄 対話
足袋脱げばよみがへる梅雨の寝しなかな 中島月笠 月笠句集
足袋裏に東風の埃や茶屋廊下 阿部みどり女 笹鳴
足袋裏を向け合うて炉の親子かな 臼田亞浪 定本亜浪句集
足袋買ふ老婆骨の窪より銀貨出し 宮坂静生 青胡桃
踊足袋ぴつたりと穿き皮膚となる 品川鈴子
身の髄まで侮蔑くひ込む足袋白し 稲垣きくの 黄 瀬
身を曲げて足袋脱ぐ豆を撒きし闇 野澤節子
身を飾るをみな淋しみ足袋をはく 大橋敦子
軒深く神に仕ふる足袋を干す 阿陪青人
遍路脱ぐ今日のよごれの白足袋を 中村草田男
遠き記憶甘く憂しく足袋に紐 富安風生
遠蛙その日の足袋はその夜洗ひ 鈴木真砂女 夕螢
遺影の前身をさかしまに足袋をはく 平井さち子 完流
酒運ぶ足袋のちらつく十二月 椎橋清翠
野良着脱ぎ神楽の足袋を穿きにけり 佐川広治
釣忍母在る限り足袋干され 鈴木栄子
鈍き日や白足袋干せる二三日 野村喜舟 小石川
降りかけの塀に倚りゐつ足袋を脱ぐ 原田種茅 径
陶工のろくろの足は足袋はかず 松岡巨籟
雨にじむにじむ鉾曳く白足袋に 山田弘子 初期作品
雨に来て足袋はきかへて盆の僧 小倉恵都子
雨の日のちやつきらことて足袋はかず 田中午次郎
雪ぬれの足袋ぬぎ訪ふに梅紅し 皆吉爽雨 泉声
雪の人袂に足袋を置きにけり 小杉余子 余子句選
雪の道足袋濡れて来て心細 星野立子
雪を来しまらうど足袋を焙りけり 野村喜舟 小石川
雪晴れに足袋干すひとり静かなる 沢木欣一 雪白
雪泥の足袋すててまた出づる子よ 古沢太穂 古沢太穂句集
雪解や古足袋からむ枳殻垣 金尾梅の門 古志の歌
雪解や鳥籠にかけて干せる足袋 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
雲の峰盲人しろき足袋穿けり 久保田万太郎 流寓抄以後
雲衲は足袋もうがたず大かがと 河野静雲
霜やけのかゆきをかくや足袋の穴 寺田寅彦
露地曲る足袋の白さや初稽古 八木浩二
革足袋や建前見舞ふ木工頭 喜谷六花
革足袋や野はあたたかに木瓜の花 銭し 三 月 月別句集「韻塞」
靴下の見當たらなくて足袋をはく 佐々木六戈 百韻反故 初學
頬ふれて足袋の乾きをたしかむる 赤松[ケイ]子
頼まれし妻の足袋買ふ一葉忌 福永耕二
髪詰めて教師となりし足袋をはく 柴田白葉女 遠い橋
鳥雲に入ると足袋反る橋掛り 高橋睦郎 稽古
鵙高音死ぬまでをみな足袋を継ぐ 渡辺桂子
鷺舞の老の白足袋光りけり 上野さち子
黄泉に発つ足袋白すぎる薄すぎる 石田阿畏子
黄菊白菊鞐もうすき女足袋 石川桂郎 含羞
黒足袋の聖處女ミサヘ磯づたひ 下村ひろし 西陲集
黒髪や足袋干す下の梳り 野村喜舟 小石川

以上
by 575fudemakase | 2014-12-19 00:40 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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