懐手

懐手

例句を挙げる。


*えいのごとゆらぎそめたる懐手 藤田湘子
うやうやしき波の列くる懐手 大木あまり 火球
おばさんを姐さんと呼ぶ懐手 岸本尚毅 舜
から駕や梅の中行懐手 高井几董
こんなこと似合はざれども懐手 高澤良一 素抱
その先は言はずに夫の懐手 西村博子
その肩の無頼のかげや懐手 田澤二郎
としごろの娘の懐手冬紅葉 後藤夜半
どう見ても子供なりけり懐手 岸本尚毅(1961-)
ふところ手こころ見られしごとほどく 中村汀女
ふところ手してふところになに持つや 島村茂雄
ふところ手してみるかぎり家も箱 五十嵐研三
ふところ手してみる限り家も箱 五十嵐研三
ふところ手してゐるわれを何と見る 下村梅子
ふところ手して何食はぬ貌のユダ 成瀬桜桃子 風色
ふところ手して手の遊ぶたのしさに 皆吉爽雨
ふところ手ユダ何食はぬ貌をせり 成瀬櫻桃子 風色
ふところ手入日の赤さきはまれり 川上梨星
ふところ手祝儀の額を顎でいふ 杉本寛
ふところ手縞の財布が混沌と 加藤郁乎
ふところ手背をへらへらと振りゆけり 野村喜舟
ふところ手若き日の虚子ちらと見し 河野静雲
ふところ手袖といふものありにけり 吉田鴻司
ふところ手解くやすなはち糶り落す 金子 潮
ふところ手頭を刈つて来たばかり 久保田万太郎
ほうかぶりして懐手して暦売 曲室
ほどほどが生きざまといふ懐手 吉田光江
またすこし酔へば懐手もさびし 仙田洋子 橋のあなたに
ままごとのわらべのしたる懐手 飴山實 『花浴び』
もの言わぬ影がもの言う懐手 秋山しぐれ
ゆつくりと軍鶏に近づく懐手 土肥あき子
わが胸の乳は遠山ふところ手 赤松[ケイ]子
われにまだ五欲うすうす懐手 町田しげき
ゴヤの妄わたくしの妄懐手 鈴木照江
ベンチに居昃るときの懐手 高濱年尾 年尾句集
並べたる鮪の中の懐手 綾部仁喜 寒木
中庸を佳しと心得懐手 柴田奈美
乳いじる癖の女や懐手 高浜虚子
人揉まぬ一日を寒くふところ手 佐藤母杖 『一管の笛』
何もなき沖を見つめて懐手 鈴木貴水
何気なくやつてしまひし懐手 渡辺ひろ乃
八つ口ヘ吹きこむ風や懐手 加藤三七子
初春や思ふ事なき懐手 紅葉
初鳩や創口かばふ懐手 吉田鴻司
刺客待つゆとりのごとし懐手 吉田未灰
医のわざと無縁となりし懐手 小坂蛍泉
医通ひの片ふところ手半夏雨 大野林火
去年よりも自愛濃くなる懐手 能村登四郎(1911-2002)
友はみな征けりとおもふ懐手 高柳重信(1923-83)
取り敢へず与り聞くや懐手 柴田奈美
口癖の勇退もせず懐手 斉木永久
右手は勇左手は仁や懐手 高浜虚子
呼び交いて荒磯の子らの懐手 鈴木六林男 第三突堤
哲学の道さかのぼる懐手 宮原茂雄
商ひの底のつきたる懐手 細谷竹雨
問ふ人も答える人も懐手 水沢源治
噂なすうしろにのそと懐手 岡本圭岳
墨磨りて正座の長き懐手 小原紫光 『めくら縞』
夕顔やひとりながむる懐手 井上井月
奥に手のあるとも見えぬ懐手 神崎忠
女菩薩とまがふ妻居て懐手 吉田未灰
妹恋ひに似て懐手してゐたり 清水基吉 寒蕭々
子の負くる喧嘩見てをり懐手 黒坂紫陽子
子規虚子と呼び捨てにして懐手 西條泰弘
富士山に雲ひとつなき懐手 黛まどか
寒椿つひに一日の懐手 石田波郷
寒牡丹ふところ手して大き影 阿部みどり女
寒菊や顔も洗はず懐手 京僧-通達 俳諧撰集「藤の実」
対岸の浮子に眼がゆく懐手 加藤憲曠
山の子は山の入日に懐手 福田蓼汀 山火
師の句評聞きいる患者ふところ手 西形佐太郎 『てんご』
年寄りて気力失せたる懐手 吉良比呂武
年越すに力は要らず懐手 鈴木鷹夫 千年
序破急の急の齢や懐手 北見さとる
影法師の吾があはれや懐手 高浜虚子
恋愛詩ふところ手して口ずさむ 仙田洋子 橋のあなたに
憂愁をときには見する懐手 山口孝枝
懐手あたまを刈つて来たばかり 久保田万太郎
懐手いちいち憎きことを言ふ 西山誠
懐手この蓬髪に悔なきか 高柳重信
懐手してふところになにもなし 青柳志解樹
懐手してふところに何もなし 栗原米作
懐手してゐる山もありにけり 丘本風彦
懐手してをり親父らしくをり 馬場白州
懐手して万象に耳目かな 松本たかし
懐手して上段に瀧の音 古舘曹人 砂の音
懐手して人込にもまれをり 高浜虚子
懐手して俳諧の徒輩たり 高浜虚子
懐手して僧歩きをり暮の町 高橋淡路女 梶の葉
懐手して出て曲らねばならぬ 加倉井秋を 午後の窓
懐手して半生を省みる 千石比呂志
懐手して宰相の器たり 高浜虚子
懐手して石ける子見てゐる子 羽生敏子
懐手して論難に對しをり 高浜虚子
懐手して躓きぬ老あはれ 川端茅舎
懐手して身の老いに抗しけり 石原八束
懐手して退屈の腹を掻く 野本思愁
懐手して鍛冶の火を見る子かな 上野泰 佐介
懐手して雑踏を逆らへる 浜田和子
懐手して駅柵に母待つ子 柴田白葉女 遠い橋
懐手して鶴番の大男 染谷秀雄
懐手すぐぬくもるや疲れたり 野澤節子 黄 瀬
懐手するよりほかに用なき手 田中暖流
懐手する手の無くて大欅 高澤良一 ねずみのこまくら
懐手すれば日向のあらはるる 清水径子
懐手ときし拳が樹に当る 鈴木鷹夫 風の祭
懐手むしろ艶なり女佇つ 田村無径
懐手わが体温の中にあり 藤森荘吉
懐手トロ箱の魚足で買ふ 粕谷弘子
懐手三日の客の波郷かな 桐生あきこ
懐手人に見られて歩き出す 香西照雄 対話
懐手俳諧無頼通しけり 深見けん二 日月
懐手嘘もほんとも聞き流し 杉本零
懐手坂一枚に突き当る 柏原眠雨
懐手墓一せいにこちら向く 河合照子
懐手大空に解き大欠伸 山田雲洞
懐手子らの言ひ分終るまで 永井たえこ
懐手故郷の町も久しぶり 福田蓼汀 山火
懐手東尋坊の崖に立つ 森永美保
懐手橙の実の一つかな 長谷川櫂 古志
懐手水かきありと言つてみよ 平井照敏
懐手海鴎擾乱の中にあり 古舘曹人 樹下石上
懐手無為責められる謂れなし 伊達 天
懐手犬と月とに触りけり 攝津幸彦
懐手病みしところに掌を置きて 堀内蛙子
懐手病みたる鶸のぬくもりて 清田寿一
懐手聖書をおほひなる詩とし 西島麦南
懐手解いて何かを言ひ出す気 瓦玉山
懐手解いて古文書繙けり 神子島 強
懐手解いて窯主火色読む 岸川鼓蟲子
懐手解かぬは御空広きゆゑ 斎藤玄
懐手解きてふたたび懐手 水野柿葉
懐手解くべし海は真青なり 大牧広
懐手解けば鯛焼の香なりけり 水原秋櫻子
手相見の自信ありげの懐手 辻 青歩
捨てがたき一句思案の懐手 津吉百合子
掌中に思惑のあり懐手 山田孝浩
敷島の似合ひし父の懐手 今泉貞鳳
新聞配達今了りたる懐手 香西照雄 対話
日本の夜霧の中の懐手 高柳重信(1923-83)
日脚伸ぶ懐手して山を見る 田中冬二 麦ほこり
昂然と今無為ならぬ懐手 林翔 和紙
春月や室生寺の僧ふところ手 高野素十
春焼の鐘打ちに出るふところ手 角川春樹 夢殿
春風や大江戸に入る懐手 会津八一
昨夕に似て昨夕より深き懐手 斎藤玄 雁道
晴富士の器量に対す懐手 上田五千石
朝霜やちょぼに勝ちたる懐手 泉鏡花
木曾の子等懐手して遊びゐる 松藤夏山 夏山句集
東山三十六峰懐手 西野文代
柩担ぐ男片手を懐手 香西照雄 対話
根っからの空想好きの懐手 上田日差子
根つからの空想好きの懐手 上田日差子
椋鳥逃げず映画へ急ぐ懐手 田川飛旅子
気儘な日続く職なき懐手 芦沢一醒 『花枇杷』
水鳥やマントの中のふところ手 原石鼎
決断の十指の力懐手 岩橋 勲
決断をしてしばらくの懐手 福永耕二
沖暮れて何握りゐる懐手 増成栗人
洋みはり佇つ龍馬像懐手 深田八重子
浮世絵の女もすなる懐手 田畑美穂女
渦疾し見るとなく佇つ懐手 原田種茅 径
湯もらひにゆく父と子の懐手 千代田葛彦 旅人木
漁止めの海を見てゐる懐手 宮田蕪春
火防凧買はんと解きし懐手 町田しげき
父の座の弱くなりたる懐手 守谷順子
父の忌の海見て暮るる懐手 古賀まり子 緑の野以後
牛乗せし貨物見送る懐手 宮坂静生 青胡桃
玄関の人声に出て懐手 高浜年尾
畑売りて早起き癖の懐手 白岩てい子
盤面に鋭きまなこ懐手 石山民谷
眼光の内にあるもの懐手 栗田日出子
知りすぎしことのさみしき懐手 西川 五郎
石愛し過去を語らぬ懐手 千賀静子 『種壷』
空想が深み深みへ懐手 能村研三
空手胼胝火種の如しふところ手 赤松[ケイ]子
竜馬像迷めくままの懐手 谷萩扇次
競馬見る終に懐手を解かず 西村和子 かりそめならず
竹林に呼びとめられし懐手 攝津幸彦 鹿々集
笹鳴や大望の身の懐手 佐々木有風
納得のあとも解かずに懐手 田中政子
置きてきぬ懐手して佇つ父を 山上カヨ子 『魚と遊びし』
考への何時としもなく懐手 輪湖琴女
聞き役に徹して深き懐手 宮内キヨミ
自我を捨て従ふ余生懐手 蟹江かね子
花街を通り抜けゆく懐手 安達トミ子
英霊車去りたる街に懐手 石田波郷(1913-69)
荒波を見つめ海女等の懐手 沖崎玻瑠子
藪入や小銭かそふる懐手 藪入 正岡子規
襟に笛差して氏子の懐手 清水弓月
解けば子のものなり父の懐手 鷹羽狩行 遠岸
買物の妻にしたがひ懐手 上村占魚 球磨
踏青や風に向ひて懐手 吉武月二郎句集
身を鎧ふすべなき老いの懐手 原田和子
道よぎるほろほろ鳥の懐手 堀口星眠 樹の雫
達磨売だるまの中の懐手 渡辺菊江
遠き眸をして懐手わすれをり 仙田洋子 橋のあなたに
遠濤のさえざえとある懐手 鷲谷七菜子 花寂び
選句地獄のただなかに懐手 鷹羽狩行(1930-)
野火の裾片ふところ手して通る 西本一都 景色
難民の子の目に耐へず懐手 神郡 貢
雪の上に懐手して集まれる 高野素十
風狂のひとと見らるる懐手 加藤三七子
飛火野の鹿に蹤きゆく懐手 水野朱堂
騙されてやるも度量や懐手 柴田奈美
鴨見つつ男に近きふところ手 山田みづえ
龍馬思へば海舟の懐手 橋本榮治


以上


by 575fudemakase | 2014-12-12 00:47 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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