例句を挙げる。

おのれ然も僻地教師か胼薬 木村蕪城 寒泉
さかなやは胼をきらしてひがんかな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
さも貞淑さうに両手に胼出来ぬ 岡本 眸
しめやかにあり胼早き妻の夜見るよ 梅林句屑 喜谷六花
なつかしむなり胼の手に夕日あて 村越化石 山國抄
みちのくに棲みたり殖やす顔の胼 児玉 小秋
みとる夫学問の手を胼にして 柴田白葉女
われら胼切らすものわれらわれらの父祖 林原耒井 蜩
バイブルの天はくれなゐ胼の手に 山口青邨
ピアニスト黄金の手に胼薬 小島左京
下男下女胼皹を話し居る 岡村三鼠
亡骸の胼の手さすりをりにけり 長谷川竹籠
仏手柑に擬(なぞ)らふわが掌胼もなし 山田みづえ 草譜以後
修道女のその胼の手を吾が見たり 竹下しづの女 [はやて]
傷つきつ紡ぎつ癒えゆく十指の胼 井上順子
出代や貝殻捨つる胼薬 水野柿園
勤行に腕の胼やうす衣 炭 太祇 太祇句選
古胼やひとり琴ひく松のひま 及川貞 榧の實
吾子の作文妻の胼の手かなしめり 伊東宏晃
塾帰り小さき胼の手さすりやる 玉澤淑子
夜はひそと胼をいたはり勤め妻 皆川白陀
大き手の母の手死して胼癒ゆる 黒木 夜雨
夫とわれ胼児較べてわれ勝てり 山口波津女
夫の手とわが胼の手と触るとき 山口波津女 良人
妻の手に託すたつきよ胼薬 小林康治 玄霜
妻の手のいつもわが邊に胼きれて 日野草城
妻の胼偸む夕刊ひろげては 皆川白陀
妻の胼我が胼子等は育ちつゝ 西山胡鬼
婢になくてはならぬ胼薬 細江大寒
子は明眸母は胼の手かなしまじ 柴田白葉女 遠い橋
左手の法則に塗る胼薬 日原傳
帰郷女工ら胼の手叩き合唱す 羽部洞然
年寄のうなじの胼のいたはしや 河野静雲 閻魔
年越や鏡の前の胼ぐすり 皆川白陀
我が掌の子の胼の手ざらざら 梅林句屑 喜谷六花
手の胼の癒ゆる間もなし牛を飼ふ 手塚すすむ
手の胼の自慢をし合ふ丁稚かな 蘇山人俳句集 羅蘇山人
抽斗の古き匂ひや胼薬 小杉余子 余子句選
晩婚の妻子の胼をいたみけり 西島麦南 人音
暗がりに胼薬塗る母を見し 鷹羽狩行
朝市の胼の手に編む布草履 中田勘一
榾明り読み耽ける胼手こはゞりぬ 金尾梅の門 古志の歌
正月や胼いたましき采女達 高井几董
正月や胼の手洗ふねもごろに 杉田久女
湯に入るや胼の手足を天ンに哭き 尾崎迷堂 孤輪
煮こぼれし乳さへ胼にぬりて婢よ 皆吉爽雨
爪つんでやる子の胼早い 梅林句屑 喜谷六花
田の胼に風しむ夜なり一茶の忌 伊藤三十四
皹の胼の薬も問はれけり 谷口雲崖
空風にかなしき胼のきれにけり 阿部みどり女 笹鳴
筍を洗ひ入日に胼の手をかざす 竹中九十九樹
箒編む枠木の下の胼ぐすり 西本一都 景色
絹糸をあつかふ故に胼手入 中西蘖
綿雲のぽつかり浮かぶ胼薬 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
肩をもむ妻の胼の手頬にふれ 八木絵馬
胼かなしからず愛する夫あれば 山口波津女 良人
胼かなしからず雑巾かたくしぼる 吉野義子
胼かなし親なき後のこと思ふ 高濱年尾 年尾句集
胼ぐすり素顔にもどる珠の刻 白澤よし子
胼ぐすり胼がよろこびさゝやける 河野静雲 閻魔
胼ぐすり雨の来し夜はなほざりに 奥田とみ子
胼しるき修道女の指聖書くる 大木かず子
胼すこし幸せに似てすぐ消えぬ きくちつねこ
胼の妻人を疑ふこと知らず 渡部桜
胼の妻銀婚式のことをいふ 橋本鶏二
胼の娘の頬すこやかにほてりけり 西島麦南 人音
胼の手と美しき手と同期生 北野里波亭
胼の手にさやる他人の白無垢ぞ 久米正雄 返り花
胼の手にとりたる筆と思ひ読む 高濱年尾 年尾句集
胼の手に文庫ワシレエフスカヤの「虹」 佐藤鬼房
胼の手に暦売るより外なきか 神山杏雨
胼の手に梁塵秘抄薄かりき 丸山南石
胼の手に水買ふ銭をわたしけり 石原舟月 山鵲
胼の手に祝賀の指輪贈らるゝ 塩田育代
胼の手に落つる涙をぢつと見る 高濱年尾 年尾句集
胼の手に託すや遺書を信濃路へ 加藤秋邨 火の記憶
胼の手に飲みこぼす乳のながれけり 松澤鍬江
胼の手の其の洗ふ俎板といづれ 尾崎紅葉
胼の手の己れいたはる指輪買ふ 相馬沙緻
胼の手も交りて歌留多賑はへり 杉田久女
胼の手や暖められつうき涙 野村喜舟 小石川
胼の手をあはせて拝むほとけかな 橋本鶏二 年輪
胼の手をこすりつ三子得て貧す 猿橋統流子
胼の手を比べどの子が又三郎 小室善弘
胼の手を病人に詫び足さする 鈴木早通甲
胼の手を皹の足を己かな 尾崎迷堂 孤輪
胼の手を盗み見られつ話し居り 松本たかし
胼の手を真わたに恥る女かな 高井几董
胼の手を見せてしかとは伸びぬなり 皆吉爽雨
胼の手を銀婚式の膝の上 伏見一路
胼の血を授乳の母に見せにくる 川島彷徨子 榛の木
胼の頬を相寄せたりし母子かな 高浜虚子
胼の頬泣きぬるゝ子の親はわれ 西島麦南 人音
胼ふえてますます光る指輪かな 竹下しづの女 [はやて]
胼も癒ゆ滞空ながき谿の鳶 友岡子郷 遠方
胼切れし妻の両手にみとらるる 佐々木太刀男
胼割れの指に孤独の血が滲む 三橋鷹女
胼妻にお講の鉦や誘ひ打つ 皆川白陀
胼痒し鉛筆をもて掻くことも 木村蕪城 一位
胼皹以下に百効百草湯 大石悦子 百花
胼薬うぐひす色をしてをりぬ 長棟光山子
胼薬おとして熱き炉灰かな 西島麦南 人音
胼薬しみ入る農書開きけり 清水武を
胼薬つけてすぐ暗い方へゆく 加倉井秋を
胼薬つめし小磯の小貝かな 蛇湖句集 田中蛇湖
胼薬ぬりつゝ明日のつもりごと 岡本無漏子
范叔の涙たるゝや胼の頬 尾崎紅葉
薪割れば血を吹く胼や冬の梅 金尾梅の門 古志の歌
買ひためて信濃の子等へ胼薬 加藤楸邨
身の冬の胼あかぎれの薬かな 久保田万太郎
軽石をあてゝ痛しや胼踵 粟津福子
退学の用紙を胼の手に渡す 羽部洞然
金火箸焼きし父亡し胼薬 森 淑子
針寒うして燈下に胼を吸ふ音す 尾崎紅葉
鉄火鉢胼なき我手伸べがえし 原田種茅
銭掴み胼の手最終レース終る 杉本寛
長病むや夫の手の胼見てしまふ 小林紀代子
閨の内手鍋の胼をかくしけり 尾崎紅葉
陶匠の胼塗りつぶす陶の土 品川鈴子
雪の山遥かに胼を佗ぶ日南 青峰集 島田青峰
面影もおぼろに母の胼ぐすり 荒木 梢
飯もりの樽ひろふ子の胼を泣く 蘇山人俳句集 羅蘇山人
髪ひとすぢからまる貝の胼薬 横山万兆
そとかくす皸の手を見のがさじ 臼田亜浪
ほてる皸眠らんと手をゆるくひらき 安藤正一
匙落ちし音皸にひびきけり 百合山羽公
太郎冠者皸しるき手ぞ大き 三宅句生
煙あげて皸薬貝の中 今村野蒜
皸といふいたさうな言葉かな 富安風生
皸に糸のくい入る夜機かな 村松かず枝
皸のてのひら見せて嗤はるゝ 久保田十水
皸のところにばかり物あたる 藤原風驚子
皸のなき手を見せて陶土練る 稲畑汀子
皸の娘のほてる手に触はられぬ 飯田蛇笏
皸の小さき手もて歌を抱き 石原八束 空の渚
皸の手入れがすめば寝るばかり 児玉葭生
皸の脈打ちてぞ夜をさいなめる 藤田光子
皸へ筑波土産のがま膏 岡野寛人
皸や棕櫚縄太う車井戸 東洋城千句
皸をかくして母の夜伽かな 一茶
あかぎれをかくそうべしや今年妻 前田普羅
あかぎれをきらしたる手やおもひもの 久保田万太郎 流寓抄
あかぎれ膏貝詰なるがたのもしき 水原秋桜子
あかがりをいざ灸せばや苅干火 広瀬惟然

以上
by 575fudemakase | 2015-01-22 00:42 | 冬の季語 | Trackback | Comments(1)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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