吹雪

吹雪

例句を挙げる。

あす晴るるための地吹雪アイヌ村(コタン) 宮坂静生
あの島に住む人ありて吹雪哉 寺田寅彦
いづ辺より鶴の浮世ぞ吹雪き浚ふ 齋藤玄 『無畔』
いまのまにやみし吹雪や蜆汁 龍岡晋
うしろより人声のして吹雪かな 田村了咲
おとろへし吹雪の天に岳は燃ゆ 石橋辰之助 山暦
かまくらの灯さへ奪らむと吹雪くなり 岸風三樓
かまくらも犬の子市も吹雪中 西本一都 景色
きりりしぼりにタオル渡さる朝吹雪く 村越化石
くろかみを枕にのべし吹雪小屋 平畑静塔
くゝたちに見る~積る吹雪かな 前田普羅 能登蒼し
ぐぐぐぐと傾ぐまだまだ吹雪航く 依田明倫
けじめなく吹雪くよ伊吹関ヶ原 下村梅子
この谷の噴湯の吹雪く夜を思ふ 大橋敦子 匂 玉
これ以上待てぬ吹雪に彼現れ来 高橋笛美
さらさらと地吹雪あそぶ殉難碑 伊藤霜楓
しののめの吹雪やみたる手鞠唄 間石
しまひ橇して大吹雪また来る 二唐空々
すでに方船発てり吹雪いて見えざれど 折笠美秋 君なら蝶に
たちまちに海鵜の礁の吹雪かすむ 河野多希女 こころの鷹
たましひの繭となるまで吹雪きけり 齋藤玄 『雁道』
つめたさも忘れてすがる吹雪かな 阿部みどり女
てのひらを淵とし螢吹雪かな 齋藤愼爾
とむらひも吹雪もあなたには娯楽 櫂未知子 貴族
ひるからの雲仙吹雪初閻魔 小原菁々子
まどさきの枝しづかなる吹雪かな 金尾梅の門 古志の歌
まな裏に龍骨棲むや吹雪行 河野多希女 こころの鷹
やちまたの吹雪を言ふ子夜の紅茶 及川貞 夕焼
やよ笠を千鳥にかせや磯吹雪 中勘助
わが汗乏し同齢宗吾の吹雪路に 香西照雄 対話
サーカスの火の輪にいつもある吹雪 対馬康子 愛国
トンネルをぬけて吹雪の闇に入る 林 照江
一扉一扉を吹雪たたけどみな寝ており 細谷源二 砂金帯
七生七たび君を娶らん 吹雪くとも 折笠美秋 君なら蝶に
三人の子あるひは似たり夜の吹雪 相馬遷子 山国
乳しぼり捨てゝ吹雪となりゐたり(淀橋病院にて三句) 『定本石橋秀野句文集』
乾鮭に吹雪の夕日あたりけり 名和三幹竹
二三日は佐渡へ汽船絶え吹雪かな 松根東洋城
二重窓開けて吹雪に灰捨つる 畠中じゆん
人と馬とかたまつて行く吹雪かな 福原雨六
人間に家ありて外吹雪をり 嶋田摩耶子
今日も暮るる吹雪の底の大日輪 臼田亞浪(1879-1951)
何か呼ぶ吹雪の奥へ帰りたし 橋石 和栲
元日の礼者絶えたる吹雪かな 今成無事庵
元日は大吹雪とや潔し 高野素十(1893-1976)
兎の耳吹雪を笛と聞くことも 新谷ひろし
八方の嶺吹雪きをり成人祭 福田甲子雄
初荷馬浅間吹雪に逸るなり 渡辺湖
初鴉吹雪うすれに続くなり 西本一都
十万の海猫吹雪き舞ふ天売崖(天売島にて) 石原八束 『藍微塵』
午後の教室より見て吹雪つのるらし 藤岡筑邨
南部富士地吹雪寄する中に聳つ 高橋青湖
叫ぶものに皆いのちある吹雪哉 石井露月
右舷照り左舷吹雪けり日本海 毛塚静枝
合鍵で遠い吹雪の扉を開ける 対馬康子 吾亦紅
吹雪(ふき)と来て子に金剛の瞳が二つ 橘川まもる
吹雪いま浅間をつゝみ高照る日 佐野青陽人 天の川
吹雪かれて思ひしなぜか火吹竹 金箱戈止夫
吹雪きつゝ歩廊の時計みな灯る 中島斌雄
吹雪きて日はゆれながら消えにけり 上村占魚 球磨
吹雪きゐる四万の天より初烏 宮崎三木
吹雪くなか遠山襞の雪白し 鈴木貞雄
吹雪くよう雷鳥の胸の斑ら 田口満代子
吹雪くる夜を禅寺に納豆打ツ 正岡子規
吹雪くわが日のいのち一つや煙草は二本 高柳重信
吹雪く中けぶるけぶらぬみな稲架木 鷲谷七菜子 雨 月
吹雪く中に嶺はも現はれ神かとも 高田蝶衣
吹雪く中北の呼ぶ声汽車走る 西東三鬼
吹雪く中浪現はれてくだけけり 徳永山冬子
吹雪く中衝きあたりたる友の家 永田耕一郎 氷紋
吹雪く声石咽ぶ声荒れ磧 林翔 和紙
吹雪く夜の一束の藁持ちにでる 福田甲子雄
吹雪く夜の半身すでに雪をんな 中村苑子
吹雪く夜の大黒柱鏡なす 岩崎聖冷子
吹雪く夜の我家の神やお燈明 碧雲居句集 大谷碧雲居
吹雪く夜の橋思はれてしばし寝ねず 長谷川櫂(1954-)
吹雪く夜の牛に声かけ牛舎閉づ 西村梛子
吹雪く夜の雷鳥小屋の灯に啼くか 石橋辰之助 山暦
吹雪く夜は十二支土鈴寄りあへり 下田稔
吹雪く夜は小窓覗くと雪女 国井月皎
吹雪く夜は座敷童子と酒酌す 佐川広治
吹雪く夜は父が壊れてゆくやうで 櫂未知子(1960-)
吹雪く夜は獣めくかに耳聰き 山田弘子
吹雪く夜は誰かがアンナカレーニナ 落合水尾
吹雪く夜もオーロラの夜も旅寝せる 伊藤柏翠
吹雪く夜や懐紙に魚の隠し捨て 石川桂郎 高蘆
吹雪く夜や甦るもの過去ばかり 鈴木真砂女 夕螢
吹雪く夜を駆ける南部の蒼き馬 佐川広治
吹雪く底どこまでもさざなみ正し 佐野良太 樫
吹雪く戸に着きし安堵や顔を上ぐ 高浜年尾
吹雪く戸に著きし安堵や顔を上ぐ 高濱年尾 年尾句集
吹雪く戸のくらくトンネル煌々たり 石橋辰之助 山暦
吹雪く扉の銅鑼の音聞きたがへざれ 林原耒井 蜩
吹雪く町門付三味線剥げるまで 高澤良一 燕音 
吹雪く窓よぎる針金ゆれどほし 高濱年尾 年尾句集
吹雪く車輌征人窓に扉に溢れ 竹下しづの女句文集 昭和十四年
吹雪く野に僧ともやひの橇を駆り 高濱年尾 年尾句集
吹雪く闇除雪夫の灯の泳ぐ見ゆ 石橋辰之助 山暦
吹雪けども今宵満月の空明り 佐野良太 樫
吹雪けども岩攀づのみにたかぶれる 石橋辰之助 山暦
吹雪して輓馬湯気たついとおしき 渋谷道
吹雪すや國師の遷化へ来ぬ 南浪句集 南南浪句集、渡辺水巴編
吹雪つつ日輪うすくめぐりくる 椎橋清翠
吹雪つよし友は岩場で星を感じ 大井雅人 龍岡村
吹雪ても吹雪ても北海道の子よ 吉田もりゑ
吹雪とは鷹の名なりし放ちけり 勝又一透
吹雪に蓋しても荒野続くだけ 櫂未知子 貴族
吹雪ねむり夜の餅ねむり思慕の刻 寺田京子 日の鷹
吹雪の中戻りしためによき一言妻より生る 橋本夢道 無礼なる妻
吹雪の中車掌の声がきて美し 秋元不死男
吹雪の爐あをくか細き干もの焼く 篠田悌二郎
吹雪まつしろわら塚の同じ傾き 伊藤敬子
吹雪中オロチヨンは背をかがめゆく 田村了咲
吹雪中呼べどこだまもこたへせず 長谷川素逝
吹雪中忍路の方へ橇の点 藤田湘子 雲の流域
吹雪中貌ちかぢかと罵られ 細川加賀
吹雪倒れは立木のことと思ひきし 平井照敏 天上大風
吹雪冴えして岩壁の福寿草 加藤知世子
吹雪如月義弟・毬栗倫理学 高柳重信
吹雪晴れ庭木に触りて鴎とぶ 金尾梅の門 古志の歌
吹雪晴れ碧紺すゝむ雲の照り 金尾梅の門 古志の歌
吹雪来し岩に眼つむりうれひなし(穂高行二句) 石橋辰之助
吹雪来て眼路なる岩のかきけさる 石橋辰之助 山暦
吹雪来ぬ目鼻も分かず小商人 前田普羅 飛騨紬
吹雪来れば早薄き物の色かたち 高濱年尾 年尾句集
吹雪止み真夜月明の聖牧舎 岡田日郎
吹雪河野鼠のむくろを波が打つ 鳥居おさむ
吹雪濃し荒瀬のひゞき遠ざかる 前田普羅 飛騨紬
吹雪耐ふ夕木はすべて人ならず 細谷源二 砂金帯
吹雪荒れ地の雪けむりつぎて立つ 石橋辰之助 山暦
吹雪衝く橇に面を伏せもして 高濱年尾 年尾句集
吹雪飛ぶ雀の健気おもはるる 中田剛 珠樹以後
咳く我を包みし吹雪海へ行く 野見山朱鳥
喝采に代へて吹雪の摩天楼 櫂未知子 貴族
地の吹雪腹かさかさとすいて来る 鈴木八駛郎
地中海へ愛は埋めよ吹雪の夜 嶋田麻紀
地吹雪がしんと集まる壜の底 大下真利子
地吹雪が北の斜面を責めやまず 能村研三 騎士
地吹雪が消して見知らぬ街となる 高橋笛美
地吹雪と別に星空ありにけり 稲畑汀子(1931-)
地吹雪と行くほのぼのと馬の臀 橘川まもる
地吹雪にこの身が今に飛ばされん 三好潤子
地吹雪にゆさぶられをり夜の帷 伊藤彩雪
地吹雪に出口もあらず狐塚 古舘曹人 樹下石上
地吹雪に捲かれてすがる燈台碑 伊東宏晃
地吹雪に消えて早池峯とどろけり 古舘曹人 樹下石上
地吹雪に消え現れて先ゆく蓑 福田甲子雄
地吹雪のなか身ひとつの寧きかな 澁谷道
地吹雪のやがて遠のく三番叟 黒田杏子 一木一草
地吹雪のやがて鳴りだす寺障子 古舘曹人 樹下石上
地吹雪のやめば山星近かりき 志津天児
地吹雪の先には誇り高き海 櫂未知子 貴族
地吹雪の千石平星咲き出す 伊藤いと子
地吹雪の塞ぐ一路の風の岬 円谷よし子
地吹雪の夜の涯より橇の鈴 佐藤国夫
地吹雪の果に池あり紅鱒あり 西東三鬼
地吹雪の沸騰湖の日をかくす 堀口星眠 営巣期
地吹雪の渦うまれつつ大沼暮るる 小林 碧郎
地吹雪の渦巻く芯に村一つ 相馬沙緻
地吹雪の空あをあをとありにけり 杉山霄子
地吹雪の道あらはれて来るを待つ 永田耕一郎 方途
地吹雪の野を抜けきって夕日あり 奥田智久
地吹雪の高流れして伊賀暗し 橋本鶏二
地吹雪やさきのさきまで姥捨野 小原啄葉
地吹雪やひととへだつる村また町 八幡城太郎
地吹雪や五歩離りし顔遥かなる 斎藤玄
地吹雪や叩き鳴らして津軽三味 中岡毅雄
地吹雪や柱のきしむおしら神 小原啄葉
地吹雪や沖の一縷を目にとどめ 金箱戈止夫
地吹雪や灯台守の厚眼鏡 加藤憲曠
地吹雪や牛飼住める茅のはて 堀口星眠 営巣期
地吹雪や王国はわが胸の中に 佐藤鬼房(1919-2002)
地吹雪や遠野に増ゆる天の音 斉藤夏風
地吹雪を木曽の尻振列車かな 後藤綾子
垰(たわ)一つ吹雪かせ沈む街二つ 金箱戈止夫
外は吹雪の継の四隅に待針さす 川口重美
夜に入りて極地の吹雪らしくなる 伊藤柏翠
夜の吹雪をさまる気配なき宿に 松尾緑富
夜の吹雪吾子のわが家に近づきし 佐野良太 樫
夜枕に雁のとびかう吹雪かな 杉田桂
大吹雪夜食する燈は太陽ぞ 渡辺水巴 白日
大吹雪鴉を土にたたきつけ 橋本鶏二 年輪
大誓願の誦経つゞきぬ吹雪く夜の 横山白虹
天の原初富士の吹雪ながれやまず 渡邊水巴 富士
天辺のやや吹雪きゐる厠窓 橋本榮治 越在
妻いつもわれに幼し吹雪く夜も 京極紀陽
子泣くらむ妻待つらむと吹雪衝き 成瀬正とし 星月夜
子等の絵に真赤な太陽吹雪の街 金子兜太
定刻に届く郵便吹雪く日も 高橋笛美
家々は頻りに灯る吹雪くとも 中田剛 珠樹以後
家裏をつなぎ犀川吹雪けり 井上雪
宿かせと刀投出す吹雪哉 與謝蕪村
宿とりて山路の吹雪覗けり 炭 太祇 太祇句選
寒くとも吹雪ともわが街が好き 高橋笛美
寶恵籠の梅にまことの吹雪かな 松瀬青々
対岸の見えぬ吹雪に渡船出る 小島梅雨
小豆煮るにほひ吹雪に襲はれつ 殿村莵絲子 牡 丹
山中の吹雪抜けきし小鳥の目 福田甲子雄
山寺の仁王たぢろぐ吹雪かな 幸田露伴 谷中集
山梔子や吹雪とこもる一顆あり 『定本石橋秀野句文集』
川甚や吹雪の庭に雪掻ける 阿部みどり女 笹鳴
帰りゆく吹雪の信夫山めざし 福田甲子雄
帰ること決まれば吹雪さへ名残 吉村ひさ志
帰寮の子吹雪の海峡越えたるや 福田甲子雄
干菜一聯吹きとばしたる吹雪かな 西山泊雲 泊雲句集
怖しや吹雪倒れの谷はこゝ 池内たけし
思ほへば吹雪に暮るゝ父子墓 高橋睦郎 金澤百句
恋文を吹雪の穴へ投函す 照井翠
我を待ちくるる人等よ吹雪行く 高橋笛美
戸あくれば吹雪面に鬼は外 岡野知十
戻る人待つ吹雪く戸に耳澄ませ 森田愛子
捧鼻より三里と答ふ吹雪哉 夏目漱石 明治三十二年
掌の上に豆腐吹雪はやまぬのか 吉野義子
掌の椿のこり吹雪にわれ消ゆる 野見山朱鳥
摩天樓吹雪にかくれニューヨーク 保田白帆子
料亭を出て夜の吹雪頬にあらく 高濱年尾 年尾句集
旅人を飛白にしたる吹雪かな 杉本雷造
旅者の吹雪倒れを堀りに行く 松瀬青々
日の射して地吹雪の奥輝けり 柏原眠雨
日輪のあはれなづまぬ吹雪かな 石橋辰之助 山暦
明日は吹雪かんと天上蒼ざめたり 折笠美秋 君なら蝶に
星ちらほら見えてこやみし吹雪かな 西山泊雲 泊雲句集
更くるとき吹雪に紛れ帰りけり 水田清子
最北のバス地吹雪に呑まれゆく 小笠原弘順
月蝕の満つるを待たず吹雪きけり 吉野トシ子
本郷は切通し上吹雪かな 久保田万太郎 草の丈
東京の暮しに帰る子に吹雪く 徳永寒灯
東西南北より吹雪哉 夏目漱石 明治二十八年
松明はまばたき吹雪通りけり 前田普羅 飛騨紬
松風の怒濤の如き吹雪かな 阿部みどり女
枯れしもの黒子となして吹雪きけり 金箱戈止夫
枯蔦や不動に吹雪く瀧の裏 会津八一
棺のうち吹雪いているのかもしれぬ 折笠美秋 虎嘯記
棺桶に合羽掛けたる吹雪かな 村上鬼城
棺負うたままで尿する吹雪かな 眞鍋呉夫
横なぐり友消す吹雪先六尺 石川桂郎 高蘆
橇馬の耳の動きに吹雪泣く 石川桂郎 高蘆
檜山吹雪き天馬羽ばたくばかりなり 大串章
武者窓に蕎麦呼び止めし吹雪かな 会津八一
死神馳す晴れに吹雪いて八ケ岳 小澤實
殺す鶏に吹雪を見せておく 橋本夢道 無礼なる妻
母の櫛使えば吹雪く海が見ゆ 大井恒行
母子見え夜明けのやうに吹雪熄む 成田千空 地霊
比良比叡吹雪そのまま湖に落つ 中西宗徳
決断の時よ吹雪へ踏出せり 高橋笛美
汽車下りて吹雪に紛れ行きにけり 矢野蓬矢
流離とはかく吹雪く野をゆくことか 樋笠文
海へ還る地吹雪晩年泣かぬ母 齋藤愼爾
海吹雪霰先立て来りけり 西本一都 景色
海峡を航く灯の中は吹雪をり 藤田湘子 雲の流域
海猫の顔を小さく吹雪くなり 辻 桃子
海猫舞ふ沖吹雪来る間の光り満つ 小林康治 玄霜
漸くにまた起きあがる吹雪かな 夏目漱石 明治三十二年
炭窯の炎へ吹雪ひしめきぬ 仁村美津夫
烏賊噛めば隠岐や吹雪と暮るゝらん 石橋秀野
焼目刺堅くて吹雪いつやむか 西村公鳳
焼雲の地にうつりつゝ夕吹雪 西山泊雲 泊雲句集
父死後の納屋の裏庭より吹雪く 中拓夫 愛鷹
父母の杞憂はてなく吹雪鳴る 『定本石橋秀野句文集』
牛の角に藁巻きそへよ木曾は吹雪 幸田露伴
犬一匹町も野中の吹雪ざま 成田千空 地霊
犬行くや吹雪の中に尾を立てゝ 前田普羅 飛騨紬
獅子像のまなこ虚ろに街吹雪く 有働亨 汐路
瓦斯燈に吹雪かがやく街を見たり 北原白秋 竹林清興
田居の灯に地吹雪一夜はばたける 佐藤 国夫
町の上に雪嶺澄めり吹雪熄む 相馬遷子 山国
番鶴身じろがざるにひと吹雪 岸田稚魚 筍流し
疾き月の銅色に吹雪かな 西山泊雲 泊雲句集
病枕地吹雪ときに火の音して 寺田京子
白鳥に吹雪の蒼き渦巻けり 西本一都 景色
目ともいはず口ともいはず吹雪哉 夏目漱石 明治三十二年
相宿の女の素顔吹雪くなり 杉本寛
眠るため来し母がりや吹雪せり 細川加賀 『傷痕』
石狩孤村地吹雪の子のはぐれ星 古沢太穂
碑に記すこまごま明治の吹雪倒れ 岡田日郎
禅寺も念仏寺も吹雪きをり 大峯あきら
穂高なる吹雪に死ねよとぞ攀ぢぬ 石橋辰之助 山暦
窓すかし見て吹雪きをり年を守る 三ツ谷謡村
窓の灯に外燈の灯に吹雪見る 高木晴子 晴居
米袋ひらいて吹雪みせてあげる 澁谷道
紙きぬた打つは吹雪を聞かぬため(越前武生) 石原八束 『高野谿』
素人が吹雪の芯へ出てゆくと 櫂未知子 蒙古斑
絶頂の東西南北吹雪くかな 析笠美秋
網走の獄てのひらに吹雪の間 石川桂郎 高蘆
縄綯へば吹雪の雀覗きけり 田中正信
縹渺の頸城・魚沼・蒲原と切なき地名に吹雪とよもす 大滝貞一
老いし水夫吹雪の面を手に拭ふ 加藤楸邨
肉買ひに出て真向に吹雪山 金田咲子
能登人にびよう~として吹雪過ぐ 前田普羅 能登蒼し
脈々といのちぬくとし吹雪行 細木芒角星
船ボーイの櫛かくもしなやか吹雪くる 寺田京子 日の鷹
草鞋とも仁王ともいはぬ吹雪かな 会津八一
荒縄で己が棺負ふ吹雪かな 眞鍋呉夫
華やかな吹雪くる国星条旗 対馬康子 吾亦紅
葬礼の日を吹雪して人耳語す 今成無事庵
葱掘るやしんしん吹雪く遠嶺どち 吉田未灰
蒲原の吹雪の中を巡業す 寿々木米若
蒼天は吹雪のひまに移りをり 有働亨 汐路
蓬莱やふぶきを祝ふ吹雪の句 正岡子規
薄薄と吹雪小止みに山容 上村占魚 球磨
藍関へ二三騎いそぐ吹雪哉 寺田寅彦
蝶吹雪こころは枝の如く在り 河原枇杷男 蝶座
蟹糶る声沖より吹雪段なして 三好潤子
行く我の足うばはんと吹雪くる 上村占魚 球磨
行けば在る吹雪の佐渡や堅枕 池田澄子
視界ゼロ吹雪く山頂無一物 平田青雲
谷水の青々として吹雪かな 高橋馬相 秋山越
豆打てば幻影走る吹雪かな 渡辺水巴 白日
貨車の豚ひしめき過ぐる吹雪かな 高須茂
赤く塗つて馬車新らしき吹雪かな 村上鬼城
身をよぎる螢吹雪といふべしや 渡辺乃梨子
車輌吹雪き軍服床に籍きても寝る 竹下しづの女句文集 昭和十四年
郵袋の吹雪と共に投げ込まれ 今井千鶴子
酔狂の旅をいさむる吹雪かな 幸田露伴
酷寒に死して吹雪に葬らる 相馬遷子 雪嶺
野の吹雪山脈かくしたる抒情 秋澤猛
鎌倉と話す電話や吹雪をり 池内たけし
除雪夫が吹雪を衝いて集り来 高濱年尾 年尾句集
除雪夫に吹雪のひゞき鉄路うつ 石橋辰之助 山暦
除雪夫の吹雪衝く夜の装なりぬ 石橋辰之助 山暦
陸果つるところ尻屋の吹雪かな 新谷ひろし
集まってかたまって黙って吹雪かれて行く 北原良子
雑煮椀吹雪つき来し手に温き 手島 靖一
雪女郎ときに吹雪を起しけり 鈴木真砂女
雪灼けの顔に吹雪のなほひびく 佐野良太 樫
電燈に吹雪明るき池館かな 西山泊雲 泊雲句集
青白き月と見る間に吹雪きけり 佐野良太 樫
革命いつのこと地吹雪に昏れる村 木附沢麦青
音無川の山神鎮めの水垢離に真昼を過ぎて霽れゆく吹雪 梅津英世
頸剃られゐて鏡面の大吹雪 情野小鈴
飾焚く吹雪まじりの焔上げ 村上三良
饒舌に吹雪き寡黙に降る雪よ 稲畑汀子 汀子第二句集
馭者遂に立ちて鞭うつ吹雪かな 加藤蛙水子
鮫の外形吹雪の縞へぶら下る 齋藤玄 『玄』
鯨汁熱き啜るや外吹雪く 大谷繞石
鰤裂きし刃もて吹雪の沖を指す 木内彰志
鱈漁の出初めの吹雪よろこびて 桑田青虎
鶏つるみ吹雪に顔をそむけゝり 前田普羅 飛騨紬
黄土地帯吹雪き銃眼にもふぶく 谷道登志枝
スキー迅し従ひ走る雪煙 大家湖汀
人死にし山月明の雪けむり 高須茂
初夢のなかの高嶺の雪煙り 龍太
吹雪荒れ地の雪けむりつぎて立つ 石橋辰之助 山暦
山と対話雪煙渦をまきて消す 福田蓼汀 秋風挽歌
岩手山雪けむり立つ二日かな 沼澤 石次
月光に落葉松羽摶つ雪けむり 堀口星眠 営巣期
月明や乗鞍岳に雪けむり 石橋辰之助 山暦
湯の少女らに絶壁の雪煙り 飯田龍太
燃ゆる日や青天翔ける雪煙 相馬遷子 山国
猪苗代湖見えずなりつつ田のうえは地主無用の雪煙立つ 田中佳宏
碧天や雪煙たつ弥生富士 水原秋桜子
藪の穂やいまはたしづる雪けむり 西島麦南 人音
裏山に黄泉の使者立つ雪煙り 中村苑子
雪けむり日輪の渦いく重にも 千代田葛彦 旅人木
雪けむり立つ夜の星座鋭く正し 石橋辰之助 山暦
雪けむり立てど北斗はかゝはらず 石橋辰之助 山暦
雪煙が消すD5lとその後尾 石川桂郎 高蘆
雪煙は雪煙を追ひ天に消ゆ 福田蓼汀 秋風挽歌
雪煙りあがる裏富士月夜かな 福田甲子雄
雪煙りして走りしは兎かな 大井戸辿
雪煙りのなかに獣のうしろ脚 桂信子 遠い橋
雪煙る森にしづかに手をつなぐ 仙田洋子 雲は王冠
雪煙岳に孤高のこゝろあり 岡田貞峰
汽車の厚き硝子雪浪かがやかす 西村公鳳
雪浪に濱はせきれい鳴にけり 松瀬青々
杉山にたつ雪げむり枝打か 亀井糸游
爺ケ嶽己れをかくす雪げむり 西本一都
鯉を煮る山のどこかに雪げむり 宇佐美魚目 天地存問
ふぶく夜の想い見の島が流れる 池田澄子
ふぶく夜や蝶の図鑑を枕もと 橋石 和栲
梢の鷲ばさと羽摶ちぬ湖ふぶき 鷲谷七菜子 雨 月
骨太な字が欲しいふぶきに裸木たち 日下部正治
鶏が姉であった日霊場ふぶく 西川徹郎 家族の肖像

以上
by 575fudemakase | 2015-01-27 00:37 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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