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九月

九月

例句を挙げる。

あたふかに九月日和や藪の照り 水魚 九 月 月別句集「韻塞」
いちじくも九月半ばの影つくる 桂信子 黄 炎
うらぶれて釣るや雨夜の九月蚊帳 日野草城
うろくづの影さす潮九月かな 六本和子
きみと会う九月丸太ン棒をわたり 津沢マサ子 楕円の昼
こころのおくの燠がこぼれてくる九月 大西泰世 世紀末の小町
さざなみのからだにおよび沼九月 鳴戸奈菜
さす月もあな冷じの九月蚊帳 高井几董
しんじつは醜男にありて九月来る 三橋鷹女
すれ違ひゆける客車の九月かな 山西雅子
どこまでが九月の風となるいのち 大西泰世 『こいびとになつてくださいますか』
ひとり身の九月草樹は雲に富み 野澤節子 黄 炎
ひやう~と瓢の風も九月哉 一茶 ■文化二年乙丑(四十三歳)
ひろい葉の九月はゆれる首飾り 津沢マサ子 楕円の昼
ほろほろと生きる九月の甘納豆 坪内稔典
また九月一日来る秋の蝉 久保田万太郎 草の丈
まだ何も置かぬ九月の机なり 坂巻純子
ゆく雲や九月榧の実まみどりに 鈴木しげを
よそほはず会ふや九月の風の中 小野恵美子
わけもなくシヨートカットや九月なり 櫂 水尾
アカシアに囁く風も九月とよ 石塚友二 光塵
オリオンを九月の深夜見るかなしさ 相馬遷子 山国
カレンダー一枚鋲に九月来ぬ 石川桂郎 四温
サティ聴く九月画布白きまま 森尻禮子
三夕なりけり七月八月九月はけふ 調鶴 選集「板東太郎」
上著ある暮しに戻り九月かな 奥田智久
九月*かや世を好きつりて果てにけり 飯田蛇笏
九月*かや五更の星の覚めてあり 菅裸馬
九月*かや銭をつつんで返しけり 吉武月二郎句集
九月なほ休む学園法師蝉 岩見静々
九月なり*めくばせをまたうくるごと 岡井省二
九月なり朽木に据えて尻の骨 中島斌雄
九月の地蹠ぴつたり生きて立つ 橋本多佳子
九月の夜水滴落つるごと眠り 和田耕三郎
九月の教室蝉がじーんと別れにくる 穴井 太
九月の森石打ちて火を創るかな 寺山修司 花粉航海
九月はじまる無礼なる電話より 伊藤白潮
九月はや白をさみしきいろとなす 工藤久仁年
九月はや秋の暗さに灯のともる 溝口 博子
九月はや紅葉を流す梓川 鈴鹿野風呂 浜木綿
九月はや運河に人の咳ひびく 榎本冬一郎 眼光
九月ひとに火雲火の翳来て悼む 古沢太穂
九月より春まで花の老椿 伊賀-風麦 俳諧撰集「有磯海」
九月一日ごくと冷めたる渋茶呑む 中拓夫
九月一日十二時の花時計 大石きよ子
九月一日叩きあふ火と水と 松澤昭 面白
九月七日アラスカの雲すでに冬 河野静雲
九月十三日の夜とかやうけ給はりて 芭蕉庵小文庫
九月四日わが裸のうらおもて獄吏のまえ(入獄) 橋本夢道
九月来る灰皿の上に紙燃やし 岡本眸
九月来箸をつかんでまた生きる 橋本多佳子
九月終るキリンの首は空に残り 永田耕一郎 方途
九月蚊屋また頬白に啼かれたり 木津柳芽 白鷺抄
九月蚊帳吊られて一夜波郷が辺に 石塚友二 光塵
九月蚊帳天気はよしと思ひ寝る 大場白水郎
九月蚕は眠り門川やはらかし 平畑静塔
九月蝉椎伐ラバヤト思フカナ 正岡子規
冬衣求むや九月十九日 相生垣瓜人 微茫集
動きだす雲のたちまち九月かな 桜井京子
北極の氷山氷河旅九月 河野静雲
古九谷に九月半ばを散る欅 細見綾子 黄 瀬
吃音のやうに九月の鳥が跳ぶ 柿本多映
城趾に鎖を重らし九月逝く 桂信子 遠い橋
大皿を洗ひて朱き九月かな 平井照敏
女きて女励ます九月の森 寺田京子 日の鷹
妊りて夜を嫌ひて九月了る 石川桂郎 含羞
子規庵にしばし端座も九月かな 村上谿聲
定型が滅ぶとすれば九月かな 筑紫磐井 花鳥諷詠
寝台の風樹も九月蚤の市 小池文子 巴里蕭条
山の蛾がふらす銀粉九月果つ 桂信子 花寂び 以後
川えびの身の透きとほる九月かな 大嶽青児
広々とありし九月の木蔭かな 播磨 てるみ
廃船に日ざしまぶしく九月果つ 杉本苑子
心引締めてはじまる九月かな 安原葉
念仏坂越えて水ゆく九月かな 保坂敏子
旅九月麦取上げの英と仏 河野静雲
暁の寝姿さむし九月蚊帳 暁台
朝顔のべたべた咲ける九月かな 長谷川かな女
木の上に人がゐさうな九月なる 金田咲子 全身 以後
木草にも九月のたゆさあるべきか 相生垣瓜人 微茫集
杖の身を風が出迎ふ九月かな 村越化石
松の幹みな傾きて九月かな 桂信子 黄 瀬
椋の木の蔭の明るき九月来る 西村和子 かりそめならず
橋立の松籟を聴く九月かな 斎藤朗笛
母胎にて見しは九月の甲斐駒か 加藤楸邨
水昏くなりてすとんと九月かな 長谷川双魚 『ひとつとや』以後
水藻沈め九月の風の勁きかな 杉本寛
水音も風の音にも九月かな 副島いみ子
汐寂びの観音拝し九月了ふ 山田諒子
沓脱に散つて九月の百日紅 鈴木しげを
河口の月巨いなる九月かな 石原次郎
河骨の九月の池の荒れにけり 八木林之介 青霞集
燈台守に九月の空の澄み来にけり 鈴木鵬于
父の頭が見えて九月の黍畑 宮田正和
牛憂う九月の河へ尻を向け 金子兜太
犀がゐて九月の空を広げたり 皆吉司
猫だましと言う手もありて九月場所 波多野寿子
生國の魚こっそりと来る九月 宇多喜代子
甦る学校町の九月かな 竹田哲
眠り込む顔は真実九月の夜 和田耕三郎
石山の驟雨にあへる九月かな 飯田蛇笏 雪峡
確信の九月一気に動き出す 堀部寿子
神の田の九月の蝌蚪の足造り 殿村菟絲子 『樹下』
秋老て九月の月の皺寒し 正岡子規
糊ききし制服の襟九月来ぬ 水原春郎
紺の旗かざして骨折した九月 竹中宏 句集未収録
経師出て九月の山を見てゐたり 岡井省二
縄とびの縄を抜ければ九月の町 大西泰世 世紀末の小町
背広着て鴎を見たる九月かな 和田耕三郎
脇腹に鶏を抱へてゆく九月 柿本多映
色とみに淡し九月の稽古花 白岩てい子
茄子通草九月はものの濃むらさき 稲垣きくの 黄 瀬
茶畠のひかり手強き九月かな 飯島晴子
草むらの蟇に竹ちる九月かな 永田耕衣 傲霜
葉と王と島とながれて土佐九月 阿部完市 春日朝歌
蚕屋障子開きて九月の峠見ゆ 筒井恭子
裸火に九月一日の男の子生まる 水原秋櫻子
貝がらの九月の雨を溜めてをり 黛まどか
赫々の九月惨暑とも云ふべき 斎藤空華 空華句集
蹠の土しまりゆく九月かな 飯村周子
身まかるや生るゝや九月雨隣 石塚友二 光塵
身を容るる葉蔭あかるき九月かな 鷲谷七菜子
車窓うつ九月の雨は密となる 宮武寒々 朱卓
迷路より抜けて九月の蝉しぐれ しらいししずみ
逝きませし九月晩節きよらかに 下村ひろし 西陲集
金柑の甘煮の艶や九月果つ 藤井三郎
鈴木さんあなたは九月の木の匂い 坪内稔典
鐵のごとき九月柑橘の実を愛す 中島斌男
陶枕のかたきを得たる九月かな 安住敦
陸軍の服が売られて九月かな 今井杏太郎
雨のこるべつたら市の薄九月 水原秋桜子
雨暮るおもたき榧の九月かな 渡邊千枝子
雨音に馴れしこのごろ九月かな 阿部みどり女 月下美人
革命を起こすに半端なる九月 櫂未知子 貴族
顔暑く陽はひろびろと九月来ぬ 大井雅人 龍岡村
高からぬ山に雲ゐる九月かな 山本洋子
鯖うまくなりて九月や雨ばかり 草間時彦
鰤寄せの撒き餌はじまり島九月 前島たてき
鳥の目で見てゐる九月草深し 柿本多映
鶏頭にふたゝび九月十九日 癖三酔句集 岡本癖三酔
黒揚羽九月の樹間透きとほり 飯田龍太
黒葡萄表裏を食うべ九月十日 蓬田紀枝子
風立てる其色月の橋わたり 高澤良一 ぱらりとせ

以上
by 575fudemakase | 2014-09-01 00:51 | 秋の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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