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林檎

林檎

例句を挙げる。

いとけなき紅刷く林檎袋掛く 西本一都
お岩木の麓の林檎熱しをり 高澤良一 寒暑
お練りある林檎並木に榊幣 西本一都 景色
きさらぎや深雪に沈む林檎園 福田蓼汀 山火
ころげゆく林檎にのびし象の鼻 山田人
しずかな海しずかな林檎ころがりだす 寺田京子 日の鷹
しばらくは眺めをりしが林檎剥く 稲畑汀子
すでに夜がはびこる林檎樹台風くる 寺田京子 日の鷹
つけた傷つけられた傷林檎噛む 辻美奈子
つひにたうべず逝きしままの林檎枕辺 シヤツと雑草 栗林一石路
つやつやと林檎涼しき木間かな 尚白
てのひらに載りし林檎の値を言はる 草城
てのひらの冷えの林檎を剥くに易し 野澤節子 黄 瀬
なめらかに紅のながるる林檎かな 占魚
ひと霜に林檎の蜜の入りけり 石田勝彦 秋興
ほほゑみや林檎の歯あと較ぶなる 池内友次郎 結婚まで
みちのくは林檎のいろの子規忌かな 細川加賀 『玉虫』
みちばたの林檎は食はぬ伊那の馬 殿村莵絲子 雨 月
みづからの五十路は若し春林檎 赤松[ケイ]子
もろ手あることはしあはせ林檎むく 国弘賢治
ゆかしさも紅浅き林檎哉 百里
りんごお早うお岩木お早う旅早立ち 高澤良一 寒暑
りんごたわわ津軽の空の撓むほど 渡辺乃梨子
りんご園ぼつぼつ交じる紅りんご 高澤良一 宿好
りんご掌にこの情念を如何せむ 桂信子
りんご撰るたのしさ咳を忘れゐて 目迫秩父
りんご紅し机上に愛をころがして 飯村寿美子
りんご酒発酵 夜航機いく条かの闇に 伊丹公子
りんご食みいちづなる身をいとほしむ 桂信子
りんご飴緑もありし夜店かな 尾関令子
わが心のやうな林檎があるナイフのそば 海藤抱壺(かいどう・ほうこ)(1902-40)
わくらばの梢あやまつ林檎かな 蕪村遺稿 夏
われに子に林檎運びの妻なりし 杉山 岳陽
われよりも低きに林檎高きにも 石田勝彦 秋興
アダムめきイヴめき林檎噛めるあり 日野草城
アルプスの夕日に赤し林檎園 粟津松彩子
アルプスの太陽白し林檎園 粟津松彩子
アルプスの連峰指呼にりんご狩 長谷部八重子
イタリヤのリラに親しみ林檎買ふ 小原菁々子
エンピツのいのちけづりて林檎揺く 国弘賢治
オリオンと店の林檎が帰路の栄(はえ) 中村草田男(1901-83)
セザンヌと林檎のごと一生君も釘打て靴に 橋本夢道 無禮なる妻抄
セザンヌの林檎小さき巴里に来て 森尻禮子
ナイフより赤消え林檎剥き終る 白幡千草
パン林檎指輪衣肉なみだ顔 和知喜八 同齢
ボーナス待つ深く林檎の創抉り 有働亨 汐路
マンハッタン林檎買ふ吾が黄色き手 藤田直子
一つある寒夜の林檎むかんとす 田村木国
一人入り林檎ばたけの雪に跡 京極杞陽 くくたち下巻
一天の林檎おごれり旅装のまま 古舘曹人 能登の蛙
一挺のナイフ林檎と置かれ光れり シヤツと雑草 栗林一石路
一椀の新茶一盆の林檎かな 中倉笠堂
一箱の最後の林檎籾を出づ 朱鳥
七月や林檎をシャワーもて洗ふ 皆吉司
不平あらば壁に擲て寒林檎 日野草城
不断燈仏の林檎真赤にす 林火
丑三ツ時ノ国光林檎ノ落下ヲ赦ス 夏石番矢 真空律
世にかたき椎名林檎という林檎 二村典子
世界病むを語りつゝ林檎裸となる 中村草田男
乳房圧して林檎あふるゝ*もぎ袋 中島斌男
争わず盗まずさみし樹に満つ林檎 寺田京子 日の鷹
二百十日の月よさ林檎園ありく 金尾梅の門 古志の歌
五大陸模様の林檎ならば買ふ 櫂未知子 蒙古斑
人恋へば林檎の歯形さへ著く 川口重美
今りんごむかれて赤くなくなりぬ 保坂リエ
聖夜
今宵煮るべし国光といふ林檎 高澤良一 随笑
何かまた起きさうざくりと林檎へ刃 奈良文夫
停電のあとの明るさ林檎むく 神田敏子
傷林檎厩舎に届くクリスマス 斎藤節子
刃を入るる隙なく林檎紅潮す 野澤節子 黄 瀬
刃を入れるべく紅き林檎をぬぐひけり 木下夕爾
初湯よし林檎のかおりそこはかと 増田手古奈
制服に林檎を磨き飽かぬかな 林桂 銅の時代
剥かざる林檎暗きへ地震は戻りゆく 磯貝碧蹄館
剥く前の紅ふと惜しき林檎手に 嶋田摩耶子
十六夜や兎の型に切る林檎 平林恵子
十六夜や夜明けてもなお林檎の香 金子兜太
原爆の街停電の林檎つかむ 金子兜太
口紅の無きがの口に林檎噛む 石塚友二 方寸虚実
台風に一喜一憂林檎園 荻原達昭
同齢の林檎のそばに眼鏡置く 和知喜八 同齢
君が胸林檎を磨くためにあり 石田勝彦 秋興
告げられし一語の重さ林檎むく 小山えりか
啄木忌林檎芯まで食ひをはる 宮武寒々 朱卓
喪服着て林檎むく手をぬらしをり 桜庭梵子
噛みとりし林檎の歯型雪しきる 加藤楸邨
噴煙は鬱屈の白林檎もぐ 中島斌雄
国後や固き林檎がなつてゐる 辻桃子 ねむ
地震落ちの林檎に嘴の痕しるく 西本一都 景色
城聳え街中にある林檎園 福田蓼汀 山火
壁光れど細かな亀裂林檎熟るる 香西照雄 素心
夏の月皿の林檎の紅を失す 高浜虚子
夏川のみどりはしりて林檎園 飯田龍太
夜の卓や光りあつめて林檎あり 阿部みどり女 笹鳴
夜の林檎ときに胸うつ妻の言 中島斌雄
夜の病棟ただよっている林檎の香 竪阿彌放心
夜夜の灯に夜夜の林檎と教案簿 木村蕪城 寒泉
夢のごとき色過ぎ林檎濃くなれり 宮津昭彦
大き手の働いてゐる林檎の実 石田郷子
天澄みて地澄みて林檎木に紅し 相馬遷子 雪嶺
天澄めば林檎耀き垂れにける 岸風三楼 往来
太枝を剪られ回春林檎の樹 津田清子 二人称
太陽にいちばん近き林檎*もぐ 岩崎照子
太陽は殼を脱ぎ捨つ林檎園 小檜山繁子
女童がおしつこをして林檎熟る 藤岡筑邨
姫林檎三日の雪に紅きそふ 角川源義
嫁見とも知らずりんごの袋かけ 三浦恵子
子に如何な人現れむ雪の夜の林檎 文挟夫佐恵 黄 瀬
子の嘘を聞きをり紅き夜の林檎 伊藤 孝一
子の家に一夜林檎は掌に重き 藤田宏
子の顔もりんごの仲間りんご園 成田千空
子を妊み林檎を黒く塗る絵描 田川飛旅子 『山法師』
子を抱くや林檎と乳房相抗ふ 中村草田男
宝かくすごとく林檎の袋掛 きくちつねこ
実のあかき林檎も見えて湖眼下 川島彷徨子 榛の木
家中が林檎で匂ふ籾こぼし 瀧澤伊代次
寺影を出て山影の林檎みち 鳥居おさむ
小さき手がきて肩を揉む林檎つぼみ 紫芝緑風
小粒なるイヴの林檎を丸齧り 太田土男
山で噛る林檎紅肌雪で磨く 福田蓼汀
山に夏雲かくれてゐるや林檎村 中拓夫 愛鷹
山の日の林檎枯れ立つもののうち 古舘曹人 能登の蛙
山登るリュックの林檎背に当る 桜井博道 海上
左手と右手むつまじ林檎むく 國弘賢治
幕切れの昼寝の中へ林檎投ぐ 和田悟朗
年送る合唱林檎を片手にもち 古沢太穂 古沢太穂句集
幸しかと林檎の艶肌窓映す 中村明子
広島に林檎見しより息安し 西東三鬼
強東風や林檎の太枝梁のごと 西本一都 景色
徹夜の稿にいつ置かれたる林檎凍む 森澄雄
怒鳴り売るりんごわが街賽の目に 寺田京子 日の鷹
恋ごころ混ぜて林檎をすりおろす 仙田洋子 雲は王冠
悲運にも似たり林檎を枕とし 安東次男 裏山
我恋は林檎の如く美しき 富女
手で磨く林檎や神も妻も留守 原子公平
手提籠倒れて林檎見えてゐる 今井千鶴子
拭はれて林檎ひややかさをませる 川島彷徨子 榛の木
捨て林檎押しのけざまに北へ河 成田千空 地霊
掌に林檎卯浪の巌に足を垂れ 野見山朱鳥
掛け終へて袋明りの林檎園 小田桐静風
採りつくしたる林檎園雪嬉々と 上田五千石 田園
採点のペンが凍て又林檎凍て 木村蕪城 寒泉
推理小説りんごの芯に行き当たる 小枝恵美子
支木はそのまゝ林檎*もぎ盡し 吉良比呂武
新涼の旭あまねしや林檎園 野村喜舟 小石川
新涼の鴎ひるがへる林檎園 石原舟月 山鵲
旅衣手に軽ければ林檎買ふ 橋本榮治 麦生
早春や鶺鴒きたる林檎園 芝不器男
明日へ眠らん寒夜一個の林檎の香 中島斌雄
星空へ店より林檎あふれをり 橋本多佳子(1899-1963)
春夕日よごさぬほどに林檎むく 松澤昭 神立
春宵の林檎のはだへゆるみゐる 藤木清子
春行く夜林檎剥きつゝ港行く 月舟俳句集 原月舟
春隣割りし林檎に蜜の入る 猪俣千代子 秘 色
春風や富士をまともに林檎むく 碧雲居句集 大谷碧雲居
時彦ざくろはお伽の国の家づとか(留守に草間時彦林檎大のざくろ置きて行く) 角川源義 『西行の日』
暗き坂林檎売る燈のなかなか無し 宮津昭彦
最高となり頂上の巌の林檎 西東三鬼
月の出や煉瓦の床に林檎酒に 小池文子 巴里蕭条
月光の林檎の前に披く胸 赤尾兜子
朝の茶は林檎を*もぎし後に飲む 福田蓼汀 山火
朝市の婆の勧める早生りんご 高澤良一 寒暑
朝市の小粒も親し飛騨林檎 松井慶太郎
朱を帯ぶは林檎の化粧ここ信濃 広治
束縛の右に林檎を置いて午後 櫂未知子 蒙古斑
松本は旅人の町林檎買ふ 岩崎照子
林檎*もぎ食べ放題と言はれても 竹内光江
林檎*もぐ脚下鳶ゆく日を載せて 木村蕪城 寒泉
林檎あくまで齧りて芯に達しけり 清水基吉
林檎くふて又物写す夜半かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
林檎くふて牡丹の前に死なん哉 正岡子規(1867-1903)
林檎といふ宇宙を食べてゐる私 皆吉司
林檎に子の小さき歯型ころがりをり 葭葉悦子
林檎のみあたらし瞽女のお仏壇 一都
林檎のみ紅顔祖父母と父母が遺族 香西照雄 素心
林檎の木いまだ幼く春を待つ 菖蒲あや
林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき 寺山修司(1935-83)
林檎の柄勁し夜明けを告ぐる鐘 成田千空 地霊
林檎の芯屑籠に捨て慣れぬ事務 沢木欣一
林檎の芯抛る雪原の大反射 内藤吐天 鳴海抄
林檎の荷解かんと鼻唄交りかな 高澤良一 寒暑
林檎の赤い夕暮 鴎はとんでいるか(神戸) 吉岡禅寺洞
林檎の香こぼす馬橇の疲れをり 堀口星眠 営巣期
林檎へ手触れさせもらふ菩薩晴 村越化石
林檎むきくるる手つきを眺めをり 西村和子 夏帽子
林檎むくテストの結果には触れず 工藤たみ江
林檎むく五重の塔に刃を向けて 野見山朱鳥
林檎むく妻とも違う夕まぐれ 高澤晶子 復活
林檎むく左手カランと鳴らすみたい こしのゆみこ
林檎むく手も覚束なきを旅にやる 林原耒井 蜩
林檎むく掌のうつくしくしあはせに 成瀬桜桃子 風色
林檎むく童顔残る子は母に 山田和子
林檎もぎ空にさざなみ立たせけり 村上喜代子
林檎もぐおとも小雨もなきごとし 西本一都 景色
林檎もぐ夕映えの八ケ岳真向に 柳 清子
林檎もぐ旅の土産に葉をつけて 田中照子
林檎もぐ脚立の下にいつも猫 西本一都 景色
林檎より雲たたなはり日が囃す 古舘曹人 能登の蛙
林檎をかぢつて、夜、浪の音がしてゐる 北原白秋
林檎をつまみ云ひ尽してもくりかへさねばならぬ 河東碧梧桐
林檎を愛づ心持雨空を仰ぎたき心持このとき少女 中塚一碧樓
林檎パイ焼く店林檎絞る店 吉良比呂武
林檎一つ伊豆の夜の春の灯のもと 林原耒井 蜩
林檎一つ投げ合ひ明日別るるか 能村研三
林檎万顆穂高も槍も低く輝る 斌雄
林檎出づ働くことの楽しくて 菖蒲あや 路 地
林檎剥くてのひらは泣き顔に似て ふけとしこ
林檎剥く指も曠野の夕焼を 楸邨
林檎剥く祝婚の鐘聴くなべに 林翔 和紙
林檎割つて頒つものなし夜の音 大串 章
林檎割りことしの蜜の多寡云へり 高澤良一 燕音
林檎割るときも遠き子おもひけり 成瀬桜桃子 風色
林檎割ると母の骨盤母遠し 磯貝碧蹄館
林檎割る帰心もすっぱりと割れよ 鎌倉佐弓
林檎喰ふ歯に谷の風谷を出ず 桜井博道 海上
林檎嗅ぎうしろの山も春待てり 新谷ひろし
林檎園の中の洋梨寂しからむ 山田みづえ
林檎園やはらかき草踏みて入る 稚魚
林檎園夜をうすぎぬとして負へり 松澤 昭
林檎園暖かに積む古き藁 西村公鳳
林檎園脚立を夕陽あたたむる 高澤良一 ももすずめ
林檎売雪来れば穿く雪沓か 水原秋櫻子
林檎手に握力なき朝いくさの記事 川口重美
林檎投ぐ男の中の少年ヘ 正木ゆう子
林檎掌にとはにほろびぬものを信ず 国弘賢治
林檎描く絵具惨憺盛り上り 野見山朱鳥
林檎摘果みどりのつぶて地にそそぎ 堀口星眠 営巣期
林檎散る昼かみなりの鳴るなべに 高浜虚子
林檎柿蜜柑年越す一つ籠に 野澤節子 牡 丹
林檎樹の上に手が見え釣瓶落し 殿村莵絲子 雨 月
林檎樹下病める林檎の集められ 山口誓子 雪嶽
林檎煮るスリガラスのような三年 対馬康子 吾亦紅
林檎煮る雪国遠く来し林檎 三好潤子
林檎熟るる雲の襞々張り出すだけ 香西照雄 素心
林檎熟る使命感もて番犬吠え 藤岡筑邨
林檎甘し八十婆まで生きること 寺田京子
林檎甘し酸し光陰はただ迅し 成田千空 地霊
林檎百千狡猾の顔並べあふ 佐川広治
林檎真つ赤唖者の頷き幾たびも 成田千空 地霊
林檎真赤五つ寄すればかぐろきまで 野澤節子 黄 瀬
林檎磨き路傍かゞやく文化の日 殿村菟絲子 『路傍』
林檎紅し千曲忘れ江紺を張り 西本一都
林檎紅し恋女房よ死する勿れ 西本一都
林檎紅潮詩のなくなりし世なれども 西本一都 景色
林檎累々メルヘンのはじまれる 松澤昭 面白
林檎置く車窓雪野は果もなく 永井龍男
林檎美し古名画をたれか愛せざる 飯田蛇笏 雪峡
林檎芳香燃えつつのぼる星のあり 成田千空 地霊
林檎落つアダムの空の深さより 加藤耕子
林檎買ひくる妻わが街を拡大せり 磯貝碧蹄館 握手
林檎赤し寒く貧しく国の果 福田蓼汀 山火
林檎酒の泡ほどに人秋干潟 加藤耕子
林檎陸奥完全装備して届く 鈴木栄子
林檎食ふりんごのなかにゐるやうに 辻田克巳
林檎食ふ間にも城去り城来る 松尾いはほ
林檎齧りゐて浸蝕の島を見る 立川京子
枝垂林檎幾霊ねむる家ならん 成田千空 地霊
枯れ枯れて一葉とゞめず林檎園 相馬遷子 山河
柿は眼ひらき林檎は暗く安曇村 桜井博道 海上
桑黄落林檎紅潮千曲紺 西本一都 景色
歯にあてて雪の香ふかき林檎かな 渡辺水巴
歯をあつる林檎パリッと秋の富士 富安風生
死顔や林檎硬くてうまくて泣く 西東三鬼
残照の海見ゆるところ林檎熟る 欣一
母が割るかすかながらも林檎の音 龍太
比ぶれば林檎は若く柿は老ゆ 相生垣瓜人 微茫集
水温む四方のひかりに林檎園 麦南
汝と剥いて恋白眼み足る林檎かな 飯田蛇笏 山廬集
汽罐車の吐く火かぶりぬ林檎園 宮武寒々 朱卓
泣顔の思ひ出すごとく林檎噛む 加藤楸邨
津軽路の民話ゆたかに林檎村 河野南畦 湖の森
流れ寄る林檎あまたの無頼の夜 成田千空 地霊
浅間見え入口もなき林檎園 粟津松彩子
海光に送りまぜ吹く林檎園 石原舟月 山鵲
海猫鳴いて日射しの移る林檎園 本宮哲郎
淋しさをかぷと噛みとる林檎かな 田中幸雪
淡路女忌帯に林檎をだく別離 石原八束 空の渚
湖に垂らして林檎剥きにけり 森田峠 避暑散歩
湖風が崖にぶつかり林檎熟れ 木村蕪城 寒泉
火気おこりいま賑はしや林檎園 木村蕪城 寒泉
焚火して林檎紅さしはじめけり 藤岡筑邨
熱とれて林檎の歯ごたえ言うてもみる 松本恭子 二つのレモン
父と呼びたき番人が棲む林檎園 寺山修司(1935-83)
父の忌や林檎二籠鯉十尾 杉田久女
牛の仔が啼いて林檎の木に林檎 細川加賀 生身魂
牧の娘は馬に横乗り林檎かむ 小野白雨
犬吠る林檎月夜や塀の角 会津八一
独房に林檎と寝たる誕生日 秋元不死男
球体の海なり林檎ころげゆく 対馬康子 吾亦紅
甲板に林檎を噛る女かな 高濱年尾 年尾句集
疵りんご厩舎に届きクリスマス 斎藤節子
病む母へ林檎八方より届く 猿橋統流子
病妻の前しくしくと林檎剥く 辻田克巳
病室にかゞやけるもの林檎のみ 大星たかし
皮のまま林檎食い欠く沖に船 西東三鬼
皿の上の林檎揺れをり食堂車 虚子
盗みくふ林檎に腹をいためけり 正岡子規
盛りこぼる摘菜押さへの落林檎 西本一都 景色
相聞歌林檎の如く雪匂へ 内藤吐天 鳴海抄
眦にとまりうごかず林檎の朱 上野泰
秋晴を真つ赤にしたり林檎園 瀧澤伊代次
秋朝林檎園に入りまだ帰らないでゐる 中塚一碧樓
秋深き旅となりつゝ林檎食ふ 高濱年尾 年尾句集
稲光りんごの芯に通るべし 高澤良一 宿好
積み上げて林檎うれしや枕下 会津八一
空高く林檎を守る案山子哉 寺田寅彦
立ちばなし林檎みがきの子に暮れる 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
立子とゐ晴子が林檎もぎくれし 森田峠 避暑散歩
箇の蟻として独立す林檎の上 加藤楸邨
籾殻より幸つかむごと林檎出す 伊東宏晃
粒大き出羽の林檎と剥き翳し 石塚友二 光塵
経文を唱へ露天の林檎売り 佐川広治
綺羅星のもとに林檎を食べて憩ふ 木村蕪城 一位
縞に侍し刻々赤し夜の林檎 赤城さかえ
羅や林檎の頬の紅ををしむ 会津八一
老いよとや赤き林檎を掌に享くる 橋本多佳子
耳かすみをり流域は林檎園 中拓夫 愛鷹
胃痛癒えて林檎の来る嬉しさよ 正岡子規
舌端に触れて余寒の林檎かな 草城
舞ひ果てゝ林檎をすべる大蛾かな 前田普羅 春寒浅間山
艶笑譚雪ゆ曲々林檎の木 成田千空 地霊
草原に釧路の煙林檎くふ 京極杞陽
草原ゆく胸やわらかく林檎抱き 山本ともこ
葉がくれて林檎の赤き西日哉 紅緑
蛍めく奥羽りんごの明りかな 室生犀星
襯衣をけさ着初めて林檎食うべけり 永井龍男
豊秋や林檎ゑくぼをもちそめし 西本一都 景色
赤い林檎の国境囓るミュージシャン 五島エミ
赤くなる為の林檎の日を纏ふ 佐藤静良
赤黒く小さき林檎が熟れてをり 高木晴子
身乗り出す林檎案山子の赤頭巾 羽部洞然
身籠りて短かき膝に林檎むく 大岳水一路
道の辺に一樹百顆の林檎立つ 水原秋櫻子
部屋埃林檎は皿に寝て醒めて 和知喜八 同齢
鈴生りの林檎讃へて岳に雪 三嶋隆英
銀河より享けし微光や林檎噛む 平畑静塔
鋏の音間遠に林檎の枝おろす 川島彷徨子 榛の木
長城の見えて林檎の実る村 伊藤いと子
降りいでし雨に林檎の紅くもる 上村占魚 『天上の宴』
降り出すや子は掌の林檎頭にかざす 原田種茅 径
隣り合ふ犬猫の宮林檎熟る 八牧美喜子
雨の十一月林檎灯あつめ前夜祭 古沢太穂 古沢太穂句集
雨蛙西日移りて林檎炎ゆ 飯田龍太
雪に埋もれ泳ぐ林檎樹どの樹の声 寺田京子 日の鷹
雪の山からくる栗鼠に林檎置く 和知喜八 同齢
雪の昼林檎の冷えを身に加ふ 野澤節子 黄 瀬
雪声は人声りんごに臍ありぬ 寺田京子 日の鷹
雪晴の埠頭まぶしく林檎売 西島麦南 人音
雪降つてもう目のみえぬ林檎の木 和知喜八 同齢
雲白く国かがやきて林檎狩る 対馬康子 愛国
震ふ地をまろべる摘果林檎かな 西本一都 景色
霜に駈けて林檎童子と炭童子 知世子
霧の夜の林檎を病母に購ひにけり 伊東宏晃
風のリラ林檎酒むざと買ふ郷は 小池文子 巴里蕭条
風荒き雪と林檎を噛みしむる 臼田亞浪 定本亜浪句集
颱風の林檎傷つきあふて落つ 西本一都 景色
食ひかけの林檎をハンドバッグに入れ 高濱虚子
食みかけの林檎に歯当て人を見る 高浜虚子
馬に積む林檎林の林檎哉 会津八一
黄昏は早し林檎の切り口の 櫂未知子 蒙古斑
鼻唄は「りんご追分」旅支度 高澤良一 寒暑
セザンヌ展
皿に盛るリンゴ崩るるところを描く 高澤良一 燕音
電話繋がりりんごの弘前観光課 高澤良一 寒暑
林檎は駄目柿はなんとか衰ふ歯 高澤良一 石鏡
紅玉煮る砂糖どっさり使ひけり 高澤良一 石鏡
林檎煮る香が厨より本を読む 高澤良一 石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-10-03 00:55 | 秋の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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