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紅葉3

紅葉3

例句を挙げる。

もみづれるそこに雉子の尾が見えて 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
もみづれるものに地獄の釜の蓋 高澤良一 燕音
カナダ行
もみづれるカナダを机上プランかな 高澤良一 ぱらりとせ
曼珠院
もみづれる寺に預かる幽霊図 高澤良一 宿好
もみづれる山の快挙と申すべき 高澤良一 寒暑
もみづれる木によ苔布く寂光土 臼田亞浪 定本亜浪句集
もみづれる楓のいろは兵火のいろ 高澤良一 宿好
もみづれる欅桂に兄事せる 高澤良一 燕音
北山
もみづれる高雄ホテルの絨緞も 高澤良一 宿好
今正にもみづる加仁湯の掛け湯浴ぶ 高澤良一 寒暑
夜を籠めて湯宿の前山もみづらん 高澤良一 寒暑
夢殿の清閑桜もみづりぬ 臼田亞浪 定本亜浪句集
建長寺 扁額
大欅もみづる「天下禅林」に 高澤良一 燕音
宿浴衣もみづる山に向ひ干す 高澤良一 寒暑
山深くもみづるものの一変す 高澤良一 寒暑
戦ひし恨みは人の子に残れもみづり果てて冬に入る山 杉浦翠子
手始めに山の頂もみずれり 高澤良一 素抱
木道より木道を見てもみずる沼 高澤良一 素抱
柿の葉鮨少しもみづる葉を以て 大橋敦子 匂 玉
白樺をもみづる日光沢の風 高澤良一 寒暑
雲間の日もみづる山をさだかにす 松村蒼石 雁
露天湯の余り湯水草もみずりて 高澤良一 随笑
良寛の草書さながら色葉(いろは)散る 高澤良一 寒暑
あすあさて満天星もみぢ掃き尽きむ 林原耒井 蜩
かざす手のうら透き通るもみぢかな 大江丸
きのふよりけふ濃きもみぢ雨来るか 稲垣きくの 黄 瀬
この国で生まれて産んで苔もみじ 池田澄子
どうかうもなく山茱萸の醜(しこ)もみぢ 高澤良一 鳩信
ねむごろに水底もみぢ泥となりぬ 松村蒼石 雁
もみじ燃え今生量りなかりけり 赤松恵子
もみじ葉の一葉をいつき龍田姫 松瀬青々
もみぢして学問処の孔子木 高澤良一 寒暑
もみぢして松にゆれそふ白膠木かな 飯田蛇笏 山廬集
もみぢの地に映ゆるベンチにて仰ぐ 滝井孝作 浮寝鳥
もみぢの木樅を巨きく直くする 篠原梵 雨
もみぢの甲斐信濃われらに波たゝず諏訪のみづうみ 中塚一碧樓
もみぢばの流れ来て河口出づ 山口誓子
もみぢもみぢもみぢの山合掌 岡田史乃
もみぢ散る墓に赤さが足らぬから 櫂未知子 貴族
もみぢ葉の一葉をいつき竜田姫 松瀬青々
もみぢ葉は真言陀羅尼 義趣を秘む 高澤良一 宿好
もみぢ葉よ忌日の後にま一日 立花北枝
われにのみ北斗大粒もみじ闇 和知喜八 同齢
二三枚もみぢ汲み出す釣瓶哉 正岡子規
半蔀や夕日こぼるゝ濃もみぢを 及川貞 夕焼
吾妻に峠十三もみぢ晴(上州野反湖途上) 上村占魚 『萩山』
四十雀来啼きもみぢのふた枝ゆる 木津柳芽 白鷺抄
塔をうつす水の萍もみぢかな 稲垣きくの 黄 瀬
好事家の嵯峨野もみぢといふを見に 高澤良一 宿好
寒む~と黄もみぢ紅葉曇りけり 高木晴子 晴居
山ここは遅きもみぢに鳴くつぐみ 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
山垣にとほやまのそひ散るもみぢ 木津柳芽 白鷺抄
山姫の染がら流すもみぢ哉 榎本其角
城山公園
山寄りに町は造られ朴もみぢ 高澤良一 素抱
徒歩の人舟で来る人宿もみぢ 藤崎久を
掃く音も聞えて淋し夕もみぢ 蓼太 五車反古
月下にてもの影うごく散もみぢ 松村蒼石 雪
梓川ヤナギもみぢの散り込む瀬 高澤良一 素抱
楢もみじ命あまさず生きむとす 角川源義
楢もみぢ支へ愚直の幹高し 玉木春夫
滝口寺
横笛をおもひ染めたる色もみぢ 高澤良一 宿好
欅もみじ月夜は母も猫もいて 和知喜八 同齢
欅もみぢの下ゆき白鳳仏にあふ 柴田白葉女 花寂び 以後
殊に濃き鎌倉もみぢ終の日に(相沢綾女さまを悼む二句) 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
沖は漁火降る雨の灯に崖もみぢ 及川貞 榧の實
涼しさや風の色さす梅もみぢ 野坡
濃尾バス尻を振り振りもみぢ山 高澤良一 素抱
白河も黒谷も皆もみぢかな 嵐山
眼りある坂を登りぬ紅葉もみじ 池田澄子
秋の道一日悲しもみぢ谷 田上尼 俳諧撰集玉藻集
肥積みに山吹もみぢちりそめぬ 飯田蛇笏 春蘭
薔薇もみぢみづ霜垣をながれそむ 石原舟月 山鵲
見たいもの花もみぢより継穂哉 服部嵐雪
言葉かけ合ひ楷樹もみぢの愛好家 高澤良一 ぱらりとせ
詣づるに山陵もみぢ一*はやて 皆吉爽雨 泉声
谷もみぢ夕日をわたる寺の犬 烏西
せせらぎの湯
赤もみぢ黄もみぢとことん愉しめり 高澤良一 素抱
鏡餅つくる粉の手もみぢの手 山田 渓舟
霧晴るゝいとまは短か尾根もみぢ 及川貞 夕焼
露地もみぢ映えて行成色紙読む 及川貞 夕焼
青空をもみじひと刷毛塗りにけり 菊田琴秋
高雄やまあはれに深きもみぢかな 瓦全 五車反古
人毎の口にあるなり下紅葉 芭蕉
八重無尽山染上る紅葉かな 北枝
山ふさぐこなたおもてや初紅葉 其角
夕暮を余所に預けて紅葉かな 千代尼
から堀の中に道ある照葉かな 蕪村
かざす手のうら透き通るもみぢかな 大江丸
山里や烟り斜めにうすもみぢ 闌更
見る人の唇かわくもみぢかな 成美
大寺の片戸さしけり夕紅葉 一茶
岨道を横に駕舁ぐ紅葉かな 内藤鳴雪
牛飼のわらべがかざす紅葉かな 村上鬼城
箒持つて所化二人立つ紅葉哉 正岡子規
水に嗽ぎ湯に枕して紅葉かな 河東碧梧桐
大紅葉燃え上らんとしつゝあり 高浜虚子
落ち合つて川の名かわる紅葉かな 大谷句仏
一壺酒をさし荷ひつゝ紅葉狩 西山泊雲
山彦のわれを呼ぶなり夕紅葉 臼田亜浪
つめたう覚めてまぶしくも山は雑木紅葉 種田山頭火
誰れへ土産となく土瓶買ふ紅葉かな 渡辺水巴
山門に赫つと日浮ぶ紅葉かな 飯田蛇笏
紅葉あかるく手紙よむによし 尾崎放哉
散紅葉ふかきところにふみ入りぬ 富安風生
星空と濡れて一夜の紅葉山 松村蒼石
峰々に名はあり紅葉うつくしき 池内たけし
中一日ふりこめられし紅葉かな 久保田万太郎
深耶馬の空は瑠璃なり紅葉狩 杉田久女
慈悲相の一面照らふ薄紅葉 水原秋櫻子
甘橿の丘の雑木のもみぢかな 山口青邨
寄進札大寄進札照紅葉 高野素十
くきくきと折れくる筏紅葉渓 大橋桜坡子
粧ふといふべかりけり紅葉濃し 後藤夜半
院々の肉煮ゆる香や夕紅葉 川端茅舎
何の木といふことなしに御所紅葉 阿波野青畝
戻りくる木馬に逢ひぬ紅葉狩 五十嵐播水
漆紅葉水なにかはと燃えうつる 篠田悌二郎
空林や流れのあれば紅葉しづめ 橋本多佳子
この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉 三橋鷹女
わが旅の紅葉いよ~濃かりけり 高浜年尾
襤を檻で横切る世界紅葉して 永田耕衣
尚深く住みなす家ぞ紅葉谷 中村汀女
火の山の片かげりして夕紅葉 瀧春一
戦後の子紅葉のうらに赤々と 中村草田男
強き灯の照らすところの紅葉かな 日野草城
石炭の尽きし山々紅葉せる 山口誓子
障子しめて四方の紅葉を感じをり 星野立子
むさしのの櫨の紅葉に袖触れゆく 大野林火
帰る家あるが淋しき草紅葉 永井東門居
一循環の終りの黙示紅葉照る 加藤楸邨
紅葉せり何もなき地の一樹にて 平畑静塔
餓鬼岳は紅葉緋縅岩鎧ふ 福田蓼汀
紅葉渓単線かくもさびしきか 石塚友二
黒髪を梳くにも瀬に佇つ峡もみぢ 柴田白葉女
生きる張り路傍の草も紅葉して 鈴木真砂女
大木にしてみんなみに片紅葉 松本たかし
ふりかぶり濃紅葉あかりくらきほど 長谷川素逝
谷下りて水に手ひたすうすもみぢ 細見綾子
降り注ぐ銀杏黄葉はめつむり受く 赤城さかえ
中学生二里の家路の山紅葉 相馬遷子
山の日をしづかに吸へり櫨紅葉 中島斌雄
女学生うつしみ匂ふ照葉かな 下村槐太
竹林へ一幹かしぐ櫨紅葉 能村登四郎
黄葉はげし乏しき銭を費ひをり 石田波郷
紅葉山禰宜をろがむは伊勢のかた 木村蕪城
幼な馴染みの山ふつくらと紅葉せり 中村苑子
櫨紅葉一艇ダムに揚げしまま 堀葦男
夜の紅葉沼に燃ゆると湯を落す 角川源義
紅葉焚く火に北壁の嶮正し 野見山朱鳥
おのれ見つむ雨は紅葉にそゝぎをり 馬場移公子
櫨紅葉牛は墓標につながれて 石原八束
一山の紅葉に染まり死ぬもよし 佐藤鬼房
山神の宝登おそろしや紅葉狩 沢木欣一
鉈帯びて人黄葉の谷に没る 村上しゆら
吾妻に峠十三紅葉晴 上村占魚
紅葉暮れ人の顔暮れ消えにけり 草間時彦
墓所一つなき島山の冬紅葉 野澤節子
恋ともちがふ紅葉の岸をともにして 飯島晴子
燃えて燃えて紅葉失ふもの多し 長谷川秋子
なほ残る桜紅葉は血のいろに 原裕
長命の家おほひたる蔦紅葉 櫻井博道
水勢を火急と見たり櫨紅葉 上田五千石
一つ家に飛火してゐる山紅葉 稲荷島人
紅葉万照 乗客醉眼 いろは坂 尾村馬人
紅葉の賀ならずかなしき集ひかな 下村梅子
片壁に朝の来てゐる蔦紅葉 細川子生
夕膳に山冷えの来る紅葉かな 岡田夏生
濃淡の紅葉の奥を秘境とす 柴田白陽
曇り日や地熱の色の紅葉山 林翔
琴は六段七瀬八峰の紅葉どき 文挟夫佐恵
奥入瀬や紅葉驕らす水の量 松本進
愛染の忿怒の彩に紅葉映ゆ 嶋崎専城
ゆきずりに一揖交はす紅葉坂 横山房子
沙羅紅葉来世明るしとぞ思ふ 後藤比奈夫
風蕭々紅葉筏の流れくる 重富北坡
一騎駆け百騎落ち行く紅葉かな 丸山嵐人
紅葉を食べ残す偶然涙出て 山田緑光
通学の振り子の釣橋谿もみじ 石田三省
雲中の滝とどろかず初紅葉 澤田緑生
都出て十日且つ散る紅葉かな 清水基吉
紅葉山靄より水の流れ出づ 西岡正保
一筋のながれまぶしき草紅葉 羽田岳水
檀紅葉旧宿場町半ば墓地 松崎鉄之介
浅沓の置かれて桜もみぢ降る 松本旭
滑らかな鳥語頭上に紅葉狩 皆川盤水
陵の雨となりたる紅葉かな 吉田鴻司
夜半かけて紅葉も果の風雨なり 阿部ひろし
蓼科紅葉人間孤となり奇となり 金子兜太
護国社の紅葉且つ散る碑前碑後 林十九楼
台詞めく独語紅葉の樹下に坐し 原子公平
薔薇園は盛りぞまはり紅葉して 原田青児
切株は老年の椅子 遠紅葉 伊丹三樹彦
紅葉暮れて目くばせ星が湖の上 有働亨
紅葉山耳ほてるまで深入りす 加藤憲曠
人麿も赤人もゐる谿紅葉 津田清子
何もなき庭なりければ紅葉冷 保坂伸秋
採石場のみ紅葉せず海に向く 石崎素秋
今日の賀や紅葉の木曽の虹二重 太田嗟
箸紙に最上舟唄渓紅葉 小原啄葉
墓買うて紅葉祭の中通る 竹村文一
紅葉して山に神の名仏の名 成田千空
紅葉且つ散り乱心兆す白い犬 星野紗一
はせを塚取り巻く桜紅葉かな 松本澄江
大鳥居の朱へ飛び火の島もみぢ 吉村馬洗
出口なきまでの紅葉にあそびけり 猪俣千代子
振り返る浄土門より日の紅葉 甘田正翠
うぶごゑのごとき桜の初もみぢ きくちつねこ
紅葉寂白い時空が近付けり 河野多希女
谿紅葉煽いでおこす火色見え 花谷和子
水影をゆらりと置きし初紅葉 深見けん二
移へば紅葉する葉のすべて散る 保坂加津夫
連れすでに鬼女と化しつつ紅葉宿 星野石雀
美しき紅葉の消えて抱擁す 松山足羽
振返るこの世短し初紅葉 水原春郎
草紅葉音楽堂へ導けり 村越化石
火縄銃観てより総身紅葉冷え 加藤三陽
紅葉冷磧あそびもすこしして 神尾久美子
いつか逢ふ死といふ大事初紅葉 木村敏男
鎮魂の錨錆びたり草紅葉 木村里風子
柞紅葉ふいに男が引返す 熊谷愛子
奥山紅葉めぐすりの木の在り處 小枝秀穂女
紅葉観て寝ころぶによし岩畳 斎田鳳子
一刷きの紅葉の修羅尾根走り 斉藤美規
おくやまに裾曳く遅き竜田姫 中川須美子
紅葉川屋敷の中を通りけり 中村石秋
もみぢやまこのひとたれもしらぬといひ 西野文代
初紅葉空にかざして子安仏 林昌華
旅なれや妻と腕組む夕紅葉 福永鳴風
夕焼けてさくらもみぢのさくらが丘 藤岡筑邨
湿原に神の焚く火かななかまど 堀口星眠
且つ散りて紅葉筏となりゆくも 有山八洲彦
叱る目がかばつて居りぬ草紅葉 石田よし宏
長幼の序のある鼠紅葉狩 磯貝碧蹄館
野猿啼き叫びしきりに紅葉冷 岩松草泊
ふるさとのもみづるものに帚草 大橋敦子
本能寺炎上漆紅葉かな 木田千女
紅葉していろはを綴る岳の沼 古賀まり子
金剛院山の紅葉が塔に降る 小島國夫
見返りて黄葉銀杏の高かりし 小西領南
忠義とは唐紅に散る紅葉 菖蒲あや
奥能登の紅葉且つ散る社かな 滝沢伊代次
火の匂ひして紅葉村夕餉どき 友永佳津朗
紅葉且つ散つて浦上二番ミサ 野見山ひふみ
腰のくびれ紅葉明りに弥勒仏 平松荻雨
一ひらの色よき紅葉包みけり 藤沢樹村
いちまいの紅葉の穴に神の意志 前山松花
水絵具溶けば匂へり草紅葉 村田白峯
渓紅葉日月早くなりにけり 村山砂田男
錦繍に谷川岳は姿秘む 森田峠
果無しの山の一つは紅葉山 加藤三七子
陶酔の夕焼の中草紅葉 鈴木石夫
紅葉山夜はとほき世の風の音 高橋謙次郎
さそひ出す南京櫨のうす紅葉 中尾杏子
一国の濡れし紅葉や川湊 中島佐渡
山紅葉一樹に夕日とり憑きて 橋本美代子
いちにちを紅葉づくめや残る生 八田木枯
七かまど紅葉SantaFeブームとか 星野麥丘人
ざしきわらしが駅をすたすた紅葉して 前田吐実男
紅葉散る庵に平家物語 眞砂松韻
紅葉濃し芭蕉にならう立石寺 松本夜詩夫
照紅葉廃坑すでに鬼哭なし 宮脇白夜
紅葉の木古墳の丘の挿頭とす 山口超心鬼
鬼女の笛ながれそむなり初紅葉 湯本道生
海へ継ぐ野の沖までも草紅葉 淺野岳詩
失踪す紅葉界に魅せられて 泉田秋硯
目法楽して紅葉みち佛みち 伊藤白潮
湯の神の顔さがしをる大紅葉 宇佐美魚目
キリシタン処刑湯地獄照紅葉 岡部六弥太
紅葉冷こころを冷してはならず 小川恭生
水底にたむろしてなお照紅葉 小宅容義
厠紙なかりし寺の紅葉かな 亀田虎童子
紅葉且つ散る老残のひとり道 小出秋光
紅葉の賀伊賀の組紐身に締めて 児玉輝代
紅葉冷え襖を閉めるわけにいかず 小路紫峡
彩の奥行見せて紅葉山 竹腰朋子
山門に紅葉嵌めたる小倉山 鳥居おさむ
七竃散るをこらへて真つ赤なり 林徹
乗りしより声のきらきら紅葉舟 細井みち
むかし恋結びせし木の紅葉かな 森田公司
晩年や滝を紅葉のさかのぼる 森田廣
天より紅葉もみじより飛瀑かな 森谷一波
虫食ひの一葉も紅葉尽しけり 山内遊糸
水草紅葉沼のいろはにほへとかな 山田みづえ
紅葉濃し一夜の雨の淦を汲む 大岳水一路
日をこぼし紅葉こぼして桜の木 市村究一郎
城攻めの火の手あげたる櫨紅葉 上原白水
松は松楢は楢なり紅葉山 大井戸辿
法然に酒(ささ)ゆるされて紅葉湯に 緒方敬
面倒臭さうなる桜紅葉かな 川崎展宏
ごくらくもぢごくもひとつ照紅葉 小島千架子
櫨紅葉古刹を守りて仁王立ち 武田和郎
薄紅葉囲む古刹は柿葺 寺島初巳
本などは紅葉の谷に投げ棄てむ 鳥羽三郎
草紅葉水の落差は白をもて 中戸川朝人
薄ら陽の醸す紅葉にぎり飯 橋爪鶴麿
麗子像動くともなき散り紅葉 火村卓造
行く先の見えて日の落つ紅葉山 福田甲子雄
隙多き暮しと思ふ紅葉づれる 牧石剛明
終着は紅葉山ですフルムーン 益田清
初紅葉木靈は空に帰りけり 百瀬美津
赫し赫し汝のふるさとの櫨紅葉 山崎ひさを
紬着てゆき紅葉且つ散り 阿部完市
雑木紅葉誇れる山をいつも身に 雨宮抱星
濃紅葉や湯舟に女身透きとほる 板谷芳浄
峠から故郷に来し紅葉かな 稲垣暁星子
紅葉かつ散るゆふぐれの来るころに 今井杏太郎
山紅葉し初むる一樹々々づつ 今井千鶴子
濃紅葉や生きてゐしかば刻の中 岡本眸
草紅葉して陸封のさくらます 金箱戈止夫
旅はめまい山の紅葉へ入つてゆく 神宮司茶人
瞬くはをみなの若さ初紅葉 鈴木鷹夫
櫨紅葉汽車に煙のありしこと 関口恭代
散り紅葉奈落しずめる祇王の地 千曲山人
渓に紅葉降り座せる石立てる石 豊田晃
初紅葉滾つ瀬は日を返しつつ ながさく清江
紅葉尋め箱根八里を三里ほど 仁尾正文
草々の力尽くせし紅葉かな 藤本安騎生




アメリカに看護師仲間紅葉晴 坊城中子
草は野に低し人色草といふ 保坂リエ
鬼塚はただの大石紅葉谷 本庄登志彦
清水寺攻めのぼりたる紅葉かな 三嶋隆英
水草のもみづる辺り堰鳴らず 南典二
日沈み月昇る間の薄紅葉 村田脩
参道の長さ飽かざる紅葉かな 山下美典
谿の温泉の紅葉の色に浸りけり 渡部抱朴子
好日や紅葉見下ろすところまで 五十嵐哲也
純粋に紅葉だけ焚きゐる匂 江川虹村
引つ張りの見栄らしからぬ照葉かな 加藤郁乎
静脈を紅葉流れ眠られず 北見弟花
禽獣に紅葉のしとね厚からず 斎藤梅子
夕紅葉言葉渇いてしまひけり 清水浩
紅葉谷塔の*ふつを振り冠り 鈴木榮子
宿り木も薄紅葉して気多の杜 千田一路
紅葉かつ散るカツ丼を待つ間かな 土肥幸弘
そそり立つ剱真近に櫨紅葉 長沼紫紅
草紅葉誰がたましいのこぼれ火も 畠山弘
紅葉山水先立てて人帰る 廣瀬直人
潮しぶき島は紅葉づる木々を得ず 増田河郎子
珈琲の匙ひんやりと初紅葉 務中昌己
鬼神とも無我ともなれず櫨紅葉 赤尾恵以
満月をかかげ昼見し紅葉山 秋山幹生
一山の紅葉風を楽しめり 新谷ひろし
紅葉焚く金閣寺燃えおつるかな 有馬朗人
鐘楼の影して浮葉紅葉かな 大木さつき
池またぐ橋反りゆるく紅葉雨 加藤水万
日の紅葉雨の紅葉と時過ぎゆく 金子潤
草々の紅葉樹海に連なれる 金久美智子
いろの葉の雨も夢なり結願寺 菊地一雄
はじめまして祖母です紅葉のような稚(やや) 菊地京子
臓腑まで兵の声満つ紅葉塚 小出治重
紅葉山踏んで平和といふ重み 志摩知子
黄葉脱ぎ楝の幹のうつくしや 鈴木公二
八甲田山麓紅葉また黄葉 鷹羽狩行
トタン小屋影を四角に草紅葉 舘岡沙緻
愛しさよ大紅葉の一つ散る 谷口亜岐夫
湖に沈む村のまぼろし薄紅葉 中拓夫
ななかまど谷を離れし水のこゑ 黛執
乾坤の紅葉ならざるなき旅路 稲畑汀子
峡深く紅葉明りのつつぬけに 宇咲冬男
老樵紅葉の機嫌知りつくす 大牧広
川底に日当る午後の紅葉かな 奥田杏牛
オペの眼のただしき紅葉明りかな 角光雄
大山祗おん懐の紅葉晴 加藤耕子
水路閣仰げば紅葉且つ散りぬ 轡田幸子
壺の碑の韃靼遠し草紅葉 倉橋羊村
神々の暮らしの跡の薄紅葉 小泉八重子
紅葉谿時間滑落してやまず 小檜山繁子
太陽に垂れてをりけり梅紅葉 斎藤夏風
蔦紅葉絡まりつつも意志通す 塩川雄三
猫ゆきしあと風まろび草紅葉 茂恵一郎
風景へ朝の裏窓紅葉づれる 杉野一博
再会や遠き山ほど紅葉濃し 関口祥子
山宿の紅葉に灯りつきにけり 関戸靖子
紅葉せりよろけがちなる猫車 田邊香代子
幹たたくもみぢ遅るる楓の樹 辻田克巳
終りなきことして紅葉散らしゐる 豊田都峰
ひとごゑの方に日が差す紅葉かな 豊長みのる
紅葉紅葉心澄み刻とどまらず 藤木倶子
トンネルを抜けて終点紅葉駅 松村昌弘
三つめの吊り橋わたり紅葉宿 岬雪夫
人のゐるところ日のさす初紅葉 三田きえ子
わつと紅葉出湯に齢透くことも 諸角せつ子
ぞんぶんにおのれが見ゆる紅葉焚 山崎聰
湯ぼてりを身の賑はひに草紅葉 山田諒子
耳の穴くらきを連ね紅葉狩 吉田汀史
奥谿に紅葉の火の手あがりけり 飯村寿美子
復路には往路の木影草紅葉 一枝伸
紅葉踏む武家屋敷なる外厠 大山夏子
白樺に火巻きのぼるや蔦紅葉 岡田日郎
いつぽんは鬼より紅し紅葉狩 鍵和田[ゆう]子
いてふもみぢ眩し壮齢いくばくぞ 上井正司
早紅葉や出雲の神は地の名負ふ 河野頼人
素焼窯火止めしよりの柿紅葉 神原栄二
紅葉狩しつつ命の砂時計 品川鈴子
渓水に終止符はなし初紅葉 柴田いさを
ロープウエー這ひ上る紅葉駈け下る 駿河岳水
もみぢ一葉風が供へし一茶の碑 高橋克郎
蔦紅葉逸りし風の駈け上る 高橋青塢
谷紅葉身投げをさそふ極彩色 田中保
中州とも岸ともつかず草紅葉 山縣輝夫
紅葉狩まづ西行の歌碑めざす 山田春生
義仲の声す照葉の峠往く 山本富万
遠目して塩の道ある紅葉かな 吉本伊智朗
落人邑紅葉ゆるがし夕日落つ 脇本星浪
身を包む紅葉深き出羽三山 飯野榮儒
紅葉して大樹静かな息を吐く 池田琴線女
天空へ絶唱おくる大紅葉 岡井輝生
一世一瞬山の紅葉の中にゐて 小林草山
散紅葉踏みゆくかぎり径外れず 艸地人
安心や紅葉がへくそかづらにも 竹本健司
かなしいなあ我家のいっぽんの紅葉 田中陽
振袖の吹かれ売らるる菱紅葉 戸田和子
目に浮かむひかり一粒紅葉映ゆ 仁科文男
暁の紅葉黄葉の間に高嶺 畠中じゆん
千代紙の朱色に櫨の紅葉かな 茂木連葉子
大和はも蹴鞠の庭に散る紅葉 渡辺恭子
鬼界への通路のごとく紅葉道 伊津野功一
ゐのししの出る山の芋黄葉かな 加藤国彦
柿紅葉椎も寄り添ふ芭蕉塚 川崎慶子
受話器置くからだのどこかもみじして 岸本マチ子
みづうみに綺羅あるごとく紅葉鮒 庄山章信
風音は義仲のこゑ谷紅葉 高橋悦男
紅葉燃ゆ淋しさ溜める湖の底 伊達甲女
叱られにゆく黄泉までを草紅葉 手塚美佐
草紅葉大魚そののち現れず 友岡子郷
碁がたきの熟考長し蔦紅葉 中本郷顔
楢黄葉憂き日も水は鏡なす 西尾一
空知川もみづるいろに峡を出づ 深谷雄大
ぎつしりと星紅葉山まっくろに 藤本草四郎
宝塔へ伸びしひと枝初紅葉 八染藍子
吉右衛門来てゐるさぬき薄紅葉 山田弘子
深吉野の紅葉かつ散る下校かな 山本洋子
初紅葉高き空より日の匂ふ 石井保
みあかしを継ぐ叡山の紅葉寒 伊藤敬子
禁制の火の美しき紅葉狩 伊藤通明
大勢にまぎれて入る紅葉山 宇多喜代子
哲学の話も少し紅葉狩 柏原眠雨
紅葉してみたいと思う峡の岩 加藤光樹
紅葉山秘中の色をまだ見せず 木内彰志
水分の神へ火走る蔦紅葉 岸原清行
路地棲みの槐太抱きしもみじの木 熊田侠邨
わが死はいつもみぢて深き山の黙 鈴木昌平
秘仏とて照葉あかりに拝しけり 高村寿山
紅葉焚くわが晩年に見ゆるは何 畑稔
噴水の根もと煙れり桜紅葉 星野恒彦
黄落の火種とおもう赤ん坊 前川弘明
遠のいてゆくもの恋ふる紅葉谿 松村多美
石鎚の北壁にして紅葉づれる 松本博之
黄葉や白樺樹林五百本 水見壽男
肝胆のごとき二タ山薄紅葉 矢島渚男
克く忠になどと習いき草もみじ 池田澄子
草紅葉して一天の高まりぬ 磯直道
全長を見せて紅葉の中の瀧 今瀬剛一
蔦紅葉おのれの歳忘れをり 岩淵喜代子
大歩危も小歩危も容れて谿もみぢ 岡田守生
沼は青き色のみを吸ひ紅葉中 加藤瑠璃子
箒草ゆめみるやうにもみづれり 木附沢麦青
紅葉見て燃やす命の持時間 中嶋秀子
建立の句碑に紅葉も三十瀬なる 磯野充伯
今生の紅葉且つ散るかくも散る 榎本好宏
義仲や臓腑のごとき紅葉山 大串章
草紅葉きのふは柩通りたる 大峯あきら
渓紅葉真紅の妻のふり返る 落合水尾
灯がひとつ紙漉く谷の夕紅葉 栗田やすし
一葉の紅葉沈めて淵澄めり 後藤春翠
血のごとき難所の紅葉迫りけり 佐久間慧子
照紅葉風の祓ひし鏡池 関森勝夫
大内菱の山門の幕紅葉に映ゆ 高井去私
紅葉かつ散るうつ伏せに佐渡情話 高岡すみ子
照紅葉谷に谺の美辞麗句 高橋綾子
桜紅葉蹤きゆくことの寧からず 永方裕子
山紅葉仕上げの色にほど遠く 檜紀代
能舞台映す水面や薄紅葉 宮井保彦
もみづるや日暮の昏さとも違ふ 宮坂静生
手に拾ふまでの紅葉の美しき 和田順子
銀杏黄葉祭りのごとく夜明けたる 雨宮きぬよ
踝を翁のほむる紅葉かな 大石悦子
白神の黄葉冷またなつかしき 黒田杏子
ひとひらの紅葉両手でうけとめる 酒井弘司
山紅葉手を洗ふほど繚乱に 佐藤麻績
紅葉の激しき一樹吾が柩 椎名智恵子
紅葉山上りの道にある下り 須川洋子
暮れゆけば一笛いれたし紅葉山 藤沢紗智子
水に浮く紅葉に雨の来てをりぬ 藤田あけ烏
薄紅葉即身仏の笑み深き 松田ひろむ
紅葉且散るピエロの三角帽子かな 望月百代
全山の紅葉照るとき男透く 森田智子
山ざくらもみぢのときも一樹にて 茨木和生
夕紅葉柾目正しき男下駄 笹瀬節子
紅葉かつ散る昼月は水を登る 塩野谷仁
氷河照る*やくの牧場の草紅葉 白井眞貫
藁焚いて藁立ちあがる紅葉の山 瀧春樹
餌付栗鼠空飛んで来る紅葉晴 棚山波朗
ブランコの木首吊りの木紅葉す 中嶋鬼谷
満天星紅葉地に硬質の水流れ 若泉真樹
怒るやうにアメリカ楓の紅葉かな 飯野幸雄
光らずに散る存分に紅葉して 伊藤政美
紅葉かつ散り日輪のしらじらと 大崎紀夫
紅葉山茶屋の跡地の若木かな 大崎康代
もみぢもみぢもみぢの山へ合掌 岡田史乃
紅葉谷といふところより人来る 倉田絃文
吊橋を拒む馬あり初紅葉 菅原鬨也
玄室に臥て堪へがたきまで紅葉 竹中宏
もみぢ且つ散りて山号虎渓山 長谷川久々子
円窓の外彩りの影紅葉 三木星童
初紅葉山伏笙を習ひをり 阿部月山子
湖心へとさかしまに墜つ*ぶなもみぢ 佐藤喜孝
列島の背骨鳴らして黄落す 野ざらし延男
もみづるや高脚蜘蛛のゆく畳 古田紀一
照紅葉確かにありぬ魚の道 松井国央
猩猩も来てゐる雑木紅葉かな 九鬼あきゑ
血曼荼羅蔵し霊峰もみいづる 澤井洋子
滝紅葉水は激しく睦みあふ 鈴木貞雄
この年は何捨てる年紅葉山 鈴木太郎
紅葉の養鰻池の骨と皮 中村和弘
館内はマーラーに沸き蔦紅葉 水田むつみ
山中の水音いそぐ紅葉かな 山崎千枝子
吊榾に紅葉吹雪の嗚咽かな 阿部佑介
しゆるしゆると狼煙あがりし紅葉谿 石寒太
夕紅葉樹下は慕情の湧くところ いのうえかつこ
一葉にはじまる漆紅葉かな 島村正
誰よりも紅葉に遠くをりにけり 中村正幸
雨上がり白膠木紅葉は木の女 鳴戸奈菜
悲話の沼鮮血なせる紅葉とも 源鬼彦
水に描くやまと言の葉ちりもみぢ 向田貴子
吊橋のつなぐもみぢと紅葉山 佐野聰
嚇つと照る紅葉や鬼女の高笑ひ 嶋田麻紀
鹿鳴けり紅葉の絵札のなかにゐて 高島征夫
五、六歩は友から離れ紅葉山 坪内稔典
紅葉且つ散る生まれなかつた子供達 寺井谷子
明るさの暗さの銀杏黄葉かな 行方克巳
信心の背中の広し夕もみぢ 山尾玉藻
北面を捨てし西行片紅葉 山田六甲
紅葉冷えきし閻王の業秤 加古宗也
父戻るかも紅葉のどまんなか 河村正浩
ストレスの強きものより紅葉す 佐藤文子
紅葉山鬼も天狗もをりにけり 高橋将夫
をとこにも少しの妬心草紅葉 谷中隆子
紅葉や熊焼の串ずいと出し 辻桃子
息すれば紅葉且散る信濃かな 戸恒東人
いつよりの男盛りや紅葉山 波戸岡旭
紅葉かつ散りつぐ池地の埓もなく 朝妻力
神々の呼吸紅葉の中に聴く 岡村行雄
伏す鹿の耳怠らず紅葉山 小島健
紅葉散る朝日のふれしところより 西山睦
影を濃く桜紅葉と川燈台 野木桃花
ひとひらも散らず水へと張る紅葉 松尾隆信
紅葉山だんだん足が長くなる あざ蓉子
近づけば暗黒であり大紅葉 高野ムツオ
樹より樹へ飛び火のごとき蔓紅葉 橋本榮治
紅葉を深むる水に打たれけり 山崎十生
ぽつねんと遍路坐しけり遠紅葉 井上論天
さらさらとわが血流るる朝紅葉 岩岡中正
紅葉山生ある限り好機あり 大関靖博
阿修羅像胸に紅葉の燃え立てり 大竹多可志
岩苔に水のふくらみ谿紅葉 杉本艸舟
黄落や若狭の寿司の貝づくし 須佐薫子
離乳粥少し固めに初紅葉 辻恵美子
黄葉を来て黙契の墓二つ 小澤克己
落葉松黄葉ときをりを便りして 折井紀衣
絵巻よりひとりを加へ紅葉狩 柴田佐知子
紅葉見るこころ大いにむなしかり 島谷征良
錆びながら腸煌煌と紅葉狩 高原耕治
瞳閉ぢ紅葉一葉を記憶せり 戸松九里
全山へ紅葉導火の蔦一縷 能村研三
あかんぼの笑ひ声する草紅葉 火箱游歩
婚整ふ桜紅葉の明り取り 森岡正作
紅葉酒耳がもつとも覚めている 山口剛
桜枝垂れて紅葉の冬に堕ちてゆく 秋尾敏
大英和辞典紅葉入れぼむと閉づ 今井聖
荒涼と人間居りぬ紅葉山 奥坂まや
夕紅葉もの言ひやめてゐたりけり 河内静魚
高野先生!信濃の紅葉好きですか 筑紫磐井
黒姫山へ尾を曳く葡萄紅葉かな 水田光雄
掃くほどに言の葉紅葉ちりぢりに 中原道夫
紅葉やレントゲン車の影に立つ 三浦加代子
水草にはじまる園の紅葉かな 片山由美子
叡山を去りゆく時も紅葉冷え 星野高士
色見草より妻恋草の一日かな 林桂
七転び八起き紅葉になりきれず 松澤雅世
山彦の棲む谷々の薄紅葉 三村純也
上に橋下に橋ある紅葉渓 山本一歩
ひとひらの雲が頭上に紅葉山 稲田眸子
樹の命冷やかにして紅葉かな 長谷川櫂
紅葉燃ゆ一羽の鳥も啼かぬかな 和田耕三郎
もみづれるそこに雉子の尾が見えて 佐々木六戈
紅葉に誓つてこれが最後の嘘 福本弘明
薄紅葉淵のいろくづ日のつつむ 小澤實
偲ぶこと多き秋月濃紅葉に 稲畑廣太郎
クリップで閉ぢられてゐる紅葉かな 島田牙城
日がさせば天のものなる紅葉かな 藺草慶子
よき友はものくるる友草紅葉 田中裕明
震源の遠きにありて紅葉山 中田美子
晩年さながら紅葉を貪りぬ 櫂未知子
夕紅葉色を失ふ時来たる 岩田由美
神鏡に桜紅葉の揺れどほし 上田日差子
紅葉してゐるや茶色に紫に 岸本尚毅
化けの皮ふつとぶ紅葉颪かな 仙田洋子
桜紅葉そのまま風に燃えにけり 林誠司
紅葉狩とはひたすらに歩むこと 黛まどか
かの世よりたまはる紅葉明かりかな 越村蔵
サワグルミ端正な葉のもみずれり 高澤良一 素抱
メイプルのもみぢ押し葉にして機内 高澤良一 ぱらりとせ
諸鳥のこゑも染るやもみぢ御所 高澤良一 宿好
大覚寺
さるすべりもみぢ見ながら渡り廊 高澤良一 宿好
落柿舎の虫喰いもみぢ栞とす 高澤良一 宿好
一葉よりもみぢ始まる曼珠院 高澤良一 宿好
葉末よりもみぢ始る詩仙堂 高澤良一 宿好
永観堂
心鏡に写し参らむ照もみぢ 高澤良一 宿好
つまらなき色して梅のもみぢ葉は 高澤良一 随笑
実習の指圧のいろはもみぢの手 高澤良一 素抱
不細工は不細工なりにもみづれり 高澤良一 宿好
虫瘤ももみづる頃となりにけり 高澤良一 宿好
雨の柿人間くさくもみづれり 高澤良一 宿好
色鳥来これだけ森のもみづれば 高澤良一 随笑
ロッジ風湯宿丸太ももみづるか 高澤良一 寒暑
日光沢しぶける岩ももみづらん 高澤良一 寒暑
秋楡のもみづる日比谷公会堂 高澤良一 素抱
天下の險もみづるにせよせぬにせよ 高澤良一 石鏡
人體展もみづるものに骨格筋 高澤良一 石鏡
そこはかともみづる沼の名無し草 高澤良一 石鏡
てっきりもみづる筈の漆が小火程度 高澤良一 石鏡
おびんづるさまに前山紅葉して 高澤良一 随笑
同型の楓紅葉の全しや 高澤良一 随笑

塩原高尾辞世句 寒風にもろくもくつる紅葉かな
雪に上に高尾ゆかりの寺紅葉 高澤良一 寒暑
檜原湖
湖畔亭紅葉そこそこ客そこそこ 高澤良一 石鏡
ポスターに紅葉づる鎌倉始発駅 高澤良一 石鏡
これはこれでと云ひつゝ桜紅葉褒む 高澤良一 石鏡
紅葉冷猛禽類は眼をつぶり 高澤良一 石鏡
孫美雨
吾に優るもみぢ葉拾ひ来て見する 高澤良一 石鏡
雨ありて一色増しぬ山紅葉 高澤良一 石鏡
鳩ノ巣渓谷
紅葉谿手すりがありて大助かり 高澤良一 石鏡
紅葉づれる断崖秩父古成層 高澤良一 石鏡
紅葉川聞けばカヌーで下るとよ 高澤良一 石鏡
鳩ノ巣の紅葉愛でつゝ見ず知らず 高澤良一 石鏡
紅葉冷え薄着後悔してみても 高澤良一 石鏡
二つ目の吊橋ここも紅葉佳し 高澤良一 石鏡
山女釣れ紅葉に腹を返しけり 高澤良一 石鏡
滝見茶屋ざっくばらんな紅葉かな 高澤良一 石鏡
油瀝青(アブラチヤン)紅葉づる日原街道ゆく 高澤良一 石鏡
山寺の紅葉の日照時間かな 高澤良一 石鏡
明るさは桜紅葉に優る君 高澤良一 石鏡
大巌が行く手を塞ぐ紅葉川 高澤良一 石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-10-09 00:03 | 秋の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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