やや寒 うそ寒

やや寒 うそ寒

例句を挙げる。

*こまい編む素建見て過ぐうそ寒き 内田百間
「模聞雅話(ももんがわ)」鬼の角切りうそ寒し 高澤良一 燕音
いたつきの泣き顔変る秋寒し 林原耒井 蜩
うそ寒うあけびの蔓の絡みあふ 渡辺桂子
うそ寒う昼めし喰ぬ煤払 高井几董
うそ寒きラヂオや麺麭を熱がしけり 石田波郷
うそ寒き報捨の米や一握 村上霽月
うそ寒き易者が顔や市の風 浜田波静
うそ寒き雨の寺苑をゆき戻り 小野 久仁子
うそ寒き顔瞶め笑み浮かばしむ 岸田稚魚
うそ寒くふぐり匿ふ衾の中 小林康治 玄霜
うそ寒くゴルフ談議の辺に侍すも 草間時彦
うそ寒く擁くも古りぬ明日ありや 小林康治 玄霜
うそ寒く本土キツネに覗かるる 高澤良一 鳩信
うそ寒く楽は歓喜の主題に入る 田川飛旅子 花文字
うそ寒く生涯の友となりゆくか 清水基吉 寒蕭々
うそ寒く眠気さすなり飯のあと 冬葉第一句集 吉田冬葉
うそ寒く読み終へぬ雨月物語 高橋淡路女 梶の葉
うそ寒く閉づる朝刊同病死 相馬遷子 山河
うそ寒し体温計を脇挟み 高澤良一 素抱
うそ寒し紐いつぽんの白衣被て つじ加代子
うそ寒といひつゝ字引ひきて見る 星野立子
うそ寒にくさめ七十二回かな 稲畑廣太郎
うそ寒のしだいに暗く寺を辞す 岩垣子鹿
うそ寒の口にふくみて小骨とる 飯田龍太
うそ寒の島の灯や島々の灯や 石塚友二
うそ寒の忍び足なり烏骨鶏 堀口星眠 営巣期
うそ寒の楽屋に落す化粧かな 大星たかし
うそ寒の母の孤愁を感じをり 老川敏彦
うそ寒の毘羯羅(びから)大将より拝観 高澤良一 さざなみやっこ
うそ寒の水銀玉となりたがる 和田悟朗
うそ寒の湯揉み赤帯赤湯文字 高澤良一 随笑
うそ寒の爪先に落ち真赤な葉 鷲谷七菜子 花寂び 以後
うそ寒の花蝕める桔梗かな 高橋淡路女 梶の葉
うそ寒の身をおしつける机かな 渡辺水巴 白日
うそ寒の頬つりあがる円空佛 高澤良一 素抱
うそ寒の顔つゆ寒の袂かな 草間時彦 櫻山
うそ寒の驛吐かれ出づ旅ひとり 石塚友二
うそ寒むやねむりて明かし船溜り 小林康治 玄霜
うそ寒やひともすまでの部屋の闇 鈴木真砂女
うそ寒やめしを炊いてる幇間 龍岡晋
うそ寒や一語に出鼻くじかれて 川村紫陽
うそ寒や不断ふすぼる釜の下 椎本才麿
うそ寒や乱れて続く通夜の列 乙武佳子
うそ寒や只居る罰が今あたる 一茶
うそ寒や夜更寝餘る病み上り 安斎櫻[カイ]子
うそ寒や奈良井の水場辻ごとに 伊東宏晃
うそ寒や屍のごとき妻を抱き躓く 小林康治 玄霜
うそ寒や山下りて来し馬の顔 大岩吟公子
うそ寒や持薬加へて旅かばん 毛利友美
うそ寒や日の出待つ間の浪の音 高橋淡路女 梶の葉
うそ寒や横むく貌の人体図 辻 文治
うそ寒や畳にをどる影法師 木歩句集 富田木歩
うそ寒や継ぎ目ばかりの出土壷 斉藤東風人
うそ寒や耳うすければ運うすく 野村喜舟
うそ寒や自画像ばかり売れ残る 仁平勝 東京物語
うそ寒や艪臍の泣くに潮食はす 高田蝶衣
うそ寒や草の根這へる裏の山 永田耕衣
うそ寒や蚯蚓の唄も一夜づゝ 一茶 ■文政二年己卯(五十七歳)
うそ寒や親といふ字を知てから 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
うそ寒や障子の穴を覗く猫 富田木歩
うそ寒や黒髪へりて枕ぐせ 杉田久女
うそ寒をかこち合ひつゝ話しゆく 高浜虚子
稍寒の投函の音聞いて去る 高澤良一 随笑
秋小寒地魚まとめ買ひしたり 高澤良一 石鏡
魚(うを)にもある唇やや寒覚えけり 高澤良一 暮津
くりからの小うそ寒しや雲の脚 路通
やや寒きことも親しや新居訪ふ 深見けん二
やや寒き雨の東京滞在に 稲畑汀子
やや寒く人を覗ふ鼠かな 乙州
やや寒く南へ抜ける北の音 田川飛旅子
やや寒く山見てゐしが歩き出す 関戸靖子
やや寒く投薬を待つなべて老 関口あつ子
やや寒く曳かれて伸びる牛の鼻 田川飛旅子 『植樹祭』
やや寒く箸のせてある置手紙 友岡子郷
やや寒く謙信公を祀りたる 八木林之介 青霞集
やや寒し蝶が羅漢の目をふさぐ 本田ひとみ
やや寒し雀鳴く度身を緊めて 香西照雄
やや寒のセーター匂ふナフタリン 風生せん 吉屋信子
やや寒の今日の始まるお味噌汁 外山智恵子
やや寒の凛と役者の素顔あり 横田欣子
やや寒の同じ頁に執しをり 太田 昌子
やや寒の壁に無髯の耶蘇の像 中村草田男
やや寒の夜汽車に立ちしままの旅 横原律子
やや寒の指輪忘れし薬指 小松世史子
やや寒の朝湯文人気分かな 高澤良一 随笑
やや寒の病棟に炊く冬瓜汁 小島千架子
やや寒の笛に唇あて能役者 角川春樹
やや寒の色を濃くしぬ絵鍋島 基吉
やや寒の象に曳かるる足鎖 秋元不死男
やや寒の頬突いて出す紫煙の輪 秋元不死男
やや寒の鯉にゆらりと鯉寄りて 高澤良一 さざなみやっこ
やや寒の鳥ごゑ聞いて起き出せり 高澤良一 素抱
やや寒の麒麟のかほに日はありぬ 山上樹実雄
やや寒み襟を正して座りけり 正岡子規
やや寒や一人世帯の土間の下駄 鈴木真砂女
やや寒や日のあるうちに帰るべし 高浜虚子
やや寒や朝から日さす端山寺 吉武月二郎句集
やや寒や素通りをせし郵便夫 千代
やや寒や船の中なる船の影 坤者
やや寒や高きところの薬箱 栗島 弘
入相をつく~ぼうし秋寒し 百万
八手咲くうそ暖くうそ寒く 相生垣瓜人 微茫集
円空の千手かんのんさん秋寒 高澤良一 素抱
夜やや寒なりし手のおきどころ 冬の土 宮林菫哉
寒さやや父より届く辺塞詩 下山田禮子
手に通す肌着やや寒いよいよや 高澤良一 素抱
水はけをうそ寒く土削りけり 内田百間
水上にアザラシの息うそ寒し 高澤良一 鳩信
水族館やや寒人の声こもる 深見けん二
渋柿は渋にとられて秋寒し 正岡子規
病める鯉ゆらりと浮きて秋寒し 安斉君子
秋寒う日常の餉につきにけり 飯田蛇笏 雪峡
秋寒き天狗笑ひに坊更くる 上田五千石
秋寒くなりゆく竹を愛すなり 角免栄児
秋寒く胡坐をかくと倒れさう 桑原三郎 龍集
秋寒し一茶の句碑の屈みぐせ 西野敦子
秋寒し子の捨て去りし膝の椅子 上田日差子
秋寒し此頃あるる海の色 夏目漱石
秋寒し満天星紅をなさず散る 林原耒井 蜩
秋寒し藤太が鏑ひびく時 蕪村
秋寒の比叡の小僧や吾を待つ 高木晴子 花 季
秋寒むや行先々は人の家 一茶 ■享和三年癸亥(四十一歳)
秋寒や愛ゆゑ妹が顔をうつ 飯田蛇笏 雪峡
秋寒や行く先々は人の家 一茶
稍(やや)寒の鏡もなくに櫛る 夏目漱石 明治四十三年
草津うそ寒とんだ熱さの掛湯浴ぶ 高澤良一 随笑
身籠りてわが身大事ややゝ寒く 稲畑汀子
鐘楼のなかの地獄絵うそ寒し 福田甲子雄
鯛切れば鱗眼を射る稍(やや)寒み 夏目漱石 明治四十三年

うそ寒しプラストミックてふ手法 高澤良一 石鏡
✳︎組織や器官を出来るだけ生きている状態に保存する技法

倣漱石(仏性は白き桔梗にこそあらめ 夏目漱石)
佛性はここにうそ寒神経網 高澤良一 石鏡

うそ寒の犀に向ひてグッドバイ 高澤良一 石鏡
うそ寒の厨に水の吸はるゝ音 高澤良一 暮津

以上
by 575fudemakase | 2014-10-21 00:40 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)
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次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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