例句を挙げる。

あれませる一言主や大嚏 五島高資
くさめせり生れて一日目の嚏 辻田克巳
こらへゐる嚏怖しぎっくり腰 高澤良一 寒暑 
それまでは褒めてゐたりし大嚏 中戸川朝人 尋声
つづけざまに嚏して威儀くづれけり 高浜虚子
とゞまりて嚏をしたり江のほとり 山口誓子
なほ出づる嚏を待てる面輪かな 山口波津女
わが嚏霧の彼方に響くかな 久米正雄 返り花
一瞬に天地引きよせ嚏せり 能村研三
七人の敵を新たに大嚏 小島健
中興の蝶夢法師の嚏堂 高澤良一 燕音 
二つめはややわざとらし大嚏 川村紫陽
又ひとつ烏賊の嚏や籠の中 岡田耿陽
口開けて次の嚏を待てる顔 長尾樟子
吊革に夫の嚏を恥ぢてをり 岡田和子
哲學も科学も寒き嚏哉 寺田寅彦
啓蟄や皮膚敏感に嚏する 阿部みどり女 月下美人
嚏しておのれも朝ゆ風邪ごころ 石塚友二 光塵
嚏してつぎの嚏の残る顔 中川弘陽
嚏して仏の妻に見られたる 森澄雄 所生
嚏して佛像の首の鼻におどろく 栗林一石路
嚏して円空仏と別れけり 庄司圭吾
嚏して境内広き一の宮 上井みどり
嚏して夜の外出をとどめらる 白岩てい子
嚏して天神の鈴鳴らしけり 林原和枝
嚏して山の長者になりきれず 丸山佳子
嚏して心棒ずれし心地なり 深澤厚子
嚏して想ふ人の名遠きかな 石塚友二 光塵
嚏して戸口去りけり厄払ひ 佐々木沙城
嚏して木曽山中と知らすなり 松山足羽
嚏して東京駅をおどろかす 乾鉄片子
嚏して母がとほのくばかりなり 寺嶋定子
嚏して湯ぼてり菩薩の顔ハチャメチャ 高澤良一 素抱 
嚏して犬通りけり麦埃 内藤吐天 鳴海抄
嚏して現場検証終りけり 徳永茂代
嚏して私学講師の休みなし 中村 一維
嚏して立ちよろめきし牡丹の前 稲垣きくの 牡 丹
嚏して箱根神社と知れ渡る 松山足羽
嚏して美貌すこしもそこなはず 葛山たけし
嚏して聖イグナチオ天主堂 古舘曹人 樹下石上
嚏して虚子先生を掌中に 黒田杏子 花下草上
嚏して長松羽子を落しけり 蘇山人俳句集 羅蘇山人
嚏して鼻*かんで父亡き此の世 藤田湘子 てんてん
嚏と同時飛び出し沼鼬 松山足羽
嚏ふとあとは稲妻の月夜かな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
嚏また嚏や合の米ひかる 西東三鬼
嚏や硝子おどろく闇の果 石塚友二 光塵
嚏一つ極楽坊にこぼしけり 清水利子
嚏一つ正法眼蔵すら虚し 鈴木六林男 *か賊
嚏一つ蓑虫庵にのこし来し 大橋敦子 匂 玉
嚏一つ身過ぎ世過ぎの下手なりけり 小松崎爽青
嚏一つ黄檗山を俗界に 間渕うめ子
大嚏して持ち時間また減らす 行方克巳
大嚏して森閑と一人住む 松尾 立石
大嚏些事にこだはる人の前 川村紫陽
大嚏末座へ視線集めたる 尾関禽虫魚
太陽も軌道を外れん大嚏 高澤良一 宿好 
太陽をにらみしゆゑの嚏かな 藤本草四郎
山冷に嚏飛ばせば蒿雀たつ 田村萱山
川下に二日月ある嚏かな 山口草堂
巻尺の音立てちぢむ嚏かな ながさく清江
微動もせぬ雪峰に負けし夫の嚏 殿村莵絲子 牡 丹
曲り角風を喰らひて大嚏 高澤良一 宿好 
月の中の厠の中の嚏かな 野村喜舟 小石川
月の夜の橋こつじきは嚏こぼして 人間を彫る 大橋裸木
杉花粉核の世に嚏充満す 小檜山繁子
涅槃図の前勿体なの大嚏 大橋敦子 勾 玉以後
減反の会議の隅の大嚏 松倉ゆずる
炉話の鼻をこそぐる嚏かな 阿波野青畝
炭を焼く男の嚏山をとぶ 只野柯舟
猪が嚏し吾も嚏する 津田清子
瓜の香にきつね嚏る月夜かな 白雄「白雄句集」
瓜の香にきつね嚏月夜かな 加舎白雄
生れ出でゝ寒さ知りける嚏かな 中島月笠 月笠句集
産小屋に顔を入れたる嚏かな 森田公司
盆灯を吊りし厠に嚏入り 萩原麦草 麦嵐
神将の視線を意識して嚏 橋本博
算用の心細さに嚏るか 石塚友二 光塵
纜のきしめば嚏さそはれて 桂樟蹊子
美しき眼をとりもどす嚏の後 小川双々子
老いすぐに寒に応うる嚏や 今井竜蝦
老体に月光沁みし嚏かな 藤田湘子 てんてん
荒法師などの如くに嚏する 相生垣瓜人 明治草抄
蕎麦掻や嚏ひとつの鍋を掛く 石川桂郎 高蘆
行水の稍稍温かりし嚏かな 会津八一
裔ありて嚏りとばす恋一つ 小林康治 玄霜
録音の嚏冬夜の親しさあり 村越化石 山國抄
長女のみ父系の顔をして嚏 佐川広治
雨に濡れ戻りて嚏つゞけさま 吉良比呂武
雪嶺の佐渡の吹つ飛ぶ大嚏 小島 健
くつさめに飛びつかれたる思ひあり いのうえかつこ
くつさめの跡しづかなり夏の山 野水
これきりと思ふくっさめ飛ばしけり 高澤良一 ぱらりとせ 
数へられゐたるくつさめ三つまで 伊藤白潮
東京にくつさめ一つ到着す 山田みづえ
うそ寒にくさめ七十二回かな 稲畑廣太郎
くさめしてもとの美貌にもどりけり 木野綾子
くさめして後やはらかき赤児の息 宮下白泉
くさめして我はふたりに分れけり 阿部青鞋
くさめして沼一枚とのこりけり 小泉飛鳥雄
くさめして炎天老うる齢ならず 冨田みのる
くさめして見失ふたる雲雀哉 横井也有 蘿葉集
くさめして貧乏神を吹きとばす 川島一紀
くさめして鶴の番人孤独なり 成瀬櫻桃子
くさめせり生れて一日目の嚏 辻田克巳
くさめ聞く寒さうつりや十夜堂 皆吉爽雨
さむきぬかるみのくさめが涙となりし 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
みどりごの顔いつぱいのくさめかな 佐々木良子
三日月の切つさきふるふくさめかな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
切通し蜑がくさめのこもりたる 佐野まもる 海郷
厠もる誰かのくさめ杉の花 鈴木鷹夫
大いなるくさめを一つ女かな 上地 和子
寄生木やくさめとどきし夕鴉 桂樟蹊子
寒天の日輪にくさめしかけたり 臼田亞浪 定本亜浪句集
寒食や猫のくさめのあまたたび 会津八一
山に向きくさめ一つの冬谺 村越化石
手うつしの嬰がくさめをすることも 長谷川双魚 『ひとつとや』
歌仙一巻うら何句目のくさめかな 小杉余子 余子句選
水鼻にくさめなりけり菊紅葉 其角 九 月 月別句集「韻塞」
炎天の馬くさめせり瓦斯行きて 田川飛旅子 花文字
炭箱に顔さし入れてくさめかな 富田木歩
船頭のくさめに騒ぐ千鳥かな 也有
金柑を煮てゐてくさめしてをりぬ 森田公司
風花は千万くさめ一つ出づ 堀口星眠 樹の雫
黄表紙のうがち欠けたる世とくしゃみ燕音
くしゃみして十一月に入りにけり燕音
「へくしょん」の大盤振る舞ひ致しけり  高澤良一  宿好
大河内伝次郎くしゃみして冒頭  高澤良一  寒暑
慣れっこなってしまひぬ大嚏  高澤良一  石鏡
新聞でくっさめ一つ囲ひけり  高澤良一  暮津

以上
by 575fudemakase | 2014-12-05 00:28 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
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▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

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表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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