例句を挙げる。

あら海や鯨の帰る身づくろひ 水田正秀
いかめしや鯨五寸に年忘れ 樗良
いくとせを鯨と呼ばれ陸の奥 鈴木六林男 悪霊
いつの生か鯨でありし寂しかりし 正木ゆう子
うららかや鯨図鑑の小さな目 矢島渚男 梟
おくんちのカラクリ鯨潮を吹く 高澤良一 燕音 
おのおのの喰過がほや鯨汁 几董
お使ひはさらし鯨よ爺ちゃん子 高澤良一 宿好 
お物師や星を唱ふる鯨さし 泰 清
お長屋の老人会や鯨汁 子規句集 虚子・碧梧桐選
か、か弱い 鯨の耳を噛んでみる 坪内稔典
かなかなや沖で鯨もきいている 中川二毫子
かゝり居しが去にしを知らず鯨船 尾崎迷堂 孤輪
くろがねの鍋の分厚き山鯨 山崎幻児
ことごとく老いて鯨の煮ゆる昼 攝津幸彦
この浦の鯨の墓に舸子案内 向野楠葉
さみだるる沖にさびしき鯨かな 仙田洋子 雲は王冠以後
ひたすらに煮つまってゆく鯨鍋 宇多喜代子
めいっぱい踊り場使ひ鯨曳 高澤良一 燕音 
もてなしの鯨はほめて清水かな 幸田露伴 拾遺
やがて死ぬ鯨のように樟若葉 坪内稔典
れんぎように巨鯨の影の月日かな 金子兜太 皆之
われ鯱となりて鯨を追ふ月夜 真鍋呉夫
をの~の喰過がほや鯨汁 几董
サルトルや鯨や釘や春の沖 増田まさみ
シーボルト挿し絵に遺す鯨曳 高澤良一 燕音 
レースの波ひそひそ 鯨が来そうな日 伊丹 公子
一番は迯げて跡なし鯨突 太祗
七浦をうるほす山車の鯨曳 高澤良一 燕音 
京に入りて市の鯨を見たりけり 泉鏡花
人つひに巨いさ得ぬる鯨かな 尾崎迷堂 孤輪
低頭に過ぎしひと日の鯨汁 北村直彦
何笑ふて波間に消へし鯨の目 高澤良一 ぱらりとせ 
冬浪の白起つばかり鯨望荘 高澤良一 燕音 
凩に鯨潮吠く平戸かな 夏目漱石 明治二十八年
切売りの鯨・鮪も十二月 鈴木真砂女 夕螢
初汐や鯨の浮ぶ氷見の海 野村喜舟 小石川
初漁の前や手もみの鯨唄 小関芳江
十六夜や鯨来初めし熊野浦 蕪村
反古張の鯨の胴や年の暮 龍岡晋
古墳見て戻りし夜の鯨汁 田村一翠
喝采に潮吹き足らぬ山車鯨 高澤良一 燕音 
噴水遠ク望メバ鯨魚ノ潮吹クカト 高澤良一 鳩信 
土佐沖のヘッドスラッグ鯨の旅 丘本風彦
夏の灯の鯨の本へ乱反射 高澤良一 ももすずめ 
夏潮に鯨きてをりデスマスク 岡田省二
夕日さす波の鯨や片しぐれ 巴人
夜光る鯨のまなこまなむすめ 夏石番矢 神々のフーガ
大きさも知らず鯨の二三寸 子規句集 虚子・碧梧桐選
大南風勇名(いさな)の息をつくやうに 高澤良一 ぱらりとせ 
大小の油目泳ぐ鯨汁 上村占魚 『一火』
大年の海原叩け鯨の尾 遠山陽子
大漁の鯨によごれ銚子町 松藤夏山 夏山句集
大航海時代終りし鯨かな 橋本榮治 逆旅
大風に吹かれて去りぬ鯨売 石井露月
大鯨黄なる西日に曝しけり 松瀬青々
好晴を鯨は潮を吹きにけり 野村喜舟 小石川
子鯨の迷ひ入りたる港かな 川田十雨
宵宵や雌鯨吼ゆる沖の雲 会津八一
寝物語りに鯨の声の小さかり 大石雄鬼
小鯨の前曳(さきびき)祭の子がわーい 高澤良一 燕音 
屠蘇酌むや南海道の鯨守り 広江八重桜
山吹に鯨の海の流れをり 武藤紀子
山巓よ眠る鯨を涅槃とす 久保純夫 聖樹
島の子が鯨が来るぞと春の潮 前川紅楼
店頭や吊りて日をへし山鯨 二木倭文夫
御前が崎馬がたち有り似せ鯨 調和 選集「板東太郎」
情事に似たりこもりて鯨煮ることよ 草間時彦
散らばれる鯨の骨や草の花 長谷川櫂
既に得し鯨や逃て月ひとつ 蕪村遺稿 冬
明易の鯨のこゑといふがやさし 中田剛 珠樹
星月夜鯨親子に旅のあり 上澤樹実人
春愁や鉢曇らせて塩鯨 石塚友二 光塵
晩年は鯨を愛す日の帝 折笠美秋 虎嘯記
普陀落の海の鯨と思ひけり 小枝秀穂女
暁や鯨の吼ゆる霜の海 暁台
暦果つばしやんばしやあんと鯨の尾 田中哲也
曳かれくる鯨笑つて楽器となる 三橋敏雄 まぼろしの鱶
残されて鯨の背骨のごと根雪 高澤良一 燕音 
水温む鯨が海を選んだ日 土肥あき子
水無月や鯛はあれども塩鯨 松尾芭蕉
汐曇り鯨の妻のなく夜かな 蓼太
江の島が鯨に見ゆる冬霞 宮脇白夜
江東区さみだれ電車鯨のようにゆく 橋本夢道 無禮なる妻抄
沈む日に汐吹きかくる鯨かな 谺
沖をゆく青鯨よりもなほ遠く日本はありて常にしうごく 川野里子
注連飾して鯨揚ぐ大轆轤 沖一風
浦人や鯨の油幾日汲む 河東碧梧桐
海いろの変り迷子の鯨跳ね 松本千鶴子
海の幸南の国の鯨猟 奥田彩雲
海峡ほそく凪ぎて鯨のよく通る 水原秋桜子
深夜街鯨のからだがリードしている 佐々木 宏
渋滞のついに鯨に呑まれけり 五島高資
潮吹いて鯨老いゆく春の暮 木内彰志
濤の間に濤ならなくの鯨かな 尾崎迷堂 孤輪
無花果爛熟冷凍鯨肉半ば溶け 吉野義子
牛に乗つて鯨見るなり佐渡の浦 藤野古白
珍しき高知の雪や鯨鍋 西武比古
男荒ぶ 沖に鯨を泳がせて 岸田房子
疲れるな鯨のハムをパンにはさむ 古沢太穂 古沢太穂句集
白浜や紀の国人とみる鯨 久米正雄 返り花
白長須鯨を花に誘ふかな 栗林千津
百余艘鯨に向ふ霰かな 会津八一
盆波のうねり座頭鯨(ざとう)の背のやうに 高澤良一 ぱらりとせ 
盆過ぎの天に巨鯨や衰へず 攝津幸彦
秋風は鯨がちらす鰯雲 一雪
経済学部教室に鯨の尾がある 藤原弘和
絵日記の鯨 漂着 休暇果て 伊丹啓子
繰り出すは屋台鯨の親爺舟 高澤良一 燕音 
能登の浦鯨捕れしと湧き返る 藤浦昭代
船日誌鯨を見ると記しけり 中山稲青
花ぞらに鯨舎(げいしゃ)と登る凌雲閣(じふにかい) 筑紫磐井 婆伽梵
草山や沖の鯨を見に上ぼる 原石鼎
菜の花や鯨もよらず海暮ぬ 蕪村 春之部 ■ 春景
蒼天と碧海にのみ居る鯨 久米正雄 返り花
薔薇一輪鯨のどこに挿しましよう 藤岡筑邨
薫風や朱もあざやかに鯨肉 佐川広治
虎落笛夜は鯨を連れてくる 澤本三乗
蜜柑の国鯨の国の紀州かな 尾崎迷堂 孤輪
血に染まり夕日に染まり鯨裂く 米倉明司
西鶴もたしなみしこの山鯨 成瀬正とし 星月夜
角に切て縄でさげ行鯨哉 松瀬青々
解纜や亜庭の鯨浮き出でぬ 山口誓子
貧厨に鯨肉配給雪が降る 山口青邨
躯こゝに命いづくの鯨かな 尾崎迷堂 孤輪
連翹に巨鯨の影の月日かな 金子兜太
銀漢の尾をふりかぶり鯨割く 崎浦南極
鐘かすむ鯨八千供養の碑 内原陽子
長鯨の海吸ひ盡す汐干かな 会津八一
雁門や鯨さばしる五月雨 露沾 選集「板東太郎」
雄鯨の愛の泪や星あかり 堀口星眠 営巣期
雪の上に鯨を売りて生きのこる 加藤楸邨
雲嶺より鯨を曳いて帰るかな あざ蓉子
電話急鯨とれしと幾度も 新山 武子
霜月や鯨入り来し伊勢の海 宇佐美魚目
霜降や立方体の鯨肉 辻桃子
須弥山説香水海の鯨かな 尾崎迷堂 孤輪
飲食の鯨を沖に日蓮忌 大屋達治 龍宮
高濤に鯨の尾鰭直立す 山崎ひさを
鯨(いさな)とる伊勢よりおこる大南風 筑紫磐井 野干
鯨(いさな)とる荒々しきは伊勢をのこ 筑紫磐井 野干
鯨くる海を遠見に袋掛 高須禎子
鯨とれて婦等絹を買ひにけり 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
鯨にも脚がありきと青蛙 有馬朗人 耳順
鯨のぺニス見ており雪が斜めに降り 長谷川草々
鯨の目大仏の目に似て細し 広瀬香魚
鯨の血流れて海に入り沈む 橋本多佳子
鯨の血流れて砂に溜りけり 吉武月二郎
鯨よる大海原の静かさよ 正岡子規
鯨よる浜とよ人もたゞならず 尾崎紅葉
鯨切るや梯子なんぞを取散らし 野村喜舟 小石川
鯨取り鯨の髭を持ちきたる 瀧澤伊代次
鯨吼えて村に近づく嵐かな 大野洒竹
鯨売りて定る業もなかりけり 長谷川零餘子
鯨売り市に刀を皷しけり 蕪村
鯨売る市井の匹夫身に文す 佐藤紅緑
鯨寄る浜とよ人もたゝならす 尾崎紅葉
鯨捕り黒き腕に夏羽織 前田普羅 新訂普羅句集
鯨捕れて浦の臭さよ實梅照る 前田普羅
鯨来る土佐の海なり凪ぎわたり 今井千鶴子
鯨来る海を背にしてだいこ引く 吉村すず
鯨汁のれんが割れて空青き 岸本尚毅 鶏頭
鯨汁熱き啜るや外吹雪く 大谷繞石
鯨汐船傾きて南進す 柴田白葉女 『冬椿』『遠い橋』『岬の日』
鯨浮く安宅の関に日の当る 野村喜舟
鯨潮船かたむきて南進す 柴田白葉女 遠い橋
鯨煮る雪間の根深引き抜かれ 小林康治 玄霜
鯨突のよろひて立つたる浜辺かな 柳原極堂
鯨肉揚ぐ影が鯨肉に冬日かな 小原菁々子
鯨舟新島守を慰めつ 黒柳召波 春泥句集
鯨船の消息とてはなかりけり 尾崎迷堂 孤輪
鯨船われは舵とる悲しさよ 久米正雄 返り花
鯨裂く血の波返す渚かな 津江碧雨
鯨見えなかったね と タラップ踏む 井上真実
鯨賣市に刀を皷(ナラ)しけり 蕪村 冬之部 ■ 几董判句合
鯨追ふ父よ海ある惑星に棲み 齋藤愼爾
鯨鍋あつし叛骨そそのかす 小林康治
鯨鳴く水族館を出て小雪 対馬康子 愛国
鷹舞ふは鯨括りし松とかや 西本一都
黒潮の騒ぐ匂ひや鯨追ふ 田中化生
龍胆も鯨も掴むわが双手 杉田久女
ロシア船籍二万噸
ラバウルへ南下勇魚のシャリアピン  高澤良一  随笑
高知
絵看板潮噴く鯨が泳いじょる  高澤良一  寒暑
和田浦に遊んで鯨のステーキを  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-12-06 00:57 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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