暖房

暖房

例句を挙げる。

あやとりの川がゆれをり暖房車 本多ちづ子
ざうざうと暖房音も心音も 高澤良一 さざなみやっこ 
みつめられ汚る裸婦象暖房に 西東三鬼
ゆるやかに海がとまりぬ暖房車 加藤楸邨
ポケットベル隣で鳴り出す暖房車 寺岡棲子
一方にのみ押す扉暖房館 津田清子
乗り換えの駅で起こされ暖房車 高澤良一 燕音 
仁丹のにほひ揺れつつ暖房車 白岩 三郎
伊服岐能山畏れてすゝむ暖房車 川崎展宏
倒産の眼もて暖房器の青火 三谷昭 獣身
冬雷に暖房月を湛へたり 飯田蛇笏 霊芝
刀剣の切っ先ならぶ弱暖房 川嶋隆史
大阪の強暖房に身がくもる 右城暮石 上下
始まりし暖房時間あたゝまる 右城暮石 上下
子を抱きし母も眠りて暖房車 菅沢泰子
安房びとの花の荷匂ふ暖房車 塩谷はつ枝
家を恋ふ鼻梁となりて暖房車 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
床起って暖房入れにゆきにけり 高澤良一 さざなみやっこ 
恵那山がもう見えるころ暖房車 所 山花
手をこすりつゝ云ふ暖房入れやうか 高澤良一 随笑 
抱きし子を取り落しさう暖房車 片山由美子 天弓
放送のなき気易さに酔う暖房 長谷川かな女 花 季
放送の英語は女性暖房車 林 瑠美
新しき暖房器具を母と見る 館岡沙緻
暖房がことりと切れて島の影 永末恵子 発色
暖房がどかんと入れりぎっくり腰 高澤良一 寒暑 
暖房が効きて職場の冬多幸 河野南畦 『焼灼後』
暖房なき車中眼を見ひらき合ふ 右城暮石 上下
暖房にゐる幼な児の冷たき手 右城暮石 上下
暖房にビールの酔のいまださめず 久保田万太郎 草の丈
暖房に唇かわく目覚めかな 稲畑汀子
暖房に子笑みてのむコゝアかな 高木晴子 晴子句集
暖房に居て戦話聴く勿体なし 日野草城
暖房に待つことの愛暮れ残り 高澤晶子 純愛
暖房に日比谷公園みゆるかな 久保田万太郎 草の丈
暖房に橋のない川とふ映画 内野 修
暖房に毛皮とそれのレヂスター 中村汀女
暖房に真夜覚めてたゞ一人なる 相馬遷子 山河
暖房に遠く猥語に遠くをり 小池一覚
暖房のすぐ利き過ぎてしまふ部屋 小川立冬
暖房のぬくみ伝はる白い杖 西浦一滴
暖房のぬくもりを持ち鍵一房 有馬朗人 母国
暖房のよくきくエスペラントなり 松澤雅世
暖房のよく利いてゐる赤子かな 橋本榮治 越在
暖房の明るき間より海を見ん 横光利一
暖房の椅子にねむたきぬひぐるみ 西村和子 かりそめならず
暖房の税務署をでて躓きし 藤野基一
暖房の電車に暑く一人びとり 池田澄子 たましいの話
暖房の音みしみしと試し焚き 高澤良一 鳩信 
暖房やされど珠江の水の荒レ 久保田万太郎 流寓抄
暖房やつがれて赤き食前酒 萩原季葉
暖房や人を舞はしむ回転扉 井沢正江
暖房や今日十三日金曜日 久保田万太郎 流寓抄
暖房や地中海的皿の中 加藤郁乎 球体感覚
暖房や大いに咲きて桃の花 田村木国
暖房や崩れてのぞくばらの蘂 秋元草日居
暖房や旅にはじまる私小説 上田日差子
暖房や明日は陸地をはなるべく 横山白虹
暖房や此役所にも生字引 久米正雄 返り花
暖房や母来る頃を見計らひ 朝倉和江
暖房や積木あそびの家が立ち 船越 和香
暖房や糊の香甘き製本場 高井北杜
暖房や絨氈赤く壁は金 京極杞陽 くくたち上巻
暖房や聞くともなしに司書の私語 片山由美子 天弓
暖房や肩をかくさぬをとめらと 日野草城
暖房や花の絵ばかりなる画廊 小久保英子
暖房や葭の衝立扉を隠す 山口誓子
暖房や造花生花のわかちなく 阿部みどり女
暖房や醫局はたれも来てをらぬ 横山白虹
暖房を入れて欲しいと多数決 稲畑汀子
暖房を最強にして語らへど 櫂未知子 蒙古斑
暖房効きバネ抜けしソファをも使ふ 津田清子
暖房完備つまらぬ家となりにけり 那須淳男
暖房車に子の泣声の湧きて醒む 田川飛旅子 花文字
暖房車に髪膚饐えつゝ旅果てず 竹下しづの女句文集 昭和十四年
暖房車乾きし洋傘を巻き直す 内藤吐天
暖房車富士を見しあと子は眠り 渡会昌広
暖房車海離れまた海に沿ふ 池田秀水
暖房車爪先触れてチェロ・ケース 鈴木栄子
暖房車発車す窓を叩き合ひ 右城暮石 上下
暖房車青年チエロを立てて坐す 大山さちを
暖房車高原の日を膝にする 原 柯城
暖房音せはしく朝が始まりぬ 高澤良一 寒暑 
更けゆく夜暖房の奥に海鳴りす 阿部みどり女
漫画読む人にはさまれ暖房車 高見孝子
目覚むれば北上川や暖房車 水原春郎
税務署の暖房暑からず寒からず 相馬遷子 山河
船室の暖房効いて客まばら 下城 宇良
藍染の小店暖房きき過ぎる 金丸直治
袋の上袋重ねて暖房車 高澤良一 宿好 
身ひとつの旅すぐ睡く暖房車 菖蒲あや
コール・ボタンゝと紅くして煖房たり 富安風生
バターよく伸び煖房の食堂車 稲畑汀子
凍花めづ煖房の窓機影ゆく 飯田蛇笏 春蘭
大陸の綺羅星の夜を煖房車 福田蓼汀 山火
屋根に雪のせて煖房車すれちがふ 内藤吐天 鳴海抄
岩波文庫といへども煖房の書肆に漁る 石田波郷
更けて帰れば煖房甘し二階住み 平井さち子 完流
柏原去る煙太の煖房車 西本一都 景色
母と子のこけし顔なり煖房車 野村多賀子
煖房なき車中毛糸を編みつゞく 右城暮石 上下
煖房にいよいよ風邪を意識せる 内藤吐天 鳴海抄
煖房にホテル夜更けの事務をとる 山口波津女 良人
煖房に子笑みてのむコゝアかな 高木晴子 晴居
煖房に汗ばむ夜汽車神詣 杉田久女
煖房に遠き片手はポケットに 高木晴子 花 季
煖房に鍵盤を白く蓋せざる 山口誓子
煖房のきゝはじめたる子を起す 稲畑汀子
煖房のこの家に別れねばならぬ 千原草之
煖房のソファーに吾が輩は猫である 星野紗一
煖房の寺出て町へ菓子買ひに 中嶋秀子
煖房の浜木綿既に蕾上げ 高浜年尾
煖房やレモン搾りし掌を拭かず 内藤吐天 鳴海抄
煖房や人を舞はしむ回転扉 井沢正江
煖房や何をとりにぞ此処に来し 星野立子
煖房や八階にして窓に不二 鈴木花蓑句集
煖房や吏僚それぞれ矜あり 岸風三楼 往来
煖房や地中海的皿の中 加藤郁乎
煖房や地階に歯科のあり降る 岸風三楼 往来
煖房や扉あけてやすむ昇降機 山口波津女 良人
煖房や株主集ふ椅子を置く 山口誓子
煖房や造花生花のわかちなく 阿部みどり女 月下美人
煖房車かつぎ屋の米わが膝下 百合山羽公 故園
煖房車わが旅昨日よりはじまる 山口波津女 良人
煖房車乾きし洋傘を巻き直す 内藤吐天 鳴海抄
煖房車米買女髪撫でて 百合山羽公 故園
煖房車黙せばいつも冨士があり 加藤楸邨
病院の煖房に菌あたたまる 辻田克巳
白地図の国に入りたる煖房車 久保田博
秋すでに煖房宿名モンブラン 河野静雲
組む脚をほどく煖房利いて来し 今井日記子
翳ふかき森にかかりぬ煖房車 有働亨 汐路
護謨の葉の一葉一葉に煖房利く 右城暮石 上下
闇を来しこと明るさと煖房と 稲畑汀子 春光
防風林駆く煖房車骨牌せる 宮武寒々 朱卓
カタコトとスチームが来る室の花 富安風生
スチームとまりし夜の壁の厚さひしと負ふ 原田種茅 径
スチームにともに凭るひと母に似し 石田波郷
スチームに向けばうしろ姿となる 加倉井秋を 午後の窓
スチームのほどよく通り夜の汽車 高木 桐舎
スチームのパイプのかすかなる曲り 加倉井秋を
スチームの甚だ熱し蜜柑むく 市川東子房
スチームや窓に昏れゆく東山 斎藤朗笛
スチームを入るゝ老吏の手順かな 三浦 まさゑ
スチーム寒し光の雨の降る映画 宮坂静生 雹
スチーム熱し眼だけ拭へる車窓のくもり 原田種茅 径
妊り教師スチームよりの妙な暖 楠節子
薄給や汽車のスチームに足掛けて 猿橋統流子
暖房を焚けばあぶれ蚊のこのこと  高澤良一  石鏡
暖房音どすんと耳から温もれる  高澤良一  石鏡
くすくすして漫画に魅入る暖房車  高澤良一  石鏡
あたたかく家族をつつむ暖房音  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-12-10 00:50 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
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▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

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表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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