炬燵

炬燵

例句を挙げる。

あまりにもしづかにすごす炬燵かな 葉山ひろ子
あまり寝る火燵の祖母をのぞきけり 大橋櫻坡子 雨月
いちまいに海荒れてゐる置炬燵 古舘曹人 樹下石上
いとこはとこの似て似ぬ顔の昼炬燵 臼田亜浪 旅人
うすよごれゐる子どもらと炬燵かな 京極杞陽 くくたち下巻
うす~と寝るや炬燵の伏見舟 一茶 ■文政元年戊寅(五十六歳)
うたたねに炬燵蒲團の胸よりは来ず 篠原梵
うたた寝を愉しむ如く炬燵猫 星野こうき
うとうとと炬燵の妻の四日かな 今井つる女
うまれくるものをおもへり置炬燵 太田鴻村 穂国
お稽古のあとの炬燵に夜を更かし 沢田登美江
かの人をここの炬燵に呼びたくて 波多野爽波 鋪道の花
かゝりゐる大堰の舟の置火燵 皿井旭川
きさらぎや火燵のふちを枕本 服部嵐雪
きりぎりす忘れ音に啼く火燵哉 松尾芭蕉
ぐい呑に炬燵酒声なせりけり 石川桂郎 四温
こちを見る床の達磨や盈炬燵 会津八一
こはぜ一つ外してよりの炬燵かな ふけとしこ 鎌の刃
ごまめ吊るす炬燵信濃に母と居て 宮坂静生 青胡桃
ささやかに生き来し炬燵塞ぐなり 亀谷麗水
さめかゝる火燵の天の冴えてあり 安斎櫻[カイ]子
しぐるゝと茶屋の火燵に戻りけり 比叡 野村泊月
じやんけんに負けてしぶしぶ炬燵出る 成嶋いはほ
たましいの脂ぬけゆく炬燵かな 橋石
ちゑの輪は大人の遊び置炬燵 一丸成美
つくづくともののはじまる火燵かな 上島鬼貫
つくづくと偕に老いたり掘り炬燵 藤崎 実
つくづくと出雲訛の炬燵の子 京極杞陽
つくづくと物の始まる火燵哉 鬼貫
つとめよと親もあたらぬ火燵哉 服部嵐雪
づぶ濡の大名を見る炬燵哉 小林一茶
とりどりの九谷にせまき炬燵膳 大島民郎
なきがらのはしらをつかむ炬燵かな 飯田蛇笏 山廬集
なにもかもなにもかも置く炬燵かな 松木年子
なまぬるき炬燵のやうな年なりき 高澤良一 ぱらりとせ 
ねころんで新聞を見る炬燵哉 寺田寅彦
ねんごろに人のすすむる炬燵かな 籾山梓雪
のぞき見し尼の炬燵のはなやかな 藤後左右
はるばると旅をもどりし火燵かな 金尾梅の門 古志の歌
ひさしぶりは東山のふとんのすその炬燵ぶとん(京都) 荻原井泉水
ひとの部屋見廻してゐる炬燵かな 岡本高明
ひとりでも生きられるけど掘炬燵 櫂未知子 蒙古斑以後
ひとり住むよきゐどころや古炬燵 飯田蛇笏 山廬集
ふるさとや炬燵ごもりも一夜二夜 臼田亜浪 旅人
べた凪の晩年を漕ぐ置炬燵 武田和郎
ほこほこと朝日さしこむ火燵かな 内藤丈草
ほこほこと菊の宴の炬燵の火 木村蕪城 寒泉
また父と真向かふ炬燵出しにけり 今瀬剛一
まぼろしと知り果つる世の炬燵かな 尾崎迷堂 孤輪
まん中に炬燵のありて伊勢の宿 小原菁々子
みな違ふことをしてをり炬燵の間 藤岡幸子
むく鳥の一茶漁らむ置炬燵 高澤良一 宿好 
ゆくところ炬燵ありたり風吹けり 長谷川かな女 花寂び
よき衣を着てあたりゐる炬燵かな 山口波津女 良人
よみさしの小本ふせたる炬燵哉 永井荷風
わが炬燵こんもり森より夜が来ぬ 村越化石
われ入るをぬくき炬燵が待ちゐなり 山口波津女
をんな泣きて冬麗日の炬燵かな 飯田蛇笏 山廬集
テレビ見て妻の泣きをる炬燵かな 山内 一甫
トラムプの崩れちらばる置炬燵 高浜虚子
ヨーヨーの炬燵の上に抛うりある 高木晴子 晴居
万両の雨見る熱き炬燵あり 大峯あきら
三千歳を弾かして唄ふ炬燵かな 酒井小蔦
上手より来る舟も又炬燵抱く 阿波野青畝
下かけもいうぜんならし置炬燵 泉鏡花
下京をめぐりて火燵行脚かな 内藤丈草
下戸ひとり酒に迯たる火燵哉 炭 太祇 太祇句選後篇
世の中の炬燵の中という処 池田澄子 たましいの話
世の様の手に取る如く炬燵の間 高浜虚子
並べけり火燵の上の小人形 子規句集 虚子・碧梧桐選
乗りて来し馬を火燵に見つゝをる 河東碧梧桐
京大の起ても寐ても火燵かな 杉山一転
人の情やさしく炬燵あたゝかし 岸風三楼 往来
人の来るたびに目をあけ炬燵猫 小嶋丁二
人目なき宿は炬燵に子日かな 竹波 五車反古
人老て炬燵にあれる踵かな 加舎白雄
今そこに居たかと思ふ火燵哉 寺田寅彦
介病も一人前する火燵哉 向井去来
伊香保呂の湯湿り炬燵塞ぎけり 久米正雄 返り花
住つかぬ旅のこころや置火燵 芭 蕉
余生とは寄り添う月日置炬燵 木村清
侘しさは夜著をかけたる火燵かな 桃先
俤や火燵の際の此のはしら 杉風
僧といふ風のごときを見て炬燵 岩淵喜代子 硝子の仲間
元日や炬燵の上に受験の書 相馬遷子 雪嶺
元朝や去年の火残る置炬燵 日野草城
内海の日和炬燵へかよふかな 増田龍雨 龍雨句集
冬の蠅炬燵の膳をなみすかな 野村喜舟 小石川
冬雨に炬燵櫓をはたくかな 室生犀星 犀星発句集
切炬燵夜も八方に雪嶺立つ 森澄雄
切炬燵波郷いよいよ酒の神 殿村菟絲子 『菟絲』
十日あまり旅して帰り炬燵かな 小杉余子 余子句選
十月や昼の火燵の炭なだれ 中村史邦
午過の火燵塞ぎぬ夫の留守 河東碧梧桐
南無仏間炬燵切るなり老の為 尾崎紅葉
卯の花に火燵置くらん雪の暮 服部嵐雪
厨の灯移せば覚めし火燵かな 金尾梅の門 古志の歌
古壁や炬燵むかうのはつ暦 小林一茶
古本屋炬燵を出でず応へけり 舘岡りそ
古里の母の炬燵に居りどころ 楠目橙黄子 橙圃
句を玉と暖めてをる炬燵かな 高浜虚子(1874-1959)
可ならずや炬燵して聞く竹の雪 寺田寅彦
叱りたる子供の一人炬燵に来 京極杞陽
向ひ家の炬燵に招ばれ行きにけり 尾崎迷堂 孤輪
堂守の時雨炬燵や引けば寄る 古舘曹人 砂の音
塞ぎたる炬燵のあとの青畳 香下 寿外
声を出すラジオの前の置炬燵 南村健治
夕幕の道のゆきつく炬燵かな 長谷川櫂 虚空
夜着かけてつらき袖あり置火燵 立花北枝
大山の火燵をぬけて下りけり 阿波野青畝
大空の風きゝすます火燵かな 渡辺水巴
大足をもてあましゐる炬燵の子 新井君代
奥山の奥ある国にゐて炬燵 村越化石 山國抄
妻呼んでばかりをられず炬燵出る 原三猿子
姑の出たあとぬくき炬燵かな 羊捨
姑の顔むつかしき炬燵哉 寺田寅彦
姥捨の深雪の底の炬燵婆 藤岡筑邨
婢が走り怒濤まぢかに置炬燵 古舘曹人 能登の蛙
婢もあてて屹度あはれむ炬燵かな 飯田蛇笏 山廬集
嫁かぬ身やぬるき炬燵に深ねむり 菖蒲あや
嫂や炬燵に遠く子を膝に 富安風生
子とあたる五月の炬燵旅もどり 木村蕪城 寒泉
子供に火燵してやれさういふな 河東碧梧桐
子等遠し二辺を余す掘炬燵 野上 水穂
守りゐる火燵を菴の本尊かな 内藤丈草
客設けしたる炬燵やゑびす講 遠藤正年
家例までつひ待ちかねて置火燵 井月の句集 井上井月
宿かへてまだ土くさき火燵かな 伊賀-我峯 俳諧撰集「有磯海」
宿炬燵山の夜長を如何にせん 高澤良一 燕音 
寄附の事心にかゝる炬燵かな 高橋淡路女 梶の葉
寒病みの火燵もほしや後の月 斜嶺 俳諧撰集「有磯海」
寝ごゝろや火燵蒲団のさめぬ内 榎本其角
寺執事炬燵を前に声荒し 高木晴子 花 季
寺茶屋の床几炬燵に片手入れ 西本一都 景色
小屏風のうちの炬燵にくつろぎて 高濱年尾 年尾句集
小畳の火燵ぬけてや花の下 内藤丈草
小若衆に念者きはまる火燵かな 李由 十 月 月別句集「韻塞」
小説の中の火燵に虚子と子規 高澤良一 寒暑 
小買物火燵の上に並べけり 大橋櫻坡子 雨月
尼一人には大いなる切炬燵 森信坤者
居あまりて火燵や棚へとし忘 水田正秀
山やおもふ紙帳の中の置火燵 内藤丈草
山冷にはや炬燵して鶴の宿 杉田久女
山墓へ残光ゆづり夕炬燵 香西照雄 素心
山宿の炬燵の酔ひがまはりけり 高澤良一 燕音 
山寺の一夜の宿の置炬燵 外園 タミ女
山寺は山椒くさき火燵かな 千那子息-角上 十 月 月別句集「韻塞」
年取が済みて炬燵に炉に集ひ 高野素十
店先より炬燵が見えて親しめり 杉本寛
庚申や殊に火燵のある座敷 残香 閏 月 月別句集「韻塞」
座敷わらし炬燵蒲団の端を踏む 田中あき穂
庭焚火炬燵をぬけてまた一人 吉屋信子
庭石の苔を見に出る炬燵かな 室生犀星 魚眠洞發句集
彌生なり火なき炬燵もあつくるし 幸田露伴 拾遺
影法師の横になりたる火燵かな 内藤丈草
待恋の夢に逢うたる炬燵かな 尾崎紅葉
徒らに炬燵熱うす独居かな 高橋淡路女 梶の葉
心労の膝さし入るる炬燵かな 服部京女
忌の炬燵ことば選びつ読笑す 北野民夫
忠も義もとどのつまりは掘炬燵 仁平勝 東京物語
急須・ペン炬燵の嬶座常に混む 平井さち子 鷹日和
恋ふ心悔ゆる心や置炬燵 上村占魚 鮎
憲法第九条炬燵明りかな 郡山やゑ子
我が前に坐る子小さき炬燵かな 高橋淡路女 梶の葉
我よりも老行く妻や置火燵 佐藤紅緑
我妻や炬燵あげたるかぶりもの 松瀬青々
戦時回想炬燵に深く足を垂れ 馬場駿吉
手焙りや炬燵塞ぎて二三日 小杉余子
折鶴の空を漂ふ炬燵かな 徳永山冬子
折鶴をやがて千折る炬燵かな 野村喜舟 小石川
押絵して老のたのしむ火燵かな 比叡 野村泊月
拾ひ得し命を惜しむ火燵哉 寺田寅彦
掘りかへす炬燵埋火八方に 上野泰 佐介
掘炬燵背を丸めてはならぬ場所 岩坂満寿枝
掘炬燵薄ら日なれどとゞきけり 黒田櫻の園
掻きたてる炬燵の火の香顔をうつ 篠原梵 雨
掻餅に新聞を読む火燵かな 寺田寅彦
提灯の手造り励み置炬燵 長屋せい子
新年はめでたし炬燵にあたれといふ シヤツと雑草 栗林一石路
旅籠屋の客のおどりや置火燵 水田正秀
日がなゐて夕しづもりの炬燵かな 松本たかし
明方をひえきつてゐる炬燵かな 大野朱香
明日帰る人と親しき炬燵かな 高木晴子 晴居
昨日までおはせし炬燵に通夜の雪 吉屋信子
昼炬燵田中家さんといはれたる 京極杞陽 くくたち下巻
昼過ぎの火燵塞ぎぬ夫の留守 河東碧梧桐
時計修理すや雪光のこの炬燵 羽部洞然
暫くはあたり隣の炬燵かな 萬翁
更けしづむよき句得たさの置火燵 大橋櫻坡子 雨月
書いてゐる手紙見られてゐる炬燵 嶋田摩耶子
書きかけし文は炬燵に晝寝かな 会津八一
木曾の夜や炬燵の加減見てくれし 森田峠 避暑散歩
本箱に手の届かざる炬燵かな 会津八一
村風子然と書を読み炬燵守る 福永鳴風
松活けて炬燵なかなかぬくもらず 岡本高明
松風のもうつまらなく炬燵かな 永末恵子 留守
枚方の火燵の外の枯野かな 岡本松浜 白菊
梅の宿炬燵ほこ~勿体なし 鈴鹿野風呂 浜木綿
横顔を炬燵にのせて日本の母 中村草田男
歌ひつつ万里子来にけり炬燵の間 阿部次郎 赤頭巾
残る火燵まだ山里はこころかな 上島鬼貫
残る鴨何番の花置火燵 子規句集 虚子・碧梧桐選
母なき子の父に親しむ炬燵哉 寺田寅彦
母の声大きくなりし炬燵かな 小野恵美子
母の肩揉むもたのしき炬燵かな 志摩角美
母の間のぬるき炬燵に言ひそびれ 五十嵐哲也
母の顔しげしげ見たる炬燵かな 野村喜舟
母人に賀客のひまの置炬燵 寸七翁
母方の客のみ残る炬燵かな 中谷葉留
水車小屋覗けば留守の置炬燵 渡辺一魯
沼の風障子にあたる炬燵かな 橋本鶏二 年輪
洋室に似合ふ工夫の置炬燵 稲畑汀子
淋しくもなにもなけれど昼炬燵 永井龍男
湯女の来て暫く火燵ばなしかな 大場白水郎 散木集
濁り酒とろっと炬燵火は赫っと 高澤良一 燕音
濤音へあけて炭つぐ置炬燵 石田波郷
火を仕込む奈落も寺の大炬燵 赤松[けい]子 白毫
火燵(こたつ)からおもへば遠し硯紙 沙明 古句を観る(柴田宵曲)
火燵から江戸の出店に助言かな 菅原師竹句集
火燵から江戸吉原は焼けにけり 井出茶山人
火燵から見ゆるや橋の人通り 正岡子規
火燵から青砥が銭をひろひけり 榎本其角
火燵してアルバムを見る女哉 寺田寅彦
火燵して四五人居りぬ花の茶屋 野村泊月
火燵して小説に泣く女かな 蘇山人俳句集 羅蘇山人
火燵にあたりて思ひ遠き印旛沼 河東碧梧桐
火燵にはいかにあたるぞ蛸の足 浜田酒堂
火燵よりねに行く頃は夜中かな 雪芝 芭蕉庵小文庫
火燵人腰を捕へし暖に在り 高浜年尾
火燵出て月ををがみぬ一茶の日 金尾梅の門 古志の歌
火燵好い火かげんの三人でいるに一人の来る(湯田中) 荻原井泉水
火燵寝のうら~と雪晴れにけり 金尾梅の門 古志の歌
火燵深く居て軒一枝の垂れ紅葉 西山泊雲 泊雲句集
火燵覚めして大書すや望嶽と 廣江八重櫻
灯ともさぬ瞽女の炬燵の厚蒲団 西本一都 景色
灯も置かで炬燵に物を思ふ夜や 会津八一
灯りて何か忘れし火燵かな 金尾梅の門 古志の歌
炬燵あつし酒利きつもる小盃 飯田蛇笏 山廬集
炬燵あり火を入れしむる十三夜 木村蕪城 一位
炬燵からおほらかに元日の山ある シヤツと雑草 栗林一石路
炬燵から我に教へよ不随斎 尾崎紅葉
炬燵さめて我家に男の世界一つ 中村草田男
炬燵してさるのこしかけものがたり 松山足羽
炬燵してしばし一途に子に教ゆ 大津希水
炬燵して我家に活気なくなりし 谷口まち子
炬燵して灯のあかるさに眠りけり 増田龍雨 龍雨句集
炬燵して絵本の蟻の穴倉図 高澤良一 さざなみやっこ 
炬燵して絵草紙見て居る女の子 寺田寅彦
炬燵して老艶の書に深入りす 能村登四郎 天上華
炬燵して芋銭の狐隊行圖 高澤良一 ももすずめ 
炬燵して菓子の名平家物語 赤松[ケイ]子
炬燵して躓くものの多かりし 鈴木南子
炬燵して鏡に對す夫婦哉 寺田寅彦
炬燵して飛騨鰤談義一頻り 高澤良一 随笑 
炬燵して鹿来る山を思ひけり 百合山羽公 寒雁
炬燵なき蒲団や足ののべ心 正岡子規
炬燵にて帽子あれこれ被りみる 波多野爽波 『一筆』以後
炬燵にも襖あけても母のゐず 石井とし夫
炬燵に父ゐるとみてまた出てゆけり 川島彷徨子 榛の木
炬燵に穴のこして海を見にゆけり 大石雄鬼
炬燵に顎のせ友恋か山恋か 矢島渚男(1935-)
炬燵ぬるし泣くみどり児を押しつけ合う 田川飛旅子 花文字
炬燵の上に温もる鋏もう寝ねん 田川飛旅子 花文字
炬燵の向き足で変へしが日本の向き 香西照雄 対話
炬燵の火埋けても熱し年守る 久保田万太郎 流寓抄
炬燵の辺先づ猫よりぞ寝入りける 林原耒井 蜩
炬燵の間母中心に父もあり 星野立子
炬燵よりおろかな猫の尻が見ゆ 平井照敏
炬燵よりつき返されし紙風船 小原啄葉
炬燵より出し足首を掴まるる 寺井谷子
炬燵より半身出して狩の犬 辻桃子
炬燵より指図がましとひかへける 日原方舟
炬燵より跳ぶ吾子全身にて受ける 沢木欣一
炬燵一つ真ん中に置く間取かな 高澤良一 寒暑 
炬燵人よそ目の心閑かかな 尾崎迷堂 孤輪
炬燵今日なき珈琲の熱さかな 久米正雄 返り花
炬燵出ずもてなす心ありながら 高浜虚子
炬燵出づればすつくと老爺峰に向ふ 加藤知世子
炬燵出て医師心となつてゐし 矢倉矢行
炬燵出て夜の勤行のお肩衣 河野静雲 閻魔
炬燵出て尼が燈をやる女人堂 古舘曹人 砂の音
炬燵出て歩いてゆけば嵐山 波多野爽波(1923-91)
炬燵出て鍬とる主や冬牡丹 冬葉第一句集 吉田冬葉
炬燵塞ぐ八畳の居間真四角 栗橋敏子
炬燵嫌ひながら夫倚る時は倚る 及川貞 夕焼
炬燵寝の五分に長い長い夢 工藤克巳
炬燵寝の夕べの雨となりゐたり 川村紫陽
炬燵寝の妻の眼元の涙かや 京極杞陽
炬燵寝の更けて浮寝の鳥ごこち 松浦敬親
炬燵寝の若者起きて餅を搗く 木村蕪城 一位
炬燵寝の見ゆる裏手に廻りけり 白岩 三郎
炬燵寝も酔のあげくや川音す 皆川白陀
炬燵寝やあまり幼き妻の夢 雉子郎句集 石島雉子郎
炬燵寝や口中入歯ばかりなり 北野民夫
炬燵寝を夜半起されて学期了ふ 阿部ひろし
炬燵居に山のけものら近く来る 村越化石
炬燵居のふた草あらぬ七日粥 角川源義
炬燵居の一睡に湖暮れてゐし 佐野美智
炬燵居の夫を促す万歩計 山口恵子
炬燵居や妻へかたむく子等の情 栗生純夫 科野路
炬燵抱くはしぶきに濡るる思ひにて 栗生純夫 科野路
炬燵火に脛を焙りて「安愚楽鍋」 高澤良一 さざなみやっこ 
炬燵火をいっそう強くまたぎ宿 高澤良一 燕音 
炬燵焦げくさし雪嶺暮れてなし 藤岡筑邨
炬燵熱くて出郷を懐しむか 中戸川朝人 残心
炬燵猫をんなの疳にさはりけり 鈴木しげを
炬燵猫吾が家の気配知りつくし 長岡天狼
炬燵置きくらし正方形となる 木村淳一郎
炬燵置くこのごろ新居落ちつきぬ 瀧澤伊代次
炬燵膳夫も子恋の箸を措く 村上 光子
炬燵部屋おかめの額のかけてあり 高木晴子 晴居
炬燵酒酌みて寡黙に変らざる 松尾緑富
熱き炬燵抱かれしころの祖母の匂ひ 野澤節子 黄 瀬
燠入れし熱き火燵に目ざめけり 大橋櫻坡子 雨月
燠足して貧農の炬燵焦げんばかり 相馬遷子 雪嶺
父母の老いゐたまひし炬燵かな 吉田冬葉
片附いてゐるは朝の間置炬燵 稲畑汀子
狩宿の炬燵や足の混みあへる 辻桃子
玉子酒僧の炬燵の派手布団 五十嵐播水
玻璃うちの日向炬燵をして老婆 高濱年尾 年尾句集
玻璃皿に熟柿の照りや夜の炬燵 遠藤 はつ
田舎源氏炬燵に伏せて髪をのせ 福田蓼汀 山火
疎開して六十年の切炬燵 黒田杏子 花下草上
病人の炬燵に火を足して冬の夜終る 人間を彫る 大橋裸木
盃に怒濤のひびく炬燵かな 佐藤南山寺
目覚ませば人の来て居る炬燵哉 会津八一
看病の次ぎの間にある炬燵かな 楠目橙黄子 橙圃
真夜中や炬燵際まで月の影 去 来
睦じき顔をならべて炬燵哉 寺田寅彦
礼受やよき衣寒く置炬燵 高浜虚子
祇王寺の仏間の次の火燵かな 上野青逸
祈祷師の倚れる炬燵の夕間暮 森田峠 避暑散歩
祝ごとの山の炬燵のただ熱し 木村蕪城 一位
神棚の燈のふもとなる炬燵かな 原石鼎 花影以後
福だるま見下ろす炬燵塞ぎけり 津高里永子
秘めごとの仄かに炬燵塞ぎけり 牧 月耕
秘めごとをもてあそぶなり置火燵 鈴木詮子
窓一つ明るく淋し火燵の間 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
筆力も抜けて火燵の寫し物 会津八一
筋違に琴しらべ居る炬燵かな 路習 選集古今句集
節分の熱き炬燵に宿直す 木村蕪城 一位
籠りゐて一つの炬燵生簀めく 横山万兆
紅梅に見えて炬燵の美しき 遠藤梧逸
緋鹿子にあご埋めよむ炬燵かな 杉田久女
編み飽いて炬燵の猫をつつき出す 原田種茅
縁側と老婆と猫と炬燵かな 里見宜愁
置火燵後や花折るふまへ物 斯波園女
置炬燵とは熱かりき日吉館 黒田杏子 一木一草
置炬燵出てがさ市の客相手 高澤良一 鳩信 
置炬燵四人の客にわがあふれ 石川桂郎 四温
置炬燵夜すぎの茶器の音すなり 石原舟月 山鵲
置炬燵夜風障子につめたかり 坂本四方太
置炬燵独り言にも馴れて住む 時田志華絵
置炬燵過ぎしこと皆ゆるさるる 松山和子
置炬燵雪の兎は解けにけり 正岡子規
美しき妻驕り居る炬燵かな 尾崎紅葉
美しき蒲団かけたり置炬燵 村上鬼城
老ぼれて眉目死にたる炬燵かな 村上鬼城
老優の出を待つ楽屋置炬燵 武原はん女
老夫婦世を住よしの炬燵かな 竹裏
老眼の進み知る夜の火燵かな 正木不如丘 句歴不如丘
考へず読まず見ず炬燵に土不踏 伊藤松風
耳たぶに手をあてもする炬燵舟 阿波野青畝
耻かしやあたりゆがめし置火燵 炭 太祇 太祇句選
聖書ありあるときはなし置炬燵 京極杞陽
肉炙いてすぐに火燵の火となる火 下村槐太 天涯
腰かけて物思ひ居る炬燵かな 尾崎紅葉
腰ぬけの妻うつくしき炬燵かな 蕪 村
膝入れて尼の炬燵に女人われ 赤松[ケイ]子
膝入れて炬燵布団の紅うごく 京極杞陽 くくたち下巻
膳棚へ手をのばしたる火燵かな 温 故
臘梅や時計にとほき炬燵の間 室生とみ子
舟住の海より低き炬燵せり 山野邊としを
舟宿の炬燵こそ大今日の句座 栗生純夫 科野路
花の雨父の炬燵のあたゝかき 佐野青陽人 天の川
茶を出しぬ炬燵の猫を押落し 金子伊昔紅
茹玉子炬燵で食うてかなしかり 和田耕三郎
草菴の火燵の下や古狸 内藤丈草
菊の宿夜は炬燵のあたたかく 木村蕪城 一位
華やかに炬燵布団の歌ぢらし 福田蓼汀 山火
落つる日の障子見てをり置火燵 本田あふひ
葛城の神に仕へて火燵かな 大橋櫻坡子 雨月
薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫 松本たかし
薄目して猫のすりよる置炬燵 井口朝子
藪入て暫し炬燵の主かな 竹冷句鈔 角田竹冷
蜂の巣の見ゆる炬燵に入りにけり 岸本尚毅 舜
衰老の机に遠き炬燵かな 会津八一
裏見せて火燵布団の紅きかな 温亭句集 篠原温亭
見台に髪ゆふうちの火燵かな 毛* 十 月 月別句集「韻塞」
観音を拝みて炬燵ふるまはる 三嶋隆英
訥々と婚後をさとす夜の炬燵 大熊輝一 土の香
話頭又た亡師に及び火燵冷ゆ 佐藤紅緑 紅緑句集
誤ちもなかりし火燵塞ぎけり 小澤碧童 碧童句集
読みきれぬ本をかかへて掘炬燵 高橋光江
譲らざることあり向かひあふ炬燵 武智徳子
豆撒きの手を守りゐる炬燵人 原裕 青垣
豆腐売切れ豆腐屋一家炬燵かこみ 藤岡筑邨
貧乏は掛乞も来ぬ火燵かな 子規句集 虚子・碧梧桐選
買物に出る町遠き火燵かな 大場白水郎 散木集
贈り来し写真見てをる炬燵かな 高浜虚子
赤子炬燵寝漬菜くらがりよりにほふ 藤岡筑邨
足袋と見えて時々触はる火燵哉 会津八一
足袋の先火燵にあつくお元日 廣江八重櫻
跡さして火燵に寝たも暮なれや 破笠
転た寝の炬燵に叱る母の亡く 今泉貞鳳
辞書置けば炬燵も書斎メガネ拭く 船平潮子
迎へ舟炬燵しつらへ来てくれし 石井とし夫
通し間に行者ごろ寝の掘炬燵 浜朝風子
逢阪で昼飯食ふや炬燵売 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
酒の座を逃れて来たる炬燵の間 豊田千代子
野沢菜にやすらぐこゑの信濃炬燵 原 裕
鈴木牧之の御宿炬燵出され在り 上野さち子
鍋のもの煮つまる炬燵寝の父に 皆川白陀
鏝さしてぬるき炬燵よ妹が宿 木村蕪城 一位
長男は貧しさを知り炬燵に居 京極杞陽
長身をもてあますなる炬燵かな 岩崎照子
閨事に眼をつむりたる炬燵猫 瀧澤伊代次
隠し子の年員へゐる火燵かな 柳女
隠栖の松荒れてよし置炬燵(宍道未亡人邸) 『定本石橋秀野句文集』
離室まで行きて炬燵にあたらんか 高濱年尾 年尾句集
雨の日は雨を見てをり置火燵 斎藤雨意
電気炬燵に膝すこしあて老母かな 竹下しづの女 [はやて]
電気炬燵のみを点滅万年床 右城暮石 上下
電燈の青き炬燵の部屋に入る 京極杞陽 くくたち上巻
青すぐり浅間くもれば炬燵して 山田孝子
静まりゐて水輪生む鳥炬燵の母 香西照雄 対話
革羽織とりかくされて火燵かな 中村史邦
音のする雨となりたる炬燵かな 田辺 栖村
頬杖をつきて一人や置炬燵 小山 ため
飯すめばすぐ入る火燵なかりけり 篠原句瑠璃
餅花の高々とある炬燵かな 高浜虚子
養老の炬燵を掘れる小書屋 遠藤梧逸
髪をゆふ手の隙明きて炬燵かな 千代尼 五車反古
髪を結ふ手の隙明(ひまあき)て炬燵かな 千代女
麓神遊びに来るか炬燵せり 村越化石 山國抄
麻痺のわがよりどの炬燵塞がれし 日比野美風
こたつ出てまだ目の覚ぬ霞哉 高井几董
人の世のことに耳立てこたつ猫 関根喜美
置ごたつ夫を楯として強気 柴田白葉女 『夕浪』
美しき思ひ事しぬ置ごたつ 高橋淡路女 梶の葉
西陣のをんな所帯の置きごたつ 前山松花
茶碗蒸し腹に行火を入るるごと  高澤良一  随笑

以上
by 575fudemakase | 2014-12-14 00:56 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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