枯木

枯木

例句を挙げる。

「愛」の字を見せ消ちにして枯木宿 徳弘純 麦のほとり 以後
あきかぜはたとへば喬く鋭(と)き裸木 小沢青柚子
あきらかに麒麟のあゆむ枯木かな 石原舟月 山鵲
あの遠き枯木なんの木なんの鳥 中村苑子
あの雲が飛ばす雪かや枯木原 松本たかし(1906-56)
いつぽんの枯木へひらく巨きな掌 富澤赤黄男
いなづまにまばたきしたる枯木達 日野草城
いま暮れて今年が終る枯木星 高澤良一 随笑 
いま生れし星やはらかし枯木空 野見山朱鳥
うす紅葉夜となり月と枯木あり 池内友次郎 結婚まで
おどる枯れ木に踊りたくない昼のそら 津沢マサ子 風のトルソー
おのれよく雪を解かして枯木かな 佐野良太 樫
お詣りの往来見えをり枯木茶屋 阿部みどり女 笹鳴
かたまつてゐて裸木の相触れず 福永耕二
かりかりと小鳥を喰みぬ枯木宿 羽部洞然
くれなゐの裸木に水注ぎけり 原田喬
けふの雪果つる枯木のしづかさよ 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
けふを病む壁に枯木の影を招び 千代田葛彦 旅人木
けもの貌となりつつありぬ枯木鳶 鷲谷七菜子 游影
けんめいに枯枝あつめ妻焼きぬ 浅原六朗 紅鱒群
この枯木この落葉いま波郷亡し 石塚友二
この道の枯木も家もおぼえあり 上村占魚 球磨
これ以上失ふもののなき裸木 鷹羽弓
こんがらかる枯木の中や八幡さま 高澤良一 素抱 
さいかちの裸木ばかり霜ふらす 萩原麦草 麦嵐
さるをがせまとひて枯木湖に沈み 高濱年尾 年尾句集
しづかなるうごき枯木のくりかへす 瀧春一 菜園
しづかなる空がまいにち枯木の上 長谷川素逝 砲車
しばらくもやさし枯木の夕附日 榎本其角
しら梅の枯木にもどる月夜哉 蕪村 春之部 ■ あらむつかしの假名遣ひやな、字儀に害あらずんはアヽまゝよ
すずかけの裸木季と申すべき 高澤良一 ももすずめ 
すんなりと裸木になりすましけり 落合水尾
そそけだち自暴自棄めく一枯木 高澤良一 ももすずめ 
その形見ばや枯れ木の杖の長 松尾芭蕉
その音に鞭うたれたり枯木の音 斎藤空華 空華句集
ぞろぞろと枯木したがへ喪の帰り 今瀬剛一
たそがれや窓の枯木にそらのこる 植山 露子
たたずむやわれも枯木も風の中 成瀬桜桃子 風色
たばこ燃ゆ枯木からから吹く風に 細谷源二 鐵
たまゆらの恋か枯木に触れし雲か 稲垣きくの 黄 瀬
だんまりの一つ鵯ゐて大枯木 石塚友二
つばらかに月夜の枯木枝を張り 上村占魚 球磨
どこかに 青空がありそうな たそがれの裸木 吉岡禅寺洞
どこをもって故郷となさむ枯木に日 川上梨屋
どの国も聖夜枯枝膝で折る 対馬康子 純情
なぐられて枯木の中に泣けもせず 上村占魚 鮎
ぬば玉の夜の枯木の上の不二 鈴木花蓑句集
はつきりと月見えてゐる枯木かな 星野立子
はればれと朴は枯木となりにけり 神取房江
ばうばうの枯木連なり猫背の町 高澤良一 随笑 
ひと亡くて枯木影おくかのベンチ 稲垣きくの 黄 瀬
ひらけ来て家多くなりし枯木かな 雑草 長谷川零餘子
ぴしぴしと枯枝折つて天のあり 長谷川かな女 雨 月
ぴし~と枯枝折つて天のあり 長谷川かな女
ふと見たる鏡に枯木痩せたる吾 成瀬正とし 星月夜
ふりかへりふりかへりつゝ枯木道 野村泊月
ふり仰ぐ裸木ぎよつとなまめかし 石塚友二 光塵
べつたりと蝶の咲たる枯木哉 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
またたきて枯木の中の星は春 松本たかし
まなぶ窓枯木しづかに天を刺す 鷲谷七菜子 黄 炎
みちばたの碑に枯枝のせまき空 柴田白葉女 牡 丹
むさし野や枯木目移し行くは不安 杉山岳陽 晩婚
むつくりと岨の枯木も霞みけり 杉風
ゆるぎなく夕日とどまる枯木山 松村蒼石 雪
わが行けば星は枯木を離れけり 加倉井秋を 午後の窓
をとめ凭り化粧ひす枯木新鮮に 瀧春一 菜園
イエス手をかざすがごとき枯木かな 小路紫峡
オリオンが枯木にひかる宵のほど 山口誓子
サンザシに巣と見えしもの枯枝なる 高澤良一 さざなみやっこ 
シャガールの月にビュッフェの一枯木 高澤良一 さざなみやっこ 
ジュラルミン光りに枯枝枯枝かな 高澤良一 宿好 
ダムの春水没枯木動かれず 辻田克巳
トラックが動き枯木の影敷けり 内藤吐天 鳴海抄
バンドネオンに翼枯木の宙を舞ふ 高澤良一 燕音 
ビュッフェ館へ道の裸木線描画 関森勝夫
ビルは灯を枯木は風を並べけり 岩垣子鹿
ブエノスアイレス負け犬に吹く枯木風 高澤良一 燕音 
ベンチの人立ち去り枯木の影芝に 阿部みどり女
レコードは終はりぬ枯木暮れてゐし 西村和子 かりそめならず
一すぢの滝のこころや枯木山 原石鼎
一と所透かぬ枯木や農夫ゐて 津田清子 礼 拝
一と村の暮れて枯木の柿ばかり 瀧春一 菜園
一匹だに魚影の見えぬ枯木谿 高澤良一 燕音 
一月や枯れ木の肌の日のぬくみ 小島政二郎
一枝青葉水没の木々枯れゆくに 福田蓼汀 秋風挽歌
一渉り池のほとりの枯木見て 高澤良一 さざなみやっこ 
一瞬の遠景枯木のみのこり 大岳水一路
一羽見えてより枯枝の眼白たち 野澤節子 遠い橋
七宝の時計も置かれ枯木宿 原コウ子
三月の雨大枯木ひたに濡れ 久保田万太郎 流寓抄以後
三葉ちりてあとは枯木や桐の苗 凡兆
世に敗れ悔なし枯木矗々と 山口草堂
丸腰の裸木なれば寄り易し 高澤良一 宿好 
二の酉の灯を掻き立てり枯木風 高澤良一 燕音 
人去れば枯木囁くかも知れず 西村和子 夏帽子
人生の如し枯木と松交り 田川飛旅子
人膚に肖てあたゝかき枯木かな 竹下しづの女句文集 昭和十二年
仰ぎけり裸木の名を朴と聞き 大島民郎
伏屋あり枯木に笠のかけてあり 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
低音は枯木高音は雲ワイン澄む 河野多希女 両手は湖
佐久のかの人も逝きしか枯木星 石塚友二
何か言ひたくて枯木の方へ寄る 高橋謙次郎
光まとひて十一月の枯木ども 相馬遷子 山国
光陰のかくもやはらか枯木山 中尾寿美子
兎狩枯木枯枝鳴らしつゝ 西沢破風
入り混じる風の長短枯木山 森川光郎
入り組めるいてふの枯枝枯枝に日 高澤良一 ももすずめ 
入日急遠目の馬に枯木添ふ 桂信子 花寂び 以後
全山の枯木となりし静かかな 高濱年尾 年尾句集
公園の枯木に烏の子ゐねむり 高木晴子 晴居
冬に入る見分け難きは枯木と死木 三橋鷹女
冬山に枯木を折りて音を聞く 飯田蛇笏 椿花集
冬川に影ふるはせて枯木皆 青峰集 島田青峰
冬木より枯木に移る夕鴉 長谷川双魚 『ひとつとや』
冬空に枯木のみ見えて雲も無し 高濱年尾 年尾句集
冬越す魚に池に枯枝枝をつけて(昭和3年) 滝井孝作 折柴句集
凍死人枯木ほどにも惜まれず 大場白水郎 散木集
凍雪のひつかゝりゐる枯木かな 高野素十
凧遠し家根と枯木と半せり 瀧春一 菜園
凩に三味も枯木の一ツ哉 正岡子規
出てをりし月の黄色き枯木かな 岸風三楼 往来
初富士は枯木林をぬきん出たり 高濱年尾 年尾句集
初日さすや枯木ばかりに庭深く 白水郎句集 大場白水郎
初紅葉枯枝拾ひに来てひとり 渡邊水巴
初老なり春の枯木が墓地透かす 石塚友二
初蝶にすげなき音ぞ枯木折る 殿村莵絲子 花 季
北鎌倉勝手知ったる枯木道 高澤良一 宿好 
十本の指あり枯木つかんでみる 加倉井秋を
午過ぎて枯木の色となりにけり 加藤楸邨
去り行くか枯木に凭れゐし男 中杉隆世
吃々と牡丹の枯枝日あたれる 長谷川素逝 暦日
向ふより径の来てゐし枯木中 大峯あきら
君の絵の裸木の奥通りたり 河東碧梧桐
吹かれ来しもの枯枝にとどまれり 棚山 波朗
吹降りの底ひの枯木枝交ひて 石塚友二 光塵
吾と枯木うつし鏡の光りをり 成瀬正とし 星月夜
吾子ならん遠き枯木に影しけり 佐野良太 樫
咳一つ飛びて枯木の枝光る 内藤吐天 鳴海抄
四五本の枯木を配し画家住める 小林春水
地を翔ちし雀枯木にみなとまり 大岳水一路
坂下りてみな裸木の街に住む 辻美奈子
堂の扉の枯木模様の又変る 上野泰 佐介
境内はまだ皆枯木一の午 高橋淡路女 梶の葉
売ト子枯木に黄なる灯を守り 岸風三楼 往来
夕日中甘柿渋柿裸木に 杉本寛
夕映えて夜の影持てる枯木かな 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
夕焼けて揺るる静けさ枯木の実 松村蒼石 露
夕靄の隔てし窓の枯木かな 高濱年尾 年尾句集
夜がにほふ枯木に透ける親子星 柴田白葉女 花寂び 以後
夜のとばり待つひそけさの枯木坂 中村汀女
夜櫻にまじる裸木恐ろしく 千原叡子
夜祭や火を裸木の丈に焚く 鳥居美智子
夢にして父は枯木の中歩む 塩谷小鵜
夢殿は海の枯木に霰かな 島村はじめ
大枯木しづかに枝をたらしたる 長谷川素逝 暦日
大枯木すと日かげりてしりぞきぬ 長谷川素逝 暦日
大枯木よりまづ霞みそめしかな 久保田万太郎 流寓抄以後
大枯木仰ぐ心もささくれて 高澤良一 宿好 
大枯木前後左右を忘却し 津田清子
大枯木大枝折のあるがあらは 高濱年尾 年尾句集
大枯木幹より枝のそげ落ちし 京極杞陽 くくたち上巻
大枯木日あたるところなかりけり 長谷川素逝 暦日
大枯木話を聞いてくれさうな 西村和子 かりそめならず
大枯木雄雄しく斧をうけてをり 上村占魚 球磨
大枯木雲の春めきゆるしけり 久保田万太郎 流寓抄以後
天と地をつなぐ枯木となりにけり 西村てる子
天井に映り枯木の路傍仕事室 寺田京子 日の鷹
奥山や枯木の穂にも初日影 原石鼎 花影以後
女の子枯木に顔をあてて泣く 高野素十
妹の宿枯木のなかとなりけるや 久保田万太郎 流寓抄以後
妻は我を我は枯木を見つつ暮れぬ 加藤楸邨
妻恋へり裸木に星咲き出でて 石田波郷
姿まだ枯木なれども息づいて 稲畑汀子
媼出て茶殻捨てたる枯木かな 岡本松浜 白菊
子をさがす枯木昏れゆく落葉踏み 京極杞陽
子等去れば枯木も影を失へる 阿部みどり女
存分に枝をひろげて大枯木 村田橙重
完璧な裸木にしてさるすべり 辻桃子
実を拾ふ裸木なれば名は知らず 金箱戈止夫
客船のゆつくりよぎる枯木山 藤井寿江子
家遠し枯木のもとの夕けぶり 黒柳召波 春泥句集
寄生木と鳥籠かけぬ枯木宿 前田普羅 新訂普羅句集
寒月や枯木の中の竹三竿 蕪村 冬之部 ■ 感偶
寒月を網する如き枯枝かな 虚子
寒禽のゐて落したる枯枝かな 銀漢 吉岡禅寺洞
寒禽や枯枝も繁に柞の木 成田千空 地霊
小寒やまぶしき月が枯木越し 相馬遷子 山河
小町寺枯木ざくらもゆかしけれ 高濱年尾 年尾句集
小鳥らに雲の素通る枯木山 山口草堂
小鳥二つ枯木の雨に鳴き交はす 内藤吐天
少年の口笛澄みぬ枯木星 石川文子
屍に蹤く夫人は枯木を縫うて蹤く 赤城さかえ
山吹に枯枝まじる餘寒かな 室生犀星
山廬まだ存す岳麓枯木中 高浜虚子
山繭のひつかかりゐる枯枝かな 阿部みどり女 月下美人
山雀が尾を打つ音の枯木かな 渡辺水巴 白日
山霧のかんがり晴れし枯木かな 飯田蛇笏 山廬集
崖の上すでに枯枝ならず照る 及川貞 榧の實
嵐山の枯木にとまる千鳥かな 雑草 長谷川零餘子
川凍てて枯木の影も凍てにけり 阿部みどり女 月下美人
己が影を収めて枯木昏れゆける 内藤吐天 鳴海抄
帚屋が枯木の墓地をぬけてゆく 阿部みどり女 『微風』
常に見て枯木の奥に澄む枯木 有働 亨
影となるものの犇く枯木山 宇多喜代子
後込みをしつゝ犬吠ゆ枯木宿 高田風人子
恋の肝 枯木に忘れて帰りましよう 松本恭子
恋人も枯木も抱いて揺さぶりぬ 対馬康子 純情
悲しさの極みに誰か枯木折る 山口誓子(1901-94)
愛憐や夜の枯木が掌をひらく 楠本憲吉
憑かれてぞ過ぎいつしかに枯木道 石塚友二 方寸虚実
手すさびに手造り鉛筆枯木製 高澤良一 寒暑 
手をかけて夕日の枯木たのしめり 内藤吐天 鳴海抄
手触れなば泣き崩るべき枯木あり 千代田葛彦 旅人木
打仰ぐ大枯木枝飛ばしをり 上野泰 佐介
折鶴のたましひうかぶ枯木山 平井照敏 天上大風
抱き起す父に玻璃透き光る枯木 菖蒲あや
拳で叩く枯木悪夢の昨夜無し 小宮山遠
指鳴らせば枯木のどこか傷みだす 成瀬桜桃子 風色
挽かれゐると知らでつつ立つ枯木かな 高浜虚子
掃かれたる枯木の道のつゞきけり 比叡 野村泊月
掌をあてて枯木の齢おもひけり 勝又一透
掛かる月をゆる枝もなし枯木原 西山泊雲 泊雲句集
握りめし食う枯枝に帽子掛け 西東三鬼
撃たれ落つ鳥美しや山枯木 原石鼎
放鳥の枯木にとまる日暮かな 原石鼎
教会と枯木ペン画のごときかな 森田峠 逆瀬川
敵にはあらず枯木を滅多打ち 川島喜由
断崖の枯木の鳩があきらかに 阿部みどり女
日のあたる方を枯木の表とす 山野邊としを
日の壁に枯枝の影罅の如し 阿部みどり女
日の射して木々の明暗枯木山 遠入 たつみ
日の影の枯枝に配る落葉哉 高井几董
日光と枯木二月に入りにけり 相馬遷子 雪嶺
日曜や匂ふばかりに枯木の秀 楠本憲吉
日溜りがある抜け道の枯木山 中拓夫 愛鷹
日脚のぶ昨日の如き枯木かげ 高濱年尾 年尾句集
日輪を金剛縛り大枯木 上野泰 春潮
早春や枯木常盤木たばこ店 渡辺水巴 白日
明るむ陽枯木は霞む沼のへり 田川飛旅子 花文字
星つつと枯枝つたへり木戸を入る 池内友次郎 結婚まで
星一つづつ灯り行く枯木の枝 内藤吐天 鳴海抄
春の月けふも枯木のうしろより 渡邊水巴 富士
春の月枯木がくれに黄にけぶる 渡邊水巴 富士
春の枯れ木か大かもしかを抱きあげ 津沢マサ子 楕円の昼
春めくと枯木の枝の日の微塵 長谷川素逝 暦日
春待や山吹の枯枝すぐりつつ 室生犀星 犀星発句集
晩年の枯木の管を水通る 高澤晶子
智恩院の屋根明かに枯木すけ 高濱年尾 年尾句集
暮れてゆく枯木の幹の重なりて 高浜虚子
最上源流音なく白し枯木中 千手和子
月を得て靄まつはれる枯木かな 岸風三楼 往来
月光や踏めば鳴るかに枯木の縞 楠本憲吉
月大きく枯木の山を出でにけり 寒川鼠骨
月青し枯木林にふみ入れば 成瀬正とし 星月夜
望遠鏡かなし枯枝頬にふるゝ 石橋秀野
朝な掃く禰宜や枯木の根幾条 西山泊雲 泊雲句集
朝日がビルにあたりだし 枯木も色めいた 吉岡禅寺洞
朝迎ふ裸木を日に押立てて 林翔 和紙
木々枯れて風も吹かねば瀬のひゞき 相馬遷子 山国
木っつきや枯木尋る花の中 内藤丈草
木星も土星も枯木月夜なる 佐野青陽人 天の川
木訥の木(ボク)の心をもて枯木 高澤良一 燕音 
未完のビル昆虫に似て夜の枯木 大井雅人 龍岡村
朴枯木匂ひて僧の通りけり 村越化石 山國抄
来客のうしろに夜と裸木と 加藤かな文
東横線枯木の影の乗り来たる 後藤眞吉
枝つゞきて青空に入る枯木かな 芝不器男
枝もたぬ枯木に躓き三鬼遠し 齋藤愼爾
枯れゆけばおのれ光りぬ枯木みな 加藤楸邨(1905-93)
枯れ木っ葉臭き湯町の子が乗り来 高澤良一 鳩信 
枯木々の立ちひかるさへうつろならず 石橋辰之助 山暦
枯木かげ夜の蒟蒻氷りけり 松瀬青々
枯木から枯木へ書かねばならぬこと 益生あづさ
枯木から絞り出したる時雨哉 斗文
枯木が日を吊る靴紐なほす郵便夫へ 磯貝碧蹄館 握手
枯木が曲がつだ家を憶えている 村野四郎
枯木が点るこんな夕暮を米買ひに 細谷源二 砂金帯
枯木たちなべて自在に日に甘ゆ 相馬遷子 山河
枯木たつ中に電信柱かな 妻木 松瀬青々
枯木てふ生木を挽いてうすき汗 鳥居おさむ
枯木と石と 枯木が 梅さく 荻原井泉水
枯木と空何にとはなく帽を脱ぐ 千代田葛彦 旅人木
枯木なか出雲お国をたづねゆく 角川源義 『西行の日』
枯木にて枝のびのびと岐ちをり 上田五千石 田園
枯木に通ふ言葉あらざりひたに焚く 細谷源二 砂金帯
枯木に鴉が、お正月もすみました 山頭火
枯木の丘といへど篠むら青き丘 瀧春一 菜園
枯木の中猟師の横顔よ去る 安斎櫻[カイ]子
枯木の予感どこかで大砲がなつてをる 富沢赤黄男
枯木の手放ちし五位を二度掴む 稲垣きくの 牡 丹
枯木の手虚空の春をわし掴み 稲垣きくの 牡 丹
枯木の日われ動かねばそのままに 加倉井秋を 午後の窓
枯木の日昂ぶることのわれになし 加倉井秋を 午後の窓
枯木の日移れど去らず辻説法 雑草 長谷川零餘子
枯木の確かさ影の確かさ妻得し年 赤城さかえ句集
枯木の義手の 穴だらけの時間よ 富澤赤黄男
枯木の遠ち枯木が見えてクリスマス 高澤良一 随笑 
枯木の間滝壺寒く見下され 高濱年尾 年尾句集
枯木ぶりまとふ一葉もなかりけり 高木晴子 花 季
枯木ゆく左手を妻に右手を子に 山本歩禅
枯木より氷のかけら落ちてきし 長谷川 櫂
枯木より猫が降りざり犬が居る 原石鼎 花影以後
枯木より発ちて枯木に戻りけり 徳弘純 麦のほとり
枯木より貧しき影を曳き帰る 菖蒲あや 路 地
枯木らは枯れし高さを競ひけり 成瀬櫻桃子
枯木らよこれは河口の楔形喪章 高柳重信
枯木らよわれにも耐ふること多し 成瀬桜桃子 風色
枯木ノ葬列 ィツマデモ 立ッテオレ 富澤赤黄男
枯木中やうやく紅葉衰へぬ 高濱年尾 年尾句集
枯木中仏に礼し僧帰る 高浜虚子
枯木中少年の日の径あり 川口松太郎
枯木中居りたる雲のなくなりし 松本たかし
枯木中白樺凝乎と巨魚の骨 石塚友二 方寸虚実
枯木中白鳥見えて池のあり 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
枯木中落ちかゝる日のちらとあり 鈴木花蓑句集
枯木中行きぬけたりし雲一つ 松本たかし
枯木坂ある日ある時人の恋 菖蒲あや 路 地
枯木夕映句のことごとくに師恩 嶋田麻紀
枯木大揺れ煙突煙横倒し 高濱年尾 年尾句集
枯木宿に色を動かす蒲団かな 月舟俳句集 原月舟
枯木宿はたして犬に吠えられし 芝不器男(1903-30)
枯木宿まをとこ結びをそはりぬ 加藤郁乎 江戸桜
枯木宿カラタチの実の見ゆるなり 前田普羅 新訂普羅句集
枯木宿灯を消して出てかへりみる 木村蕪城 一位
枯木宿蚊帳の吊手をのこしけり 安住 敦
枯木宿行燈静かに動きけり 西山泊雲 泊雲句集
枯木宿貌ひつつつて犬吠ゆる 藤岡筑邨




枯木山ああんああんと泣く子かな 辻美奈子
枯木山からしんがりの雨男 長谷川双魚 『ひとつとや』
枯木山ほそほそと瀧吐きにけり 本井英
枯木山日のしたゝりの菫照る 渡邊水巴 富士
枯木山日暮のいろを怺へをり 石嶌岳
枯木山曲りて大き屋根かくす 及川貞 榧の實
枯木山美しければ人に添ふ 原コウ子
枯木山黒き果実となる鴉 高井北杜
枯木影障子ぴしゃりと閉せる家 高澤良一 素抱 
枯木打ち晦日の雨の至りけり 高澤良一 ぱらりとせ 
枯木折るなほ蓄へし生まの音 河野南畦 『風の岬』
枯木折る音や師走の崖の上 内藤吐天 鳴海抄
枯木抱きし手の結ばざる夕まぐれ 細谷源二 砂金帯
枯木日和たもとほる胸に何裹まむ 石塚友二
枯木星この世の聖歌起りけり 木下夕爾
枯木星つねに何かを希ふべし 吉田健二
枯木星に星組合もありにけむ 山田みづえ
枯木星ひとつぶ紙漉村眠る 迫田白庭子
枯木星またゝきいでし又一つ 水原秋櫻子
枯木星仰ぎ男は素手で泣く 中村苑子
枯木星兄逝く涙にもう見えぬ 加倉井秋を 午後の窓
枯木星寝やすき姿勢子犬さぐる 中拓夫 愛鷹
枯木星男の子産む気のつはりかな 大木あまり 火のいろに
枯木星聖書のつづき読み聞かす 長田等
枯木星胸の奥処に音こぼす 高橋謙次郎
枯木星貧窮既に定まるか 有働亨 汐路
枯木星赫と一顆や神話村 迫田白庭子
枯木林でBIG EGGを包むなよ 夏石番矢 神々のフーガ
枯木根につまづきよろけ爆心地 菖蒲あや 路 地
枯木根に雲おさまりて暮れにけり 岸風三楼 往来
枯木照り元日の煙草手に白し 渡邊水巴 富士
枯木燦黒衣少女の顎とがる 仙田洋子 橋のあなたに
枯木群湖のかがやき鏤ばめて 柴田白葉女 『夕浪』
枯木見つつ湯壺へ骨皮筋右衛門 高澤良一 鳩信 
枯木見て立つ蒼天に身をひたし 相馬遷子 雪嶺
枯木見ゆすべて不在として見ゆる 加藤郁乎 球体感覚
枯木見ゆ作品こはしつゝゆける 加藤郁乎 微句抄
枯木越し円空さんの寺が見え 高澤良一 ぱらりとせ 
枯木透いて屋根段々や冬の雨 阿部みどり女 笹鳴
枯木道とざせる茶屋のつゞきけり 野村泊月
枯木道死なざりし影徐かに曳く 石田波郷
枯木道脇挾む本ぬくとかり 高澤良一 ももすずめ 
枯木風日に三便のバス待てり 高澤良一 燕音 
枯木鳴り燿く星座かかげたる 橋本多佳子
枯枝が落つ凩の吹き熄む間 右城暮石 上下
枯枝にかこまれて春立ちにけり 石川桂郎 四温
枯枝にからみて枯るゝ零余子かな 雑草 長谷川零餘子
枯枝にはかなき冬の羽蟻かな 吉武月二郎句集
枯枝にまゆ玉のごと星懸る 藤森成吉
枯枝に初春の雨の玉円か 高浜虚子
枯枝に如意のかゝりし寒サかな 幸田露伴
枯枝に心刺されて野より帰る 成瀬桜桃子 風色
枯枝に湧く白雲や百千鳥 石鼎
枯枝に烏とまりけり秋の暮れ 芭蕉
枯枝に烏のとまりたるや秋の暮 芭蕉
枯枝に編み込む星やいつも三つ 対馬康子 愛国
枯枝に身をおおわれている産後 対馬康子 愛国
枯枝に餅花なせる小鳥ども 石塚友二
枯枝のさきそろひゐて冴え返る 室生犀星 犀星発句集
枯枝のさし交はしをる椿かな 阿部みどり女 笹鳴
枯枝のひつかかりゐる枯木かな 高野素十
枯枝の一ト葉もなくて日暮れゐる 石川桂郎 含羞
枯枝の中にある日のにぎやかに 長谷川素逝 暦日
枯枝の全けさ五寸ばかりにて 下村槐太 天涯
枯枝の天に拡がり身透くおもひ 右城暮石 声と声
枯枝の折れ易き雪舞ひ来り 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
枯枝の日のちりちりに羽子の音 臼田亞浪 定本亜浪句集
枯枝の網の目に星牡丹鍋 平畑静塔
枯枝の落つ間も動く舟の数 横光利一
枯枝ほきほき折るによし 尾崎放哉(1885-1926)
枯枝ほちほち鳴る山の昼の雁きかな 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
枯枝ぽきぽきおもふことなく 山頭火
枯枝や血走りて春来りけり 石塚友二 光塵
枯枝ゆれ月光のぼりくだりする 山口青邨
枯枝をぽきぽき折つてひとからげ 上村占魚 鮎
枯枝を地にたたきつけ富よ来い 細谷源二 砂金帯
枯枝を折り取る丘に風立てり 横光利一
枯枝を笄ざしや落葉籠 銀漢 吉岡禅寺洞
枯枝伐つて相変る樹や秋の空 比叡 野村泊月
枯枝吹く風のつのれば月出たり 林原耒井 蜩
枯枝影動かずにあり地虫出づ 上野泰 春潮
枯枝影動きとまれる地面かな 上野泰 佐介
枯枝折りし音が肋にひびきけり 成瀬桜桃子 風色
枯枝折り隣家葬りの仕度かな 高澤良一 さざなみやっこ 
枯枝折る音としてその都度に聴く 加倉井秋を 午後の窓
枯枝拾い くさじらみも枯れてしまつた 吉岡禅寺洞
栓さしてありし硝子戸枯木見ゆ 後藤夜半 底紅
栓の木の盆におかわり枯木宿 高澤良一 燕音 
桂郎忌の枯木波郷忌の枯木中 斎藤玄 雁道
梯子の先も枯木も天に向き明るし 菖蒲あや 路 地
森の枯木のむらさき愛し入り行かず 野澤節子 牡 丹
椋鳥のとまる枯枝いと細か 高濱年尾 年尾句集
椎茸をつけて枯木や笹鳴ける 碧雲居句集 大谷碧雲居
椿山荘枯木の中の椿かな 会津八一
楢山の楢枯れ木(ボク)に還るころ 高澤良一 燕音 
極月の松の枯枝下ろすかな 久保田万太郎 流寓抄
橋一つ向ふがけふの枯木宿 高澤良一 鳩信 
武蔵野は凡そ枯木の色々に 斉藤幸子
残る葉の幾枚枯木のプ・ラ・タ・ナ・ス 高澤良一 鳩信 
母の墓父に竝びて枯木中 鈴木点灯子
水ととと枯木の影の流れをり 池内友次郎 結婚まで
水の面のはしりかがよふ枯木かな 下村槐太 天涯
水鳥や枯木の中に駕二挺 蕪村 冬之部 ■ 春夜樓會
氷面鏡日ゆき月ゆき枯木ゆく 中島月笠
永遠は誓へず枯木雲を抱く 稲垣きくの 黄 瀬
河はあせ山は枯木の涙かな 中村史邦
河船や窓の枯木の過ぎてゆく 池内友次郎 結婚まで
浄からむ裸木の夜の想はるる 福永耕二
海苔を漉く手頸枯木の如き母 品川鈴子
淋しさや雪の上なる枯枝屑 楠目橙黄子 橙圃
清滝の橋のたもとの大枯木 高濱年尾 年尾句集
渋面の自画像の奥 枯木騒ぐ 楠本憲吉
温顔のそのまま枯木菩薩かな 原裕 出雲
港の灯片映え濡るる枯木かな 宮武寒々 朱卓
湯気立に遠く枯木といふものあり 下村槐太 天涯
満山枯木かゝるがゆゑの樅の瑞 石塚友二 方寸虚実
滝にのみ日が射し昃る枯木坂 桂信子 花寂び 以後
滝の上の枯木の空となりにけり 高濱年尾 年尾句集
滝桜見るに枯木に手をつきて 高澤良一 さざなみやっこ 
漱石忌枯木へだてて彼我病めり 石田波郷
濡るゝにはとぼしき坂の枯木なり 斎藤空華 空華句集
火の如き雲とどまりぬ夕枯木 内藤吐天 鳴海抄
灯が点り枯木の間のお酉さま 高澤良一 燕音 
炉開やこゝに比叡の枯木焚く 千家元麿 千家元麿句集
炎天の裸木リヤ王の白さなり 平井照敏 天上大風
炭竃へ径あり枯木中に見ゆ 高濱年尾 年尾句集
烈風にぼんやり灯る枯木宿 川端茅舎
煙突も枯木も親しわが住む町 成瀬桜桃子 風色
煙突や枯木の中の製造所 戯道
照り昃ることにかかはり大枯木 長谷川素逝 暦日
熊手店枯木のもとにきらびやか 高橋淡路女 梶の葉
燈をかばふ妻より若し背戸の裸木 細谷源二 砂金帯
父の戦記裸木ははがねのごとし 宇多喜代子
父母の亡き裏口開いて枯木山 飯田龍太
牛の背の斑いろいろの枯木かな 池内友次郎 結婚まで
牛を外せし軛大いさや枯木宿 楠目橙黄子 橙圃
犬細し女も細し枯木中 高野素十
独り祝ぐや枯木がかすむ泪眼に 田川飛旅子
猟狗吠え枯木の夕日澄みにけり 内藤吐天
猶黄なる枯木の中の銀杏かな 桜井芳水
獄を出て触れし枯木と聖き妻 秋元不死男(1901-77)
玻璃硬し裸木ゆらぐ風聞かず 原田種茅 径
瑠璃の空柿の枯枝の曲折に 瀧春一 菜園
瓦斯燈の光の翼枯枝に 京極杞陽 くくたち下巻
生きて翔く枯木鴉や他の鳥も 石塚友二
町内に枯木と月と銭湯と 高澤良一 燕音 
画鋲ひとつ枯木に光り学園祭 桂信子 黄 瀬
病む窓は淋し枯木のあるばかり 玄田紀童
病床の首捩ぢてまた枯木みる 辻田克巳
痩せぽっちのキリストを吹く枯木風 高澤良一 燕音 
癩人の相争へり枯木に日 村越化石
発車して枯木の影を徐々に脱す 津田清子 二人称
白根北岳かくさずすべて枯木なり 岡田貞峰
白隠元豆食べつくすまで枯木鳴る 長谷川かな女 花寂び
白雲に枯木の小枝ひろがりし 高木晴子 晴居
白露や命はありて枯木かな 来雨
白鳥座枯木に翼ひつかかる 橋本美代子
目を細むあまり枯枝の細かさに 松本たかし
看取る身の命あまさず枯木星 青山久女
真夜中のごとく燈して枯木宿 上村占魚 鮎
真青に海は枯木を塗りつぶす 山口青邨
着ぶくれし影ぞ裸木の影へ触れぬ 香西照雄 対話
睡い欠伸より未明の枯木幾つも吐き 田川飛旅子
瞑れば忽ち奈落枯木鳴る 堀井春一郎
石段下りし人に踏まれて枯木影 阿部みどり女
硝子売り歩む枯木の巴里を負ひ 小池文子 巴里蕭条
硝子戸の片すみにある枯枝かな 臼田亞浪 定本亜浪句集
磁針つねに北を示せり枯木星 斎藤空華 空華句集
磨崖仏の陰線枝垂る裸木へ 羽部洞然
磴蔽ひ枯木の枝のひろがれり 高浜年尾
神さびや枯木の曇る鳥居うち 吉武月二郎句集
神木の枯木の影も踏むまじく 上村占魚 球磨
神楽師の飲食枯木踏む音す 栗林千津
神経も雨も枯木も細き午後 成瀬正とし 星月夜
秋ふかし枯木にましる鹿の脚 松瀬青々
空へ出て山のまぼろし枯木見ゆ 和知喜八 同齢
空耳にD5l過ぎぬ枯木宿 北見さとる
窯打ちのこだま韋駄天枯木山 池元 道雄
立ち上り立ち上りくる枯木かな 石田郷子
立ち止り羽織に枯木影とまり 上野泰 佐介
立春の朝霧しづる枯枝かな 臼田亞浪 定本亜浪句集
立春の枯枝をつゝむ雪となり 林原耒井 蜩
笛鳴らす玩具の汽車に枯木の情 長谷川かな女 牡 丹
紅櫨と名札掛けられ枯木なる 磯野充伯
綿摘みてあとは枯木や綿畠 村上鬼城
縦横に枯木の影や下萌ゆる 高浜虚子
羽子の音枯木にひゞく宮居かな 岡本松浜 白菊
老足を遊ばす故山枯木中 岩木躑躅
考へる楽しさ枯木を見る遠さ 寺島敦子
耳あてて聴けば枯木に父の声 那須乙郎
肉の影して削るものなし野の裸木 赤尾兜子
胸像の壮者をしのぐ枯木して 古舘曹人 能登の蛙
脱帽といふ他はなき枯木瘤 高澤良一 随笑 
膝抱いて枯木の声を聞いてをり 西田妙子
自分で拾つてきた枯枝を 焚く音きいて 吉岡禅寺洞
自動車を廻しかねゐる夜の枯木 波多野爽波 鋪道の花
自転車に空気入れをり枯木宿 岸風三楼 往来
舌いちまいさびしむ眠り枯木山 松山足羽
花嫁着く枯木は道の一行詩 古舘曹人 能登の蛙
花時計とまりて午後の枯木らよ 行方克巳
花林糖齧る眼枯枝に遊ばせて 高澤良一 宿好 
芽吹きつゝ枯木のまゝの月夜かな 渡辺水巴 白日
芽吹く木々暮れて枯木と異ならず 山口誓子
落日のビュッフェの裸木殺到す 桜井博道 海上
葱(ねぶか)買(かう)て枯木の中を帰りけり 與謝蕪村
葱買ふや枯木のうらの風からび 康治
蓑虫の枯枝ほきと折りにけり 野村喜舟 小石川
蓑虫を一つぶらさげ枯木の庭 福本天心
薄き冬日枯木の瘤に集中す 菖蒲あや 路 地
薬餌ひさし赤き風船枯枝に 鷲谷七菜子 雨 月
藤蔓のいましめ固き枯木かな 岡本松浜 白菊
蟻出でてなほ裸木のさるすべり 大島民郎
行き来して句作り算段枯木中 高澤良一 宿好 
街路樹の枯木のパントマイムかな 高澤良一 宿好 
裔いまだ體中の微塵枯木星 石塚友二
裸木となりたる空の深さかな 加藤耕子
裸木となりておそるるもののなし 澤井我来
裸木となりてさくらはそこらの木 高澤良一 ねずみのこまくら 
裸木となりてはじめて交す影 檜紀代
裸木となりて初めて聳えけり 原田喬
裸木となりて大樹の姿見ゆ 曽我玉枝
裸木となりて欅の矍鑠たり 高澤良一 ねずみのこまくら 
裸木となりて神木よそよそし 奥田郁子
裸木となり新たなる樹の匂ひ 岡部名保子
裸木とわが影壁に立ちあがる 中村翠湖
裸木と紅葉半々山手線 高澤良一 宿好 
裸木にくつついてゐる鳥の羽根 石田郷子
裸木になりて木の自我見えてをり 竹中碧水史
裸木に乾すは病衣の白きのみ 岸風三楼 往来
裸木に倚り佇つゆゑに恋と見し 岸風三楼 往来
裸木に号泣といふ縋り方 橋本榮治 麦生
裸木に思ひ出すため鳥打帽 松山足羽
裸木に裸の剛さありにけり 角野良生
裸木に裸灯を吊り飾売 飯野燦雨
裸木に雀あつまる神迎 柴田白葉女
裸木のいつぽん道となりにけり 角川春樹
裸木のいづれも千手観世音 遠藤若狭男
裸木のうしろ暮れゆく風小僧 小川恭生
裸木のこよなき艶がすべてなり 高澤良一 素抱 
裸木のそぞろに昏れる物語り 宮地英子
裸木のなか匍匐前進する父よ 齋藤愼爾
裸木のはるかに雲を恋ふるかな 青柳志解樹
裸木のむらなくぬるる時雨哉 会津八一
裸木の一本づつに朝日影 高澤良一 宿好 
裸木の今は日を欲る許りの枝 高澤良一 素抱 
裸木の光と蔭の部分かな 高澤良一 燕音 
裸木の影の確かさ我が五十路 川合憲子
裸木の月を得しよりとがりけり 金子麒麟草
裸木の朴をぐるりと巡るなり 山田みづえ 手甲
裸木の枝先の葉の震ひづめ 高澤良一 燕音 
裸木の櫨の実少し残りけり 坪井 さちお
裸木の欅の如菩薩仏菩薩 高澤良一 宿好 
裸木の清々しきも見飽きたり 相生垣瓜人
裸木の無心が心憎き日や 高澤良一 随笑
裸木の瘤のあらはに父病めり 下山宏子
裸木の瘤の如しや信濃人 草間時彦 櫻山
裸木の碧空頼むけしきかな 臼田亜浪 旅人
裸木の蕊の白さをおもひけり 高澤良一 ももすずめ 
裸木の走り根の先ここまでよ 高澤良一 随笑 
裸木の間に一村のたつき見ゆ 冨田みのる
裸木の電飾いくつ星に足す 鱒澤行人
裸木も視る月蝕は侏儒の靴 河野多希女 彫刻の森
裸木や看守官舎も棟割なる 北野民夫
裸木ゆえ風にも日にも光るなり 宇咲冬男
裸木よなきがらよりはあたたかし 島谷征良
裸木よ今夜も星星は誤植だ 夏石番矢 メトロポリティツク
裸木を振り返る時ぞ空青し 相馬遷子 山国
裸木を責めて興ぜむ日ともせり 相生垣瓜人 明治草抄
襁褓干す枯木と軒を紐で結ひ 長谷川双魚 『ひとつとや』
触るるものなくて枯枝穹に張り 桂信子 黄 炎
言霊のごときがひとつ枯木山 政野すず子
詣りたる大観音の枯木かな 阿部みどり女 笹鳴
試験憂し枯木にさがりゐる縄も 沢木欣一 往還
誰か折る枯枝近し良寛忌 石川桂郎 高蘆
誰も知らぬ老婆の駈け足枯木の宙 北原志満子
讃美歌のとおくに枯木だけの山 対馬康子 愛国
谿は枯木を飛ぶ燕靄を染むる日に シヤツと雑草 栗林一石路
赤き紐さがつてゐたる枯木かな 池田秀水
赤く見え青くも見ゆる枯木かな 松本たかし(1906-56)
赤ワイン産地の葡萄まだ枯木 高木晴子 花 季
赤城山に真向の門の枯木かな 村上鬼城
赫灼と枯木に花の牡丹かな 岡本松浜 白菊
蹲る枯枝の鳩や春隣 風生
蹲る鳩を裸木見下ろせり 高澤良一 宿好 
躓けば 枯木が天を叩きけり 富澤赤黄男
身を忘じ枯木の瘤を愛しけり 赤尾兜子
近くより闇のはじまる枯木かな 倉田紘文
通りすぎ心に触れし枯木あり 桂信子 黄 瀬
通草の花のほろほろ咲ける枯枝かな 太田鴻村 穂国
逢ひたくなき人に曲りし枯木かな 阿部みどり女
逢ふところまでいくたびも枯木過ぎ 桂信子 黄 瀬
道ふさぐこの倣岸な一枯木 能村登四郎 菊塵
道埃どうと上るや枯木中 西山泊雲 泊雲句集
違ふ世の色を思へり枯木山 柿本多映
遠ちの枯木桜と知れば日々待たる 野澤節子
遠景に枯木華やか急ぐなよ 三橋鷹女
遠景の富士の小さき枯木かな 近江小枝子
遠景の枯木におのれ置きてみる 亀井糸游
遥かより子が拾い来る枯木と火 対馬康子 吾亦紅
遮断機はとくとく下ろす夜の枯木 中村汀女
野の夕日いま去り枯木よりあへる 石橋辰之助
野施行や枯木をめぐる小提灯 妻木 松瀬青々
野猿群跳べり裸木裸蔓 西本一都 景色
金無垢の蜂を放ちぬ枯木の枝 内藤吐天 鳴海抄
鉢叩枯木に影の添ふごとく 野村喜舟
銀色の夏の枯れ木が立つばかり 津沢マサ子 空の季節
鍵鳴らし一途に老いぬ枯木中 古舘曹人 能登の蛙
鏡なす空に枯木の物狂ひ 高澤良一 随笑 
長命寺門の餅屋の枯木かな 雑草 長谷川零餘子
間引絵馬見て裸木に眼を外らす 町田しげき
閲覧室そそけ枯木の見ゆる席 高澤良一 ももすずめ 
閼伽そそぐしづかなる刻を枯木中 瀧春一 菜園
隆々と瘤の光れる枯木かな 市川月光
雁の棹枯木の上に一文字 高野素十
雄ごころを尽して裸木となれり 遠藤若狭男
雪うすくなる枯枝のこうごうし 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
雪にたつ何の枯木と見やりたる 高濱年尾 年尾句集
雪やみて桐の枯木は肋骨なす 福田蓼汀 山火
雪片をすいと引き寄せ一枯枝 高澤良一 鳩信 
雪解や枯木の上の青い山 佐野良太 樫
雪解宿夜すがら枯木囁くは 小林康治 『華髪』
雪解山けふの嵐の枯木かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
雪踏のふり返る枯木中となりぬ 河東碧梧桐
雲ちぎれ飛ぶ早し月の裸木に 臼田亞浪 定本亜浪句集
雲を吐き枯れ木を連れて外出す 津沢マサ子 空の季節
雲割れて紫紺の空の枯木かな 池内友次郎 結婚まで
雲迅く枯木倒れんばかりなり 福田蓼汀 山火
雲遊ぶ秋山頂の枯木かな 臼田亞浪 定本亜浪句集
青萱に落ち漂へる枯枝かな 西山泊雲 泊雲句集
韓国の音階しとど枯木山 宇多喜代子
韮生えて枯木がもとの古畑 村上鬼城
音消えて闇深くなる枯木宿 寺田青香
頂上の枯木に群るゝ秋燕 比叡 野村泊月
頬白のとまる枯木をながめけり 阿部みどり女
頭上なる枯木の何かこそつける 高澤良一 さざなみやっこ 
風あたり強き妙義の枯木宿 上村占魚 球磨
風止んで枯木は影を正しけり 長谷川 霧
風渡る枯木もかなし泣くたより 立花北枝
風立ちて星消え失せし枯木かな 芝不器男(1903-30)
風落ちて枯木も歩みとどめけり 有働亨 汐路
風起る音を聞きつゝ枯木道 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
飢えし群れに枯木の雨がすぐ乾く 内藤吐天 鳴海抄
馬はものいはず裸木と昏れてゐる 岸風三楼 往来
駒鳥や優しき枯木はずましむ 小池文子 巴里蕭条
骨々の音のさむらふ枯木のみ 斎藤玄
骨は墓へ裸木に亡父の灯ひかりだす 寺田京子 日の鷹
骨壷抱くも談笑しつつ枯木の道 原田種茅 径
骨太な字が欲しいふぶきに裸木たち 日下部正治
髪かざる栄誉を枯木とり囲む 古舘曹人 能登の蛙
鳥のゐる枯木 と 烏のゐぬ枯木 富澤赤黄男
鳥の巣の崩れてをりし枯木かな 大山 百花
鳥の足に似し枯枝を見せらるる 大石雄鬼
鳥声のかたまり落つる枯木沼 杉原朝詩
鳥礫また飛び枯木山静か 加古宗也
鳴いてゐて枯木に来れば鳴かぬ鵯 高木晴子 晴居
鴉の嘴ときに光りし大枯木 阿部みどり女
鴉騒ぐ枯木の中の人たかり 会津八一
鵞鳥鳴いて枯木の闇の深かりき 五十嵐播水 埠頭
鵯飛んで何の枯木ぞ骨太き 石塚友二 光塵
鶲とんで色ひゞき逃げし枯木かな 原石鼎
鶲来て枯木うちはゆ雑煮かな 渡辺水巴 白日
鶲来て枯木に色をそへにけり 高濱年尾
鶲来て色つくりたる枯木かな 原石鼎
鷲の巣の樟の枯枝に日は入りぬ 野澤凡兆
鷹日和枯木白樺ともなく朴ともなく 島村元句集
鹿寒し角も身に添ふ枯木哉 蕪村 秋之部 ■ 雨中の鹿といふ題を得て
黄昏は枯木がぬいだ白いシヤツポ 富沢赤黄男
黄昏は枯木が抱いてゐる竪琴 富澤赤黄男
黄昏や雪踏まれある枯木中 萩原麦草 麦嵐
黒き裸木の枝に紐など見え乍ら溢れしわれは居らざる在日 中城ふみ子
また一つ家毀たれて枯木星  高澤良一  鳩信
裸木となりて歴然瘤欅  高澤良一  石鏡
枯幹に抱きつきざまに鵯止まる  高澤良一  さざなみやつこ
ダリエンソ賛歌
街の木は枯れてタンゴの鼻濁音  高澤良一  燕音
柿の木のへうへうと彳つ枯れて彳つ  高澤良一  随笑
枯木攀ずあの猫金魚盗った猫  高澤良一  石鏡
怪人二十面相枯木の合間より  高澤良一  暮津
けんちん汁伝はる寺の総枯木  高澤良一  暮津
国産マツチ創始者清水誠の碑
ボウボウと枯れ木国産マッチの碑  高澤良一  暮津

以上
by 575fudemakase | 2014-12-14 00:01 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://fudemaka57.exblog.jp/tb/23355812
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

カテゴリ

全体
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
未分類

以前の記事

2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2011年 04月

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...

メモ帳

らくらく例句検索

インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

検索

タグ

最新の記事

栗 の俳句
at 2017-06-26 09:40
後評 (2017・6)
at 2017-06-19 06:23
野蒜の花 の俳句
at 2017-06-18 16:46
米搗虫 の俳句
at 2017-06-18 16:44
紅鱒 の俳句
at 2017-06-18 16:42

外部リンク

記事ランキング