海鼠

海鼠

例句を挙げる。

あぐる竿急や海鼠の突けたらし 播水
いきながら一つに冰る海鼠哉 芭蕉
いつこくの無口は海鼠にもありし 林 翔
いつ見ても濡身のまゝの海鼠哉 馬光
うかうかと海月に交る海鼠かな 車庸 俳諧撰集「藤の実」
うか~と海月にましる海鼠哉 車庸
うすずみに寒の海鼠の深ねむり 治司
かたまりて色のみだれの海鼠かな 野村喜舟 小石川
くむ汐にころび入るべき生海鼠かな 梨雪 芭蕉庵小文庫
こき~と海鼠を洗ふ鰯雲 萩原麦草 麦嵐
こぞりあふ寒さも桶の海鼠哉 万吉
このところ海鼠倣うて黙しをり 高澤良一 素抱 
このわたは小樽海鼠は中樽に 鈴木真砂女 夕螢
このわたを泳がせてゐる海鼠かな 矢島渚男
これやこの身につまさるる海鼠の腸 高澤良一 素抱 
ころりんと渚に海鼠波枕 高澤良一 素抱 
すきものの歯のきこきこと海鼠たぶ 飯田蛇笏
そのかみのいろを貰ひて寒海鼠 吉田紫乃
そらごとの詩を詠みをり海鼠喰ふ 石原八束 『仮幻』
だんだんに心冷えゆく海鼠噛む 樋笠文
なまなかに海鼠の眼覚束な 佐藤紅緑
ぬめりとるまでを海鼠に鳴かれけり 吉田紫乃
ひとしぐれ過ぎたる海鼠噛みにけり 鷲谷七菜子 花寂び 以後
ひとすぢの青藻まとへる海鼠かな 岡田耿陽
ひとの手を借り得ぬものの海鼠買ふ 石川桂郎 高蘆
ひろごりて時雨ごころの海鼠かな 永田耕衣 真風
ふつつかな海鼠物云ふ患者食 高澤良一 ぱらりとせ 
ふり海鼠なり浜の詠めの真砂原 調機 選集「板東太郎」
ふるさとは赤ら顔して海鞘海鼠 駒走鷹志
ぶちまけて海鼠の笊を空にせり 加藤かけい
べむべむと串海鼠(くしこ)もにえず霙かな 中村史邦
まつすぐに光と戻る海鼠舟 宇多喜代子 象
むくつけき海鼠そ動く朝渚 露沾
めづらしと海鼠を焼や小野の奥 俊似
もう一つ呑み込めないでゐる海鼠 高澤良一 燕音 
わがままな海鼠に月の光かな 功刀とも子
わだつみや餌だにまかで海鼠かく 白雄
われよりも年寄る海鼠食ひにけり 矢島渚男(1935-)
われ思ふ故にわれある海鼠かな 三村哲田
をかしさのそら寝こそぐる海鼠かな 貞佐
シャンソンと酢海鼠いまも好きですか 吉澤利枝
一刀に断ちて海鼠の腹白し 野中ちよこ
一口に海鼠の色の言ひ難し 山崎房子
一塊のままに海鼠の売られけり 徳田千鶴子
一念の凝りて海鼠や桶の底 奥坂まや
一病を持ちて海鼠の類ひなる 高澤良一 鳩信 
一通り聞きて入院梅雨海鼠 高澤良一 鳩信 
世の中をかしこくくらす海鼠哉 正岡子規
中七に嵌りし海鼠にげ場なし 中村遠路
二つ程拾ひ海鼠の黒奴 高澤良一 素抱 
五月雨や雨の中より海鼠壁 芥川龍之介
人づてに聞けり海鼠の不料簡 高澤良一 ぱらりとせ 
人間に生まれ海鼠にうまれけり 児玉南草
人間の海鼠となりて冬籠る 寺田寅彦(1878-1935)
今生のわれと深間の海鼠かな 島将吾
何の故に恐縮したる生海鼠哉 夏目漱石 明治三十二年
余生白くけむりて見ゆる海鼠喰ふ 石原八束 『仮幻』
俎板に這ふかとみゆる海鼠かな 太祗
信綱忌伊勢の海鼠の夕星色 塚本邦雄 甘露
俳諧の腸絞る海鼠を前 高澤良一 随笑 
冬浅し曲りてもまた海鼠壁 芝山吉宣
凍りあふて何を夢みる海鼠哉 松瀬青々
凩に生きて届きし海鼠かな 石井露月
初五文字のすわらでやみぬ海鼠の句 正岡子規
初市や海鼠一籠隅にあり 青木月斗
前の世もその前の世も海鼠かな 西嶋あさ子
北海の冷えし海鼠のはらわたを買ひて提げたり黒衣まとひつ 倉地与年子
千百里漂ひ来る海鼠かな 河東碧梧桐
半鐘のいぼいぼ凍る海鼠かな 龍岡晋
厚着して舟を寄せ合ふ海鼠突 斉藤夏風
厨の灯たぬしむごとく海鼠売 後藤夜半
口つぐむ海鼠質せば一理あり 高澤良一 素抱 
口裏をあはせ海鼠を噛んでをり 仙田洋子 雲は王冠
古びたる舟板に置く海鼠かな 日野草城
古びたる船板に置く海鼠かな 草城
古妻も出刃も海鼠も仏かな 野村喜舟 小石川
古妻や馴れて海鼠を膳に上ぼす 青峰集 島田青峰
古往今来切つて血の出ぬ海鼠かな 夏目漱石 明治三十年
古湯婆形海鼠に似申すよ 正岡子規
吹かれ来て海鼠の貌になつてをり 柴田朱美
味はうて間石翁の海鼠の句 高澤良一 宿好 
善し悪しを言はれし海鼠動き出す 次井義泰
四日果て金海鼠(きんこ)色なる鳥羽の空 高澤良一 鳩信 
土竜打つてコツと捨てたる海鼠かな 菅原師竹句集
坂東の血が酢海鼠を嫌ふなり 藤田湘子
売々て一つ凍える海鼠哉 来爾
夕されば海はしぐれぬ海鼠売 掬池路
夜窃かに生海鼠の桶を覗きけり 石井露月
大臣の台詞のごとき海鼠かな 藤井三吉
天冴えて海鼠かゝれり網雫 菅原師竹句集
天地を我が産み顔の海鼠かな 正岡子規
嬲られて球になりたる海鼠かな 福本鯨洋
季重ねを重ねて海鼠沈みゆく つつみ眞乃
安々と海鼠の如き子を産めり 夏目漱石
客船のまぶしく過ぎぬ海鼠突 川崎俊子
寄れ枕ふり海鼠(こ)になりし鼠かな 秋色 俳諧撰集玉藻集
寒の桶海鼠だんだん淡くなる 金箱戈止夫
寒凪やタブの影おく海鼠の江 前田普羅 能登蒼し
寒海鼠灯の香海の香恋ひわたる 小林康治 玄霜
小廻りをつづくるうちの海鼠舟 八木林之介 青霞集
小石にも魚にもならず海鼠哉 正岡子規
尾頭のこころもとなき生海鼠かな 去来 選集古今句集
尾頭のこゝろもとなき海鼠哉 去来
尾頭の心もとなき海鼠かな 向井去来(1651-1704)
尾頭の心もとなき生海鼠かな 去来
山妻の海鼠食うたる高鼾 高澤良一 素抱 
岬の日に干されて黝き海鼠かな 不破 幸夫
崑崙の星の夜を知る海鼠かな 五島高資
己か身の氷にはしる生海鼠かな 秋来 選集古今句集
干潟には赤濁の波海鼠突く 貢太郎
底岩に幾つとまれる海鼠かな 島村元句集
庖丁にくねりて固き海鼠かな 関谷嘶風
庖丁の刃にちぢみけり寒海鼠 坪根 里杏
廓の灯たぬしむごとく海鼠売 後藤夜半 翠黛
引き際を考へてをる海鼠かな 柴田奈美
引汐に引き残されし海鼠哉 正岡子規
心臓と同じくらゐの海鼠かな 石原八束(1919-98)
心萎えしとき箸逃ぐる海鼠かな 石田波郷
心配はご無用顔の海鼠とも 高澤良一 燕音
思ふこといはぬさまなる生海鼠かな 蕪村
恍惚と星のとびこむ海鼠桶 櫛原希伊子
惑星の暗きところに海鼠かな 中村美子
憂きことを海月に語る海鼠かな 黒柳召波 春泥句集
憂ことを海月に語る海鼠哉 召波
懸命に海鼠の口を探しけり 原田喬
手にとればぶちやうはふなる海鼠かな 高浜虚子
手当つれば胃の辺で哭ける海鼠とも 高澤良一 素抱 
手掴みに海鼠秤るも磯の市 鷹野清子
指さしてこれが海鼠の中の首領(ドン) 高澤良一 素抱 
掬ひ売る海鼠日ぐれの色にかな 有働 亨
晩酌に海鼠おだぶつする夕べ 高澤良一 素抱 
曳き売りの動く海鼠を買ひにけり 田島蔦子
朝市や海鼠にかかる牡丹雪 和田祥子
東夷(あづまえびす)でよろし海鼠が大好きで 高澤良一 燕音 
松とれし下田や遺る海鼠壁 貞弘 衛
梅林を上りてきたる海鼠捕 斉藤夏風
棹立てゝ船を停むる海鼠掻き 前田普羅 能登蒼し
横波をくらひどほしの海鼠突 松崎楽中
水底の海鼠にあたる海鼠哉 買明
汐先の昏れて来るまで海鼠突 剣持不知火
沖の石のひそかに産みし海鼠かな 野村喜舟(1886-1983)
波いなす櫂は左手に海鼠つき 清田根
活きてゐるもの海鼠のみ海鼠買ふ 犬塚貞子
活て居るものにて寒き海鼠哉 高井几董
浜庇串海鼠の階子掛けにけり 難会 選集「板東太郎」
浮け海鼠仏法流布の世なるぞよ 一茶 ■文化十一年甲戊(五十二歳)
海中へのめる寸前海鼠突く 衣川砂生
海光や身をさかしまに海鼠突く 萩原記代
海底に潮の流れや海鼠採り 天野 逸風子
海底の火の山ねむる海鼠かな 龍岡晋
海清くあはれ海鼠の突かれけり 村田 脩
海照りて人を消しぬる海鼠舟 八木林之介 青霞集
海鼠(こ)だたみの饗応(まうけ)しのばし聚楽御所 黒柳召波 春泥句集
海鼠かむひかりの粒を噛むごとく 小檜山繁子
海鼠くうて海鼠のごとく酔ひにけり 冬葉第一句集 吉田冬葉
海鼠くう松の内なる闇夜かな 萩原麦草 麦嵐
海鼠たること忘れたる海鼠かな 藤岡筑邨
海鼠だゝみや有し形を忘れ顔 炭 太祇 太祇句選
海鼠つき濤の明暗よせつけず 安田 晃子
海鼠つく竿をたふして漕ぎうつる 五十嵐播水 埠頭
海鼠ともならてさすがに平家也 涼莵 (赤間関にて平家蟹といふを見て)
海鼠なり青潮の底揺すれるは 杉田智栄子
海鼠なり風邪こじらせて臥せる身は 高澤良一 さざなみやっこ 
海鼠に小便そんな愚行もしてみたく 高澤良一 素抱 
海鼠に髯あらば弁士にうってつけ 高澤良一 素抱 
海鼠の句大いにうけて羽振りよき 高澤良一 寒暑 
海鼠の目探して尿をかけられし 吉田紫乃
海鼠の脚あらかた疣に退化して 高澤良一 素抱 
海鼠の腸や瀬戸にさす塩壺のなみ 春松 選集「板東太郎」
海鼠はいざり魚は尾をはね俎に 大橋櫻坡子 雨月
海鼠また此巌蔭に雌伏せる 虚子
海鼠より雫つたはり肱にまで 中田剛 珠樹以後
海鼠今松葉しぐれて桶の中 松瀬青々
海鼠凍つ光ふるへり冬彦忌 古谷群象
海鼠切りもとの形に寄せてある 小原啄葉
海鼠切ることに器用を働かせ 敦子
海鼠割く女だてらに隠し酒 中山天剣
海鼠喰ふはきたないものかお僧達 服部嵐雪
海鼠喰ふ変哲もなき男にて 宮慶一郎
海鼠喰ふ私も進化しそこねて 笠間圭子
海鼠噛み運鈍根の根に執す 下田稔
海鼠噛むその眼返事を保留して 高澤良一 寒暑 
海鼠噛むそれより昏き眼して 中村苑子
海鼠噛むためのうそぶき男なり 岡井省二
海鼠噛む亡父の生き方責められず 本土みよ治
海鼠噛む人の世をやや遠ざけて 鷲谷七菜子
海鼠噛む好きとも嫌ひとも言はず 中本憲己
海鼠噛む歯がまだありて好々爺  高澤良一 素抱 
海鼠噛む汝や恋を失いて 西東三鬼
海鼠噛む終始寡黙の父老いて 立石勢津子
海鼠噛む遠き暮天の波を見て 龍太
海鼠噛む顔を四角に三角に 高澤良一 素抱 
海鼠売る桶重ねたり橋の雪 龍胆 長谷川かな女
海鼠売向ひ吹雪を行きにけり 大橋櫻坡子 雨月
海鼠売己れも暗き色着たる 中村やす子
海鼠売甕をかづきて移りけり 軽部烏頭子
海鼠拾ふ相州の浜その昔 高澤良一 燕音 
海鼠捕る海鼠のやうな仕種して 井上比呂夫
海鼠桶覗きてをれば灯りけり 柴崎七重
海鼠汝れも身をちゞめたる寒さかな 青峰集 島田青峰
海鼠流離のごとく漕ぎ出でぬ 樋笠文
海鼠海女襤褸の胴着に帯結はず 橋本鶏二
海鼠眼なしふくとの面を憎みけり 正岡子規
海鼠突きに行く年守りて隠れ耶蘇 小原菁々子
海鼠突き波のたゆたに伏眼鏡 楠目橙黄子 橙圃
海鼠突き漏電個所を発見す 和田幸司
海鼠突く一人一舟傾けて 稲畑汀子
海鼠突く有馬王子の碑の下に 香月 梅邨
海鼠突く鈷ひとすぢの飾かな 河原白朝
海鼠突く銛を持たせてくれたるよ 小澤實(1956-)
海鼠突巌の如き顔をせり 大串章 百鳥 以後
海鼠突舟炉煙らせつゝ漁る 徳永玄子
海鼠腸が好きで勝気で病身で 森田愛子
海鼠腸しつゝ強姦たる火曜会かな 加藤郁乎
海鼠腸に無頼のこころ制しけり 大串章 百鳥 以後
海鼠腸に玄海のひびき伝れり 米沢吾亦紅
海鼠腸の壺埋めたき氷室哉 利重
海鼠腸の瓶厚硝子海鼠腸みゆ 小澤實
海鼠腸やよき教え子はよき漁夫に 大星たかし
海鼠腸や亡父の好みの小盃 二階堂 英子
海鼠腸や岬に古びし小料理屋 古賀ただし
海鼠腸や月まだ色を得ずにあり 日原 傅
海鼠腸や朱のよく入りし三冊子 宇佐美魚目
海鼠腸や生きること未だおもしろく 小原啄葉
海鼠腸をすすり失礼つかまつる 助田素水
海鼠腸をすするや絹をすするごと 礒部尺山子
海鼠腸を啜る霞を食ふ心地 宮本美津江
海鼠腸を計る手許を見詰めゐし 里村芳子
海鼠舟ふくるゝ潮にさからはず 鈴鹿野風呂 浜木綿
海鼠舟らしゆるやかに漕ぎうつり 魚井 苔石
海鼠舟大つごもりをただよへる 八木林之介 青霞集
海鼠舟波にもまれて幾世経し 鈴鹿野風呂 浜木綿
海鼠舟潮暗しとて引返す 阿部三魚
海鼠舟竿しなはせてあやまたず 時彦
海鼠買ふ人差指で押してみて 鈴木真砂女
海鼠酒呑む婚礼のそれでよし 萩原麦草 麦嵐
海鼠酢に漬ける殺生いたしけり 高澤良一 素抱 
海鼠食ひし男まぎれぬ街の燈に 展宏
海鼠食ひし顔にてひとり初わらひ 加藤楸邨
海鼠食ふあくび嗚咽に変はるとき 仙田洋子 橋のあなたに
海鼠食ふときは鳩尾暗くして 高澤良一 素抱 
海鼠食ふ夕白雲のかがやきに 中拓夫
海鼠食べられて曖(おくび)となり出づる 高澤良一 素抱 
清見寺知識に参ず海鼠かな 尾崎迷堂 孤輪
渾沌をかりに名づけて海鼠かな 正岡子規
滾々と水湧き出でぬ海鼠切る 百間
漁れる海鼠百貫石鏡海女 宮田正和
潮水に海鼠生かして風鳴る日 高澤良一 素抱 
潮満ちて海鼠最も油断の時 津田清子
火事移る日なかの海鼠噛む母に 坪内稔典
灯を消して闇にあそべる海鼠かな 仙田洋子 橋のあなたに
無為にして海鼠一万八千歳 子規句集 虚子・碧梧桐選
父を過ぎ母を過ぎつつ海鼠かな 永末恵子
爼板に這ふかとみゆる海鼠かな 炭 太祇 太祇句選後篇
牡蠣よりも海鼠の黙ぞ深からむ 相生垣瓜人
牡蠣海鼠銭吊つて笊ゆれやまず 石川桂郎 高蘆
珠洲の海の高浪見るや海鼠かき 前田普羅 能登蒼し
生きて居る海鼠と見れば面白し 星野麦人
生きながらひとつに氷る海鼠かな 芭 蕉
生きのまゝ海鼠凍れり桶の底 児玉 小秋
生き難し海鼠を提げて立ちつくす 萩原麦草 麦嵐
生海鼠きる手にもみ裏の見ゆるなり 青々
生海鼠にも鍼こころむる書生哉 與謝蕪村
生海鼠ほす袖の寒さよ啼ちどり 士朗
生海鼠干す伊良古が崎の二日凪 曉台
町古りて冲の暗さの海鼠噛む 梶山千鶴子
目鼻なき海鼠相寄り糶待てり 前田 鶴子
相居りて相知ること遅き海鼠かな 高田蝶衣
石となるまでは海鼠にてをらむ 柴田奈美
石海鼠切ればくたくたになりにけり 加藤国彦
石鉢に寒さをすくむ海鼠哉 老鼠
砂の中に海鼠の氷る小さゝよ 碧梧桐
硬直の酢のもの海鼠勘弁な 高澤良一 素抱 
磯波に漂ふさまの海鼠突 瀬川としひで
礁の間に棹のあがるは海鼠舟 山崎一之助
礁の間に長き舳や海鼠舟 楠目橙黄子 橙圃
礁壷覗き移りて海鼠突く 水見句丈
突き上げし海鼠簀板に放り投げ 近藤竹雨
竜宮の天井裏に海鼠かな 高桑化羊
糶声に何か呟く海鼠かな 大橋敦子
老子虚無を海鼠と語る魚の棚 寺田寅彦
耐へてゐる姿ふてぶてしく海鼠 柴田奈美
聖者の訃海鼠の耳を貫けり 前田普羅
胴切にしもせざりける海鼠かな 炭 太祇 太祇句選
腸ぬいてさあらぬさまの海鼠かな 阿波野青畝
自らもたうべてありぬ海鼠売 軽部烏帽子 [しどみ]の花
舟よりも長き棹繰り海鼠突 野村能邨
芭蕉の句屹立しくる海鼠かな 宇佐美魚目 秋収冬蔵
苦しみをはなれて動く生海鼠哉 松岡青蘿
蜆子にも逢はで漂ふ生海鼠かな 蓼太
蜑老いぬ根つき海鼠を突きながら 元
行方なく海鼠食うべて欠けたる歯 皆吉爽雨
術後十日重湯すすりて病ミ海鼠 高澤良一 鳩信 
裏返し海鼠の何だこの突起 高澤良一 素抱 
西函嶺を踰えて海鼠に眼鼻なし 夏目漱石
観念し海鼠の吐ける泥の量 高澤良一 素抱 
貞女石に化す悪女海鼠に化すやらん 正岡子規
赤海鼠裏側見られて仕舞ひけり 高澤良一 素抱 
身を守る尖ともみえぬ海鼠哉 炭 太祇 太祇句選
輪切りにす海鼠土管のごとき腸 高澤良一 素抱 
返照の一点ゆらぐ海鼠突 前田鶴子
逃げる気もつかでとらるる海鼠哉 正岡子規
避雷針高々とある海鼠かな 岸本尚毅 舜
酌む汐にころけ入べき海鼠哉 利雪
酢に逢うて石となりたる海鼠かな 野村喜舟 小石川
酢海鼠が好きで無口で意固地者 築城百々平
酢海鼠となり果てし身を箸に懸け 高澤良一 素抱 
酢海鼠に錆つく顎を使ひけり 高澤良一 素抱 
酢海鼠に顎の運動いちにっさん 高澤良一 素抱 
酢海鼠や昔日の丈夫いまの惰夫 花岡昭
酢海鼠や桂郎酒筆讃へつつ 福永耕二
酢海鼠や父をあやしむ子らの顔 堀口星眠 営巣期
酢海鼠や窓に雪雲圧し来たり 鈴木柏葉
酢海鼠を掌皿に漁夫の咽鳴らす 榊原碧洋
酢海鼠を背中さびしく食ひにけり 野中 亮介
酢瓶いくつ最昔(そのかみ)矢岐の大生海鼠(おほなまこ) 松意
釣針の智恵にかゝらぬ海鼠哉 横井也有 蘿葉集
階段が無くて海鼠の日暮かな 橋間石
雪の夜の夢見るものに海鼠かな 高橋睦郎 稽古飲食
青と見れば紫光る海鼠かな 東洋城千句
頭から蒲団被りし海鼠哉 清泉
頭掻く海鼠なんぞも見てみたし 高澤良一 素抱 
風向きがガラリと変り海鼠突 高澤良一 燕音 
風吹いて海鼠に旬の到りけり 岸木尚毅
風花のローザ・ルクセンブルグ忌の海よりもどる海鼠をさげて 原田禹雄
魚屋の昔や暗き海鼠桶 石川桂郎 高蘆
魚市のとぼりて寒き海鼠かな 村上鬼城
黄昏に踊る海鼠と女かな 仙田洋子 雲は王冠
鼠族にてあらむ海鼠を口にせり 相生垣瓜人 明治草抄
これちょうだい まっくろ黒助凍てなまこ 高澤良一 寒暑 
なまこ噛み老若といふ蟠り 伊丹さち子
なまこ噛む力足らざり雪の音 殿村莵絲子 牡 丹
なまこ噛む音こめかみに伝はりて 高澤良一 ももすずめ 
なまこ壁に触れたる汗のひきにけり 石川桂郎 四温
なまこ壁繕ってある冬構 高橋悦男
なまこ獲り墓がはっきり見えてくる 八木原祐計
なまこ突く潮の暗き日明るき日 山中一土子
なまこ舟磯越す波に漕ぎうつり 楠目橙黄子 橙圃
なまこ舟礁越す波に漕ぎうつり 橙黄子
なまこ舟舳先を風にまかせけり 黒田櫻の園
なまこ食ひなまこなまことなまけもの 高橋比呂子
寝て覚めて脈をとらるゝ病ミなまこ 高澤良一 ぱらりとせ 
末の子の訝しむ瞳の寒なまこ つじ加代子
桶に日の射し赤なまこ青なまこ 服部翠生
水底も秋経し色や初なまこ 野坡
海女浮ぶなまこ掴みし手をあげて 下村梅子
海鼠の句大いにうけて羽振りよき  高澤良一  寒暑
孫と瞻てナマコ忍者の黒装束  高澤良一  素抱
大海鼠無理難題のごと置かれ  高澤良一  素抱
優(やさ)海鼠何を忖度して寸評  高澤良一  石鏡
何やかや云ひては海鼠に手を出しぬ  高澤良一  暮津
豊饒の海を海鼠の語りぐさ  高澤良一  暮津

以上
by 575fudemakase | 2014-12-21 00:02 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
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(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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