牡蠣

牡蠣

例句を挙げる。

「今夜は酢牡蠣」妻の前触れ愉しけれ 林 翔
あたらしき声出すための酢牡蠣かな 能村登四郎(1911-2002)
あら玉の牡蠣と狂歌に読めりける 尾崎紅葉
いつまでも葱青く牡蠣煮ゆるなり 槐太
お手本と云へれば云へる牡蠣の意地 高澤良一 随笑 
さそはれて千鳥を聞きに牡蠣船へ 清原枴童 枴童句集
しぐるゝや牡蠣割る辻も灯りぬ 貞
だまり食ふひとりの夕餉牡蠣をあまさず 楸邨
ともしびや酔牡蠣と噛みし柚子の種 龍男
のどすぐる酢牡蠣や酒友なきもよし 筍雄
はかなくも我あり牡蠣を酢にひたす 有馬朗人 知命
ひとり過ぐ巴里の灯牡蠣の剥かれゐし 小池文子 巴里蕭条
ひろしまの牡蠣の一眼づつ啜る 赤松子
ひろびろと酢牡蠣味はふ舌があり 高澤良一 宿好 
またの日も斯かれしづかに牡蠣すする 下村槐太 天涯
やすんじて牡蠣の十一月迎ふ 石川桂郎 四温
ゆくりなく客とくつろぐ牡蠣飯に 片桐美江
ナプキンの角に日あたり牡蠣料理 桂信子 遠い橋
ブランデー一滴牡蠣を睡らしむ 八重樫弘志
レモン添え外食めきぬ牡蠣フライ 高澤良一 寒暑 
一湾の眠るがごとき牡蠣筏 井上静子
不況すすむ牡蠣だぶだぶと粥の海 河野南畦 『試走車』
乳呑ますときは乳の香牡蠣割女 田村劉一郎
亡き友も五指に余るや牡蠣すする 本多静江
人の死に鍋とも酢とも牡蠣まかす 石川桂郎 高蘆
今牡蠣の旬てふ言葉広島に 稲畑汀子
余所者に口固かりき牡蠣割女 安東せつ
個々の牡蠣眠るは縮む外科個室 赤尾兜子
入海の寒き汐時牡蠣を割る 百合山羽公 故園
八月や牡蠣田の芦に雨ますぐ 下村槐太 天涯
八階に牡蠣食ふやみな同じ顔 藤田湘子 雲の流域
冬帽を買ひてもさみし牡蠣食ひても 安住敦
冷たさをもて滑らかに酢牡蠣かな 松根東洋城
剥かれたる牡蠣の白さをなほ洗ふ 花田春兆
十六夜の月移りゆく牡蠣筏 伊藤 ふみ
十月や牡蠣舟を出てたたかひに 森澄雄 雪櫟
南風と子らの牡蠣打つ音と来る 篠原梵 雨
占領地区の牡蠣を将軍に奉る 西東三鬼(1900-62)
友死すや啜りて牡蠣のうすき肉 小澤實(1956-)
同性に見られ加速の牡蠣割女 中村明子
同期会にぼつぼつ序列牡蠣すする 奈良文夫
同行として磴に踏む牡蠣の殻 鈴木六林男
吸はる牡蠣舌同類と思ひけり 高澤良一 寒暑 
吹きあれる夜の牡蠣料理一人分 澁谷道
呉線の小さき町も牡蠣の浦 富安風生
喉ごしの酢牡蠣三陸波濤の灯 花貫寥
土間の灯を刃先にかへし牡蠣をさく 米田周平
地下街やはしりの牡蠣の身をゆるめ 宮津昭彦
塗箸がはたまた牡蠣が滑るのか 高澤良一 宿好 
夏料理岩牡蠣殻のまま盛られ 宮津昭彦
夕さむき潮に浸りて吾が拾ふ牡蠣にも海苔のつきてゐるかも 土屋文明
夕波や牡蠣に老いたる船の腹 芥川龍之介
夕潮の静かに疾し牡蠣筏 打出綾子
夜の席題「灰に死ぬ鳥」「牡蠣くふ客」 竹中 宏
夜は疼く指をかばひて牡蠣割女 湯川雅
夜咄の牡蠣の雑炊秀衡椀 及川貞 夕焼
大阪にまた無き雪や牡蠣船へ 大橋櫻坡子 雨月
女の嘘牡蠣とレモンを胃に染ませ 三谷昭 獣身
如月の牡蠣打ち割れば定型を持たざるものの肉やわらかき 道浦母都子
嫁取りの噂や牡蠣を割りながら 小西 藤満
子を葬る大都のほとり牡蠣むくなど 三谷昭 獣身
寄せ合ひてなほ事務の貌牡蠣啜る 奈良文夫
屋根瓦波うつよ牡蠣うまからん 永田耕衣 吹毛集
山かげの蒼きへ牡蠣の種おろす 佐野良太 樫
山の影とろりとろりと牡蠣植うる 林原耒井 蜩
山国にきて牡蠣の口かたしかたし 矢島渚男 天衣
山国に来て牡蠣の口かたしかたし 矢島渚男
岩くだくごとくに牡蠣を割りにけり 波出石品女
岩牡蠣のやうな爺ゐてさざえ売る 高澤良一 寒暑 
岩牡蠣の岩場の向う遊び舟 高澤良一 寒暑 
岩牡蠣を呑み込むときの虚ろな眼 高澤良一 寒暑 
岩牡蠣を打つ手力のまだ老いず 稲生 正子
岸の灯に牡蠣船の灯のはなれけり 尾崎迷堂 孤輪
島かげの牡蠣殻みちの草紅葉 石原八束 空の渚
巌壁にとりつく牡蠣の力かな 雑草 長谷川零餘子
幼妻酢をもて牡蠣を殺しけり 塚本邦雄
広島のたか菜は牡蠣は餘寒かな 久保田万太郎 流寓抄以後
広島の暮れて牡蠣船灯る頃 松本圭二
広島や市電に牡蠣の桶持ちて 星野立子
廃嫡されしほどの巧言牡蠣すする 北野民夫
廓ぬちやまた牡蠣舟へ下りる路地 後藤夜半 翠黛
忘れゐし三鬼の髭や牡蠣の旬 佐藤鬼房 「何處へ」以降
戦ひし海を遠見に牡蠣啜る 岩下ただを
揚ぐるには小粒の牡蠣と嘆かるる 石塚友二
揺れてゐることを忘れて牡蠣船に 稲畑汀子
放埓の二日となりし酢牡蠣かな 古舘曹人 樹下石上
新幹線寸幹を乗り牡蠣を食ふ 赤松[ケイ]子
新月を揺る波に泣く牡蠣割女 飯田蛇笏 霊芝
日輪は筏にそそぎ牡蠣育つ 嶋田青峰
旧姓に戻りて寒の牡蠣洗ふ 館岡沙緻
旬も旬旬の酢牡蠣に若(し)くはなし 高澤良一 宿好 
明け易き潮に白きは筏牡蠣 林原耒井 蜩
春の夜の牡蠣小さくはしら大きくいみじ 久保田万太郎 草の丈
春風や牡蠣殻塚に花豌豆 島村元句集
時雨光る砂地松葉と牡蠣殼と 細見綾子
朝比奈も手負ふや牡蠣の門破 尾崎紅葉
朝霧にはやも生計の牡蠣筏 金箱戈止夫
朧夜や垣根に白き牡蠣の殻 寺田寅彦
木枯や牡蠣にまぎるゝ無縁墓 沢木欣一
本心を突かれて牡蠣の酢にむせぶ 山中宏子
来世など信ぜず牡蠣をすすりけり 八牧美喜子
松島の松の雫の小粒牡蠣 細見綾子
柚子絞り酢牡蠣ほたほた旬のもの 高澤良一 宿好 
橋に来て牡蠣舟もなし枯柳 雑草 長谷川零餘子
橙の灯いろしぼれり牡蠣の上 飴山實 少長集
機嫌よき口数減りぬ牡蠣は酢に 石川桂郎 四温
母病めば牡蠣に冷たき海の香す 野沢節子
比喩探しをればするんと牡蠣剥かる 秋元不死男
水底に死魚の骨揺れ牡蠣舟揺れ 桂信子 黄 瀬
汝が幸のあまりに薄し牡蠣を食はす 杉山岳陽 晩婚
沙魚釣や牡蠣田にほそき舟のみち 木津柳芽 白鷺抄
波暮れて牡蠣打小屋に灯の点る 藤井すみ子
泣き声ののち牡蠣小屋の灯りけり 戸塚時不知
洗ひたる牡蠣の白さをなほ洗ふ 花田春兆
浜名湖の女波ばかりや牡蠣割女 百合山羽公
浜庇今日ぞ汐干の牡蠣がら屋根 夕浦 選集「板東太郎」
海苔の繩牡蠣の鎖と海寒むや 百合山羽公 寒雁
渺々と海はありけり牡蠣割女 鈴木真砂女 夕螢
瀬戸の海に友あり呉れし牡蠣を食ぶ 及川貞 榧の實
灯をともし牡蠣舟さらに暗くなる 後藤立夫
焼牡蠣の香や柚子いろの日が沈む 大上 充子
燈の下に牡蠣喰ふ都遠く来て 源義
燈台は白くかなしき牡蠣の宿 佐々木有風
牡蠣*しびの松島空の日も匂ふ 河野南畦
牡蠣くうやその夜うすうすと人逝けり 赤尾兜子
牡蠣すすり己欺く一語かな 石田あき子 見舞籠
牡蠣すする師糸異なる同世代 関森勝夫
牡蠣そだつ静かに剛き湾の月 柴田白葉女 『冬泉』
牡蠣つつき生涯嫁ぐことなきか 菖蒲あや
牡蠣つゝき生涯嫁ぐことなきか 菖蒲あや 路 地
牡蠣といふなまめくものを啜りけり 上田五千石 風景
牡蠣にレモン滴らすある高さより 正木ゆう子
牡蠣に添ふ二つのみある銀フオーク 及川貞 榧の實
牡蠣に酢を注ぎあかるき地中海 佐川広治
牡蠣の口もし開かば月さし入らむ 加藤秋邨 怒濤
牡蠣の実の粒粒生ける盛り上り 誓子
牡蠣の宿青楼ちかく灯りけり 石原舟月 山鵲
牡蠣の岩戦後の殻を固めけり 萩原麦草 麦嵐
牡蠣の岩踏みつたひ来て隣り字 佐野まもる 海郷
牡蠣の殼打割れば潮匂ひたる 城戸春弥
牡蠣の水揺する目の玉落ちしかと 椎野美代子
牡蠣の海轉舵の泡が牡蠣さながら 三好潤子
牡蠣の磯七夕竹を挿せりける 下村槐太 光背
牡蠣の身にかわたれ時のありにけり 五島高資
牡蠣の酢に和解の心曇るなり 石田波郷
牡蠣の酢の濁るともなき曇りかな 高浜虚子
牡蠣はかる水の寒さや枡の中 高濱虚子
牡蠣むきの殼投げおとす音ばかり 中村汀女
牡蠣むきはいぶせきたつき唄もなく 国松ゆたか
牡蠣も一個われも一個の渚かな 大屋達治 龍宮
牡蠣よりは海苔をば老の売りもせで 松尾芭蕉
牡蠣よりも海鼠の黙ぞ深からむ 相生垣瓜人
牡蠣をむくまも夕汐が騒ぐなり 長谷川春草
牡蠣をむく手にも自信の広島女 稲畑広太郎
牡蠣をむく火に鴨川の嵐かな 高浜虚子
牡蠣を剥くをりをり女同士の目 加藤楸邨
牡蠣を剥く迅さの傷と諾へり 河野美奇
牡蠣を割る妻よゑくぼのいつ失せし 佐野まもる 海郷
牡蠣を割る方一尺の無言の座 水原 春郎
牡蠣を打つ岩と同じに死にたけれ 萩原麦草 麦嵐
牡蠣を打つ鐵刃濡れては鐵光り 中島斌男
牡蠣を揚げイエスが夫の尼僧らは 大木あまり 火のいろに
牡蠣を焼く火の輪の中の我妹子よ 原田喬
牡蠣フライ、ジョン・F・ケネディー忌であった 池田澄子
牡蠣フライひとの別れに隣りたる 加藤楸邨
牡蠣フライ食べ十二月八日かな 石川文子
牡蠣剥くは身ぐるみ剥ぐに似たりけり 瓜人
牡蠣剥くやたのしくもまた切なくも 大木あまり 火球
牡蠣剥くや洗ふや巌の夕汐に 石塚友二
牡蠣剥場海の星よりくらき灯を 掬池路
牡蠣剥女黄昏は児が慕ひ寄る 木村蕪城 寒泉
牡蠣割つて脛に傷もつ女かな 鈴木真砂女
牡蠣割の一隅はつと乳子泣くこゑ 橋本多佳子
牡蠣割の女の中の男かな 相島虚吼
牡蠣割るや舟着の板欠きしまゝ 百合山羽公 寒雁
牡蠣割る瞳牡蠣負ふ夫へ向けやさし 岸田稚魚
牡蠣割女かきは女体の青さもつ 日垣四月子
牡蠣割女にも確執のありにけり 的場松葉
牡蠣割女をとこの如き口きける 霞村
牡蠣割女貝の要を一撃す 品川鈴子
牡蠣咥へこれから喉の滑り台 高澤良一 寒暑 
牡蠣啜りしわ~笑ひ癒え難き 八木三日女 紅 茸
牡蠣啜るシャンデリア雨滴に変る 渋谷道
牡蠣啜る女いきいき為事多し 河野多希女 琴 恋
牡蠣好きの母なく妻と食ひをり 杉山岳陽 晩婚
牡蠣小屋の暗きに赤子目をひらき 岸田稚魚
牡蠣打たれ積まる爆音みなぎれり 中島斌男
牡蠣打ちし後あり~と潮満つる 森岡とも子
牡蠣打ちの妻の姿を遠まもる 佐野まもる 海郷
牡蠣打つや島に生れて島に嫁し 佐藤三男
牡蠣打つや舳の向きの島をかヘ 石川桂郎 高蘆
牡蠣打に日和の声をかけにけり 飴山實 辛酉小雪
牡蠣打の一人がかへり皆かへる 鶴田亜星
牡蠣打の時には剥身啜りては 坂本雅陵
牡蠣打女坐して濡れざるところなし 藤井亘
牡蠣打女灯台やがて灯るころ 田尻牧夫
牡蠣捌く木靴聴きをり買ふ列に 小池文子 巴里蕭条
牡蠣提げて夜の広島駅にあり 山崎ひさを
牡蠣提げて男の若き聖夜かな 小池文子 巴里蕭条
牡蠣棚に群れて夜を待つ鴎かも 村田眉丈
牡蠣殻のまじりたる飯軟し 阿波野青畝
牡蠣殻のように椅子積む餐のあと 渋谷道
牡蠣殻の山の月影日影積む 百合山羽公 寒雁
牡蠣殻の山空風と馴れ合ふよ 百合山羽公 寒雁
牡蠣殻の積まれし嵩や海光る 坂井建
牡蠣殻へしろがねの雨ふりにけり 吉田紫乃
牡蠣殻や海士の棄てたる蛸壷に 鶴夢
牡蠣殻や磯に久しき岩一つ 河東碧梧桐
牡蠣殻を照らすともなく出でし月 岸本尚毅 舜
牡蠣殼が光る鴉の散歩道 藤井亘
牡蠣殼に生身の牡蠣に霰過ぐ 中戸川朝人
牡蠣殼の山の月影日影積む 百合山羽公
牡蠣汁の頃は浪速も寒さかな 松瀬青々
牡蠣海鼠銭吊つて笊ゆれやまず 石川桂郎 高蘆
牡蠣生きる潮に月光わたりけり 柴田白葉女 遠い橋
牡蠣筏いのちはじまりいて光る 和知喜八 同齢
牡蠣筏しづかに梅雨の終りけり 大串 章
牡蠣筏其処に沈めて風青し 林原耒井 蜩
牡蠣筏水母みつめてたそがれぬ 佐野良太 樫
牡蠣筏淋しく見せて萩咲けり 堀口星眠 営巣期
牡蠣筏船路をしめす燈を掲ぐ 米澤吾亦紅
牡蠣筏雨に打たれて相倚れり 青陽人
牡蠣置けばかがやくリアス式海岸 櫂未知子 蒙古斑以後
牡蠣育つ大きな朝に出合ひけり 吉田紫乃
牡蠣舟に上げ潮暗く流れけり 杉田久女
牡蠣舟に天満の市の焚火見ゆ 後藤夜半 底紅
牡蠣舟に年惜しみけり太田川 冨田みのる
牡蠣舟に揺られごころの旅情かな 五十嵐播水 播水句集
牡蠣舟に波の明暗寄せ返す 稲畑汀子 汀子第二句集
牡蠣舟に流るゝ塵も夜なれや 宮部寸七翁
牡蠣舟に猶人目ある頭巾かな 塩谷華園
牡蠣舟に裏より見たる淀屋橋 三木由美
牡蠣舟に逢ふ約束の時来り 高濱年尾 年尾句集
牡蠣舟に雨宿りせり淀屋橋 冨田みのる
牡蠣舟のしづかなる灯の上の街 比奈夫
牡蠣舟の並んで氷る干潟かな 古白遺稿 藤野古白
牡蠣舟の六つの日除一つ破れ 高濱年尾 年尾句集
牡蠣舟の味噌の匂ひが酔誘ふ 星野椿
牡蠣舟の女の誰も安芸門徒 田中冬二 俳句拾遺
牡蠣舟の手摺すれすれ夜の汐 下村梅子
牡蠣舟の灯りゐ人気なき障子 後藤比奈夫 初心
牡蠣舟の舳をゆく月の芥かな 岸風三樓
牡蠣舟の首かしげたる小行燈 今泉貞鳳
牡蠣舟へ下りる客追ひ廓者 後藤夜半 翠黛
牡蠣舟やよべの小火の穢うちかづき 後藤夜半 翠黛
牡蠣舟や旅の難波の冬こもり 尾崎紅葉
牡蠣舟や芝居はねたる橋の音 島村元
牡蠣舟や障子細目に雪を見る 高橋淡路女 梶の葉
牡蠣舟を出るや牡蠣割既になし 五十嵐播水 播水句集
牡蠣船にもちこむわかればなしかな 久保田万太郎(1889-1963)
牡蠣船に商談移す夜の雨 大島民郎
牡蠣船に坐し地下鉄の工事音 右城暮石 上下
牡蠣船に大阪一の艶話かな 河東碧梧桐
牡蠣船に寄らずの水の関所なる 久米正雄 返り花
牡蠣船に寒江音なく流れけり 島村元句集
牡蠣船に居て大阪に来てゐたり 池内たけし
牡蠣船に屋号はありて船名なし 西島陽子朗
牡蠣船に暗き夜潮の匂ひかな 阿部美吉
牡蠣船に頭低めて這入りけり 温亭句集 篠原温亭
牡蠣船のこと大阪の頃のこと 阿陪青人
牡蠣船のもの捨てしめし障子かな 大橋櫻坡子 雨月
牡蠣船の上に橋あり夜空あり 中川蓬莱
牡蠣船の上や師走の橋の音 島村元句集
牡蠣船の前の中座の櫓かな 中村吉右衛門
牡蠣船の大繁昌や除夜の鐘 清原枴童 枴童句集
牡蠣船の小さき玄関灯りぬ 有本春潮
牡蠣船の少し傾げる座敷かな 日野草城
牡蠣船の提灯の雨ざらしなる 高浜年尾
牡蠣船の揺るゝと知らず酔ひにけり 吉田冬葉
牡蠣船の灯に坐りたる疲かな 清原枴童 枴童句集
牡蠣船の煙這ふ水や流れをる 瀧井孝作
牡蠣船の薄暗くなり船過ぐる 高浜虚子
牡蠣船の間取の中の奥座敷 山崎みのる
牡蠣船の障子や波をひからせて 角 光雄
牡蠣船へ下りる客追ひ廓者 後藤夜半
牡蠣船やまた一トくみの夫婦客 久保田万太郎 流寓抄
牡蠣船や原爆ドーム灯をもたず 延平いくと
牡蠣船や夜の雪堆く覚めてあり 山口誓子
牡蠣船や旅のつづきにゐる如く 山田弘子
牡蠣船や芝居はねたる橋の音 島村元句集
牡蠣船や静かに居れば波の音 日野草城
牡蠣船より凍てし大地へ渡りけり 島村元句集
牡蠣船を出しが灯らず別れけり 西山泊雲 泊雲句集
牡蠣船を揺らしてゐしは仲居らし 後藤立夫
牡蠣豆腐茶の間へ客の座を移す 及川貞 夕焼
牡蠣鍋に肝胆照らすこともなし 後藤比奈夫 花びら柚子
牡蠣鍋の滴惜しんで敗の民 石塚友二 光塵
牡蠣鍋の葱の切つ先そろひけり 水原秋桜子
牡蠣鍋や今宵は雪とうらなひて 水原秋櫻子
牡蠣鍋や狂はぬほどに暮しをり 大木あまり 雲の塔
牡蠣鍋や陰陽の水廻り来て 照子
牡蠣雑炊われら明治に育ちけり 余志子
牡蠣雑炊心通へる人と居て 佐藤絹子
牡蠣食うて男も白きのどをもつ 原裕 新治
牡蠣食うやテレビの像に線走る 田川飛旅子 花文字
牡蠣食つて漫才夫婦相対す 安住敦
牡蠣食ふて夜風にあたるダウンタウン 高澤良一 ぱらりとせ 
牡蠣食へば妻はさびしき顔と言ふ 杉山 岳陽
牡蠣食へり急ぐにあらずいそぎつつ 時彦
牡蠣食へり重たき肩を起しては 石田波郷
牡蠣飯のうらに浜名湖浪さむし 百合山羽公 故園
牡蠣飯やいつより夫を待たずなりし 大槻千佐
牡蠣飯を炊く古釜を磨きけり 岩崎富美子
牡蠣飯食ふ原爆の河流れたり 河上蘆筍
生きてゐる牡蠣その殻のざらざらに 山口誓子
生ま牡蠣に酢の冷たさの加はれる 右城暮石 上下
病めば見ゆ暗き潮にもまるる牡蠣 大串章
白南風や浮きそこねゐる牡蠣筏 八木林之介 青霞集
白菊や血のにじむまで牡蠣を剥く 小泉八重子
百千の牡蠣を割りたる刃のしづか 和田 祥子
矢印は下へと向きて牡蠣船へ 森田峠 逆瀬川
知命来るや牡蠣の食べ殻分厚しよ 奈良文夫
砂漠近き夜の仮の世の牡蠣すする 小池文子 巴里蕭条
破戒後の牡蠣をふくみて輝く目 赤松[けい]子 白毫
秋晴や島々つなぐ牡蠣筏 松本 進
秋風や牡蠣はがしたるあとの岩 鈴木真砂女 生簀籠
秘仏観て若狭の牡蠣の膳にあり 徳橋文室
種牡蠣を植うるひと日の曇かな 宮津昭彦
空色のゴム手袋や牡蠣を割る 松本みず代
給るは石花(牡蠣)にかしこしひねり文 服部嵐雪
老の手の乾く間もなく牡蠣を割る 堺 祥江
老懈は言はざることに牡蠣食へり 石塚友二
老懶は云はざることに牡蠣食ヘリ 石塚友二
考へをれば一等兵牡蠣を食ひ去る 石田波郷
耶蘇島のなべて無口の牡蠣割女 武藤壱州
舌に乗る酢牡蠣に重みありにけり 高澤良一 宿好 
船をつなぐ牡蠣のつきたる石燈籠 寺田寅彦
船底を牡蠣は妖しく繁殖てゆく 富澤赤黄男
荒海の牡蠣をはじけるごとく食ふ 平井照敏 天上大風
菊枯れて牡蠣捨ててある垣根かな 室生犀星 犀星發句集
葛の先牡蠣殻山へ及びけり 木村里風子
行く年や石にくひつく牡蠣の殼 正岡子規
街人の跫音ちかく牡蠣を割る 松村蒼石 寒鶯抄
西空透く夜は牡蠣雑炊ときめ 北原志満子
誘拐の記事の大きく牡蠣の殻 藺草慶子
走り牡蠣鬻ぐ女の祭髪 曲荳
部屋割も旅二日目の酢牡蠣から 中村汀女
酒に舌洗ひすすろひゐる酢牡蠣 上村占魚 『天上の宴』
酒気もなく牡蠣を焼く夜の母と子と 長谷川かな女 花寂び
酔いよゝ廻りて鍋の牡蠣固し 雑草 長谷川零餘子
酔ひ早む思ひどほりの酢牡蠣なり 高澤良一 宿好 
酢牡蠣とろりと星座より年のこゑ 龍太
酢牡蠣吸ふいまこのことのほか遠し 矢崎幸枝
酢牡蠣喰べけむりのごとき雨に遇ふ 鴻司
酢牡蠣塩梅実家の嬶座の代変り 菊池志乃
鉄橋の音牡蠣棚を轢断す 百合山羽公 寒雁
雑踏をゆく牡蠣提げし右手冷え 佐野美智
雨寒し牡蠣売れ残る魚の店 佐藤紅緑
雨足の見えて牡蠣船灯りけり 貞吉 直子
雪の上から踏む牡蠣殻や他郷ならず 木村蕪城 寒泉
雪解けず仮に棄て置く牡蠣の殻 殿村莵絲子 遠い橋
雲の上を雲光りゆく牡蠣筏 高樹旭子
電線の一本岐れ牡蠣舟へ 橋詰沙尋
青春の白歯の笑ひ牡蠣煮えつつ 榎本冬一郎 眼光
風花す牡蠣割の黙われの黙 川畑火川
風花や牡蠣船朝のふき掃除 清原枴童 枴童句集
鬚剃りて幼さもどる鰊漁夫 吉田牡蠣彦
橋脚にへばりつく牡蠣歳晩へ  高澤良一  石鏡

以上
by 575fudemakase | 2014-12-22 00:34 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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