冬の蝿

冬の蝿

例句を挙げる。

冬蝿の住みゐる魔法のランプ買ふ 有馬朗人 耳順
冬蝿やつく~冬の蝿の顔 東洋城
冬蝿や十燭光の壁に生く 冨田みのる
冬蝿をなぶりて飽ける小猫かな 鬼城
冬蠅の一徴のいのちとぶ我が家 成田千空 地霊
冬蠅をなぶりて飽る小猫かな 村上鬼城
凍蝿のけふは埃を抱へけり 佐々木六戈
歩くのみの冬蝿ナイフあれば舐め 西東三鬼
聖地なり牛のにほひも冬蝿も 朝倉和江
造花なめる冬蠅の音のある如し 今瀬剛一
銀幕の冬蠅濤に失するなし 宮武寒々 朱卓
飽食の日々を共にす冬蠅と 高澤良一 宿好 
あけくれの布団重たし冬の蠅 石橋秀野
うとましや世にながらへて冬の蝿 正岡子規
おしるこが出てとびまはる冬の蠅 京極杞陽 くくたち下巻
おっとりと大柄にして冬の蠅 高澤良一 宿好 
くしけづる人を巡れり冬の蝿 岡崎莉花女
すがりゐて草と枯れゆく冬の蠅 臼田亞浪 定本亜浪句集
その翅では小さかろうが冬の蠅 高澤良一 燕音 
まぼろしの山に縋るか冬の蠅 橋石 和栲
めちゃくちゃな翅音愉しむ冬の蠅 高澤良一 宿好 
やはらかき日が天窓に冬の蝿 成智いづみ
わが膝の日向を去らず冬の蝿 友永一郎
ドラム罐にも冬の蠅居て飛べり 右城暮石 声と声
マネキンのあくびに気づく冬の蝿 五島高資
一匹の住み着いて居る冬の蝿 林 瑠美
二三匹ゐて親しさや冬の蝿 高浜虚子
住はてぬ姿成けり冬の蝿 文水
入日をろがむ窓辺に冬の蠅一つ 原石鼎 花影以後
冬の蝿 牛にかなしきまつげあり 富澤赤黄男
冬の蝿いきなり飛びて光りけり 深見けん二
冬の蝿うとまれつゝも打たれずに 奈良鹿郎
冬の蝿しづかなりわが膚を踏み 草城
冬の蝿たたくと家の壊れる音 青木栄子
冬の蝿とまるよすがの蘭青し 大谷碧雲居
冬の蝿とらへ離さぬ子の瞳 清水美恵
冬の蝿ほとけをさがす臥戸かな 蛇笏 (病中)
冬の蝿やがてはとづる眼もて追ふ 西島麦南
冬の蝿人を弔ふ金軽し 小林康治
冬の蝿具足の翅をひるがへし 石塚友二
冬の蝿出て来て人にとまりけり 前田普羅
冬の蝿動くことなき山の家 日下部宵三
冬の蝿宙にとどまるとき見ゆる 上井正司
冬の蝿日当る幹をよりどころ 外山智恵子
冬の蝿歩むいづこも死の方へ 町垣鳴海
冬の蝿牛蒡を以て追はれけり 岸本尚毅 舜
冬の蝿玻璃戸のかげるまでのこと 高田秀子
冬の蝿病めばかろ~抱かれもし 鈴木真砂女
冬の蝿目玉を重く歩きけり 村上高悦
冬の蝿真顔を見せて歩みけり 岩間おおみ
冬の蝿紺美しくあはれかな 喜舟
冬の蝿耳にささやく最後の語 西東三鬼
冬の蝿脚美しくさびしけれ 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
冬の蝿貧女が髪にむすぼるゝ 加舎白雄
冬の蝿蹇て妻に縋りをり 小林康治
冬の蝿逃がせば猫にとられけり 一茶
冬の蠅いきなり飛びて光りけり 深見けん二
冬の蠅しづかなりわが膚を踏み 日野草城
冬の蠅とまるよすがの蘭青し 碧雲居句集 大谷碧雲居
冬の蠅どっちつかずの翔び方す 高澤良一 宿好 
冬の蠅にはとこの木に花咲きぬ 癖三酔句集 岡本癖三酔
冬の蠅ほとけをさがす臥戸かな 飯田蛇笏 山廬集
冬の蠅二つになりぬあたたかし 臼田亜浪 旅人
冬の蠅具足の翅をひるがへし 石塚友二 方寸虚実
冬の蠅小さき翅を畳み込み 高澤良一 燕音 
冬の蠅打つて少しく血を見たり 萩原麦草 麦嵐
冬の蠅炬燵の膳をなみすかな 野村喜舟 小石川
冬の蠅球(たま)の躰をぶん廻し 高澤良一 宿好 
冬の蠅病めばかろ~抱かれもし 鈴木真砂女 生簀籠
冬の蠅病臥の夫になれなれし 石田あき子 見舞籠
冬の蠅発着ふとんの飛行場 高澤良一 宿好 
冬の蠅薩摩料理は魚多く 北野民夫
冬の蠅蠅の心を失ひて 京極杞陽 くくたち下巻
冬の蠅蹇て妻に縋りをり 小林康治 玄霜
冬の蠅追へばものうく飛びにけり 高橋淡路女 梶の葉
冬の蠅頭がだんだん澄んで来ぬ 高澤良一 宿好 
冬の蠅飛ぶと見つ時計鳴りにけり 碧雲居句集 大谷碧雲居
冬蝿やつく~冬の蝿の顔 東洋城
千手観音一手を許す冬の蝿 田山諷子
受難図の血に来てとまる冬の蝿 冨田みのる
古びたる拂子のさきや冬の蠅 寺田寅彦
古筆や墨嘗めに来る冬の蝿 正岡子規
団扇貼る糊の匂ひに冬の蝿 清水一羊女
壮年のあごのあたりに冬の蠅まつわり飛べりゆうべゆうやみ 沖ななも
大道具小道具冬の蝿とびて 中村雅樹
天井に宮本武蔵冬の蝿 金子兜太
天体や黒い肌に冬の蝿 桑原三郎 晝夜
嬰児の甘き香りや冬の蝿 川元安子
子守女のねくたれ髪や冬の蝿 大谷句仏
家柄を誇るべきとも冬の蝿 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
富士見せてしめし障子や冬の蠅 大場白水郎 散木集
寝落ちたる産婦の額に冬の蠅 石川桂郎 含羞
小脱の一文字隠す冬の蝿 内野 修
少年の声すぐ消えて冬の蠅 松山足羽
山笹をたばねて打つや冬の蠅 泉鏡花
山襞のひかり残せり冬の蝿 川田由美子
弁当を開けば冬の蝿の来る 高浜虚子
憎まれてながらふる人冬の蝿 榎本其角
我病みて冬の蝿にも劣りけり 正岡子規
手かげんの打ちそこねたる冬の蝿 三浦俊子
手を合わすことも忘れて冬の蝿 東 智恵子
批評うるさしや野壷に冬の蝿 狩行
捨て積みの焼酎瓶に冬の蠅 高澤良一 鳩信 
捨て缶の日に縋りをり冬の蝿 羽田 岳水
掃かれたる一つの命冬の蝿 一路
摺る墨の香は忘れずよ冬の蝿 白雄
文字の上意味の上をば冬の蝿 草田男
文机の端まで歩く冬の蝿 夏井いつき
新聞をひらけば付くや冬の蝿 藤田あけ烏 赤松
日あたりていまいのち得し冬の蝿 豊島蕗水
日のあたる硯の箱や冬の蝿 子規句集 虚子・碧梧桐選
日影もる壁に動くや冬の蝿 闌更
昔日のゆたかさに在り冬の蠅 永田耕衣 物質
春の蝿両眼美しくあれよ 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
枯菊に冬の蝿居て庭掃除 青々
海底透視船室にゐる冬の蝿 鈴木節子
漉きなほす紙の臭や冬の蝿 内田百間
火の気なき画室高とぶ冬の蠅 原裕 葦牙
生きてゐるものゝ姿や冬の蠅 大場白水郎 散木集
痩せはてゝ死に力なや冬の蝿 虚子
百とせの後なき人や冬の蝿 嘯山
石上の無(ぜろ)に近づく冬の蠅 宇多喜代子
石蕗の陽が移れば移り冬の蝿 里半
硯屏の後ろから出て冬の蝿 薦田七寿
福助の頭にをるや冬の蝿 大木あまり 火球
綿帽子の糊をちからや冬の蝿 許六 霜 月 月別句集「韻塞」
羽根ほつれ歩いてゐるよ冬の蠅 松瀬青々
老い母の来てもたらせし冬の蠅 相馬遷子 山河
老衰といふ死に方や冬の蝿 風生
職替へてみても貧しや冬の蝿 敦
膝小僧へ海辺育ちの冬の蠅 高澤良一 鳩信 
花八つ手ぬくしと冬の蝿居りぬ 淡路女
虻よりも大きな冬の蝿ゐたる 高野素十
蟹売りの背を離れぬ冬の蝿 木村里風子
行燈の糊につたふや冬の蝿 大江丸
親しきはおほかた去りぬ冬の蝿 福井竹の秋
貌すこしうごかしてやみぬ冬の蠅 渡辺水巴 白日
貸本のなかの落書冬の蝿 藤岡筑邨
身じろがば命減るかも冬の蝿 堀之内和子
酒庫著被て醪の汚点や冬の蠅 西山泊雲 泊雲句集
鉄いろの背をひからせて冬の蠅 瀧春一 菜園
銃声を待つてゐるらし冬の蝿 林 誠司
陽のあたるところを這ふて冬の蝿 秋畑 三枝
青空へ飛び去る冬の蠅の音 高澤良一 宿好 
青竹の切口積まれ冬の蝿 飯島晴子
頓証此処に一椀を得て冬の蝿 磯貝碧蹄館
顔洗ふ仕草幾たび冬の蠅 高澤良一 燕音 
飛びたがる誤植の一字冬の蝿 秋元不死男
飽食は冬の蠅にもヤッと発つ 高澤良一 随笑 
馬の尾の届かぬ腹に冬の蝿 茂木連葉子
魁けて会場にわれ冬の蠅 木村蕪城 寒泉
魚油燻る木具小屋出でず冬の蠅 長谷川かな女 花 季
冬の蠅見直す素早き翅使ひ  高澤良一  暮津

以上
by 575fudemakase | 2014-12-23 00:39 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

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単語 575筆まか勢
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PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

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