悴む

悴む

例句を挙げる。

いたいけの悴けたる手を垂りにけり 松村蒼石 寒鶯抄
すぐ泣く子今泣きさうに悴みて 京極杞陽
ちゝはゝの遺せし吾や悴みて 杉山岳陽 晩婚
つと立ちて悴む我をつきはなす 岡田和子
めつむれば霜雫せり悴むなよ 赤城さかえ句集
われらみな生の側にて悴めり 小坂順子
をんな坂下りはじめの悴みぬ 渡辺恭子
オルゴール切れて人形悴みぬ 吉原文音
一些事に躓きしより悴めり 石田あき子 見舞籠
一徹の父を見送り悴めり 山崎千枝子
一指一指悴かみ十指らちもなし 岡田日郎
一村悴み浮城のごとく赤城山 北野民夫
二人ゐて二人悴みゐたりけり 小澤實
人の死を知る眼交はして悴かめる 石原八束
人形がこなす苦役に悴めり 渡辺恭子
八十九歳の悴む御尤 粟津松彩子
八千の鶴に餌をまき悴めり 原 和子
厄介な孫のふぐりの悴める 清水基吉
取りおとす参籠の箸や悴みて 原 柯城
叱らるる子も悴かみてかなしけれ 橋本鶏二
地の塩の孤を悴みが呪縛す 石原八束 空の渚
坂くだる足音までも悴みて 渡辺 和子
天網にかからぬ蝶の悴めり 原和子
太陽に悴める手をむけても見 三好雷風
妻とのみなるはいよいよ悴むなり 右城暮石 声と声
屯田の訛悴むことやなし 齋藤玄 飛雪
山大きいまぼろし拾ふほど悴かむ 松澤昭 父ら
山家宿二階つき出て鼻悴かむ 平井さち子 完流
心中に火の玉を抱き悴めり 三橋鷹女
怯へしか悴みゐしか手をとれば 野中 亮介
悴かみてちひさな嘘が言へぬなり 香西照雄 対話
悴かみてペン落しつつ稿つづけ 阿部みどり女 月下美人
悴かみて糸の縺れをとくすべも 成瀬正とし 星月夜
悴かみて躓く心又一歩 橋本うた子
悴かめるこの一瞬もわれの生 相馬遷子 雪嶺
悴かめる一光年の途中かな 上野まさい
悴かめる児の手に白き息をかけ 山田 栄美代
悴みしわが手包める病者の手 白岩 うた
悴みし手に残業の鍵の束 長谷川史郊
悴みし手に水はじき水仕事 上野泰 佐介
悴みし手より警棒放されず 田崎令人
悴みし指がもの言ふ袋糶 堀 康代
悴みし掌の鉛筆より蝶生る 穴井太 鶏と鳩と夕焼と
悴みし海豚のごとき眼をみたり 稲垣きくの 黄 瀬
悴みし身ぬちつらぬく茶碗酒 小島千架子
悴みてあやふみ擁く新珠吾子 能村登四郎 咀嚼音
悴みてけふこの女醜さよ 中杉隆世
悴みてこころ閉してしまひけり 柴田白葉女
悴みてこれを限りの手紙書く 森田峠
悴みてさらにその日のおもひだせず 久保田万太郎 草の丈
悴みてすぐ知れる嘘ひとつ吐く 山田弘子 こぶし坂
悴みてつひに衆愚のひとりなり 斎藤空華 空華句集
悴みてひとの離合も歪なる 中村草田男
悴みてよめる句に季のなかりけり 久保田万太郎 流寓抄
悴みてわかき日ばかりおもふめる 久保田万太郎 流寓抄以後
悴みてわが句おほかた旅に得し 成瀬桜桃子 風色
悴みてゐしそのことをもてあます 加倉井秋を 午後の窓
悴みてをりしが犬に吠えらるる 木暮陶句郎
悴みて乗つたる石のぐらりとす 大石悦子 聞香
悴みて亡き師詠ふを自戒せり 石川桂郎 高蘆
悴みて人の云ふこと諾かぬ気か 高濱年尾 年尾句集
悴みて佛づとめの燭ともす 吉田 長良子
悴みて千人針の糸くくる 井上雪
悴みて印押す手術承諾書 毛塚静枝
悴みて喪にゆく夫や畦づたひ 石田あき子 見舞籠
悴みて囚徒に髪を刈られけり 角川春樹
悴みて地にすれすれのよき枝を 宇佐美魚目 天地存問
悴みて堆朱の膳をしまひをり 下村槐太 天涯
悴みて妻に一円借りにけり 白岩三郎
悴みて少年人の靴磨く 岸風三楼 往来
悴みて己のことのほか知らぬ 中杉隆世
悴みて影を失ふ水の上 松澤昭 神立
悴みて心いきいき怒れるなり 佐野美智
悴みて心ゆたかに人を容れ 富安風生
悴みて憤(むづ)けば不愍笑めばなほ 川口重美
悴みて扉を押す力余りたり 右城暮石 声と声
悴みて手袋ぎらひ足袋ぎらひ 太田育子
悴みて掴みにくくて一円貨 辻田克巳
悴みて旅は迎への人まかせ 皆吉爽雨
悴みて桶に水くむ月詣り 脇坂啓子
悴みて死の日待つとはあらざりき 小林康治 『潺湲集』
悴みて水の切先そらし得ず 岡田 和子
悴みて汽車に眠りぬあすも旅 成瀬櫻桃子 風色
悴みて洋奴たりゐし歳月よ 小林康治 玄霜
悴みて海苔漉き了へし窓白む 長谷川史郊
悴みて猿の腰かけ向ひ合ひ 殿村莵絲子 雨 月
悴みて生きてゆく嘘つきにけり 成瀬櫻桃子 風色
悴みて眼よりも高きものを見ず 百瀬美津
悴みて瞑りて皇居過ぎゐしか 石田波郷
悴みて短き一語ともならず 山本紅園
悴みて秀野恋ひゆく雑木山 関戸靖子
悴みて糸の縺をとくすべき 成瀬正俊
悴みて綯ひたる縄のやはらかし 河崎 初夫
悴みて見上ぐる塔の高さかな 片山由美子 水精
悴みて見知らぬ街を行くごとし 井沢正江
悴みて読みつぐものにヨブ記あり 上田五千石 風景
悴みて跼むにあらず祷るなり 成瀬櫻桃子 風色
悴みて踏みて鶯張は憂し 亀井糸游
悴みて飛ばなくなりし竹とんぼ 宮下秀昌
悴みて高虚子先生八十一 高浜虚子
悴みの溶けゆく泪春煖炉 殿村莵絲子 牡 丹
悴み病めど栄光の如く子等育つ 石田波郷
悴むとその身切りさう鎌の神 加藤知世子 花寂び
悴むや岩に魑魅の水の音 古舘曹人 樹下石上
悴むや手に息かけて松葉杖 山口恵子
悴むや拳固宙までおろしけり 阿波野青畝
悴むや注連を引きあふ陰の石 古館曹人
悴むや胸ふかき像捨てきりて 鷲谷七菜子
悴むや鞄へひとの金満たし 皆川白陀
悴むを許さぬ一机ありにけり 石塚友二
悴む妻見れば却つて口つぐむ 榎本冬一郎 眼光
悴む手こする太陽赤き下 村越化石 山國抄
悴む手なだめ藍糸絞りきる 太藤 玲
悴む手女は千も万も擦る 山口誓子 一隅
悴む手銃の重さを記憶せり 千代田葛彦
悴む身ほどけて椅子に深くをり 高木晴子 花 季
悴めどまた火の粉浴び鬼が舞ふ 友岡子郷 遠方
悴めばなほ悲しみの凝るごとく 永井龍男
悴めば地にすれすれに星生れぬ 加倉井秋を 午後の窓
悴めば祈る形に指組まれ 竹内千花
悴めば花かと潤み白きもの 宇佐美魚目 天地存問
悴めば遺影は横を向きにけり 古舘曹人 砂の音
悴めり波濤は石をまろばせつ 斎藤梅子
悴めり雌伏せりとも言はむかな 相生垣瓜人 明治草抄
悴めるすがたに牛を曳き去りぬ 下村槐太 光背
悴める妻毎日の髪結へり 森川暁水 黴
悴める姿に牛を曳きゆきぬ 下村槐太 天涯
悴める手で書く現場日誌かな 大野審雨
悴める手に死に給ふ髪を梳く 都筑智子
悴める手に母の手の大きかり 千原叡子
悴める手のすべりがち棺担ふ 岡安仁義
悴める手は憎しみに震へをり 高浜虚子
悴める手を暖き手の包む 高浜虚子
悴める手を病む母に握らるる 鈴木昌江
悴める掌のかたちして枯柏 高澤良一 ももすずめ 
悴める掌を包みやり諭しけり 西村和子 夏帽子
悴んでくる手拳にしてしまふ 石井保
悴んでまるくなりゐる女房かな 森川暁水 黴
悴んでゐる手を垂れて這入りくる 京極杞陽 くくたち上巻
悴んでをりし両手を預かる手 黒川悦子
悴んで聞いて忘れてしまふこと 稲畑汀子 春光
悴んで言はずもがなを甲走る 小出秋光
意志伝へくれぬ指先悴みて 稲畑汀子 春光
投網師の悴かむ手より鮒を買ふ 河前 隆三
教室の悴む吾子を目で励ます 山田弘子 螢川
柩傾ぎわが町人の血悴かむ 古舘曹人 能登の蛙
梧桐一本二階障子の悴めり 柴田白葉女 牡 丹
水底の文字悴まず虹の石 後藤比奈夫 めんない千鳥
氷河期の人類と共に悴かみぬ 相馬遷子 雪嶺
氷湖行けばさすらひの日の悴めり 角川源義
法廷に指の悴む男女かな 山口誓子
流離の荷からげ悴むばかりなり 小林康治 玄霜
炎天下廃磔像に悴むか 小林康治 玄霜
父の喪の盛装となり悴むか 小林康治 四季貧窮
牛売りし札数へをり悴みて 三宅句生
牛百頭鳴き流れゆく大洪水 悴山紀一
病む夫に耳悴みて仕へけり 石田あき子 見舞籠
白鳥になりたきひとと悴めり 仙田洋子 雲は王冠
石女の妻悴みて役立たず 森川暁水 黴
石階に悴める手ぞ十字切る 下村ひろし
税務署を出て悴みし犬に会ふ 前山松花
竹馬に仕上げて青し悴みぬ 永井龍男
結び目の解けぬかなしさ悴めり 馬場移公子
縄帯の悴いくつぞ霜柱 一茶 ■文化十三年丙子(五十四歳)
考へてゐるひとところ悴める 岸田稚魚 『紅葉山』
聞けば聞くほどに心の悴みて 水田むつみ
膝の上の悴む手では嘘は云へぬ 岸田稚魚
茶を吹いて悴むこゝろほぐれをり 河野柏樹子
蜘蛛迅し悴みをれる身ほとりを 森川暁水 黴
被告悴け判官網をうつごとし 飯田蛇笏 雪峡
西行の清水掌にうけ悴めり(西行庵とくとくの清水) 角川源義 『神々の宴』
跳ぶ水の幅悴める眼にはかる 大岳水一路
身はおろか心の中も悴みぬ 下村梅子
身長一九〇センチ悴めり 大野朱香
運転の始動悴み解けるまで 稲畑汀子 春光
釘をさすつもりの言葉悴めり 江頭 信子
鍋釜もわれにさからふ悴かめば 沢田しげ子
長病みの母云ふ骨も悴むと 渡辺恭子
電車待つ鬼城の町に悴みて 猪俣千代子 秘 色
霊柩車他郷に送り悴める 宮坂静生 青胡桃
飴なめて流離悴むこともなし 加藤秋邨 野哭
飽食の紙袋割り悴む手 鈴木康允
骨拾ふ箸ままならず悴みて 岡安仁義
鳥獣のうちの我なり悴めり 斎藤梅子
麻酔利く悴めるわれ居なくなり 辻田克巳
かじかみし手に蔵の扉の重かりし 宮林和子
かじかみし手をあげてゐるわかれかな 銀漢 吉岡禅寺洞
かじかみし手をよせ来る戀としも 久保田万太郎 草の丈
かじかみし手を尻に敷き靴みがき 北野民夫
かじかみし顔を写してコンパクト 稲畑汀子
かじかみつゝ月給袋逆さに持つ 石橋辰之助
かじかみて何をするにも腹だたし 右城暮石
かじかみて気ものらぬまま花ミモザ 落合よう子
かじかみて石切る山と海の間 津田清子 二人称
かじかみて脚抱き寝るか毛もの等も 橋本多佳子
かじかむや大き朱塗の牡丹刷毛 下田実花
もの煮る火見つめかじかむ顔ひとつ 松崎丘秋
をさなごの手のかじかみを握りて解く 伊藤敬子
乳さぐる小蟹の如くかじかむ手 赤松[ケイ]子
俥より下りてかじかむ手なりけり 久保田万太郎 流寓抄
修二会いま火の粉かじかむ群衆に 諸角せつ子
夜なべかじかむ戦後自作農となりしが 芳野庄太郎
幼な子のかじかみし爪藷に刺さる 田川飛旅子 花文字
暮天の冬日掴み来たれよかじかむ子 細谷源二 砂金帯
死者生者共にかじかみ合掌す 西東三鬼
空青しかじかむ拳胸を打つ 西東三鬼
耳飾りかじかむ月に鋭どくて 柴田白葉女
震災の被害を知らす文字かじかむ 八牧美喜子
露天湯へどぼんと入らねばこごえちまふ  高澤良一  寒暑

以上
by 575fudemakase | 2015-01-19 00:56 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
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▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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