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春燈

春燈

例句を挙げる。

「ケンチャン」春灯の下で後が出ない 相原左義長
あはび噛む灯暗し春の雪 会津八一
あをあをと水族館の春灯 西村和子 夏帽子
お初天神菊づくしなる春灯 西本一都 景色
からかみを開けて一間の春灯 上村占魚 球磨
からまつの林に遠し春灯 小川軽舟
ことばなき指話美しや春灯 鈴木貞雄
ためらはず瞠め春燈無慙にす 野澤節子 黄 瀬
つくばひや灯の数尽す春の雨 忍月
つむりたるまぶた春燈より明し 皆吉爽雨
てのひらに寝る灯照り添ひ春隣 野沢節子
とぎれては一燈江南の春燈 川崎展宏
とびとびの滝沢村の春灯 川原 程子
どの部屋にも春燈亡き子も帰るべく 香西照雄 素心
ぬばたまの闇に灯消して春の風邪 中村汀女
のみ干す酒いま春月は一円燈 桂信子 黄 瀬
ぼんのくぼきよらにくぼみ春灯 吉屋信子
まことより嘘が愉しや春灯 吉屋信子(1898-1973)
またたきて春遠からじ湖北の灯 遠藤若狭男
みどり児の瞳の中の春灯 今橋眞理子
みな富めるごとくに集ひ春灯 小川匠太郎
みほとけの淡き翳もつ春燈 長谷川 蕗女
やりすごす夜汽車の春の燈をつらね 木下夕爾
ゆく春のひるの灯赤き佛哉 会津八一
ゆく春の酒場はみどり灯をともす 岸風三楼 往来
をみならのうち揃ひたる春燈 小島健 木の実
エスカレーター伏せ灯に春の歌舞伎客 高井北杜
シンガポール落ちぬ春燈朝の如し 渡邊水巴 富士
ピレウスの春あけぼのの灯かな 高木晴子 花 季
ベッドの灯に春の苺の屹立す 桜井博道 海上
マンハッタン春燈天へ積み上げし 嶋田一歩
メスに託すいのち春灯を片頬に 柴田白葉女 遠い橋
一つある霞が浦の春灯 岸本尚毅 舜
一つづゝ春の灯ともり来りけり 久保田万太郎 草の丈
一人居て春燈ともる大広間 高木晴子 晴居
一夜照りし春灯の痩せ暁紅に 野沢節子 雪しろ
一春燈忘恩の如装へど 杉山岳陽 晩婚
一点につばさ斂めて春灯消ゆ 千代田葛彦 旅人木
万燈のまたたき合ひて春立てり 沢木欣一 地聲
上海にあり春灯の下に在り 三宅清三郎
乳房切る業の身春の灯がかすか 柴田白葉女 遠い橋
人の世に灯のあることも春愁ひ 鷹羽狩行 七草
人の灯へ魚の灯寄つて春岬 鳥居おさむ
人ひとりひとりびとりの春灯 五所平之助
人愁ふごとくに春の灯かな 雑草 長谷川零餘子
今われ皇居にあり春灯の下にあり 高濱年尾
仮縫のピンを鎧ひて春灯下 嶋田摩耶子
仰山に猫ゐやはるわ春灯 久保田万太郎(1889-1963)
佛燈もかなしき春の灯かな 万太郎せん 吉屋信子
先斗町春灯洩るも洩らさぬも 西村和子 かりそめならず
刺ささりゐるらしき掌を春燈に 野澤節子 黄 瀬
医師入りて灯が濃くなる家春の露 友岡子郷 遠方
卓上赤子祖父に眉似て春燈 磯貝碧蹄館
南吹いて灯に虫飛べる春浅き 木歩句集 富田木歩
古も美女はありけり春灯 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
句仏のごとき面々春灯 落合水尾
君と居ること現実の春灯 稲畑汀子
吹き切つて灯影ひびかん春浅き 富田木歩
吾娘ひとり減つて春灯ひとつ減る 木村敏男
喪ごころとなす峡の田の一春灯 岸田稚魚 筍流し
園の灯に語らふ人や夜半の春 乙字俳句集 大須賀乙字
地下室といへど華やか春燈 五十嵐播水 埠頭
地階の灯春の雪ふる樹のもとに 中村汀女(1900-88)
夜をふかす灯の下さらに春ふかし 柳芽
夜着いて燈はみな春や嵐山 波多野爽波
夢殿に灯の入りてより春の雪 茂里正治
大部屋の消灯までの春灯 高澤良一 鳩信
大阪の灯に春愁を深めたる 片山由美子 天弓
大阪の灯の生き生きと春シヨール 西村和子 かりそめならず
天上の灯は二月堂春の闇 井沢正江 一身
天命といふ春灯に似たるもの 齋藤愼爾
妻へ書く便り春灯を低くする 加倉井秋を
娶る灯へ春の川波ひた押しに 大坪重治
嫁ぐ娘に嫁がす母に春灯 能美優子
子の寝息確かめ消しぬ春灯 西村和子 夏帽子
子の眠る春燈父の病む春燈 深見けん二
子規堂の電燈の笠春埃 高澤良一 寒暑
孫戻す家のしょんぼり春燈 高澤良一 素抱
宝石の如きおヘそや春灯 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
客のありいま家ぢゆうの春灯 森田峠 避暑散歩
家建ちし春の門燈含羞めり 松山足羽
寝れば子は重し味噌煉る春燈 宮坂静生 青胡桃
島々に灯をともしけり春の海 正岡子規
島に灯のともれば燃やす春煖炉 原田青児
島の灯の遠くに春の愁かな 植本 恵美
常に濃き君がひとみに春灯 上村占魚 球磨
店たたむ春燈一つ切れしまま 館岡沙緻
建設の春燈起重機の頂点に 斉藤夏風
待つ人のゐる明るさの春灯 片山由美子(1952-)
思ひがけなく君に逢ひ春灯 高濱年尾 年尾句集
手鏡のやうな小港春燈 川崎展宏
折鶴を生む指繊し春灯 吉屋信子
指先に春燈あつめ綴れ織 佐々木良子
提灯屋大小提灯春灯 上野泰 佐介
文楽の春とはいへど灯影冴え 飯田蛇笏 雪峡
旅館洩る灯に春潮のふくらむも 三好潤子
日のうちの春荒れの灯を点けにけり 藤田あけ烏 赤松
明けそめし春燈を消しまたねむる 篠原梵 雨
明日嫁ぐ子に家ぢゆうの春灯 堀曜子
春あさし饗宴の灯に果樹の靄 飯田蛇笏 霊芝
春さむき肌無影燈のすぐ下に 柴田白葉女 遠い橋
春の夕の灯のきらめきとなりにけり 久保田万太郎 流寓抄以後
春の夜に堪へよとくらき灯なりけり 久保田万太郎 流寓抄以後
春の夜のいつまで残す夫婦の灯 石塚友二 光塵
春の夜の灯を消せばなほ真紅の衣 長谷川かな女 雨 月
春の夜の灯影眩きのぼせかな 蚊斎
春の夜や内陣深く仏の灯 比叡 野村泊月
春の夜や後添が来し灯を洩らし 山口誓子
春の夜や灯をつけて居る清見寺 古白遺稿 藤野古白
春の夜や灯を囲み居る盲者達 村上鬼城(1865-1938)
春の海一燈つよく昏れにけり 桂信子 黄 炎
春の灯にカスバの女無表情 澤田緑生
春の灯に暗き影ある女かな 田中王城
春の灯に白足袋をぬぐ疲れかな 久米正雄 返り花
春の灯に笑みこぼれたる皓歯かな 西島麦南 人音
春の灯に笛ならひ吾が愛しづか 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
春の灯に高く消防感謝状 依光陽子
春の灯に鯉いつぴきを持ち込めり 桜井博道 海上
春の灯のあるひは暗くやはらかく 久保田万太郎 草の丈
春の灯のともりて間なき如きかな 右城暮石 声と声
春の灯のまたゝき合ひてつきしかな 久保田万太郎 流寓抄以後
春の灯のむしろくらきをよろこべる 久保田万太郎
春の灯の及びおよばず語りをる 久米正雄 返り花
春の灯の届くポストを覗きけり 安済久美子
春の灯の水にしづめり一つづつ 久保田万太郎 流寓抄以後
春の灯へ積木の塔がつみあがる 川口重美
春の灯やもすそひだなす膝がしら 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
春の灯や一つ上向く箪笥鐶 風生
春の灯や夜間保育のあるらしく 磯崎美枝
春の灯や女は持たぬ喉仏 草城
春の灯や絞問屋の格子内 大谷句佛 我は我
春の灯や遠き春の灯見るひとと 谷口桂子
春の灯や頬をあからめ志功の画 澤田いさを
春の灯を低くし日記にうそを書く 菖蒲あや 路 地
春の灯を遠く外套のボタンはかけず 椎橋清翠
春の燈に切られて乳房乳こぼす 萩原麦草 麦嵐
春の燈に笑みこぼれたる皓歯かな 麦南
春の燈の消しそびれしを孤燈とす 野澤節子 黄 瀬
春の燈の端に置きたる猫の皿 柴田白葉女 『月の笛』
春の燈やかきたつれどもまた暗し 村上鬼城
春の燈やわれのともせばかく暗く 木下夕爾
春の燈や女は持たぬのどぼとけ 日野草城
春の燈を消して女の息こもる 柴田白葉女 遠い橋
春の燈油盛りたる宵の儘 召波
春の蚊のうすうすとして灯に寄りぬ 水谷 たつ子
春の蚊の燈のほとり過ぎ顧みず 山口誓子
春の蛾の美し船の灯に舞へる 大野雑草子
春の雪忌日のごとく灯を吊りて 小林康治 『華髪』
春の雷大阪の灯を昏くせり 松村富雄
春の雷弥撒の灯奪ひとどろけり 小西 藤満
春めく灯あすの人参けふ洗はれ 草田男
春を惜む灯に幽かなる河鹿かな 渡邊水巴
春三日月も砂糖工場の灯も淡し 石田波郷
春塵と見えし街の灯君は北ヘ 桜井博道 海上
春塵へ灯がつき素顔冷たくなる 諸角せつ子
春惜しむ灯に雪国の梨食むや 太田鴻村 穂国
春惜む灯をかきたてよ舞人に 青峰集 島田青峰
春暁や一点燈の大伽藍 青畝
春暁や灯ともるに似て妻の鼻 小林康治 玄霜
春月や水に相呼ぶ渡しの灯 柑子句集 籾山柑子
春来ると間ごとの灯ともしたり 上村占魚 『玄妙』
春泥をところ~に描く灯よ 長谷川ふみ子
春浅き灯の明けてゐる湖畔かな 金尾梅の門 古志の歌
春浅き灯を神農にたてまつる 蛇笏
春深し青磁の小壺燈影曳き 河野南畦 湖の森
春潮を灯の中にきく下関 石原八束 空の渚
春灯つぶら『銀の匙』より復るもの 友岡子郷 遠方
春灯という言葉あり寝ねがたし 池田澄子 たましいの話
春灯なじられてゐて小気味よし 稲垣きくの 黄 瀬
春灯にひとりの奈落ありて座す 野澤節子(1920-95)
春灯にベビーベッドの位置決まり 稲畑汀子
春灯にボトルシップの出航す 水田むつみ
春灯のもと愕然と孤独なる 桂信子
春灯の一つ一つに迎へられ 深見けん二
春灯の下に我あり汝あり 高浜虚子
春灯の句を書きとむる枕に顎 加倉井秋を
春灯の因幡の宿の茶粥かな いちろ
春灯の壁に弥勒の耳の影 西村和子 夏帽子
春灯の山へのびゆき港町 高濱年尾 年尾句集
春灯の暗きに心魅かれゆく 西村和子 夏帽子
春灯の洩れるステンドグラスかな 丸山よしたか
春灯の流されてをる雨の玻璃 上野泰 佐介
春灯の衣桁に何もなかりけり 清崎敏郎(1922-99)
春灯の見知らぬ街をいくつも過ぎ 西村和子 夏帽子
春灯へ丸い口開けている湯呑 高橋信之
春灯や「ほ」の席で見る橋之助 長戸弥知香
春灯やはなのごとくに嬰のなみだ 飯田蛇笏
春灯やをとこが困るときの眉 辻美奈子
春灯や女は持たぬ喉佛 日野草城
春灯や征途を明日に腕角力 椎橋清翠
春灯や指にはさみて筆細し 橋本鶏二 年輪
春灯や盆にのせくる筆硯 橋本鶏二 年輪
春灯や菊勇のかげ銀屏風に 田中冬二 俳句拾遺
春灯や言ひてしまへば心晴れ 星野立子
春灯や金婚の父母健やかに 山田弘子 螢川
春灯をりをり野路ともつかぬ轍道 草田男
春灯を一人占めして夫の留守 西村和子 夏帽子
春灯を消して思ひの深かりし 吉田小幸
春灯下さげすみつゝも読める本 森田峠 避暑散歩
春灯下匂ひのごとく少女座す 櫛原希伊子
春灯下正座して夢見ておりぬ 原子公平
春灯下活字になりしわが俳句 吉屋信子
春灯下絵本散らばりそこら赤 今井千鶴子
春灯下褒めて終りし稽古事 後藤比奈夫 金泥
春灯下講師のほかはをみななる 岩崎照子
春灯下金平糖の赤白黄 高浜年尾
春灯別るべく刻充たしをり 吉野義子
春灯原書の革の饐ゆるなり 小川軽舟
春灯女神の背筋なまめける 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
春灯息入れてある女の髪 金田咲子 全身 以後
春灯母子といふにうそのなき 久保田万太郎 草の丈
春灯消せばおん母灯る胸の中 楠本憲吉
春灯爪色川音もまた身に添ふる 友岡子郷 遠方
春灯眠りを椋ぐ乳子とゐて 上田日差子
春灯祇園は道へ零れけり 金田志津枝
春燈くらし獄なりミチオヤム 橋本夢道 無禮なる妻抄
春燈だらしなき紐垂れてをり 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
春燈というあやしさの息遣い 源鬼彦
春燈として仏燈の暈のゆれ 鈴木六林男
春燈として車燈点きネオン点き 嶋田摩耶子
春燈にかく育ちたる目鼻立 波多野爽波 鋪道の花
春燈にかしづくごとく花舗の花 五十嵐播水 埠頭
春燈にきれいな夢をひとりぼち 高田風人子
春燈にひとりの奈落ありて坐す 野澤節子 黄 瀬
春燈に妻の他に妻なく泣くも怒るも嘆くも妻 橋本夢道 無礼なる妻
春燈に抜き糸の中の紅を選る 金子篤子
春燈に涙もふかずいましけり 上村占魚 鮎
春燈に端役だまりといふところ 能村研三
春燈に美しき夢もつは自由 高田風人子
春燈に翳りうばはれ痩せほとけ 鍵和田[ゆう]子 未来図
春燈に読む十五分注射終へ 相馬遷子 山河
春燈に雨日の痩せを問はれけり 野澤節子 黄 瀬
春燈のその一方に髪を梳く 上村占魚 球磨
春燈のまどゐに居れど一人ぼち 下田実花
春燈のもとより暗きところあり 名見崎新
春燈のもと愕然と孤独なる 桂信子 黄 瀬
春燈のゆれて余震にちがひなし 嶋田一歩
春燈のシェードの翳を書の上に 五十崎古郷句集
春燈の三十五燈余興室 高濱年尾 年尾句集
春燈の下に我あり汝あり 高浜虚子(1874-1959)
春燈の二つ一つは今ともし 後藤夜半
春燈の卓にチューリップの赤き口唇 冨田みのる
春燈の昼は消えをる市場かな 如月真菜
春燈の紐したたりのごとく垂れ 今瀬剛一
春燈の色違ひたる二間かな 正木ゆう子
春燈の見上ぐるたびに光り増す 林火
春燈の鈴ふるふごと点る路地 成田千空 地霊
春燈へ麻薬たちまち奈落なす 斎藤空華 空華句集
春燈やはなのごとくに嬰のなみだ 飯田蛇笏 雪峡
春燈やふるさと人とゐて飽かず 清原枴菫
春燈や中腰で書く芳名簿 宮城白路
春燈や云ひてしまへば心晴れ 立子
春燈や息あるごとき夜の受話機 渡辺千枝子
春燈や渋の香まとひ型紙師 山崎新多浪
春燈や石段のあるレストラン 田中冬二 麦ほこり
春燈や笠の上の闇深からず 米澤吾亦紅
春燈や読んでは畳む師の栞 戸恒東人
春燈や金泥にほふ塩草子 加古宗也
春燈や長女の部屋は消えずをる 上野泰
春燈や障子のそとは与謝の海 大野林火
春燈をつぎて在して古き裔 『定本石橋秀野句文集』
春燈を山に飛ばして山家あり 上野泰 佐介
春燈を灯せといまだ日もあるに 星野立子
春燈を点せば嗚呼と二十人 大野朱香
春燈膝下に病めば恋もなし 野澤節子 黄 瀬
春燈遅筆を影に添はれゐつ 野澤節子 黄 炎
春行くや苗一つ~しまふ燈に 渡辺水巴 白日
春雪や木瓜に廊下の灯をわかち 永井龍男
春雪や誰にともなく港の灯 川村静子
春驟雨花購ひて灯の軒づたひ 岡本 眸
春鮒を煮て隣より灯が遅れ 能村登四郎
木曽谷の春の燈の更けたるよ 米住小丘子
杢兵衛の燐寸箱の字春灯 角光雄
枕辺の春の灯は妻が消しぬ 日野草城
林檎一つ伊豆の夜の春の灯のもと 林原耒井 蜩
枯桜灯ちらばり春近し 野澤節子 黄 炎
横町の春泥地獄燈をつらね 青畝
檣頭や煙の上の春灯 五十嵐播水 埠頭
歌舞伎座は雨に灯流し春ゆく夜 杉田久女
残務の灯一角つよし春嵐 鷲谷七菜子 黄 炎
母ませば語らずもよし春灯下 五十嵐八重子
氏素姓なくて美し春灯 吉屋信子 吉屋信子句集
江に映る関の灯や宵の春 蘇山人俳句集 羅蘇山人
法灯不滅逢ひ得し月も満ちて春 福田蓼汀 秋風挽歌
泣くはをなご春の夜更けし灯かな 青峰集 島田青峰
浜木綿の枯れしままなる春燈 岸本尚毅 鶏頭
海に沈んだ 春の 古代の 灯を掬ふ 富澤赤黄男
海霧を来し船に港の春灯 五十嵐播水 埠頭
温泉飲めるもある群象や春灯 銀漢 吉岡禅寺洞
湖の町灯ともれば春の山消ゆる 雷子
湯の宿の傘も飴色春燈 石川桂郎
滝口に燈を呼ぶ声や春の雨 蕪村
灯あかりに曳く影もなく春蚊出づ 松本可南
灯のともるやうに出るなり春の月 古白遺稿 藤野古白
灯の上の山に雉子鳴く春の川 飯田龍太
灯の下を過ぎ春泥の道続く 茨木和生 遠つ川
灯の位置を変へてひと待つ春の宵 谷口桂子
灯の前にはにかむ妻や宵の春 西山泊雲 泊雲句集
灯の窓のひと色ならず春の雪 片山由美子 天弓
灯をともす指の間の春の闇 高浜虚子(1874-1959)
灯を入るるまでは淋しき春炬燵 永井龍男
灯を卓に近づけ春の宵となる 高木晴子 花 季
灯を消して子がひとり寝の春の雷 『定本石橋秀野句文集』
灯を消して待つ自動車や春の月 楠目橙黄子 橙圃
灯を消せば船が過ぎをり春障子 加藤楸邨
灯を献じ春の神滝やさしかり 河野南畦 湖の森
灯点して妻現れず春の家 岩城久治
熱川の宿てふ宿の春灯 高澤良一 鳩信
燈ともして肴の春を惜しみけり 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
燈ともせば竜の髭濃き春夕 下村槐太 天涯
燈を消せば船が過ぎをり春障子 加藤楸邨
燈濃き玻璃多き長屋ぞ春の月 香西照雄 対話
爪染めて爪に春燈あそばせる 加藤雅伊
独り居の春燈の下冷雨降る 高木晴子 晴居
猪口に瑕あつてはならず春燈 鈴木真砂女 夕螢
田遊びの宮のぐるりの春めく灯 大熊輝一 土の香
病窓の一つは母の春灯 鈴木昌江
窓の灯の消えて綾なし春の泥 高浜虚子
細めても喪の春燈に変りなし 関戸靖子
縁に出て京の灯見ゆれ春星忌 田中王城
織り上る紬にほへり春灯 氏家さち子
美容室春灯一つづつ消して 河野扶美
翳にさへ語りかけたく春灯 林 翔
舞は過ぎし夜を春に塵白む灯よ 安斎櫻[カイ]子
若き尼御厨子に春の灯をささぐ 秋櫻子
葬の灯へ春の霰の音もなし 伊藤京子
虚子館の展示春灯溢れしめ 堀恭子
蝦夷の灯や氷の上に春半ば 中條明
行く春の南京町は灯も多彩 福田蓼汀 秋風挽歌
行春の玉座加持の灯翳りけり 萩原麦草 麦嵐
誰よりも春の燈にふさはしき 京極杞陽
談さびし春の灯上にあり 京極杞陽 くくたち下巻
貴婦人の絵のワインあり春灯 岩崎照子
賭博軒を竝べまぶしき春灯 吉良比呂武
越後屋も徳利屋ももう春灯 原田喬
近松の遊びし茶屋の春灯 山本圭子
通夜の灯は裸がよかれ春時雨 青木重行
遠く航くための仮泊の春灯 友岡子郷
部屋の名も入江の宿の春灯 稲垣きくの 黄 瀬
都ホテルその窓々の春灯 田中冬二 麦ほこり
鉄骨をくぐりて春の燈をともす 斉藤夏風
長崎の燈に暮れにけり春の海 渡辺水巴 白日
障子今しまり春の燈ほとともり 高浜虚子
雛見世の灯を引ころや春の雨 蕪村 春之部 ■ 上巳
雨に暮れて灯ともる嶋や春の海 会津八一
雨やみて春燈とみにふけきたる 川島彷徨子 榛の木
雪の上一柱春の灯あり 高木晴子 花 季
靴の先みんな綺麗に春の燈に 京極杞陽 くくたち上巻
駐在所紅一燈の春の暮 上田五千石 田園
鴎外の文机のきず春灯 加藤耕子
龕燈の三和土にころぶ春の闇 古舘曹人 砂の音
一つ燭で二人で見舞ふ春蚕かな 幸田露伴 谷中集
一生を賭けし俳諧春の燭 飯田蛇笏 雪峡
二月堂春の燭足す堂童子 吉原文音
仏身のほのぼのと現れ春の燭 伊東宏晃
入口に紙燭ありけり竹の春 福井啓子
十二神将春暁の燭ゆるるなき 原 幸子
彌陀の掌に霊のもろもろ春の燭 飯田蛇笏 雪峡
後志の春さむけれど夜の燭 飯田蛇笏 雪峡
息ひそめても揺れている春の燭 大高 翔
惜春の闇を背にため燭をともす 古舘曹人 砂の音
手燭して庭ふむ人や春惜しむ 蕪村
春の燭ミサのこだまと共に揺れ 山本歩禅
春の燭石卓の花全貌を 飯田蛇笏 雪峡
春恨といふべき誦経燭の華 飯田蛇笏 雪峡
春雪に子の死あひつぐ朝の燭 飯田蛇笏 雪峡
晨朝の紙燭ともすや春霙 西本一都
燭の火を燭にうつすや春の夕 蕪村
燭強し春のまくなぎはらひきて 辻桃子
私室まで見せてほしいと春の燭 櫂未知子 蒙古斑
行く春の千体仏の燭ゆれて 細見綾子 天然の風以後
贈られし花環に燭や春の宵 四明句集 中川四明
関帝に燭上り春惜しむ 石塚友二 光塵
春宵の胸撫でおろすやうな灯よ 高澤良一 随笑

以上
by 575fudemakase | 2015-04-06 00:23 | 春の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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