人気ブログランキング | 話題のタグを見る

木の芽

木の芽

例句を挙げる。

*たら芽吹く坂より父の生家見え 西島教子
*たら芽吹く鬼の栖を尋ねんか 原 裕
「太陽の言葉」芽吹きの北半球 吉原文音
あらためて天をまろしと榛芽吹く 千代田葛彦 旅人木
いくらでも雨吸ふ芽吹く前の山 今瀬剛一
いで発つや鳴る空車木の芽吹く 成田千空 地霊
うつくしき窪みをもちて椰子芽吹く 中村和宏
うなかぜに芽吹きを拒み崖疼く 赤城さかえ句集
お礼所のいろは楓の芽吹きおり 近石 ひろ子
からまつ芽吹き夕焼長き火山帯 八牧美喜子
がうがうと欅芽吹けり風の中 石田波郷
この谷間たえず風あり樹々芽吹く 岡田日郎
ごつごつのどこから芽吹く百日紅 庄中健吉
ずん抜けて杜の欅の片芽吹き 高澤良一 随笑
つんつんとわけても楓芽吹くばかり 石川桂郎 四温
なほざりにして芽吹くものたくましく 稲畑汀子
なほざりの庭とて芽吹く心あり 稲畑汀子
はきはきと物言ふごとし山毛欅芽吹き 高澤良一 燕音
はしばみの芽吹は花をともなへり 松村蒼石 雪
はつはつに芽吹くもありてしろがねに光る枝枝暁の空指す 三國玲子
はや芽吹く樹で啼いてゐる 種田山頭火 草木塔
ひとまはり大きく欅芽吹き初む 嶋田麻紀
ぴつしりと光る芽立ちを怖るなり 柴田白葉女 花寂び 以後
ふりかむる大槻芽立つ月夜かな 小林康治 四季貧窮
ぶな・いたや芽吹くべかりき炉に燃ゆる 林原耒井 蜩
へそ曲り柿の古木も芽吹かんと 高澤良一 随笑
もしかして芽吹くか箸も端々も 中尾寿美子(1914-89)
ものの芽に触れをり指も芽吹かむと 林翔
やがては来る歓喜の人声即芽吹く雑木山 橋本夢道 良妻愚母
アカシヤの芽立ちわづかに湖荒るる 古沢太穂 古沢太穂句集
ケロイドを抱く青桐芽吹きどき 千曲山人
トランペットの一音#して芽吹く 浦川 聡子
マロニエの旬日の芽吹き暗鬱に 小池文子 巴里蕭条
マロニエの芽吹きしパリにこんにちは 山本歩禅
ヤクルトの殻の白傷木々芽吹く 大石雄鬼
一徹の枝ぶりに柿芽吹きけり 茂里正治
一旦は赤になる気で芽吹きをり 後藤比奈夫 花匂ひ
一本の芽吹きに遅速なかりけり 岡安仁義
一途なる芽吹き産めざる身の周囲 鷲谷七菜子 雨 月
久慈川にほとりし桑も芽吹くかに 高木晴子 花 季
二人の目に芽吹きそめたる大柳 阿部みどり女
二師団の垣長々と木の芽吹く 阿部みどり女
二荒山淵青ざめて芽吹き急 館岡沙緻
二階より座蒲団はたく木の芽立 岸風三楼 往来
五平餅人語も芽吹く峠茶屋 渡辺恭子
人の血を授かり生きて芽立前 朝倉和江
人は影鳥はひかりの芽吹山 佐藤光夫
付け足しにそこらの小木も芽吹山 高澤良一 ぱらりとせ
似通った彩して芽吹くみな雑木 高澤良一 随笑
何か鳥飛ぶ嵐雑木芽立に 北原白秋
倒れ木の骨となりゆきつつ芽吹く 鷲谷七菜子 雨 月
全山の芽吹きうながし辛夷咲く 伊東宏晃
全山の芽立ちの中に坑出づる 戸沢寒子房
全山や一宗興るごと芽吹き 村松紅花
冬の夜の母木ひそかに芽吹きをり 原裕 葦牙
凡庸な芽吹きの色でありにけり 高澤良一 燕音
刻々と待つ御誕生柳芽吹く 長谷川かな女 花 季
古桑の拳の芽吹き裏妙義 奈良文夫
向日の性に芽吹きぬ欅楢 石塚友二 方寸虚実
君らには君らの未来バラ芽立つ 所 山花
吾も衆愚雑木山芽吹く炎に心革る 橋本夢道 良妻愚母
四囲芽吹く中や一樹の押し黙り 青柳志解樹
坪内の沙羅の芽吹の雨に濡れ 高木晴子 花 季
夕日差し芽吹き浮きたつ別れかな 高橋良子
夜々芽吹く過去帳夫のあと真白 久保 羯鼓
大けやき芽吹きさかんや吾子壮年 柴田白葉女 『月の笛』
大柿の倒れて芽吹く天気かな 大峯あきら 鳥道
大樹いま芽吹きあそべる雲の縁 野澤節子 黄 炎
大樹程芽吹き遅しと仰ぎけり 高木晴子 花 季
大欅芽吹かむ気配夜空より 相馬遷子
大銀杏芽吹いて空を点綴す 山西雅子
大銀杏芽吹かんとして実朝忌 大気 十潮
天磐を支へし枠木芽吹きたる 戸澤寒子房
太郎柿芽吹くや次郎柿芽吹く 辻桃子 童子
奥砥部の古窯の跡に枸杞芽吹く 池内けい吾
学生に降る雨太く桑芽立つ 大井雅人 龍岡村
學生寮チャペル點在芽立ち満つ 及川貞 夕焼
家中の柱が芽吹く朧かな 齋藤愼爾
宿の灯や切々闇に芽吹くもの 清水哲男
密集を遂げし町より木の芽吹く 百合山羽公 故園
富士山の湧水芽吹き促すよ 高澤良一 随笑
寺ゆたかぐみの芽立ちが日を散らし 河野南畦 湖の森
山桐の芽立ちに明日の透きゐたり 原裕 青垣
山毛欅林芽吹く二の沢三の沢 松本圭二
山深くなり芽立ちまばらなる 室生犀星 魚眠洞發句集
山門の欄に触れ芽吹きをり 植木南汀
己が天占めむと朴の芽吹くなり 藤原 如水
幻聴か芽吹きの音か森の中 手島靖一
広前に欅芽吹きの金色相 高澤良一 素抱
庭木芽吹く頃となりをり下女詰所 高澤良一 鳩信
影を地に樹々芽吹かんと力溜む 川村紫陽
快々と籠る日々なり木の芽立つ 田川飛旅子 『山法師』
悠といふわが名欅の芽吹くかな 正木ゆう子
戦争を知る樹も芽吹き初めにけり 湊 キミ
括りぐせ残りしままに桑芽吹く 高橋没法子
接骨木の節々太き芽立ちかな 数川 三枝子
故郷へ骨さげくれば芽吹くなり 小坂順子
新道は行かず芽吹きの丘に出づ 金箱戈止夫
日に一と芽風に一と芽と芽吹きたる 後藤比奈夫 花匂ひ
日の遠き撓めしばられて梨芽吹く 西東三鬼
日南にはそのひなたほど木の芽立 広瀬惟然
明るさに径うすれゆく芽吹山 能村登四郎 幻山水
朝のかぜ平林禅寺の茶も芽立つ 及川貞 榧の實
木々の静か芽吹く勢いのありながら 岡安仁義
木々芽吹かせし神よ子に知恵賜び給ヘ 成瀬桜桃子
木々芽吹きまた荒廃の紛るゝか 殿村菟絲子 『繪硝子』
木々芽吹きトビケラも羽化忙しき 高澤良一 随笑
木々芽吹き地震を呼びたる朝のこと 高木晴子 花 季
木々芽吹き将士しづかに還り来る 藤木清子
木々芽吹き索道やすみなく天に 加倉井秋を 午後の窓
木々芽吹くくれなゐすこし痛からむ 辻美奈子
木々芽吹くけはひ眠りの中なれど 加倉井秋を 『風祝』
木々芽吹く中にも柿の枝踊り 石川桂郎 含羞
木々芽吹く富士の大氷壁の前 羽部洞然
木の芽吹く園に夕暮とどまりぬ 阿部みどり女
木の芽吹く垣根伝ひの禿や誰 尾崎紅葉
木の芽吹く展望台を押し上げて 朝岡和佳江
木の芽立つ夢持つものはみな眩し 関森勝夫
木の芽立つ池には池の彩うまれ(東都六義園) 上村占魚 『玄妙』
木石や石も芽吹かむ春の雨 石塚友二 光塵
木芽吹いて禽もろ~が口を張る 石井露月
木芽立つ金堂跡の月夜哉 中川宋淵 詩龕
木馬館木馬汚れて芽立ちけり 永井龍男
朴芽吹き谷川の水段(きだ)為して 高澤良一 燕音
朴芽吹くまぼろしの相すでにもち 相葉有流
朴芽立ち雲の法話を聞くならむ 村越化石 山國抄
松や芽立ち明けたるまゝの汐曇 斎藤空華 空華句集
枇杷の芽立白々と春の夕なる 碧雲居句集 大谷碧雲居
枯れし木に雪崩るゝ如く木の芽吹く 杉山岳陽 晩婚
柳の枝芽吹くや風に靡きしまま 相馬遷子 雪嶺
柿芽吹き蟹の鋏のやうな芽を 高澤良一 ぱらりとせ
柿芽吹く貧相の木を改めず 百合山羽公 寒雁
栗くぬぎ芽立ち霞めり背山垣 及川貞 榧の實
桑の木の拳こぶしの芽吹きかな 岸田 桂子
桑の瘤芽吹くきざしの雨水かな 芋川幸子
桑芽吹き上州の景始まりし 不先
桜芽吹く空へ千人針刺して 渡辺恭子
楢山の芽吹はけむる笹小笹 斎藤夏風
楢櫟芽吹きつ飢う日続きけり 石川桂郎 含羞
楢芽吹き欅芽ぶきて広廂 柴田白葉女 花寂び 以後
楢芽吹くあかるさは水遠からぬ 鷲谷七菜子 花寂び 以後
楷芽吹く文庫に残る青磁壺 田中英子
榛の木の芽吹きまだまだ天塩川 高澤良一 素抱
榛芽吹き神居古潭(かむいこたん)の川景色 高澤良一 素抱
榛芽吹く湖北と聞けば烏大 赤松[けい]子 白毫
槻芽吹く子等にひゞかぬ氏素姓 米沢吾亦紅 童顔
槻芽立ち月夜明くるを急ぎをり 小林康治
樫芽吹き雀古葉のごとこぼる 高井北杜
樹々芽吹く気配の濡れし闇に触れ 福田蓼汀 秋風挽歌
樺芽吹く空うすぎらふ摩周越え 石原八束 空の渚
橇納ひ遠い音のせ芽吹く空 新谷ひろし
武蔵野の芽吹の中やだるま市 笹本 敏
母の日を落葉松芽吹く町に来つ 堀口星眠 火山灰の道
水楢の芽吹く青空農具市 伊藤京子
水楢の芽立ちはおそし峠茶屋 高木晴子
水音淙々芽吹きうながす山の雨 福田蓼汀 秋風挽歌
没日ののち芽立ちの大樹揺れにけり 松村蒼石 雪
洞欅ぽやっぽやっと芽吹きけり 高澤良一 随笑
流れ木の芽立ちしままに砂洲光る 横光利一
浅香光代来るからまつの芽吹くころ(嬬恋村) 岸田稚魚 『花盗人』
浮雲をしばしとどめて芽吹山 宮武章之
海照ると芽吹きたらずや雑木山 篠田悌二郎(1899-1986)
湖照ればひしめき芽吹く楢林 那須 乙郎
満山の総毛だつかに木々芽吹く 福田蓼汀 秋風挽歌
漫然と欅は芽吹き初めにけり 高澤良一 宿好
激流へ倒木水漬きたるまま芽吹き 福田蓼汀
濛々と糺の森の芽吹くなり 加藤三七子
濠柳芽吹き毎日新聞社 高澤良一 随笑
烈風に古葉をののく芽立ちつつ 林翔 和紙
無花果芽吹くコールタールの香の中に 加倉井秋を 午後の窓
牡丹の寒の芽立ちを虔める 岸田稚魚 筍流し
理に合はぬ事一身に薔薇芽吹く 高橋良子
疾風めく羽音一陣芽吹き山 鷲谷七菜子 花寂び 以後
病むといふ便りは書かず芽立ち鋭く 永井龍男
発心の芽吹きとなりぬ塔の四囲 加藤耕子
白樺の芽吹き朝日に呟くごと 高澤良一 燕音
白雲や芽吹く力に大樹揺れ 川村紫陽
目を細め来る百姓や桑芽吹く 橋本鶏二 年輪
目覚めけり芽吹くけはひのひしひしと 林原耒井 蜩
真夜芽吹くかも買ひたての木の机 折原あきの
眼の底に一本楢の芽吹くなり 岸田稚魚 筍流し
矢窓より覗けば芽吹く姫路かな 長谷川かな女 雨 月
矢車の金の真下に茶の芽立つ 百合山羽公 寒雁
石垣の隙にひよろひよろ木の芽吹く 阿部みどり女
神の御名おほむね長し木の芽吹く 八幡里洋
神在す山に芽吹きの順序あり 武藤あい子
祠の辺教師の通ひ路*たら芽吹く 木村蕪城 寒泉
禅天魔叫ぶ像あり木々芽吹く 花輪芳子
穂は枯て接木の台の芽立けり 炭 太祇 太祇句選
空かけて公暁が銀杏芽吹きたり 石塚友二 光塵
空の色濡るると仰ぎ木の芽吹く 吉年虹二
空は青木の芽吹く風薄みどり 目黒白水
空濠の底にも農夫*たら芽吹く 林翔 和紙
立ち上る天地と思ふ芽吹きかな 平井照敏
籾を出る卵半身芽立つ町 辻田克巳
紫香楽や芽吹く山肌須恵の肌 加倉井秋を
美術館眼に見えざれど木々芽吹く 橋本美代子
羽ばたいて桜の芽立ち促せる 高澤良一 鳩信
老いたるも不死身の藤の芽吹くなり 阿波野青畝
老桑の瑞の芽立や春祭 水原秋櫻子
耳敏く人の住むなり芽吹山 本宮哲郎
色合ひも野暮な櫟の芽吹きかな 高澤良一 ぱらりとせ
芽吹かむと雁ヶ腹摺山くもる 落合伊津夫
芽吹かんとするものへわが影を折る 孫柳
芽吹かんと北の大地に犇めく樹々 大郷石秋
芽吹かんと大樹身を揺り輝くも 内藤吐天 鳴海抄
芽吹かんと樹皮を寄る辺の洞(うろ)欅 高澤良一 ぱらりとせ
芽吹きそむ山毛欅の樹相の相似たる 高澤良一 燕音
芽吹きそむ山毛欅の英気にあやかれと 高澤良一 燕音
芽吹きたる一樹に小鳥籠吊す 樋笠文
芽吹きつつ一夜に雪の賤ヶ岳 渡会昌広
芽吹きつつ靡ける如き大樹かな 原石鼎
芽吹きつゝ林中水のにほひ満つ 黒木 野雨
芽吹きつゝ枯木のまゝの月夜かな 渡辺水巴 白日
芽吹きつゝ靡ける如き大樹かな 原石鼎 花影以後
芽吹きては樹木のかたち毀すまで 正木ゆう子
芽吹き山二重にこだま返しけり 二村典子
芽吹き競ふさまに苗木や畑打つ 碧雲居句集 大谷碧雲居
芽吹くからポプラ狙撃の標的に 星永文夫
芽吹くなら欅パパッとパパッとな 高澤良一 宿好
芽吹くものビルの谷間に遅れけり 山田一男
芽吹くもの散るもの忙し気が愛し 及川貞
芽吹くもの眼摶つ終生火の虜 吉田未灰
芽吹くもの芽吹き茫然と髭を剃る 山口草堂
芽吹く中黄なるは咲きて連翹に 林翔 和紙
芽吹く前の谷は肉色友の家 大井雅人 龍岡村
芽吹く夜の眠りおりおり感光す 田辺香代子
芽吹く山知らぬ路なり行くよりなし 加藤知世子 黄 炎
芽吹く山見てゐて画法朦朧体 高澤良一 宿好
芽吹く庭胸に打たれし五寸釘(多美子の病名を癌と聞かされて) 阿部みどり女 『雪嶺』
芽吹く木々なほ枯れてゐし木を包む 杉山岳陽 晩婚
芽吹く木々暮れて枯木と異ならず 山口誓子
芽吹く木々獄舎と病舎半ばなす 岩田昌寿 地の塩
芽吹く木がわめく者にぞ比せらるる 相生垣瓜人 明治草抄
芽吹く木に芽吹かざる木に雪降れり 朝倉和江
芽吹く木の瘤より接木農夫の婚 佐川広治
芽吹く木の紫紺の影を踏みゆくも 内藤吐天 鳴海抄
芽吹く木へつぎつぎ心遊ばせる 高橋信之
芽吹く木も鉄屑のなかダンス習う 古沢太穂 古沢太穂句集
芽吹く枝さし交しゐて昃るさま 橋本鶏二
芽吹く枝に吊つて念珠の落しもの 大木あまり 火球
芽吹く森遠き森子を肩ぐるま 千代田葛彦
芽吹く樹々空が楽しくなりにけり 伊藤洋子
芽吹く樹のはざまの空の如来像 畠 友子
芽吹く樹へつぎつぎ心遊ばせる 高橋信之
芽吹く街路樹子に木琴を購ひ帰る 伊東宏晃
芽吹く路少年闇にまぎれずゆく 大井雅人 龍岡村
芽吹く辺や褪せてさびたの去年の花 金箱戈止夫
芽立ちたる朴の話に及びけり 後藤夜半 底紅
芽立つもの欅楢などたくましき 高濱年尾 年尾句集
芽立つ中渦いそぐなり阿賀野川 水原秋櫻子
芽立つ樹に柄長ゐ群れて声あふる 山谷 春潮
芽立前手紙断つとき愛ふかし 朝倉和江
芽立樫しきりに古葉落しけり 西山泊雲 泊雲句集
芽立華やぐ僧結界の杉木立 河野南畦 湖の森
苗木市売れ残るもの芽吹きけり 伊藤伊那男
苗札に遠くかたまり芽立つあり 米沢吾亦紅
荒れざまの邸址明暗みな芽吹く 桂樟蹊子
落葉松の芽吹く林も夕づきし 高木晴子 花 季
虚子館に今日根付くもの芽吹くもの 湯川雅
街路樹の芽吹く蘇州を手秤に 荒井まり子
街騒のとどきし畑の桑芽吹く 浅見さよ
裏山は芽吹きはげしや達磨市 石田あき子 見舞籠
西行の墳山の樹々芽吹きけり 佐川広治
西行堂うすももいろの芽立ちかな 中山純子 沙 羅以後
見頃なる花とは別に芽吹く木々 高澤良一 鳩信
警策音飛んで瑞鹿山芽吹き 高澤良一 ももすずめ
谷地柳芽吹く一帯の雪解水 内藤吐天 鳴海抄
貴婦人といふ白樺の芽立かな 青木重行
買ひ手待つ絵を芽吹く木に架けにけり 下村梅子
資生堂前の焼跡芽吹き急 加藤耕子
赤松の芽立の雨に駒は臥す 石橋辰之助 山暦
起請文累々芽吹く杜にて 高澤良一 ぱらりとせ
足袋底に滲む残雪橡芽吹く 松村蒼石 雁
重厚な山毛欅の樹相も芽吹き前 高澤良一 燕音
野犬の目赤し芽立ちの垣に啖ふ 『定本石橋秀野句文集』
金色に芽吹く欅を敬へり 山田みづえ 木語
金賞の札傍らに薔薇芽立つ 斉藤葉子
金銀の輪郭満ちて木々芽吹く 対馬康子 愛国
鉄壁と思ひし崖の芽吹きをり 林翔
雑木芽吹くは叱咤に似たり歩き疲る 吉田未灰
雨止むや芽立かすめる向ひ山 及川貞 夕焼
雪よりも肌やはらかに芽吹山 上田五千石 琥珀
雪国のわつと芽吹ける雑木山 坂本山秀朗
雪嶺を讃へ落葉松芽吹くなり 長倉いさを
雪嶺芽吹く嶺朝湧く力校歌創る 加藤知世子 花寂び
雲のさま遠く見つめしもの芽吹く 猪俣千代子 秘 色
霜と雹たくらむ天に茶の芽立つ 百合山羽公 寒雁
霞む街しんしんとして枇杷芽立つ 右城暮石 声と声
青山河胡桃芽立ちに溺れをり(平泉) 河野南畦 『広場』
静かなる忙しさにあり木々芽吹く 富安風生
音ありと幹に掌を置く芽吹前 藤田湘子 雲の流域
頬白の移りゆく枝みな芽吹く 中村四峰
頬白や芽吹きこぞりし裏至仏 甲賀 山村
頭折れの樅の樹雨のち晴の色の芽吹き 磯貝碧蹄館 握手
風の壁破る日光*たら芽立つ 百合山羽公 寒雁
風は少女芽吹くまで木をあやしおり 井上純郎
鬼くるみぼっつり芽吹く千曲川 高澤良一 燕音
鬼胡桃ごつんごつんと芽吹きたり 茨木和生
鵲の巣に櫨の群枝の芽立ちたり 米沢吾亦紅 童顔
鷹の巣のひとり高しや芽立前 石田波郷
鷹の巣のまぎるる樺の芽吹きけり 斎藤 道子
*かりんより柘榴に飛びし木の芽かな 古舘曹人
「前年比」に追わるる夫木の芽季 小高沙羅
あけぼのゝ白き雨ふる木の芽かな 日野草城
あたたかや木の芽観音槻菩薩 橋本榮治 越在
いそがしや木の芽草の芽天下 阿波野青畝
いで発つや鳴る空車木の芽吹く 成田千空 地霊
いまはのきはの尖端として木の芽 齋藤愼爾
うつされし木の芽はいまだ光なさず 太田鴻村 穂国
おにぎりに思はせ振りな木の芽雨 田口珂那
おのづから打仰がるゝ木の芽かな 比叡 野村泊月
くぬぎ原さゝやく如く木の芽かな 虚子
ここだけの話広がる木の芽時 添野光子
この風に半鐘ならす木の芽かな 龍岡晋
さんごいろといふがはやりて木の芽のぶ 林原耒井 蜩
しなやかに鹿の胴のび木の芽食む きくちつねこ
しろがねの木の芽ぐもりの日を秘めて 長谷川素逝 暦日
しろじろと月光わたる木の芽道 山本智恵子
せねばならぬ事ばかりぞくぞく木の芽 シヤツと雑草 栗林一石路
それぞれに木が揺れてゐてみんな木の芽 シヤツと雑草 栗林一石路
つぶらなる雨のはれまの木の芽かな 上村占魚 鮎
とりどりに雑木の芽ぶく嵐か 北原白秋
なめらかに流るゝ雨の木の芽かな 上村占魚 鮎
なんとこまかな雑木の芽一本立つて 北原白秋
にはとこのふためき出づる木の芽道 高澤良一 さざなみやっこ
はたはたと鴉のがるる木の芽かな 飯田蛇笏 山廬集
ばらばらのピカソの顔や木の芽風 仙田洋子
ひかひかと瓦にさはる木の芽かな 太田鴻村 穂国
ひた急ぐ犬にあひけり木の芽道 中村草田男
ひとり死に百人の泣く木の芽山 大木あまり 火のいろに
ふくらんで母となりゆく木の芽時 仙田洋子 雲は王冠以後
みごもると心驚く木の芽かな 小杉余子 余子句選
みどり子のまばたくたびに木の芽増え 龍太
もう逢へますまい木の芽のくもり 種田山頭火
やむ気配見えつつやまず木の芽雨 西村和子 夏帽子





よく喋る茶店の鸚鵡木の芽晴 中山輝鈴
よりそひて瞳碧けれ木の芽より 池内友次郎 結婚まで
らふそくの灯影大きく木の芽雨 鷲谷七菜子 花寂び 以後
りんりんと木の芽の箴言卒業期 齋藤愼爾
わがねたみそだつともなき木の芽かな 林原耒井 蜩
わが影をはみでし木の芽月夜かな 吉田未灰
われは非か心たじろぐとき木の芽 栗林一石路
アメリカの自由を歩く木の芽どき 秋本敦子
ガラス器に旅人の影木の芽どき 平北ハジム
シベリアの月下に死ねず木の芽噛む 小田 保
トーキーに入りし水音木の芽時 長谷川かな女 雨 月
ピアノ大きく坐り木の芽のかげさせり 太田鴻村 穂国
フランスの女美し木の芽また 高濱虚子
ヘクトパスカルてふ怪な空の木の芽冷 平井さち子
ミュンヘンの木の芽の頃の雨の写真 京極杞陽 くくたち下巻
一斉に天を仰げる木の芽かな 上村占魚 鮎
一色に目白囀る木の芽かな 浪化
一菜は木の芽田楽寺料理 北村 光阿弥
一雫こぼして延びる木の芽かな 諸九尼
一面にこぼれてありし木の芽かな 比叡 野村泊月
三峯の少し冷たき木の芽風 臺 きくえ
二師団の垣長々と木の芽吹く 阿部みどり女
二階より座蒲団はたく木の芽立 岸風三楼 往来
人去りて木の芽の谺包む館 長山あや
今掃きし土に苞ぬぐ木の芽かな 杉田久女
俳磚の声立ちのぼる木の芽空 長山あや
八岳を撲つて木の芽の礫かな 萩原麦草 麦嵐
刀架け疾風の木の芽飛び来たり 篠田悌二郎
初蝶と木の芽菩薩と競ふなり 石川桂郎 含羞
勘定器ひびく鋪道の木の芽かな 宮武寒々 朱卓
化粧水木の芽を摘みしてのひらに 阿部みどり女
北辺の木の芽かたしと思はずや 小林康治 四季貧窮
匙を見て母が口開く木の芽寒 岡本高明
又逢ふ日近かれ庭の木の芽ふく 雑草 長谷川零餘子
口笛の咳そそる木の芽夕べかな 富田木歩
古傷がおのれ苛む木の芽どき 稲垣きくの 牡 丹
句碑訪うて木の芽起しの嶺霽るる 河野南畦 湖の森
吠ゆ犬も木の芽も影し水夕べ 宮武寒々 朱卓
土くれや木の芽林へこけし音 飯田蛇笏 山廬集
夕空へいま命ある木の芽かな 今井千鶴子
夕陽ひそと木の芽を染めて居たりけり 原石鼎 花影以後
夜の色に暮れゆく海や木の芽時 石鼎
大原や木の芽すり行く牛の顔 召波
大富士の雪見つ木の芽噛みすてぬ 渡邊水巴 富士
大寺を包みてわめく木の芽かな 高濱虚子
大沼小沼の小沼は木の芽の雨に見ず 皆吉爽雨
大砲のどろ~と鳴る木の芽かな 正岡子規
大空にすがりたし木の芽さかんなる 渡邊水巴
大風の吹いてこぼるゝ木の芽かな 比叡 野村泊月
天ひろくして山浅し木の芽どき 柴田白葉女 花寂び 以後
天保の墓石ざらざら木の芽風 藤田枕流
奥の宮修理なりたる木の芽かな 比叡 野村泊月
女医に目を覗かれてをり木の芽晴 千田一路
女医迎ふ提灯触るる木の芽かな 宮武寒々 朱卓
子どもたち走り木の芽はふとるなる 長谷川素逝
子の部屋を庭より覗く木の芽季 殿村莵絲子
家がまえも二百五十年の木の芽のかおりで 荻原井泉水
密集を遂げし町より木の芽吹く 百合山羽公 故園
小綬鶏の木の芽啄む野外弥撒 石原 義輝
小走りに雨の木の芽を摘みにけり 太田南岳
屋根の上の瑠璃濃く木の芽ふきこぞる 川島彷徨子 榛の木
山に死す朴の木の芽の高ぶりに 龍野龍
山の夜は木の芽を食うて酒呑めり 萩原麦草 麦嵐
山容ち木の芽の中に隠れ得ず 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
山巻いて有象無象の雑木の芽 高澤良一 随笑
山裾の一本道の木の芽風 千原満恵
川魚の木の芽と光り交しけり 寒烟(かんえん)喜谷六花、内田易川編
帆張れる川舟萌ゆる木の芽哉 滝井孝作 浮寝鳥
帰農記にうかと木の芽の黄を忘ず 細谷源二 砂金帯
平和がほしい誰にもにおう夜の木の芽 栗林一石路
庭石に腰していよよ木の芽空 皆吉爽雨
庭隅のさみどりを摘み木の芽漬 関科子
張板に吸ひつく紅絹や木の芽晴れ 高橋淡路女 梶の葉
形見の時計すこし遅るる木の芽風 奈良文夫
征衣とく窓に木の芽のやはらがむ 太田鴻村 穂国
待つことを知る児よ明日は木の芽晴 長谷川かな女 雨 月
復活祭木の芽起しの風つどふ 下村ひろし 西陲集
快々と籠る日々なり木の芽立つ 田川飛旅子 『山法師』
我が膝に飛鳥影さす木の芽かな 富田木歩
折々に猫が顔かく木の芽かな 一茶
抱合の神をかくして木の芽山 澄雄
接骨木の芽とおしへられ仰ぎ見る 藤岡 むね
接骨木の芽と手を添へて申さるる 高澤良一 鳩信
接骨木の芽の付き方は唯杜撰 高澤良一 宿好
接骨木の芽の揃ひたる朧かな 前田普羅 能登蒼し
接骨木の芽や逆まに大いなる 山口青邨
接骨木の芽を見仁王の乳房見て 山口青邨
揺れおくれ揺れおくれゐる木の芽かな 石田郷子
摺鉢に木の芽を摺りて春の昼 田中冬二 俳句拾遺
文豪の谷総立ちの木の芽かな 吉原文音
新しき牧場の柵や木の芽風 宮成 鎧南
旅に出れば寐るばかり雨の木の芽かな 碧雲居句集 大谷碧雲居
既にして接骨木の芽の出臍程 高澤良一 随笑
日々参る糺の森の木の芽かな 比叡 野村泊月
日ざしつゝ尚小しぶくや木の芽畑 西山泊雲 泊雲句集
日南にはそのひなたほど木の芽立 広瀬惟然
日曜の教師ひねもす木の芽風 木村蕪城 一位
日雨して又雲鎖づる木の芽山 松村蒼石 寒鶯抄
昼さざめきし木の芽のねむり深からむ 成瀬桜桃子
時計持つ木の白昼の芽木の山 和知喜八 同齢
晝の月ありて老樹や木の芽晴 高田風人子
晴天に苞押しひらく木の芽かな 杉田久女
曇りて光る木の芽清瀬はかなしきところ 岸田稚魚
曙の水ほの白き木の芽かな 雑草 長谷川零餘子
月の出や皆枝伸べて崖木の芽 西山泊雲 泊雲句集
朝よりのしと~雨や木の芽宿 青峰集 島田青峰
木々おのおの名乗り出でたる木の芽かな 一茶
木々おの~名乗り出たる木の芽哉 一茶 ■寛政元年己酉(二十七歳)
木の芽 まだ明るくて池の向うが灯る 荻原井泉水
木の芽、巡査がかこんでいるこれがメーデーの集團とおもえ 橋本夢道
木の芽、湧いている水のうえ葉となる(井ノ頭) 荻原井泉水
木の芽あへ女たのしむこと多き 及川貞 夕焼
木の芽かたし茫々として人の逝く 前田普羅
木の芽がにおうほどの 新月生ず 荻原井泉水
木の芽こぞり人を食ふ眼の山鴉 渡邊水巴 富士
木の芽しづく大きく落つる月夜かな 金尾梅の門 古志の歌
木の芽してあはれ此世にかへる木よ 鬼城
木の芽してやゝ奔流をなしにけり 小杉余子 余子句選
木の芽して今おもしろき雑木かな 高浜 虚子
木の芽たち黒猫もの言って老いる 金子皆子
木の芽だつけはひしづかにたかぶれる 長谷川素逝
木の芽とは豆腐の上に生ふる者なり 正岡子規
木の芽どき待つ山鳥のかしこさよ 松村蒼石 雪
木の芽どき横顔かくも照るものか 山崎為人
木の芽どき痔も猛然と火吹くなり 石塚友二
木の芽なほ小さし一片の訃を手にす 岸風三楼 往来
木の芽にあらき風吹いてわれら憩ふべき家 シヤツと雑草 栗林一石路
木の芽に泌みる雨が静かに病人と居る 人間を彫る 大橋裸木
木の芽に雨滴党務に終車までを捧げ 古沢太穂 古沢太穂句集
木の芽ぬれるほどは人のぬれて行く 荻原井泉水
木の芽のえんじいろ もう風雪を おそれない 吉岡禅寺洞
木の芽の路を絣の袂吹かせゆく 川島彷徨子 榛の木
木の芽の香する酒注がれ春祭 草間時彦 櫻山
木の芽の香燕々われに飜へる 前田普羅 春寒浅間山
木の芽はむ鵯やみぞるゝ音幽か 渡辺水巴 白日
木の芽ひらいてくる身のまはり 萩原井泉水
木の芽ふく頃の頭痛に食ほそり 上村占魚 球磨
木の芽ほぐれひと日の何時を子の育つ 文挟夫佐恵 遠い橋
木の芽ほどの五十雀声鋭かりけり 堀口星眠 営巣期
木の芽みなこぞりて迎へゐる如し 高浜年尾
木の芽や草の芽やこれからである 山頭火
木の芽中父と子が見る一つ星 波戸岡旭
木の芽伸ぶきのふ驚き今日驚き 高浜虚子
木の芽伸ぶ如く生活面白し 吉武月二郎句集
木の芽出づささくれ浪に安房の岬 角川源義
木の芽出てつひに向き合ふ事も無く 如月真菜
木の芽出て手擦れの艶の男神 森澄雄
木の芽吹く園に夕暮とどまりぬ 阿部みどり女
木の芽吹く垣根伝ひの禿や誰 尾崎紅葉
木の芽吹く展望台を押し上げて 朝岡和佳江
木の芽噛み旅は一人の修行にて 古舘曹人
木の芽坂一丁の鉈購ひ帰る 岸風三樓
木の芽垣にくらき灯洩れつ唄ふ子よ 富田木歩
木の芽垣砂山の風とゞめけり 増田龍雨 龍雨句集
木の芽寒むこの世の銭を母鳴らし 大木あまり 火のいろに
木の芽寿司野猿になみされゐたらずや 小林康治 玄霜
木の芽山どこかに父を隠し了ふ 橋本榮治 麦生
木の芽山襁褓替ふるにひざまづく 辻美奈子
木の芽山雨止む気配して匂ふ 山下美典
木の芽打つて雪はげし句々抹殺す 渡辺水巴 白日
木の芽明るく女の耳の穴暗し 田川飛旅子 花文字
木の芽時山毛欅鳴つて風吹きながれ 渡邊水巴 富士
木の芽時空はすすみてゐたりけり 平井照敏
木の芽晴レール光りてふくらむやう 香西照雄 素心
木の芽晴足型減りして窯場道 田波富布
木の芽晴風の笛生む屏風岩 雨宮抱星
木の芽曇り体操終えし手袖にしまう 田川飛旅子 花文字
木の芽活けて壁に青年の黒帽子 古沢太穂 古沢太穂句集
木の芽淡し埃まみれの単峰駝 三好達治 路上百句
木の芽漬嫩芽の色香たちもどり 南川青洋
木の芽漬愛でて今宵を京泊り 宇佐美末女
木の芽燃え土佐路も古りし光り渦 河野南畦 湖の森
木の芽田楽階段多き伊賀の宿 八牧美喜子
木の芽白魚かはゆきものを身ごもらせ 林原耒井 蜩
木の芽空くもりたる日とあるばかり 長谷川素逝 暦日
木の芽空日輪ひとつくもるのみ 長谷川素逝 暦日
木の芽立つ夢持つものはみな眩し 関森勝夫
木の芽立つ池には池の彩うまれ(東都六義園) 上村占魚 『玄妙』
木の芽茶屋まだ草疲れぬ人ばかり 上野泰 春潮
木の芽草の芽あるきつづける 種田山頭火 草木塔
木の芽見つつ思えりわれは羊水の中にて魚のかたちに育つ 川端弘
木の芽赤しドームの天に死角なし 有働亨 汐路
木の芽起しの夜となる大気琴の楽 河野多希女 両手は湖
木の芽道まづしきものは急ぎけり 成瀬桜桃子 風色
木の芽雨おもひのままに田水充ち 松村蒼石 雪
木の芽雨ききつつひとり眠らなん 田中冬二 若葉雨
木の芽雨さるすべりのみ孤絶せり 下村槐太 天涯
木の芽雨すべてを忘れ眠らなん 田中冬二 俳句拾遺
木の芽雨ちちのかなしみ子は知るや 成瀬桜桃子 風色
木の芽雨どこかで鷽が啼いてゐる 田中冬二 麦ほこり
木の芽雨ひびきわたれり樋の中 飴山實 少長集
木の芽雨今日の予定の街に来て 稲畑汀子
木の芽雨天気予報の通りに降る 加倉井秋を 『胡桃』
木の芽雨平らなものへ女の目 桂信子 黄 瀬
木の芽雨御油赤坂をつなぎけり 茂里正治
木の芽雨死もみえはじむ昼すぎて 河原枇杷男 定本烏宙論
木の芽雨百日紅のみ孤絶せり 下村槐太 光背
木の芽雨障子のすぐ外に降る 加倉井秋を 午後の窓
木の芽雫夕べは蒼き日を点す 福田千栄子
木の芽風吹きつさらしに猿の面 高澤良一 ももすずめ
木の芽風天竜ここに汪洋と 栗生純夫 科野路
木の芽風漆黒の膳拭き清め 桂信子 黄 瀬
木の芽風燈台白をはためかす 桂信子
木の芽風行潦に雲あふれ去る 内藤吐天 鳴海抄
木の芽飛びベンツは加速又加速 山本歩禅
木の芽食うべ六腑も青き出羽の旅 堀口星眠
木の芽食ふ叡山の僧みな若し 萩原麦草 麦嵐
木の芽食む鷽の胸紅数しれず 皆吉爽雨 泉声
村は寝て木の芽ぐもりの月の暈 長谷川素逝 暦日
杣人の雪消しといふ木の芽雨 岡村紀洋
東大寺うらの木の芽を見て歩く 飴山實 辛酉小雪
枯れし木に雪崩るゝ如く木の芽吹く 杉山岳陽 晩婚
柿の木の芽ぶくともなく日あたれる 長谷川素逝 暦日
栗鼠はしる音に歩を止む木の芽晴 つじ加代子
桃色の火事迫りくる木の芽かな 齋藤愼爾
棟上げの歓声木の芽ほぐれけり 関 秀子
椋鳥の大きく見えて木の芽冷え 堀口星眠 営巣期
検眼の二の字コの字や木の芽雨 兵頭幸久
楢山の窪に蝌蚪生ふ木の芽季 水原秋櫻子
榛の木の芽だち一夜にみどりせり 川島彷徨子 榛の木
榛の木の芽吹きまだまだ天塩川 高澤良一 素抱
武の舞に鎗触るるそら木の芽風 桂樟蹊子
武蔵野はいま木の芽どき嫁ぎくるひとりのための優しさに充ち 杜沢光一郎
死より死の蘇りくる木の芽かな 河原枇杷男
母の歌木の芽のみちに憚らず 瀧春一 菜園
母の瞳は木の芽の如くぬれてゐたり 萩原麦草 麦嵐
水飲んで地ごゑとなりぬ木の芽道 中拓夫 愛鷹
汐みつる明りを窓や木の芽あへ 長谷川春草
河の下走る地下鉄木の芽寒 和田耕三郎
波寄せて山の木の芽は燃えにけり 太田鴻村 穂国
洗面器木の芽に水を湛へけり 碧雲居句集 大谷碧雲居
津のくにの旅の一と夜の芽木の雨 稲垣きくの 黄 瀬
流れ木の芽立ちしままに砂洲光る 横光利一
海原の朝日返して木の芽山 石塚友二 光塵
深山鳥雨の木の芽の寒さかな 碧雲居句集 大谷碧雲居
温泉ぬるく沸かすともきく木の芽かな 尾崎迷堂 孤輪
満山の木の芽の奥に火噴く山 村松紅花
満月に息吹きてまろき木の芽かな 池田秀水
源泉に硫気ほのかや木の芽時 上田五千石
濁江やのめずりこみし木の芽ふく 尾崎紅葉 紅葉句集
火渡りの法螺貝ひびく木の芽晴れ 阿部寿雄
点滴の一滴づつが木の芽まで 内田啓
熔岩山の木の芽低きにさるおがせ 下村ひろし 西陲集
牛の角何か突きたき木の芽かな 尾崎迷堂 孤輪
犬と馳ける家のまはりや木の芽晴 龍胆 長谷川かな女
田楽の木の芽をもつと摺りまぜよ 杉田久女
癒えし身に匂い澄みきり木の芽煮る 金子皆子
発破あと何かが匂ふ木の芽どき 加藤知世子 花 季
発破跡何かが匂ふ木の芽どき 加藤知世子
百花園はいりてひろき木の芽かな 百合山羽公
真つすぐに伸びたる枝の木の芽かな 高濱年尾 年尾句集
眠るべく火を絶ちにけり木の芽雨 岡本眸
眼帯にすこしの湿り木の芽時 甲富代
石垣の隙にひよろひよろ木の芽吹く 阿部みどり女
破垣につつましく出た隣の木の芽よ 北原白秋
碁に飽ていく度も見る木の芽かな 鴎白
神の御名おほむね長し木の芽吹く 八幡里洋
穂は枯て接木の台の芽立けり 炭 太祇 太祇句選
空あかり幹にうつれる木の芽かな 室生犀星 魚眠洞發句集
空の色濡るると仰ぎ木の芽吹く 吉年虹二
空拭きの膳の積まれし木の芽どき 河村静香
童女いて木の芽濃くなる谿の家 和知喜八 同齢
箱根の山は天下の嶮木の芽ほッほ酒ほッほ 椎名弘郎
線香の煙の迫る木の芽山 佐々木六戈 百韻反故 吾亦紅
練り返す印泥木の芽起しかな 神蔵 器
美しく木の芽の如くつつましく 京極杞陽(きよう)(1908-81)
美しや日照雨の木の芽露一杯 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
羮はさよりの華奢に木の芽して 細見綾子 花寂び
老いの目に朝日はつよし雑木の芽 橋本榮治 越在
老眼に潤める木の芽童子佛 石川桂郎
舐め癒やす傷やぼうぼう木の芽山 西東三鬼
舟つけし岸の匂ひや木の芽晴 金尾梅の門 古志の歌
舟を得て故山に釣るや木の芽時 飯田蛇笏 山廬集
良妻か過労病み臥す木の芽どき 及川貞
花どきの風とてあらき木の芽かな 大場白水郎 散木集
苞ぬぎて木の芽ふくらむ雨の中 近藤 君
茶の色の濃きに湯をつぐ木の芽かな 小杉余子 余子句選
荷車捨ててある林しづかな木の芽 シヤツと雑草 栗林一石路
落葉松林木の芽起しの雷わたる 山口草堂
葺きかへて木の芽の中の藁屋かな 野村泊月
蓮如忌や木の芽田楽たんぽ酒 水上紫雲
蕊の穢は何時なくなりし木の芽哉 西山泊雲 泊雲句集
薪能万の木の芽の焦さるる 藤田湘子
蜂蜜をなめる子木の芽かこむ家 中山純子 沙 羅以後
衛星波浴びて木の芽の太りくる 津波古江津子
裏山の木の芽かたきにとぢて窓 太田鴻村 穂国
裸婦素描朝の木の芽が外に光る 瀧春一 菜園
襟立てて越後湯沢の木の芽どき 高澤良一 燕音
襤の鶴に一札高き木の芽かな 西山泊雲 泊雲句集
見習ひのガイド訥々木の芽どき 高澤良一 ぱらりとせ
覗き込む真水の音の木の芽谿 高澤良一 燕音
赭く太き木の芽据わりて雪解せる 林翔 和紙
走り出でし一穂長しや垣木の芽 大橋櫻坡子 雨月
越え居るや真昼時なる木の芽山 尾崎迷堂 孤輪
迷ひ熊一村湧かす木の芽晴れ 林 民子
退院の荷のこまごまと木の芽雨 片山由美子 雨の歌
遅桜黙し木の芽のさゝやける 大場白水郎 散木集
避雷針浮き足立ちて雑木の芽 星野和子
酒がやめられない木の芽草の芽 山頭火
酒少し欲る夜を木の芽起しかな 小松崎爽青
錻力屋の板のばす音木の芽風 宇佐見信男
鐘楼の四方に空あり木の芽晴 伊沢 健存
闘犬の綱真新し木の芽風 森藤千鶴
隠岐やいま木の芽をかこむ怒濤かな 楸邨
隠岐や今木の芽をかこむ怒濤かな 加藤楸邨
雌阿寒を湖に映して木の芽張る 金子幽霧
雑木の芽月下の蜂起明らかに 橋本榮治 麦生
雨の日や木の芽煮て香をみなぎらす 及川貞 夕焼
雨みんな砂にすはるる木の芽どき 下村槐太 光背
雨やみてすぐ空蒼き木の芽かな 大橋櫻坡子 雨月
雨風に木の芽一刻も休まざる 阿部みどり女 月下美人
霞みきて木の芽あからむおもひかな 原石鼎 花影以後
青天へ一瀑晒す木の芽かな 徳永山冬子
青空を白雲走る木の芽かな 原石鼎 花影以後
音岐けて谿へ逃げゆく木の芽風(古木曽路) 河野南畦 『空の貌』
風の日や木の芽の枝の浮きしづみ 上村占魚 鮎
風葬や木の芽が軋む島の蔭 古館曹人
飛び散つて木の芽時なる薄力粉 如月真菜
飛石の雨の短し木の芽あへ 小池文子
飯粒を神輿に蟻や木の芽山 矢島渚男 船のやうに
骨埋む山を五月の木の芽撲つ 萩原麦草 麦嵐
骨柴の刈られながらも木の芽かな 凡兆
鮨の香に家のまはりの木の芽風 桂信子 黄 瀬
鱒飼へる山水澄みて木の芽雨 内藤吐天
鳥刺の少年の日の木の芽山 椰子次郎
鴬やいろいろな芽の芽木の谿 和知喜八 同齢
鼻高と酒くまん月の木の芽漬 中勘助
里山の見馴れたる景芽吹けるか 高澤良一 石鏡
いつ見ても欅の芽吹きへんてこりん 高澤良一 石鏡
先づこんなところ欅の芽吹きとは 高澤良一 暮津
匂ひ立つ芽木突風の過ぎし闇 高澤良一 ねずみのこまくら
豪雪の爪跡芽木に残りけり 高澤良一 燕音
先つぽに多羅の若木の芽がひとつ 高澤良一 ももすずめ
接骨木の芽のもし囁くなら平語 高澤良一 石鏡
横須賀の海に張り出す木の芽山 高澤良一 石鏡
とろとろと木の芽明りの甘茶仏 高澤良一 石鏡
つつかけに銭湯を出づ芽出し雨 高澤良一 ねずみのこまくら
黒ずめる連翹の芽に雨つめた 高澤良一 ももすずめ
にはとこの出臍のごとき芽の並び 高澤良一 さざなみやつこ
未完なる塔にしぶけり欅の芽 高澤良一 ぱらりとせ
馥郁ともくれんの芽のかぶり物 高澤良一 随笑

以上
by 575fudemakase | 2015-03-09 12:50 | 春の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
無季
春の季語
夏の季語
秋の季語
冬の季語
新年の季語
句集評など
句評など
自作
その他
ねずみのこまくら句会
ブログ
自作j
自作y
未分類

以前の記事

2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
more...

フォロー中のブログ

ふらんす堂編集日記 By...
魚屋三代目日記
My style

メモ帳

▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

検索

タグ

最新の記事

外山滋彦著「俳句的」の指摘し..
at 2024-03-28 07:13
山本覚馬
at 2024-03-28 05:53
【桜餅】といえばどっち派?全..
at 2024-03-27 05:17
あまおう」と「とちお...
at 2024-03-24 03:42
一茶 生きもの句帖 小学館文..
at 2024-03-18 13:28
シュリンクフレーションという..
at 2024-03-13 05:15
ザッピングzapping?き..
at 2024-03-11 01:51
書道 書・筆・墨・硯の俳句
at 2024-03-08 10:04
しょどう
at 2024-03-08 09:38
すずり
at 2024-03-08 09:35
筆の俳句
at 2024-03-08 09:26
墨の俳句
at 2024-03-08 09:04
書の俳句
at 2024-03-07 18:12
佐々木敏光句集 富士山麓・秋..
at 2024-03-07 05:49
山口昭男著 波多野爽波の百句..
at 2024-02-26 02:57
ザッピングzapping?
at 2024-02-24 00:32
私の俳句入門 大野林火編 有..
at 2024-02-21 01:39
茨木和生著 右城暮石の百句 ..
at 2024-02-20 03:20
季寄せを兼ねた 俳句手帖「春..
at 2024-02-11 18:17
我が家の梅 2024/02/..
at 2024-02-06 13:51

外部リンク

記事ランキング