うつせみの俳句

今朝庭の生垣のカナメモチの葉に空蝉が三つくっついているのを発見。二つぐらいならままあることと思うのだが三つとなると一寸気になる。

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空蝉

例句を挙げる。

あまりに軽き空蝉山河還るなし 小松崎爽青
うなりなき凧空蝉の破れかな 安藤十歩老
くだかるるまへに空蝉鳴いてみよ 清水径子
こひしらに空蝉をもてあそぶなり 稲垣きくの 黄 瀬
ずぶ濡れの空蝉一つ見つけけり 高澤良一 燕音
たかがポルノグラフィーの空蝉ではないか 須藤徹
たかぶれば空蝉も鳴く夕茜 澁谷道
てのひらに空蝉のせて山のこゑ 田中里佳
のけぞりに空蝉すがる青柚かな 青畝
ふと触れし指に空蝉すがりけり 上西左兌子
ふるさとにわが空蝉は突伏して 正木ゆう子
めざましが鳴る空蝉を机に置けば 不死男
ゆつくりと見る空蝉の行うを 清水径子
ドロの木より空蝉剥がしやりにけり 高澤良一 燕音
一つ葉に空蝉二つ生垣に 高澤良一 素抱
一と震へして空蝉となりゆけり 稲畑廣太郎
乙女らよ空蝉の背の割れざまよ 永島靖子
今脱ぎし空蝉透きて夜明けなり 和田 和子
仰向きて空蝉山を離れゆく 齋藤愼爾
冗談に空蝉個個に歩きけり 永田耕衣(1900-97)
十ほどの空蝉雪の匂いする 鳴戸奈菜
吾子なくて空蝉いつまで机上なる 松本千恵女
唇の二枚を合はせ吹く空蝉 沼尻巳津子
囁きぬ空蝉のこと舟のこと 鳴戸奈菜
土くれを抱く空蝉のくらさかな 原裕 『王城句帖』
地上一尺に空蝉幽かなり 百合山羽公 寒雁
埃痩せして空蝉の溜まりけり 永田耕衣 葱室
夢の世にかかる執着空蝉は 斎藤慎爾(1939-)
天の川われを逐ひくるは空蝉か 齋藤愼爾
天気かな空蝉で翔ぶ翔びごころ 折笠美秋 虎嘯記
女の手に空蝉くだけゆきにけり 西東三鬼
妹が掌の空蝉燃やす夢のあと 齋藤愼爾
少年の机に地図と空蝉と 大木あまり 雲の塔
少年老い空蝉と目を合はせけり 山口正心
岩に爪たてて空蝉泥まみれ 西東三鬼
広島の空蝉を百ひろひけり 小川双々子
快楽のあとくらくなる空蝉よ 齋藤愼爾
愛染の身に空蝉は握られぬ 庄中健吉
手に置けば空蝉風にとびにけり 高浜虚子
拾ひたる空蝉指にすがりつく 橋本多佳子
拾ひ上げし空蝉に昼のかすかかな 中島月笠 月笠句集
掃苔の垣に空蝉のこしたる 皆吉爽雨 泉声
掌の中に空蝉爪を立つる軽さ 原田種茅 径
旧姓といふ空蝉に似たるもの 辻美奈子
明けのゆめ空蝉ばかり踏みさうな 澁谷道
月日過ぎ易く空蝉の爪に泥 高澤良一 素抱
机上に風起ちて空蝉吹き転がす 高澤良一 素抱
森閑とこの空蝉の蝉いづこ 福永耕二
母の忌の空蝉を母と思ひ初めし 中村苑子
汝等まろき脂ぎつたる空蝉よ 草田男
火の国の空蝉高くとまりけり 大石雄鬼
無為にしてひがな空蝉もてあそぶ 川端茅舎
爪たててゐる空蝉を剥がしけり 永田耕一郎 雪明
父の忌の空蝉なれば掌につつむ 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
父の忌の空蝉母の忌の螢 齋藤愼爾
父の木とよぶ空蝉があまたの木 折原あきの
現し世に空蝉といふもの残し 柏崎夢香
目に見えぬ程の雨ふる空蝉に 高澤良一 素抱
眼を縦にして空蝉の中おもふ 大石雄鬼
神の手の触れ空蝉のふと動く 小泉八重子
空蝉が散つて疲れてならぬなり 齋藤玄 『雁道』
空蝉が見てをり天のさみしさを 徳永山冬子
空蝉とHOPE机上に昼闌けぬ 高澤良一 素抱
空蝉となりても登る爪かけて 照敏
空蝉となるまでなくを仕事かな 乙州 俳諧撰集「有磯海」
空蝉にあるはづもなき砂の音 大木孝子
空蝉にかき附かれたる寂しさよ 永田耕衣 冷位
空蝉にこころふたつよ相寄らず 稲垣きくの 牡 丹
空蝉にして飛ぶこころあるごとし 八染藍子
空蝉にしばらくありし雷神 齋藤玄 飛雪
空蝉にひとしき人生吹けばとぶ 阿部みどり女 『石蕗』
空蝉に入らむと待てる空気哉 永田耕衣(1900-97)
空蝉に呆け雷とどきけり 下村槐太 光背
空蝉に問ひかけてゐる別の我 高澤良一 素抱
空蝉に天の一刀過誤もなし 橋本榮治
空蝉に山の風来て充満す 徳永山冬子
空蝉に水のやうなる風が吹く 阿部みどり女 『笹鳴』
空蝉に翅を収めし突起かな 日原傳
空蝉に肉残り居る山河かな 永田耕衣(1900-97)
空蝉に艶といふものありにけり 鈴木貞雄
空蝉に草の匂ひのありにけり 仙田洋子 雲は王冠
空蝉に蝉のかなしみ残りけり 林 翔
空蝉に跼みても御墓ひくかりき 能村登四郎
空蝉に雨水たまり透きとほる 篠原梵 雨
空蝉に静かな水位ありにけり あざ蓉子
空蝉のあり処たしかめ凭る机 稲垣きくの 牡 丹
空蝉のいづれも力抜かずゐる 阿部みどり女 『陽炎』
空蝉のかけらも入るらむ長寿薬 高澤良一 素抱
空蝉のからくれないに砕けたり 間石
空蝉のこだま綴りし少年期 齋藤愼爾
空蝉のこはれゆく日に立会ひし 吉田汀史
空蝉のごとく服脱ぐ背を開けて 加藤三七子
空蝉のごと縋りゐしもの虚し 稲垣きくの 牡 丹
空蝉のしかと火薬庫抱きおり 中村和弘
空蝉のしがみついたり草箒 森無黄
空蝉のしがらみほどき遣りにけり 高澤良一 素抱
空蝉のしつかと地球つかんでいる 大木石子
空蝉のすがりてかろき青木賊 麦南
空蝉のすぐに火となる秋炉かな 大木あまり 火球
空蝉のすこしよぢれてをりにけり 京極杞陽
空蝉のすずなりの木を恐れけり 糸山由紀子
空蝉のそびらに空の入りけり 大原千鶴子
空蝉のたましひはまだ殻の中 大岩里子
空蝉のちからの脚に地の月日 宇多喜代子
空蝉のなかあはあはと風が吹く 鍵和田釉子
空蝉のなかにも水のひろがりて 阿部青鞋
空蝉のなほ苦しみを負ふかたち 鷹羽狩行 五行
空蝉のばらばらなるへ俯ける 中田剛 竟日
空蝉のひとつひそかに山の日日 稲垣きくの 黄 瀬
空蝉のふんばつて居て壊れけり 前田普羅
空蝉のまだ濡れてゐる羽化曇 宮下十一
空蝉のまろべば紙の音すなり 清之介
空蝉のもはらに青き萩このむ 篠田悌二郎 風雪前
空蝉のやがて忘らる机の上 高澤良一 素抱
空蝉の一つが見えてあまた見ゆ 岩田由美
空蝉の一もつもなき胸のうち 浅井千代子
空蝉の一太刀浴びし背中かな 野見山朱鳥(1917-70)
空蝉の三つまですがる垣戸かな 秋櫻子
空蝉の両眼濡れて在りしかな 河原枇杷男(1930-)
空蝉の中も夕映母の国 今井聖
空蝉の人には告げぬ方途かな 沼尻巳津子
空蝉の今抜けし色濡れてをり 臺 きくえ
空蝉の内側に日の当たりをり 正木浩一
空蝉の双掌掴みに高野槇 角川春樹 夢殿
空蝉の反り身にかかふ石祠 梅澤朴秀
空蝉の号泣の爪立てゐたる ほんだゆき
空蝉の吹かるる杜国住居趾 関森勝夫
空蝉の埃除らんと七年経つ 永田耕衣 人生
空蝉の声上げて背破れしや 後藤比奈夫 花びら柚子
空蝉の威をくづさずにあはれなり 阿部みどり女
空蝉の完全なるをしばらく飼ふ 桑原三郎 晝夜 以後
空蝉の宝庫と巡る興半ば 高澤良一 素抱
空蝉の寝墓にあるはあらしめよ 下村ひろし
空蝉の捨身何飼ふ磯長墓 安東次男 昨
空蝉の桑に吹かるる虫送り 黒沢宗三郎
空蝉の死して落たり樹下の帽 会津八一
空蝉の残る力を欲しと思ふ 片山由美子 水精 以後
空蝉の水より迅く流れけり 月二郎
空蝉の泪のいろに白日は 斎藤梅子
空蝉の涙の如き眼かな 上野泰
空蝉の温泉窓に遠く午下り 飯田蛇笏 椿花集
空蝉の点々森の広さかな 稲畑廣太郎
空蝉の無明の眼背を裂かれ 福田蓼汀
空蝉の爪のくいこむ被爆の木 助田素水
空蝉の爪のなかなか縋るなる 富安風生
空蝉の爪の先までがらんどう 永江哀紅糸
空蝉の爪先少し焦げてをり 高澤良一 素抱
空蝉の爪立て思ひぬけてをり 中川須美子
空蝉の琥珀を抜けし翡翠かな 五島高資
空蝉の生きて歩きぬ誰も知らず 鷹女
空蝉の生き~と幹掴みをり 徳永球石
空蝉の目の見るものをおそれけり 平井照敏 天上大風
空蝉の眼に泥や乾きたる 小澤實
空蝉の眼より暗きものありや 齋藤愼爾
空蝉の眼窩に光のこりけり 松山足羽
空蝉の着く木々闇をまとひ来る 原裕 葦牙
空蝉の空部屋貸してくれないか 滝口明男
空蝉の立ち端も知らず碁打共 梧胡 俳諧撰集「藤の実」
空蝉の結婚式の靴がない 攝津幸彦
空蝉の縋りしかたちして置かる 稲垣きくの 黄 瀬
空蝉の縋れる枝の折れゐたり 辻田克巳
空蝉の縋れる草は引かず置く 相馬沙緻
空蝉の背にひとすぢの糸のくづ 三嶋 隆英
空蝉の背にひびく風遙かより 坂本山秀朗
空蝉の背に刻めるは梵字とも 高澤良一 素抱
空蝉の背の一太刀の深かりき 塚田文
空蝉の背の裂け目より縷の如きもの 中田みづほ
空蝉の背中に冷気残りをる 窪田英治
空蝉の背割れ激流とぞ思ふ 小川双々子
空蝉の胸を抱へて草の上 島田藤江
空蝉の脚のつめたきこのさみしさ 成田千空 地霊
空蝉の脚の確かさ眼の確かさ 比奈夫
空蝉の腹にさし込む夕日哉 野崎柴兮
空蝉の興はや失せて掌に残る 高澤良一 素抱
空蝉の谺とならず谿昏れる 山田晴彦
空蝉の貫き通す初一念 高澤良一 鳩信
空蝉の身の透くばかり恋着す 稲垣きくの
空蝉の身を立てとほす朝の光げ 原裕 『王城句帖』
空蝉の軽さはみだすてのひらや 稲葉直
空蝉の透きとほる死のうらやまし 稲垣きくの 牡 丹
空蝉の透けて夕焼濃くなりぬ 内藤吐天 鳴海抄
空蝉の鋼の脚のとこしなへ 高澤良一 素抱
空蝉の鎧兜の泥まみれ 鷹羽狩行 十友
空蝉の開きし背に虚空あり 山本歩禅
空蝉の阿鼻叫喚や厳島 飴山實(1926-2000)
空蝉の雨ため草にころげけり 阿部みどり女 『陽炎』
空蝉の露に日の矢のきらめきて 眞鍋呉夫
空蝉の頻にありて蛇は木に 下村槐太 天涯
空蝉はあかるい雨の一農夫 栗林千津
空蝉はまだ笑い声残しをり 黒田肇
空蝉は命離して透きとほり 坂巻純子
空蝉は胎児の容千年樹 伊丹さち子
空蝉は風の重さとなりにけり 田中良一
空蝉ばかり仏壇巨大なる村は 林唯夫
空蝉へ神父の口より祝祷洩る 田川飛旅子 花文字
空蝉へ移す情など日の高し 河野多希女 月沙漠
空蝉ほど全き殻を脱ぎたしや 花谷和子
空蝉も墓も夏草隠りかな 小林康治 玄霜
空蝉も蝉も入れられ一つ籠 高澤良一 素抱
空蝉やあの世へ行きてなほ生きむ 藤本保太
空蝉やある時なにもかもがみえ 木内怜子
空蝉やひるがへる葉にとりついて 素十
空蝉やまだやはらかき眼の凹み 渡辺乃梨子
空蝉やまなこに魂残し置く 松せい一
空蝉やよぢのぼりたる枝を抱き 池内たけし
空蝉や不吉のぞかす背の割れ目 成瀬桜桃子 風色
空蝉や不幸に重さのありとせば 齋藤愼爾
空蝉や予後のいのちの軽さとも 早崎明
空蝉や凡日にして午後長し 米澤吾亦紅
空蝉や千手仏にもあそびの手 奥野昌子
空蝉や夕景といふ白きもの 夏井いつき
空蝉や妻に肩借す寺の階 原 石水
空蝉や家をめぐりて水の音 岸田稚魚 筍流し
空蝉や山河にもどる朝のいろ 大嶽青児
空蝉や巌の湿り近うして 依光陽子
空蝉や愛情の機微埋めたくなる 河野多希女 彫刻の森
空蝉や旅の浴衣を袖だたみ 岡田貞峰
空蝉や日昏れてとほき父母のくに 平田繭子
空蝉や松の天辺すがりつく 植田都甫
空蝉や死海を越えて来し便 白井久雉
空蝉や残ると思う背の痛み 外山恒吉
空蝉や潰えて墓のわかちなし 石川桂郎 高蘆
空蝉や熊野懐紙の王子あと 黒田櫻の園
空蝉や聯隊の樹の刻みし名 飯塚すなお
空蝉や背割れ八月十五日 河野南畦 『元禄の夢』
空蝉や芙蓉落ちたる音閑か 渡邊水巴 富士
空蝉や草のそよぎを落むとす 野村喜舟 小石川
空蝉や葦吹く風も父祖の郷 石塚友二 光塵
空蝉や触るも惜しき年埃 永田耕衣 人生
空蝉や諭吉旧居の深廂 宮原双馨
空蝉や遁げつ坂逼ふおのが影 石塚友二 方寸虚実
空蝉をおしろい匂ふ抽斗に 波多野爽波 『一筆』以後
空蝉をつぶす壊れぬものが欲し 伊藤トキノ
空蝉をとらんと落す泉かな 飯田蛇笏 山廬集
空蝉をのせて銀扇くもりけり 魚目
空蝉をひろふ流人の墓ほとり 林火
空蝉をみつけて仕事着の硬さ 渋谷道
空蝉を一つしじまにゐて醒めず 高垣美恵子
空蝉を入れし袋の落し物 茨木和生
空蝉を入れる器に空き菓子折 高澤良一 素抱
空蝉を呉れし丸山芸者かな 山内 傾一路
空蝉を妹が手にせり欲しと思ふ 誓子
空蝉を子が拾ふ手の女なる 後藤夜半
空蝉を恋の言葉のごとく置く 関戸靖子
空蝉を手にせりはるかなる想ひ 塚原夜潮
空蝉を手提に拾ひ一人旅 細見綾子 黄 炎
空蝉を拾い跡見る見損かな 永田耕衣 闌位
空蝉を拾ふのみなる気弱の子 駒沢たか子
空蝉を拾へば水の零れけり 柿本多映
空蝉を指にすがらせ餉の祷り 子郷
空蝉を机上に置いて散歩果つ 高澤良一 素抱
空蝉を林のみちに拾ひけり 高橋淡路女 梶の葉
空蝉を燃し地の涯を照しけり 津久井理一
空蝉を硝子の仲間に加へけり 岩淵喜代子
空蝉を置いて白紙に翳り生む 鍵和田[ゆう]子
空蝉を置きてピアノに土こぼる 鷹羽狩行
空蝉を置けばヨブ記のヨブの声 長田等
空蝉を蒐めたる手や若からず 山田みづえ 木語
空蝉を見るにも星の別れかな 松岡青蘿
空蝉を見る妻の瞳のうるむなり 杉山岳陽 晩婚
空蝉を集めて深山暮らしかな 林桂 ことのはひらひら 抄
空蝉を頒つ太郎の掌次郎の掌 佐野まもる
空蝉を風に拾ひし近江かな 金久美智子
空蝉を風の中にていつくしむ 山口誓子
空蝉を飛ばしかずかず盆の道 斎藤玄 雁道
空蝉ハ 果シテ 風ノ 呪文トナレリ 富澤赤黄男
空蝉ハ果シテ風ノ呪文トナレリ 富澤赤黄男
箒とめて空蝉はがす詩を待つごと 赤城さかえ句集
経蔵の壁に空蝉白峰寺 一宮半月
羅の身より空蝉こぼしたり 齋藤愼爾
翔たしめても祈りの眼もつ空蝉は 榎本嵯裕好
聾に掌の空蝉の鳴きくれし 安川喜七
腑分け図のごとく詳しく空蝉描く 高澤良一 素抱
草のぼりつめ空蝉となりゐたり 藤崎久を
葉さやぎや空蝉すがる葉も見えて 八木絵馬
薔薇園の薔薇に縋りし空蝉よ 原田青児
螢・蝶・空蝉この世に遅れ着く 齋藤愼爾
街空のチヤイム空蝉雨溜めて 木村蕪城 寒泉
襖しめて空蝉を吹きくらすかな 飯島晴子
遠く行くときは空蝉にかぎる 永末恵子 留守
銀の空蝉かさね秤るかな 山本掌
閑かさや空蝉は粒ぞろいにて 渋谷道
風遊ぶまろぶほかなき空蝉に 渡邊千枝子
かけ出しのころの一句や蝉の殻 鈴木丈司
この蝉殻しんから欲しきものならず 山西雅子
たれかれのうわさ過ぎゆく蝉の殻 小池万里子
井月の村きさらぎの蝉の殻 宮坂静生
今生といふはいま蝉殻を脱ぐ 三森鉄治
入院や木椅子にすがる蝉の殻 石田あき子 見舞籠
吹きふきて蝉の殻ふくや秋の風 中勘助
天地の間にかろし蝉の殻 松瀬青々
子規の碑にまだ柔らかき蝉の殻 天野滋子
尻込をする児に持たせる蝉の殻 東 久子
屈葬を諾ふごとく蝉の殻 轍郁摩
手の空や蝉殻の空風が過ぐ 櫛原希伊子
日本海早立ちの背に蝉殻一つ 金子兜太
明け白み梢々の蝉の殻 中田剛 珠樹以後
梢よりあだに落ちけり蝉の殻 松尾芭蕉
欲のある人にみせばや蝉の殻 野澤羽紅女
治安悪しよ我ががらくたに蝉の殻 石田順久
真白な壁の途中に蝉の殻 岩田由美
端居して角力はせてみる蝉の殻 三好達治 路上百句
蝉の殻だれにも見せずつまらなく 行方克巳
蝉の殻ちひさきものは艶なりし 中田剛 珠樹以後
蝉の殻拾ふも捨つもふたつ指 佐藤鬼房 朝の日
蝉の殻掌にとれば光はげしき眼 原コウ子
蝉の殻朝日射しきて透きとほる 野田 武
蝉の殻流れて山を離れゆく 敏雄
蝉の殻背から壊れてゆきにけり 中田剛 珠樹以後
蝉よりも生き長らへて蝉の殻 大木あまり 火球
蝉殻がひとつ坂崎出羽の墓 奥村比余呂
蝉殻をぬぐや信濃の桑畑 樋笠文
蝉殻を出づるに身を磨滅して 齋藤愼爾
蝉殻を割れば星空響き合う 田村勝実
蝉殻を溜めて姉弟のちぎりとす 原コウ子
蝉殻を見つけオーイと男親 池田澄子
覚えなき山川蝉の殻流れ 齋藤愼爾
躓ける恰好のまま蝉の殻 後藤夜半 底紅
身に覚えなき夢に似て蝉の殻 鎌倉佐弓 水の十字架
釣床や蝉の殻など振ひけり 三島霜川
露葎まだやはらかき蝉の殻 竹代
青春の過ぎにしこころ蝉の殻 福島清恵
風わづかに石の上なる蝉の殻 尾崎紅葉
風雨二日経て褐色の蝉の殻 中田剛 珠樹
うつせみのあまたつめたき木立かな 中田剛 珠樹
うつせみのおのれつまづく手飼かな 安東次男 昨
うつせみのすでに雫のみどりかな 中田剛 珠樹
うつせみの爪するどしと記しおく 中田剛 珠樹以後
うつせみや一切空の石舞台 渡辺恭子
またの名をうつせみ寺に詣でけり 久保田万太郎 草の丈
拾ひ来しうつせみ卓におきしのみ 安住敦

以上
by 575fudemakase | 2015-07-31 07:28 | 夏の季語 | Trackback | Comments(1)
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Commented by 春日 at 2017-07-09 00:56 x
空蝉…に因んで一句です、

空蝉や薄墨色の背は誘ふ


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
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例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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