初冬の俳句

初冬の俳句

昨日(11月25日)は昼夜の温度差が10度もあった。
こうなると初冬到来の実感がひしひしである。

例句を挙げる。

あたたかく生きて初冬の夏帽子(中村草田男氏) 細見綾子
あたたかな冬のはじめや樫に雨 藤田あけ烏 赤松
かつて母の癒えし初冬の海痛し 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
きよらかに川がありけり冬はじめ 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
ことば迅き少女の沼に冬はじめ 柚木紀子
こもりくに箜篌(くど)の音聴けり冬はじめ 鈴木しげを
しのび寄るひかりと影と初冬かな 中山純子 沙羅
すがれたる菊に初冬の塀高し 阿部みどり女 笹鳴
つまさきの初冬の木の葉父母在さず 阿部みどり女
つまみ菜の汁かんばしや冬はじめ 松瀬青々
はつ冬の丹波木綿を重く着る 中山純子
はつ冬や太白といふさつまいも 久保田万太郎 草の丈
はつ冬や我が子持ちそむ筆硯 飯田蛇笏 山廬集
はつ冬や戸ざし寄せたる芳野殿 黒柳召波 春泥句集
はつ冬や空へ吹かるゝ蜘のいと 召波
はつ冬や萬年青の銘の翁丸 久保田万太郎 流寓抄以後
ひと筋の潮目や越の冬はじめ 六本和子
をさめの子初冬生れきし目鼻だち 中山純子 沙 羅以後
ガス灯透き初冬へのびる握手の手 和田悟朗
コアラは初冬のユーカリの葉をよく噛んで 高澤良一 鳩信
ハミングに黒人霊歌冬はじめ 井沢正江 湖の伝説
ペレストロイカ ミルク初冬の喉に白し 国 しげ彦
一刹那初冬の鳶の影浴びぬ 高澤良一 宿好
一木を断つと初冬の天に告ぐ 川島喜由
三ケ月は*かりんの匂ひ冬はじめ 斉藤 節
丹後峰山鏡を隠す冬はじめ 宇多喜代子 象
今戸焼の狸腹を出し冬浅く 長谷川かな女 花寂び
佐久鯉や初冬をたぎる八岳の水 栗生純夫 科野路
八つ手打つ雨に初冬の韻きあり 高澤良一 燕音
冬のはじめ歳のをはりの綱の束 竹中宏 句集未収録
冬はじめ捨つべきものを捨て始む 三浦美知子
冬はじめ男のシャツを買ひ足して 斉藤淳子
冬はじめ雲の行方を子がたづね 上田日差子
冬浅き畳にひろぐ肌着類 高澤良一 随笑
冬浅し曲りてもまた海鼠壁 芝山吉宣
冷静に生き曖昧に初冬に亡く 竹中宏 句集未収録
出没のすばやき洩瓶冬はじめ 赤松[ケイ]子
初冬てふ言葉重たくありにけり 小川竜雄
初冬と詠みてさびしさゆゑ知らず 富安風生
初冬なほ紅葉に遊ぶ人等かな 高濱年尾
初冬の「吉原」と云ふ小著読む 長谷川かな女 花寂び
初冬のけはひにあそぶ竹と月 原裕 青垣
初冬のこゝろにたもつ色や何 原コウ子
初冬のすでに膝まで没しきて 平井照敏 天上大風
初冬のつくりごと書く筆軽し 龍胆 長谷川かな女
初冬のなまじ日を得し波淋し 西村和子 窓
初冬のわが影を置く水の上 朔多 恭
初冬の一ひらの雲いゆき鳴る 篠原梵 雨
初冬の二階堂より長谷へ晴れ 長谷川かな女 牡 丹
初冬の人かたまりて来りけり 細川加賀 生身魂
初冬の大塵取に塵少し 阿部みどり女 笹鳴
初冬の好日欅一樹立ち 松村蒼石 雁
初冬の尾花にきらふ夕日かな 古白遺稿 藤野古白
初冬の庭に筧や二尊院 五十嵐播水 播水句集
初冬の引堀靄を育てをり 有働亨 汐路
初冬の徐々と来木々に人に町に 星野立子
初冬の旅朝焼の紅濃ゆく 柴原保佳
初冬の月痕まざと奥黒部 有働亨 汐路
初冬の月裏門にかかりけり 正岡子規
初冬の柿猶保つ谷の家 青嵐
初冬の水平線のかなたかな 角谷幸子
初冬の浄土びかりす熊野灘 福田甲子雄
初冬の海を鏡に子の読書 原和子
初冬の炉櫨の実買ひのおとなひぬ 西島麦南 人音
初冬の狐の聲ときこえたり 泉鏡花
初冬の眼しぶくてみちのくは 榎本愛子
初冬の竹緑なり詩仙堂 鳴雪俳句集 内藤鳴雪、松浦爲王編
初冬の粟殻積むや櫨のもと 西島麦南 人音
初冬の膝に羽織を仮だたみ 阿部みどり女
初冬の苔うすうすと鐘の下 岸本尚毅 鶏頭
初冬の苔枯れ寂びぬ光悦寺 龍胆 長谷川かな女
初冬の萩も芒もたばねけり 正岡子規
初冬の袖垣青き露天風呂 越智協子
初冬の道伸びゆけば善光寺 廣瀬直人
初冬の鋪道の石は欠けしまま 今泉貞鳳
初冬の門広し兵の執る箒 楠目橙黄子 橙圃
初冬の障子に近く心足る 椎橋清翠
初冬の雲に芒の小諸城 高田蝶衣
初冬の雲灰色に沖の方 桑村竹子
初冬の音ともならず嵯峨の雨 石塚友二
初冬は遠語部の涙壷 栗林千津
初冬やあざやかなるはももの芯 山口青邨
初冬やこの子薄著にしつけむと 河野扶美
初冬やこゝに移して椅子に倚る 松藤夏山 夏山句集
初冬やどこに立ちても見ゆる滝 星野立子
初冬やぴんと張りたる袖たもと 橋本鶏二 年輪
初冬やシャベルの先の擦り切れて 山口誓子
初冬や仮普請して早住めり 高浜虚子
初冬や僧堂めぐる水速し 井上雪
初冬や兵庫の魚荷何々ぞ 黒柳召波 春泥句集
初冬や利根の田舎の汽船着場 小杉余子 余子句選
初冬や南蛮といふ辛きもの 野村喜舟 小石川
初冬や吉田の里に移り住み 山田三子
初冬や向上の一路まだ開かず 夏目漱石 明治二十九年
初冬や少し熱しと野天風呂 高橋淡路女 梶の葉
初冬や山の鴉は紫に 野村喜舟 小石川
初冬や川添ひ行くに水は樹は 尾崎迷堂 孤輪
初冬や年忌の汁に顔うつり 大峯あきら
初冬や庭に加ふる海の石 神尾久美子 桐の木
初冬や庭木にかわく藁の音 室生犀星
初冬や御所のかはらけ焼く在所 四明句集 中川四明
初冬や心肥えたる般若経 野村喜舟 小石川
初冬や悠紀主基の宮の木香高く 四明句集 中川四明
初冬や日和になりし京はづれ 蕪村 冬之部 ■ 人人高尾の山ぶみして一枝の丹楓を贈れれり、頃ハ神無月十日まり、老葉霜にたえず、やがてはらはらと打ちりたる、ことにあハれふかし
初冬や日影藪漏る寺の椽 古白遺稿 藤野古白
初冬や本めいせんの旅衣 松瀬青々
初冬や涙のごとき雲流れ 岸秋渓子
初冬や渋谷の人出よそよそし 湯川雅
初冬や灯明りに拝む厨子の像 滝井孝作 浮寝鳥
初冬や石油で洗ふ絵の具筆 栗林千津
初冬や空へ吹かるゝ蜘の絲 召波
初冬や竜胆の葉の薄もみぢ 松本たかし
初冬や童はつゝそでをぴんと張り 阿部みどり女 笹鳴
初冬や竹伐る山の鉈の音 夏目漱石
初冬や蘭に培ふ乾き砂 四明句集 中川四明
初冬や行李の底の木綿縞 細見綾子 花寂び
初冬や訪はんとおもふ人来り 蕪村
初冬や訪はんと思ふ人来ます 與謝蕪村
初冬や貧しき御器も買ひ足して 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
初冬や野の朝はまだ草の露 尾崎迷堂 孤輪
初冬や野葡萄熟す藪の中 寺田寅彦
初冬や障子にうつるものゝかげ 小澤碧童 碧童句集
初冬や障子のうちの晴曇 増田龍雨 龍雨句集
初冬や青きは鳥の麦畠 野村喜舟 小石川
初冬や髭剃りたての男振 尾崎紅葉
初冬や鳥屋が近き鶏の声 小澤碧童 碧童句集
初冬や鶲は崖を鳴きこぼれ 野村喜舟 小石川
初冬晴九輸の尖の尖まで塔 川島千枝
前垂の手織木綿の冬始まる 草間時彦 櫻山
句碑の面にしばしとどまる初冬の日 細見綾子 黄 炎
只の顔して冬のはじめのほとの神 森澄雄
吾娘と来て初冬の湯に寛げり 深川正一郎
哀しき眸わづか初冬の灯に笑めり 石塚友二 方寸虚実
地下鉄に冬のはじめのねずみの眼 桜井博道 海上
城を仰ぎ川を眺めて冬はじめ 河野友人
山よりも低く初冬の虹立ちて 阿部静江
山房に鳩の籠り音冬初め 深谷雄大
山頂に羽虫とぶ日の冬はじめ 篠田悌二郎
師と歩む初冬青空眼に尽きず 野澤節子 黄 炎
帯ほどの浅き流れに初冬の日 阿部みどり女
建売りの看板目立つ冬はじめ 天野美代子
惜別や初冬のひかり地に人に 赤城さかえ句集
我が影の遠く初冬の砂丘かな 池田 歌子
托鉢の駅頭に立つ冬初め 西村和江
掌をあてて言ふ木の名前冬はじめ 石田郷子
暁紅の海が息づく冬はじめ 佐藤鬼房
朝凪の帆のももいろに冬はじめ 柴田白葉女
木曾の旅終へし夫に初冬かな 長谷川かな女 雨 月
木村雨山の坐り姿の初冬なる 細見綾子 黄 炎
柳川の初冬の朝の舟だまり 星野立子
櫨をとる子の舟泛ぶ初冬かな 飯田蛇笏 春蘭
母の彳つ高さを冬のはじめとす 長谷川双魚 『ひとつとや』
流木にボールトのある冬のはじめ 加倉井秋を 『隠愛』
浅草の初冬ひからぬものは見ず 寺田京子 日の鷹
浪々のふるさとみちも初冬かな 飯田蛇笏 霊芝
淋しさもぬくさも冬のはじめ哉 正岡子規
渡り鳥渡りつくせり初冬蚕 栗生純夫 科野路
湯にゆくと初冬の星座ふりかぶる 石橋秀野
火を焚きし人より暮るる冬はじめ 高島つよし
瓜人先生帽子ひよろりと冬はじめ 山田みづえ
生きるの大好き冬のはじめが春に似て 池田澄子
百幹の松に初冬の縄ごろも 小宮山勇
石棺の蓋濡れ色に冬浅し 河原芦月
福助の面テ起こせる冬はじめ 高澤良一 ぱらりとせ
稚魚さへや鰭美しき冬はじめ 布施伊夜子
粥煮ゆるやさしき音の冬はじめ 和田祥子
紺絣冬の初めの音立てぬ 原田喬
紺足袋の女も冬の初めかな 大谷句佛 我は我
肘突きの成りし五彩や冬初 小澤碧童 碧童句集
芝踏めば土の応へや冬初め 小川軽舟
苫舟も初冬らしきけぶりかな 井上井月
萩からげて初冬の庭となりにけり 阿部みどり女 笹鳴
落柿舎の初冬の水を呑めとこそ 青木重行
蛍光灯唄ふごと点き冬浅し 藤田湘子
裁ち屑の彩に手をつき冬はじめ 長谷川双魚 風形
記憶とはおぼつかなくも美保初冬 高木晴子 花 季
赤楽のおもみも冬のはじめかな 鷲谷七菜子
身のうちにひとつの火種冬はじめ 丸山哲郎
連立ちてパリの初冬に身繕ひ 沼尻巳津子
週刊誌手に初冬の海の駅 原田喬
長き冬始まる農夫馬車をかる 高木晴子 花 季
雲動き初冬の日ざしこぼしけり 稲畑汀子
頭刈つてさぶし鐘つく初冬なり 中山純子 沙羅
飛行雲ほうけ流るる初冬かな 三好 菊枝
鯉の尾の弾みずしんと冬はじめ 星野紗一
鵜の礁に鵜がきていつも冬初め 永井一穂
鵯の青の法師の冬始め 八木林之介 青霞集
鶏むしる面けむたき冬はじめ 八重津苳二
麹の香初冬の宵を早めけり 高澤良一 燕音

初冬 補遺

あたたかく生きて初冬の夏帽子(中村草田男氏) 細見綾子
つみこまれ送られどこへゆく初冬 平井照敏
ときに青冴え追分の冬はじめ 佐藤鬼房
ほのかなるほゝゑみに会ふ初冬かな 細見綾子
みちのく初冬川の蒼額(あおぬか)人の無言(しじま) 金子兜太
伎芸天ほの初冬の光格子より 山口青邨
内海型の顔の鴎よ初冬の神戸 金子兜太
冬はじめ投函の六時真暗に 山口誓子
冬はじめ水瓶さげし指しなひ 細見綾子
冬はじめ青むらさきに七つ森 山田みづえ まるめろ
冬始まる楝の森はひとり過ぐ 安住敦
冬浅き数日机上なにも置かず 橋閒石
冬浅き湯の山椿花もたず 橋閒石
冬浅き空へ赫土山尖る 橋閒石 雪
冬浅し伊豆韮山のどこもここも 星野麥丘人
初冬なり詞華に山茶花咲くことも 金子兜太
初冬なる石垣島のもづくの香 細見綾子
初冬に何の句もなき一日かな 正岡子規 初冬
初冬のきたなき読書扇かな 前田普羅 普羅句集
初冬のけはひにあそぶ竹と月 原裕 青垣
初冬のすでに羽子うつ音すなり 原石鼎 花影
初冬のすでに膝まで没しきて 平井照敏 天上大風
初冬のともしび恋ふる松林 廣瀬直人 帰路
初冬のひつじ田みどり衰へず 高濱年尾
初冬のふたたび赤きカンナかな 三橋鷹女
初冬の一ひらの雲いゆき鳴る 篠原梵 年々去来の花 雨
初冬の初の字ここにしておもふ 細見綾子
初冬の単機こえゆく白根嶽 飯田龍太
初冬の友の忌きのふけふに過ぎ 村山古郷
初冬の好日欅一樹立ち 松村蒼石 雁
初冬の安楽椅子に埋もるる 日野草城
初冬の家ならびけり須磨の里 正岡子規 初冬
初冬の家成つて壁いまだつかず 正岡子規 初冬
初冬の富山に来たり恩師の地 村山古郷
初冬の屋根に生ひける草知らぬ 伊丹三樹彦
初冬の山の子が帯ぶ紅きもの 橋閒石
初冬の嶺澄みて世の讐意去る(木の宮山荘にて) 飯田龍太
初冬の徐徐と来木木に人に町に 星野立子
初冬の新宅の壁はまだつかず 正岡子規 初冬
初冬の日向に生ふる鶏頭かな 村上鬼城
初冬の月裏門にかゝりけり 正岡子規 冬の月
初冬の栗林抜け小買物 細見綾子
初冬の植木に交り芙蓉の実 右城暮石 句集外 昭和三年
初冬の水黒し見てをれば動く 橋閒石 朱明
初冬の浪花女の黒襟や 村山古郷
初冬の浮葉銹びたり浄瑠璃寺 石塚友二 磊[カイ]集
初冬の海向いて居る鳥居かな 内藤鳴雪
初冬の炉櫨の実買ひのおとなひぬ 西島麦南 人音
初冬の空の蒼さを瞼にす 橋閒石 雪
初冬の空や天守の屋根の反り 村山古郷
初冬の竹緑なり詩仙堂 内藤鳴雪
初冬の粟殻積むや櫨のもと 西島麦南 人音
初冬の糺へ歸る禰宜一人 正岡子規 初冬
初冬の萩も芒もたばねけり 正岡子規 初冬
初冬の葉は枯れながら菊の花 正岡子規 初冬
初冬の蘇鉄は庭の王者かな 尾崎放哉 大学時代
初冬の錦帯橋に瀬音聞く 高濱年尾
初冬の音ともならず嵯峨の雨 石塚友二 磊[カイ]集
初冬の髭おとしたる道化かな 橋閒石 微光以後
初冬の鴉飛ぶなり二見潟 正岡子規 初冬
初冬の黒き皮剥くバナゝかな 正岡子規 初冬
初冬やあざやかなるはものの芯 山口青邨
初冬やどこに立ちても見ゆる滝 星野立子
初冬やシャベルの先の擦り切れて 山口誓子
初冬やジャム煮る鍋を買ひに来る 細見綾子
初冬や一ト臼搗きし夜明前 村山古郷
初冬や元伊勢に敷く伊勢の砂 阿波野青畝
初冬や地ひびきのして夜の雷 細見綾子
初冬や地を荒き時過ぎゆくも 高屋窓秋
初冬や垂るる実赤く飛ぶ絮白く 山口青邨
初冬や夕月かかる御霊屋に 川端茅舎
初冬や大竹藪に陽こもりて 日野草城
初冬や太藺大弓なしてみどり 山口青邨
初冬や妻の遊びの茶碗蒸 草間時彦
初冬や引きずり上げる葦の束 廣瀬直人
初冬や手ざはり寒き革表紙 日野草城
初冬や濡縁におく畑のもの 山口青邨
初冬や竹の中なる柚一と木 川端茅舎
初冬や竹を浸せる瀬の荒び 村山古郷
初冬や竹富島の黒真珠 細見綾子
初冬や緋染紺屋の朝砧 村上鬼城
初冬や肩を打つたる加持の数珠 鷲谷七菜子 天鼓
初冬や行李の底の木綿縞 細見綾子
初冬を吉祥天の朱唇かな 細見綾子
前垂の手織木綿の冬始まる 草間時彦
力芝よきむらさきの冬はじめ 森澄雄
句碑の面にしばしとどまる初冬の日(能登曽々木に塩田句碑除幕) 細見綾子
哀しき眸わづか初冬の灯に笑めり 石塚友二 方寸虚実
培へば蚊帳吊は黄に冬はじめ 右城暮石 句集外 昭和十五年
大根を煮つゝそゞろに冬はじめ 山口誓子
幹をもて木々は寄り合ふ冬はじめ 林翔
幼子の爪切る音も初冬かな 飯田龍太
店にして林檎の艶や冬はじめ 森澄雄
手のひらに赤みのさして初冬かな 細見綾子
擂粉木の頭の白さ冬はじめ 鷹羽狩行
晩秋を初冬ヘ八ケ岳晴れて 細見綾子 虹立つ
智光曼荼羅のこれる金の初冬かな(奈良元興寺) 細見綾子
暗がりに卵たくはへ冬はじめ 鷹羽狩行
暾あたりて初冬の凪ぐ槻の膚 飯田蛇笏 家郷の霧
木に倚りて木の数かぞふ冬はじめ 岡本眸
木地師ゐて木の粉を散らす冬初め 桂信子 花影
木村雨山の坐り姿の初冬なる(加賀友禅無形文化財木村雨山さん) 細見綾子
東京を過ぎ去る旅の初冬かな 飯田龍太
柳川の初冬の朝の舟だまり 星野立子
桐畑に桐の木を挽く冬はじめ 岡本眸
櫨をとる子の舟泛ぶ初冬かな 飯田蛇笏 白嶽
水に透き初冬のさかなみな細身 桂信子 花影
波の端の咲きひろごれる冬はじめ 岡本眸
浪々のふるさとみちも初冬かな 飯田蛇笏
浪立つ冬初め膳所は低く湖のべ 中塚一碧楼
淋しさもぬくさも冬のはじめ哉 正岡子規 冬
湯にゆくと初冬の星座ふりかぶる 石橋秀野
漁師町初冬青首大根干す(出雲崎) 細見綾子
爪人先生帽子ひよろりと冬はじめ 山田みづえ 草譜
犬の子と人の子と初冬の道 高田風人子
玄室に女人のこゑや冬浅し 星野麥丘人
秋声碑の土塀初冬の松の影(金沢卯辰山) 細見綾子
老婆からにほひが流れ冬浅し 藤田湘子
藪の穂のさやぎひそかや冬はじめ 日野草城
赤富士のえんじ濃きまで初冬よ 細見綾子
足袋穿きて小鉤もかけず冬浅し 山口青邨
踏み石に苔青々と初冬なる 細見綾子
連歌師の碑や初冬の日ちりばめて(箱根早雲寺宗祇の碑、裏山に墓あり) 細見綾子
過ぎしかの日を瞼にし初冬なり 三橋鷹女
青鏃研ぐ素寒貧冬のはじめ 佐藤鬼房
風邪ひいて葛ねつて喰ふ初冬かな 細見綾子
高架潜りすぐ初冬の坂へかかる 橋閒石 雪
鯉おのが髭に親しみ冬はじめ 鷹羽狩行
鴨の子のひく波ひかる初冬かな 飯田龍太
鵯騒ぐ初冬の山深からず 橋閒石
鶺鴒の飛びゐる畑の冬初め 右城暮石 句集外 昭和四年
黒真珠しばし初冬の日の揺らぐ 細見綾子
鼓笛隊往く初冬の空は瑠璃 飯田龍太

以上
by 575fudemakase | 2015-11-26 07:23 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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