焼藷の俳句

焼藷の俳句

焼藷

例句を挙げる。

いつも来る浮羽訛の焼藷屋 牧 月耕
おでん焼藷えんぶりの尾にゐて寧し 小林康治 玄霜
ここと坐りて焼藷を食べはじむ 波多野爽波 『骰子』
ころがつて出る焼藷の黒だるま 辻田克巳
さいかちの月夜や灯る焼藷屋 渡辺水巴 白日
まだ起きてゐる灯に通る焼藷屋 佐藤冨士夫
ゆつくりと売声曳きて焼藷屋 立野もと子
カーブミラーに止まつてゐたり焼藷屋 大石雄鬼
ビル街に焼藷屋来て三時どき 井熊秀男
二人食ふ焼藷二人皮を捨つ 石川桂郎 高蘆
呼び止めるには遠くなり焼藷屋 遠藤千恵子
壮漢も貧し焼藷車押す 百合山羽公 寒雁
声途切れては遠ざかる焼藷屋 松尾緑富
旅人に焼藷売の来る埠頭 大橋敦子
橋わたる焼藷屋台犬ともなひ 草間時彦
焼藷と婆とほこほこ歩み来る 嶋田麻紀
焼藷に今日の談笑終りけり 碧雲居句集 大谷碧雲居
焼藷の乾漆二体焚火よリ 皆吉爽雨
焼藷の屋台も乗せて島渡船 大塚郁子
焼藷の湯気見てとほる東大寺 岸本尚毅 舜
焼藷の火を落したる清州橋 斉藤夏風
焼藷の灰のほとぼり山の国 大木あまり 雲の塔
焼藷の焦げ色粗辞で包む厚意 香西照雄 素心
焼藷の皮懇ろに剥かれたる 行方克巳
焼藷の破片や体を伝ひ落つ 波多野爽波 『湯呑』
焼藷の車に寒さつきまとふ 百合山羽公 寒雁
焼藷の車信号待ちとなる 稲畑汀子
焼藷の車車に先ゆづり 百合山羽公 寒雁
焼藷の釜の業火を街に引く 古舘曹人
焼藷の風呂敷包誰が持つ 星野立子
焼藷やけふの終りの患者診て 下村ひろし 西陲集
焼藷や娼婦に愁ひなきごとく 下村梅子
焼藷や曾て女給も純なりき 百合山羽公 寒雁
焼藷や月の叡山如意ケ嶽 日野草城
焼藷や此長兵衛と申者 八木林之介 青霞集
焼藷や空に大きく大師堂 岸本尚毅 舜
焼藷や詩心高きにおきにけり 山田弘子 こぶし坂
焼藷や髪二三本たちそよぐ 岸本尚毅 鶏頭
焼藷をひそと食べをり嵐山 波多野爽波 『湯呑』
焼藷をぽっかりと割る何か生れむ 能村登四郎
焼藷を二つに割つてひとりきり 西野文代
焼藷を英字新聞もて包む 久米惠子
焼藷を買はんと思ふ妻の留守 小西魚水
焼藷を買ひに出る籤引き当てし 山田弘子 こぶし坂
焼藷を買ひ宝くじ買つてみる 逸見未草
焼藷を買ふ三日月の出てをりし 加畑吉男
焼藷屋まだまだ遠くやきもきす 高澤良一 寒暑
焼藷屋も救世軍も風に呼ぶ 中村草田男
焼藷屋一の鳥居で笛鳴らす 塩川雄三
焼藷屋呼びとめ佛どのくらし 平井さち子
焼藷屋女マイクで流し来る 菊島 登
焼藷屋来てゐる午後の永田町 水田清子
焼藷屋柱燃やしてゐたりけり 大石雄鬼
焼藷屋津軽じよんがら流し来る 藤本朋子
焼藷屋煙も湯気も散りやすく 香西照雄 素心
焼藷屋真間の継橋渡り来る 鈴木貞雄
焼藷屋路地を曲がつてそれつきり 行方克巳
焼藷屋雀も頬に墨付けて 香西照雄 素心
焼藷屋頭蓋となりてこちら向く 田仲了司
焼藷熱し吾妻の指に指環なし 磯貝碧蹄館 握手
焼藷買ふ夜も作業衣の工女たち 伊東宏晃
角材に焔とろとろ焼藷屋 深見けん二 日月
鉤吊りに焼藷菩薩壷を出づ 皆吉爽雨
銭湯を出て焼藷を買うてゆく 上崎暮潮
顔上げて若者なりし焼藷屋 都筑智子
風の夜の風の連れ去る焼藷屋 飯田弘子
しばしまて僕焼芋を買はんとす 寺田寅彦
ふところの焼芋のあたたかさである 尾崎放哉
九体仏金色壺焼芋もきん 川崎展宏
土佐脱藩以後いくつめの焼芋ぞ 高山れおな
夜の雨の篠つく降りや焼芋屋 癖三酔句集 岡本癖三酔
女工区の可愛いい煙突焼芋屋 安良岡昭一
手のひらに焼芋熱し詩貧し 成瀬櫻桃子 風色
火の粉撒きつつ来るよ青年焼芋屋 山田みづえ 手甲
焼芋が冷めゆく人と話す間も 岩田由美
焼芋と白湯の香に立つ波郷亡し 原裕 葦牙
焼芋の固きをつつく火箸かな 室生犀星 魚眠洞發句集
焼芋の灯もまた易の灯も暗し 池田秀水
焼芋の釜の業火を街に引く 古館曹人
焼芋やいまはむかしのゆめばかり 久保田万太郎 流寓抄
焼芋やこのごろはまた釣に凝り 久保田万太郎 流寓抄
焼芋やばッたり風の落ちし月 久保田万太郎 流寓抄
焼芋や八坂神社の朱の鳥居 龍岡晋
焼芋や月の叡山如意ヶ嶽 日野草城
焼芋や焦土このかた煙あげ 百合山羽公 故園
焼芋や祭づかれの巫女つどひ 大島民郎
焼芋をかじる革命婦人かな 堺利彦 豊多摩と巣鴨
焼芋を二つに折れば鼻熱し 吹田孤蓬
焼芋を食うて自論を憚らず 富田潮児
焼芋を馬手に転ばせ風待てり 畠山あさみ
焼芋売り声通り抜け闇残す 金子潤
焼芋屋いづこにゐても鼓楼見ゆ 岩淵喜代子 螢袋に灯をともす
焼芋屋行き過ぎさうな声で売る 後藤立夫
焼芋屋裸参りの後につき 佐藤淑子
焼芋屋通りて闇を深くしぬ 樋笠文
焼芋屋通り授業の黙ゆるむ 樋笠文
町並のどこかにありぬ焼芋屋 高濱年尾 年尾句集
病院の出口はや暮れ焼芋屋 中村明子
詩貧し掌に焼芋の熱さのせ 成瀬櫻桃子
九体仏金色壺焼芋もきん 川崎展宏
壷焼の壷傾きて火の崩れ 鳴雪
壷焼や炭火に並ぶ人の顔 温亭句集 篠原温亭
壺焼の壺にふる雪噴かれけり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
壺焼の尻焦げ抜けてゐたりけり 茨木和生 丹生
壺焼の火明り過ぎし馬車の窓 宮武寒々 朱卓
ほほえんで大学芋が糸を引く 永末恵子 留守
ネロの業火石焼芋の竃に燃ゆ 西東三鬼
星がともだち石焼いもを石から掘り 中島斌雄
曳売雑貨屋石焼芋を餉としたり 鈴木栄子
煙先行す石焼芋の車 加倉井秋を
石焼いも真闇の窓の下通る 高田律子
石焼いも買ひたしわが家までの距離 及川貞
石焼芋屋門前に来て火を焚けり 安住敦
石焼芋母恋しくて買ひにけり 松永登志
石焼藷に雪降る麻布中之橋 有働亨 汐路
石焼藷銀の匙もてすくへるよ 山口青邨
艀にもとどく石焼藷屋の笛 池田秀水
英字紙の袋で熱い石焼藷 椎木嶋舎
襤褸市や大学芋の金色に 辻 桃子
部屋に一人焼藷の香と漂へる 高澤良一 石鏡
一区切りつけんか焼藷など食(を)して 高澤良一 石鏡

熱燗 補遺

おひらきにさせぬ熱燗いたりけり 上田五千石『天路』補遺
墓掘って熱燗のこと風のこと 橋閒石 卯
熱燗というて渡され迷惑す 高浜年尾
熱燗に*しゅく忽の酔到りけり 日野草城
熱燗にして鹿笛を聞くばかり 飴山實 辛酉小雪
熱燗にまさる一献茅台酒(マオタイシュ) 鷹羽狩行
熱燗に一私事敢へて伏せにけり 安住敦
熱燗に今宵さびしき顔ならず 鈴木真砂女 夕螢
熱燗に己れ不憫とせざるなり 上田五千石『琥珀』補遺
熱燗に縁は異なもの美しき 高田風人子
熱燗のゆき渡りたる小十人 高野素十
熱燗の席に欠けたる誰々ぞ 上田五千石『琥珀』補遺
熱燗の徳利の口を挟み持ち 高浜年尾
熱燗の徳利大きく家貧し 後藤比奈夫
熱燗の酔や眼となく頬となく 日野草城
熱燗も茄子のミイラも弦の如し 永田耕衣
熱燗やいつも無口の一人客 鈴木真砂女 夕螢
熱燗やなほしばらくを憂きごとく 岡井省二 夏炉
熱燗やよる年波の弟子一人 鈴木真砂女 夏帯
熱燗やろんろろんろと鬼太鼓 上田五千石 琥珀
熱燗や人が波郷を言へば泣き 林翔
熱燗や八幡前の蕎麦どころ 石塚友二 玉縄以後
熱燗や大章魚の脚噛みしだき 日野草城
熱燗や恐妻家とは愉快なり 高田風人子
熱燗や情に棹さす言ひとつ 上田五千石『琥珀』補遺
熱燗や灰ならしゐる吉野人 桂信子 樹影
熱燗や男の膝に女の手 藤田湘子
熱燗や神幸待つに膝寒し 角川源義
熱燗や禁酒守りて久しかり 稲畑汀子
熱燗や街ぐんぐんと暮れてゐし 高田風人子
熱燗や酒の名にして蔵王あり 森澄雄
熱燗や降りこめられてもう一本 鷹羽狩行
熱燗や雪ぬれ傘を脇に置き 村山故郷
熱燗や食ひちぎりたる章魚の足 鈴木真砂女 夏帯
熱燗をつまみあげ来し女かな 中村汀女
熱燗をキウとひつかけ出掛けゝり 日野草城
燗酒のたちまち酔ひし旅衣 石塚友二 光塵
燗酒をいつものかげん木の芽和へ 鷹羽狩行
牧水忌駅の燗酒駅の月 百合山羽公 樂土
眠り神来給へや夜半の熱燗に 林翔
辛口に如かず批評も熱燗も 鷹羽狩行
高飛びの了簡の熱燗と蕎麦 鷹羽狩行

以上
by 575fudemakase | 2016-01-17 00:02 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
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▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

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表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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