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滝 3

滝 3

滝を見る吾も旅人傘を抱き 阿部みどり女
滝を見る平氏の寺の書院かな 長谷川かな女 雨 月
滝を見る目の位置もまた落ちてをり 稲畑汀子 春光
滝を見る目の位置も亦落ちてをり 稲畑汀子 汀子第二句集
滝一条詩は一行に身を削る 中村明子
滝一気死後の出合ひは足袋はだし 鳥居美智子
滝上にねむりて山の大いなる 鳥居おさむ
滝上に来し身ひきしむ鵙高音(等々力渓谷) 河野南畦 『風の岬』
滝上や大瀬のよどむ秋曇り 飯田蛇笏 霊芝
滝不動女声の祈願萌えきざす 河野南畦 湖の森
滝不動水にうつして初紅葉 安部 トシ子
滝不動芽木も燭めく祈願声 河野南畦 湖の森
滝仰ぎ命涼しき袖袂 小林康治 玄霜
滝仰ぐわが一身の地より生え 津川あい
滝仰ぐ両眼あふれゐるごとく 鳥居美智子
滝仰ぐ思ひのひとつひとつ凍て 石田勝彦 秋興
滝仰ぐ胸のそこひに落ちつぐを 赤松[ケイ]子
滝冱てて制多迦童子ころびをり 阿波野青畝
滝冷やか生きて濁りてゆく眼には 静塔
滝凍ててみちのくの風青みたる 下山芳子
滝凍ててもろものの巖立ちあがる 細川加賀 生身魂
滝凍ててもろもろの巌立ちあがる 細川加賀
滝凍ててをらず目的失ひし 橋本美代子
滝凍てて人間遠くありにけり 佐久間慧子
滝凍てて大音響をこもらする 小林康治 『華髪』
滝凍てて巌も眠りにつきにけり 鈴木貞雄
滝凍てて微塵の音のなかりけり 西岡フサ子
滝凍てて日輪宙にくるめける 木村蕪城 寒泉
滝凍てて立つ一切を忘却し 橋本美代子
滝凍てて金剛力のこもりけり 小島花枝
滝凍る中空に裾ふつ切れて 早崎明
滝凍る刻の止まりし形して 原田走日朗
滝前の泥温むほど人の来て 鳥居おさむ
滝口の蒼みておつる秋の滝 石原八束 空の渚
滝垢離の胸高に組む祷りの手 谿 昭哉
滝垢離の脱ぎし衣の端みえて 辻桃子
滝垢離の行衣に膚の透けてきし 清崎敏郎
滝壷を神酒もて浄め滝開き 伊東宏晃
滝壷を高きところに神の滝 鷹羽狩行
滝壺といふ空の底水の底 吉年虹二
滝壺におのが声まで落ちにけり 佐々木市郎
滝壺にすいこまれゆく青蛍 岩井久美恵
滝壺にひと囀りのはね返り 石田勝彦 秋興
滝壺にりんごを洗ふ男かな 岩井久美恵
滝壺にゐて真白き夢を作(な)す 松澤昭 神立
滝壺に捨て沈みたる盆供かな 吉武月二郎句集
滝壺に梅干の種子千沈む 飴山實 少長集
滝壺に水のかたまり激ち合ふ 岡田日郎
滝壺に滝写りをりしぐれ馳く 猿橋統流子
滝壺に生れ死ぬまで水馬 鷹羽狩行 遠岸
滝壺に落ちし月光湧きのぼる 落合水尾
滝壺に落ちたる蛇を夜に思ふ 細川加賀 生身魂
滝壺に迫る観船大しぶき 磯野多希
滝壺に降る日を蝶のさかのぼる 青葉三角草
滝壺のおもてに滝の映りけり 千葉 皓史
滝壺の一点蒼し結氷界 佐野美智
滝壺の前にて坐りたくなりぬ 菖蒲あや あ や
滝壺の呪縛逃がれし一花片 河野南畦 湖の森
滝壺の忌日ふちどる落椿 文挟夫佐恵 黄 瀬
滝壺の水に遊べる日の斑かな 高濱年尾 年尾句集
滝壺の水の蒼さは魂しづめ 大野崇文
滝壺の水わけあひて代田掻く 山田信夫
滝壺の水柔かく流れ出づ 右城暮石 声と声
滝壺の激して水の他よせず 吉田紫乃
滝壺の青を藍とし雲はしる 桂信子 黄 瀬
滝壺はよろこびあつめ春隣 村松正規
滝壺は一瞬の静欲しからむ 林 翔
滝壺は一面の氷面鏡かな 下村梅子
滝壺へ春の喝采飛沫なす 河野南畦 湖の森
滝壺へ落つるが如き燕かな 比叡 野村泊月
滝壺へ蝶下りてゆき残さるる 原コウ子
滝壺やとはの霧湧き霧降れり 相馬遷子 山國
滝壺や人のたむろす秋日和 飯田蛇笏 山廬集
滝壺や波遡る水馬 五十嵐播水 播水句集
滝壺や流材一本逆立てる 五十嵐播水 播水句集
滝壺ゆ逆しまに滝凍てにけり 相馬遷子 山河
滝壺を出し水のまた滝なせり 右城暮石 上下
滝壺を出ても滾ちのをさまらず 檜紀代
滝壺を出でずに遊ぶ水のあり 鈴木六林男 国境
滝壺を怖るる蝶の巻き込まる 河野南畦 湖の森
滝壺を汲みて夕の水となす 萩原麦草 麦嵐
滝壺を経て春水のいまは自適 鈴木栄子
滝壺を見て短日の底にゐる 岡本眸
滝壺を覗いて下りる径はなし 鈴木花蓑句集
滝守りの己れを禊ぐ大焚火 渡辺恭子
滝尻の渦しづかにて雪の中 飯田蛇笏
滝崩れ月光倒れたるままに 対馬康子 純情
滝径のかんかん照りも百歩ほど 嶋田麻紀
滝径のはや散り急ぐ葛の花 安倍 不味
滝径の橋つくり来て案内かな 五十嵐播水 播水句集
滝径の橋流れありかちわたる 五十嵐播水 播水句集
滝径やわきて露けき花薊 西島麦南 人音
滝径や案内の童とつとつと 五十嵐播水 播水句集
滝径や花を終へたる鬼薊 五十嵐播水 播水句集
滝径や茜さしたる額の花 五十嵐播水 播水句集
滝懸かる比喩に疲れた男らに 徳弘純 非望
滝懸りしてシャンツェの凍りをり 轡田進
滝打つて行者三面六臂なす 川端茅舎
滝早春驚きやすき鳥翔つて 河野南畦 湖の森
滝枯るる一枚岩にある窪み 佐々木いつき
滝柱水駆け昇り乱れ落ち 福田蓼汀
滝案内して乱世の一と日尽く 原裕 葦牙
滝案内茂の中に入らんとす 野村喜舟 小石川
滝案内青き蜜柑をふところに 林原耒井 蜩
滝死なずおのが氷柱の群くぐり 金子 潮
滝殿に人あるさまや灯一つ 内藤鳴雪
滝殿の古き御座所を伝へたり 中火臣
滝殿の柱々や並び居る 篠原温亭
滝殿の雲ゆきすぐる柱かな 橋本鶏二 年輪
滝殿やさし来る月の薄烟 嘯山
滝殿や木鉢へ植ゑし楓の実 飯田蛇笏 山廬集
滝殿や玉の響の珊々と 島田五空
滝殿や窟の神も鎮りぬ 河東碧梧桐
滝殿や運び来る灯に風見えて 田中王城
滝水で百人前の鯉洗ふ 中川飛梅
滝水に手を冷しゐて意かよふ 津田清子 礼 拝
滝水に漱ぎてけふのいのちあり 木村蕪城 一位
滝水に鼠捕り器の鼠浸す 右城暮石 上下
滝水の中やながるる蝉の声 惟然
滝水の己れ戦きとどろけり 青木重行
滝水の流れを更へて葛茂る 河野南畦 湖の森
滝水の遅るるごとく落つるあり 後藤夜半 翠黛
滝氷り木の実に小鳥はたはたす 宇佐美魚目 天地存問
滝氷る上索道も停止して 右城暮石 上下
滝氷柱しきりに落下する日なり 藤崎久を
滝氷柱まつしろに炎えゐたるなり 松澤昭 神立
滝泡の岩めぐる鳥を叩くさま 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
滝津瀬にあらがふ巌の自若たり 岸風三樓
滝津瀬に三日月の金さしにけり 飯田蛇笏 春蘭
滝津瀬に獲し魚ならね唐辛子 尾崎迷堂 孤輪
滝津瀬の懸れる如く椿咲く 後藤夜半 底紅
滝津瀬や一葉溺れて又見えず 西山泊雲 泊雲句集
滝浴のまとふものなし夜の新樹 誓子
滝浴びし念力の貌まだ解かず 宮田春童
滝浴びし貌人間の眼をひらく 横山白虹
滝浴びて戻る簀子の風の座へ 山本悠水
滝浴びのまとふものなし夜の新樹 山口誓子
滝浴びの童子の言葉谿に澄む 河野南畦 『焼灼後』
滝浴びの腹へこませて入りけり 松浦敬親
滝浴みし古人の面輪かくれなし 原裕 葦牙
滝涸るる遂に見せざる水の裏 河野南畦 湖の森
滝涸れてさらにしづけき庫裡の裏 黒田櫻の園
滝涸れて一枚巌となりにけり 桜坡子
滝涸れて垂水の黝く岩づたふ 篠原梵 雨
滝涸れて気違ひ照りの紅葉哉 中川宋淵 詩龕
滝涸れて返すこだまもなくなりぬ 西島麥南 金剛纂
滝涸れて音なき山の深さかな 平林七重
滝涼しはこぶ餌を待つ小鶺鴒 渡辺水巴 白日
滝涼し神ありとせば濡れてゐむ(白糸の滝) 河野南畦 『空の貌』
滝涼し蝶吹かれ来て吹かれ去り 鈴木花蓑句集
滝涼し那智の巫女字を習ふ 橋本鶏二 年輪
滝激し激しき方に人の群れ 姉崎蕗子
滝爪立ち寒きみなかみ覗くなり 西東三鬼
滝現るる水の高さを神として 鳥居おさむ
滝白く落ちて虚空の夜となる 石原八束
滝白し夜目にも丈を失はず 保坂伸秋
滝砕け水の軽さのありそめし 稲畑汀子 汀子第二句集
滝神に飛ばす賽銭花の雲 高井北杜
滝神や悪城の壁従者とし 河野南畦 湖の森
滝紅葉水は激しく睦みあふ 鈴木貞雄
滝終に我等ばかりとなりて見る 秀雄
滝腹の僅かに見えて花の奥 鈴木花蓑句集
滝茶屋のはやき昃りの火色見ゆ 木村蕪城 寒泉
滝茶屋の夜のくだちに寝冷かな 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
滝茶屋の手摺の下の伊賀の町 橋本鶏二 年輪
滝茶屋の軒端に植ゑしねぢり花 井上美与子
滝茶屋の鏡に岩の映りをる 波多野爽波 鋪道の花
滝茶屋や那智の巫女時計見に 高橋淡路女 梶の葉
滝茶屋をくぐる滝水また滝に 福田蓼汀 山火
滝落したり落したり落したり 清崎敏郎
滝落ちし白さをかこみよどむ紺 篠原梵 雨
滝落ちてゆくみずからを追ひ抜きて 山口誓子 一隅
滝落ちて冬青空をひきしぼる 石嶌岳
滝落ちて山中の春ゆるやかに 星野麦丘人(1925-)
滝落ちて岩をめぐれば春の水 楠目橙黄子 橙圃
滝落ちて滝壺を藍甕と呼ぶ 岡田日郎
滝落ちて直ぐ透き通る神の淵 山口誓子 大洋
滝落ちて空に響きを残しけり 楠田哲郎
滝落ちて箕面は空の深きところ 後藤比奈夫
滝落ちて群青世界とどろけり 水原秋櫻子
滝落ちて自在の水となりにけり 康治
滝落つるところに石蕗の黄ありけり 久保田万太郎 流寓抄
滝落つる天の破れやほとゝぎす 松根東洋城
滝落つる天の破れや時鳥 東洋城千句
滝落つる毎分七千五百万ガロン 山本歩禅
滝落としたり落としたり落としたり 清崎敏郎
滝落下して滝壺にまぎれこむ 竹越朋子
滝行のうしろの山のかゝり藤 高濱年尾 年尾句集
滝行の面輪をかくすおどろ髪 柴田豊子
滝行者今あつ~の昆布茶飲む 川端茅舎
滝行者即ち比叡の阿闍梨なる 中井余花朗
滝行者岩の貌して打たれをり 佐野鬼人
滝行者平らの岩にゐて行かず 藤田湘子 春祭
滝行者来合はす坊の浴みかな 堀口星眠 樹の雫
滝行者真言胸にしかと抱き 川端茅舎
滝行者蓑のごとくに打ち震ひ 川端茅舎
滝行者鋼佇ちしてゐたりけり 能村研三 鷹の木 以後
滝裏を見せてさやかや祠の灯 西山泊雲 泊雲句集
滝見えて滝見る人も見えてきし 波多野爽波 鋪道の花
滝見して袖かき合すあはせ哉 高井几董
滝見して身の流さるる紅葉谷 手塚美佐
滝見むと獄衣に似たる青を着て 鳥居おさむ
滝見ゆと聞けば逸りて登高す 皆吉爽雨
滝見るによき倒れ木を渡りけり 比叡 野村泊月
滝見んと温泉宿の庭を近道す 古賀邦雄
滝見人水魔狂ひ墜つ影見しか 竹下しづの女 [はやて]
滝見茶屋大鉄瓶のたぎりをり 星野立子
滝走り来て胸許に青む淵 原裕 葦牙
滝近きけはひの霧に破れ傘 岡田貞峰
滝近く蝦夷大蕗を傘にして 松下紀美子
滝道といへどおほかた岩づたひ 下村ひろし
滝道のもどりの人に触れにけり 古舘曹人 樹下石上
滝道の一本道を引き返す 右城暮石 上下
滝道の人一列に揺れてをり 加藤憲曠
滝道の岩じめじめと眠くなる 松村蒼石 雁
滝道へ集む満身創痍の材 右城暮石 声と声
滝道も滝もただこれ一枚岩 右城暮石
滝道やこのあたりまで木馬道 五十嵐播水 播水句集
滝道やむらさきふかきとりかぶと 及川あまき
滝道や根笹熊笹清水湧く 野田別天楼
滝道や火の粉のごとく紅葉散る 藤田露紅
滝道をいづればもとの日の盛 比叡 野村泊月
滝道を行くに似合はぬ靴なれど 稲畑汀子
滝霧にまひながれゐるほたるかな 飯田蛇笏 春蘭
滝霧の*あがりて樅のこずゑまで 飯田蛇笏 霊芝
滝青く一気に描ける子ら羨し 高瀬哲夫
滝音となる水と水水と石 後藤比奈夫 花びら柚子
滝音にすがる他なき山ぶだう 坂巻純子
滝音になれて住みをる飼屋かな 橋本鶏二 年輪
滝音にまぎれつつ家建ちすすむ 深見けん二
滝音に佇つ一途なるものに佇つ 篠崎圭介
滝音に沿ひて高みに登りけり 西村和子 夏帽子
滝音に消されしものの中にをり 稲畑汀子 ホトトギス汀子句帖
滝音に節のばしゐる今年竹 野澤節子 遠い橋
滝音に近づいて行く初詣 保坂嘉子
滝音に開け放ちたる春障子 阿部喜代子
滝音のただなかや帯ゆるみくる 鷲谷七菜子 花寂び
滝音のほかは聞えず蛇の衣 中川秀司
滝音のやや力得し追儺の灯 福田甲子雄
滝音の息づきのひまや蝉時雨 定本芝不器男句集
滝音の柱となりてくづれざる 脇 祥一
滝音の無限の白磁茶を点てる 加藤知世子 花寂び
滝音の耳慣れしより蝶真白 小泉洋一
滝音の近づく歩みゆるめつゝ 比叡 野村泊月
滝音の風にさからひ蝶生きし 河野南畦 湖の森
滝音や群歯朶の下暗ければ 佐野鬼人
滝音や部屋ごと空を飛んでいる 高野ムツオ 鳥柱
滝音をとほく衣干す薄暑かな 松村蒼石 寒鶯抄
滝音を己が声とし若き行者 加藤知世子
滝音を滝にもどして平常心 吉田貞子
滝音を聴き疲れたり滝を去る 太田昌子
滝音を蔵し凍てゆく月の巌 鷲谷七菜子 雨 月
滝音を離れ風音秋の暮 野澤節子 遠い橋
滝頭ひかりて白身観世音 野沢節子 八朶集
滝風にあふられし蝶巌の上 大橋櫻坡子 雨月
滝風にをみならは胸打たすべく 行方克己 昆虫記
滝風に吹かれあがりぬ石たゝき 飯田蛇笏
滝風に吹かれ上りぬ石たゝき 飯田蛇笏 霊芝
滝風に巫女のあそべる巌かな 橋本鶏二 年輪
滝風に揺れゐる旗やビヤホール 五十嵐播水 播水句集
滝風に揺れ止まざりし釣船草 若月瑞峰
滝風に細かき木の葉吹かれくる 高木晴子 晴居
滝風に言葉は宙へとびにけり 青葉三角草
滝飛びのけろりと浮くや星使 服部嵐雪
滝飛沫かかりて崖の照紅葉 五十嵐波津子
滝飛沫きしぶきて須臾の虹懸り 井口冨子
滝飛沫及ぶもの皆氷りたる 右城暮石 上下
滝高くかゝる秋渓船すゝむ 佐野青陽人 天の川
滝鳴らずなりたり鳴らずなりにけり 秋元不死男
滞布より記憶の滝のおつる音 原裕 葦牙
激しさのかたまり落つる女滝かな 鷲谷七菜子
濁滝のしぶくところに栗の花 上田五千石
濡れ岩の榧青々と滝嵐 佐野青陽人 天の川
瀑布までからだを運ぶからだかな 五島高資
瀑布みな身を逆さまに落ちゐたり 山口誓子 大洋
瀑布見下せば吾が身も落ちて行く 山口誓子 大洋
瀧おもて雲おし移る立夏かな 飯田蛇笏
瀧しぶき浴びたる頬を太陽へ 仙田洋子 雲は王冠
瀧ちかく草にすがりぬ夏小蝶 久保より江
瀧となる前のやさしさありにけり 石川文子
瀧となる水のほとりに人棲める 日原傳
瀧に景は尽きたれど躑躅奥ありて 河東碧梧桐
瀧に濡れ國籍かくすよしもなし 古舘曹人 砂の音
瀧のおもてはよろこびの水しぶき 山上樹実雄
瀧の上に水現れて落ちにけり 後藤夜半(1895-1976)
瀧の上に空の蒼さの蒐り来 後藤比奈夫(1917-)
瀧の上まで舟のゆく花さびた 中戸川朝人
瀧の圖にこたふる百合の韻かな 久保田万太郎 流寓抄以後
瀧の壁鎧のごとく濡れにけり 古舘曹人 砂の音
瀧の大音響吾を孤立さす 津田清子
瀧の水捩れほそりて草の下 中田剛 珠樹以後
瀧の水汲み夕暮の鍬始 田中裕明 山信
瀧の水青空へ蜂吹きはらひ 中田剛 珠樹以後
瀧の裏しづかに伝ふ水のあり 南 うみを
瀧の辺の草美しき厄日かな 大木あまり 火球
瀧の道吹きころげ来る風青し(美濃養老瀧にて) 上村占魚 『石の犬』
瀧の面をすべり落ちたる螢かな 行方克己 知音
瀧の面をわが魂の駆け上る 後藤比奈夫
瀧の音ひびきて忘れ扇かな 細川加賀 『玉虫』以後
瀧の風鷺草だけを吹くごとし 川村紫陽
瀧は冬の光さらひて落ちにけり 仙田洋子 雲は王冠
瀧びらき即ち夏爐びらきかな 黒田杏子 一木一草
瀧へゆく水の背の見ゆ澤胡桃 八木林之介 青霞集
瀧みだれ大残雪にひゞき落つ 水原秋櫻子
瀧みちのかたき椿の花を踏む 中田剛 珠樹
瀧みちのくらさコスモス剪つてきて 田中裕明 櫻姫譚
瀧みちや崖を烟のながれたる 中田剛 珠樹
瀧も見え落葉庇も少し見え 橋本鶏二
瀧をみて戻りの道の冬に入る 波多野爽波 『湯呑』
瀧をみる寒き数なり三人は 大木あまり 雲の塔
瀧を見るしまひに巌があがるなり 藤後左右
瀧一縷紅葉もろとも凍りけり 和田 祥子
瀧三條夕日にかゝる新樹かな 泉鏡花
瀧垢離に褌の真白きそひあふ 筑紫磐井 婆伽梵
瀧壷に水の泳いでゐるところ 中嶋鬼谷
瀧壷に瀧活けてある眺めかな 中原道夫
瀧壷に瀧煌煌と映りけり 野見山朱鳥
瀧壺に虹と娼婦の立つてをり 仙田洋子 雲は王冠
瀧壺のはげしき力誰も見ず 筑紫磐井 未定稿Σ
瀧壺の虹を濃くせよ水いそぐ 仙田洋子 雲は王冠
瀧壺をもんどりうちて花びらも 佐々木六戈 百韻反故 初學
瀧壺を出たがらぬ水ありにけり 菅家瑞正
瀧壺を覗きてあとを怠けおり 久保純夫 熊野集
瀧夜や誰か寝て行鹿島船 加舎白雄
瀧幅にまともの窓をうち開き 富安風生
瀧径や案内の童とつとつと 五十嵐播水
瀧枕/夢に/舵(たぎし)や/抱き茗荷 林桂 銀の蝉
瀧水と瀧壺の水分ちなし 青木重行
瀧水に手を冷しゐて意かよふ 津田清子
瀧水に漱ぎてけふのいのちあり 木村蕪城
瀧水の己戦きとどろけり 青木重行
瀧水の遅るるごとく落つるあり 後藤夜半
瀧氷柱まつしろに炎えゐたるなり 松澤昭
瀧津瀬の懸れる如く椿咲く 後藤夜半
瀧浴びし貌人間の眼をひらく 横山白虹
瀧涸れてより山の星ぞろぞろと 大峯あきら
瀧涸れて垂水の黝く岩づたふ 篠原梵
瀧灯りかもめ火の粉の湧く如し 古舘曹人 砂の音
瀧白し内部で否定してをれば 齋藤愼爾
瀧茶屋の鏡に岩の映りをる 波多野爽波 『鋪道の花』
瀧落ちし白さをかこみよどむ紺 篠原梵
瀧落ちてずつと離れて濡れる石 田中裕明 山信
瀧落ちて巖上若葉仄めきぬ 斉藤夏風
瀧落ちて群青(ぐんじょう)世界とどろけり 水原秋桜子(1892-1981)
瀧落ちて群青世界とどろけり 水原秋櫻子
瀧落つる天の破れや時鳥 松根東洋城
瀧落つる岩父に見え父に見え 星野立子
瀧落る岩父に見え父に見え 星野立子
瀧行の媼が秘めし刺青かな 東條素香
瀧行者野太き蕎麦をすするなり 辻桃子 ねむ 以後
瀧裏にこゑひゞくなり三十三才 藤原たかを
瀧裏に仕舞ひ忘じし虹いくつ 中原道夫
瀧跨ぎささくれてたつ虹ならむ 中田剛 珠樹以後
瀧道に栃の實拾ひ現れず 八木林之介 青霞集
瀧霧にほたる火しみてながれけり 飯田蛇笏
瀧音にしばられてゐてこの世かな 椎名書子
瀧音に包まるるまで近寄りぬ 牧野春駒
瀧音に消されしものの中にをり 稲畑汀子
瀧音に肩をそがれてゐるごとし 大木あまり 雲の塔
瀧音のこもりてをりし天袋 鳥羽三郎
瀧音の中より痩せてもどりけり 石田勝彦 秋興
瀧音の夕べを散りぬえごの花 池松 昌子
瀧音の息づきのひまや蝉時雨 芝不器男
瀧音の高まるばかり解夏の寺 新田千鶴子
瀧風に吹かれあがりぬ石たゝき 飯田蛇笏
瀧風に吹かれ上りぬ石たゝき 飯田蛇笏
瀧風に煽られし髪梳る 仙田洋子 雲は王冠
瀧鳴りて庭山木立ひきしまる 下村ひろし 西陲集
火の山の中途に滝のかゝりけり 今井杏太郎
火の山の裾曲軌道に瀧しぶく 佐野まもる
火の滝の雛毛氈懸け垂らす 上野泰 佐介
火の番に滝と落ち居るどこの風呂 久米正雄 返り花
火串ふつて猟矢をそゝぐ小滝かな 加舎白雄
火祭をあすに草引くお滝みち 茂里正治
灯を献じ春の神滝やさしかり 河野南畦 湖の森
炎日に人肌粘し光る滝 原裕 葦牙
烏瓜滝のひびきに落ち着かず 熊倉 猷
無病息災不動にいのる滝のうら(雷滝) 角川源義 『神々の宴』
熊路野は滝四十八鵙日和 細川加賀 生身魂
爽かに双白髪の滝といふ 遠藤梧逸
玉垂れの滝より生れ秋の蝶 久米正雄 返り花
玉簾も飛烟も女瀧畏まる 山崎千枝子
琵琶の滝一人静の花ぬるる 宮下歌梯
瑞籬や神にまします那智の滝 高橋淡路女 梶の葉
瑠璃いろの蝶見失ふ滝の空 森藤千鶴
瑠璃沼に瀧落ちきたり瑠璃となる 水原秋櫻子
甍滝の如し囀る松の中 楠目橙黄子 橙圃
生ま身なる吾に集へり滝の冷え 津田清子
生徒らの賑はひ去りし滝の音 萩原正章
甦る滝の谺や梅散れり 小林康治 『潺湲集』
田を刈つて光陰滝のごときかな 平井照敏 天上大風
男の瀧や女瀧な凍てそと打ち続く 平井さち子
男去る涸滝壺を罵りて 上田五千石 田園
男滝瘤のごときをかけり落つ 平井照敏 天上大風
町の中に瀧落ちてをり彌生盡 久保田万太郎 流寓抄以後
登山地図滝一徹の音止めず 河野南畦 湖の森
白といふ激しき色に瀧躍る 森本之子
白光の天上天下那智の滝 成田千空
白地着しひと滝上に現はれぬ 冨田みのる
白妙の滝呑み暗き淵となる 稲岡長

以上
by 575fudemakase | 2016-08-04 19:01 | 夏の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
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(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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