鵙 の俳句

鵙 の俳句

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鵙 補遺

ああ初鵙 いま欲しいのは 舌出し面 伊丹三樹彦
ああ言へばかう言ふ鵙と思ひけり 桂信子「草影」以後
あやまちか否かわが生鵙たける 岡本眸
あるじ今石となりをり鵙ばかり 加藤秋邨
ある朝の鵙ききしより日々の鵙 安住敦
いくすぢも炊煙青し雨の鵙 大野林火 青水輪 昭和二十四年
いそがしや誰が追はれて鵙の聲 正岡子規 鵙
いつしんに穂を拾ふとき鵙啼けり 赤尾兜子 稚年記
うすきうすき有明月に鵙高音 川端茅舎
うたかたと文字にし書けば遠き鵙 中村汀女
かぎろひの丘にこぼして鵙高音 稲畑汀子
かなしめば鵙金色の日を負ひ来 加藤秋邨
がつくりと潮引きし江に鵙叫ぶ 山口誓子
ききききと鵙とんとんと渋を搗く 阿波野青畝
ききと鵙吾子の瞳聞えたるらしや 高田風人子
きのふ降りけふ澄み晴れし松の百舌鳥 水原秋櫻子 古鏡
くるふ頭の撫で役はわれ鵙の秋 平畑静塔
けふの野にはじめて鵙と曼珠沙華 山口誓子
けふの鵙胃のさはだつに先だちて 相生垣瓜人 微茫集
けぶり来し夕藪に鳴く鵙一つ 日野草城
この日和実に鵙啼くためにあり 上田五千石 風景
この野路の去りがたきかな四方に鵙 山口誓子
これよりの四五枚の稿鵙ぐもり 上田五千石 天路
こゑながく野にゐるときの鵙のごと 山口誓子
そのこゑを百聞せしが鵙みえず 上田五千石『田園』補遺
その後の戦果を待てば鵙高音 山口誓子
たばしるや鵙叫喚す胸形変 石田波郷
たゞ川を見るいづこかに鵙のこゑ 山口誓子
ちまちまと谷戸田残照鵙の声 角川源義
つかつかと神渡りくる鵙の雨 角川源義
つばさ無きかなしさ鵙に啼き去られ 三橋鷹女
どぶろくや金切声の鵙去りて 西東三鬼
はたらいて鵙に啼かれし誕生日 秋元不死男
はや朝の心とがれり雨の鵙 桂信子 女身
ひさに晴れてせはしけれども鵙のこゑ 及川貞 夕焼
ひとつ家に鵙きりきりと街暮るる 角川源義
ひとの家木立を深み鵙のこゑ 山口誓子
ふと子のことを百舌鳥が啼く 種田山頭火 草木塔
ふるさとの第一日の長鳴き鵙 石田波郷
ぽつねんとあれば鵙来て日暮かな 草間時彦 櫻山
またあとに鵙は火を吐くばかりなり 加藤秋邨
もてなしの卓拭く鵙がよく啼いて 岡本眸
もの思へば鵙のはるけくなりゆける 桂信子 月光抄
やうやくに印肉硬し鵙のこゑ 山口誓子
わが聞かぬ初鵙を人聞きしとふ 相生垣瓜人 明治草
わが芭蕉鵙鳴きてさへ裂くるなり 相生垣瓜人 明治草
わが鼻の未明に泛び鵙なけり 石田波郷
わらひだすまでに不運や鵙たける 加藤秋邨
われありと思ふ鵙啼き過ぐるたび 山口誓子
アンテナの鵙鳴かずには居れぬ声 右城暮石 散歩圏
キクキクと肋骨きしむ鵙の晴 三橋鷹女
ジヨン万褒む土佐はちきんや鵙日和 松崎鉄之介
バードウイーク鵙は雀の真似をして 山口青邨
一兵にそゝぐまなざし雪の鵙 齋藤玄 飛雪
一服の茶にもてなされ鵙高し(宇奈月温泉) 細見綾子
一椀の飯麦がちに鵙曇 橋閒石 雪
一樹先づ鵙を點じて傲るなり 相生垣瓜人 明治草
不愉快な夢を見たりし朝の鵙 日野草城
丘かげの露人の墓へ鵙翔くる 大野林火 早桃 海風抄
交りたるあと寂寞の鵙となる 百合山羽公 故園
交替の法師蝉鵙ともに鳴く 山口誓子
人寄せぬ開板に鵙遠きかな 石川桂郎 高蘆
人訪はぬ百舌鳥の松のみ法輪寺 水原秋櫻子 蓬壺
人造湖去るとき鵙の楔声 鷹羽狩行
今日のこゑ使ひ果して樹頭の鵙 鷹羽狩行
今日よりの鵙けふよりの袖の丈 岡本眸
今朝の髪まとまらぬ鵙猛りけり 岡本眸
仕事重し高木々々と百舌鳥移り 西東三鬼
何もかも遠し鋭声の鵙の他 山口誓子
偽梅雨や鵙奢りては田へ離る 角川源義
傘しづる雨につつまれ鵙聞けり 大野林火 青水輪 昭和二十四年
傷兵にある駅は鵙あるひは霧 加藤秋邨
兄の子を抱けば鵙鳴けり言葉あらず 石田波郷
六尺の竹の梢や鵙の聲 正岡子規 鵙
凶作をぽつりと語る鵙のあと 野澤節子 未明音
刃の声を湖に放ちて鵙の秋 鷹羽狩行
分れつつ流川はやし鵙のこゑ 山口誓子
分骨の如く句碑殖え鵙の秋 上田五千石『天路』補遺
切通し過ぐれば又も鵙の浦 山口誓子
初百舌鳥の啼きいでてすぐ雨の中 百合山羽公 故園
初霞して鵙の胸野をてらす 飯田龍太
初鵙と云はれてみれば元気つく 飯島晴子
初鵙のこゑ木犀の香にひびく 日野草城
初鵙の一と鳴きに群れ曼珠沙華 原裕 青垣
初鵙の切り出す声を待ちゐたり 百合山羽公 樂土
初鵙の声かあらぬか高からず 相生垣瓜人 負暄
初鵙の声みよがしに梢あり 上田五千石 森林
初鵙の巷に太き眉上げし 原裕 葦牙
初鵙の鋭声の中に凱りたり 加藤秋邨
初鵙の領月明の浸しきる 原裕 葦牙
初鵙の黙々たるを異(あや)しめり 相生垣瓜人 明治草
初鵙やこらへてをれば腹力 加藤秋邨
初鵙や堆肥の湯気も高揚り 中村草田男
初鵙や過去に棒線太く引く 三橋鷹女
初鵙を聞きつつやをら起床せり 相生垣瓜人 負暄
初鵙を辛抱強く待ちをれり 相生垣瓜人 負暄
動きゐし形そのまま鵙の贅 右城暮石 一芸
動物園の樹にゐて鵙の声徹る 右城暮石 句集外 昭和二十五年
北への旅夜明けの鵙に導かれ 西東三鬼
十階を降りゆく膝へ街の鵙 下村槐太 天涯
半白といえど荒髭 夕鵙よ 伊丹三樹彦
右潮騒 左鵙声 分され石蕗 伊丹三樹彦
吃々と鵙鳴き悼む文できず 石川桂郎 含羞
名園に立ち枯れの樹や鵙日和 右城暮石 上下
向きかへて翔ぶ鵙雨の雲ぎつしり 津田清子
君が子も背高のつぽ鵙仰ぐ 石田波郷
君堂へ来てほんたうの鵙日和 後藤比奈夫
吾れを消し赤き日の鵙遠ざかる 佐藤鬼房
吾亦紅夕べは鵙のふくみ音に 三橋鷹女
啼かぬまも尾振り胸張り鵙老いず 野澤節子 未明音
啼きすぎし鵙に風おと遥かより 上村占魚
啼きながら鵙の尾をふる日和哉 正岡子規 鵙
囀りの飛びたちて鵙なりしかな 右城暮石 散歩圏
四天王忿怒す百舌鳥もまた叫ぶ 水原秋櫻子 蓬壺
囮かけしばかり遠音の鵙の声 右城暮石 句集外 大正十五年
地方転出すすめられをり風の鵙 草間時彦 中年
坂を上り君が門近し鵙猛る 村山故郷
城亡び 鵙の支配の空の紺 伊丹三樹彦
城高し刻み引き裂き点うつ百舌鳥 西東三鬼
塒を出て餌につく鵙の囮哉 正岡子規 鵙
墓になる石切つてをり鵙が鳴き 廣瀬直人
墓洗ふたかぶるとなき鵙のこゑ 原裕 葦牙
声あまり甲高く鵙愚かなり 山口誓子
声発せず鵙ほど遠く届かねば 山口誓子
声絶ちし百舌鳥と思へども雪の中 百合山羽公 故園
売文や蕎麦啜る間も雨の鵙 小林康治 玄霜
壺棺に八方の罅 雨の鵙 伊丹三樹彦
夕日を前鵙の仔迫らず迫られず 中村草田男
夕日中いたましきまで鵙叫ぶ 上田五千石『風景』補遺
夕鵙と同じ暗さの水流る 廣瀬直人
夕鵙によごれし電球の裡ともる 山口誓子
夕鵙に竹刳る音の柴屋寺 能村登四郎
夕鵙のたけりて門を横ぎれり 山口青邨
夕鵙のひと声ながく旅了る 福田蓼汀 山火
夕鵙のみじかき声を落し去る 中村汀女
夕鵙の唯一陣や湾の中 松本たかし
夕鵙の心右にし左にし 中村汀女
夕鵙の雀のまねをして去りぬ 山口青邨
夕鵙や民宿弥七魚くさし 古舘曹人 能登の蛙
夕鵙や遠きは遠く思ふのみ 佐藤鬼房
夕鵙や際限もなき立ちばなし 中村苑子
夕鵙よ急ぎ帰るも母病む家 藤田湘子 途上
夜明けたリ雀鳴きすぐ鵙の鳴き 高田風人子
大いなる雲や啼きやむ鵙の上 山口誓子
大きな瞳鵙にひらかれとざされぬ 加藤秋邨
大寺や長啼き鵙の呼応して 上田五千石『琥珀』補遺
天辺の鵙や欅や子のねむり 齋藤玄 飛雪
天高し鵙も頻に是を云ふ 相生垣瓜人 明治草
女人禁制やめるなと鵙の声 鷹羽狩行
女来て墓洗ひ去るまでの鵙 石田波郷
妊りて鵙ふりあふぐこともなし 石田波郷
子がなくて白きもの干す鵙の下 桂信子 女身
子が学ぶ校門を過ぐ鵙鳴けり 橋閒石 雪
字を書けといふに字を書く鵙の昼 山口誓子
家はなし時雨の鵙を嗤はうか 加藤秋邨
家処々に百舌鳥木移りし高鳴きす 河東碧梧桐
家毀つ男来りぬ鵙猛る 橋閒石 朱明
家遠き田圃の景に鵙しきり 山口誓子
寂けさは鵙にも破り難からむ 相生垣瓜人 明治草
寿福寺の見えて来にけり鵙高音 高野素十
射撃場より初めての鵙のこゑ 廣瀬直人
尖らすは パゴダ 軍人墓碑 荒鵙 伊丹三樹彦
屋根なほし鵙も昨日にことならず 山口誓子
屋根漏りや鳴いて過ぎたる鵙のこゑ 山口誓子
山の辺に豆干す丘や百舌鳥の声 河東碧梧桐
山寨の道到り難し里の百舌鳥 河東碧梧桐
山嶽にかすみの鵙点をうつ 山口誓子
山彦にさからひやまず霧の鵙 西島麦南 人音
山枯るる引導わたす鵙がゐて 岡本眸
山里やところかへつゝ高音鵙 原石鼎 花影
山門や大音声の鵙法師 村山故郷
岩山の寸土耕す鵙の冷 橋閒石 雪
峡の日の見座にたばしる鵙の声 角川源義
島住の盥持寄る鵙日和 伊丹三樹彦
崖草に鵙しがみつく尾羽根かな 原石鼎 花影
川口に夕波白く鵙たける 山口青邨
川波や急調となる鵙のこゑ 山口誓子
巣鳥育つ鵙の夫婦も一家族 角川源義
干竿へ爪立つ新婦鵙の朝 伊丹三樹彦
年少の煙草を愛す鵙の昼 山口誓子
年送る鵙も一声一語かな 百合山羽公 樂土
幼きふたりかくありし鵙高鳴ける 大野林火 海門 昭和十三年
庭山の手入はかどる鵙日和 松本たかし
弓を射る鵙にひれ伏すにはあらず 古舘曹人 能登の蛙
弱きものは死ぬか去るかと鵙はをり 加藤秋邨
張板抱えて廻れば眩し鵙の庭 中村汀女
張物を剥がせば鵙の啼き過ぎて 山口誓子
御破算の如き音を立て鵙暮るる 中村草田男
御空より発止と鵙や菊日和 川端茅舎
徹夜の息深くなる鵙まだ来ぬか 加藤秋邨
息ふとく生きねばならず朝の鵙 加藤秋邨
悪友こそしたしみやすし鵙高音 鈴木真砂女 夏帯
我の「孤独」は「真赤な血」なるを鵙も知らぬ 中村草田男
或る時は鵙家裏を啼いて過ぎ 山口誓子
或る駅に鵙聞き次の駅も鵙 大野林火 月魄集 昭和五十六年
拙速が勝ちの世なりや鵙の贅 鷹羽狩行
指切った血の一二滴 鵙叫ぶ 伊丹三樹彦
掃苔に老女没頭 鵙叫ぶ 伊丹三樹彦
教はりしどぶ板通り夕の鵙 松崎鉄之介
教師には作為の一喝鵙啼けり 香西照雄 素心
散らばれる石榴の破片鵙日和 右城暮石 散歩圏
散りすさぶ雑木紅葉や百舌鳥を売る 河東碧梧桐
文字盤に正午の鵙の声刺さる 橋閒石 朱明
文章の下手のなげきを鵙によせ 星野立子
斧光り薪割けて飛ぶ鵙叫ぶ 上野泰 佐介
断崖や激しき百舌鳥に支へられ 橋本多佳子
新居なり朝な~の鵙猛り 清崎敏郎
旅しゐる時は健康鵙の晴 星野立子
日に炎えて露に噎びぬ猛り鵙 川端茅舎
日に跳んで鵙の餌となる蛙かな 原石鼎 花影
日の鵙や霧の高木に尾垂れたる 原石鼎 花影
日は地平に鵙てつぺんを好みけり 橋閒石 朱明
日は雲の絶間より鵙の啼く落葉 渡邊水巴 富士
日を貫きて失せしてつぱう玉の鵙 山田みづえ 木語
日沈むや鵙忘れたる山河あり 原石鼎 花影
日沈むや黙りこくつて鵙あはれ 原石鼎 花影
日高さを鵙うたひ来て扇置く 角川源義
晋山の友目覚めけむ朝の鵙 廣瀬直人
暮れても宿がない百舌鳥が啼く 種田山頭火 自画像 落穂集
暮れて鳴く百舌鳥よ汝は何告げたき 橋本多佳子
曼珠沙華尽の白を鵙囃す 森澄雄
月の杜泣き疲れたる鵙寝しや 上田五千石『田園』補遺
朝の日の低き頃より鵙叫ぶ 山口誓子
朝の鵙ないてしまへばしぐれけり 加藤秋邨
朝の鵙目覚めて男たるかなしさ 草間時彦 中年
朝夕におもへば鵙を聞きゐしか 下村槐太 天涯
朝顏の種を干す日や鵙の聲 正岡子規 朝顔
朝鵙に又夕鵙に我が絵筆 上野泰
朝鵙の一喝に醒む身の弱り 能村登四郎
朝鵙の去りたる空の弛みたる 上野泰
朝鵙の早や鳴く温泉に下り立てば 星野立子
朝鵙やわづかな酔ひが身にのこり 岡本眸
朝鵙や女むざむざとは死なぬ 岡本眸
朝鵙や昨日といふ日かげもなし 林翔 和紙
朝鵙や神在祭の列につく 角川源義
朝鵙や鏡の底に錆きざす 津田清子 礼拝
木の性の直ぐなる故に鵙叫ぶ 上田五千石『森林』補遺
木の末や落馬あざける鵙の聲 正岡子規 鵙
未知のひとよりの俳信百舌鳥のこゑ 百合山羽公 故園
本堂の切貼障子雨の鵙 村山故郷
杉に鵯松に百舌鳥をり観心寺 水原秋櫻子 殉教
杉の木に鵙鳴きやんで夕燒す 正岡子規 鵙
村祭鵙取る人の余所心 内藤鳴雪
東天の紅消え行きて鵙曇り 川端茅舎
架けし電線鵙啼けばもう古し 鷹羽狩行
桑が枝に弾かれて出づ鵙の天 角川源義
梢さしひらめく鵙や土工掘る 西東三鬼
梢なる立枝に鵙や不動点 中村草田男
梢より根に貫け通る鵙初音 上田五千石『森林』補遺
梨咲くど葛鵙の野はとの曇り 水原秋櫻子 葛飾
棒立ちの急所急所に百舌鳥ひびく 西東三鬼
森の雲鵙の鳴く音とうごきけり 飯田蛇笏 山廬集
森の鵙オリンピックの旗林なす 山口青邨
植ゑたての墓標に直ぐと鵙のこゑ 上田五千石『田園』補遺
構橋のかへりのときは鵙の暮 山口誓子
槙囲笹鳴の穴百舌鳥の穴 百合山羽公 樂土
樹の空を真直ぐにわたる鵙のこゑ 山口誓子
樹より子が鵙啼き過ぎて下り来る 山口誓子
櫛をもてかゆきを掻けば鵙叫ぶ 山口誓子
此の皿を諸顔移れり鵙の贅 永田耕衣
歩廊の端わが立ちをれば鵙のこゑ 山口誓子
殺戮もて終へし青春鵙猛る 松崎鉄之介
母の鵙翔ちて地上の巣を知らるな 橋本多佳子
氣短に鵙啼き立つる日和哉 正岡子規 鵙
水に放つ罪の形代鵙猛る 角川源義
水清き流れに寄れば鵙のこゑ 山口誓子
水番や航空隊に百舌鳥の森 渡邊白泉
汲置きの水に煤泛く鵙日和 岡本眸
沓の代はたられて百舌鳥の聲悲し 正岡子規 鵙
河衆とたらひうどんや鵙の圏 角川源義
法射器に騰る鮮血鵙黙せ 野澤節子 未明音
法師蝉あわただし鵙けたたまし 相生垣瓜人 明治草
法師蝉鳴く方を鵙顧みる 相生垣瓜人 明治草
泣き顔のこはばり晒す鵙の空 山田みづえ 忘
流川のこゝろよきかな鵙も啼き 山口誓子
浅き水吸ふ砂地ほろ~鵙晴れぬ 種田山頭火 自画像 層雲集
海光や鵙の林は疎らなる 大野林火 海門 昭和十年
海女潜き百舌鳥の高音は岬の上 鈴木真砂女 夏帯
港都の美鵙のとどまるところあり 飯田蛇笏 雪峡
湖の鵙化石となりし貝に鳴く 野見山朱鳥 運命
演習の野中の杉や鵙の聲 正岡子規 鵙
炎天に窃かに鵙の尾を振れる 相生垣瓜人 明治草
炎天に鵙も蚯蚓も現るる 相生垣瓜人 明治草
点燈後鵙の夕焼なほ保つ 山口誓子
焦茶が似合ふ夫婦となりて鵙の昼 草間時彦
然も初鵙 陶土練り込む朝の力 伊丹三樹彦
焼跡の鵙ぞと何を恋ふるかな 石田波郷
焼跡の鵙や藜の風の果 小林康治 四季貧窮
焼跡や霜にまぶれし鵙の爪 岸田稚魚 負け犬
焼跡や霜にまみれし鵙の爪 岸田稚魚 雁渡し
照りかげり路地くる顔に朝の鵙 石川桂郎 含羞
熱さなかこの鵙が峠かもしれぬ 加藤秋邨
熱海にて錐揉む百舌鳥の朝ぼらけ 石塚友二 光塵
父の座の残温鵙去り枝鋭きのみ 香西照雄 素心
父母を呼ぶごとく夕鵙墓に揺れ 飯田龍太
片目開いて人噛む百舌鳥の囮かな 河東碧梧桐
片空にはや朝鵙や街音や 中村汀女
片雲の散り尽くしたり鵙の天 上田五千石 田園
犬つれて狩に出る日や鵙の聲 正岡子規 鵙
犬吠ゆる鵙より遠き犬見つめ 山口誓子
独り居のうれしき日なり鵙をきく 及川貞 夕焼
猛り鵙ひう~空へ飛べりけり 川端茅舎
猛り鵙蘆咲く原をよろこばず 山口誓子
猛れると呟きをると鵙二つ 石田波郷
獣園の一樹に鵙の声徹る 右城暮石 句集外 昭和三十年
甘んじて鵙の声気の下にあり 相生垣瓜人 明治草抄
甘檮の丘高鳴くは夕鵙や 山口青邨
生玉子くづれて憂しや朝の鵙 鈴木真砂女 夕螢
生贄の場所を忘れて雨の鵙 阿波野青畝
男の祈り夜明けの百舌鳥が錐をもむ 西東三鬼
町中のこゝの静けさ鵙鳴きぬ 清崎敏郎
異邦人妻の小春と鵙の墓 角川源義
病室の簷へ来て鵙が歯ぎしりする 日野草城
病床にわれは顔上ぐ百舌鳥叫ぶ 石田波郷
病床に聞けよと鵙の高音かな 高浜年尾
療園や林をゆけば鵙に猫 森澄雄
癌年齢既に始まる朝の鵙 有馬朗人 母国
癒ゆる日の木むらに鵙の巣づくりし 角川源義
発止と鵙先生の国に紛れなし 山田みづえ まるめろ
白き腹見せて鵙鳴く樹のてつぺん 右城暮石 句集外 昭和四十一年
百ほどの礎石や鵙も鳴き 高野素十
百舌鳥なくや押切の刃の真上より 百合山羽公 故園
百舌鳥のさけぶやその葉のちるや 種田山頭火 草木塔
百舌鳥の下みな雨ぬれし墓ばかり 橋本多佳子
百舌鳥の下粉食を練るかたくなに 石川桂郎 含羞
百舌鳥の鳴く森を神輿のいでゆけり 水原秋櫻子 重陽
百舌鳥啼いて身の捨てどころなし 種田山頭火 草木塔
百舌鳥啼くや焚火のあとの大凪に 渡邊水巴 白日
百舌鳥塚の萌ゆる緑に逢ひにけり 松崎鉄之介
百舌鳥日和第一番の生費か 阿波野青畝
百舌鳥来鳴き夜明の妻は病めるなり 水原秋櫻子 帰心
百舌鳥聞いて忘れ去つたる顔ならず 藤田湘子 途上
百舌鳥高く啼きて平山聳えたつ 百合山羽公 故園
百舌鳥鳴くや旧中仙道草がくり 相馬遷子 雪嶺
百舌鳥鳴くや醍醐の道の菊の村 河東碧梧桐
百舌鳥鳴くや雲みだれ寄る槍ケ岳 水原秋櫻子 玄魚
百舌鳥鳴けり小さき富士がまぶしくて 水原秋櫻子 浮葉抄
百舌鳴いて村會散す三時過 正岡子規 鵙
百舌鳴くや土手に棉荷の十四五駄 正岡子規 鵙
百舌鳴くや蕣赤き花一つ 正岡子規 鵙
目ざめよし朝日も鵙も壁を洩る 林翔 和紙
真青な笊編まれゆく雪の鵙 岸田稚魚 負け犬
眼病む村鵙が防潮林を統べ 飴山實 おりいぶ
矯枝(なよえだ)に鵙の仔肢を踏みひろげ 中村草田男
石橋に立つとき鵙のひゞきけり 山口誓子
砂州に寝て帰るを忘る鵙のこゑ 山口誓子
碧巌録提唱の坊か雨の鵙 村山故郷
秋晴に酔へる鵙とも思はれず 相生垣瓜人 微茫集
移り来し土地に人死す鵙叫び 山口誓子
稚鵙に泡沫の雲ただよへり 原裕 青垣
稲架の竹百舌鳥の藪より切り出す 百合山羽公 故園
稲舟のごとんと音す鵙高音 高野素十
稲雀百舌鳥に泣く子を置き去りし 百合山羽公 故園
稻刈れと鵙の促す日和かな 正岡子規 鵙
稻掛けし榛の梢や鵙の聲 正岡子規 鵙
窯開けや鵙の高音に囃されて 鈴木真砂女 夕螢




笑い仏 むっつり鵙の木移りにも 伊丹三樹彦
笹子ひよどり鵙も来る枯山の昼 村山故郷
籠り居も鵙を待つべくなりにけり 相生垣瓜人 負暄
絶対安静眦に鵙の天 橋本多佳子
老てふもの鵙啼く昼に鼾して 山口誓子
老はこれから木のてつぺんに昼の鵙 桂信子「草影」以後
老婆の死竹林を鵙とびとべり 右城暮石 句集外 昭和二十四年
考へてゐる身にちかく百舌鳥のするどく 種田山頭火 自画像 落穂集
耳の毛をつまみ抜きして鵙の昼 松崎鉄之介
聲は鵙雉子の朱が見ゆ野鳥園 及川貞 夕焼
肉声は狂院にのみ鵙の秋 鷹羽狩行
胸元を抉られどほし鵙がゐて 三橋鷹女
腰弱の稿をなげうつ暁の鵙 上田五千石『森林』補遺
腹背に鵙喫泉に胸濡らす 飴山實 おりいぶ
臆したる鵙かあらぬか現れず 相生垣瓜人 明治草
若鵙にこころの堰を切られけり 野澤節子 存身
荒百舌鳥や涙たまれば泣きにけり 橋本多佳子
荒鵙に 片眉飛ばしの石棺仏 伊丹三樹彦
荒鵙の白鵙にして椢原 原石鼎 花影
荒鵙をよろこぶ血汐かくし得ず 山田みづえ 忘
萩荒れて鵙鳴く松の梢哉 正岡子規 萩
落日に鵙絶叫す吾子還せ 福田蓼汀 秋風挽歌
葡萄畑吾等も鵙も葡萄食ぶ 山口誓子
葭の中川に向つて鵙叫ぶ 山口誓子
蒼穹を鵙ほしいまゝ曼珠沙華 川端茅舎
薪を割る戦犯老人 鵙の森 伊丹三樹彦
藪に立つ欅三本鵙の秋 松本たかし
虎杖のおどろは知らず鵙啼けり 廣瀬直人
蛇鵙に鳴き立てられて穴に入る 正岡子規 蛇穴に入る
蝙蝠傘の裡鮮しや鵙の雨 桂信子 女身
血を喀いて鵙きく顔をかなしむや 石田波郷
袈裟がけに朝鵙 石の羅漢である 伊丹三樹彦
裏切るか裏切らるゝか鵙高音 鈴木真砂女 夏帯
裲襠の花嫁姿鵙叫ぶ 右城暮石 句集外 昭和四十三年
見ゆる敵見えぬ敵鵙力満ち 加藤秋邨
見詰めあひ尾を揺りあひて鵙親子 中村草田男
覚むるより今日の負目や雨の鵙 石塚友二 光塵
訪ふ声を隣に鵙の暮れむとす 石川桂郎 四温
谷わたる電線に鵙平群村 右城暮石 句集外 昭和四十六年
谷中の塔なく上野の塔鵙の空 山口青邨
谷戸に居を移し住みつき鵙の秋 高浜年尾
賭けて後待つのみ黙す梢の鵙 能村登四郎
赤ん坊に口掴まれて鵙日和 岡本眸
踏切に鉄路濡れつつ鵙の雨 山口誓子
身をはしるものあり鵙の初声に 相馬遷子 山河
転げ来し者あり鵙に襲はれて 相生垣瓜人 明治草抄
輪中には輪中根性鵙の声 百合山羽公 樂土以後
近隣によく来る鵙にて嘘言なし 安住敦
追ふ鵙も追はるる者も声あらぬ 相生垣瓜人 明治草
通り来しいづれも鵙の切通し 山口誓子
遠山や池も遥かの鵙日和 石川桂郎 含羞
遠音なほ明らかにして鵙夕べ 高浜年尾
遠音鵙それきり鳴かず午前過ぐ 安住敦
遠鵙のこれの厠を覗くなり 石川桂郎 含羞
遽々然とはじめて鳴きし鵙のこゑ 日野草城
避雷針毀れしままよ鵙叫ぶ 伊丹三樹彦
邸内に在る一藪や夕の鵙 日野草城
野に近き根岸の庭や鵙落し 正岡子規 鵙
野の中の踏切に吾天を鵙 山口誓子
金剛力の鵙聞いてから観世音 加藤秋邨
金属光の海へ鵙とぶ痩せ島畑 飴山實 おりいぶ
鈴懸の黄ばめる中に鵙の形 山口誓子
鉄の湯に命惜しめば鵙啼けり 岡本眸
鉄塔に電線に鵙多摩遥か 川端茅舎
鉄塔の鵙が発せし声とどかず 鷹羽狩行
鉛筆を舐めては記帳低きに鵙 橋閒石 無刻
鉞に裂く木ねばしや鵙の声 原石鼎 花影
鉢巻の輪を切株に鵙の森 平畑静塔
鋸の歯が熱をもつ黙り鵙 橋閒石 風景
錦絵のすきますきまや鵙の冷 橋閒石俳句選集 『和栲』以後(Ⅱ)
鏡中に歯をみがくわれ鵙の晴 日野草城
長岳寺領の喜悦の鵙ならむ 上田五千石『琥珀』補遺
長旅を決めそれよりの日々の鵙 大野林火 月魄集 昭和五十六年
門掃きて今日こそ晴れめ鵙のこゑ 及川貞 夕焼
閉ぢし眼の一文字雨の古鵙よ 橋本多佳子
陵守のごとく制して鵙の声 鷹羽狩行
陸の鵙怒濤はすでに目覚めたり 福田蓼汀 山火
障子ほそめに鵙の梢の見えるほど 橋閒石 微光
隠沼の日の冷たさを鵙遠し 橋閒石 雪
隣り子にざくろとりてやる朝の鵙 及川貞 榧の實
雑木原に朝がたけつゝ鵙の声 右城暮石 句集外 大正十四年
雛つれし百舌鳥の声なり歩をとどむ 水原秋櫻子 古鏡
雨そそぎつつ鵙来たり貝割菜 石田波郷
雨の村暮れかけて鵙の声淋し 正岡子規 鵙
雨の鵙日の鵙十日病み臥(こや)り 佐藤鬼房
雨の鵙朝餉は沖を見る椅子に 及川貞 榧の實
雨濡れの鵙の頭平ら日が乗れる 中村草田男
電工の脚なかぞらに鵙日和 伊丹三樹彦
電線に鵙あり既に見しごとく 山口誓子
電線の鵙も渺茫海の暮 山口誓子
霜晴か鵙晴か一朶雲なし 石塚友二 玉縄以後
霧かんで猛りし鵙や日赤し 原石鼎 花影
霧の中鵙が鳴くのみ前後なし 野見山朱鳥 愁絶
霧霽れて来し喜びを鵙鳴けり 右城暮石 天水
露の玉大きうなりぬ鵙猛る 川端茅舎
露の鵙夕べは雨の鵙として 野澤節子 未明音
露人墓地稲佐や百舌鳥の樟がくり 石塚友二 方寸虚実
露打つて翔りし影は天の鵙 川端茅舎
露燦と雀は鵙に身を挺し 川端茅舎
頂髪欠けて鬢髪ゆらぐ鵙の晴 中村草田男
領たしかむる初百舌鳥の声しきり 原裕 葦牙
頭よりすぐに手足や鵙の冷 橋閒石 無刻
顔出せば鵙迸る野分かな 石田波郷
顔拭いてやる孫三人鵙の朝 及川貞 夕焼
風の音鵙猛りまた風の音 日野草城
風の鵙橋桁に子のすがりをり 岸田稚魚 雁渡し
首吊の具に*あご置けば鵙叫喚 角川源義
馬士去つて鵙鳴いて土手の淋しさよ 正岡子規 鵙
馬追を鵙のさしたる枯枝かな 高野素十
駅に書く短信いづれも鵙に触る 山口誓子
驚けば鵙は鳴きすぐまなかひを 水原秋櫻子 新樹
高き鵙霧を怖れて落ちぬなり 原石鼎 花影
高啼いて鵙のひしやげた頭なり 岡井省二 鯨と犀
高音して鵙の日和をささへたり 上田五千石 風景
鳥交む鵙もそ知らぬ顔をして 右城暮石 句集外 昭和五十年
鳴き猛る鵙におどろく木の葉かな 日野草城
鳴く鵙に寂けさまさり浄瑠璃寺 伊丹三樹彦
鳴く鵙に睫毛動かす子のねむり 山口誓子
鴉鳴く鵙鳴く方を顧みて 相生垣瓜人 明治草
鵙あまた聞きし夜は髪ねもごろに 岡本眸
鵙がゐて別の処より鵙のこゑ 山口誓子
鵙が啼く無名作家の我が耳に 三橋鷹女
鵙が尾を振りをり猫が狙ひをり 相生垣瓜人 明治草
鵙が憑き囮を弱らしめにけり 阿波野青畝
鵙が来て木犀の香を攪すなり 相生垣瓜人 明治草
鵙が来て木石の身に灯をともす 橋閒石 卯
鵙が鳴き柿が輝き秋祭 日野草城
鵙が鳴く三日埓なく夕まけて 石塚友二 光塵
鵙ききと人の心をかき乱し 星野立子
鵙きくや片足あぐる石の上 加藤秋邨
鵙きつ~父恋ふ我を笑ひけり 星野立子
鵙くると人の永病む窓ひらかれ 石川桂郎 含羞
鵙さつて塒雀のにぎやかさ 阿波野青畝
鵙しきりなり換気扇洗はねば 岡本眸
鵙しきりに鳴けりそこらに火の匂ひ 岸田稚魚 紅葉山
鵙すぐ去る吾のゐることすら知らず 山口誓子
鵙たけるロダンの一刀われにほし 加藤秋邨
鵙つらぬく文之助茶屋もろともに 斎藤玄 狩眼
鵙とても仔鵙に伴れて下枝占 中村草田男
鵙とまる方へ電線駈けゆけり 鷹羽狩行
鵙ないて大根畑の日和哉 正岡子規 鵙
鵙ないて露けき蚊帳と別れたり 角川源義
鵙ながく啼けり静臥のけふ終る 山口誓子
鵙なきて沖の眺めもなき河口 山口誓子
鵙なきて農婦とぼしき髪を梳く山口誓子
鵙なくやきらり~と紙屋川 川端茅舎
鵙なくやふしを見下す松のさき 正岡子規 鵙
鵙なくや夕日に歸る松葉掻き 正岡子規 鵙
鵙なくや袂はねたる矢大臣 川端茅舎
鵙なくや見送るひともなくて出づ 桂信子 月光抄
鵙なくや雜木の中の古社 正岡子規 鵙
鵙なくや雲の切目の蒼き天 上村占魚 鮎
鵙なくや頬杖の手をうらがへし 加藤秋邨
鵙なけりなほ起き出づる刻ならず 山口誓子
鵙なけり髭を剃らめと思ふのみ 山口誓子
鵙なども早くより来て待ちをれり 相生垣瓜人 微茫集
鵙になるおのれか木の実ひたくれなゐ 斎藤玄 雁道
鵙にむかし瓦斯燈蒼然たるゆふべ 山口誓子
鵙にやゝ遅れて子等があさのこゑ 山口誓子
鵙に火を焚けり家移りせむとして 山口誓子
鵙に目覚め旅とても髪乱すまじ 鈴木真砂女 夕螢
鵙に読み活字のかすれもどかしく 山口誓子
鵙に顔上げてそのまま胸張れり 林翔 和紙
鵙に鵙重なり頭上激しをり 原裕 葦牙
鵙のあと雀は椎をこぼれ出づ 石田波郷
鵙のきのふ鵙のきのふと重なれり 山口誓子
鵙のこゑそこいら水の匂ひして 岸田稚魚
鵙のこゑ吾身の上にふりそそぐ 山口誓子
鵙のこゑ奔り流るる身のほとり 山口誓子
鵙のこゑ寺に覆ひし琴立てり 山口誓子
鵙のこゑ朝より川を見てたてば 百合山羽公 故園
鵙のこゑ浅き河口を開きけり 山口誓子
鵙のごとき声出ておのれ慍りゐき 加藤秋邨
鵙のやうな辯舌蟇のやうな顔 正岡子規 鵙
鵙の下宿題持つて子が訪ひ来 石川桂郎 含羞
鵙の下短かき脚の婆も馳すよ 藤田湘子
鵙の仔や親の声をば考へつつ 中村草田男
鵙の嘴東京オリンピック来向へり 石田波郷
鵙の坂老婆水垂る荷を提げて 岡本眸
鵙の声ななめに来てはからだ刺す 篠原梵 年々去来の花 中空
鵙の声運動会が掻き消せり 相生垣瓜人 明治草
鵙の声遠を望みて道撰ぶ 中村草田男
鵙の声鬱勃たるに鼓舞せらる 相生垣瓜人 明治草
鵙の天にて電線の襤褸古ぶ 鷹羽狩行
鵙の天まつくらなりし嗚咽かな 加藤秋邨
鵙の尾に今も剣気のある如し 相生垣瓜人 明治草抄
鵙の居る微雨の枝ぶり橡ならし 下村槐太 天涯
鵙の巣がたゞありさうに小藪なす 右城暮石 句集外 昭和七年
鵙の巣の椿は上に上に咲く 中村汀女
鵙の巷二人の盲腕で寄り 飴山實 おりいぶ
鵙の斑をとぶ羽に見て野を帰る 山口誓子
鵙の昼ひかりて尾根の人が見ゆ 原裕 青垣
鵙の昼伸びしだけ白き爪を切る 野澤節子 未明音
鵙の昼深大寺蕎麦なかりけり 石田波郷
鵙の晝こほろぎの夜と分れけり 正岡子規 鵙
鵙の晴大八郎と名のられし 星野立子
鵙の晴疲れしときはわがままに 星野立子
鵙の暮わが詩一字に躓ける 上田五千石『琥珀』補遺
鵙の暮水車出で来る水はやし 山口誓子
鵙の朝肋あはれにかき抱く 石田波郷
鵙の村水ゆく音の樋をくぐる 山口誓子
鵙の歌聖ヨハネ教会坂嶮し 角川源義
鵙の目に今日の光の見え叫ぶ 野澤節子 花季
鵙の目の対へる畑の一ト火燃ゆ 中村草田男
鵙の秋兄が弟をいぢめをる 山口誓子
鵙の空書斎はひくくありと思ふ 山口青邨
鵙の舌焔のごとく征かんとす 加藤秋邨
鵙の藪行けば椿の下暗く 山口誓子
鵙の野に鉄塔エレキ通はする 川端茅舎
鵙の雌が子にひらく羽の黄昏るる 飯田蛇笏 家郷の霧
鵙の雨止みつつ鵙は鳴きつづく 山口誓子
鵙の雨遠ざかり来て海の雨 山口誓子
鵙はよし尾羽を一擲して去んぬ 山口誓子
鵙は尾をくるりくるりと吾が首途 山口誓子
鵙は田を越え三日月も消えさうに 廣瀬直人
鵙ひびく深大寺蕎麦冷えにけり 石田波郷
鵙ひびく産屋のタイル佳き子産せ 岸田稚魚 負け犬
鵙も声手向く逆さま地蔵尊 右城暮石 句集外 昭和五十二年
鵙ゆきて稲田の幣にとまりけり 石田波郷
鵙よりも鋭どき一語背後より 中村苑子
鵙よりも鳶よりも高し秋の空 正岡子規 秋の空
鵙よ何がわれらより君を奪ひしか 林翔 和紙
鵙よ遠母に再た手術すと告げ得むや 石田波郷
鵙を入れ罪負ふごとく雑木林 三橋鷹女
鵙を待つ老年松の木の股に 三橋鷹女
鵙を得て全かるべき梢あり 相生垣瓜人 明治草抄
鵙を見て張板を恋ふらしき目ぞ 加藤秋邨
鵙一声末期はじまる樹の穴より 古舘曹人 能登の蛙
鵙一閃行方よぎりぬ就職す 山田みづえ 忘
鵙元気特高線に一羽居て 右城暮石 散歩圏
鵙去って流水動き初めたり 橋閒石
鵙去つて小子房跡まづ翳る 佐藤鬼房
鵙去つて流水動き初めたり 橋閒石 卯
鵙去りしあとに電線うすれけり 山口誓子
鵙叫びところどころの潦 桂信子 新緑
鵙叫ぶ 女も陶土を平手打ち 伊丹三樹彦
鵙叫ぶ入江とどまるところより 山口誓子
鵙叫ぶ妻大阪に着けるころ 山口誓子
鵙叫ぶ川の底まで夕焼けて 岡本眸
鵙叫ぶ日ぞ人生に借りなどなし 楠本憲吉 孤客
鵙叫ぶ沼の木死者の白き手よ 佐藤鬼房
鵙叫ぶ石に墓用・土木用 鷹羽狩行
鵙叫ぶ老呆けて生きたくはなし 山口誓子
鵙叫喚昨日の羞いま煮ゆるごと 楠本憲吉 孤客
鵙啼いて墓の低さを確かむる 岡本眸
鵙啼いて海は河口につゞきけり 山口誓子
鵙啼いて電線撓みたわみたり 山口誓子
鵙啼きて夕日の光塵に満つ 山口誓子
鵙啼きて思はず青き空を見る 星野立子
鵙啼きて視力の刻み深きかな 山口誓子
鵙啼くや一番高い木のさきに 正岡子規 鵙
鵙啼くや寝起も同じ紺絣 野澤節子 未明音
鵙啼くや日はよそ乍ら老けむとす 三橋敏雄
鵙啼くや灘をひかえた岡の松 正岡子規 鵙
鵙啼くや画稿焚く火の野に尽きて 渡邊水巴 富士
鵙啼く砂丘にて懐中時計とまり 橋閒石
鵙啼けばよし眼を遊ばせる稿半ば 上田五千石『田園』補遺
鵙啼けりひとと在る時かくて過ぐ 橋本多佳子
鵙啼けり同じ頃夜明ともなり 山口誓子
鵙啼けり咽喉を脹らして臥しゐるに 山口誓子
鵙啼けり天はさかんに葉を降らし 伊丹三樹彦
鵙啼けり手鏡のぞく若者に 山口誓子
鵙啼けり樹下の黒土掘り起す 山口誓子
鵙啼けり起きて女を訪ふべきか 伊丹三樹彦
鵙啼て秋の日和を定めけり 正岡子規 鵙
鵙声随処世に伍して敵避けられず 伊丹三樹彦
鵙天に孫は畳にはらばへる 山口青邨
鵙日々に望みなき身をはげみをり 岡本眸
鵙日和土手の際まで道剥がされ 岡本眸
鵙日和屠場の花卉は咲きあふる 飯田蛇笏 山響集
鵙日和掃除機日和開け放つ 右城暮石 句集外 平成三年
鵙日和病室に妻の跫音して 石田波郷
鵙日和筆箱が鳴る童と逢ひき 伊丹三樹彦
鵙日和茶の間に妻の客ありて 村山故郷
鵙昏るる頬けたのあざは塗りつぶし 三橋鷹女
鵙昏れて女ひとりは生きがたし 三橋鷹女
鵙晴に 人焼く煙の勢いつつ 伊丹三樹彦
鵙晴の床の中にて取る尿 上村占魚
鵙晴の水張つて箍締めにけり 上村占魚
鵙晴や遠目にも濃き一つ松 鷲谷七菜子 天鼓
鵙晴れや峡の戸藪をめぐらせる 村山故郷
鵙暮れて水平線も消えにけり 阿波野青畝
鵙木に鳴けば雀和するや蔵の上 正岡子規 鵙
鵙来るを待つ病臥位の首支へ 佐藤鬼房
鵙来れば櫻もみぢは散りやすし 水原秋櫻子 新樹
鵙楽し切り込む声を切り返し 百合山羽公 樂土
鵙猛り外厠より美貌出づ 日野草城
鵙猛り柿祭壇のごとくなり 川端茅舎
鵙猛り硝子の中の髭を剃る 伊丹三樹彦
鵙猛り裂けし生木の匂ひ甘 川端茅舎
鵙猛る一人居われに不在証明なし 岡本眸
鵙猛る下ゆく五臓片々と 橋閒石 無刻
鵙空に三つ栗生まる母子家族 角川源義
鵙空に桧皮葺なるかぶと屋根(宮岡計次さん生家) 細見綾子
鵙翔くる城址の谷の翳ふかく 大野林火 海門 昭和十二年
鵙聞いて散歩の杖を一振りす 山口誓子
鵙聞けば散策のわが胸進む 山口誓子
鵙谺しづけさ胸に戻りくる 大野林火 早桃 海風抄
鵙遠き午前の障子まつ白し 橋閒石 雪
鵙遠くなりて曇りし井之頭 上村占魚
鵙遠し肢を緊縛されつつをり 石田波郷
鵙鋭声古仏の唇の太一文字 伊丹三樹彦
鵙鋭声海鵙りへ貫く古寺の道 角川源義
鵙騒ぐ鏡面醜をあざやかに 三橋鷹女
鵙高きときわれ何の上に坐す 古舘曹人 能登の蛙
鵙高し或るときありし滝の音 中村汀女
鵙高樹より潅木に身を落す 山口誓子
鵙高音ふたたび三たび鵙高音 星野立子
鵙高音まだ柩来ぬ墓の穴 飯田龍太
鵙高音をんなのつくすまことかな 鈴木真砂女 夏帯
鵙高音含嗽の顔の真つ平ら 岡本眸
鵙高音善意の悲劇の主役にて 草間時彦 中年
鵙高音士官母校を訪づれ来 大野林火 早桃 太白集
鵙高音大学以前の日に似たり 中村草田男
鵙高音復読みかへす戦果報 山口誓子
鵙高音殉教図絵の三尺牢 松崎鉄之介
鵙高音母の仕事は何々ぞ 中村汀女
鵙高音熊野権現雨降らす 村山故郷
鵙高音立ち聞く寿永物語 星野立子
鵙高音西京の童子来りけり 村山故郷
鵙高音雁来紅は黄をのこす 三橋鷹女
鵙鳴いてこの世いよいよ澄みまさる 相馬遷子 山河
鵙鳴いてちらと子のこと退勤時 深見けん二
鵙鳴いてわが家の秋となりにけり 安住敦
鵙鳴いてゐる五線紙に向ひゐる 星野立子
鵙鳴いてシャベル火花を発しけり 山口誓子
鵙鳴いて光陰きざむ邸あり 上田五千石『田園』補遺
鵙鳴いて夕日確かに据わりけり 加藤秋邨
鵙鳴いて大いなる息吐きにける 加藤秋邨
鵙鳴いて日のくれぎはの木をすかす 右城暮石 句集外 昭和六年
鵙鳴いて朝の粥腹快し川端茅舎
鵙鳴いて村はひそりと水に沿ひ 長谷川素逝 村
鵙鳴いて汽車には藪の切通し 山口誓子
鵙鳴いて甚だ古き切通し 山口誓子
鵙鳴いて第5日曜約束なし 安住敦
鵙鳴いて雨過山房にあまねき日 石塚友二 方寸虚実
鵙鳴かず過ぐ秋風のダムの上 及川貞 榧の實
鵙鳴きて心弱きをののしりぬ 山口青邨
鵙鳴くや十九で入りし造化の門 中村草田男
鵙鳴くや十日の雨の晴際を 正岡子規 鵙
鵙鳴くや大百姓の門構 村上鬼城
鵙鳴くや妻鎌を取つて戸を出づる 正岡子規 鵙
鵙鳴くや寝ころぶ胸へ子が寝ころぶ 古沢太穂 三十代
鵙鳴くや小藪の中の蕎麥畑 正岡子規 鵙
鵙鳴くや晩稻掛けたる大師道 正岡子規 鵙
鵙鳴くや白きハンカチ草に藉き 星野麥丘人
鵙鳴くや藪のうしろの蕎麥畠 正岡子規 鵙
鵙鳴けば晴天応へ居る如し 高浜年尾
鵙鳴けり朝から黙しゐる妻に 安住敦
鵙鳴けり輓馬があへぐ坂の上 藤田湘子 途上
鵙鳴けり長坂下り終へしかば 石塚友二 玉縄抄
鵙鳴て北海の林檎到來す 正岡子規 鵙
鵙鳴て妙義赤城の日和かな 正岡子規 鵙
鵙鵯の詩書きためて農長子 野澤節子 未明音
鵙黙る軍用鳩におどろきし 阿波野青畝
鵯なりき初鵙にてはあらざりき 相生垣瓜人 負暄
鵯に鵙がその座を追はれけり 相生垣瓜人 負暄
鵯のみか鵙も語れり柿*もぐを 相生垣瓜人 負暄
麻痺の手に一汁得がたし朝の鵙 角川源義
黒板を背の歳月や百舌鳥とほし 能村登四郎
鼻腔よりしづかなる息鵙の昼 山口誓子

以上
by 575fudemakase | 2016-10-18 05:27 | 秋の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
よみ れいく

▼kindleの場合
アプリ>設定>言語とキーボード>キーボードの設定>ユーザーズ辞書

読み れいく
表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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