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紅葉 補遺1

紅葉 補遺1

*おばしまや紅葉に早きかへでの秀 石塚友二 方寸虚実
あけすけに酔客見ゆる紅葉茶屋 飯田蛇笏 山廬集
あたたかき日のつづかざる草紅葉 右城暮石 一芸
あつまつて影向の鯉紅葉寺 岡井省二 鹿野
あとさきに来るものに死や草紅葉 星野麥丘人
あと一人来ず混浴の紅葉谷 鷹羽狩行
あまつさえ 鶏冠出歩く 照紅葉 伊丹三樹彦
あまりにも小さく名もなき草紅葉 有馬朗人 耳順
いが散りてろが散りいろは紅葉かな 後藤比奈夫
いただきの一枚さわぐ紅葉かな 前田普羅 飛騨紬
いたづらに菱紅葉しぬ落城史 阿波野青畝
いちはやき桜もみぢの面映ゆし 鷲谷七菜子 天鼓
いちはやく且つ散る紅葉見るごとし 上田五千石『琥珀』補遺
いちやうなもみぢのおととおもひけり 岡井省二 五劫集
いつか見し絵巻物にも柿紅葉 高田風人子
いつしかにふじも暮けり夕紅葉 正岡子規 紅葉
いつしかに老いづきし妻よ草紅葉 日野草城
いてふもみぢまぼしきろかも青空に 日野草城
いてふもみぢ下ゆくはみな学徒だち 山口青邨
いてふもみぢ吾れ古帽子とつてゆく 山口青邨
いてふもみぢ桜もみぢときそふなり 安住敦
いまじぶんから犇犇と紅葉冷 阿波野青畝
いまならば象谷は草紅葉どき 佐藤鬼房
いまは風に 身を揉む ぼくの遠紅葉 伊丹三樹彦
いま写します紅葉が散ります 種田山頭火 草木塔
いろいろの紅葉の中の銀杏哉 正岡子規 紅葉
うぐひ群れ紅葉あせたる山影す 松崎鉄之介
うすいもみぢの近江の石山寺にのぼり 中川一碧樓
うすもみぢしてよそほへり滝の山(那智の滝) 細見綾子
うすもみぢせし山水の新豆腐 細見綾子
うすもみぢ佛の墓をいづれとも 富安風生
うすもみぢ能登は入江のやさしさに 細見綾子
うちしける紅葉筵も庭のうち 山口青邨
うつくしき朝日夕日やむらもみち 正岡子規 紅葉もみち<木+色>
うめの枝もみぢの枝や雪つもる 山口青邨
うるし紅葉会津うるしは火の山より 松崎鉄之介
おいびとに濃紅葉わかうどに薄紅葉 山口青邨
おのれいまおのれのなかに草紅葉 森澄雄
お伽電車遠廻りして谷紅葉 山口青邨
お狩場のいま名園として紅葉 鷹羽狩行
かき集め紅葉ふつくら嵩みけり 右城暮石 句集外 昭和六年
かくれては現る別の初紅葉 阿波野青畝
かくれ里人は紅葉を手折らざる 平畑静塔
かく小さき葉にも紅葉の色分けて 稲畑汀子
かけ橋や今日の日和を散る紅葉 正岡子規 散紅葉
かげりゆく中日おもての紅葉山 能村登四郎
かごかきの熱い息ふく紅葉かな 正岡子規 紅葉
かたかけ、紅葉はかげるとききゆうに寒く 荻原井泉水
かつ散らす庭の紅葉や四十雀 正岡子規 紅葉
かつ散りて桜紅葉の褪せもせず 鷹羽狩行
かなしみを紅葉明りに語りつぎ 中村汀女
かの人もひとりわれもひとり紅葉狩 山口青邨
からかさを背負ひて老の紅葉狩 山口青邨
からかねの鑄ぬきの門や薄紅葉 正岡子規 紅葉
かりそめの鑵子のつるや蔦もみち 正岡子規 蔦紅葉もみち<木+色>
かんばせに濃紅葉あかりけはしさよ 長谷川素逝 暦日
きらきらと紅葉まはゆし藪の中 正岡子規 紅葉
きらめきて萍紅葉はじまりし 深見けん二
くさ紅葉夕汐は洲をうかべけり 松村蒼石 雪
くたぶれて紅葉を仰ぐゆふまぐれ 日野草城
くつさめをして紅葉山ありにけり 岸田稚魚 紅葉山
くり舟に暗きもの満つ草紅葉 古舘曹人 樹下石上
こかくれて薄き夕日の紅葉哉 正岡子規 紅葉
このさきは如何なる処紅葉狩 星野立子
この寺の天狗の散らす紅葉とか 高野素十
この山は慌しくも紅葉せる 岸田稚魚 紅葉山
この庭の霧すさまじき紅葉かな 松本たかし
この森の日を洩らさずに草もみぢ 鷹羽狩行
この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉 三橋鷹女
この色を見よとばかりに紅葉せり 右城暮石 句集外 平成二年
こもり沼を鎮めて草も木も紅葉 鷹羽狩行
こゝの巌みな横襞や谷紅葉 原石鼎 花影
さきの犬くゝられをりぬ紅葉宿 星野立子
さくら紅葉相模の泥に下駄穿つ 石橋秀野
さして気にならず急坂紅葉狩 高浜年尾
さし込んでくる日が紅葉さざめかす 清崎敏郎
さを鹿のにげにげはねる紅葉哉 正岡子規 鹿
さゞなみの鳰におりたち紅葉狩 百合山羽公 春園
しぐれては市振駅の柿紅葉 山田みづえ 木語
しぐれんといてふもみぢ葉すきとほる 下村槐太 天涯
しだるるはまさに火のいろ紅葉谷 鷹羽狩行
しづかなる風にたわめる紅葉かな 山口青邨
しづくして雨の明るき紅葉谷 鷹羽狩行
しんがりのくぬぎもみぢとなりにけり 岡井省二 五劫集
しんしんとわれも旅なり紅葉冷 中村汀女
すさましや紅葉まきこむ水車 正岡子規 散紅葉
すさまじき真闇となりぬ紅葉山 鷲谷七菜子 游影
すすきの根掴み下りゆく紅葉谷 細見綾子
すたれゆく歌枕かも紅葉ちり 山口青邨
ずり落ちんばかりに一樹紅葉せり 右城暮石 句集外 昭和六十二年
せぬひまのもみぢあふひも祇園あか 岡井省二 鯨と犀
せみ塚に紅葉木洩日ありにけり 深見けん二
そこのあひなかのもみぢのいよよ濃し 岡井省二 五劫集
そこはかと禰宜の起居や軒紅葉 松本たかし
そこはかと苔のにほへり初紅葉 日野草城
そしての装飾古墳 覆土は草紅葉 伊丹三樹彦
そのひとつとろけさうなる紅葉山 岸田稚魚 紅葉山
その上に城美しき草紅葉 森澄雄
その中に独坐老人 紅葉酒 伊丹三樹彦
その名をば我に秘めつつ紅葉づる木 相生垣瓜人 負暄
その奥に 銀嶺しまう 紅葉山 伊丹三樹彦
その幹のはなはだ細き紅葉かな 清崎敏郎
その眉に櫨紅葉すぎ松の過ぐ 水原秋櫻子 霜林
そば刈りてのこししあかざ紅葉かな 細見綾子
たたなはる紅葉の山の暮れてなし 上村占魚 球磨
ただならぬ暗闇もみぢ谷の闇 鷹羽狩行
ただ忍べ燃ゆる紅葉の夕冷えは 中村草田男
たつきとし紅葉掃くかも滝の前 右城暮石 句集外 大正十四年
たつたいま帚木もみぢさめたるや 飯島晴子
たづぬとて紅葉の山のただかたへ 中村汀女
たとふれば不来方城の初紅葉 上田五千石『天路』補遺
たはむれの山路一歩に紅葉変 上田五千石『森林』補遺
ためらひもなく魁けし櫨紅葉 清崎敏郎
たもとほりもとほり紅葉林の中 鷹羽狩行
ちかづく山の、とほざかる山の雑木紅葉の 種田山頭火 自画像 落穂集
ちらちらと櫨は紅葉を催せり 清崎敏郎
ちらほらと村あり紅葉いそぐなり 上村占魚 鮎
ちりかゝるむしろ屏風のもみち哉 正岡子規 散紅葉もみち<木+色>
ちりそめし紅葉日和の甃 川端茅舎
ちりもみぢ帚を客に笑み渡す 阿波野青畝
ちりもみぢ水底森のごときかな 阿波野青畝
ちるほどに谷あひ曇る紅葉かな 飯田蛇笏 山廬集
ちる紅葉ちらぬ紅葉はまだ青し 正岡子規 散紅葉
ちる紅葉綿入を来て瀧見哉 正岡子規 散紅葉
つめたく覚めてまぶしくも山は雑木紅葉の 種田山頭火 自画像 落穂集
つれだつや女商人山紅葉 正岡子規 紅葉
ときに探鳥の目となり紅葉狩 鷹羽狩行
とざされし西行拝む片紅葉 大野林火 白幡南町 昭和三十年
とびぬけて赤きは白膠木紅葉かな 右城暮石 句集外 昭和六十二年
ともしびはくらくもみぢば夜も散る 山口青邨
ともし火の見えて紅葉の奥深し 正岡子規 紅葉
どの山の紅葉か殘る馬の鞍 正岡子規 紅葉
どの山の紅葉なるらん馬の鞍 正岡子規 紅葉
なつかしき人散紅葉散黄葉 稲畑汀子
ななかまど紅葉圏谷の底埋め 福田蓼汀 秋風挽歌
ぬるでもみぢ夜の鏡面と澄みまさり 大野林火 海門 昭和十二年
ねむごろに水底もみぢ泥となりぬ 松村蒼石 雁
はきすてる程にはちらす初紅葉 正岡子規 紅葉
はきよせた箒に殘るもみち哉 正岡子規 散紅葉
はこばるる師の御杖も紅葉冷え 木村蕪城 一位
はじめより掃かでありたる散紅葉 後藤夜半 翠黛
はらはらと飛ぶや紅葉の四十雀 正岡子規 紅葉
はららごや高雄の紅葉暮れしより 森澄雄
はるかなるかがやきは海草紅葉 山口青邨
はるかなる径牧にゆく草紅葉 山口青邨
ひざまづき垂るロザリオの数珠草紅葉 山口青邨
ひたきをり蓼の紅葉をかいくぐり 細見綾子
ひだといふさま~いてふもみぢかな 岡井省二 鯨と犀
ひとつ散り又ひとつ散り紅葉かな 山口青邨
ひともるに心あてなる紅葉宿 山口青邨
ひとよさの山の囲炉裡も紅葉狩 福田蓼汀 山火
ひとり寐の紅葉に冷えし夜もあらん 正岡子規 紅葉
ひとり曇り紅葉の奥は純白に 金子兜太
ひと枝ははしり紅葉の櫨茂る 能村登四郎
ひろひたる寂光院の紅葉かな 山口青邨
ふだらくの那智瀧紅葉してあらむ 細見綾子
ふりかぶり濃紅葉あかりくらきほど 長谷川素逝 暦日
ふるさとは夕暮ながし草紅葉 中村苑子
ほどほどに老いて紅葉の山あるき 能村登四郎
ほぼまるきさくらもみぢのひと葉あり 岡井省二 五劫集
まくなぎの毬や紅葉の水の上 岡井省二 明野
まだ青き紅葉に秋の夕寒し 正岡子規 紅葉
まつ白に煙上りぬ紅葉焚く 星野立子
まづ目ざす泥棒橋や紅葉寺 角川源義
みさゝぎの楓のしるきもみぢかな 日野草城
みすずかる信濃ぞ燃ゆる紅葉どき 林翔
みちのくに似て紅葉せり芒葉は 山口青邨
みちのくの幹高ければ初紅葉 鷹羽狩行
みちのくへ野はとびとびに草紅葉 山田みづえ 手甲
みづうみや水草紅葉も枯れそめて 草間時彦 櫻山
みづうみや水草紅葉枯れそめて 草間時彦
みんなみの紅葉の中に日は落つる 山口誓子
み佛に紅葉置くなる微妙音(みめうおん) 松本たかし
むかごとり垣根のもみぢはじめかな 飴山實 花浴び
むさしのの櫨の紅葉に袖触れゆく 大野林火 白幡南町 昭和二十七年
むら紅葉巖ばかりの深山かな 正岡子規 紅葉
むら雨や車をいそぐ紅葉狩 正岡子規 紅葉狩
もみち葉のちる時悲し鹿の聲 正岡子規 散紅葉
もみぢうく水や刀に血のあと 正岡子規 秋の水
もみぢして松にゆれそふ白膠木かな 飯田蛇笏 山廬集
もみぢの木樅を巨きく直くする 篠原梵 年々去来の花 雨
もみぢの甲斐信濃われらに波たゝず諏訪のみづうみ 中川一碧樓
もみぢはや楓の下のこぼれ苗 飴山實 花浴び
もみぢばの御紋の御寺薄紅葉 山口青邨
もみぢばの流れ来て河口出づ 山口誓子
もみぢばを掬へるたも網のひた洩りて 山口誓子
もみぢよりこゑのぼりくるへんろ山 上田五千石『天路』補遺
もみぢ・きのこと決めかねて狩ごころ(「狩」創刊二十周年) 鷹羽狩行
もみぢ暮れすこしの酒を君と酌む 山口青邨
やすらへば時雨れにけりな谷紅葉 松本たかし
やりすごす風ひよひよと谷紅葉 角川源義
ゆく水に紅葉をいそぐ山祠 飯田蛇笏 椿花集
ゆらゆらと森の小人の紅葉舟 林翔
よい連れがあつて雑木もみぢやひよ鳥や 種田山頭火 草木塔
よき色の紅葉をかざし山法師 後藤比奈夫
よろけやみ紅葉折るなり摘みしなり 平畑静塔
わが前に岩門をひらく紅葉谷 山口青邨
わが手紅葉しはらはらと散りゆくか 平井照敏
わが書屋十一月の片もみぢ 山口青邨
わりなしや小松をのぼる蔦紅葉 正岡子規 蔦紅葉
われもまた妙義の紅葉かざしたる 山口青邨
われ立てばあたりよそほふ春紅葉 山口青邨
をさな子の手に重ねたるもみち哉 正岡子規 紅葉
をりをりに鹿のかほ出す紅葉哉 正岡子規 紅葉
をんなは駕でをとこは馬で紅葉ちらほら 種田山頭火 草木塔
アイヌ名の村過ぎつ漆紅葉照る 村山故郷
カンテラに夜道の細き紅葉狩 平畑静塔
ゴンドラは振子を演じ紅葉狩 阿波野青畝
シヤベルにて指せし紅葉は猿隠し 平畑静塔
トロツコの鉄鎖掌にして紅葉谷 角川源義
トンネルは一車通行紅葉渓 右城暮石 天水
プロムナードコンツエルト栃大樹もみぢ 山口青邨
ポインセチヤほどの紅葉は何の木ぞ 山口誓子
一と床几得て濃紅葉を堪能す 清崎敏郎
一の坊紅葉ひともと照りにけり 松崎鉄之介
一の滝すでにはげしや初紅葉 中村汀女
一ひらの濃ゆき紅葉を手向かな 富安風生
一むらは夕日をあびる紅葉哉 正岡子規 紅葉
一もとの紅葉も見えず松縄手 正岡子規 紅葉
一もとは墓場の中の薄紅葉 正岡子規 紅葉
一ト雨にひたぬれの野や草紅葉 村山故郷
一二軒ともす茶店や夕紅葉 山口青邨
一口に紅葉の景といへぬほど 稲畑汀子
一家や冨士を見越の雁來紅 正岡子規 葉鶏頭
一山の紅葉に染まり死ぬもよし 佐藤鬼房
一峰を請けたるごとく大紅葉 岡井省二 五劫集
一庭に白薔薇香る山紅葉 林翔
一時に紅葉はなやぐ飯場の谿 右城暮石 句集外 昭和三十九年
一村の家まばらなる紅葉哉 正岡子規 紅葉
一村の紅葉散り去る響きかな 草間時彦 櫻山
一村は夕日をあびる紅葉哉 正岡子規 紅葉
一村晩霞ひたすら揺れる紅葉山 飯田龍太
一枚の櫨の紅葉の隠れなし 高野素十
一枚の紅葉こぼるゝ布団敷く 山口青邨
一枝に八汐を残す紅葉かな 阿波野青畝
一枝の紅葉そへたり妹が文 正岡子規 紅葉
一枝の紅葉にもかくれ遠き富士 山口青邨
一泊をして夕紅葉朝紅葉 清崎敏郎
一片の紅葉の何を訴ふる 富安風生
一片の紅葉を拾ふ富士の下 富安風生
一献や嵯峨の紅葉はまだ早し 高野素十
一目せん岐れ岐れの紅葉谷 阿波野青畝
一筋は戸にはさまれて蔦紅葉 正岡子規 蔦紅葉
一筋は月にたれけり蔦紅葉 正岡子規 蔦紅葉
一筋は月にたれたり蔦もみぢ 正岡子規 蔦紅葉
一籠の紅葉いくらぞ落葉掻 正岡子規 落葉
一茶忌の雑木紅葉のあたたかし 松崎鉄之介
一葉二葉柳紅葉のかなしとも 山口青邨
一葉二葉紅葉散り殘る梢かな 正岡子規 散紅葉
一葉二葉若木の楓初紅葉 正岡子規 紅葉
一蔓のつづる紅葉は山葡萄 清崎敏郎
一蔓は紅葉全し山葡萄 水原秋櫻子 蘆雁
一閃の白波を恋ひ草紅葉 廣瀬直人
一隅を照らせよ法の遠紅葉 阿波野青畝
一雨に濡れたる草の紅葉かな 日野草城
七かまど紅葉SantaFeブームとか 雨滴集 星野麥丘人
七万の鐘の字が鳴る紅葉山 山口誓子
七草の芹の紅葉のうつくしく 山口青邨
万華鏡中紅葉山紅葉谷 後藤比奈夫
三千坊亡びたれども紅葉燃ゆ 阿波野青畝
三千寺いづこ濃紅葉薄紅葉 阿波野青畝
三寸の苗も楓の紅葉かな 正岡子規 紅葉
三山の高嶺づたひや紅葉狩 杉田久女
三日月の沈むに早き峡紅葉 山口青邨
三白の白石にはや紅葉づれる 森澄雄
上へ下へ別れ去る坂のけはしい紅葉 種田山頭火 自画像 落穂集
上り行く道あたたまる紅葉かな廣瀬直人
上宮は時じく霧ぞむら紅葉 杉田久女
上臈の折たさうなる紅葉哉 正岡子規 紅葉
下枝なる紅葉に触れて鯉肥ゆる 能村登四郎
下紅葉姉の眼光待つてをり 飯島晴子
下闇に紅葉一木のゆふ日哉 正岡子規 紅葉
且つちるや欅ばかりのうす紅葉 原石鼎 花影
丘紅葉おくの山川まのあたり 村山故郷
中學生二里の家路の山紅葉 相馬遷子 雪嶺
中腹にくれなゐ厚み紅葉山 能村登四郎
丸盆の木目は紅葉重ねかな 河東碧梧桐
乾坤の紅葉ならざるなき旅路 稲畑汀子
二の湖に鷹舞ひすめる紅葉かな 水原秋櫻子 葛飾
二の簗三の簗は川下に一の簗の紅葉 荻原井泉水
二の鳥居くぐりすなはち紅葉冷え 鷹羽狩行
二三枚いろはもみぢの石の土 山口青邨
二三枚もみち汲み出す釣瓶哉 正岡子規 散紅葉
二三枚取て重ねる紅葉哉 正岡子規 紅葉
二三言恋めくも好し紅葉酒 阿波野青畝
二荒や紅葉にこもる瀧の音 正岡子規 紅葉
二荒や紅葉紅葉の山かつら 正岡子規 紅葉
二荒を蒔繪にしたる紅葉哉 正岡子規 紅葉
五大力講者に随いて紅葉狩 阿波野青畝
五山第一一朶早紅葉松の中 山口青邨
亡き人の為に塋(えい)樹も紅葉せり 相生垣瓜人 負暄
亭ところところ渓に橋ある紅葉哉 正岡子規 紅葉
人さわぐ漁村の市や夕紅葉 正岡子規 紅葉
人すでにおちて滝鳴る紅葉かな 飯田蛇笏 山廬集
人すでに落ちて滝鳴る紅葉かな 飯田蛇笏 霊芝
人の老わが老紅葉且つ散つて 安住敦
人もなし紅葉の小橋夕日さす 正岡子規 紅葉
人を迎えて両神山の紅葉饗す 金子兜太
人呼ぶや紅葉の宿のきぬかつき 正岡子規 紅葉
人様も鴉も泣き疲れて紅葉 金子兜太
人氣なき山の紅葉や瀧の音 正岡子規 紅葉
人込の渓の堰へと散紅葉 佐藤鬼房
人避くるごとき暗さに梅もみぢ 鷲谷七菜子 一盞
人間の騒々しさよ草紅葉 高野素十
今は散るのみの紅葉に来り会ふ 細見綾子 牡丹
今は早酔絶え~や夕紅葉 日野草城
今年第一の紅さこの一片の紅葉かな 原石鼎 花影以後
今日の旅鹿島の紅葉間にも合はず 阿波野青畝
今日も又草紅葉せるみちを行く 高野素十
今日生きて今日満山の紅葉に 林翔
仮住みの営林署員紅葉山 右城暮石 散歩圏
仰せの如く今年の紅葉美しき 星野立子
伏流の日向日蔭の谷もみぢ 上村占魚
伏葱に紅葉かつ散る庵せり 富安風生
伶人のならびぬ紅葉かざしつゝ 正岡子規 紅葉
佇ちつくすみ幸のあとは草紅葉 杉田久女
佇ちよれば湯けむりなびく紅葉かな 杉田久女
佐渡人に道問ひ来しが草紅葉 村山故郷
何か蔓紅葉して垂れわがゆくに 山口青邨
何がなし紅葉一樹を目ざしゆく 角川源義
何の木といふことなしに御所紅葉 阿波野青畝
何の木と知れずに紅葉また黄葉 鷹羽狩行
何の木も紅葉となればうつくしき 正岡子規 紅葉
何故か素逝を思ふ散紅葉 星野立子
信心の女美し照紅葉 高浜年尾
信楽の町に出て来し紅葉狩 右城暮石 散歩圏
信濃かな胸の底まで紅葉染 林翔
信玄の権化緋衣紅葉立つ 百合山羽公 樂土
倒木も朽木も秘めて紅葉谷 鷹羽狩行
偽らぬ命の在処(ありか) 照紅葉 伊丹三樹彦
傘にをりをり見すくもみち哉 正岡子規 紅葉もみち<木+色>
傘持の火鉢ほしがる紅葉哉 正岡子規 紅葉
僧僧を送り出でゝ紅葉夕日なり 河東碧梧桐
先生の草鞋も見たりもみぢ狩 正岡子規 紅葉狩
先生の草鞋も見たり紅葉哉 正岡子規 紅葉
先着にあな幣尊と紅葉山 飯田蛇笏 山廬集
全山の紅葉に耐えし薄まぶた 能村登四郎
全山の紅葉八甲田厳と持す 中村汀女
全山の紅葉崩れ場を除く他 山口誓子
兩岸の紅葉に下す筏かな 正岡子規 紅葉
八甲田山麓紅葉また黄菓 鷹羽狩行
八百万神集るごとし紅葉滝 阿波野青畝
公園の高き狐灯紅葉ちる 山口青邨
内宮は畏れ多くて紅葉せず 阿波野青畝
凍てかへる蟇被る朽葉あはれもみぢ 山口青邨
凩の山裏紅葉温泉畑に 河東碧梧桐
分水嶺濃紅葉の川南北ヘ 大野林火 雪華 昭和三十六年
切株は老年の椅子 遠紅葉 伊丹三樹彦
刈萱もまぬがれがたく紅葉して 後藤夜半 底紅
初しぐれ紅葉張りつく青芭蕉 川端茅舎
初時雨して北山の紅葉まだ 木村蕪城 一位
初紅葉せる羞ひを杉囲み 能村登四郎
初紅葉そろそろ松をこぼれけり 正岡子規 紅葉
初紅葉はだへきよらに人病めり 日野草城
初紅葉一入なるや雨のあと 阿波野青畝
初紅葉且つ散ることをしひならふ 上田五千石『風景』補遺
初紅葉北京に知友殖えにけり 松崎鉄之介
初紅葉峡うつくしきところかな 村山故郷
初紅葉白き障子を閉めて無し 日野草城
初紅葉競秀峰の一峰に 高野素十
初紅葉遮るものにつづりけり 阿波野青畝
初陣の功の如くに初紅葉 後藤比奈夫
初鴨の浮寝に距離の 草紅葉 伊丹三樹彦
刻々と紅葉谿眼に暮れて来る 右城暮石 句集外 昭和四十二年
前庭も後庭もうす紅葉して 高浜年尾
前後濃紅葉左右薄紅葉 後藤比奈夫
前硝子皇居の紅葉つけ帰る 山口誓子
十二月さくらもみぢの二葉三葉 松村蒼石 寒鶯抄
十日ほど早き道順紅葉狩 右城暮石 散歩圏
千山の紅葉一すぢの流れ哉 正岡子規 紅葉
半蔀や夕日こぼるゝ濃もみぢを 及川貞 夕焼
卒業期紅葉裡に並む檜笛 香西照雄 対話
南宋の磨崖仏派手蔦紅葉 松崎鉄之介
南岸の茶屋北岸の寺やむら紅葉 正岡子規 紅葉
南関のみち柿紅葉枦紅葉 高野素十
卯辰山が紅葉するよと金沢人 細見綾子
厨の灯ひとつ大きく紅葉宿 山口青邨
去年行幸ありし紅葉の社かな 尾崎放哉 大学時代
又しても秋篠えらぶ紅葉の旅 細見綾子
又一つ紅葉の中に小村哉 正岡子規 紅葉
友等古る片もみぢせる木の下に 山口青邨
双六の高雄の紅葉比叡の雪 後藤比奈夫
古寺に灯のともりたる紅葉哉 正岡子規 紅葉
古暦花も紅葉も枕紙 正岡子規 古暦
古道の蔦の細道紅葉どき 能村登四郎
古里の作のもみぢ極せやらず 阿波野青畝
句碑に凭れもの思ふ処女草もみぢ 松本たかし
合ふといふ水のゆるみに散紅葉 上田五千石『琥珀』補遺
名取川わたり広瀬川草紅葉 山口青邨
吹きおろす神の紅葉や貴船川 水原秋櫻子 殉教
吹きたまる紅葉落葉の玄関に 山口青邨
吹きはるゝきりの跡より紅葉哉 正岡子規 紅葉
吾が影を踏めばつめたし草紅葉 角川源義
吾妻に峠十三もみぢ晴 上村占魚
吾子を率て姫川わたり紅葉の湯 角川源義
味噌色に摺鉢山の紅葉哉 正岡子規 紅葉
命惜し岩根紅葉に夕日沁み 上田五千石 琥珀
和泉酢にひたして紅葉もろこかな 飴山實 次の花
唇におらしょ 桜紅葉を拾い重ね 伊丹三樹彦
唐門に荘厳したる紅葉かな 阿波野青畝
噴煙の 覚束なさよ 裾紅葉 伊丹三樹彦
四万十は蟹のぼるころ峡紅葉 飴山實 句集外
四方山の紅葉疲れを昭和びと 三橋敏雄
四阿に漆紅葉を配したる 後藤比奈夫
回廊の朱のつづきに初紅葉 鷹羽狩行
回廊来をさきがけに島もみぢ 鷹羽狩行
国東の岬の小寺の紅葉踏む 能村登四郎
国見この白光芒 散華紅葉 伊丹三樹彦
圓橋や紅葉に白き蝙蝠傘 尾崎放哉 大学時代
土くれに二葉ながらの紅葉かな 村上鬼城
土を出し蕨手刀草紅葉 山口青邨
土佐はまだ紅葉前線下りてゐず 右城暮石 句集外 昭和六十二年
土蛙浮み紅葉手宗吾生地 香西照雄 対話
地に在りてさくらもみぢはきよらかに 日野草城
地の冷えが幹添ひのぼり沙羅紅葉 鷲谷七菜子 游影
地獄へと岩場紅葉の径傾げ 上田五千石『天路』補遺
坐り見て暖かかりし芝紅葉 星野立子
垂直に岩場紅葉のかつ散れる 松崎鉄之介
城南に展けし原や草紅葉 上村占魚 鮎
城山の蹴落しの谷や夕紅葉 河東碧梧桐
堰といふ水の切口初紅葉 上田五千石 琥珀
堰越えて水の息づく草紅葉 岡本眸
塀低き在郷寺や柿紅葉 正岡子規 紅葉
塀越にかつ散る紅葉暖く 石塚友二 方寸虚実
塔の尖までは入らぬ紅葉描く 後藤比奈夫
塔見ゆや小山つゞきのむら紅葉 正岡子規 紅葉
塔頭にして紅葉且つ散らざるはなし 安住敦
墓の前低き紅葉の一枝なる 川端茅舎
墓場隅の小さき墓の櫨紅葉かな 種田山頭火 自画像 層雲集
墓碑銘は刃字連ねぞ 散紅葉 伊丹三樹彦
壺の丘どれも虫くひ桜もみぢ 佐藤鬼房
夕しくれ見返る山のもみち哉 正岡子規 紅葉




夕もみち女もまじるうたひ哉 正岡子規 紅葉
夕もみぢあるひは水のかげながる 岡井省二 五劫集
夕冷の到る紅葉を手折りけり 日野草城
夕山の裾に紅葉の小村かな 正岡子規 紅葉
夕山や下戸と上戸のむら紅葉 正岡子規 紅葉
夕御饌の待たるゝ神に照紅葉 高野素十
夕日さす村の煙や散る紅葉 正岡子規 紅葉散る
夕日さす紅葉の中に小村哉 正岡子規 紅葉
夕水の光あへなき紅葉かな 日野草城
夕空の息とめていま紅葉山 飯田龍太
夕紅葉あまりの晴天天気の魔 金子兜太
夕紅葉塔には人の凭らぬかな 石橋秀野
夕紅葉寺の木魚ははげにけり 正岡子規 紅葉
夕紅葉我が杖月のかげをひき 川端茅舎
夕紅葉白糸の滝はや暗く 山口青邨
夕紅葉米を洗ひに下男かな 高野素十
夕紅葉角あるものは鹿許り 正岡子規 紅葉
夕紅葉谷川つたひ牛戻る 正岡子規 紅葉
夕紅葉霧来てしばしあそぶかな 安住敦
夕紅葉飯繩に人の淋しがる 正岡子規 紅葉
夕紅葉鯉は浮くまま人去りぬ 山口青邨
夕雲の石門めぐる紅葉哉 正岡子規 紅葉
夕風や紅葉を散らす山鴉 臼田亜郎 定本亜浪句集
多勢の眼に一片の散紅葉 富安風生
夜に入りて草紅葉より虫しぐれ 森澄雄
夜の塔を風音越ゆる散紅葉 水原秋櫻子 晩華
夜の山のかたちとなりぬ紅葉冷え 上村占魚 球磨
夜の濁り今朝とく澄みて紅葉川 富安風生
夜の瀬音棒となりをり紅葉宿 上野泰 佐介
夜の紅葉沼に燃ゆると湯を落す 角川源義
夜明けぬと懸巣が騒ぐ山紅葉 水原秋櫻子 霜林
大うるしからくれなゐに紅葉せり 上村占魚 球磨
大仏と虚子と相笑む紅葉中 山口青邨
大小の朱鞘はいやし紅葉狩 正岡子規 紅葉狩
大崩れの崖裾ひろしむら紅葉 渡邊水巴 白日
大嶺に歩み迫りぬ紅葉狩 杉田久女
大嶺の余勢の尾根の紅葉濃し 松本たかし
大木にして南に片紅葉 松本たかし
大木の四五枚残る紅葉かな 内藤鳴雪
大杉の下に一木の紅葉哉 正岡子規 紅葉
大欅夜を紅葉せり落葉せり 相馬遷子 山国
大滝に至り著きけり紅葉狩 波多野爽波 鋪道の花
大空の身ごろを見たり紅葉山 岡井省二 鯨と犀
大紅葉老友二人仰ぐなり 高野素十
大風のはたと熄みたる櫨紅葉 佐藤鬼房
天地も子供なりけり櫨紅葉 永田耕衣
天辺に紅葉嫌ひの馬が立つ 平畑静塔
奇はつひに凡に及ばず草紅葉 富安風生
奇岩出づ天狗の鼻の紅葉かな 河東碧梧桐
奈良なれや松あを~と初紅葉 日野草城
奈良に来て来だ日の入らぬ紅葉哉 尾崎放哉 大学時代
奔流に合す急流紅葉照る 松本たかし
奥の灘は紅葉散りしく門辺かな 河東碧梧桐
奥多摩のなほ奥の山照紅葉 細見綾子
奥庭やもみぢ蹴あぐる緋の袴 正岡子規 紅葉
奥深き杉の木の間の紅葉かな 正岡子規 紅葉
奥穂より霧降り圏谷の紅葉消す 福田蓼汀 秋風挽歌
奥飛騨の裾よせ合うて紅葉山 鷹羽狩行
女だちたゞばたばたと紅葉宿 山口青邨
女ゆかし紅葉を散らす烟草盆 正岡子規 紅葉
女岳より男岳に櫟もみぢ濃し 能村登四郎
妙義嶺のもみぢここらの草もみぢ 上村占魚
妹と行けば漆の紅葉径に斜め 山口誓子
妻つれて桜紅葉の壺坂へ 山口青邨
妻と見るまるいまあるい紅葉山 岸田稚魚 紅葉山
妻の髪にも 散紅葉のる 告げずにいる 伊丹三樹彦
姉妹佛行手の紅葉闇に消え 森澄雄
嬬恋のもみぢを好しと来し我ぞ 上村占魚 球磨
子が誘ひくれし紅葉の旅一つ 安住敦
子と別る白膠木の紅葉時雨はや 小林康治 四季貧窮
学童の会釈優しく草紅葉 杉田久女
宇治川の瀬を早みかもひた紅葉 松本たかし
宇治川の瀬波淵波もみぢ照る 松本たかし
宇陀吉野駆け巡り来し紅葉狩 右城暮石 散歩圏
宋に習ひ唐に習ひて濃き紅葉 後藤比奈夫
宗達銀杏光琳紅葉焚火あと 川端茅舎
宮島のまんぢゆうに捺す紅葉の型 細見綾子
家あれば菊あり村あれば薄紅葉 正岡子規 紅葉
家すこし牛歸る道の紅葉かな 正岡子規 紅葉
家の裏から鶏鳴す紅葉山 飯田龍太
家まばら牛歸る道の紅葉哉 正岡子規 紅葉
家やいづこ夕山紅葉人歸る 正岡子規 紅葉
家居して庭のさ中の梅紅葉 岡井省二 鹿野
寄り添ひて野鶴はくろし草紅葉 杉田久女
寄進礼大寄進礼照紅葉 高野素十
寒暖の風の波うつ紅葉山 飯田龍太
寺あれば紅葉もありてむら時雨 正岡子規 時雨
寺やある夕山紅葉木魚打つ 正岡子規 紅葉
寺山の初心の紅葉を讃へあふ 上田五千石『琥珀』補遺
寺紅葉京の柿賣は女なり 正岡子規 紅葉
寿福寺はけふはまゐらず紅葉見て 山口青邨
小倉山見ゆ境内の紅葉折る 高野素十
小原女の衣ふるへばもみぢ哉 正岡子規 紅葉
小塩山から昏れどきの紅葉とぶ 岡井省二 鹿野
小田べりの水無瀬の紅葉水鏡 阿波野青畝
少婦岩とやさびさびと散紅葉 佐藤鬼房
尚深く住みなす家ぞ紅葉谷 中村汀女
就中ワインの如き紅葉かな 阿波野青畝
尺八の手に持ちそふるもみち哉 正岡子規 紅葉
尼が掃く穂先の濡れて渓紅葉 原裕 青垣
尾に化粧塩たつぷりと紅葉鯛 鷹羽狩行
居風呂に紅葉はねこむ筧哉 正岡子規 紅葉
屋根見ゆる凹地の寺や柿紅葉 河東碧梧桐
山かげの紅葉たく火にあたりけり 杉田久女
山どこも落石地帯紅葉狩 右城暮石 散歩圏
山に倚つて家まばらなりむら紅葉 正岡子規 紅葉
山に日が当たれば日暮紅葉狩 右城暮石 散歩圏
山の日は月より淡し霧紅葉 福田蓼汀 秋風挽歌
山の辺のみちの細みち菱紅葉 阿波野青畝
山はくつ日のてりわける紅葉かな 正岡子規 紅葉
山は紅葉か宿は黒部の水音なり 荻原井泉水
山びこす稲架の鴉にうす紅葉 飯田蛇笏 霊芝
山国の紅葉の色空の色 細見綾子
山坂に爪立ち憩ふ紅葉かな 松本たかし
山姥の杖もや触れて散紅葉 富安風生
山姥や紅葉くづしのしぐれして 百合山羽公 樂土以後
山姫の岩も鐫りけんむら紅葉 河東碧梧桐
山寺に塩こぼし行くもみちかな 正岡子規 紅葉もみち<木+色>
山寺の鐘に見あくる紅葉哉 正岡子規 紅葉
山寺は踏み場所もなく紅葉散る(桧倉高源寺) 細見綾子
山寺や無縁の墓に散る紅葉 正岡子規 紅葉散る
山彦のわれを呼ぶなり夕紅葉 臼田亜郎 定本亜浪句集
山日和すこし崩れぬ紅葉狩 松本たかし
山毛欅紅葉褪せてぞ光る白馬鎗 水原秋櫻子 帰心
山深く幹のまはりの照紅葉 桂信子 花影
山深し樫の葉の落ちる紅葉散る 正岡子規 散紅葉
山牛蒡紅葉淋漓と紅流す 山口青邨
山紅葉一径雲に到るらし 水原秋櫻子 殉教
山紅葉女声は鎌の光るごと 中村草田男
山紅葉明けて一天瑠璃なりき 水原秋櫻子 霜林
山紅葉県の牧場通りけり 河東碧梧桐
山紅葉色こき交ぜしところかな 星野立子
山紅葉雀鴉は何処で死ぬ 津田清子
山紅葉離れし宙に奥穂高 水原秋櫻子 緑雲
山紅葉顔紅葉大気紅葉かな 平井照敏 天上大風
山紅葉飛ぶを怺へて火の如し 百合山羽公 樂土
山葡萄なつかしきかなや紅葉せる 水原秋櫻子 磐梯
山葡萄杉に紅葉をかかげけり 水原秋櫻子 餘生
山裾に寺をかためて紅葉かな 阿波野青畝
山襞のいづれも浅く初紅葉 能村登四郎
山賊のすみかを問へば鳶紅葉 正岡子規 蔦紅葉
山門に赫つと日浮ぶ紅葉かな 飯田蛇笏 霊芝
山門に赫と日浮ぶ紅葉かな 飯田蛇笏 山廬集
山門や富士を真上に照る紅葉 村山故郷
山駕の空からくるやむらもみち 正岡子規 紅葉
山駕や雨さつと來る夕紅葉 正岡子規 紅葉
山鳥のしだり尾動く紅葉哉 正岡子規 紅葉
岨道を横に駕舁く紅葉かな 内藤鳴雪
岩々のくつがへりをる紅葉かな 石田勝彦 秋興
岩あれば蔦紅葉道あれば草紅葉 星野立子
岩がくれ紅葉がくれに浴女あり 上村占魚
岩が大きな岩がいちめんの蔦紅葉 種田山頭火 自画像 落穂集
岩に腹つけてのぞけばもみち哉 正岡子規 紅葉
岩に蔦もみぢ松島瑞巌寺(NHK衛星テレビのため松島で) 細見綾子
岩またぎ岩くゞり紅葉見てありく 正岡子規 紅葉狩
岩小屋に紅葉時雨をやりすごし 福田蓼汀 山火
岩山や空に這ひつく蔦紅葉 正岡子規 蔦
岩窪は散紅葉のみ法師川 水原秋櫻子 殉教
岩鼻に見上げ見下す紅葉哉 正岡子規 紅葉
峡紅葉会津芸者は性こはく 山口青邨
峡紅葉神鼓の音の底を匍ふ 桂信子 花影
峯紅葉して全容を仰がする 上田五千石『琥珀』補遺
峰渡りの足溜り一寺紅葉かな 河東碧梧桐
島ぐらし銀杏もみぢの全しや 佐藤鬼房
崖しづくしたたる萱や紅葉しぬ 飯田蛇笏 山廬集
崖紅葉して祖谷紅葉谷づくし 原裕 青垣
崖紅葉利根の奥なる瀬のたぎち 村山故郷
崖萌えのシートを干せり紅葉寺 右城暮石 句集外 昭和五十八年
嵐山はつかにもみちそめにけり 正岡子規 紅葉
嶺の雪に月照りそめぬ夕紅葉 松本たかし
嶺襞の険しさぶなの紅葉の上 高浜年尾
川あれば澄み三河路はもみぢ時 能村登四郎
川ぞこの石くれてゐる紅葉かな 大野林火 海門 昭和八年
川の名のかはり此処より谷紅葉 上村占魚
川べりの櫨紅葉せり筑紫なる 山口青邨
川一つ處々のもみぢ哉 正岡子規 紅葉
川底の石にかゝりて櫨紅葉 飴山實 句集外
川青く瀧白し紅葉處處 正岡子規 紅葉
川音に雨かぶさりぬ紅葉鮠 山口青邨
工事機も黄色赤色紅葉谿 右城暮石 句集外 昭和六十二年
工事車を寄せてもらって紅葉狩 右城暮石 散歩圏
帚目に紅葉かつ散る無欲の日 原裕 葦牙
帝劇の夜の燦爛を紅葉ちる 山口青邨
帯解のいろはもみぢの散りにけり 古舘曹人 樹下石上
常念嶽の常居る軒の紅葉晴 松本たかし
常盤木にまじりて遲き紅葉哉 正岡子規 紅葉
常香炉もえて紅葉を幽かにす 阿波野青畝
幕吹いて伶人見ゆる紅葉哉 正岡子規 紅葉
平凡は幸福なこと町紅葉 高田風人子
幻影は弓矢を負へり夕紅葉 三橋鷹女
幾変遷~や草紅葉 高野素十
幾色の紅葉の丘に照る日あり 及川貞 夕焼
庫裡に引く山水細し紅葉冷 橋閒石 雪
庭石の一つを埋め紅葉ちる 山口青邨
庭紅葉大稲橇を立てかけし 高野素十
廃坑の梯子奈落に櫨紅葉 山口青邨
廊下から手燭をうつすもみち哉 正岡子規 紅葉もみち<木+色>
廿橿の丘の雑木のもみぢかな 山口青邨
強き灯の照らすところの紅葉かな 日野草城
径ふさぐ黎紅葉の露ながら 山口青邨
径尽きし丹波奥山火のもみぢ 鷲谷七菜子 天鼓
御手洗の底にも沈む紅葉かな 細見綾子
御連枝の末まで秋の錦かな 正岡子規 紅葉
快く睫毛つめたく紅葉冷 富安風生
急に冷ゆ栗駒山日暮もみぢかな 佐藤鬼房
急流の跳ねゐる玉やうす紅葉 松本たかし
急流は水の坂なり初紅葉 鷹羽狩行
恋ともちがふ紅葉の岸をともにして 飯島晴子
恐ろしきいはほと見れば紅葉かな 正岡子規 紅葉
悪路王の血の達谷の紅葉かな 松崎鉄之介
惜別の斯くの如くに紅葉せり 高野素十
惡僧の女捉ふる紅葉かな 正岡子規 紅葉
懸巣鳴き紅葉くぐりて紅葉ちる 百合山羽公 寒雁
戎山の紅葉流るゝ小川哉 正岡子規 紅葉
我はたゞ草紅葉せるみちを来し 高野素十
戦後の子紅葉のうらに赤々と 中村草田男
手ぐられて葡萄の紅葉うらがへし 前田普羅 飛騨紬
手も足も顔も野寺の紅葉かな 正岡子規 紅葉
手をひたす幼な姉妹や紅葉川 佐藤鬼房
手向山の紅葉に鹿を愛すかな 河東碧梧桐
手拭に紅葉打ちこむ砧かな 正岡子規 紅葉
手拭に紅葉打ち出す砧かな 正岡子規 紅葉
手水かけ紅葉の彩のほしいまま 角川源義
手袋を君より借りぬ紅葉冷 山口青邨
打ちかへす野球のひゞき草紅葉 杉田久女
抽きんでてさびしからずや初紅葉 林翔
掌上に 遠望の韓 草紅葉 伊丹三樹彦
掛稲の上の紅葉は上の茶屋 富安風生
摂津紅葉よ男が除幕で泣くなんて 楠本憲吉 方壺集
攻防の山城あはれ草紅葉 山口青邨
散りいそぐ紅葉の心手炉欲す 阿波野青畝
散りかさむ紅葉夕日につがもなし 松村蒼石 雪
散りし夢地に生きてゐる柿もみぢ 細見綾子
散りすさぶ雑木紅葉や百舌鳥を売る 河東碧梧桐
散りやすむ紅葉行雲とどまらず 福田蓼汀 秋風挽歌
散り残るもみぢ一葉に燦たる陽 林翔
散り紅葉早や燃やしゐる煙かな(箱根早雲寺宗祇碑、裏山に墓あり) 細見綾子
散るのみの紅葉となりぬ嵐山 日野草城
散る紅葉 初老の栞にするがいいと 伊丹三樹彦
散る紅葉女戒を犯す法師あり 正岡子規 散紅葉
散れば彩とどまれば色蔦紅葉 稲畑汀子
散紅葉 魚籠出の鱒の跳ね場とし 伊丹三樹彦
散紅葉すればしがらみ滞る 阿波野青畝
散紅葉はなやかなれば苔寒し 日野草城
散紅葉ふかきところに踏み入りぬ 富安風生
散紅葉まともにかぶり杉苗山 能村登四郎
散紅葉より幹立てり幹立てり 清崎敏郎
散紅葉一二片づつたゆるなし 清崎敏郎
散紅葉交へて離々と初氷 川端茅舎
散紅葉人なつかしく重なりて 中村草田男
散紅葉子がひろひしは美しき 日野草城
散紅葉草の庵の屑を売り 川端茅舎
散紅葉錦の褥誰寝ぬる 山口青邨
散紅葉鎌倉ギャルも織りまぜて 百合山羽公 樂土以後
散紅葉雪の如くに蹴立て見る 上野泰 佐介
散紅葉鳥獣絵巻かくれなし 水原秋櫻子 旅愁
敵若し紅葉の靄をひきかへす 飯島晴子
敷り紅葉拾うて見たれ捨てにける 臼田亜郎 定本亜浪句集
敷紅葉岩ばかりなるいづこより 富安風生
文と詩と松と紅葉とまじりたり 正岡子規 紅葉
新宿の御苑すゐれん紅葉して 細見綾子
新聞報ず瀧の川の紅葉散ると 正岡子規 散紅葉
方等と般若と懸る紅葉哉 正岡子規 紅葉
旅の肌着そろへて桜もみぢの日 鷲谷七菜子 天鼓
旅人のもみちに暮れていそぎけり 正岡子規 紅葉
旅鞄おろせ おろせと 草紅葉 伊丹三樹彦
旅鞄傷だらけにて紅葉に酔ふ 細見綾子
旗は菊は人は錦のむら紅葉 正岡子規 菊
日に透けて残る紅葉も二三枚 山口青邨
日一日 天の空きゆく 散紅葉 伊丹三樹彦
日光に紅葉せぬ木はなかりけり 正岡子規 紅葉
日光の空をこがすや夕紅葉 正岡子規 紅葉
日光は木さへ岩さへ紅葉哉 正岡子規 紅葉
日光は杖にする木も紅葉かな 正岡子規 紅葉
日光は紅葉を葺いて祭かな 山口青邨
日光も奥へ来過ぎぬ散紅葉 木村蕪城 一位
日展のはじまるさくら紅葉かな 星野麥丘人 2001年
日表を塀崩れたる紅葉かな 正岡子規 紅葉
早紅葉のはさまる森となりにけり 阿波野青畝
早紅葉の一聯二聯七かまど 清崎敏郎
早紅葉の松間を走り嵐山 高浜年尾
昃りて紅葉一本づつになる 後藤比奈夫
昃ればいよよ早瀬や夕紅葉 松本たかし
明るくて天のむなしさ夕紅葉 山口誓子
明六つの鐘に満山紅葉せよ 阿波野青畝
昏れながら放つ光や初紅葉 桂信子 花影
昏れゆくに水面の紅葉まくれなゐ 桂信子 花影
星空と濡れて一夜の紅葉山 松村蒼石 雁
春の山淋しさうなる山のあり 岸田稚魚 紅葉山
春もみぢ子を前にわが余命言ふ 林翔 和紙
昼酒のあとの山行紅葉酔ひ 能村登四郎
時雨るゝや紅葉を持たぬ寺もなし 正岡子規 時雨
晴天の紅葉古びて散りにけり 日野草城
暮れ行くや杉の林の薄紅葉 正岡子規 紅葉
暴れ山源にして紅葉谿 右城暮石 句集外 昭和五十六年
曇り日や地熱の色の紅葉山 林翔
曇り来て冷えをあらたに初紅葉 鷲谷七菜子 游影
書生四五人紅葉さしたる帽子哉 正岡子規 紅葉狩
曾我の森何かきびしく紅葉せり 山口青邨
月に寐て夜半きく雨や紅葉宿 高野素十
月までの提灯借るや紅葉宿 高野素十
月下にてもの影うごく散もみぢ 松村蒼石 雪
朝なれや谷対ひ合ふうす紅葉(横蔵寺) 細見綾子
朝光に白犬紅葉に山の嫁 金子兜太
朝起きて遠山紅葉惜しむかな 細見綾子
朝霧の杉にかたよるもみち哉 正岡子規 紅葉
木*れん樹(もくれんじ)紅葉に思ひ出すことも 後藤比奈夫
木々の間に紅葉のいろのかたまれる 長谷川素逝 暦日
木の間より正倉院の柿紅葉 河東碧梧桐
木棉取高雄の紅葉まだ早し 正岡子規 棉摘
木道に十字路ありて草紅葉 鷹羽狩行
木馬みちわたりて比古の紅葉狩 高浜年尾
朴落葉ぬるで紅葉の谷間かな 河東碧梧桐
杉の奥に白雲起る紅葉哉 正岡子規 紅葉
杉の木や三百年の鳶紅葉 正岡子規 蔦紅葉
杉・もみぢなだれの底に貴船みゆ 能村登四郎
杉中の紅葉はくらし木馬道 能村登四郎
杉山にまじりしゆゑの遅紅葉 能村登四郎
杉山に阻まれ通し紅葉狩 右城暮石 散歩圏
杉山の中に一峰紅葉せり 右城暮石 一芸
杉暗く紅葉散るなり御幸橋 正岡子規 散紅葉
杉木立中に紅葉の家居あり 正岡子規 紅葉
杉襖小春の紅葉かこひけり 川端茅舎
村に入り村を出て行く紅葉狩 右城暮石 句集外 平成四年
村中の池や紅葉をひた映す(白山山麓白峰村) 細見綾子
東野の紅葉ちりこむ藁火哉 正岡子規 散紅葉
松ありて濃く松ありて濃き紅葉 後藤比奈夫
松に紅葉の行き行けば庵の松の一本 荻原井泉水
松の中ひそかにもみちそめにけり 正岡子規 紅葉
松の木はあらはれにけりむら紅葉 正岡子規 紅葉
松の蔦きたならしくも紅葉哉 正岡子規 蔦紅葉
松の間にさし入る朝日櫨紅葉 右城暮石 虻峠
松もまた色新しや山紅葉 相馬遷子 雪嶺
松二木蔦一もとのもみぢ哉 正岡子規 蔦紅葉
松山へ桜紅葉の明るさよ 右城暮石 句集外 大正十四年
松明の山上り行くもみち哉 正岡子規 紅葉
松杉や朱の圍垣の薄紅葉 正岡子規 紅葉
松紅葉中に暮るゝや大悲閣 正岡子規 紅葉
林中の柿のびのびと紅葉せり 右城暮石 天水
枝にして桜紅葉の疎なるかな 清崎敏郎
枝ばなれし桜のもみぢ落ちをはる 日野草城
枝もみぢ唄といはんに語りにて 岡井省二 有時
枯木ともしらずに蔦の紅葉哉 正岡子規 蔦紅葉
枯紅葉白き柩を行かしむる 日野草城
枯紅葉老の心も似たりけり 阿波野青畝
染返す時雨時雨のもみぢ哉 正岡子規 時雨
柱よりはじまりゐるや谷紅葉 松本たかし
柳樹屯紅葉する木もなかりけり 正岡子規 紅葉
柿の實の三ツ四ツ柿の紅葉哉 正岡子規 紅葉
柿の村ぬけて紅葉の村に入る 右城暮石 散歩圏
柿もみぢ輸出の機のうつくしく 山口青邨
柿紅葉肺のいづこか疼きをり 角川源義
柿紅葉載せ安絵本祭店 香西照雄 対話
柿賣て淋しき柿の紅葉哉 正岡子規 紅葉
栂の尾へなだるる紅葉杉が堰き 能村登四郎
栂尾や紅葉にかゝるこぼれ酒 正岡子規 紅葉
栃紅葉黒薙ながる百尺下 水原秋櫻子 帰心
栗鼠跳んで満天星紅葉越え行けり 水原秋櫻子 蘆雁
桜もみぢかつ散り雨の羊山 石塚友二 磊[カイ]集
桜もみぢ山に対して日過すや 細見綾子
桜もみぢ秋篠寺に拾ふかな 細見綾子
桜紅葉しばらく照りて海暮れぬ 角川源義
桜紅葉なるべし峰に社見ゆ 河東碧梧桐
桜紅葉入る日は神のうしろなる 渡邊水巴 富士
桟橋に舟着く紅葉昃るとき 深見けん二
梅屋敷とは宿の名や紅葉狩 山口青邨
梅紅葉天滿の屋根に鴉鳴 正岡子規 紅葉
棚といふ棚もみぢして葡萄郷 鷹羽狩行
棚田見えて紅葉に遠き処かな 河東碧梧桐
森の奥名残りの紅葉もゆるなり 角川源義
植木林紅葉する木は一木のみ 山口誓子
楢の木の紅葉櫟の木の紅葉 高野素十
楢もみぢ命あまさず生きむとす 角川源義
極月やなほも枯れゆく散紅葉 渡邊白泉
榎紅葉町に二つの一里塚 松崎鉄之介
榻一つどうだん紅葉一本かな 後藤夜半 底紅
模擬店の裏方として紅葉散る 後藤比奈夫
横雲のすき間こほるゝもみち哉 正岡子規 紅葉
樫多く紅葉稀なり山深み 正岡子規 紅葉
樹に寄れる蔦真先に紅葉せり 山口誓子
橋一つ樵夫の通ふ紅葉かな 正岡子規 紅葉
橋赤く谷川青し薄もみち 正岡子規 紅葉
橙紅葉旧宿堝町半ば墓地 松崎鉄之介
檜山と峙して満山紅葉かな 河東碧梧桐
檻の前猿が散らせし紅葉かな 河東碧梧桐
櫓が揺らす水面の紅や山もみぢ 林翔
櫨紅葉にも燃ゆる色沈む色 稲畑汀子
櫨紅葉伊賀の組紐買はんとて 飴山實 次の花
櫨紅葉北上光り去るところ 中村汀女
櫨紅葉女人その後の旅いかに 飯田龍太
櫨紅葉峠路になほ残る伊豆 高浜年尾
櫨紅葉柿紅葉里の夕榮す 正岡子規 紅葉
櫨紅葉海に映れる牡蠣殼山 細見綾子
櫨紅葉濃し鮭川のほとりゆゑ 清崎敏郎
櫨紅葉芒の奥にしぐれつつ 水原秋櫻子 浮葉抄
櫨紅葉見てゐるうちに紅を増す 山口誓子
櫨紅葉越しに原爆ドーム見る 稲畑汀子
櫻にもまさる紅葉の小春かな 正岡子規 小春
欅の樹銹びたる紅葉残りゐて 細見綾子
此處はかり夕日の殘る紅葉哉 正岡子規 紅葉
武者一騎夕山こゆる紅葉哉 正岡子規 紅葉
武蔵野のもみぢといふはみな雑木 高浜年尾
武蔵野も狭山が果てやうす紅葉 高浜年尾
武蔵野や木々を見上げて草紅葉 鷹羽狩行
死のごとく眠りて旅や草紅葉 森澄雄
残る柿紅葉せぬ葉もさはなりけり 水原秋櫻子 帰心
残照の紅葉一天裏石廊 古舘曹人 能登の蛙
母病みて桜紅葉の遠き嶺 原裕 青垣
母神には紅葉着飾る木も子なり 山口誓子
毎日が去る日ばかりや散紅葉 百合山羽公 樂土
毘沙門天兄にかも似し紅葉晴 山口青邨
水かけて道の夜寒に紅葉売る 右城暮石 声と声
水に嗽ぎ湯に枕して紅葉かな 河東碧梧桐
水の神三柱祀る草紅葉 右城暮石 天水
水の飛騨紅葉心身のごと落ちる 金子兜太
水よりも岩のなめらか紅葉どき 鷹羽狩行
水勢を火急と見たり櫨紅葉 上田五千石 森林
水叫び紅葉騒立ち字治暮るる 松本たかし
水少しあれば草蓼もみぢせる 細見綾子
水晶や葡萄のあとの紅葉冷え 百合山羽公 樂土
水晶をかざり馬くさき紅葉茶屋 山口青邨
水流をつひにはなれず紅葉狩 上田五千石『風景』補遺
水源に紅葉の一枝水浸る 山口誓子
水草の石をつつみて紅葉せる 山口青邨
水草の紅葉はじめを目に掬ふ 上田五千石『琥珀』補遺
水草紅葉沼のいろはにほへとかな 山田みづえ 木語

以上
by 575fudemakase | 2016-10-28 18:51 | 秋の季語


俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


by 575fudemakase

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▽ある季語の例句を調べる▽

《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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