冬の波 の俳句

冬の波 の俳句

冬の波

例句を挙げる。

冬の日の眼に満つる海あるときは一つの波に海はかくるる 佐藤佐太郎
冬の波よりはらはらと鵜となりて 村松紅花
冬の波冬の波止場に来て返す 加藤郁乎(1929-)
冬の波募れど鴎水平に 香西照雄 対話
冬の波穂激し進めば左右に同志 香西照雄 対話
冬の波翳捨てきつて起ちにけり 鷲谷七菜子 雨 月
冬の波胸に抱く灯のおびただし 伊藤淳子
冬の波軍艦岩をひと呑みす 富内英一
玄冬の波に唇ささくれて 高澤良一 寒暑
遠き遠き恋が見ゆるよ冬の波 鈴木真砂女
離愁あらたつんつんれる生れる冬の波 川口重美
しばらくは助走のかたち冬の濤 小泉八重子
一白艇冬の濤穂が発射せしか 香西照雄
全景の宿の絵葉書冬の浪 桂信子 遠い橋
冬の浪くづるゝ音を立つるかな 鈴木真砂女
冬の浪よりはら~と鵜となりて 村松紅花
冬の浪従へるみな冬の浪 山口誓子
冬の浪牙の如くに光りたる海が見えゐつ吾の椅子より 岡部文夫
冬の浪飛びつ湯屋まだ開かぬ正午 宮津昭彦
冬の濤あらがふものを怒り摶つ 富安風生
冬の濤目つむり耐へる家ばかり 福田甲子雄
冬の濤見せに抱きゆく男の子 野澤節子 黄 炎
岩鼻や千鳥を上げて冬の浪 島村元句集
峙つ巌に拍子抜けたる冬の濤 小原菁々子
師の前にたかぶりゐるや冬の濤 橋本多佳子
抱擁を解くが如くに冬の濤 加藤三七子
材木座地下道を抜け冬の濤 山西雅子
海胆の棲む海にぎつしり冬の濤 三谷昭 獣身
漁小屋の一枚窓や冬の浪 楠目橙黄子 橙圃
玄海の引くを知らざる冬の浪 伊藤通明
立ち岩寝岩に光りとびつく冬の浪 柴田白葉女 花寂び 以後
舷をどたりと打つや冬の浪 日野草城
荼毘をまつ憶ひのはての冬の濤 石原舟月
藁塚のうしろにあがる冬の浪 小山南史
鍋奉行いつも後ろに冬の濤 川崎陽子
鬣を打ち振れ我へ冬の濤 金箱戈止夫
お互の冬波あふり川蒸気 高濱年尾 年尾句集
この昏き冬波悼む心あり 桑田青虎
しはぶくや冬浪の穂の明るさに 内藤吐天 鳴海抄
たちあがる冬波はまた男波 朝倉和江
ひしひしと冬浪寄せて枯葦なり 村上しゆら
ぶらんこ漕ぐ下駄裏冬濤旅人へ 香西照雄 対話
また逢ふはさだめがたなく冬濤に 小坂田規子
コップ砕くごと寒濤岩に散る 内藤吐天 鳴海抄
ポン~船の冬波犬と残りたり 細見綾子 冬薔薇
一枚の冬波湾を蔽ふとや 高野素十
一湾を揉めり冬浪押し寄せて 茨木和生 木の國
俊寛の見し冬浪もこれならむ 高平春虹
冬波とともに暮れゆく母仔馬 石原八束 空の渚
冬波に乗り夜が来る夜が来る 角川源義(1917-75)
冬波に松は巌を砦とす 松野自得
冬波に礁暮れんとするところ 高濱年尾 年尾句集
冬波に背けば炎き常陸山脈 富澤赤黄男
冬波のとどろきに身を支へをり 原コウ子
冬波のもんどり打つて戻りけり 鈴木真砂女 夕螢
冬波の人遠ざける青さかな 黛まどか
冬波の古代群青の水かゞみ 齋藤玄 飛雪
冬波の引き忘れたる毬ひとつ 中嶋秀子
冬波の燃ゆ黄昏にまねかるる 石原八束 空の渚
冬波の牙のみみせて真暗がり 鈴木真砂女 夕螢
冬波の百千万の皆起伏 高野素十(1893-1976)
冬波の穂のちぎれとび壇ノ浦 桑田青虎
冬波の群ひとりの部屋つくる 角川源義 『口ダンの首』
冬波は打合へりわが船北へ 高濱年尾 年尾句集
冬波も礁も暮るゝ見つゝ来し 高濱年尾 年尾句集
冬波や崖に出てよむ母の文 石原八束 『秋風琴』
冬波や急展開の文弥節 小島 健
冬波や浜のあざらしまで幾重 鈴木幸江
冬波をおそれに来しか見に来しか 谷野予志
冬波を集めて真珠筏鳴る 井上 雪
冬浪となるべく沖に力溜む 菖蒲あや あ や
冬浪と暮るるほかなき浪ころし 百合山羽公 寒雁
冬浪と砂丘と夫と吾とのみ 山口波津女 良人
冬浪に呼ぶ名消されぬ太声欲し 内藤吐天 鳴海抄
冬浪のひかり鴎となりてたつ 桑原志朗
冬浪の前に屈みて貝拾ふ 山口波津女 良人
冬浪の壁おしのぼる藻屑かな 野見山朱鳥
冬浪の尖りてのぼる隅田川 高浜虚子
冬浪の白起つばかり鯨望荘 高澤良一 燕音
冬浪の空に失せたるところかな 上野泰 春潮
冬浪の立ち上るとき翡翠色 高木晴子
冬浪の綺羅の奥より亡父の声 柴田白葉女
冬浪の身を擲ちし渚かな 上野泰 春潮
冬浪の銀扇の飛ぶ虚空かな 上野泰 春潮
冬浪の音の聴きたく障子開け 後藤夜半 底紅
冬浪の音断つ玻璃に旅寝かな 佐土井智津子
冬浪や出会ひがしらの深廂 松山足羽
冬浪を見ているいつか肩を張り 石橋辰之助
冬浪を見て立つ拳握り立つ 大橋敦子 匂 玉
冬濤とわかれ大きく汽車曲る 木下夕爾
冬濤に向きゐるゆゑの涙かや 佐久間慧子
冬濤に島を守れる禰宜一人 鶴田佳三
冬濤に思ひやまざる恋といふか 稲垣きくの 黄 瀬
冬濤に捨つべき命かもしれず 稲垣きくの 黄 瀬
冬濤に捨てたきものの捨てきれず 稲垣きくの 黄 瀬
冬濤に泛きつ沈みつ弥彦あり 佐藤耐雪
冬濤に立つ吾を父の瞳はなれざり 国弘賢治
冬濤に鵜にこそ似たれ志賀の蜑 下村梅子
冬濤のうはずる声を越後にて 猪俣千代子 秘 色
冬濤のかなしきところ合掌す 河野静雲
冬濤のすべて燈台の視界なり 米沢吾亦紅 童顔
冬濤のなだるゝ音の胸にあり 徳永山冬子
冬濤の恐さを水夫識つてをり 柴田道人
冬濤の掴みのぼれる巌かな 橋本鶏二(1907-90)
冬濤の最先端の力かな 石谷秀子
冬濤の果てなき濤を沖とせり 米沢吾亦紅 童顔
冬濤の海傾けて寄せきたる 西山小鼓子
冬濤の渾身立てるとき無音 ながさく清江
冬濤の激つりズムに疼く思慕 稲垣きくの 黄 瀬
冬濤の玄海はむべ男灘 辻田克巳
冬濤の白きたてがみ日本海 林 徹
冬濤の眉間砕けし白煙 中村草田男
冬濤の立ち上がるとき礁あり 藤松遊子
冬濤の肩にあらはれほんだはら 小原菁々子
冬濤の荒磯路二つ相会はず 福田蓼汀 秋風挽歌
冬濤の裂ける白さに巌立つ 稲岡長
冬濤の見ざれば仁王立ちするか 平井照敏
冬濤の道に流れて旅をはる 金尾梅の門
冬濤の高きうねりや那覇を出て 河野静雲
冬濤はその影の上にくつがへる 富安風生
冬濤は鬼の奏でる平家琵琶 出井哲朗
冬濤やいちづなるもの折れ易し 野見山ひふみ
冬濤や一途なるもの折れやすし 野見山ひふみ
冬濤や曳航の綱強く張り 館岡沙緻
冬濤や痩せしとおぼゆ夫婦岩 宇咲冬男
冬濤や能登金剛は巌ばかり 渡辺かつじ
冬濤をかぶりて沈む夕日かな 橋本鶏二 年輪
冬濤をかぶるところに真水の井 京極杞陽
冬濤を摶つ雪白の大き翼 内藤吐天 鳴海抄
冬濤ヘカーブを切れば富士のあり 今橋眞理子
冬濤散華狂ひしものは寧からん 福田蓼汀 秋風挽歌
口きいてくれず冬濤見てばかり 鈴木真砂女
天垂れて冬浪これをもてあそぶ 木下夕爾
寒濤に富士立ち上がる如くあり 今橋眞理子
寒濤のあがりそこねてくづれけり 岸田稚魚
寒濤のひびきまつはる身をかばふ 杢子朱男
寒濤の向かうに廣間あるごとし 佐々木六戈 百韻反故 冬の皺
寒濤の抱き去るものの何もなし 宇咲冬男
寒濤の捲き込む青や逆光裡 永井龍男
寒濤の村秀づるは火の見のみ 大岳水一路
寒濤の果に明るき日の海面 稲畑汀子
寒濤の鵜をひそめたる閑けさよ 永井龍男
寒濤へ昭和の落暉呑まれゆく 甲斐すず江
岩あれば冬濤百態父子睦ぶ 香西照雄 対話
巌噛むは冬濤すべて三角波 三谷昭
想ひ絶てよと冬濤しぶき頬を打つ 稲垣きくの 黄 瀬
掛け時計冬波荒るゝ船中に 右城暮石 上下
放心の妻に近づく蛍あり 大喜多冬浪
暮れゆくや寒濤たたむ空の声 臼田亞浪 定本亜浪句集
暴走族冬浪に行き着きし頃 汎 馨子
枕かへし冬濤の音ひきよせる 橋本多佳子
残業も冬波もまた闇深し 対馬康子 純情
母の背のごとき冬浪大島行 岩田昌寿 地の塩
永睡りしたり冬濤の白水沫 石田波郷
父の匂いの冬波が棲む蕎麦枕 宮川としを
牧水碑冬濤うれひひびくなり 石原舟月
犬吠の冬濤に目を峙てし 高浜年尾
獄いたるところ守宮の夫婦愛 大喜多冬浪
玄界の冬濤を大と見て寝ねき 山口誓子
白脚絆冬濤とほく崩れけり 斎藤梅子
砕け散るために冬濤寄するなり 大橋敦子 匂 玉
立ち上りくる冬濤を闇に見し 清崎敏郎(1922-99)
競の夜の闇に見えくる。冬浪にさらされて白きけだものの骨 岡野弘彦
米袋負ひて冬浪すれすれに 細見綾子
耶蘇の島冬浪絶えず咆哮す 桑田青虎
胸先に冬濤ひかり暮れゆけり 角川源義
蝕の夜の闇に見えくる。冬浪にさらされて白きけだものの骨 岡野弘彦
貝拾ふ冬浪に向き且つ背き 山口波津女 良人
起ちても濤かがみても濤どうしやうもなくて見てゐる高志の冬濤 木俣修
鉄切りしあとのしづけさ冬浪す 細見綾子 雉子
鉄橋を海の冬波くゞり抜ける 右城暮石 声と声
錨打ち冬濤に舳の従ひぬ 小田尚輝
魚裂いて冬波に腑を投げ返す 大串章 百鳥
三つ石の幣に静まる冬怒涛 満田玲子
冬怒涛防人の如聴くひとり 江口竹亭
冬怒濤にうつてつけなる北の空 大牧 梢
冬怒濤何の化身のテトラポット 百合山羽公 寒雁
冬怒濤否定の他に答無し 津田清子
冬怒濤噛む岩々に神在し 大橋敦子 匂 玉
冬怒濤引き出す骨のしゃく焔立つ 村上高悦
冬怒濤白馬のひづめ砂深く 渡辺恭子
冬怒濤衰ふるときかへりみず 山田みづえ 手甲
冬怒濤陸に達してなくなりぬ 原田喬
天日も鬣(たてがみ)吹かれ冬怒濤 野澤節子(1920-95)
打ちつけて火の生まるるか冬怒濤 能村研三 騎士
眼前も眼中も昏れ冬怒濤 木村敏男
稚魚の向くオホーツク海の冬怒濤 石川文子
裂傷もつホテルの硝子冬怒濤 寺田京子
韃靼の馬嘶くや冬怒涛 角川春樹
鶏けけと道に交むや冬怒濤 大野林火
寒浪のもはらに暗き葎かな 齋藤玄 飛雪
石廊崎沖ターナーの冬白浪 高澤良一 鳩信
冬浪の彼方鴎の千里眼 高澤良一 燕音

冬の波 補遺

*えり網に漉きこまれゆく冬の波 清崎敏郎
うち伏して冬濤を聴く擁るる如 橋本多佳子
うめもどき冬濤を遁れ来し息よ 草間時彦 中年
おのが上げしものに届かぬ冬の波 岡本眸
お互の冬波あふり川蒸気 高浜年尾
きりぎしに冬濤しろく児をおもふ 角川源義
ここ市振冬濤に汽車声あげ過ぐ 大野林火 雪華 昭和三十六年
さみしさは冬濤に日の当るとき 岡本眸
ぶらんこ漕ぐ下駄裏冬濤旅人ヘ 香西照雄
みな生きてた湾口に冬濤の白さ 金子兜太
ゆくゆくは骨撒く洋の冬怒濤 桂信子 花影
わが眉に冬濤崇(たか)く迫り来る 橋本多佳子
テトラポット冬の怒濤の墓積むよ 百合山羽公 寒雁
ポン~船の冬波犬と残りたり 細見綾子
一つ冬濤見をはりてまた沖を見る 加藤秋邨
一枚の冬浪湾を蔽ふとや 高野素十
一枚の岩に冬波二つ乗る 高野素十
保夜食ふや息絶え絶えの三尸蟲 佐藤鬼房
全景の宿の絵葉書冬の浪 桂信子 初夏
冬の怒濤綱張つて牛ひかれたり 石田波郷
冬の波いまわれのみに寄するかな 鈴木真砂女 夏帯
冬の波一身乗りし如くなり 石田勝彦 秋興以後
冬の波光焔をあげ進みつつ 野見山朱鳥 愁絶
冬の波募れど鴎水平に 香西照雄 対話
冬の波生き生きと岩越しにけり 鈴木真砂女 夏帯
冬の波穂激し進めば左右に同志 香西照雄 対話
冬の波翳捨てきつて起ちにけり 鷲谷七菜子 銃身
冬の波遠きは眩し近きは錆び 岡本眸
冬の浪くづるゝ音を立つるかな 鈴木真砂女 卯浪
冬の浪従へるみな冬の浪 山口誓子
冬の浪炎の如く立ち上り 上野泰
冬の浪蒙古襲来より激し 山口誓子
冬の浪衝きて伊良虞のしまつどり 上田五千石『琥珀』補遺
冬の濤あらがふものを怒り摶つ 富安風生
冬の濤見しが寝ねても身を撼りぬ 加藤秋邨
冬の舗道を影の波郷が近づき来 加藤秋邨
冬怒濤何の化身のテトラポット 百合山羽公 寒雁
冬怒濤否定の他に答無し 津田清子
冬怒濤衰ふるときかへりみず 山田みづえ 手甲
冬怒濤見ゆ電柱を数歩過ぎ 岡本眸
冬怒濤音に藁雀を飼ひて病む 森澄雄
冬波に乗り夜が来る夜が来る 角川源義
冬波に向へばあつきわがめがしら 富澤赤黄男
冬波に背けば炎(あか)き常陸山脈 富澤赤黄男
冬波のくづるゝ高さきはまれる 鈴木真砂女 夏帯
冬波のしばらくつゝむ巖かな 高野素十
冬波のしぶき身近に買ふさゞゑ 鈴木真砂女 夏帯
冬波のひびき記憶の奥処より 桂信子「草影」以後
冬波のむくりむくりと鴎かな 石田勝彦 雙杵
冬波のむすびし巖頭かな 高野素十
冬波のもんどり打つて戻りけり 鈴木真砂女 夕螢
冬波の刃のことごとくわれにくる 石田勝彦 百千
冬波の古代群青の水かゞみ 齋藤玄 飛雪
冬波の大いなり志大いなり 高野素十
冬波の残せし汐も馳せもどな 中村汀女
冬波の牙のみみせて真暗がり 鈴木真砂女 夕螢
冬波の生き生きくづる誕生日 鈴木真砂女 紫木蓮
冬波の百千万の皆起伏 高野素十
冬波の群ひとりの部屋つくる 角川源義
冬波の風に高まるいのちとや 鈴木真砂女 夏帯
冬波や旅も更けねば眠られず 鈴木真砂女 夏帯
冬波をかぶり現はれ怒濤隠岐 野見山朱鳥 幻日
冬波を曳く曳き船の長ロープ 右城暮石 句集外 昭和三十九年
冬波群れ来て浄土の島を責むばかり 角川源義
冬浪とともに碧海湖に入る 山口誓子
冬浪と暮るるほかなき浪ころし 百合山羽公 寒雁
冬浪に向けて嘯く何もなし 飯島晴子
冬浪に泊つカアテンの環鳴らし 山口誓子
冬浪に落ちこむ礁名のみさご 佐藤鬼房
冬浪のさびしさ見よや松岬 村山故郷
冬浪の一撃したる海女小屋か 清崎敏郎
冬浪の力砕けし虚空かな 野見山朱鳥 曼珠沙華
冬浪の動き見えきて砂塵立つ 橋閒石 朱明
冬浪の壁おしのぼる藻屑かな 野見山朱鳥 曼珠沙華
冬浪の打ち重なりて倒れ来る 右城暮石 句集外 昭和五十二年
冬浪の日かげりければ帰らばや 松本たかし
冬浪の殺到するに妊れり 山口誓子
冬浪の沖ゆるぎなき水平線 右城暮石 句集外 昭和五十四年
冬浪の玄海月をひくくせり 佐藤鬼房
冬浪の空に失せたるところかな 上野泰 春潮
冬浪の美しく佐渡は遠くなりぬ 村山故郷
冬浪の身を擲ちし渚かな 上野泰 春潮
冬浪の銀扇の飛ぶ虚空かな 上野泰 春潮
冬浪の音の聴きたく障子開け 後藤夜半 底紅
冬浪の音はもかすか寝の安く 富安風生
冬浪や荒き砂掌に心足る 角川源義
冬浪を見に出でてさびしさに堪へず 村山故郷
冬濤と張り合ふ電線海に出ず 上田五千石『田園』補遺
冬濤にいつしか闇の音まじる 桂信子 草影
冬濤に抗ふ石の不図ぬくし 上田五千石『田園』補遺
冬濤に淡く確に虹息づく 岸田稚魚 負け犬
冬濤に鉄柵赤し年迅し 飯田龍太
冬濤のうちし響きに身を衝たる 橋本多佳子
冬濤のここにうつなり日は白く 山口青邨
冬濤のこれより西を夜見の国 阿波野青畝
冬濤のとどろく庭の無音界 鷲谷七菜子 銃身
冬濤のひびき破船のしじまのみ 中村草田男
冬濤の一穂や岩を呑みて余る 中村草田男
冬濤の土佐の刃物はいろ謐か 飯田龍太
冬濤の壁にぶつかる陸の涯 橋本多佳子
冬濤の奔騰鯤を孵らしむ 津田清子
冬濤の山陰道を車窓より 阿波野青畝
冬濤の崖にぶつかり柱立ち 清崎敏郎
冬濤の左右に走せ入る岬に立つ 松本たかし
冬濤の暮れたる音をくりかへし 清崎敏郎
冬濤の最後躍りぬ懸崖へ 中村草田男
冬濤の湧かんかあはや鴎発つ 中村草田男
冬濤の濤垣水平線も無し 中村草田男
冬濤の眉間砕けし白煙 中村草田男
冬濤の真白き上の水けむり 中村草田男
冬濤の荒磯路二つ相会はず 福田蓼汀 秋風挽歌
冬濤の蝕岩に攀ぢ落ちて鳴る 角川源義
冬濤の見ざれば仁王立ちするか 平井照敏
冬濤の迫る青さの胸押さふ 中村草田男
冬濤の風鳴りこもる松の幹 鷲谷七菜子 銃身
冬濤の飛沫の翳となる記憶 鷲谷七菜子 銃身
冬濤はその影の上にくつがへる 富安風生
冬濤やくりかへしこそ世のまこと 中村草田男
冬濤や倦まざるものの青と白 中村草田男
冬濤や懺悔の果の白勢ひ 中村草田男
冬濤や時待つ群の鳶鴉 石田波郷
冬濤や砕けし波の綾載せて 中村草田男
冬濤をひそめて鳥羽の海あらむ 上田五千石『琥珀』補遺
冬濤を眠らすカーテンの緑 橋閒石 風景
冬濤幾重階為す九十九里の間 中村草田男
冬濤散華狂ひしものは寧からん 福田蓼汀 秋風挽歌
冬濤真白蜑の煙の濁りはや 中村草田男
南無冬の浪の難所に女濡れ 山口誓子
双眼鏡沖の冬浪かく醜し 山口誓子
口きいてくれず冬濤見てばかり 鈴木真砂女 卯浪
墓は瞰る海原白き冬の波 山口青邨
天日も鬣ふかれ冬怒濤 野澤節子 鳳蝶
女たり得ず冬濤に声さらはれ 鷲谷七菜子 銃身
妣ならむか立つたまま来る冬怒濤 山田みづえ 手甲
岩あれば冬濤百態父子睦ぶ 香西照雄 対話
岩に掘り島の井浄し冬怒濤 大野林火 白幡南町 昭和三十二年
岩の呟き直ぐ冬濤の声勃る 中村草田男
岬を摶つ冬濤は間ありその間はや 松本たかし
岸をふりむく孤礁の松や冬の濤 中村草田男
島乙女淋しからずや冬の浪 村山故郷
左右の果冬濤深く陸にあり 中村草田男
師の前にたかぶりゐるや冬の濤 橋本多佳子
干籠に残んの一尾 冬浪昏れ 伊丹三樹彦
影ひかぬことをさびしみ冬浪へ(七尾にて) 細見綾子
打ち昏みつつ冬濤のうす明り 鷲谷七菜子 銃身
押せ押せの 冬浪ばかり 待避駅 伊丹三樹彦
掛け時計冬波荒るゝ船中に 右城暮石 上下
暮るるとき来て冬濤のみな白し 藤田湘子 途上
朝酒の老人と見る冬怒濤 飯島晴子
松毬は松生み冬濤は海を生み 平井照敏 猫町
椿咲き山冬濤をめぐらしむ 三橋鷹女
海に消えし玉の緒冬の波をどる 角川源義
海猫の声と冬濤衝突す 阿波野青畝
滝すぐに冬濤となる能登の奥 角川源義
濤の追ふ冬の鴎の濤を追ふ 平井照敏
然れども大冬濤の重ならず 高野素十
玄といふは冬の怒濤を見たる顔 加藤秋邨
玄海の冬浪を大と見て寝ねき 山口誓子
破船ただ冬濤崩れ敷妙に 中村草田男
碑文棒書「亜細亜は一つ」冬の濤 中村草田男
立ち上りくる冬濤を闇に見し 清崎敏郎
米袋負ひて冬浪すれすれに(能登一の宮、折口信夫先生墓のほとり) 細見綾子
網赤く干し冬濤に抗したる 大野林火 飛花集 昭和四十七年
群鴎空に遅れ冬濤のみぞ来る 中村草田男
背に冬波しなやかにカード撒く女 楠本憲吉 方壺集
胸先に冬濤ひかり暮れゆけり 角川源義
航停めし船冬波の走り熄まず 右城暮石 句集外 昭和三十八年
舷をどたりと打つや冬の浪 日野草城
花崗岩冬波洗ひ雨そそぎ 中村草田男
落日にしわしわ寄ってくる冬波 伊丹三樹彦
虹くらし冬濤ばかりにあらぬかな 草間時彦 中年
貝ここに冬浪よりの拾ひもの 高田風人子
逆まきてこそ冬波といふべしや 鈴木真砂女 夏帯
速吸の瀬戸冬浪の白馬走せ 山口誓子
遠き遠き恋が見ゆるよ冬の波 鈴木真砂女 都鳥
遠州灘冬の怒濤の二重打ち 百合山羽公 寒雁
鉄切りしあとのしづけさ冬浪す(能登輪島にて) 細見綾子
鉄橋を海の冬波くゞり抜ける 右城暮石 声と声
顕つ礁 冬浪に消されても 消されても 伊丹三樹彦
風迅し冬波に畦走るのみ 飯田龍太
首伸べて海鵜の遊ぶ冬怒濤 松崎鉄之介
鴎一羽鉄鎖にあまり冬波に 山口青邨
鵜の湾を八重の冬波うちしらめ 野見山朱鳥 愁絶
鶏けけと道に交むや冬怒濤 大野林火 白幡南町 昭和三十三年

以上

by 575fudemakase | 2017-01-26 16:26 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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by 575fudemakase

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《方法1》 残暑 の例句を調べる
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次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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