冬帽 の俳句

冬帽 の俳句

冬帽子

例句を挙げる。

「鉄道員」を観て冬帽を目深にす 石川文子
あとさきに来て掛け並べ冬帽子 深見けん二 日月
ある日彼どつと老い増す冬帽子 黒田杏子 木の椅子
いろいろに被りてみたる冬帽子 中まり子
がん封じ祈祷冬帽脱がずして 塩川雄三
くらがりに歳月を負ふ冬帽子 石原八束(1919-98)
くらがりの杉山を去る冬帽子 柴田白葉女 花寂び 以後
けふを生く険しさ眉に冬帽子 篠田悌二郎 風雪前
ことさらに海見たき日の冬帽子 北見さとる
その中に恩師の振れる冬帽子 松山足羽
たとへば雲たとへば砂や冬帽子 栗林千津
つかみてはいくたびぞ措く冬帽子 斎藤玄 雁道
つきつめてゆけばひとつの冬帽子 大西泰世
ふはふはとゆく百姓の冬帽子 小宅容義
ふりむけど八束いまさず冬帽子 吉田笑
また冬帽を掴むやだらんと思考もなく 細谷源二
また逃げし運を追ふ目や冬帽子 久保田万太郎 流寓抄以後
よこたはる煙草いつぽん冬帽子 秋元不死男
よこはまに近づく紺の冬帽子 長谷川双魚 『ひとつとや』
わが許すわが無愛想冬帽子 山根 真矢
カウンターに一個を置ける冬帽子 中村石秋
ヘッドライトが狙う冬帽他国の橋 寺田京子 日の鷹
ボランティアガイド喋々冬帽子 高澤良一 鳩信
マッチ擦るごとき恋の冬帽子 寺田京子 日の鷹
一列車遅れて着きぬ冬帽子 高澤良一 ぱらりとせ
一塵もゆるさず黒の冬帽子 前田普羅
一念の冬帽押え海荒るゝ 米沢吾亦紅 童顔
一輛に冬帽ひとりしかをらず 能村研三 鷹の木
上海を歩む魯迅の冬帽子 秋山巳之流
上陸をして船員の冬帽子 南上北人
世界の翳怖づ冬帽子眼深にし 小松崎爽青
乳色のビー玉包む冬帽子 二村典子
亡き夫のお洒落でありし冬帽子 今井つる女
亡き父の冬帽の羅沙靨もつ 猪俣千代子 堆 朱
人の貧ふかく冬帽のあみだぐせ 細谷源二 砂金帯
人を責めて来し冬帽を卓におく 赤城さかえ句集
今年尚其冬帽乎措大夫 竹下しづの女 [はやて]
何求(と)めて冬帽行くや切通し 角川源義(1917-75)
信仰をもちて冬帽ふかく被る 中山純子 沙羅
冬帽かけて卓に肱しぬ顔暗く 清原枴童 枴童句集
冬帽が涙の泉泣きつづく 平井照敏 天上大風
冬帽で車窓に沈みゐるは夫 細見綾子 花寂び
冬帽にいま函嶺の底ひゆく 皆吉爽雨
冬帽に切符をはさみ父と同じ 田村千勢
冬帽に手をやる影も手をやりぬ 千葉栄子
冬帽に猫を飼ひをる男かな 平井照敏 天上大風
冬帽のどれかぶりても似合ひけり 庄中健吉
冬帽のをとこの真顔みたりけり 柴田白葉女 遠い橋
冬帽のソ連船員大股に 大山 百花
冬帽の下の薄き毛わが愛す 林翔 和紙
冬帽の中に言ふこと充満す 岩田昌寿 地の塩
冬帽の内にひとりひとりの帰路 中尾寿美子
冬帽の古きをかぶり大和行 細見綾子 黄 炎
冬帽の師に従ふは寧かりし 下田稔
冬帽の昂ぶりし目にかこまれつ 加藤楸邨
冬帽の朝は子に振り夜は友に振る 細谷源二 砂金帯
冬帽の温さは知らず頑固者 高澤良一 素抱
冬帽の真冬の浪花男かな 攝津幸彦
冬帽の衢縫ひ行くあてしらず 石塚友二 方寸虚実
冬帽の赤きを買えば風囃す 野見山ひふみ
冬帽の鍔の光りて谷越ゆる 木村蕪城 寒泉
冬帽の額あたたかく着そめけり 皆吉爽雨 泉声
冬帽の黒さが似合ふ齢来ぬ 篠原梵 雨
冬帽の黒脱げば斑らなり黄塵 石塚友二 方寸虚実
冬帽はかなしからずや壁にすがり 細谷源二 砂金帯
冬帽はもの言はぬ器夫病めば 中村明子
冬帽は太平洋を見るに脱ぐ 松山足羽
冬帽は暑し阿弥陀に被りもし 高浜虚子
冬帽や他人のごとき夫の眉 佐藤まさ子
冬帽や伊吹にさわぐ雲見つつ 村山古郷
冬帽や夜更け見えたる一飛沫 藤田湘子
冬帽や奈良は仏の許へもとへ 皆吉爽雨
冬帽や画廊のほかは銀座見ず 皆吉爽雨
冬帽や胸に棲みつく夜の沼 角川春樹
冬帽や鳥の水輪のかげさしぬ 原田種茅 径
冬帽をいくつも見せて帽子店 角光雄
冬帽をかぶれば祖父にあへるかな 平井照敏 天上大風
冬帽をぬがるる緋裏ちらと見し 亀井糸游
冬帽を巷に消ゆるために被る 木村淳一郎
冬帽を掴み脱ぐさへ現場癖 米沢吾亦紅 童顔
冬帽を火口に奪られ髪怒る 山口誓子
冬帽を目深に何を仰ぐかな 近藤一鴻
冬帽を真深かにこの世遠ざける 中村明子
冬帽を着そめぬそこら散歩にも 皆吉爽雨
冬帽を置くと自分の席になる 工藤克巳
冬帽を脱ぐや蒼茫たる夜空 加藤楸邨
冬帽を被るやプロレタリヤの時間生きてくる 橋本夢道 無礼なる妻
冬帽を買ひてもさみし牡蠣食ひても 安住敦
冬帽を頭より離さず農夫老ゆ 西村公鳳
冬帽子かむりて勝負つきにけり 大串 章
冬帽子つひにしばらく春帽子 鳥居おさむ
冬帽子はぐれざらむと派手にせり 八牧美喜子
冬帽子ひざにおかれて所在なく 竹内節子
冬帽子まつすぐな目でありにけり 石田郷子
冬帽子もて歓送の拍子とせり 岸風三楼 往来
冬帽子一穂の炎のさびしさよ 友岡子郷 未草
冬帽子中原中也かぶりにて 鈴木栄子
冬帽子会へばいい顔してしまふ 小原澄江
冬帽子低く来るなり上野駅 石田勝彦
冬帽子冠りてよりの孤独なる 毛塚静枝
冬帽子別るるときは目深なり 大串章 百鳥 以後
冬帽子勃海の紺抜けて来し 井上 康明
冬帽子取りて親子の祓はるる 中井啓子
冬帽子大道芸の銭集む 山口超心鬼
冬帽子少女の如くかぶり来る 山本 千春
冬帽子工事半ばの橋にたつ 山戸みえ子
冬帽子幾たび人と別れけむ 西村和子 かりそめならず
冬帽子急に汚し夏に入る 京極杞陽 くくたち上巻
冬帽子橋より橋の灯を眺め 西村和子 かりそめならず
冬帽子目深に今日も町へ出づ 深見けん二 日月
冬帽子目深に異国労働者 西尾照子
冬帽子置くより一途なる話 加賀美子麓
冬帽子老年の海うねりやまず 中台春嶺
冬帽子脱ぎて無念の椅子叩く 浅井惇介
冬帽子脱ぎ置けば灯にあたたまる 上野さち子
冬帽子買ひ替へて黒まさりたる 綾部仁喜 寒木
冬帽子鬱然として詩想湧く 内藤吐天 鳴海抄
冬帽眼深にゆすり直して予感消す 川口重美
冬帽買う死なず癒えざりさりげなく 寺田京子 日の鷹
別れ路や虚実かたみに冬帽子 石塚友二(1906-86)
剥落のみほとけに脱ぐ冬帽子 平野みよ子
勞咳の頬美しや冬帽子(七年) 芥川龍之介 我鬼句抄
午前五時死後硬直と冬帽子 神山姫余
卓に投ぐとりとまらずと冬帽子 堀口星眠 営巣期
友二冬帽旅にしあれば諾ふも 清水基吉 寒蕭々
古びたる冬帽のまま薔薇を嗅ぐ 細見綾子
同門のよしみも古りぬ冬帽子 細見綾子
命得て輝く山河冬帽子 金箱戈止夫
哲学もけむりも吐かず冬帽子 市原光子
基地に闘い冬帽眼鏡にふるる深さ 古沢太穂 古沢太穂句集
売文や背越しに揖す冬帽子 石原八束 空の渚
夕日の岳冬帽おのず脱ぎ仰ぐ 川村紫陽
夜の駅に下りる一人や冬帽子 雉子郎句集 石島雉子郎
大阪に慣れて淋しき冬帽子 西村和子 かりそめならず
失ひしものを探しに冬帽子 有馬朗人 知命
妻の手に掴まれてわが冬帽子 金箱戈止夫
宮庁の冬帽かかる壁よごれ 古沢太穂 古沢太穂句集
対岸の見えて渡舟の冬帽子 都筑智子
小包みの隅は孫への冬帽子 落合よう子
少し重さう妃殿下の冬帽子 恒川絢子
山荘の四辺あるきの冬帽子 井沢正江 以後
岸壁の足もと深き冬帽子 綾部仁喜 樸簡
師来ませり去年とおんなじ冬帽に 茂里正治
建前をとらずにずばり冬帽子 高澤良一 燕音
心ここにあらぬ日深き冬帽子 市野沢弘子
忘られし冬帽きのふもけふも黒し 橋本多佳子
愛情のことば短かし冬帽子 柴田白葉女 遠い橋
憂国を論じて深く冬帽子 黒木 胖
懐疑たまると冬帽がすぐ眉かくす 細谷源二
手に執りて冬帽古りしこと歎ず 安住 敦
手を振りて別る遙かな冬帽子 対馬康子 吾亦紅
投げテープ老の移民の冬帽に 五十嵐播水 埠頭
挙げし手を海鳥の知る冬帽子 依光陽子
探照燈空にめぐれり冬帽子 徳弘純 非望
掴みてはいくたびぞ措く冬帽子 斎藤玄
放蕩の翳りもすこし冬帽子 北見さとる
文弱の世をたのしまず冬帽子 石原舟月 山鵲
斑犬連れ歩くなり冬帽子 岩淵喜代子 硝子の仲間
旅の荷の冬帽を出すときが来し 八木沢高原
昭和の銀座へ冬帽を取りにゆく 小原洋一
曼殊院記憶の底の冬帽子 谷口桂子
月高く思ふ冬帽まぶかにかぶり 太田鴻村 穂国
杉の秀に雲厚くなる冬帽子 鍵和田[ゆう]子 飛鳥
杣の子にうさぎの耳の冬帽子 菅原多つを
機町の泥に汗ばむ冬帽子 宮武寒々 朱卓
民同じからず冬帽さま~に 三溝沙美
水槽の鮫が見ており冬帽子 久保砂潮
水際まで来て折り返す冬帽子 野木桃花
海までの道でとり出す冬帽子 鈴木うらら
海光に冬帽吹かれ友とをり 松村多美
漣に一死かげろふ冬帽子 松澤昭 神立
火酒の頬の赤くやけたり冬帽子 高浜虚子
無頓着な人で冬帽よく似合ふ 飯塚美智子
父が来てくらがりへ置く冬帽子 星野昌彦
獣追ふごとく飛びたる冬帽追ふ 猪俣千代子 堆 朱
玄関に置く出歩きの冬帽子 森田公司
生涯を学びて老の冬帽子 石田玄祥
産土の苗字に還る冬帽子 山田みづえ 忘
病む人を旅へいざなふ冬帽子 岸梨花女
癆咳の頬美しや冬帽子 芥川龍之介
癌治療待つ青年の冬帽子 阿部美恵子
目をあぐるたびの浮雲冬帽子 鷲谷七菜子 花寂び 以後
研究といふ逃げみちや冬帽子 鍵和田[ゆう]子 未来図
硝子戸に冬帽の顔うつしみる 田中冬二 俳句拾遺
磔像の前冬帽を鷲掴み 山田弘子 螢川
福耳を包んでしまふ冬帽子 広畑美千代
突堤の一番先きの冬帽子 細見綾子 花寂び
絶望の目に冬帽が遠ざかる 三谷昭 獣身
緑蔭におく冬帽の汗のあと 細見綾子 花寂び
老人のこころに被る冬帽子 後藤夜半 底紅
老體といわれたしこりが消えない 冬帽かぶつて出る 吉岡禅寺洞
耳たぶの継子のやうに冬帽子 猪俣千代子 秘 色
耳隠るまで冬帽子かぶせやる 西村和子 夏帽子
胸に受く海の明るさ冬帽子 星野歌子
脱ぎし後も日溜に置く冬帽子 岡本眸
船底蒸れ冬帽を顔に載せ眠る 金子兜太
色ものの女冬帽集合す 高澤良一 燕音
芭蕉忌のまだ新しき冬帽子 岩淵喜代子 朝の椅子
若き友自殺し残す冬帽子 宮坂静生 青胡桃
蜂を逐ふ冬帽を持ち合せをり 後藤夜半 底紅
補聴器の耳を隠して冬帽子 羽吹利夫
西田幾多郎のごとく冬帽掛かりいたり 橋間石
解体の屋敷見てゐる冬帽子 斉藤美知子
護符受けて湖艇に戻る冬帽子 宮武寒々 朱卓
豹の冬帽子ひとりにしてほしき 赤松[ケイ]子
貝食べて遠国へ行く冬帽子 藤田湘子
追悼展冬帽のその自画像も 大橋敦子
遊ぶ人のために働き冬帽子 嶋田一歩
遊ぶ子にはなれて母の冬帽子 片山由美子 風待月
雨の冬帽置くその人をかこむ夜なり 古沢太穂 古沢太穂句集
雪晴れて我が冬帽の蒼さかな 飯田蛇笏
震災の難民めきぬ冬帽子 千原草之
霜髪に冬帽載することもなし 石塚友二 光塵
頬皺の深き杣なり冬帽子 松藤夏山 夏山句集
風に盗られし冬帽耳があかるくなる 穴井太 原郷樹林
飛ぶ鳥とならめ冬帽もう要らぬ 櫛原希伊子
鰯雲こぞの冬帽をけふかぶる 瀧春一 菜園
まだ松の向かうに見えて毛糸帽 山西雅子
木場稼ぎ老に適ひし毛糸帽 北野民夫
極楽坊にて住職の毛糸帽 藤田あけ烏 赤松
毛糸帽うるさくなりて取り捨つる 高澤良一 燕音
毛糸帽かたびつこなる耳隠す 文挟夫佐恵 遠い橋
毛糸帽わが行く影ぞおもしろき 水原秋櫻子
毛糸帽椿の花粉付けて来し 高澤良一 宿好
灯台に肩いれし過ぎ毛糸帽 福原瑛子
クィと啼き鴎冬帽掠めゆき 高澤良一 石鏡
野毛飲屋街に繰り出す冬帽子 高澤良一 石鏡

冬帽 補遺

すこしづつ古び冬帽らしくなる 能村登四郎
すっとび冬帽 俺を走らす 崖際まで 伊丹三樹彦
つかみてはいくたびぞ措く冬帽子 斎藤玄 雁道
ふめば嗚る琴が浜なり冬帽子 角川源義
よこたはる煙草いつぽん冬帽に 秋元不死男
コンドルと憂ひをわかつ冬帽子 飯島晴子
フランスはリボンの国よ冬帽も 後藤比奈夫
人の貧ふかく冬帽のあみだぐせ 細谷源二 砂金帯
今日よりは冬帽と呼ぶソフトなり 林翔
何求めて冬帽行くや切通し 角川源義
児と探すオレンジいろの冬帽子 佐藤鬼房
冬帽かぶつてだまりこくつて居る 尾崎放哉 須磨寺時代
冬帽が涙の泉泣きつづく 平井照敏 天上大風
冬帽たゞしくかむりたる男さみしければ去れ 中川一碧樓
冬帽で車窓に沈みゐるは夫 細見綾子
冬帽に手をかけて聴くは機銃音 加藤秋邨
冬帽に明眸春を待つらしも 三橋鷹女
冬帽に汝が装身具みな漆黒 三橋鷹女
冬帽に猫を飼ひをる男かな 平井照敏 天上大風
冬帽に雨滴つらねて誕生日 秋元不死男
冬帽に雨耳花のやはらかさ 能村登四郎
冬帽ぬくとく手にし父の墓のまえ 荻原井泉水
冬帽のななめを好み孤客たり 上田五千石『琥珀』補遺
冬帽のやはらかなるを鷲掴み 鷹羽狩行
冬帽のチャコールグレーことしまた 燕雀 星野麥丘人
冬帽の下の薄き毛わが愛す 林翔 和紙
冬帽の動く顳何を食ふ 右城暮石 句集外 昭和三十四年
冬帽の十年にして猶屬吏なり 正岡子規 冬帽
冬帽の古きをかぶり大和行 細見綾子
冬帽の我土耳其といふを愛す 正岡子規 冬帽
冬帽の既に古風となりゆく街 右城暮石 句集外 昭和二十三年
冬帽の朝は子に振り夜は友に振る 細谷源二 砂金帯
冬帽の藤田湘子と会ひにけり 雨滴集 星野麥丘人
冬帽の衢縫ひ行くあてしらず 石塚友二 方寸虚実
冬帽の被りはじめや海を見に 雨滴集 星野麥丘人
冬帽の鍔の光りて谷越ゆる 木村蕪城 寒泉
冬帽の黒きが似合ふ齢来ぬ 篠原梵 年々去来の花 雨
冬帽の黒を深めにチエホフ流 上田五千石『琥珀』補遺
冬帽の黒脱げば斑らなり黄塵 石塚友二 方寸虚実
冬帽はかなしからずや壁にすがり 細谷源二 砂金帯
冬帽やうしろすがたは老かくせず 安住敦
冬帽や伊吹にさわぐ雲見つつ 村山故郷
冬帽や夜更け見えたる一飛沫 藤田湘子
冬帽や安達太郎へ馳す雲の下 藤田湘子 途上
冬帽や家路のどこもネオン満つ 草間時彦 中年
冬帽や愁かくろはぬ広額 日野草城
冬帽や考(ちち)は中古のボルサリノ 林翔
冬帽や若き戦場埋れたり 三橋敏雄
冬帽をかぶり去りゆく人として 中村汀女
冬帽をかぶるや深き瞳となりぬ 加藤秋邨
冬帽をかぶれば祖父にあへるかな 平井照敏 天上大風
冬帽をみなかぶりたる古写真 山口青邨
冬帽を奪られ火口に牽かれたり 山口誓子
冬帽を火口に奪られ髪怒る 山口誓子
冬帽を目深かの俺が夜の玻璃に 伊丹三樹彦
冬帽を脱ぐや蒼茫たる夜空 加藤秋邨
冬帽子かかる日氷の帽子掛 橋閒石
冬帽子かかる日永の帽子掛 橋閒石 朱明
冬帽子ふかふかなるに惹かれ買ふ 林翔
冬帽子九十三の汚染が付く 阿波野青畝
冬帽子咎めたまはぬ伎芸天 阿波野青畝
冬帽子大人の話ききたき子 中村汀女
冬帽子脱ぐや地主に先んじられ 伊丹三樹彦
冬帽買ひ旅の先々見えがくれ 能村登四郎
別れ路や虚実かたみに冬帽子 石塚友二 方寸虚実
別れ路や虚實かたみに冬帽子「百萬」 「方寸虚実」石塚友二
古びたる冬帽のまま薔薇を嗅ぐ 細見綾子
同舟に横目づかひの冬帽子 上田五千石『田園』補遺
四角なる冬帽に今や歸省かな 正岡子規 冬帽
土俵入り父の冬帽のかげに見し 渡邊白泉
地震て冬帽動く柱かな 正岡子規 冬帽
基地に闘い冬帽眼鏡にふるる深さ 古沢太穂 古沢太穂句集
夜の雨しむ冬帽になほ歩めり 大野林火 海門 昭和十二年
失ひしものを探しに冬帽子 有馬朗人 知命
姪の目に気楽な叔母の冬帽子 岡本眸
娼家までは行人として冬帽子 飯田龍太
官庁の冬帽かかる壁よごれ 古沢太穂 三十代
居酒屋のさて何処に置く冬帽子 林翔
山を来て海辺に泊つる冬帽子 岡本眸
幾つかは遺品とならむ冬帽子 藤田湘子 てんてん
底ぬけの善人といふ冬帽子 能村登四郎
忘られし冬帽きのふもけふも黒し 橋本多佳子
憔悴を隠さうべしや冬帽子 大野林火 月魄集 距和五十七年
手にとりて冬帽古りしこと嘆ず 有馬朗人
杏先生冬帽らしきものかむり 寒食 星野麥丘人
武蔵野の林の色の冬帽子 有馬朗人 耳順
流刑の詩人の青き冬帽子 有馬朗人 天為
父の冬帽裏を嗅ぎみて釘に掛く 伊丹三樹彦
片寄せし旅の荷の上に冬帽子 岡本眸
産土の苗字に還る冬帽子 山田みづえ 忘
碑に凭る冬帽の独言 角川源義
突堤の一番先きの冬帽子(七尾にて) 細見綾子
緑蔭におく冬帽の汗のあと(粟津温泉に遊ぶ) 細見綾子
老人のこころに被る冬帽子 後藤夜半 底紅
脱ぎし後も日溜りに置く冬帽子 岡本眸
若さかくさず冬帽に雨の粒ふえゆく 橋本多佳子
葬り火の映ゆる冬帽を手にしたり 水原秋櫻子 岩礁
虹消えて華やぐ街の冬帽子 角川源義
蜂を逐ふ冬帽を持ち合せをり 後藤夜半 底紅
西田幾多郎のごとく冬帽掛かりいたり 橋閒石 虚 『和栲』以後(I)
貝食べて遠国へ行く冬帽子 藤田湘子
買ふて來た冬帽の氣に入らぬ也 正岡子規 冬帽
都塵はや冬帽に乗る獄出れば 秋元不死男
鍔広き冬帽 母樹林に入らんとす 赤尾兜子 歳華集
雨の冬帽置くその人をかこむ夜なり 古沢太穂 三十代
雪晴れてわが冬帽の蒼さかな 飯田蛇笏 霊芝
霜髪に冬帽載することもなし 石塚友二 光塵
頭髪に別れ冬帽子ちぢむ 橋閒石 無刻
風聞のとどかぬ旅の冬帽子 上田五千石 琥珀
飾羽の紅が祝ぎ色冬帽子 林翔
鳥羽に来てやうやうなじむ冬帽子 伊藤白潮

以上4

by 575fudemakase | 2017-01-27 15:39 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
表示された一番下の 「▽ このカテゴリの記事をすべて表示」をクリック、
全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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