日向ぼこ の俳句

日向ぼこ の俳句

日向ぼこ

例句を挙げる。

「用なしだけんど死ねれんもんね」日向ぼこ 熊谷愛子
いい顔の皺が生きてる日向ぼこ 五十嵐直子
いくたびも日を失ひぬ日向ぼこ 後藤夜半 底紅
いつの間にゐなくなりしや日向ぼこ 原希伊子
いのち一つ守りあぐねて日向ぼこ 久保より江
うしろにも眼がある教師日向ぼこ 森田峠 避暑散歩
うつつ世も来世もあらぬ日向ぼこ 山科帰雁
うとうとと生死の外や日向ぼこ 村上鬼城
おでこよりふらふらと起つ日向ぼこ 高澤良一 石鏡
おもかげのまなこ細さよ日向ぼこ 銀漢 吉岡禅寺洞
かたまつて同じ事務服日向ぼこ 岡本眸(1928-)
かなしみのほのと温くもる日向ぼこ 吉屋信子
かへる山ありて猿たち日向ぼこ 山口波津女
からからに枯れし芭蕉と日向ぼこ 篠原鳳作
きな臭くなるまで老婆日向ぼこ 太田寛郎
くるめきは日にわれにあり日向ぼこ 皆吉爽雨 泉声
けふの日の燃え極まりし日向ぼこ 松本たかし
ここちよき死と隣りあひ日向ぼこ 鷹羽狩行 八景
ここに母居たらと思ふ日向ぼこ 下村常子
この年のひとつの夢と日向ぼこ 村越化石
この庭のながめもあきぬ日向ぼこ 山口波津女 良人
こほろぎの日向ぼこりのいつか無し 遷子
こゝに得し独りの世界日向ぼこ 嶋田一歩
さみしさをあたためてをり日向ぼこ 山崎房子
じつと見て何も見てゐず日向ぼこ 西山 睦
すぐそこに未来を思ふ日向ぼこ 高木莞子
ずいずいずつころばし掌を握り添へ日向ぼこ 野川釈子 『苗』
そのときはそのときのこと日向ぼこ 岩田照良
その態(てい)は懺悔するさま日向ぼこ 高澤良一 素抱
たましひといふ大荷物日向ぼこ 千葉皓史
たましひの出で入りしては日向ぼこ 森澄雄
たましひはいつも先ゆく日向ぼこ 玉城一香
だんだんに人でなくなる日向ぼこ 奥坂まや
ちかよりて老婦したしく日向ぼこ 飯田蛇笏
ちかよりて老婦親しく日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
ちちははの墓をうしろに日向ぼこ 細川加賀 『玉虫』
ともあれと日向ぼこりに招じけり 中村汀女
どちらかと言へば猫派の日向ぼこ 和田順子
どつちみち地獄行きなり日向ぼこ 檜紀代
なにもかも無になるための日向ぼこ 本郷和子
なにもなき元日もよし日向ぼこ 中勘助
なによりの日にちが薬日向ぼこ 竹原梢梧
にんげんの縫目確かむ日向ぼこ 山崎十死生
にんげんの重さ失せゆく日向ぼこ 小倉涌史
はらわたの確と座りし日向ぼこ 勝山律子
ひとの釣る浮子見て旅の日向ぼこ 山口いさを
ひとり抱けばひとり背にくる日向ぼこ 毛塚静枝
ふところに手紙かくして日向ぼこ 鈴木真砂女 生簀籠
ふるさとにたよりおこたり日向ぼこ 中村汀女
ふるさとの山にもたれて日向ぼこ 山口いさを
ふるさとの朝日にあらで日向ぼこ 永田耕衣 陸沈考
ぽつかりと関東平野の日向ぼこ 安井昌子
まだ着居る国民服や日向ぼこ 京極杞陽
まなうらに駱駝の現るる日向ぼこ 高澤良一 ももすずめ
まなうらは火の海となる日向ぼこ 阿部みどり女
まなぶたは今万華鏡日向ぼこ 加藤三七子
まなぶたは今萬華鏡日向ぼこ 加藤三七子
ままごとにさそはれてゐる日向ぼこ 渡邉春生
みぞおちに日の匂ひゐる日向ぼこ 浜渦美好
みどり児の足先ぴんと日向ぼこ 今井千鶴子
みどり子の爪伸びさうな日向ぼこ 高瀬重彦
みどり子の足先ぴんと日向ぼこ 今井千鶴子
むつまじき老の夫婦や日向ぼこ 大橋櫻坡子 雨月
もう少し俳句つくらう日向ぼこ 上野 章子
ゆけむりの二階の窓に日向ぼこ 倉田紘文
よく聞こゆ耳を日に向け日向ぼこ 山口いさを
わが余生少したいくつ日向ぼこ 稲田桃村
わが心日向ぼこりになじめざる 田中裕明
わが性のなかに母ゐる日向ぼこ 国弘賢治
ゐながらに日向ぼこりの小書斎 上村占魚 球磨
アンパンの臍よりたべて日向ぼこ 安藤涼二
ジキル博士もハイド氏も老い日向ぼこ 吉田汀史
デスマスクある壁を背に日向ぼこ 石原八束 空の渚
フェミニズム投げ出し二人日向ぼこ 山岸竜治
ローズマリー日向ぼつこの海眺む 三宅優子
一人つく羽子に倦いたる日向ぼこ 上野泰 佐介
一標札に混み合ふ家族名日向ぼこ 香西照雄 素心
一生を島に老いたる日向ぼこ 上野泰 春潮
一碧の空に横たふ日向ぼこ 篠原鳳作 海の旅
一跨ぎ程の命や日向ぼこ 政所小枝
丁寧に仏具を磨き日向ぼこ 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
三猿とならび腰かけ日向ぼこ 福田蓼汀
上げざりし瞼一線日向ぼこ 赤松[ケイ]子
不束のままに金婚日向ぼこ 松本昭子
世の中のことみな忘れ日向ぼこ 川口咲子
世の中を置いてけぼりの日向ぼこ 新明紫明
世をわすれ世に忘れられ日向ぼこ 松尾いはほ
両岸に両手かけたり日向ぼこ 斎藤 愼爾
両膝に幸せ集め日向ぼこ 村越化石
主曰く村一番の日向ぼこ 遠入たつみ
人として淋しき人の日向ぼこ 京極杞陽 くくたち下巻
人を恋ふ日にめぐり逢ひ日向ぼこ 後藤夜半 底紅
人を見る目細く日向ぼこりかな 高浜虚子
人目には日向ぼこりと見られつゝ 小西照子
人間が猫に加はり日向ぼこ 山田弘子 こぶし坂
仔羊の三百頭の日向ぼこ 坊城としあつ
仕合せはこんなものかと日向ぼこ 湯川雅
伊太利の太陽の唄日向ぼこ 高浜虚子
伝へ聞く友の栄華や日向ぼこ 日野草城
何となくそこに身を置き日向ぼこ 小舟 悟
余生とはかかるものかや日向ぼこ 池上不二子
修羅の世を遠まなざしに日向ぼこ 老川敏彦
倖せに自ら甘え日向ぼこ 永井賓水
先づ風が頬を撫で来し日向ぼこ 稲畑広太郎
兎より亀が早しと日向ぼこ 西川 五郎
児を抱きて聖母さながら日向ぼこ 品川鈴子
八百の嘘つきをへし日向ぼこ 戸田 悠
公園に餌漁る鳩と日向ぼこ 高澤良一 石鏡
冬の蜂見るとしもなく日向ぼこ 田中冬二 俳句拾遺
冬日掬ふ如き両掌や日向ぼこ 池内友次郎
冬菊のごとき老女の日向ぼこ 小島千架子
凩や崖下はよき日向ぼこ 野村喜舟 小石川
切株を仲間のごとく日向ぼこ 村越化石 山國抄
別々のこと考へてゐる日向ぼこ 船越和香
前世にも日向ぼこりに飽かざりし 相生垣瓜人 明治草抄
前管猊下朱塗の下駄が日向ぼこ 結城美津女
医者ぎらひ注射ぎらひの日向ぼこ 武田忠男
十二支に入れぬ猫と日向ぼこ 北見さとる
半分は死に体にゐて日向ぼこ 松山和子
口あけて日向ぼこりの中にかな 佐々木六戈 百韻反故 わたくし雨
否応なく自分と向き合ふ日向ぼこ 高澤良一 石鏡
吹かれ来て影の怒髪や日向ぼこ 香西照雄 素心
吾子とゐて吾子をわするゝ日向ぼこ 五十崎古郷句集
喧嘩の処置かんがへてひとり日向ぼこ 川島彷徨子 榛の木
国宝の風鐸を聞き日向ぼこ 束野淑子
地獄耳どうし耳寄せ日向ぼこ 岬雪夫
塞翁が馬とや大人の日向ぼこ 藤村瑞子
墓二三遠見えてゐる日向ぼこ 塘柊風
大仏の座禅倣ひて日向ぼこ 岡本郁三郎
大仏の掌にある思ひ日向ぼこ 鷹羽狩行 平遠
大寺のいくつほろびし日向ぼこ 小澤實(1956-)
大愚また大賢に似て日向ぼこ 下村梅子
大海を背にして日向ぼこりかな 柴崎七重
天界に雲の山川日向ぼこ 木田千女
天網はかくもやはらか日向ぼこ 橋本薫
太陽に吾も埃や日向ぼこ 平赤絵
太陽の下僕となりて日向ぼこ 大橋敦子
太陽の手をいただいて日向ぼこ 堀内薫
太陽も宇宙の塵か日向ぼこ 大塚千々二
夫余生吾れに託して日向ぼこ 犬飼久子 『寧日』
好きな人ばかりが死んで日向ぼこ 木田千女
好色の男なりしが日向ぼこ 松岡里江 『桜坂』
妊婦われ童話をよんで日向ぼこ 嶋田摩耶子
姉絵本弟積み木日向ぼこ 上野泰 佐介
婆こつくり金精さまと日向ぼこ 冨田みのる
子とありて燃えつるる耳日向ぼこ 皆吉爽雨 泉声
子は墨の髭など生やし日向ぼこ 京極杞陽 くくたち上巻
子等雀墓の一茶と日向ぼこ 加藤知世子 花寂び
寒天の干し場にひとり日向ぼこ 田中冬二 麦ほこり
寒霞渓客待つ馬の日向ぼこ 森谷栄子
少年や鴨をむしりて日向ぼこ 大橋櫻坡子 雨月
尼どちの頭の円光や日向ぼこ 原田翠芳
居こぼれて日向ぼこりの尼ぜかな 阿波野青畝
屑買に屑の天地や日向ぼこ 山本歩禅
山の色けふむらさきや日向ぼこ 軽部烏帽子 [しどみ]の花
山裾に立もたれたる日向ぼこ 松本たかし
岩雫すれ~に鴛鴦の日向ぼこ 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
島見える日は島を見て日向ぼこ 小田初枝
師の墓と尽きぬ話の日向ぼこ 渡辺恭子
師を央の日向ぼつこや弟子も古り 杉本寛
年賀の座日向ぼこりを賜りし 岸田稚魚
幸せのはしにゐるらし日向ぼこ 神前昭巳
廃船に向き合ひてゐる日向ぼこ 寺島ただし
弥陀のごと耳目をやすめ日向ぼこ 井沢正江 一身
御地蔵と日向ぼこして鳴ち鳥 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
志と詞と死と日向ぼこりの中なるや 折笠美秋 虎嘯記
志よ詞と死と日向ぼこりの中なるや 折笠美秋
愛犬に噛まれてやるや日向ぼこ 杉本艸舟
慈母観音圖をおもひゐる日向ぼこ 国弘賢治
憂きことのいつしか些事に日向ぼこ 永野美千代
我が十指なにを成し得む日向ぼこ 藤井寿江子
手に足に青空染むとは日向ぼこ 篠原鳳作
手に足に青空染むと日向ぼこ 篠原鳳作
手に足に青空沁むと日向ぼこ 篠原鳳作 海の旅
折りとりし茎のうつろや日向ぼこ 中島月笠 月笠句集
撫で下す顔の荒れゐる日向ぼこ 松本たかし
日に酔ひて死にたる如し日向ぼこ 高浜虚子
日に酔ふといふことのあり日向ぼこ 松尾白汀
日光写真の少年なりし日向ぼこ 原子公平
日向ぼこあの世さみしきかも知れぬ 岡本眸
日向ぼこかうしてゐても腹が減る 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
日向ぼこがんを封じる寺にゐて 塩川雄三
日向ぼこしつ見極むる手帳の句 岩木躑躅
日向ぼこしていて人生に出遅れし 斎藤慎爾
日向ぼこしてにこ~と待たれゐし 星野立子
日向ぼこしてはをらぬかしてをりぬ 京極杞陽 くくたち上巻
日向ぼこしてゐて人生に出遅れし 齋藤愼爾
日向ぼこしてゐて寒くなりにけり 辻桃子 ねむ 以後
日向ぼこしてゐて父母が近かりき 大橋敦子
日向ぼこしてゐるさまの見下され 波多野爽波 鋪道の花
日向ぼこしてゐるやうな茶臼山 黒川悦子
日向ぼこしてゐる前に落葉舞ひ 高濱年尾 年尾句集
日向ぼこして光陰を惜みをり 後藤夜半 底紅
日向ぼこして眼をつむりそのままに 黒田杏子 花下草上
日向ぼこして聞き分くる物の音 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
日向ぼこして雲とあり水とあり 伊藤柏翠
日向ぼこし乍ら出来るほどの用 稲畑汀子
日向ぼこするにも何處か気の引けて 高澤良一 随笑
日向ぼこするコンドルに成り下がり 高澤良一 寒暑
日向ぼこする外はなしあの世では 秋澤猛
日向ぼこせり火の山に大島に 村松紅花
日向ぼこせり胎児より下降して 齋藤愼爾
日向ぼこせる中一人卵売り 太田土男
日向ぼこせる老い父の長睫毛 大石悦子 群萌
日向ぼこなら大仏のたなごころ 白井晟也
日向ぼこに影して一人加はれり 銀漢 吉岡禅寺洞
日向ぼこのあとの寒さの落葉かな 林原耒井 蜩
日向ぼこのやうな入院してゐたる 中山幸枝
日向ぼこの何やら心せかれゐる 阿部みどり女 笹鳴
日向ぼこの冠外せし老儒かな 楠目橙黄子 橙圃
日向ぼこの猫を仲間にてんご編む 西形佐太郎 『てんご』
日向ぼこひとりのときは雲を見て 熊滝逸女
日向ぼこふりかへりたるかほ暗し 橋本鶏二 年輪
日向ぼこほら吹き男ほらを吹き 中島弥市
日向ぼこまた爪をかむ継子かな 飯田蛇笏 山廬集
日向ぼこみんな小さな影を負ひ 山口 速
日向ぼこめく一年がもう仕舞 高澤良一 随笑
日向ぼこよいしょと起てば目がさまよひ 高澤良一 暮津
日向ぼこよりすつぽりと老婆が抜け 榎本冬一郎
日向ぼこ一家の舵をとりながら 京極杞陽
日向ぼこ一家の舵を守りながら 京極杞陽
日向ぼこ一茶の雀そこにいて 千葉すゝむ
日向ぼこ世間の事をみな忘れ 福井玲堂
日向ぼこ二つの眼にて何見やう 鈴木鷹夫 千年
日向ぼこ五体にこころゆきわたる 山口いさを
日向ぼこ亡き父の在る思ひかな 岩崎照子
日向ぼこ仏掌の上にゐる思ひ 大野林火
日向ぼこ何やら心せかれゐる 阿部みどり女
日向ぼこ佛掌の上にゐる思ひ 大野林火(1904-84)
日向ぼこ刻のくぼみに居るごとし いのうえかつこ
日向ぼこ前をいろんな人通る 堀 磯路
日向ぼこ吾を脱け出て吾を瞻る吾 高澤良一 石鏡
日向ぼこ呼ばれて去ればそれきりに 中村汀女
日向ぼこ団地は南へふくらみて 和田祥子
日向ぼこ地に倦みし面上げにけり 中島月笠 月笠句集
日向ぼこ壁にも笑窪あるごとし 宮脇白夜
日向ぼこ大王よそこどきたまへ 有馬朗人 知命
日向ぼこ天神橋の裏を見て 石倉啓補
日向ぼこ太陽の子と思ひけり 高田風人子
日向ぼこ女三代黙しおり 栗林幹子
日向ぼこ子に蟷螂とあだ名され 佐野青陽人 天の川
日向ぼこ子犬と孫と爺と婆 伊藤 勉
日向ぼこ少しの暇なほうれし 高木晴子 花 季
日向ぼこ干支に洩れたる猫とをり 村上喜代子
日向ぼこ平等院を借り申す 中野柿園
日向ぼこ年内といふ柵の内 高澤良一 随笑
日向ぼこ影のいちにん抜けいたり 鈴木慶子
日向ぼこ影の発する棒状悲鳴 野ざらし延男
日向ぼこ心温もるまでゐたり 西村和子 かりそめならず
日向ぼこ心貧しく居たりけり 瀧 春一
日向ぼこ放下かただの老人か 鈴木鷹夫 風の祭
日向ぼこ日向がいやになりにけり 久保田万太郎 流寓抄
日向ぼこ此所にも仕切る婆がゐて 中尾 幾
日向ぼこ死が近く見え遠く遣り 大野林火
日向ぼこ死後の極楽疑はず 田中政子
日向ぼこ母の日課となりにけり 鈴木昌江
日向ぼこ母の法悦淋しめり 大橋敦子
日向ぼこ汽笛が鳴れば顔もあげ 中村汀女
日向ぼこ湯浴のごとく人加ヘ 岡本眸
日向ぼこ溶けて流れて故郷無し 浜崎敬治
日向ぼこ熱血教師の好好爺 案田佳子
日向ぼこ父の血母の血ここに睦め 中村草田男
日向ぼこ犬にものぐさ太郎あり 辻田克巳
日向ぼこ猫に去られてしまひけり 高澤良一 随笑
日向ぼこ眼白とる子を妨げそ 大橋櫻坡子 雨月
日向ぼこ睡魔とあそび疲れけり 茂一郎
日向ぼこ神の集ひも日向ならむ 大野林火
日向ぼこ笑ひくづれて散りにけり 富安風生
日向ぼこ笑を含みてさびしげに 京極杞陽 くくたち下巻
日向ぼこ終生書生気質かな 脇本千鶴子 『てんと花』
日向ぼこ縞黒き辺ゆ衣ぬくもり 中戸川朝人 残心
日向ぼこ老いたるユダと隣り合ふ 吉田寿子
日向ぼこ老父の眼鏡日を聚む 田川飛旅子
日向ぼこ自分が見えていたりけり 渡辺倫太
日向ぼこ襁褓はづせし機嫌かな 大野伊都子
日向ぼこ見えざるものに己れの顔 西村和子 かりそめならず
日向ぼこ話を待ちて母がをり 古賀まり子 緑の野以後
日向ぼこ身に粛々とかくれなし 三浦紀水 『湖その後』
日向ぼこ身のうちそとに母の居て 長谷川せつ子
日向ぼこ遠目に墓の影据ゑて 阪上蝸牛子
日向ぼこ金色の爪伸びてくる 上田貴美子
日向ぼこ長身痩躯折り畳み 高澤良一 暮津
日向ぼこ雀ちか寄る爪音す 大城 周
日向ぼこ頬杖といふ杖もあり 村越化石
日向ぼこ頭の抽出より挿話 高澤良一 燕音
日向ぼこ鬱金の刻のありにけり 本宮鼎三
日向ぼこ鳥の死に処に思ひ馳せ 高澤良一 さざなみやつこ
日向ぼこ鴛鴦もするなり朴の花 岡本まち子
日向ぼこ黙しの時をいとほしむ 出田 浩子
日向ぼこ齢は花のごと萎れ 清水衣子
日向ぼっこ日向がいやになりにけり 久保田万太郎(1889-1963)
日向より盲ひて戻る日向ぼこ 阿部みどり女
昃ればすぐ立ち上り日向ぼこ 高濱年尾 年尾句集
昇天をまぬがれゐたり日向ぼこ 高澤良一 暮津
明治村髭の巡査の日向ぼこ 鈴木和子
昼月をつら~見上げ日向ぼこ 鈴木花蓑句集
時惜しみ惜しまず日向ぼこりかな 石塚友二 光塵
晩年の白一色の日向ぼこ 鷹羽狩行
曲り家の曲りに跼み日向ぼこ 西本一都
書簡うくことのためらひ日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
月の中よく見えてをり日向ぼこ 橋本鶏二
木賊の日遠くしざりぬ日向ぼこ 阿部みどり女
来し方は瓦礫の底や日向ぼこ 白井眞貫
松とるや鶏は田に犬日向ぼこ 躑躅
松の廊下日向ぼつこによささうな 正木ゆう子 静かな水
枯葉なんぞの匂ひわが身に日向ぼこ 山上樹実雄
根の国は胎のぬくもり日向ぼこ 齋藤愼爾
桃源のこゝろうとうと日向ぼこ 河野静雲
椅子ゆりて無欲に似たり日向ぼこ 吉川春藻
椋の実ののこる空あり日向ぼこ 石田郷子
極楽はこの世にありて日向ぼこ 森 輪花
次の世へ空席のあり日向ぼこ 田中荒砂
欲ばりな嫗いつまで日向ぼこ 黒田杏子 花下草上
歳月の影をうしろに日向ぼこ 榎本虎山
死ぬことも考へてゐる日向ぼこ 増田龍雨
死ぬことを忘れ歳々日向ぼこ 村越化石
死を悼み生をわらひて日向ぼこ 京極杞陽
死神もうつらうつらと日向ぼこ 遠藤若狭男
母親を一人占めして日向ぼこ 村中千穂子
水流れ刻はとどまる日向ぼこ 吉年虹二
氷遠が死語となるまで日向ぼこ 中里麦外
沖の漁場息子に譲り日向ぼこ 猿橋統流子
流人島指呼に婆らの日向ぼこ 池上樵人
流木を一人に一つ日向ぼこ 綾部仁喜 寒木
浄土とてこんなものかも日向ぼこ 有吉桜雲
浮寝鳥日向ぼこして樹にもあり 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
炊きたてのごはんのような日向ぼこ 岸本陽子
焚火して日向ぼこして漁師老い 鈴木真砂女 生簀籠
無為といふ安らぎにあり日向ぼこ 和田一菜
無為にして化すものもなし日向ぼこ 中勘助
焦げ臭くなるまで一人日向ぼこ 寺西照子
父の座の父の匂ひの日向ぼこ 高野尚志
犬がものを言つて来さうな日向ぼこ 京極杞陽 くくたち上巻
犬という命と並び日向ぼこ 鳴戸奈菜
犬目開きわれ目を閉ざし日向ぼこ 京極杞陽 くくたち上巻
独り居の首ぬかれそう日向ぼこ 栗林千津
王侯の日向ぼこりに変りなし 辻本斐山
玻璃の外の風を見てゐる日向ぼこ 高濱年尾 年尾句集
生きてゐることを忘れて日向ぼこ 水谷仁志子
生きられる時間数へて日向ぼこ 島村ひろ子
男とか女を超えて日向ぼこ 櫂未知子 貴族
畦川や蝌蚪にもありし日向ぼこ 木村 風師
疾走するトラックの人ら日向ぼこ 渡辺水巴 白日
病み猫の鈴はづしやる日向ぼこ 木田千女
病める子の愚痴聞いてやる日向ぼこ 宮本ミユキ
病間や破船に凭れ日向ぼこ 杉田久女
百までは生きるつもりの日向ぼこ 菖蒲あや
目つむりて無欲に似たり日向ぼこ 上西左兌子
目つむれば倖せに似ぬ日向ぼこ 中村汀女
目つむれば宙に浮く吾日向ぼこ 高澤良一 宿好
目と鼻のぽかんと離れ日向ぼこ 安嶋都峯
目の横をとびゐる埃日向ぼこ 橋本鶏二
眉寄せて日向ぼこりの下手な人 奥坂まや
眼つむれば駆けりゐる血や日向ぼこ 松本たかし(1906-56)
眼の前に脱かれし下駄や日向ぼこ 飯田蛇笏 霊芝
着陸機待ちて給油車日向ぼこ 大島民郎
石がゐて吾が影がゐて日向ぼこ 村越化石
砂よけのかげにも一人日向ぼこ 阿部みどり女 笹鳴
磯臭くなるまで海の日向ぼこ 堀米洋江
禅寺の庭に座敷に日向ぼこ 高浜虚子
福耳の透きとほるまで日向ぼこ 檜紀代
稿送り骨の髄まで日向ぼこ 斉藤すず子
穏やかな気持もらひ日向ぼこ 長野敏子
空気銃向ける樹を見て日向ぼこ 阿部みどり女
笛吹いてむかしむかしの日向ぼこ 中川宗淵
笛吹いてむかし~の日向ぼこ 中川宋淵 命篇
笹山に那須嶽仰ぎ日向ぼこ 渡邊水巴 富士
籠りきり日向ぼっこのやうな日々 高澤良一 さざなみやつこ
納骨の日向ぼこりの中にをり 岸田稚魚
紙漉いてふぬけの爪よ日向ぼこ 田中英子
素直には喜べぬ長寿日向ぼっこ 桑田秋冬
紺青の空と触れゐて日向ぼこ 篠原鳳作 海の旅
綿入れの背のふつくらと日向ぼこ 田中冬二 冬霞
縁に腰そのまゝ日向ぼこりかな 高浜虚子
縁側にどうと倒れて日向ぼこ 京極杞陽 くくたち下巻
羅宇屋出て雷門に日向ぼこ 内海保子
美醜際立つ女生徒の日向ぼこ 楠節子
老境といふはいつより日向ぼこ 半田陽生
老木と同じ日向に日向ぼこ 村越化石
老犬の如くに我も日向ぼこ 京極杞陽 くくたち上巻
考への小は切捨て日向ぼこ 依田明倫
考へる人にも似たり日向ぼこ 斎藤和風
耳うとくほとけ顔して日向ぼこ 三宅まさ子
耳遠き故にうとまれ日向ぼこ 桐田句昧
胎内にゐるがごとくに日向ぼこ 中野貴美子
胎内のぬくさと思ふ日向ぼこ 吉沢紀子
胎内へ還るおとうと日向ぼこ 齋藤愼爾
胎内をくぐりし思ひの日向ぼこ 齋藤愼爾
胸もとを鏡のごとく日向ぼこ 大野林火
膝曲げて坐つて日向ぼこりかな 今井杏太郎
良寛の肩に似て来し日向ぼこ 小川原嘘帥
茂吉斯く足投げ出せり日向ぼこ 阿波野青畝
萩叢を刈ろと思へど日向ぼこ 銀漢 吉岡禅寺洞
虚子庵はがらんどうなり日向ぼこ 上野泰
蟷螂と日を分け合うて日向ぼこ 高澤良一 随笑
行きばなき猫と話しぬ日向ぼこ 山本智恵子
補聴器に拾ふ雑音日向ぼこ 原村明子
褒貶は彼方に在りて日向ぼこ 大本正貴
見つくせし海見る漁夫の日向ぼこ 河本美智雄
見て見ぬふり友と自称や日向ぼこ 香西照雄 素心
見のかぎり煙草むらさき日向ぼこ 『定本石橋秀野句文集』
見るかぎり煙草むらさき日向ぼこ 石橋秀野
話すことだんだん少な日向ぼこ 上野 章子
語らひの相手は猫や日向ぼこ 松尾忠子
象のごと開きて日向ぼこの耳 高澤良一 随笑
貝になりたしとも思はず日向ぼこりして 本土みよ治
越えられぬ川がいくつも日向ぼこ 齋藤愼爾
足入れてサンダル小さき日向ぼこ 依光陽子
足許の風の気になる日向ぼこ 稲畑汀子
身に芯のごときものあり日向ぼこ 高澤良一 石鏡
身のうちに老の来てゐる日向ぼこ 伊東月草
身の枷をはづしきれざる日向ぼこ 吉田 節子
身中の虫出でゆけり日向ぼこ 小島健 木の実
車ごと若人日向ぼこりかな 岩崎照子
過ぎしこと言はず聞かざる日向ぼこ 今井つる女
金柑に日のある間日向ぼこ 中村厚生
雀とぶそれも光芒日向ぼこ 皆吉爽雨
集めたる石も漁具にて日向ぼこ 茨木和生 遠つ川
雑沓を見て傘役の日向ぼこ 西本一都 景色
雑音に耳あそばせて日向ぼこ 竹下しづの女
雪の雄にしたがひて日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
雪を背に猿一列に日向ぼこ 五十嵐カズイ
雪落つる光飛び来ぬ日向ぼこ 鈴木花蓑句集
雲行くは行き園丁の日向ぼこ 下鉢清子
非常階段愛用日向ぼことして 鈴木 榮子
音のまろき母子の睦言日向ぼこ 中村純子 『花守』
顱頂剃ることものび~日向ぼこ 佐藤慈童
風強き玻璃戸のうちの日向ぼこ 上野泰 佐介
風邪気味の働くいやな日向ぼこ 阿部みどり女 笹鳴
飄と行く白雲高し日向ぼこ 貝塚放朗
飴の玉いつもふくんで日向ぼこ 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
餉をつぐる家ぬち暗く日向ぼこ 西島麦南 人音
饅頭のあんこさながら日向ぼこ 浜崎敬治
鬼のこころに今とほくゐる日向ぼこ つじ加代子
鶏逃げし石の階日向ぼこ 原裕 葦牙
黒猿の黒き夫婦の日向ぼこ 三好達治 路上百句

日向ぼこ 補遺

*陽炎や身を干海士の日向ぼこ 朱拙
『考へる人』の腰して日向ぼこ 山口誓子
あたたかや日向ぼこりのまたたきの 中村汀女
あをぞらは融通無碍よ日向ぼこ 大野林火 方円集 昭和四十九年
いくたびも日を失ひぬ日向ぼこ 後藤夜半 底紅
いづこにも衰老のゐて日向ぼこ 山口誓子
うと~と生死の外や日向ぼこ 村上鬼城
おろかにも齢数へて日向ぼこ 村山故郷
お茶の間のテレビがきこえ日向ぼこ 星野立子
かたまつて同じ事務服日向ぼこ 岡本眸
けふの日の燃え極まりし日向ぼこ 松本たかし
ここちよき死と隣りあひ日向ぼこ 鷹羽狩行
こほろぎの日向ぼこりのいつか無し 相馬遷子 山河
せせらぎの音森の中に日向ぼこ 山口青邨
ちかよりて老婦親しく日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
ちび~の絵筆また捨て日向ぼこ 川端茅舎
ともあれと日向ぼこりに招じけり 中村汀女
ともしき血溶けて流るる日向ぼこ 松本たかし
のこされし日向ぼつこの日向かな 上田五千石『琥珀』補遺
ふところに手紙かくして日向ぼこ 鈴木真砂女 生簀籠
ふるさとのここのところの日向ぼこ 右城暮石 散歩圏
ぼたもちを山妻呉れる日向ぼこ 山口青邨
わかものの恋きいてやる日向ぼこ 日野草城
わが影のみす~失せぬ日向ぼこ 日野草城
ゐながらに日向ぼこりの小書斎 上村占魚 球磨
キヤンデーのくれなゐを舐め日向ぼこ 山口青邨
一人つく羽子に倦いたる日向ぼこ 上野泰 佐介
一標札に混み合ふ家族名日向ぼこ 香西照雄 素心
一生を島に老いたる日向ぼこ 上野泰 春潮
一聞いて一だけをして日向ぼこ 藤田湘子
三時までまだ十五分日向ぼこ 星野立子
人のゐて犬落ちつかぬ日向ぼこ 右城暮石 句集外 昭和四十六年
人を恋ふ日にめぐり逢ひ日向ぼこ 後藤夜半 底紅
人声を誰ときゝ分け日向ぼこ 星野立子
今日は禁煙禁足の日たり日向ぼこ 村山故郷
伝へ聞く友の栄華や日向ぼこ 日野草城
倶生神伴ひつつも日向ぼこ 相生垣瓜人 負暄
冬帝に媚びるごとくに日向ぼこ 上田五千石 天路
切支丹灯籠人形を彫る日向ぼこ 山口青邨
前世にも日向ぼこりに飽かざりし 相生垣瓜人 明治草抄
南へ歩むよさながら日向ぼこ 中村草田男
口辺を拭ひて起てり日向ぼこ 岡本眸
吹かれ来て影の怒髪や日向ぼこ 香西照雄 素心
土の上に何やら動く日向ぼこ 桂信子 草影
壽命には日向ぼこりが薬ちふ 相生垣瓜人 負暄
大仏の掌にある思ひ日向ぼこ 鷹羽狩行
大木にかくれて日向ぼこりかな 山口青邨
大木に日向ぼつこや飯休み 村上鬼城
大根焚はじまる日向ぼこりかな 岸田稚魚 紅葉山
天声をさへぎる雲や日向ぼこ 鷹羽狩行
太幹の壁のやうなる日向ぼこ 富安風生
太陽と意の通じあひ日向ぼこ 鷹羽狩行
女の中の女疲れや日向ぼこ 山田みづえ 忘
姉絵本弟積み木日向ぼこ 上野泰 佐介
居こぼれて日向ぼこりの尼ぜかな 阿波野青畝
島裏のさびしさ告ぐよ日向ぼこ 中村汀女
干鰯血の気さすなり日向ぼこ 阿波野青畝
忘却の淵に沈みて日向ぼこ 上田五千石『琥珀』補遺
恍惚の死もありてよき日向ぼこ 能村登四郎
据ゑられし石のごとくに日向ぼこ 大野林火 月魄集 昭和五十五年
授乳喜びてこの世に日向ぼこ 鷹羽狩行
揚舟に猫日向ぼこ海をなみし 中村草田男
撫で下す顔の荒れゐる日向ぼこ 松本たかし
方丈のまさら木の香に日向ぼこ 大野林火 月魄集 昭和五十五年
日向ぼこ一足す一のわがたつき 星野麥丘人 2005年
日向ぼこ不意に悲しくなりて起つ 岡本眸
日向ぼこ仏掌の上にゐる思ひ 大野林火 方円集 昭和四十九年
日向ぼこ光の中に永くゐし 山口誓子
日向ぼこ共にしただの路傍の人 鷹羽狩行
日向ぼこ大きな山へ礼をなす 藤田湘子 神楽
日向ぼこ大望あとかたもなく消えて 上田五千石『琥珀』補遺
日向ぼこ大海原の青加へ 大野林火 飛花集 昭和四十七年
日向ぼこ大王よそこどきたまヘ 有馬朗人 知命
日向ぼこ天下分目のことなんど 山口青邨
日向ぼこ寄りし焼木に熱こもる 松崎鉄之介
日向ぼこ当り障りのなきやうに 桂信子「草影」以後
日向ぼこ心の波の今は消え 清崎敏郎
日向ぼこ挿話のごとく羽毛消え 鷹羽狩行
日向ぼこ教会鳩の柔毛降り 鷹羽狩行
日向ぼこ樹の伐られゆく山を見て 津田清子
日向ぼこ死が近く見え遠く遣り 大野林火 潺潺集 昭和四十二年
日向ぼこ温しといへば母に似む 中村汀女
日向ぼこ湯浴のごとく人加へ 岡本眸
日向ぼこ烏のこゑの盛り返す 飯島晴子
日向ぼこ父の血母の血ここに睦め 中村草田男
日向ぼこ犬の房尾は光なり 山口誓子
日向ぼこ獅子身中のふさぎの虫 鷹羽狩行
日向ぼこ玻璃戸拭かねばとも思ふ 星野立子
日向ぼこ疎まれてゐるごとくなり 大野林火 青水輪 昭和二十三年
日向ぼこ眼といふ翳り易きもの 岡本眸
日向ぼこ石のごとくにおしだまり 鈴木真砂女 卯浪
日向ぼこ神の裳裾に修道女 鷹羽狩行
日向ぼこ神の集ひも日向ならむ 大野林火 方円集 昭和四十九年
日向ぼこ神父の匂ひ抽んでて 鷹羽狩行
日向ぼこ笑ひくづれて散りにけり 富安風生
日向ぼこ老婆六人環礁図 鷹羽狩行
日向ぼこ蜜柑山にて糖化して 山口誓子
日向ぼこ覚めて燦たる句を得たり 山口青邨
日向ぼこ賢者なければ愚者なけむ 後藤比奈夫
日向ぼこ足下に外階段垂れて 岡本眸
日向ぼこ足袋の甲よりぬくもり来 松崎鉄之介
日向ぼこ青年患者すぐ飽きぬ 星野麥丘人
日向ぼこ飛鳥大仏ましりへに 阿波野青畝
日向ぼこ馬の藁喰む音聞え 大野林火 白幡南町 昭和三十年
日向ぼつこの僧の猥談ぼそぼそと 金子兜太
日向ぼつこは蠅もとんぼもみんないつしよに 種田山頭火 自画像 落穂集
時惜しみ惜しまず日向ぼこりかな 石塚友二 光塵
晩年の白一色の日向ぼこ 鷹羽狩行
書簡うくことのためらひ日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
木像のままに一茶の日向ぼこ 鷹羽狩行
枯れはてし芝に坐りぬ日向ぼこ 日野草城
柴刈の枯山まぎれ日向ぼこ 森澄雄
欠伸して顔の軋みし日向ぼこ 山口誓子
死ねる薬はふところにある日向ぼつこ 種田山頭火 自画像 落穂集
母の店へ末る客仰ぎ日向ぼこ 中村草田男
気乗り薄なる太陽と日向ぼこ 後藤比奈夫
火の山に向き切株に日向ぼこ 大野林火 青水輪 昭和二十四年
牧族は天与の日向ぼこりせり 阿波野青畝
犬も陸恋う眼の日向ぼこ 船溜り 伊丹三樹彦
猿山の日溜子猿日向ぼこ 山口青邨
獅子浄め去りたるあとに日向ぼこ 大野林火 月魄集 昭和五十五年
生涯の海見て老の日向ぼこ 岡本眸
畑なかの猫とねめあひ日向ぼこ 飴山實 花浴び
疾走するトラックの人ら日向ぼこ 渡邊水巴 白日
病間や破船に凭れ日向ぼこ 杉田久女
白洲門くぐる罪もなく日向ぼこ 山口青邨
目つむれば倖せに似ぬ日向ぼこ 中村汀女
目も暗み耳も廢ひつつ日向ぼこ 相生垣瓜人 負暄
眼つむれば駈けりゐる血や日向ぼこ 松本たかし
眼の前に脱かれし下駄や日向ぼこ 飯田蛇笏 霊芝
石獣に倣ひてわれも日向ぼこ 鷹羽狩行
祝電や日向ぼこりを乱したる 阿波野青畝
神の鳩地に胸つけて日向ぼこ 山口誓子
笹山に那須嶽仰ぎ日向ぼこ 渡邊水巴 富士
翼なき肩を並べて日向ぼこ 鷹羽狩行
肥舟が大曲する日向ぼこ 山口青邨
胸もとを鏡のごとく日向ぼこ 大野林火 雪華 昭和三十九年
腹中もあたたまり来し日向ぼこ 右城暮石 散歩圏
自動車がぴかぴか通る日向ぼこ 日野草城
自画像のごとくにわれの日向ぼこ 鷹羽狩行
良きことに今年終るや日向ぼこ 大野林火 月魄集 昭和五十五年
花野見え枯野見えつつ日向ぼこ 後藤比奈夫
藪の気を吸ひつつ背は日向ぼこ 中村草田男
虚子庵はがらんどうなり日向ぼこ 上野泰
血天井日向ぼこりをして上ワ目 阿波野青畝
裏山に梅ありと思ひ日向ぼこ 山口青邨
見て見ぬふり友と自称や日向ぼこ 香西照雄 素心
見ぬ振りをすること出来ず日向ぼこ 星野立子
見のかぎり煙草むらさき日向ぼこ 石橋秀野
観音のふところに届て日向ぼこ 高浜年尾
豹変の豹も君子も日向ぼこ 有馬朗人 立志
貧富とは如何なるものか日向ぼこ 星野立子
通宝の銭形日向ぼこ広場 山口誓子
遊ぶことばかり考へ日向ぼこ 星野立子
過去の失せ未来失せつつ日向ぼこ 後藤比奈夫
遠き癩者いつ思ひゐし日向ぼこ 大野林火 白幡南町 昭和三十年
鉄砲州の稲荷に日向ぼこりの子 村山故郷
銅像の正造に強ふ日向ぼこ 平畑静塔
関守の裔また老ゆる日向ぼこ 山口青邨
阿蘇の神森出でて来て日向ぼこ 角川源義
障子あけて業平像と日向ぼこ 大野林火 方円集 昭和五十年
離れ去る刻を見送り日向ぼこ 後藤比奈夫
雪の雄にしたがひて日向ぼこ 飯田蛇笏 春蘭
雪の鶏雄にしたがひて日向ぼこ 飯田蛇笏 心像
青凍ての空きらきらと日向ぼこ 日野草城
風強き玻璃戸のうちの日向ぼこ 上野泰 佐介
餉をつぐる家ぬち暗く日向ぼこ 西島麦南 人音
騒がしき娘たちやな日向ぼこ 星野立子
骨格に残る偉丈夫日向ぼこ 松崎鉄之介
鶏逃げし石の階日向ぼこ 原裕 葦牙
鹿も鹿どうし寄りあひ日向ぼこ 鷹羽狩行
麦飯が腹いつぱいの日向ぼつこり 種田山頭火 自画像 落穂集
黒白のさかひを出入り日向ぼこ 鷹羽狩行
齢かれこれとかぞへて日向ぼこ 鷹羽狩行

以上

by 575fudemakase | 2017-01-27 17:43 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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