霙 の俳句

霙 の俳句


例句を挙げる。

あはれめや霙にぬれし恋衣 尾崎紅葉
いとまする傘へ霙となりにけり 渡辺一水
おおむねは平な村の霙かな 山口 伸
けふ豊か霙のち雪そして愛 矢島渚男
さいはての如し霙るゝあやめの芽 殿村莵絲子 牡 丹
さらさらと烹よや霙の小豆粥 鳳朗
しばらくの霙に濡れし林かな 中村汀女
しみじみと子は肌につく霙かな 秋色 俳諧撰集玉藻集
それ鷹の鈴振り廻る雪雨(霙)かな 正秀 俳諧撰集「藤の実」
てのひらの未来読まるる夜の霙 福永 耕二
ぬれ雪と津軽人云ふ霙降る 佐藤一村
はららごの色に出にける霙かな 岸田稚魚 『萩供養』
はる~の原や小狐霙空 幸田露伴 礫川集
ふるさとは霙の中に人の声 裕計
べむべむと串海鼠(くしこ)もにえず霙かな 中村史邦
みぞれるといふこゑありて霙れけり 高澤良一 燕音
よろよろと枯れたる蓮に霙れけり 日野草城
わが腹にひびく夜霙眠りたし 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
ガスの穂を手風で立たす霙かな 不死男
ペガサスの朱馬走りけり初霙 八十島稔 柘榴
ラグビー場四辺を枯らし霙ける 岸風三楼 往来
一掴みほど漁師町霙降る 坂井建
下腹部の大きな蟹に霙降る 田中信克
乞食の骨正月や霙降る 大釜菰堂
人麻呂の鴨山かけて降る霙 石川魚子
傘に獺が来る霙かな 野村喜舟
再手術霙れは雪に癌病棟 飯野蓮歩
南天の実や霙雲野の果に 野舎
古障子霙るゝ音のきこえけり 虚子
垣霙医師の車の小さゝよ 久米正雄 返り花
墓の文字幾たび消しに来る霙 福田甲子雄
夕立の立つ頃ほひも霙降る 森田峠 三角屋根
夕霙みんな焦土を帰るなり 下村槐太 天涯
夕霙何ぞしたしき出雲崎 塚本邦雄 甘露
夕霙光琳笹を鳴らし過ぐ 高澤良一 ねずみのこまくら
夕霙明日の芝居のたのしみに 阿部みどり女 笹鳴
夕霙読書の脚を踏み温め 川口重美
夜に入れば笹に霙るゝ音ばかり 上村占魚 鮎
大丈夫と言ってしまいし霙かな 池田澄子
奥穂高尾根路をみせつ霙やむ 松村蒼石
嫁取の城崎にして霙かな 田中裕明 花間一壺
子規の句碑が霙童子となりにけり 江里昭彦
宵火事の消えて霙となりにけり 繞石
屋根過ぐは霙と覚め鼻つまりゐぬ 原田種茅 径
山茶花にあるは霙の降る日かな 碧梧桐
崖あらふ雨より霙うつくしき 中田剛 珠樹
嶺の雪町は霙れて暮れにけり 青峰集 島田青峰
市人に霙今日もや年迫る 青峰集 島田青峰
彼岸会や霙まじりの蘆の雨 庄司圭吾
志野ならめ霙の街にひそめるは 相生垣瓜人 微茫集
慈善鍋に霙れて街の往来かな 青峰集 島田青峰
旅人に運河波立ち降る霙 有働亨 汐路
日々霙れそめて車も蔵ひけり 成瀬光
日は月の淡さとなりて霙れけり 後藤洋子
曇りゐしが霙れて暮るゝ町往来 青峰集 島田青峰
松建ての片町すみし霙かな 大谷句佛 我は我
梔子の実にある朱や霙降る 龍男
梵妻をちらと見かけし霙かな 波多野爽波 『湯呑』
母御前に霙しづくのきりもなし 田中裕明 櫻姫譚
水仙の野に北海の霙かな 有働亨 汐路
水仙を霙のひまに切りにけり 虚子
淋しさの底ぬけてふるみぞれ(霙)かな 内藤丈草
火の拳そらの子宮に霙ふり 徳弘純 非望
灯ともしの鐘の霙るる善光寺 西本一都 景色
焼ものは霙るゝ街に漁るもの 相生垣瓜人 微茫集
焼灼の傷あと失せよ霙ぐせ 河野南畦 『焼灼後』
燈台の灯のまたたきて霙ふる 畔津 とみ
燻べらるる鬼の叫喚霙降る 林十九楼
疲れてはほとほと蒼き夕霙 能村登四郎
白袴薩摩飛白に霙れけり 久米正雄 返り花
石船の石に流るる霙かな 会津八一
石蕗の葉に雪片を見る霙かな 高浜虚子
硝子戸に日影うすれしが霙れ来し 青峰集 島田青峰
筆とらず読まず机に霙さく 上村占魚
箔打の息顫へゐる夕霙 加藤 汀
簪鳴るや霙れて蒼き加茂を背に 久米正雄 返り花
紙漉の天気都合や初霙 井月の句集 井上井月
縺れつつ墓より霙れはじめたり 中田剛 竟日
羽摶つごと霙へ一歩まぎれけり 湘子
聴きすます霙襖の奥の声 加藤楸邨
腕章につけし喇叭も霙るゝよ 久米正雄 返り花
腹裂きし猪を吊せば霙くる 茂里正治
舟がゝりなき島山や夕霙 雉子郎句集 石島雉子郎
花も葉もすべてつめたき霙かな 中田剛 珠樹
茨の実赤く夕ベ霙れてゐる 人間を彫る 大橋裸木
茶の間まだ帰宅そろはず霙降る 亀井糸游
草根を洗げるはやも霙めく 金尾梅の門 古志の歌
葬の一膳飯や霙降る 広江八重桜
葱掘りのくづほるゝごと霙れけり 金尾梅の門 古志の歌
薄明の霙を過ぐる鶏の足 栗林千津
藁塚二三峡田霙るる菅沼も シヤツと雑草 栗林一石路
見るたびに干足袋うごく霙なか 谷野予志
貯炭場へきりもみ霙るあやめの芽 殿村莵絲子 牡 丹
赤貝の大根おろしの霙かな 久米正雄 返り花
退官や霙燦たる思ひにて 有働亨 汐路
退宮の夜の霙降る常の街 有働亨 汐路
逢坂にあびてひさしき霙かな 中田剛 珠樹
逢坂の草の葉あらき霙かな 中田剛 珠樹
連祷の夕ベ霙るる致命祭 山下青芝
野守の頬かすめし月の霙かな 宮武寒々 朱卓
鉱山暮るゝことの早くて霙れけり 岸風三楼 往来
銀ねずの霙の雫能登の(あて) 西村公鳳
長尻の客もたたれし霙かな 中村史邦
門に積む菜に降り溜まる霙かな 松本たかし
門樒実を割りそめし霙かな 金尾梅の門 古志の歌
離郷残響霙の尋ね人われは 汎 馨子
雨いつか霙となりし街を行く 加藤 温子
雨が霙に変つて都鳥流るる 長谷川かな女 花寂び
雨白しやがて霙になるらしく 安藤あきら
雲の奥見せてその奥より霙 李桃丘子
霙(みぞ)るるや鶏覗くとまり時 平交 俳諧撰集「有磯海」
霙うつわが少年の日の学舎 堀口星眠
霙くるマンハッタンの聖樹の灯 仙田洋子 雲は王冠
霙してしばらく磧きらきらと 中田剛 珠樹
霙して海老吹寄る汀かな 召波
霙せり蝉折といふ笛ありて 中田剛 珠樹以後
霙たまるふしぎにたつやうすあかり 飛鳥田[れい]無公 湖におどろく
霙にも雪にもならず唯の雨 高澤良一 宿好
霙に洗ふ小鍋噴井は地の温み 中島斌男
霙はしる波のうねりの明るき夜 原田種茅 径
霙ふる京をとほくに浪のいろ 中田剛 珠樹以後
霙ふる裏山かけて竹ばやし 上村占魚 鮎
霙まつ柴の庵のけぶりかな 井上井月
霙るるに供華売るそこは船着場 木村蕪城 寒泉
霙るるや京の織屋の軒深き 野田 史子
霙るるや夜の影駅に忘れきし 石原八束 空の渚
霙るるや大手袋の国旗売り 永井龍男
霙るるや子をかばひゆく軒づたひ 星野立子
霙るるや小蟹の味のこまかさに たかし
霙るるや手をあてがへる鯉の腹 中田剛 珠樹以後
霙るるや手術済む犬引取りに 山田節子
霙るるや暁の列車を切りはなす 斎藤佳代子
霙るるや木戸の輪飾り外すにも 永井東門居
霙るるや燈華やかなればなほ 臼田亞浪 定本亜浪句集
霙るるや狸がかぶるぱつちよ笠 龍岡晋
霙るるや猟夫踏み来る水辺萱 金子 潮
霙るるや私の川いや深く 池田澄子
霙るるや触るれば熱き瀬戸火鉢 風生
霙るるや野兎藪に息ひそめ 沢 聰
霙るるや鞍掛橋の鴨南蠻 龍岡晋
霙るるや鬼の念仏傘を背負ひ 龍岡晋
霙るる前大根引の終りけり 松村蒼石 雁
霙るる底港づくりに田が廃る 木村蕪城 寒泉
霙るる槇最後のおもひ逢ひにゆく 鈴木しづ子
霙るる田鳶や鼠を鷲掴み 家田小風
霙るる阿蘇行かねば行けずと水噴きをり 加藤知世子 花寂び
霙るる露路を笑み交し往き来するなり 人間を彫る 大橋裸木
霙るゝと告ぐる下足を貰ひ出づ 汀女
霙るゝや一つづゝ出す蕪蒸し 龍胆 長谷川かな女
霙るゝや垢離すみて粥にあたゝまる 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
霙るゝや子をかばひゆく軒づたひ 星野立子
霙るゝや砂深々と踏むしばし 泰山俳句集 中村泰山、岩谷山梔子編
霙るゝや砦のやうな崖二階 柑子句集 籾山柑子
霙るゝや籬の方へ下駄の跡 西山泊雲 泊雲句集
霙るゝや粥ともつかぬ飯の出来 蝶衣句稿青垣山 高田蝶衣
霙れきて睫毛につきし水の粒 中田剛 珠樹
霙れけり人より貰ふ銭の額 鈴木しづ子
霙れして早もくれたる町繁華 青峰集 島田青峰
霙れそむ波の穂光ゲの夜に消ゆる 石原八束 空の渚
霙れつつ暮れの号鼓の四辺かな 永井龍男
霙れつつ縺れつつなほ泥酔へ 耕二
霙れつつ鯛焼の火を落しをり 水原秋櫻子
霙れゆくは草鞋の音か夜のしらむ 金尾梅の門 古志の歌
霙れ空泉のいろに雲剥がれ 石原八束 空の渚
霙吸ふ笹根切つては耕せり 中島斌男
霙打つ天心の墓供華もなし 鈴木トシ子
霙打つ家路見てゐる男靴 谷口桂子
霙来し父の背に子よよぢのぼれ 大岳水一路
霙来て飢ゑは沈める湖に似し 金箱戈止夫
霙着て冬の案山子となりつくす 新谷ひろし
霙空やゝに明るし輸血あと 相馬遷子 山河
霙聴き魂なき母と一夜寝ぬ 蓼汀
霙降る千木高き辺はなほ激し 田中時江
霙降る宿のしまりや蓑の夜着 丈草 霜 月 月別句集「韻塞」
霙降る幾裏山や昭和終ふ 金箱戈止夫
霙降る改装駅の木のホーム 土田日露支
霙降る池の緋鯉は沈みけり 今成無事庵
青き鴨もはらに鳴ける霙かな 篠田悌二郎
静かなるもの耳に降り霙降る 本多静江
鞄ごとあづけし霙傘ゆかし 田中裕明 櫻姫譚
音たてて支那粥すする霙かな 龍岡晋
頭巾くれし妹がりゆく夜霙ふる 高井几董
風まぜに蕪ひく野の霙かな 信徳
馬の尾を引ずつて行霙かな 蝶夢
高橋阿伝夜刃譚(たかはしおでんやしゃものがたり)霙る夜に 高澤良一 さざなみやっこ
魚の腸に鴉釣らるな霙かな 廣江八重櫻
鮭簗を解きしみちのく霙れけり 伊東宏晃
鳥肌を立つる砂丘や霙打つ 林逸茂
鵺の額かゝる霙の峰の堂 泉鏡花
鶴翼をかざせばはしる霙かな 富澤赤黄男
とほき日の母が帯解く音きこゆ北陸本線みぞれ降りをり 辺見じゅん
みぞれ中君を待たしたよふぐ鍋へ 橋本夢道 『無類の妻』以後
みぞれ声こころにしみるこよひかも 飯田蛇笏 椿花集
みぞれ過ぐ音の抜けゆく真夜の壷 加藤耕子
みぞれ降る砂丘羽毛を得てひかる 原 和子
みぞれ雪涙にかぎりありにけり 多佳子
五日はや働着なり夕みぞれ 及川貞 榧の實
夕みぞれ干満珠寺のむかしかな 久保田万太郎 流寓抄
朝みぞれ夕みぞれとてさやぐ木よ 細谷源二 砂金帯
柴納屋へ山禽寝に来夕みぞれ 高田蝶衣
足どりも乗馬の果や雪みぞれ 中村史邦
雪みぞれ降にまぎれて年暮ぬ 吟江
音たてゝ又霰降るみぞれ降る 高木晴子 晴居
みぞるるやはせ川好み小鍋立 大場白水郎 散木集
みぞるるや加賀の女の加賀ことば 山本健吉
みぞるるや十年矮鶏の番古り 石川桂郎 高蘆
みぞるるや地辷りつのる千枚田 堀田正久
みぞるるや朝の餌につく籠雲雀 松村蒼石 寒鶯抄
みぞるるや雑炊に身はあたたまる 飯田蛇笏 山廬集
みぞるるや髪は喪のいろ梳きに梳く 八牧美喜子
みぞるゝとたちまち暗し恐山 五所平之助
みぞるゝやたゞ一めんの日本海 久保田万太郎 流寓抄
みぞるゝやとぎれ~に葬の人 雉子郎句集 石島雉子郎
みぞるゝや切身の赤き魚の棚 守水老遺稿 寺野守水老
みぞるゝや尚四五枚の枝紅葉 比叡 野村泊月
みぞるゝや弔旗コーヒー店をかくし 岸風三楼 往来
みぞるゝや戸ざすに白き夜の芝 渡辺水巴 白日
みぞるゝや町の夕行く乳の牛 幸田露伴 江東集
みぞるゝや留守の裏戸の炭二俵 比叡 野村泊月
みぞるゝや茶屋に灯りし吊燈籠 阿部みどり女 笹鳴
みぞるゝや雑炊に身はあたたまる 蛇笏
霙(みぞ)るるや鶏覗くとまり時 平交 俳諧撰集「有磯海」
植込みにしゃらんしゃらんと初みぞれ 高澤良一 暮津

霙 補遺

「巴里祭」出て古町の夜の霙 伊丹三樹彦
いつぺんに霙の顔となりにけり 岸田稚魚 紅葉山
うつくしき霙ふる也電氣燈 正岡子規 霙
おしころす母が嗚咽の夕みぞれ 橋閒石 卯
おもひ見るや我屍にふるみぞれ 原石鼎 花影
およろこびの旗を立てみぞれするさへ 種田山頭火 自画像 落穂集
かゝる日は汨羅の鬼に霙かな 日野草城
ことしもこんやぎりのみぞれとなつた 種田山頭火 草木塔
この街のみぞれの汽車の遠はしり 細谷源二 砂金帯
しばらくの霙に濡れし林かな 中村汀女
つゝぬけのやうな寒さがみぞれあと 右城暮石 句集外 昭和十一年
ときに醜白鳥の沼霙れ居て 佐藤鬼房
はららごの色に出にける霙かな 岸田稚魚
ひともとの松恋ひをれば霙来ぬ 三橋鷹女
みそるゝやふけて水田の薄明り 正岡子規 霙
みぞるゝやふけて冬田の薄明り 正岡子規 霙
みぞるゝや水道橋の薪舟 正岡子規 霙
みぞれきて戦の国の雛若し 渡邊水巴 富士
みぞれとはやさしき名なり積るかも 渡邊水巴 富士
みぞれともならで越路のしくれ哉 正岡子規 時雨
みぞれ声こころにしみるこよひかも 飯田蛇笏 椿花集
みぞれ降るかすかに痛みはじまれる 野見山朱鳥 愁絶
みちのくの上田下田のみぞれけり 角川源義
ゆるやかに死ぬ海の鳥雪霙 佐藤鬼房
よろ~と枯れたる蓮に霙れけり 日野草城
五日はや働着なり夕みぞれ 及川貞 榧の實
人もなし黒木の鳥居霙ふる 正岡子規 霙
今日一日はものいふこともなかつた霙 種田山頭火 自画像 落穂集
伊予霙海渡らねば帰られず 山口誓子
会ひ別れ霙の闇の跫音追ふ 佐藤鬼房
傘の柄の雨や霙となりにけり 石塚友二 磊[カイ]集
初霙大きい顔に授けられ 飯島晴子
半分はみぞれて行くや唐子山 正岡子規 霙
原稿を更けて書き畢ふみぞれ雪 山口誓子
吹きまはす浦風に霰霙かな 河東碧梧桐
坂東の霙の水が顔流る 三橋敏雄
夕霙みんな焦土をかへるなり 下村槐太 光背
夕霙みんな焦土を帰るなり 下村槐太 天涯
夜に入れば笹に霙るゝ音ばかり 上村占魚 鮎
大原のみぞれの夜も常の笑み 飯田龍太
大和美しみぞれ耕馬を眼にせずば 橋本多佳子
大船の階子をあげる霙かな 正岡子規 霙
如何にして拝めば止みし霙かな 永田耕衣 人生
妻と行く霙店には鯛二つ 香西照雄
宝塔に檜の風のみぞれかな 河東碧梧桐
富士の空はみぞれてやまず夜もすがら 村山故郷
寝ねて不良の肩のやさしく牢霙る 秋元不死男
山下りて雪は霙と變りけり 正岡子規 霙
山茶花にあるは霙の降る日かな 河東碧梧桐
山鳩も噂も遠くみぞれけり 三橋鷹女
島を刷く時雨がみぞれ日の出前 佐藤鬼房
帰るとき霙山人赤犬たち 金子兜太
志野ならめ霙の街にひそめるは 相生垣瓜人 微茫集
旅絵師に会ひしむかしのみぞれ雪 佐藤鬼房
昨夜寄りし店まだ覚めず朝霙 岡本眸
朝みぞれ夕みぞれとてさやぐ木よ 細谷源二 砂金帯
松の内海日に荒れて霙れけり 杉田久女
棕梠の葉にばさりばさりとみぞれけり 正岡子規 霙
棕櫚の葉のばさりばさりとみぞれけり 正岡子規 霙
樫の木に雀の這入る霙かな 村上鬼城
毛蟹むしることに一途や夕霙 鈴木真砂女 夏帯
沢蟹を伏せたる籠もみぞれゐる 飯田龍太
涸れ沼の泥にみぞるゝ夕かな 正岡子規 霙
渋民去る雨から霙さらに雪 上田五千石『田園』補遺
湯屋いづるとき傘のみぞれかな 飯田蛇笏 山廬集
湯屋出づるとき傘のみぞれかな 飯田蛇笏 霊芝
焼ものは霙るゝ街に漁るもの 相生垣瓜人 微茫集
焼子酔ひ馬車ひきが酔ひ霙ふる 佐藤鬼房
煮くづれし蕪を小鉢にみぞれけり 草間時彦
燈の数の町をなさざる夕霙 岡本眸
片町や霙捨てつゝ雲とほる 飴山實
牛の舌厚く鮮し霙降る 草間時彦 中年
獺の橋杭つたふミぞれ哉 正岡子規 霙
生徒等もわれもひもじ硝子を霙うつ 篠原梵 年々去来の花 皿
画餅われ索(さく)霙(みだれ)をば満喫す 永田耕衣
番子唄かへりみる扉の霙かな 角川源義
疲れてはほとほと蒼き夕霙 能村登四郎
病む今日の終り戸を打つみぞれ雪 佐藤鬼房
穢の溝を惜しくも祓う霙かな 永田耕衣 人生
筆とらず読まず机に霙きく 上村占魚 鮎
紅梅に霙のかゝる余寒かな 正岡子規 余寒
羽摶つごと霙へ一歩まぎれけり 藤田湘子
蟹提げて人霙れ来る三國かな 松本たかし
街それて傘のみぞれの重くなる 大野林火 早桃 太白集
谿ふかく篁あふつ霙かな 加藤秋邨
門に積む菜に降り溜まる霙かな 松本たかし
門前の霙に来たり郵便夫 日野草城
雛の眼の黒きことみぞれ深まりぬ 渡邊水巴 富士
雨のみか霙も連れて来りけり 加藤秋邨
雪がみぞれとなり思ひうかべてゐる顔 種田山頭火 自画像 落穂集
霙うつ夜見の砂丘の汽笛かな 加藤秋邨
霙にもならで師走の大雨かな 正岡子規 師走
霙にもなりぬべらなり宵の雨 正岡子規 霙
霙ふるまたよからずや珈琲喫む 山口青邨
霙ふる裏山かけて竹ばやし 上村占魚 鮎
霙めく夜道そこ駈け乞食酒 石塚友二 光塵
霙るるに供華売るそこは船着場 木村蕪城 寒泉
霙るるや三月十日幾昔 石塚友二 玉縄以後
霙るるや小蟹の味のこまかさに 松本たかし
霙るるや燈華やかなればなほ 臼田亜郎 定本亜浪句集
霙るるや芦ひらひらと波来り 大野林火 冬青集 雨夜抄
霙るるや襖の文字の古俳諧 山口青邨
霙るる前大根引の終りけり 松村蒼石 雁
霙るる底港づくりに田が廃る 木村蕪城 寒泉
霙るゝや子をかばひゆく軒づたひ 星野立子
霙れつつ終漁の宴唄ひづむ 佐藤鬼房
霙れつつ鯛焼の火を落しをり 水原秋櫻子 餘生
霙れるそのうなぢヘメスを刺させい 中川一碧樓
霙打つ暗き海より獲れし蟹 松本たかし
霙来て思ひ出ふたつつながりぬ 加藤秋邨
霙来る形身のいろの夜空より 飯田龍太
霙空やゝに明るし輸血あと 相馬遷子 山河
霙酢といふ酢加減も夏の果 後藤比奈夫
霙降る足裏のみが扉に吸われ 佐藤鬼房
露人の歌みぞれは雪に変りつつ 西東三鬼
駅裏の山いつまでも霙降る 飯田龍太
鴎啼き日日の霙に濡るる町 松本たかし

霙 続補遺

いぬころの眼をあぶながるみぞれ哉 寥松
かれの塚もてなせけふのあさ霙 曽良
さら~と烹よや霙の小豆粥 田川鳳朗
しみ~と子は肌へつくみぞれ哉 秋色
はつゆきやみぞれで仕廻笹の音 木因
ふくろふの腹立なほる霙かな 寥松
ふれみぞれ柊の花の七日市 其角
べむ~と串海鼠もにへず霙哉 史邦
みぞれつらし鍋さげて行道ながら 鈴木道彦
みぞれてもしら~つもる穂垣哉 加舎白雄
みぞれとは時雨に花の咲た時 支考
みぞれにはさせる句もなし山の坊 松窓乙二
みぞれにも身はかまへたり池の鷺 其角
みぞれふる庭の間や友雀 昌房
みぞれ降る音や朝飯の出来る迄 臥高
もう仕廻へ朝水汲の一みぞれ 千川
やかましきあるじは聞ぬ霙かな 尚白
ゆで汁のけぶる垣根やみぞれふる 小林一茶
傘さしてやるや鰒さく夕霙 田川鳳朗
傘持た指のほどけぬみぞれ哉 三宅嘯山
口おしくみぞれにぬるゝ女馬かな 加舎白雄
句撰やみぞれ降よのみぞれ酒 丈草
墓の肌さぞ此ごろの雪みぞれ 牧童
大根の髭むしる夜はみぞれかな 風国
川越のふどしをしぼるみぞれ哉 毛〔ガン〕
日のさして雨になり行霙哉 三宅嘯山
暮にけり霙降日の物いらち 三宅嘯山
東むく霙や寒しはなれ鷹 乙訓
松杉にすくひあげたるみぞれ哉 去来
此笠はいくつのとしの雪みぞれ 木節
水風呂の夜になる初のみぞれかな 浪化
淋しさの底ぬけてふるみぞれかな 丈草
淋しさの底ぬけて降るみぞれかな 内藤丈草
潮ぐもりみぞれの色を潟の雪 加舎白雄
灯かゝげてみぞれに凄き局かな 三宅嘯山
節米やみぞれ拍子に笹の音 洒堂
米搗の灯を消す比や雪みぞれ 土芳
荒神の松も買れぬみぞれかな 松窓乙二
莚戸やみぞれ一時人こもる 加舎白雄
菜にそゝぐこゝろもある歟朝みぞれ 鈴木道彦
袖褄に付て離れぬみぞれかな 三宅嘯山
誓文は霙と解つ年忘 亀洞
足どりも乗馬の果や雪みぞれ 史邦
酒の名のみぞれは宵の寒さ哉 沙明
重々しみぞれの中の鳥の声 三宅嘯山
長尻の客もたゝれしみぞれ哉 史邦
門口をさぐり当たるみぞれ哉 凉菟
雨に散る花やみぞれにかへるかと 杉風
霙して海老吹寄る汀かな 黒柳召波
霙降宿のしまりや簑の夜着 丈草
霙降日や魚棚の海老の色 臥高
頭巾くれし妹がりゆく夜霙ふる 高井几董
鰤ばかり霙にそばへたる重し 挙白
鴬は雨にして鳴みぞれ哉 桃隣

以上

by 575fudemakase | 2017-01-28 04:14 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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俳句の四方山話 季語の例句 句集評など


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《方法1》 残暑 の例句を調べる
先ず、右欄の「カテゴリ」の「秋の季語」をクリックし、表示する。
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全部を表示下さい。(全表示に多少時間がかかります)
次いで、表示された内容につき、「ページ内検索」を行ないます。
(「ページ内検索」は最上部右のいくつかのアイコンの内から虫眼鏡マークを探し出して下さい)
探し出せたら、「残暑」と入力します。「残暑 の俳句」が見つかったら、そこをクリックすれば
例句が表示されます。

尚、スマホ等でこれを行なうには、全ての操作の前に、最上部右のアイコンをクリックし
「pc版サイトを見る」にチェック印を入れ実行下さい。


《方法2》以下はこのサイトから全く離れて、グーグル又は ヤフーの検索サイトから
調べる方法です。
グーグル(Google)又は ヤフー(Yahoo)の検索ボックスに見出し季語を入力し、
その例句を検索することができます。(大方はこれで調べられますが、駄目な場合は上記、《方法1》を採用ください)

例1 残暑 の例句を調べる

検索ボックスに 「残暑の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「残暑 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【残暑】残る暑さ 秋暑し 秋暑 【】=見出し季語

例2 盆唄 の例句を調べる

検索ボックスに 「踊の俳句」 と入力し検索ボタンを押す
いくつかのサイトが表示されますが、「踊 の俳句:575筆まか勢」のサイトを
クリックし表示ください。
[参考] 【踊】踊子 踊浴衣 踊笠 念仏踊 阿波踊 踊唄 盆唄 盆踊 エイサー 【】=見出し季語

以上 当システムを使いこなすには、見出し季語をシッカリ認識している必要があります。

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山藤章二著 ヘタウマ文化論 ..
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電飾 の俳句
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宿木 の俳句
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