衾 の俳句

衾 の俳句


例句を挙げる。

ありあれば鴛鴦の衾に恨かな 大塚羽山
あをみたる古潭の蕗に衾雪 飯田蛇笏 春蘭
いたつきや庵春さむき白衾 西島麥南 金剛纂
いま眠りに入らむ衾のなかの双手 松村蒼石 雁
うそ寒くふぐり匿ふ衾の中 小林康治 玄霜
かしらへやかけん裾へや古衾 蕪村 冬之部 ■ 東山の梺に住どころ卜したる一音法師に申遺す
すさまじや夫婦の部屋の茣蓙衾 上野さち子
そのかみの伊吹颪や紙衾 斎藤梅子
とかくして命あればぞ革衾 高浜虚子
みちのくや疲れ田つつむ衾雪 平井さち子
わが衾明けつつ霜の積りゐぬ 西村公鳳
一日を心に描く衾かな 池内友次郎
下京の一客となる麻衾 上野さち子
並び寝の我より低き彼の衾 栗生純夫 科野路
久闊や風邪の衾を出でゝ逢ふ 清原枴童 枴童句集
二児あればある煩ひや黴衾 石塚友二 光塵
亡父亡母深夜衾に入れば見ゆ 高室呉龍
亡骸をうづめて寒き衾かな 山本洋子
人吉の雨にわびしき衾かな 阿波野青畝
今日を明日へ衾の睫毛あはせけり 川口重美
体おもくねぬくもりたる春衾 飯田蛇笏 雪峡
兎角して命あればぞ革衾 高浜虚子
冬衾生き身の温さ抗へり 内藤吐天 鳴海抄
冬衾終の日までは花鳥被て 野澤節子 『駿河蘭』
初夢のはかなくたのし古衾 高橋淡路女 梶の葉
古衾寝覚寝覚に句をかゝん 山口鶯子
古衾悪魔に黒髪掴まれぬ 藤木清子
啓蟄の衾あまらずわけあひぬ 清水基吉 寒蕭々
四ッに折て行李にあまる衾かな 高井几董
夜夕立ひやゝかに衾かぶりけり 金尾梅の門 古志の歌
太刀のせてあはれさかへる衾かな 蛇笏
寒菊の花の衾に寝まりまし 石塚友二 光塵
嵩低き病まれし母の衾かな 中嶋 昌子
巡礼や笈の衾を取り出し 尾崎迷堂 孤輪
年々の同じ衾に宿下り 松村蒼石 露
幾夜かは胸凍ばれたり旅衾 松村巨湫
廓ただよべの衾を欄に干す 後藤夜半
旅の夜の大足投げし衾かな 萩原麦草 麦嵐
旅衾温もれば想ふ河鹿の音 林原耒井 蜩
旅衾狐狸の裾野も思ひ寝る 百合山羽公 寒雁
春暁やうちかづきたる古衾 後藤夜半 翠黛
朝日影衾にとどききりぎりす 下村槐太 天涯
木犀や屋根にひろげしよき衾 石橋秀野
枯蓮や寐つかぬ鴛の古衾 斑象
止利仏師衾裾を刳り春の宵 和田悟朗 法隆寺伝承
水鳥や蘆もうもれて雪衾 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集
浮くぶ瀬に鴛鴦の衾も見えにけり 樋口得川
消燈後も市井の明さ冬衾 渡辺幻魚
減らしたる衾の上も夜のおぼろ 皆吉爽雨
温石や衾に母のかをりして 小林康治 四季貧窮
独寝も肌やあはする紐衾 梅盛
着てたてば夜るのふ衾もなかりけり 内藤丈草
矢衾の豆腐かなしき針供養 金子伊昔紅
祖母をたのみの子等が厚衾 松村蒼石 露
稚き仏ぞ被まし菊衾 石塚友二 光塵
絵を見ての倉敷どまり厚衾 北野民夫
繕うてやっとさげたる衾かな 杉風 俳諧撰集「有磯海」
肩衾母にならひて着る夜かな 金子翠羽
脱ぎ給ふ御衣(ぎょい)は天下の衾かな 服部嵐雪
脱給ふ御衣は天下の衾哉 服部嵐雪
著てたてば夜の衾もなかりけり 丈草
蕗をとる二足三足衾雪 飯田蛇笏 春蘭
薄衾頤のせて待つものもなし 森澄雄
藪柑子の彩る落葉衾かな 高田蝶衣
虚実なく臥す冬衾さびしむも 野澤節子 黄 瀬
蜉蝣と一つ衾や避暑の宿 大石悦子 聞香
行悩む身も世も露の粗衾 石塚友二 光塵
衾から皃出してよぶ菜うり哉 一茶 ■文化十年癸酉(五十一歳)
衾なほつめたく年の明けにけり 鷲谷七菜子
衾の肩抱けば柔か母死なせじ 中村金鈴
衾ふんで霜の宿せうきり/\す 加舎白雄
衾中命冱てつゝせぐくまり 高浜虚子
衾被て木魚の眠る深雪かな 鈴木貞雄
起されてたゝむ衾や去年ことし 素山
足袋脱いで旅寝の衾短かり 萩原麦草 麦嵐
身に付かぬ所はかたきふすま(衾)かな 立花北枝
身の衾海のおもての夜寒かな 椎本才麿
郡内の衾重さよ紅薊 島村元句集
降る雪に老母の衾うごきけり 永田耕衣 與奪鈔
隼を見したかぶりの夜の衾 蕪城
雨漏や風邪の衾の裾あたり 清原枴童 枴童句集
霜葉の明日にまどろむ旅衾 百合山羽公 寒雁
頭へやかけん裾へや古衾 蕪村
風邪衾かすかに重し吾子が踏む 能村登四郎 咀嚼音
鶴を聴く衾のすこし魚臭し 古館曹人
鼠よけに燈ともして寝る衾かな 吉田冬葉

衾 補遺

いま眠りに入らむ衾のなかの双手 松村蒼石 雁
うそ寒くふぐり匿ふ衾の中 小林康治 玄霜
すいつちよん旅の衾をなぐさめよ 阿波野青畝
たくぶすま白き衾を被て火照る 日野草城
ひきかぶる衾みじかし寒の宿 石田波郷
ひとの家の衾颱風に寝がへりぬ 大野林火 早桃 太白集
ふるさとや衾のすその後の月 角川源義
トラックに積もれる雪の厚衾 山口誓子
三日はや赤子ねむれる紅衾 飯田龍太
二児あればある煩ひや黴衾 石塚友二 光塵
人吉の雨にわびしき衾かな 阿波野青畝
元日に追付かれけり破衾 正岡子規 元日
元旦に追つかれけり破衾 正岡子規 元旦
冬衾母の睡りを訪ふばかり 石田勝彦 雙杵
冬衾終の日までは花鳥被て 野澤節子 八朶集以後
初夢のおどろ衾に寝がへりて 石橋秀野
夜衾にはるか名指しの海ひとつ 三橋敏雄
天竺の案内をせよ古衾 正岡子規 衾
太刀のせて嵩さのへりたる衾かな 飯田蛇笏 心像
姨捨の酒にほとぼる旅衾 百合山羽公 樂土
宝船うすくのしたる衾かな 阿波野青畝
寒菊の花の衾に寝まりまし 石塚友二 光塵
寒雀心弱き日衾出ず 石田波郷
寝待月うすき衾に射しそめし 阿波野青畝
巨燵なき衾や足ののべ心 正岡子規 炬燵塞ぐ
帰り来しわが家も同じ梅雨衾 大野林火 月魄集 距和五十七年
帰省子にみちのくぶりの掛衾 山口青邨
幼年の日の人買と蠶衾 佐藤鬼房
御姿は夢見たまへる衾かな 正岡子規 衾
旅衾狐狸の裾野も思ひ寝る 百合山羽公 寒雁
旅衾神楽の鬼を見ずじまひ 百合山羽公 樂土
旅衾露の蚊を撲ちくさめ落つ 角川源義
日脚伸ぶ見えて衾のぶだう山 岡井省二 山色
暮れがての衾まつはる野分かな 岸田稚魚 雁渡し
月さしてゐて明易の衾なる 大野林火 月魄集 昭和五十六年
朝日影衾にとどききりぎりす 下村槐太 天涯
木犀や屋根にひろげしよき衾 石橋秀野
梅雨めくや衾ぬぎゐし肩の冷え 鷲谷七菜子 黄炎
槍衾ああら笑止や槍鶏頭 山口青邨
残りゐてなほ衾雪なせりけり 清崎敏郎
母子の寝の寒夜の衾ふみ過ぎつ 飯田龍太
清浄と仄かにぬくし古衾 川端茅舎
温石や衾に母のかをりして 小林康治 四季貧窮
湯煙の上撫でてゆく衾雪 清崎敏郎
稚き仏ぞ被まし菊衾 石塚友二 光塵
粥腹に暑き衾の黄金虫 角川源義
縮緬の紫さめし衾かな 正岡子規 衾
繕ひて幾夜の冬や紙衾 内藤鳴雪
葉衾を立て夜はかばふ牡丹青莟 山口青邨
蕗のたう牡丹枯葉のふすまの下 細見綾子
蕗をとる二足三足衾雪 飯田蛇笏 心像
薄きかと思ふ十三夜の衾 能村登四郎
虚実なく臥す冬衾さびしむも 野澤節子 未明音
蟋蟀がわれの衾に夜を明かす 山口誓子
行悩む身も世も露の祖衾 石塚友二 光塵
行悩む身も世も露の粗衾 石塚友二 光塵
衾なほつめたく年の明けにけり 鷲谷七菜子 黄炎
衾はね出でて行きしは雪をんな 能村登四郎
衾引けば独語の息の顔蔽ふ 岸田稚魚 雁渡し
衾雪睡りのあとの肌澄み 飯田龍太
諸共に丸めて我身古衾 川端茅舎
足袋脱ぐ妻ひとりの衾踏み立ちて 石田波郷
辻君の衾枯れたる木陰哉 正岡子規 冬枯
逝く年の衾ながらや母の眉 石田勝彦 雙杵
遅月の照らす衾やひき被り 石田波郷
酷寒の我に家あり衾あり 星野立子
降る雪に老母の衾うごきけり 永田耕衣
隼を見したかぶりの夜の衾 木村蕪城 寒泉
雛の間にのべて衾の貧しかり 能村登四郎
霜葉の明日にまどろむ旅衾 百合山羽公 寒雁
露寒の夜の衾となりにけり 石塚友二 玉縄以後
風倒の稲の衾に寝てみたし 山口誓子
風邪衾かすかに重し吾子が踏む 能村登四郎
鳥影の中の屑散る風邪衾 斎藤玄 狩眼
麻衾暁ごうごうの雨被る 橋本多佳子
麻衾暁の手足を裹み余さず 橋本多佳子
麻衾暁紅を眼に覚めにけり 大野林火 雪華 昭和三十七年


衾 続補遺

*かげぼしと身の間に経る衾かな 寥松
あらさびし衾にはいるきりゞりす 寥松
うき名たつ夢に汗かく衾哉 旦藁
おもたさの衾ほどあり雪の傘 桜井梅室
かぶり着てあたまもしれじあつ衾 野水
こつ~と咳する人や帋衾 高桑闌更
さるにても輪回きたなし文衾 加藤曉台
すかし得た子を奥の間の衾かな 三宅嘯山
すさまじや市の衾の風たまひ 加舎白雄
つぎはぎて弥寒し厚衾 尚白
はつ霜や衾にこもる鐘の声 野坡
ものうさよいづくの泥ぞ此衾 如行
何事も寝入る迄也紙衾 小春
元朝やよつにたゝみし帋衾 成田蒼虬
冬籠る衾の上やちり椿 除風
初雪の工夫にしづむ衾かな 桃妖
四ッに折て行李にあまる衾かな 高井几董
声たえぬ寐言よしなや古衾 尚白
夜を頼む名ぞかづらきのかみ衾 勝興 続山の井
夢やぶれ衾破れて君見えず 露印
帋衾昼は衣桁の覆かな 尚白
引かぶるよし野のおくの衾かな 夏目成美
引冠る衾の草やさよ千鳥 釣壺
後妻の起るや古き衾より 三宅嘯山
我に易からね衾もたゝむもの 寥松
旅居して余寒をしらぬ衾かな 馬場存義
猫が来て重リにかゝる衾哉 嵐青
畳めは我が手のあとぞ紙衾 曽良
百足はふ音すさまじや帋衾 桜井梅室
着てたてる衾ほさばや花の陰 魯九
笹に音あり衾にさはる夜もすがら 井上士朗
節季候よおれが衾はどうはやす 鈴木道彦
紙衾寐覚煙草もむつかしや 五明
紙衾梅にゆかりのあるをとこ 成田蒼虬
脱給ふ御衣は天下の衾哉 嵐雪
花の雪衾かぶりし夜に似たり 松窓乙二
衾ふんで霜の宿せうきり~す 加舎白雄
衾干す軒も主やら隣やら 鈴木道彦
身の衾海のおもての夜寒かな 椎本才麿
身ひとつのさうざうしさよ紙衾 蓼太 七柏集
雨もりを聞によろしき衾哉 支考
露なみだつゝみやぶるな此衾 路通
鴛の衾に二日やいとかな 黒柳召波
鴨の毛や鴛の衾の道ふさげ 其角

以上

by 575fudemakase | 2017-01-28 05:16 | 冬の季語 | Trackback | Comments(0)
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インターネットの「Google」や「yahoo」の検索ボックスから、季語等を入力して数多くの例句を得られれば大変便利である。

具体的に季語“新樹”の例句を求めるには、先ず検索ボックスに“新樹”と入力する。
その後、ひらかなで“れいく”と入力する。この時、日本語変換候補に幾つかの語彙が表示されるが、その中から“575筆まか勢”を選択する。
この結果、検索ボックスには “新樹575筆まか勢”と表示される筈である。
この用語で検索すれば求めるサイトが表示される。

但し、上述の ひらかなの“れいく”と入力して“575筆まか勢”を選択する為には、事前に小細工をしておく必要がある。
即ち、ユーザーズ辞書を使って “れいく=575筆まか勢”を定義しておく必要がある。以下はその指定方法。

ユーザーズ辞書定義

▼iPadの場合
設定>一般>キーボード>ユーザーズ辞書

単語 575筆まか勢
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表記 575筆まか勢

PCの場合も同様に「ユーザーズ辞書」機能を使い、前もって定義しておく。

春の季語から現在の当季季語までは既に表示可能である。
来年の三月末(2015年3月末)までに全季語について表示可能となる。

以上

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